(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139619
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】アンテナ及びアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20241002BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050650
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】川路 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉川 博道
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA04
5J021AA05
5J021AA07
5J021AA09
5J021AB06
5J021GA02
5J021GA08
5J021HA04
5J021HA10
5J045AA21
5J045CA01
5J045DA10
5J045FA01
5J045FA09
5J045NA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ミリ波レーダのような物体検出技術において、利便性を高めるアンテナ及びアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ1は、基板10と、基板10の第1面に形成される第1導体21と、第1導体21の近傍にわずかに離間して配置される第2導体22と、第1導体21及び第2導体22の周囲を部分的に囲むように配置される第3導体23と、基板10の第2面側に形成される、接地導体と、給電部40と、第1導体21及び第2導体22と接地導体30との間に配置される中間導体51と、を備える。電力は、給電部40を経て第1導体21に供給される。これにより、第1導体21、第2導体22、第3導体23及び中間導体51は、放射素子として機能する。第1導体21と、第2導体22と、第3導体23と、を備えることによって、下方向(Y軸負方向)の電流分布が強められ、斜め下方向の利得が向上する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面に形成される第1導体及び第2導体と、
前記第1導体及び前記第2導体の周囲を部分的に囲む第3導体と、
を備える、アンテナ。
【請求項2】
前記第1導体及び前記第2導体は、それぞれ4辺形に基づく平面形状に形成され、
前記第2導体は、前記第1導体の近傍に並べて配置され、
前記第3導体は、前記第1導体を形成する4辺のうち3辺に沿うように、かつ前記第2導体を形成する4辺のうち1組の対辺に沿うように配置される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記基板の前記第1面と反対側の第2面に形成される接地導体と、
前記第1導体及び前記第2導体と、前記接地導体との間に配置される中間導体と、
を備える、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記中間導体は、前記基板内部に埋設される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記中間導体は、前記基板が平面透視される場合に、前記第1導体及び前記第2導体のそれぞれに部分的な重なりを有する位置に配置される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記中間導体は、前記第1導体及び前記第2導体が並べて配置される方向に垂直な方向において、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一方よりも小さなサイズに形成される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記中間導体は、前記第1導体及び前記第2導体が並べて配置される方向に垂直な方向において、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一方とほぼ同じサイズに形成される、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一方に電磁気的に給電する給電部を備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記基板の前記第1面に形成される第4導体を備え、
前記第4導体は、前記接地導体と導通している、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記第4導体は、前記第1導体及び前記第2導体の周囲において前記第3導体によって囲まれていない箇所に配置される、請求項9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記第4導体は、前記第2導体を形成する4辺のうち、前記第1導体が並べて配置される側の1辺及び前記第3導体が沿うように配置される1組の対辺を除く残りの1辺に沿うように配置される、請求項9に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記基板上に、請求項1から11のいずれか1項に記載のアンテナが複数配置される、アンテナ装置。
【請求項13】
前記基板上に、前記アンテナがアレイ状に複数配置される、請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記基板上に複数配置される前記アンテナにおいて、前記第3導体が前記第1導体及び前記第2導体の周囲を囲まない部分はほぼ同じ向きに配置される、請求項13に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ及びアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に関連する産業などの分野において、自車両と所定の物体との間の距離などを測定する技術が重要視されている。特に、近年、ミリ波のような電波を送信し、障害物などの物体に反射した反射波を受信することで、物体との間の距離などを測定するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))の技術が、種々研究されている。このような距離などを測定する技術の重要性は、運転者の運転をアシストする技術、及び、運転の一部又は全部を自動化する自動運転に関連する技術の発展などに伴い、今後ますます高まると予想される。
【0003】
上述したレーダのような技術に採用可能なアンテナとして、様々な用途又は使用態様を想定したものが提案されている。例えば、特許文献1は、薄肉化が可能で製作の容易な平面アンテナを開示している。この平面アンテナは、特定方向の指向性を向上させ、指向方向の前後の利得を上げることができるとされている。また、例えば、特許文献2は、アンテナ利得を向上して、給電アンテナ素子数を少なくすることができるマイクロストリップライン型の平面アレイアンテナを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-211447号公報
【特許文献2】特開2005-244961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したレーダのような技術において、RFスイッチを使用せずとも、受信アンテナの指向性を異なる方向に変化させることができれば、特定の用途又は使用態様において利便性を高めることができる。
【0006】
本開示の目的は、例えばミリ波レーダのような物体検出技術において、利便性を高めるアンテナ及びアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るアンテナは、
基板と、
前記基板の第1面に形成される第1導体及び第2導体と、
前記第1導体及び前記第2導体の周囲を部分的に囲む第3導体と、
を備える。
【0008】
一実施形態に係るアンテナ装置は、
前記基板上に、一実施形態に係るアンテナが複数配置される。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、例えばミリ波レーダのような物体検出技術において、利便性を高めるアンテナ及びアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態の比較例に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示すA-A’線の断面を示す図である。
【
図3】一実施形態の比較例に係るアンテナによる動作のシミュレーション結果を示す図である。
【
図4】一実施形態の比較例に係るアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【
図5】一実施形態の比較例に係るアンテナ装置による動作のシミュレーション結果を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【
図7】
図6に示すB-B’線の断面を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係るアンテナによる動作のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【
図10】第1実施形態に係るアンテナ装置による動作のシミュレーション結果を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係るアンテナの構成を示す正面図である。
【
図13】第2実施形態に係るアンテナによる動作のシミュレーション結果を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係るアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【
図15】第2実施形態に係るアンテナ装置による動作のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示において、アンテナとは、電気エネルギーを電磁波の形で空間に放出したり、あるいは空間から電磁波を受けて取り入れたりするためのエネルギー変換器としてよい。
本開示において、アンテナとは、前述のようなエネルギーの変換能率がよくなるように設計された電気回路としてよい。また、本開示において、アンテナとは、電波を送信(放射)及び/又は受信(吸収)するための装置としてよく、電気的エネルギーを電波に変えて空間に放出したり、電波を受けて回路の電流に変換したりする装置としてよい。
【0012】
本開示において、アンテナを備える「電子機器」とは、電力により駆動する機器としてよい。一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方を備えてよい。一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、送信アンテナから送信波として電磁波を送信する。例えば一実施形態に係るアンテナを備える電子機器の周囲に所定の物体が存在する場合、当該電子機器から送信された送信波の少なくとも一部は、当該物体によって反射されて反射波となる。そして、このような反射波を当該電子機器の受信アンテナによって受信することにより、当該電子機器は、当該物体を検出することができる。例えば、一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、所定の物体との間の距離を測定することができる。また、一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、所定の物体との相対速度も測定することができる。さらに、一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、所定の物体からの反射波が、当該電子機器に到来する方向(到来角)も測定することができる。
【0013】
一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、例えば自動車などのような乗り物(移動体)の運行状況を監視する路側機などに設置されることで、当該路側機の周囲に存在する移動体などの所定の物体を検出することができる。また、一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、例えば信号機などの任意の機器に設置されることで、当該機器の周囲に存在する移動体などの所定の物体を検出することができる。
【0014】
一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、典型的には、電波を送受信するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))センサとしてよい。しかしながら、一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、レーダセンサに限定されない。これらのようなセンサは、例えばパッチアンテナなどを含んで構成することができる。RADARのような技術は既に知られているため、詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略することがある。一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、光源として、例えばLED又はレーザなどを採用してよい。一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、受光素子として、例えばフォトダイオードなどを採用してよい。一実施形態に係るアンテナを備える電子機器は、指向性の制御のために、例えばレンズなどを使用してよい。
【0015】
レーダの技術において、例えばアレイアンテナ(アンテナアレイ)のような複数のアンテナによって受信した電波の位相差から、電波の到来方向(DOA(direction of arrival))を推定する方法が知られている。このような到来方向推定の方法として、例えば、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法、及びESPRIT(Estimation of Signal Parameter via Rotational Invariance Techniques)法などが知られている。電波の到来方向は、少なくとも2本のアンテナがあれば、推定することができる。一方、到来方向推定の角度分解能を上げる(アレイ自由度(アンテナ本数をNとするとN-1)を大きくする)ために、複数の受信アンテナは、全て同形のアレイアンテナで構成されてもよい。
【0016】
レーダによって検出可能な距離を延ばすために、アンテナ利得を増大させる必要がある。また、アンテナ利得を増大させるために、アンテナ素子を規則的に配列させたアレイアンテナを構成してよい。例えば車載用コーナレーダの場合、アレイアンテナを縦方向に並べて配置することにより、ビーム幅が水平方向に広く垂直方向に狭い指向性を有するアンテナを構成することができる。例えば前方検出用のレーダの場合、縦横方向にアンテナを並べて、水平垂直方向のビームを絞ることにより、高利得なアンテナを構成することができる。
【0017】
従来、複数のアンテナ素子による電波の送信又は受信を合成することにより、高利得でビーム幅の狭いアンテナ指向性を持つアレイアンテナが用いられている。このようなアレイアンテナにおいて、アンテナの素子数、アンテナ素子の間隔、及びアンテナ素子間の位相差などを制御することにより、最大利得、指向性の向き、及びビーム幅などを調整することができる。アレイアンテナの特性として、レーダの検出距離を延ばすためには、利得を増大させる必要がある。一方、利得を増大させると、アンテナのビーム幅が狭くなるため、検出範囲は狭くなる。また、一般的に、異なる方向の指向性が合成されると、アンテナ素子間における干渉が生じ得る。このようなアンテナにおいては、アンテナ特性を単純な足し合わせによって求めることができない。したがって、このようなアンテナの設計は複雑になり得る。
【0018】
送信アンテナにおいては、複数のポートをそれぞれ異なる利得、指向性、及びビーム幅とすることで、アンテナ特性を分けることが可能である。一方、受信アンテナにおいては、到来方向の推定を高精度で行うためには、限られたポート数の中で、アンテナ特性を全てのポートで同じにする必要がある。上述のように、少なくとも2ポートの受信アンテナがあれば、電波の到来方向の推定は可能である。しかしながら、2ポートの受信アンテナによって、良好な精度で到来方向の推定を行うことは困難である。
【0019】
また、例えば、信号機又は信号機が設置されるポールなどのような比較的高い場所(例えば2.5m以上など)に設置されたミリ波レーダによって、遠距離及び近距離の両方の物体(例えば自動車及び歩行者など)を検出するような使用態様も想定される。このような場合、遠距離に存在する物体の検出には、正面方向に指向性を有するようにし、近距離に存在する物体の検出には、下方向又は斜め下方向に指向性を有するようにすることが望ましい。
【0020】
しかしながら、位相制御によって指向性を下向きにすると、正面方向の利得は下がってしまう。このため、1系統のアンテナによって2方向のアンテナ利得を確保するのは困難である。このような場合、例えば、受信アンテナをスイッチによって切り替えることにより対処し得るようにも思われる。しかしながら、79GHz帯に対応したRFスイッチは、入手が容易でない。また、受信アンテナをスイッチによって切り替えると、雑音指数(Noise Figure(NF))が劣化する。したがって、このような受信アンテナは、受信感度が劣化する要因となる。さらに、複数のアンテナを配置する場合、アンテナ間の干渉も課題となる。
【0021】
一実施形態に係るアンテナは、上述のような使用態様にも対応し得る。一実施形態に係るアンテナは、指向性の異なる2つの偏波を受信することができる。また、一実施形態に係るアンテナは、所定の方向に指向性を強くすることができる。特に、一実施形態に係るアンテナは、アンテナ素子単体で、鉛直方向の成分を含む方向に指向性を強めることができる。以下、一実施形態に係るアンテナを説明するに際し、まず、一実施形態に係るアンテナの比較対象として、一実施形態の比較例に係るアンテナについて説明する。
【0022】
図1及び
図2は、一実施形態の比較例に係るアンテナの構成を概略的に示す図である。
図1は、一実施形態の比較例に係るアンテナの正面図である。
図2は、
図1に示した一実施形態の比較例に係るアンテナのA-A’線断面図である。
【0023】
図1及び
図2において、X軸方向を横方向又は左右方向としてよい。特に、
図1及び
図2において、X軸正方向を右方向とし、X軸負方向を左方向としてよい。
図1及び
図2において、Y軸方向を縦方向又は上下方向としてよい。特に、
図1及び
図2において、Y軸正方向を上方向とし、Y軸負方向を下方向としてよい。
図1及び
図2において、Z軸方向を前後方向としてよい。特に、
図1及び
図2において、Z軸正方向を前方向又は正面(前面)方向とし、Z軸負方向を後方向又は背面方向としてよい。
【0024】
図1及び/又は
図2に示すように、一実施形態の比較例に係るアンテナ1’は、基板10’と、導体20’と、接地導体30’と、給電部40’とを備えてよい。
【0025】
基板10’は、通常の電気回路又は電子回路に用いられる回路基板としてよい。基板10’は、例えば誘電体を含んで構成されてよい。
図1に示す基板10’の面(すなわち基板10’のZ軸正方向の面)は、便宜的に、表側の面若しくは表面、又は第1面とも記す。また、
図1に示す基板10’の第1面と反対側の面(すなわち基板10’のZ軸負方向の面)は、便宜的に、裏側の面若しくは裏面、又は第2面とも記す。
【0026】
図1及び
図2は、基板10’の一部を図示するものとしてよい。例えば、
図1は、基板10’のうち、導体20’の周囲近傍の部分までを示すものとしてよい。例えば、基板10’は、導体20’の周囲近傍の部分として、
図1に示すよりも大きな部分を有してもよい。基板10’のサイズ及び/又は形状は特に限定されないが、一例として、後述する導体20’よりも大きなサイズとして、例えば4辺形などに基づく形状としてよい。
【0027】
図1及び
図2に示すように、アンテナ1’において、基板10’の第1面側には、導体20’が形成されてよい。導体20’は、アンテナ素子(放射素子)として機能するものとしてよい。導体20’は、例えば銅などの金属材料で構成してよい。また、導体20’は、基板10’の第1面に、例えば印刷配線などによって形成されてよい。導体20’のサイズ及び/又は形状は特に限定されないが、一例として、一辺が1mm程度とする、例えば4辺形などに基づく形状としてよい。
図1及び
図2において、導体20’は、正方形に基づく形状としてある。しかしながら、導体20’は、他の形状としてもよい。
【0028】
また、
図2に示すように、アンテナ1’において、基板10’の第2面側には、接地導体30’が形成されてよい。接地導体30’は、例えば銅などの金属材料で構成してよい。また、接地導体30’は、基板10’の第2面に、例えば印刷配線などによって形成されてよい。接地導体30’のサイズ及び/又は形状は、特に限定されない。接地導体30’は、例えば基板10’の第2面の全面に形成されてもよいし、例えば基板10’の第2面の一部に形成されてもよい。また、基板10’の第2面に形成される接地導体30’のパターンも、各種のものとしてよい。
【0029】
図2に示すように、アンテナ1’において、導体20’は、給電部40’を介して電気的に接続される。
図1において、給電部40’は、破線によって示してある。給電部40’は、例えば銅などの金属材料で構成される給電点などを含んでもよい。給電部40’は、例えば基板10’にビア及び/又はスルーホールなどが穿設される箇所に形成されてよい。アンテナ1’において、電力は、給電部40’を経て導体20’に供給される。これにより、導体20’は、アンテナ素子(放射素子)として機能する。アンテナ1’に給電される電力は、給電線路から供給されるものとしてよい。アンテナ1’に給電される電力は、SoCのRFポートからマイクロストリップラインなどを経由し、給電部40'を介してアンテナ1’に給電されるものとしてよい。したがって、給電部40’と、接地導体30’とは、電気的に導通がないものとしてよい。
【0030】
図1及び
図2において、給電部40’は、導体20’における中心よりも下部に配置されている。しかしながら、給電部40’は、導体20’における他の箇所に配置されてもよい。
【0031】
このように、アンテナ1’は、通常のマイクロストリップアンテナ(マイクロストリップパッチアンテナ又はパッチアンテナ)などと同様に構成してよい。例えば、アンテナ1’は、誘電体などで構成される基板10’と、その表面(第1面)側に例えば印刷配線された放射素子(導体20’)と、その裏面(第2面)側に例えば印刷配線された地導体板(接地導体30’)と、備える平面アンテナとしてよい。
【0032】
図1及び
図2に示すアンテナ1’のように、アンテナ1素子の基本的な構成として、誘電体基板上にパターンで形成したマイクロストリップアンテナがある。マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)は、アンテナの寸法によって決定される波長で励振し、導体の正面方向にメインローブが形成される。後述のように、アンテナ素子の素子数を増やし、アレイアンテナを構成することにより、メインローブの利得を上げることができる。また各アンテナ素子の入力位相を制御することにより、メインローブの方向を変化させるビームフォーミング技術は、移動体通信及び/又はレーダの記述などにおいて利用することができる。
【0033】
次に、
図1及び
図2に示したアンテナ1’の特性、特にアンテナ1’の垂直方向の指向性について説明する。以下、
図1及び
図2に示したアンテナ1’による動作をシミュレートした結果について説明する。
【0034】
図3は、
図1及び
図2に示したアンテナ1’の放射素子(導体20’)による各偏波ごとの利得をプロットしたグラフを示す図である。
図3は、
図1及び
図2に示したアンテナ1’による偏波の利得と、YZ平面に平行な平面における角度との関係について示している。すなわち、
図3は、
図1及び
図2に示したアンテナ1’の水平方向0°における垂直方向の指向性を示す図である。ここで、水平方向0°とは、後述のように、Y軸正方向、すなわち
図1及び
図2に示す放射素子の上方向を示す。
【0035】
図3に示す円グラフの半径方向は、利得の大きさ(dBi)を示す。
図3に示す円グラフの円周方向は、YZ平面に平行な平面における角度(°)を示す。
図3に示す円グラフの円周方向において、90°は、Z軸正方向、すなわち
図1及び
図2に示す放射素子の正面方向を示す。
図3に示す円グラフの円周方向において、0°は、Y軸正方向、すなわち
図1及び
図2に示す放射素子の上方向を示す。
図3に示す円グラフの円周方向において、180°(-180°)は、Y軸負方向、すなわち
図1及び
図2に示す放射素子の下方向を示す。
【0036】
図3のグラフにおいて実線で示す曲線(ゲインθ)は、
図1に示すアンテナ1’のY軸方向の偏波面に対する指向性を示している。また、
図3のグラフにおいて破線で示す曲線(ゲインφ)は、
図1に示すアンテナ1’のX軸方向の偏波面に対する指向性を示している。
図1及び
図2に示すアンテナ1’の出力は、直線偏波である。
図1に示すように、ゲインθとゲインφとは直交の関係にある。
【0037】
図1及び
図2に示したアンテナ1’によれば、
図3に示すように、ゲインθが主偏波となる。
図3に示すように、ゲインθの正面方向(90°)及び斜め下60°方向(150°)の利得をシミュレートした結果は、それぞれ次のようになった。
90°方向の利得:6.3dBi(
図3に示す点m3)
150°方向の利得:4.1dBi(
図3に示す点m2)
【0038】
次に、
図1及び
図2に示したアンテナ1’を複数アレイ化したアンテナ装置について説明する。
【0039】
図4は、
図1及び
図2に示したアンテナ1’を複数アレイ化したアンテナ装置の構成を概略的に示す図である。
図4に示す各座標軸の方向などは、
図1と同様に定義されるものとしてよい。
【0040】
図4に示すように、一実施形態の比較例に係るアンテナ装置100’は、
図1及び
図2に示したアンテナ1’を、上側に4素子及び下側に4素子、計8素子をアレイ状に配置して構成されてよい。このように、一実施形態の比較例に係るアンテナ装置100’は、アンテナ1’を複数アレイ化して配置したアレイアンテナ(アンテナアレイ)としてよい。
【0041】
また、
図4に示すように、アンテナ装置100’において、上側4素子のアンテナ1’と、下側4素子のアンテナ1’とは、それぞれ給電点の位置が異なるように構成されてよい。
図4に示すように、アンテナ装置100’の上側4素子のアンテナ1’は、
図1に示したアンテナ1’と同じ向きに配置される。すなわち、アンテナ装置100’の上側4素子のアンテナ1’において、給電部40’は、導体20’における中心よりも下側寄りに配置されている。一方、
図4に示すように、アンテナ装置100’の下側4素子のアンテナ1’は、
図1に示したアンテナ1’を、Z軸を中心に反時計回りに90°回転させた向きに配置される。すなわち、アンテナ装置100’の下側4素子のアンテナ1’において、給電部40’は、導体20’における中心よりも右側寄りに配置されている。このため、アンテナ装置100’において、上側4素子のアンテナ1’と、下側4素子のアンテナ1’とは、放射の偏波面が異なるようになる(直交する)。
【0042】
次に、
図4に示したアンテナ装置100’の特性、特にアンテナ装置100’の垂直方向の指向性について説明する。以下、
図4に示したアンテナ1’による動作をシミュレートした結果について説明する。
【0043】
図5は、
図4に示したアンテナ装置100’による各偏波ごとの利得をプロットしたグラフを示す図である。
図5は、
図4に示したアンテナ装置100’による偏波の利得と、YZ平面に平行な平面における角度との関係について示している。すなわち、
図5は、
図4に示したアンテナ装置100’の水平方向0°における垂直方向の指向性を示す図である。
図5に示すグラフにおける各定義は、
図3と同様としてよい。
【0044】
図4及び
図5に示すように、上側4素子のアンテナ1’は、ゲインθが主偏波(指向性は斜め下方向)となり、下側4素子のアンテナ1’は、ゲインφが主偏波(指向性は正面方向)となっている。また、
図5に示すように、上側4素子のアンテナ1’は、各素子の入力が位相シフトされることにより、メインローブが斜め下方向に向いている(ゲインθ)。
図5に示すように、メインローブは、およそ133°の方向にピークを有している。
【0045】
図5に示すように、
図4に示したアンテナ装置100’によれば、ゲインφの正面方向(90°)及びゲインθの斜め下方向(133°、150°)の利得をシミュレートした結果は、それぞれ次のようになった。
90°方向の利得:8.7dBi(
図5に示す点m5)
133°方向の利得:7.6dBi(
図5に示す点m4)
150°方向の利得:3.7dBi(
図5に示す点m2)
【0046】
(第1実施形態)
次に、第1実施形態に係るアンテナについて説明する。
【0047】
図6及び
図7は、第1実施形態に係るアンテナの構成を概略的に示す図である。
図6は、第1実施形態に係るアンテナの正面図である。
図7は、
図6に示した第1実施形態係るアンテナのB-B’線断面図である。
図6及び
図7に示す各座標軸の方向などは、
図1及び
図2と同様に定義されるものとしてよい。
【0048】
図6及び/又は
図7に示すように、第1実施形態に係るアンテナ1は、基板10と、第1導体21と、第2導体22と、第3導体23と、接地導体30と、給電部40と、中間導体51と、を備えてよい。
【0049】
基板10は、通常の電気回路又は電子回路に用いられる回路基板と同様に構成してよい。基板10は、例えば誘電体を含んで構成されてよい。
図6に示す基板10の面(すなわち基板10のZ軸正方向の面)は、便宜的に、表側の面若しくは表面、又は第1面とも記す。また、
図6に示す基板10の第1面と反対側の面(すなわち基板10のZ軸負方向の面)は、便宜的に、裏側の面若しくは裏面、又は第2面とも記す。
【0050】
図6及び
図7は、基板10の一部を図示するものとしてよい。例えば、
図6は、基板10のうち、第3導体23の周囲近傍の部分までを示すものとしてよい。例えば、基板10は、第3導体23の周囲近傍の部分として、
図6に示すよりも大きな部分を有してもよい。基板10のサイズ及び/又は形状は特に限定されないが、一例として、第3導体23よりも大きなサイズとして、例えば4辺形などに基づく形状としてよい。
【0051】
図6及び
図7に示すように、アンテナ1において、基板10の第1面側には、第1導体21、第2導体22、及び第3導体23が形成されてよい。第1導体21、第2導体22、及び第3導体23は、アンテナ素子(放射素子)として機能するものとしてよい。第1導体21、第2導体22、及び第3導体23は、例えば銅などの金属材料で構成してよい。また、第1導体21、第2導体22、及び第3導体23は、基板10の第1面に、例えば印刷配線などによって形成されてよい。
【0052】
図6に示すように、第1導体21及び第2導体22は、例えば、一辺が1mm程度とする4辺形などに基づく平面形状に形成されてよい。第1導体21及び第2導体22は、例えば同じ形状、又はほぼ同じ形状に形成されてよい。第1導体21及び第2導体22は、Y軸方向に並べて配置されてよい。また、第1導体21及び第2導体22は、互いの近傍に配置されてよい。第1導体21及び第2導体22は、
図6に示すように、互いにわずかに離間して配置されてよい。
【0053】
図6に示すように、第3導体23は、第1導体21及び第2導体22の周囲を部分的に囲むように形成されてよい。第3導体23は、
図6に示すように、第1導体21及び第2導体22からわずかに離間して配置されてよい。第3導体23は、例えば、
図6に示すように、第1部分23a、第2部分23b、及び第3部分23cを備えてよい。第1部分23a及び第3部分23cは、縦方向に延在する細長形状の導体として形成されてよい。また、第2部分23bは、第1部分23a及び第3部分23cにそれぞれ結合される、横方向に延在する細長形状の導体として形成されてよい。第3導体23は、
図6に示すように、第1導体21を形成する4辺のうち3辺(縦方向の2辺及び横方向の上側の1辺)に沿うように配置されてもよい。さらに、第3導体23は、
図6に示すように、第2導体22を形成する4辺のうち1組の対辺(縦方向の2辺)に沿うように配置されてもよい。
図6に示すように、第3導体23は、第1部分23a、第2部分23b、及び第3部分23cによって、全体としてコの字形状又はU字形状に形成されてよい。第3導体23のサイズは特に限定されないが、一例として、第1部分23a及び第3部分23cのY軸方向の長さは2mm程度とし、第2部分23bのX軸方向の長さは1mm程度としてよい。
【0054】
このように、第1実施形態に係るアンテナ1は、基板10と、第1導体21及び第2導体22と、第3導体23と、を備えてよい。第1導体21及び第2導体22は、基板10の第1面に形成されてよい。第3導体23は、第1導体21及び第2導体22の周囲を部分的に囲むものとしてよい。また、第1導体21及び第2導体22は、それぞれ4辺形に基づく平面形状に形成されてもよい。第2導体22は、第1導体21の近傍に並べて配置されてもよい。第3導体23は、第1導体21を形成する4辺のうち3辺に沿うように、かつ第2導体22を形成する4辺のうち1組の対辺に沿うように配置されてもよい。
【0055】
また、
図7に示すように、アンテナ1において、基板10の第2面側には、接地導体30が形成されてよい。接地導体30は、例えば銅などの金属材料で構成してよい。また、接地導体30は、基板10の第2面に、例えば印刷配線などによって形成されてよい。接地導体30のサイズ及び/又は形状は、特に限定されない。接地導体30は、例えば基板10の第2面の全面に形成されてもよいし、例えば基板10の第2面の一部に形成されてもよい。また、基板10の第2面に形成される接地導体30のパターンも、各種のものとしてよい。
【0056】
図6及び
図7に示すように、アンテナ1において、第1導体21は、給電部40を介して電気的に接続されてよい。
図6において、給電部40は、破線によって示してある。給電部40は、例えば銅などの金属材料で構成される給電点などを含んでもよい。給電部40は、例えば基板10にビア及び/又はスルーホールなどが穿設される箇所に形成されてよい。アンテナ1において、電力は、給電部40を経て第1導体21に供給される。これにより、第1導体21、第2導体22、第3導体23、及び中間導体51は、アンテナ素子(放射素子)として機能する。アンテナ1に給電される電力は、給電線路から供給されるものとしてよい。アンテナ1に給電される電力は、SoCのRFポートからマイクロストリップラインなどを経由し、給電部40を介してアンテナ1に給電されるものとしてよい。したがって、給電部40と、接地導体30とは、電気的に導通がないものとしてよい。
【0057】
図6及び
図7において、給電部40は、第1導体21における中心よりも上部に配置されている。しかしながら、給電部40は、第1導体21における他の箇所に配置されてもよい。
【0058】
このように、第1実施形態に係るアンテナ1は、給電部40を少なくとも1つ備えてもよい。給電部40は、第1導体21及び第2導体22の少なくとも一方に電磁気的に給電してもよい。
【0059】
図7に示すように、第1導体21及び第2導体22と、接地導体30との間には、中間導体51が配置されてよい。中間導体51は、アンテナ素子(放射素子)として機能するものとしてよい。中間導体51は、第1導体21、第2導体22、及び第3導体23の少なくともいずれかを電磁気的に結合する機能を有してよい。中間導体51は、例えば銅などの金属材料で構成してよい。
図7に示すように、中間導体51は、基板10の内部に形成されてよい。
図6において、中間導体51は、破線によって示してある。
図7に示すように、中間導体51は、第1導体21及び第2導体22と、接地導体30との間に配置されてよい。また、
図6に示すように、中間導体51は、基板10が平面透視される場合に、Y軸方向において第1導体21に部分的な重なりを有する位置に配置されてもよい。さらに、
図6に示すように、中間導体51は、基板10が平面透視される場合に、Y軸方向において第2導体22に部分的な重なりを有する位置に配置されてもよい。
図6に示すように、中間導体51は、第1導体21及び第2導体22が並べて配置される方向(Y軸方向)に垂直な方向(X軸方向)において、第1導体21及び第2導体22の少なくとも一方よりも小さなサイズに形成されてもよい。
【0060】
このように、第1実施形態に係るアンテナ1は、接地導体30と、中間導体51とを備えてもよい。接地導体30は、基板10の第1面とは反対側の第2面に形成されてもよい。中間導体51は、第1導体21及び第2導体22と、接地導体30との間に配置されてもよい。中間導体51は、基板10内部に埋設されてもよい。中間導体51は、基板10が平面透視される場合に、第1導体21及び第2導体22のそれぞれに部分的な重なりを有する位置に配置されてもよい。中間導体51は、第1導体21及び第2導体22が並べて配置される方向に垂直な方向において、第1導体21及び第2導体22の少なくとも一方よりも小さなサイズに形成されてもよい。
【0061】
次に、
図6及び
図7に示したアンテナ1の特性、特にアンテナ1の垂直方向の指向性について説明する。以下、
図6及び
図7に示したアンテナ1による動作をシミュレートした結果について説明する。
【0062】
図8は、
図6及び
図7に示したアンテナ1の放射素子による各偏波ごとの利得をプロットしたグラフを示す図である。
図8は、
図6及び
図7に示したアンテナ1による偏波の利得と、YZ平面に平行な平面における角度との関係について示している。すなわち、
図8は、
図6及び
図7に示したアンテナ1の水平方向0°における垂直方向の指向性を示す図である。
【0063】
図8に示す円グラフの半径方向は、利得の大きさ(dBi)を示す。
図8に示す円グラフの円周方向は、YZ平面に平行な平面における角度(°)を示す。
図8に示す円グラフの円周方向において、90°は、Z軸正方向、すなわち
図6及び
図7に示す放射素子の正面方向を示す。
図8に示す円グラフの円周方向において、0°は、Y軸正方向、すなわち
図6及び
図7に示す放射素子の上方向を示す。
図8に示す円グラフの円周方向において、180°(-180°)は、Y軸負方向、すなわち
図6及び
図7に示す放射素子の下方向を示す。
【0064】
図8のグラフにおいて実線で示す曲線(ゲインθ)は、
図6に示すアンテナ1のY軸方向の偏波面に対する指向性を示している。また、
図8のグラフにおいて破線で示す曲線(ゲインφ)は、
図6に示すアンテナ1のX軸方向の偏波面に対する指向性を示している。
図6及び
図7に示すアンテナ1の出力は、直線偏波である。
図6に示すように、ゲインθとゲインφとは直交の関係にある。
【0065】
図6及び
図7に示したアンテナ1によれば、
図8に示すように、ゲインθが主偏波となる。
図8に示すように、ゲインθの正面方向(90°)及び斜め下60°方向(150°)の利得をシミュレートした結果は、それぞれ次のようになった。
90°方向の利得:6.5dBi(
図8に示す点m2)
150°方向の利得:5.5dBi(
図8に示す点m4)
【0066】
第1実施形態に係るアンテナ1は、第1導体21と、第2導体22と、第1導体21及び第2導体22の周囲を部分的に囲む第3導体23とを備えることにより、下方向(Y軸負方向)の電流分布が強められる。その結果、第1実施形態に係るアンテナ1によれば、
図1及び
図2に示したアンテナ1’と比較して、斜め下方向の利得が向上させることができる。
図1及び
図2に示したアンテナ1’によれば、150°方向の利得は4.1dBiであった。第1実施形態に係るアンテナ1によれば、150°方向の利得は5.5dBiであった。したがって、第1実施形態に係るアンテナ1によれば、
図1及び
図2に示したアンテナ1’よりも+1.4dBiの改善効果が得られる。
【0067】
次に、
図6及び
図7に示したアンテナ1を複数アレイ化したアンテナ装置について説明する。
【0068】
図9は、
図6及び
図7に示したアンテナ1を複数アレイ化したアンテナ装置の構成を概略的に示す図である。
図9に示す各座標軸の方向などは、
図6と同様に定義されるものとしてよい。
【0069】
図9に示すように、第1実施形態に係るアンテナ装置100は、
図6及び
図7に示したアンテナ1を、上側に4素子アレイ状に配置して構成されてよい。また、第1実施形態に係るアンテナ装置100において、下側の4素子は、
図4に示したアンテナ装置100’と同様の構成としてよい。すなわち、第1実施形態に係るアンテナ装置100は、
図1及び
図2に示したアンテナ1’を、下側に4素子アレイ状に配置して構成されてよい。このように、第1実施形態に係るアンテナ装置100は、アンテナ1’及びアンテナ1を複数アレイ化して配置したアレイアンテナ(アンテナアレイ)としてよい。
【0070】
また、
図9に示すように、アンテナ装置100において、上側4素子のアンテナ1と、下側4素子のアンテナ1’とは、それぞれ給電点の位置が異なるように構成されてよい。
図9に示すように、アンテナ装置100の上側4素子のアンテナ1は、
図6に示したアンテナ1と同じ向きに配置される。すなわち、アンテナ装置100の上側4素子のアンテナ1において、給電部40は、第1導体20における中心よりも上側寄りに配置されている。一方、
図9に示すように、アンテナ装置100の下側4素子のアンテナ1’は、
図1に示したアンテナ1’を、Z軸を中心に反時計回りに90°回転させた向きに配置される。すなわち、アンテナ装置100の下側4素子のアンテナ1’において、給電部40’は、導体20’における中心よりも右側寄りに配置されている。このため、アンテナ装置100において、上側4素子のアンテナ1と、下側4素子のアンテナ1’とは、放射の偏波面が異なるようになる(直交する)。
【0071】
このように、第1実施形態に係るアンテナ装置100においては、基板10上に、第1実施形態に係るアンテナ1が複数配置されてよい。この場合、第1実施形態に係るアンテナ1は、基板10上に、アレイ状に複数配置されてもよい。また、基板10上に複数配置されるアンテナ1において、第3導体23が第1導体21及び第2導体22の周囲を囲まない部分は、ほぼ同じ向きに配置されてもよい。すなわち、基板10上に複数配置されるアンテナ1において、それぞれの第3導体23のパターンは同じ方向を向くように配置されてよい。
【0072】
次に、
図9に示したアンテナ装置100の特性、特にアンテナ装置100の垂直方向の指向性について説明する。以下、
図9に示したアンテナ1による動作をシミュレートした結果について説明する。
【0073】
図10は、
図9に示したアンテナ装置100による各偏波ごとの利得をプロットしたグラフを示す図である。
図10は、
図9に示したアンテナ装置100による偏波の利得と、YZ平面に平行な平面における角度との関係について示している。すなわち、
図10は、
図9に示したアンテナ装置100の水平方向0°における垂直方向の指向性を示す図である。
図10に示すグラフにおける各定義は、
図8と同様としてよい。
【0074】
図9及び
図10に示すように、上側4素子のアンテナ1は、ゲインθが主偏波(指向性は斜め下方向)となり、下側4素子のアンテナ1’は、ゲインφが主偏波(指向性は正面方向)となっている。また、
図10に示すように、上側4素子のアンテナ1は、各素子の入力が位相シフトされることにより、メインローブが斜め下方向に向いている(ゲインθ)。
図10に示すように、メインローブは、およそ133°の方向にピークを有している。
図10に示すように、アンテナ装置100の上側4素子のアンテナ1は、
図4に示したアンテナ装置100’と同様に、ゲインθが強くなる偏波面となっており、位相差を与えることでメインローブが下方向に向いている。
【0075】
図10に示すように、
図9に示したアンテナ装置100によれば、ゲインφの正面方向(90°)及びゲインθの斜め下方向(133°、150°)の利得をシミュレートした結果は、それぞれ次のようになった。
90°方向の利得:8.8dBi(
図5に示す点m5)
133°方向の利得:8.5dBi(
図5に示す点m9)
150°方向の利得:5.0dBi(
図5に示す点m4)
【0076】
第1実施形態に係るアンテナ装置100によれば、
図4に示したアンテナ装置100’と比較して、斜め下方向の利得が向上させることができる。
図4に示したアンテナ装置100’によれば、133°方向の利得は7.6dBiであった。第1実施形態に係るアンテナ装置100によれば、133°方向の利得は8.5dBiであった。したがって、第1実施形態に係るアンテナ装置100によれば、
図4に示したアンテナ装置100’よりも+0.9dBiの改善効果が得られる。また、
図4に示したアンテナ装置100’によれば、150°方向の利得は3.7dBiであった。第1実施形態に係るアンテナ装置100によれば、150°方向の利得は5.0dBiであった。したがって、第1実施形態に係るアンテナ装置100によれば、
図4に示したアンテナ装置100’よりも+1.3dBの改善効果が得られる。このように、第1実施形態に係るアンテナ装置100によれば、第1実施形態に係るアンテナ1をアレイ状に複数配置しても、斜め下方向の利得を改善することができる。
【0077】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るアンテナについて説明する。
【0078】
図11及び
図12は、第2実施形態に係るアンテナの構成を概略的に示す図である。
図11は、第2実施形態に係るアンテナの正面図である。
図12は、
図11に示した第2実施形態係るアンテナのC-C’線断面図である。
図11及び
図12に示す各座標軸の方向などは、
図1及び
図2と同様に定義されるものとしてよい。
【0079】
以下、上述した第1実施形態に係るアンテナ1とは異なる点について重点的に説明し、上述した第1実施形態に係るアンテナ1と同じ又は同様となる説明は、適宜、簡略化又は省略する。
【0080】
図11及び/又は
図12に示すように、第2実施形態に係るアンテナ2は、基板10と、第1導体21と、第2導体22と、第3導体23と、接地導体30と、給電部40と、を備えてよい。第2実施形態に係るアンテナ2において、基板10、第1導体21、第2導体22、第3導体23、接地導体30、及び給電部40は、上述した第1実施形態に係るアンテナ1と同様に構成してよい。
【0081】
図11に示すように、第2実施形態に係るアンテナ2は、基板10の第1面側に、第4導体24を備えてよい。第4導体24は、アンテナ素子(放射素子)として機能するものとしてよい。第4導体24は、例えば銅などの金属材料で構成してよい。また、第4導体24は、基板10の第1面に、例えば印刷配線などによって形成されてよい。
【0082】
図11に示すように、第4導体24は、第2導体22の周囲を部分的に囲むように形成されてよい。第4導体24は、
図11に示すように、第2導体22からわずかに離間して配置されてよい。第4導体24は、横方向に延在する細長形状の導体として形成されてよい。第4導体24は、
図11に示すように、第2導体22を形成する4辺のうち1辺(横方向の下側の1辺)に沿うように配置されてもよい。
図6に示すように、第4導体24は、第1導体21及び第2導体22の周囲において、第3導体23によって囲まれていない部分に配置されてよい。第4導体24のサイズは特に限定されないが、一例として、X軸方向の長さを1mm程度としてよい。
【0083】
このように、第2実施形態に係るアンテナ2は、基板10の第1面に形成される第4導体24を備えてもよい。第2実施形態に係るアンテナ2において、第4導体24は、第1導体21及び第2導体22の周囲において第3導体23によって囲まれていない箇所に配置されてもよい。また、第4導体24は、第2導体22を形成する4辺のうち、第1導体21が並べて配置される側の1辺及び第3導体23が沿うように配置される1組の対辺を除く残りの1辺に沿うように配置されてもよい。
【0084】
図11及び
図12に示すように、アンテナ2において、第4導体24は、接地導体30と、スルーホール42、44、及び46を介して接続されてよい。
図11において、スルーホール42、44、及び46は、破線によって示してある。スルーホール42、44、及び46は、例えば銅などの金属材料で構成される給電点などを含んでもよい。スルーホール42、44、及び46は、例えば基板10にビア及び/又はスルーホールなどが穿設される箇所に形成されてよい。第4導体24には、第2導体22との結合により、電力が供給されるものとしてよい。これにより、第4導体24は、アンテナ素子(放射素子)として機能するものとしてよい。
【0085】
このように、第2実施形態に係るアンテナ2において、基板10の第1面に形成される第4導体24は、スルーホール42、44、及び46の少なくともいずれかを介して、接地導体30と導通していてもよい。
【0086】
図12に示すように、第1導体21及び第2導体22と、接地導体30との間には、中間導体52が配置されてよい。中間導体52は、アンテナ素子(放射素子)として機能するものとしてよい。中間導体52は、第1導体21、第2導体22、及び第3導体23の少なくともいずれかを電磁気的に結合する機能を有してよい。中間導体52は、例えば銅などの金属材料で構成してよい。
図12に示すように、中間導体52は、基板10の内部に形成されてよい。
図11において、中間導体52は、破線によって示してある。
図12に示すように、中間導体52は、第1導体21及び第2導体22と、接地導体30との間に配置されてよい。また、
図11に示すように、中間導体52は、基板10が平面透視される場合に、Y軸方向において第1導体21に部分的な重なりを有する位置に配置されてもよい。さらに、
図11に示すように、中間導体52は、基板10が平面透視される場合に、Y軸方向において第2導体22に部分的な重なりを有する位置に配置されてもよい。
【0087】
また、
図11に示すように、中間導体52は、第1導体21及び第2導体22が並べて配置される方向(Y軸方向)に垂直な方向(X軸方向)において、第1導体21及び第2導体22とほぼ同じサイズに形成されてもよい。このように、中間導体52は、第1導体21及び第2導体22が並べて配置される方向に垂直な方向において、第1導体21及び第2導体22の少なくとも一方とほぼ同じサイズに形成されてもよい。
【0088】
次に、
図11及び
図12に示したアンテナ2の特性、特にアンテナ2の垂直方向の指向性について説明する。以下、
図11及び
図12に示したアンテナ2による動作をシミュレートした結果について説明する。
【0089】
図13は、
図11及び
図12に示したアンテナ2の放射素子による各偏波ごとの利得をプロットしたグラフを示す図である。
図13は、
図11及び
図12に示したアンテナ2による偏波の利得と、YZ平面に平行な平面における角度との関係について示している。すなわち、
図13は、
図11及び
図12に示したアンテナ2の水平方向0°における垂直方向の指向性を示す図である。
図13に示すグラフの見方は、
図8に示したグラフの見方と同様としてよい。
【0090】
図11及び
図12に示したアンテナ2によれば、
図13に示すように、ゲインθが主偏波となる。
図13に示すように、ゲインθの正面方向(90°)及び斜め下60°方向(150°)の利得をシミュレートした結果は、それぞれ次のようになった。
90°方向の利得:6.3dBi(
図13に示す点m2)
150°方向の利得:6.0dBi(
図13に示す点m4)
【0091】
第2実施形態に係るアンテナ2は、第1導体21と、第2導体22と、第1導体21及び第2導体22の周囲を部分的に囲む第3導体23と、さらに第4導体24とを備えることにより、下方向(Y軸負方向)の電流分布が強められる。その結果、第2実施形態に係るアンテナ2によれば、
図1及び
図2に示したアンテナ1’と比較して、斜め下方向の利得が向上させることができる。
図1及び
図2に示したアンテナ1’によれば、150°方向の利得は4.1dBiであった。第2実施形態に係るアンテナ2によれば、150°方向の利得は6.0dBiであった。したがって、第2実施形態に係るアンテナ2によれば、
図1及び
図2に示したアンテナ1’よりも+1.9dBiの改善効果が得られる。
【0092】
次に、
図11及び
図12に示したアンテナ2を複数アレイ化したアンテナ装置について説明する。
【0093】
図14は、
図11及び
図12に示したアンテナ2を複数アレイ化したアンテナ装置の構成を概略的に示す図である。
図14に示す各座標軸の方向などは、
図6と同様に定義されるものとしてよい。
【0094】
図14に示すように、第2実施形態に係るアンテナ装置200は、
図11及び
図12に示したアンテナ2を、上側に4素子アレイ状に配置して構成されてよい。また、第2実施形態に係るアンテナ装置200において、下側の4素子は、
図4に示したアンテナ装置100’と同様の構成としてよい。すなわち、第2実施形態に係るアンテナ装置200は、
図1及び
図2に示したアンテナ1’を、下側に4素子アレイ状に配置して構成されてよい。このように、第2実施形態に係るアンテナ装置200は、アンテナ1’及びアンテナ2を複数アレイ化して配置したアレイアンテナ(アンテナアレイ)としてよい。
【0095】
また、
図14に示すように、アンテナ装置200において、上側4素子のアンテナ2と、下側4素子のアンテナ1’とは、それぞれ給電点の位置が異なるように構成されてよい。
図14に示すように、アンテナ装置200の上側4素子のアンテナ2は、
図11に示したアンテナ2と同じ向きに配置される。すなわち、アンテナ装置200の上側4素子のアンテナ2において、給電部40は、第1導体20における中心よりも上側寄りに配置されている。一方、
図14に示すように、アンテナ装置200の下側4素子のアンテナ1’は、
図1に示したアンテナ1’を、Z軸を中心に反時計回りに90°回転させた向きに配置される。すなわち、アンテナ装置200の下側4素子のアンテナ1’において、給電部40’は、導体20’における中心よりも右側寄りに配置されている。このため、アンテナ装置200において、上側4素子のアンテナ2と、下側4素子のアンテナ1’とは、放射の偏波面が異なるようになる(直交する)。
【0096】
このように、第2実施形態に係るアンテナ装置200においては、基板10上に、第2実施形態に係るアンテナ2が複数配置されてよい。この場合、第2実施形態に係るアンテナ2は、基板10上に、アレイ状に複数配置されてもよい。また、基板10上に複数配置されるアンテナ2において、第3導体23が第1導体21及び第2導体22の周囲を囲まない部分は、ほぼ同じ向きに配置されてもよい。すなわち、基板10上に複数配置されるアンテナ2において、それぞれの第3導体23のパターンは同じ方向を向くように配置されてよい。また、基板10上に複数配置されるアンテナ2において、それぞれの第4導体24のパターンも、同じ方向を向くように配置されてよい。
【0097】
次に、
図14に示したアンテナ装置200の特性、特にアンテナ装置200の垂直方向の指向性について説明する。以下、
図14に示したアンテナ2による動作をシミュレートした結果について説明する。
【0098】
図15は、
図14に示したアンテナ装置200による各偏波ごとの利得をプロットしたグラフを示す図である。
図15は、
図14に示したアンテナ装置200による偏波の利得と、YZ平面に平行な平面における角度との関係について示している。すなわち、
図15は、
図14に示したアンテナ装置200の水平方向0°における垂直方向の指向性を示す図である。
図15に示すグラフにおける各定義は、
図8と同様としてよい。
【0099】
図14及び
図15に示すように、上側4素子のアンテナ2は、ゲインθが主偏波(指向性は斜め下方向)となり、下側4素子のアンテナ1’は、ゲインφが主偏波(指向性は正面方向)となっている。また、
図15に示すように、上側4素子のアンテナ1は、各素子の入力が位相シフトされることにより、メインローブが斜め下方向に向いている(ゲインθ)。
図15に示すように、メインローブは、およそ133°の方向にピークを有している。
図15に示すように、アンテナ装置200の上側4素子のアンテナ2は、
図4に示したアンテナ装置100’と同様に、ゲインθが強くなる偏波面となっており、位相差を与えることでメインローブが下方向に向いている。
【0100】
図15に示すように、
図14に示したアンテナ装置200によれば、ゲインφの正面方向(90°)及びゲインθの斜め下方向(133°、150°)の利得をシミュレートした結果は、それぞれ次のようになった。
90°方向の利得:8.8dBi(
図5に示す点m5)
133°方向の利得:8.5dBi(
図5に示す点m9)
150°方向の利得:5.1dBi(
図5に示す点m4)
【0101】
第2実施形態に係るアンテナ装置200によれば、
図4に示したアンテナ装置100’と比較して、斜め下方向の利得が向上させることができる。
図4に示したアンテナ装置100’によれば、133°方向の利得は7.6dBiであった。第2実施形態に係るアンテナ装置200によれば、133°方向の利得は8.5dBiであった。したがって、第2実施形態に係るアンテナ装置200によれば、
図4に示したアンテナ装置100’よりも+0.9dBiの改善効果が得られる。また、
図4に示したアンテナ装置100’によれば、150°方向の利得は3.7dBiであった。第2実施形態に係るアンテナ装置200によれば、150°方向の利得は5.1dBiであった。したがって、第2実施形態に係るアンテナ装置200によれば、
図4に示したアンテナ装置100’よりも+1.4dBの改善効果が得られる。このように、第2実施形態に係るアンテナ装置200によれば、第2実施形態に係るアンテナ2をアレイ状に複数配置しても、斜め下方向の利得を改善することができる。
【0102】
以上説明したように、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、例えばRFスイッチのような機能部を用いることなく、受信アンテナの指向性を、例えば正面方向及び斜め下方向に向けることができる。したがって、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、例えばミリ波レーダのような物体検出技術において、利便性を高めることができる。
【0103】
以上のような構成によって、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置は、例えば下方向(斜め下方向)に指向性を有することにより、送信波が下方向の物体に反射した反射波を受信することができる。また、以上のような構成によって、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置は、例えば正面方向(前方向)に指向性を有することにより、送信波が正面方向の物体に反射した反射波を受信することができる。
【0104】
一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、例えば、路側機若しくは信号機又はこれらの付近に設置されて道路を走行する自動車及び歩行者などを検出する装置としてのユースケースに対応することができる。すなわち、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、当該機器の下方における比較的近い距離の自動車などを検出する機能が実現される。また、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、当該機器の水平方向に近い方向における当該機器から比較的遠く離れた位置の自動車などを検出する機能も実現される。
【0105】
このように、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、指向性の方向を変更することができる。したがって、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置は、送信波又は受信波のビームの方向とともに、指向性の広狭を切り替え可能にすることにより、特定の使用態様において利便性を高めることができる。
【0106】
以上説明したように、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、RFスイッチなどを使用することなく、受信アンテナの指向性を、正面方向及び斜め下方向に向けることができる。また、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、正面方向及び斜め下方向に受信アンテナの指向性を向ける際に、一方をビーム幅の狭い高利得な受信アンテナとして、他方をビーム幅の広い低利得な受信アンテナとして、異なる特性を使い分けることができる。一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置によれば、例えば正面方向及び斜め下方向のように、2つの方向でアンテナの偏波を変化させることにより、異なる向きの指向性を合成した際の素子間の干渉は抑制される。これにより、一実施形態に係るアンテナ及びアンテナ装置は、設計の自由度及び設計の容易性を向上させることができる。
【0107】
特に、一実施形態に係るアンテナ装置によれば、給電回路を、正面方向のアンテナ素子の部分と下方向のアンテナ素子の部分とで2分岐させることで、個別のアレイアンテナとして取り扱うことができる。したがって、一実施形態に係るアンテナ装置によれば、指向性の設計が容易となる。また、一実施形態に係るアンテナ装置によれば、正面方向及び斜め下方向への給電電力の分配も容易であり、利得の設計も容易となる。一実施形態に係るアンテナ装置によれば、2分岐されたアンテナの位置として、正面方向に指向性を有するアンテナを地面に対して下側に配置し、斜め下方向に指向性を有するアンテナを地面に対して上側に配置することができる。このような構成により、一実施形態に係るアンテナ装置によれば、レドームを含めたときの素子間の干渉が抑制され、設計を容易化することができる。以上のように、一実施形態に係るアンテナ装置によれば、アンテナ指向性の設計性を向上させることができる。
【0108】
一実施形態に係るアンテナによれば、アンテナ素子単体において、斜め下方向の指向性を強くすることができる。この効果により、一実施形態に係るアンテナによってアレイアンテナ(アンテナ装置)を構成した場合にも、下方向の利得を向上させることができる。
【0109】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。つまり、本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことができる。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0110】
また、上述した実施形態は、送信アンテナを備える送信装置、及び、受信アンテナを備える受信装置を含む送受信システムとして実施してもよい。この場合、送信装置は、第1方向に指向性を有する電波を第1偏波で送信する第1送信アンテナと、第1方向とは異なる第2方向に指向性を有する電波を第2偏波で送信する第2送信アンテナと、を備えてよい。受信装置は、第1方向に指向性を有する第1受信アンテナと、第2方向に指向性を有する第2受信アンテナと、を備えてよい。第1受信アンテナは、第1受信アンテナによって受信される電波が第1偏波方向に偏波している際に受信の利得が最大になるものとしてよい。第2受信アンテナは、第2受信アンテナによって受信される電波が第2偏波方向に偏波している際に受信の利得が最大になるものとしてよい。
【0111】
また、上述した実施形態は、アンテナ及びアンテナ装置としての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、一実施形態に係るアンテナ又はアンテナ装置を含む電子機器又は送受信システムとして実施してもよい。また、上述した実施形態は、電子機器又は送受信システムとしての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、一実施形態に係るアンテナ又はアンテナ装置を含む電子機器又は送受信システムのような機器の制御方法として実施してもよい。さらに、例えば、上述した実施形態は、一実施形態に係るアンテナ又はアンテナ装置を含む電子機器又は送受信システムのような機器の制御プログラムとして実施してもよい。さらに、上述した実施形態は、一実施形態に係るアンテナ又はアンテナ装置を含む電子機器又は送受信システムのような機器において実行されるプログラムを記録した記録媒体又は記憶媒体、すなわちコンピュータ読み取り可能な記録媒体又は記憶媒体として実施してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1,2 アンテナ
10 基板
21 第1導体
22 第2導体
23 第3導体
24 第4導体
30 接地導体
40 給電部
42,44,46 スルーホール
51,52 中間導体
100,200 アンテナ装置