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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139620
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】食材保管庫および食材保管システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
F25D23/00 301L
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050652
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峯澤 聡司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和貴
(72)【発明者】
【氏名】兼松 寛子
(72)【発明者】
【氏名】原田 穂乃香
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA21
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD58
3L345EE03
3L345EE32
3L345EE48
3L345EE53
3L345EE55
3L345HH23
3L345JJ05
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】存在が忘れられている恐れのある食材があることを利用者に知らせることができる食材保管庫および食材保管システムを提供する。
【解決手段】食材保管庫は、保管室を有した筐体と、食材を照らすよう発光する発光手段と、発光手段が発光しているときの照度を検出する検出手段と、制御手段と、を備え、制御手段は、検出手段が検出した照度が第1閾値より大きい場合、検出手段の検出範囲に食材が存在すると判定し、検出手段が検出した照度が第1閾値以下の場合、検出範囲に食材が存在しないと判定する判定部と、食材が存在すると判定されたときに当該食材が存在する期間の計測を開始または継続し、検出範囲に食材が存在しないと判定されたときに当該食材が存在する期間をゼロにする管理部と、食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、利用者に対して当該食材が長く置かれている旨を通知する通知部と、を有した。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管室を有した筐体と、
前記保管室の内側に設けられ、食材を照らすよう発光する発光手段と、
前記保管室の内側に設けられ、前記発光手段が発光しているときの照度を検出する検出手段と、
前記発光手段と前記検出手段とを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段が検出した照度が第1閾値より大きい場合、前記検出手段の検出範囲に食材が存在すると判定し、前記検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記検出範囲に食材が存在しないと判定する判定部と、
前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに当該食材が存在する期間の計測を開始または継続し、前記検出範囲に食材が存在しないと判定されたときに当該食材が存在する期間をゼロにする管理部と、
食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、利用者に対して当該食材が長く置かれている旨を通知する通知部と、
を有した食材保管庫。
【請求項2】
前記発光手段は、前記検出手段と隣り合う位置に配置され、前記検出範囲の方向を照らすように発光し、
前記検出手段は、前記発光手段が食材を照らすことによって当該食材から反射する反射光を受光して検出する請求項1に記載の食材保管庫。
【請求項3】
前記発光手段からの直接光が前記検出手段に届かないように前記発光手段と前記検出手段との間に設けられた遮光部を有する遮光部材、
を更に備えた請求項2に記載の食材保管庫。
【請求項4】
前記発光手段と前記検出手段と前記遮光部材とを覆うカバー体、
を更に備え、
前記発光手段からの光は、前記カバー体を通過すると前記発光手段とは反対側に拡散する請求項3に記載の食材保管庫。
【請求項5】
前記保管室には、食材を出し入れ可能な開口部分と、前記開口部分とは反対側の奥壁と、前記開口部分を塞ぐドアと、が形成され、
前記発光手段は、前記奥壁に設けられ、前記ドアが閉じているときに発光する第1発光手段である請求項2に記載の食材保管庫。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記検出手段が検出した照度の大きさに基づいて、前記検出手段と前記検出範囲に存在する食材との推定距離を演算する距離推定部、
を更に有し、
前記管理部は、前記判定部の判定結果と前記距離推定部の演算結果とに基づいて食材が存在する期間を管理する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食材保管庫。
【請求項7】
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに前記距離推定部に演算された当該食材との今回の推定距離が前回の推定距離に一致しない場合、当該食材が存在する期間をゼロにして計測を継続する請求項6に記載の食材保管庫。
【請求項8】
発光したときに前記検出範囲を通って前記検出手段に直接光を入光することが可能な範囲に設けられた第2発光手段、
を更に備え、
前記保管室には、食材を出し入れ可能な開口部分と、前記開口部分とは反対側の奥壁と、前記開口部分を塞ぐドアと、前記開口部分と前記奥壁とを繋ぐ側壁と、が形成され、
前記発光手段は、前記奥壁に設けられ、前記ドアが閉じているときに発光する第1発光手段であり、
前記第2発光手段は、前記側壁に設けられ、前記ドアが開いているときに発光し、
前記検出手段は、前記第1発光手段が発光しているときの照度と前記第2発光手段が発光しているときの照度とを検出し、
前記管理部は、前記判定部の判定結果と前記距離推定部の演算結果と前記第2発光手段が発光しているときの照度とに基づいて、食材が存在する期間を管理する請求項6に記載の食材保管庫。
【請求項9】
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに前記距離推定部に演算された当該食材との今回の推定距離が前回の推定距離に一致しない場合であって、前記今回の推定距離が演算される直前に前記ドアが開いているときに検出された照度の変化量が第2閾値よりも小さい場合、当該食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する請求項8に記載の食材保管庫。
【請求項10】
前記保管室の内側において前記発光手段と隣り合う位置に設けられ、発光する隣接発光手段と、
前記保管室の内側において前記隣接発光手段および前記検出手段と隣り合う位置に設けられ、前記隣接発光手段が発光しているときの照度を検出する隣接検出手段と、
を更に備え、
前記管理部は、前記判定部の判定結果と前記距離推定部の演算結果と前記隣接検出手段が検出した照度とに基づいて、前記検出範囲に食材が存在する期間を管理する請求項6に記載の食材保管庫。
【請求項11】
前記判定部は、前記隣接検出手段が検出した照度が前記第1閾値より大きい場合、前記隣接検出手段の隣接検出範囲に隣接食材が存在すると判定し、前記隣接検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記隣接検出範囲に隣接食材が存在しないと判定し、
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに前記距離推定部に演算された当該食材との今回の推定距離が前回の推定距離に一致しない場合であって、前記隣接検出範囲に前記隣接食材が存在するか否かに関する前記判定部の今回の判定結果が前回の判定結果と異なる場合に、前記検出範囲に当該食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する請求項10に記載の食材保管庫。
【請求項12】
前記検出手段と前記検出範囲との間に設けられ、絞り穴の面積を変更することで前記絞り穴から前記検出手段に入光する光の面積を変更する絞り体、
を更に備え、
前記制御手段は、
前記発光手段が発光している間に前記絞り穴の面積が異なる複数の値をとるように前記絞り体を制御する絞り制御部と、
前記絞り穴の面積と前記検出手段で検出された照度との関係に基づいて、前記検出範囲に存在する食材の形状を推定する形状推定部と、
を更に有した請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食材保管庫。
【請求項13】
前記絞り調整部は、前記発光手段が発光している間に前記絞り穴の面積を第1面積と、前記第1面積より大きい第2面積と、に変化させ、
前記形状推定部は、前記絞り穴が前記第1面積であるときに検出された照度と前記絞り穴が前記第2面積であるときに検出された照度との差が、規定の形状閾値よりも小さい場合に、前記検出範囲に存在する食材の形状が丸みを帯びた形状であると推定する請求項12に記載の食材保管庫。
【請求項14】
前記発光手段は、発光する光の波長を変更可能であり、
前記制御手段は、
前記発光手段が発光した光の波長と前記検出手段が検出した照度とが波長ごとに関連付けられた特徴量に基づいて、前記検出範囲に存在する食材の種類を推定する種類推定部、
を更に有した請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食材保管庫。
【請求項15】
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定され、かつ、前記種類推定部が今回の検出で推定した食材の種類が前回の検出で推定した食材の種類と異なる場合、当該食材が存在する期間をゼロにする請求項14に記載の食材保管庫。
【請求項16】
前記保管室には、食材を出し入れ可能な開口部分と、前記開口部分とは反対側の奥壁と、前記開口部分を塞ぐドアと、前記開口部分と前記奥壁とを繋ぐ側壁と、が形成され、
前記奥壁および前記側壁は、表面の光の吸収率が規定の吸収閾値よりも大きくなるように形成された請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食材保管庫。
【請求項17】
空気を冷却して冷風を生成し、前記保管室の内部に冷風を送り込む冷却手段、
を更に備え、
前記検出範囲に食材が存在する期間が規定の冷却期限を超えた場合、前記冷却手段は、前記検出範囲に送り込む冷風の風量を増加させる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の食材保管庫。
【請求項18】
保管室を有した筐体と、
前記保管室の内側に設けられ、食材を照らすよう発光する発光手段と、
前記保管室の内側に設けられ、前記発光手段が発光しているときの照度を検出する検出手段と、
前記発光手段と前記検出手段とを制御する制御手段と、
利用者に所持され、情報を表示する通知手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段が検出した照度が第1閾値より大きい場合、前記検出手段の検出範囲に食材が存在すると判定し、前記検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記検出範囲に食材が存在しないと判定する判定部と、
前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに当該食材が存在する期間の計測を開始または継続し、前記検出範囲に食材が存在しないと判定されたときに当該食材が存在する期間をゼロにする管理部と、
食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、前記通知手段に当該食材が長く置かれている旨を表示させる通知部と、
を有した食材保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食材保管庫および食材保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、食材保管庫である冷蔵庫を開示する。当該冷蔵庫によれば、照度を検出することで、食材の収納量を推定する。冷蔵庫は、食材の収納量に応じて、電気機能部品の出力動作を制御し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-108738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような冷蔵庫では、収納量が増えてくると、見えにくい位置に食材が置かれることがある。このため、食材の中には利用者によって存在を忘れられるものが発生する恐れがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、存在が忘れられている恐れのある食材があることを利用者に知らせることができる食材保管庫および食材保管システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る食材保管庫は、保管室を有した筐体と、前記保管室の内側に設けられ、食材を照らすよう発光する発光手段と、前記保管室の内側に設けられ、前記発光手段が発光しているときの照度を検出する検出手段と、前記発光手段と前記検出手段とを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記検出手段が検出した照度が第1閾値より大きい場合、前記検出手段の検出範囲に食材が存在すると判定し、前記検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記検出範囲に食材が存在しないと判定する判定部と、前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに当該食材が存在する期間の計測を開始または継続し、前記検出範囲に食材が存在しないと判定されたときに当該食材が存在する期間をゼロにする管理部と、食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、利用者に対して当該食材が長く置かれている旨を通知する通知部と、を有した。
【0007】
本開示に係る食材保管システムは、保管室を有した筐体と、前記保管室の内側に設けられ、食材を照らすよう発光する発光手段と、前記保管室の内側に設けられ、前記発光手段が発光しているときの照度を検出する検出手段と、前記発光手段と前記検出手段とを制御する制御手段と、利用者に所持され、情報を表示する通知手段と、を備え、前記制御手段は、前記検出手段が検出した照度が第1閾値より大きい場合、前記検出手段の検出範囲に食材が存在すると判定し、前記検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記検出範囲に食材が存在しないと判定する判定部と、前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに当該食材が存在する期間の計測を開始または継続し、前記検出範囲に食材が存在しないと判定されたときに当該食材が存在する期間をゼロにする管理部と、食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、前記通知手段に当該食材が長く置かれている旨を表示させる通知部と、を有した。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、存在が忘れられている恐れのある食材があることを利用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における食材保管庫の断面図である。
図2】実施の形態1における食材保管庫の要部の断面図である。
図3】実施の形態1における食材保管庫の検出器を正面側から見た分解斜視図である。
図4】実施の形態1における食材保管庫の検出器を裏側から見た分解斜視図である。
図5】実施の形態1における食材保管庫の制御系統の構成の概要を示すブロック図である。
図6】実施の形態1における食材保管庫の制御系統の機能に着目した機能ブロック図である。
図7】実施の形態1における食材保管庫の要部の第1例における断面図である。
図8】実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第1例で取得したタイムチャートである。
図9】実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第1例で取得したタイムチャートである。
図10】実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第1例の動作を示すフローチャートである。
図11】実施の形態1における食材保管庫の要部の第2例における断面図である。
図12】実施の形態1における食材保管庫の要部の第2例における断面図である。
図13】実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第2例で取得したタイムチャートである。
図14】実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第2例で取得したタイムチャートである。
図15】実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第2例の動作を示すフローチャートである。
図16】実施の形態1における食材保管庫の要部の第3例における断面図である。
図17】実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第3例における発光手段の発光制御を示すフローチャートである。
図18】実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第3例で取得したタイムチャートである。
図19】実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第3例で取得したタイムチャートである。
図20】実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第3例の動作を示すフローチャートである。
図21】実施の形態1における食材保管庫の要部の第4例における正面図である。
図22】実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第4例の動作を示すフローチャートである。
図23】実施の形態1における食材保管庫の変形例の機能ブロック図である。
図24】実施の形態2における食材保管庫の機能ブロック図である。
図25】実施の形態2における食材保管庫の絞り穴の面積と食材の形状との関係を示す概要図である。
図26】実施の形態2における食材保管庫の絞り穴の面積と食材の形状との関係を示す概要図である。
図27】実施の形態2における食材保管庫の絞り穴の面積と食材の形状との関係を示す概要図である。
図28】実施の形態3における食材保管庫の機能ブロック図である。
図29】実施の形態3における食材保管庫の奥ライトの波長が変更される動作の概要のフローチャートである。
図30】実施の形態3における食材保管庫に記憶された特徴情報の例を示す図である。
図31】実施の形態3における食材保管庫の制御手段の動作例を示すフローチャートである。
図32】実施の形態1から3における食材保管システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における食材保管庫の断面図である。図2は実施の形態1における食材保管庫の要部の断面図である。
【0012】
食材保管庫1は、内部に食材を保管するための機器である。一例として、本実施の形態では、食材保管庫1が冷蔵庫である場合を説明する。ただし、食材保管庫の構成は、内部に食材を保管することができれば、本開示によって示されるものに限定されるものではない。冷蔵庫は、内部の食材を冷却しながら保管するための機器である。本開示では、原則として、冷蔵庫が使用可能な状態に設置されたときを基準として、各方向が定義される。
【0013】
図1および図2に示されるように、本例における食材保管庫1は、筐体1aとドア1bとを備える。筐体1aは、断熱箱体からなる。断熱箱体は、外箱、内箱及び断熱材によって構成される。例えば、外箱は、鋼鉄製、ガラス製、木製、等である。例えば、内箱は、樹脂製である。内箱は、外箱の内側に配置される。例えば、断熱材は、発泡ウレタン、真空断熱材等の熱伝導率が低い部材である。断熱材は、外箱と内箱との間の空間に充填される。
【0014】
筐体1aの内部は、内壁によって複数の保管室C1、C2、C3、C4に区分けされる。最上部に存在する保管室C1は、4つの側壁C1a、C1b、C1c、C1d(図示せず)と、開口部C1eと、開口部C1eとは反対側の奥壁C1fと、に囲まれる。即ち、開口部C1eと奥壁C1fとの間が、側壁C1a、C1b、C1c、C1dによって繋がれる。開口部C1eが食材保管庫1の正面である。開口部C1eから奥壁C1fへの方向が奥行方向である。
【0015】
側壁C1a、C1b、C1c、C1dおよび奥壁C1fの内側を向く面は、光の吸収率が規定の吸収閾値を上回るように形成される。例えば、当該面は、黒等の光を吸収しやすい色であってもよい。例えば、当該面は、細かいエッジまたは凹凸が形成されてもよい。この場合、各エッジまたは凹凸の間で光の反射が繰り返され、光が当該面に吸収されやすくなる。
【0016】
ドア1bは、開口部C1eを塞ぐ。例えば、ドア1bは、両開き式であり、開口部C1eにおいて開閉する。ドア1bが閉じた状態において、保管室C1は、4つの側壁C1a、C1b、C1c、C1dと奥壁C1fとドア1bによって密閉される。図1には図示されないが、ドア1bには、開閉を検知する開閉検知手段が設けられる。開閉検知手段は、ホール素子、リードスイッチ、等の任意の機器によって実現される。
【0017】
保管室C1の内部には、複数の棚板が設けられている。保管室C1の内部は、これらの棚板によって、上下方向に複数の空間に仕切られている。また、保管室C1の内部には、小物入れも備えられている。これらの棚板及び小物入れ等により、利用者は、保管室C1内に収納する食材等を整理することができる。
【0018】
保管室C2、C3、C4は、それぞれ保管室C1とほぼ同様の壁およびドアによって形成される。複数の保管室C1、C2、C3、C4は、保存される食材に応じて、それぞれが異なる温度に調整される。なお、冷蔵庫に備えられた保管室の数、保管室の配置、保管室を開閉するためのドアの構成等は、本例に限定されるものではない。
【0019】
食材保管庫1は、各保管室C1、C2、C3、C4へ供給する空気を冷却するための冷却機構として、圧縮機2、冷却器3、送風ファン4、風路5、風向変更器6等を備える。圧縮機2および冷却器3は、図示が省略されている凝縮器および絞り装置等とともに、冷凍サイクル回路を構成する。圧縮機2は、冷凍サイクル回路内の冷媒を、圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって、各保管室C1、C2、C3、C4へ供給する空気を冷却する。例えば、圧縮機2は、食材保管庫1の背面側の下部に配置される。
【0020】
風路5は、冷凍サイクル回路によって冷却された空気を各保管室C1、C2、C3、C4へ供給するためのものである。風路5は、筐体1aの内部に形成される。風路5は、例えば、食材保管庫1の背面側に配置される。冷凍サイクル回路を構成する冷却器3は、この風路5内に設置される。また、風路5内には、冷却器3で冷却された空気を各保管室C1、C2、C3、C4へ送るための送風ファン4も設置されている。
【0021】
送風ファン4が動作すると、冷却器3で冷却された空気、すなわち冷気が、風路5を通って、各保管室C1、C2、C3、C4へ送られる。これにより、各保管室C1、C2、C3、C4内が冷却される。
【0022】
また、図示が省略されるが、風路5からそれぞれの保管室C1、C2、C3、C4へと通じる中途の箇所には、ダンパが設けられる。各ダンパの開閉状態が変化することで、各保管室C1、C2、C3、C4へと供給される冷気の風量が調節される。保管室C1、C2、C3、C4へと供給される冷気の風量は、送風ファン4の運転が制御されることによっても調節される。更に、風向変更器6によって、保管室C1の上部から供給される冷気の左右方向の風向が変更される。例えば、風向変更器6によって、後述する検出範囲Eの位置に集中的に冷風が送られる。左右方向は、食材保管庫1を正面から見たときの水平方向であり、紙面手前側が右方向、紙面奥側が左方向である。また、各保管室C1、C2、C3、C4へと供給される空気の温度は、圧縮機2の運転が制御されることで調節される。
【0023】
各保管室C1、C2、C3、C4には、内部の温度を検出するサーミスタが設置される。このサーミスタは、図1において図示が省略される。ダンパ、風向変更器6、送風ファン4および圧縮機2は、サーミスタの検出結果に基づいて制御される。ダンパ、送風ファン4および圧縮機2は、各保管室C1、C2、C3、C4内の温度が予め設定された設定温度になるように制御される。本実施の形態において、以上のように設けられた圧縮機2と冷却器3とを含む冷凍サイクル回路、送風ファン4、風路5、ダンパおよび風向変更器6は、保管室C1、C2、C3、C4の内部を冷却する冷却手段の一例である。また、冷却手段の中でも、送風ファン4、ダンパ、および風向変更器6は、検出範囲Eに送り込まれる冷風の風量を変更する変更手段の一例である。
【0024】
食材保管庫1は、前面パネル7を備える。前面パネル7は、ドア1bの正面の側に設けられる。前面パネル7は、情報を表示する画面と情報の入力を受け付ける操作盤とを有する。
【0025】
更に、食材保管庫1は、食材を保管する期間を管理するための構成として、複数の検出器8と天井ライト9とを有する。なお、図1には、1つの検出器8が示される。
【0026】
複数の検出器8は、奥壁C1fに設けられる。特に、複数の検出器8は、保管室C1の最上部の棚に相当する高さに設けられる。これは、最上部の棚の奥側に食材が放置されやすい傾向があるためである。複数の検出器8は、左右方向に並ぶ。複数の検出器8の各々は、同様の構成を備えればよい。検出器8は、破線で示される検出範囲Eを有する。例えば、検出範囲Eは、検出器8から15cmから20cm以内の領域である。なお、検出範囲Eは、食材保管庫1の状況に応じて任意の値が設定されてもよい。検出器8は、検出範囲Eに向けて棚板と水平な光を発することが可能である。検出器8は、発した光が食材に当たったときの反射光の照度を検出可能である。
【0027】
天井ライト9は、4つの側壁C1a、C1b、C1c、C1dのうちのいずれかに設けられる。本例では、天井ライト9は、保管室C1の天井に相当する側壁C1aに設けられる。天井ライト9は、発光手段および第2発光手段として、発光する。例えば、天井ライト9は、ドア1bが開いているときに発光する。天井ライト9は、保管室C1の内部に物が無い場合に、検出器8に直接光が入光する位置に設けられる。なお、検出器8が最上部でない棚に相当する高さに設けられている場合でも、天井ライト9からの光が各棚板を透過して検出器8に入光する。即ち、保管室C1に物が無い場合に、天井ライト9と検出器8の照度を検出するセンサとを結んだ直線上に棚板を除いて光を遮る物体が存在しない。
【0028】
食材保管庫1は、全体を制御する制御装置20を備える。例えば、制御装置20は、食材保管庫1の背面側の上部に設けられる。制御装置20には、食材保管庫1の動作を制御するためおよび食材を保管する期間を管理するための処理回路等が備えられる。制御装置20の各機能は、この処理回路によって実現される。制御装置20は、食材保管庫1の制御手段の一例である。
【0029】
次に、図3および図4を用いて、検出器8を説明する。
図3は実施の形態1における食材保管庫の検出器を正面側から見た分解斜視図である。図4は実施の形態1における食材保管庫の検出器を裏側から見た分解斜視図である。なお、奥壁C1fおよび制御装置20の図示は省略される。
【0030】
検出器8は、基板11と奥ライト12と照度センサ13と遮光部材14とカバー体15とを有する。基板11は、制御装置20と電気的に接続される。基板11は、奥壁C1fに固定される。
【0031】
奥ライト12は、基板11における正面側の面に設けられる。奥ライト12は、発光手段および第1発光手段として、水平方向に発光する。奥ライト12が発光するタイミングは、制御装置20によって制御される。
【0032】
照度センサ13は、基板11における正面側の面に設けられる。照度センサ13は、奥ライト12と隣り合う。照度センサ13は、検出手段として、照度を検出する。具体的には、照度センサ13は、検出結果として、入光してきた光の照度の強さに応じた信号を出力する。検出された照度が高いほど、照度センサ13から出力される信号の強度が強くなる。照度センサ13からの信号は、制御装置20に入力される。
【0033】
遮光部材14は、光を吸収しやすい色および部材で形成される。遮光部材14は、遮光部14aを有する。遮光部材14には、発光穴14bと検出穴14cとが形成される。遮光部材14は、基板11の正面側の面に取り付けられる。取り付けられた状態において、遮光部14aは、奥ライト12と照度センサ13との間に配置される。発光穴14bから奥ライト12が露出する。検出穴14cから照度センサ13が露出する。取り付けられた状態において奥ライト12が発光したとしても、奥ライト12の直接光は、遮光部14aに遮られることで照度センサ13に届かない。
【0034】
例えば、カバー体15は、光を拡散させながら透過する透明な樹脂で形成される。カバー体15は、基板11の正面側に位置するよう取り付けられる。取り付けられた状態において、カバー体15は、基板11と奥ライト12と照度センサ13と遮光部材14とを覆う。カバー体15の正面部15aは、通過する光を拡散する加工が施されてもよい。
【0035】
検出器8において、奥ライト12が発光すると、奥ライト12からの光は、一定の指向性をもって検出範囲を照らす。この際、奥ライト12からの光は、カバー体15を通過すると、奥ライト12とは反対側へ指向性を維持したまま拡散し、広い範囲に広がる。
【0036】
次に、図5および図6を用いて、食材保管庫1の制御に関する機器について説明する。
図5は実施の形態1における食材保管庫の制御系統の構成の概要を示すブロック図である。図6は実施の形態1における食材保管庫の制御系統の機能に着目した機能ブロック図である。
【0037】
図5に示されるように、例えば、制御装置20の処理回路には、プロセッサ20aおよびメモリ20bが備えられている。制御装置20は、メモリ20bに記憶されたプログラムをプロセッサ20aが実行することによって予め設定された処理を実行し、食材保管庫1を制御する各機能を実現する。
【0038】
プロセッサ20aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。例えば、メモリ20bには、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0039】
なお、制御装置20の処理回路の少なくとも一部は、専用のハードウェアとして形成されてもよい。制御装置20の処理回路の一部が専用のハードウェアとして形成され、且つ、当該処理回路にプロセッサ20aおよびメモリ20bが備えられていてもよい。一部が専用のハードウェアとして形成される処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0040】
前面パネル7は、表示部7aおよび操作部7bを備える。表示部7aは、各保管室の温度、食材の保管状態、等の各種情報を表示する液晶ディスプレイである。表示部7aによって、利用者に情報が通知される。操作部7bは、各種の情報の入力を利用者から受け付ける操作スイッチである。前面パネル7は、表示部7aと操作部7bとを兼ねるタッチパネルを備えてもよい。制御装置20は、表示部7aに制御信号を出力して、表示部7aの表示動作を制御する。制御装置20には、操作部7bから操作信号が入力される。
【0041】
制御装置20には、各保管室の内部の温度を検出するサーミスタ10から信号が入力される。制御装置20は、サーミスタ10から入力された信号に基づいて、それぞれの保管室の庫内温度が設定温度に維持されるように、圧縮機2、送風ファン4、ダンパ4aおよび風向変更器6等を制御する。
【0042】
開閉検知手段1cは、ドア1bが開いているまたは閉じていることを示す信号を制御装置20に入力する。
【0043】
図6に示されるように、制御手段である制御装置20は、冷却制御部21と発光制御部22と照度取得部23と判定部24と距離推定部25と管理部26と通知部27とを、機能として備える。
【0044】
冷却制御部21は、冷却手段および変更手段の動作を制御する。例えば、サーミスタからの信号に基づいて、冷風の量が増えるように冷却手段を制御する。
【0045】
発光制御部22は、発光手段の発光を制御する。具体的には、発光制御部22は、ドア1bが開いているときに、天井ライト9を発光させる。発光制御部22は、ドア1bが閉じているときに、天井ライト9を消灯させる。発光制御部22は、ドア1bが閉じているときに、複数の奥ライト12を順番に規定の発光時間だけ発光させる。即ち、複数の奥ライト12のうちの1つは、発光時間だけ発光し、その他の奥ライト12は消灯する。例えば、発光時間は、1秒間である。なお、発光制御部22は、1つの奥ライト12を複数回発光させてもよい。
【0046】
照度取得部23は、複数の照度センサ13の各々から、検出結果を示す信号を取得する。照度取得部23は、複数の照度センサ13の各々について、取得した信号に基づく照度を検出する。照度取得部23は、複数の照度センサ13の各々について、取得した照度と時刻とを関係づけた照度のタイムチャートを作成してもよい。
【0047】
ここで、制御装置20において、ある検出器8に含まれる奥ライト12と照度センサ13との組が対応付けられる。即ち、ある検出器8において同じ基板11上に存在する奥ライト12と照度センサ13とが対応付けられる。また、制御装置20において、全ての奥ライト12の位置と全ての照度センサ13の位置とは、共通して管理される。
【0048】
判定部24は、複数の照度センサ13ごとに、当該照度センサ13で検出された照度に基づいて、当該照度センサ13に対応する検出範囲に食材が存在するか否かを判定する。例えば、ある奥ライト12が発光した時に対応する照度センサ13で検出された照度が第1閾値より大きい場合、判定部24は、当該照度センサ13の検出範囲に食材が存在すると判定する。ある奥ライト12が発光した時に対応する照度センサ13で検出された照度が第1閾値以下である場合、判定部24は、当該照度センサ13の検出範囲に食材が存在しないと判定する。
【0049】
例えば、判定部24は、ドア1bが開いて閉じた後に、食材が存在するか否かの判定動作を行う。当該判定動作は、全ての奥ライト12が発光した後に行われる。制御装置20では、ドア1bが開いて閉じた後に行われた判定動作を1回とし、少なくとも直近の2回分の判定動作の結果の情報が記憶される。即ち、制御装置20では、ある判定動作が今回の判定結果として記憶され、少なくとも1回前である前回の判定動作の判定結果が記憶される。判定結果には、各照度センサ13で検出された照度と時刻とのタイムチャートが含まれる。また、制御装置20では、今回の判定動作の直前に、ドア1bが開いているときに各照度センサ13で検出された照度と時刻とのタイムチャートが記憶される。
【0050】
距離推定部25は、複数の照度センサ13ごとに、当該照度センサ13で検出された照度に基づいて、当該照度センサ13と検出範囲に存在する食材との推定距離を演算する。
【0051】
管理部26は、保管室C1の内部に保管されている食材が同じ位置に置かれている期間を管理する。具体的には、管理部26は、複数の照度センサ13の各々について、照度センサ13の検出範囲に食材が存在する期間をカウントする。当該検出範囲に食材が存在しないと判定された場合、または当該検出範囲に存在する食材が利用者によって動かされたとみられる場合、管理部26は、利用者が当該食材の存在に気付いているとみなして、当該検出範囲に食材が存在する期間のカウントをゼロにする。管理部26が行う具体的なカウントの判定動作には、複数の例が有り得る。
【0052】
通知部27は、管理部26によって管理される期間が規定の管理期限を超えるか否かを監視する。ある検出範囲に食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、通知部27は、通知手段に通知の指令を出すことで、利用者に対して当該食材が長く置かれている旨を通知する。例えば、通知手段は、前面パネル7の表示部7aである。この場合、通知部27は、表示部7aに当該食材が長く置かれている旨と対応する検知範囲の位置と食材が存在する期間とを表示させる。
【0053】
なお、通知手段は、通知用のランプ、等でもよい。また、図示されないが、通知手段として、側壁C1a、C1b、C1c、C1d、奥壁C1fおよび棚板の少なくとも1箇所にLED等の通知ライトが設けられてもよい。通知部27は、利用者への通知として、長く置かれている食材に対応する位置に設けられた通知ライトを発光させてもよい。また、複数の検出器8の各々が、通知手段として用いられてもよい。この場合、通知部27は、複数の検出器8のうち食材が存在する期間が管理期限を超えた検出範囲に対応する検出器8の奥ライト12を、通知発光させる。通知発光する場合、当該奥ライト12は、ドア1bが開いている状態で発光する。この際、当該奥ライト12は、ドア1bが閉じているときに行われる発光と同じ態様で発光してもよいし、異なる色で発光してもよいし、特定のパターンで明滅するように発光してもよい。また、天井ライト9が、通知手段として用いられてもよい。この場合、通知部27は、天井ライト9を通知発光させる。通知発光する場合、天井ライト9は、通常と異なる色で発光してもよいし、特定のパターンで明滅するように発光してもよい。
【0054】
管理期限は、全ての検出範囲で同一の期間が設定されてもよいし、検出範囲毎に異なる期間が設定されてもよい。例えば、操作部7bから利用者に今入庫した食材の管理期限の入力を受け付けてもよい。管理部26は、ある検出範囲について、前回の判定で食材が存在しないと判定され、今回の判定で食材が存在すると判定された場合、当該検出範囲に存在する食材の管理期限を利用者から入力された管理期限に設定してもよい。例えば、管理期限は、食材の種類によって変更されてもよい。管理部26には、食材の種類と管理期限とが対応付けられたデータベースが格納されていてもよい。この場合、操作部7bから利用者に今入庫した食材の種類の入力を受け付けてもよい。管理部26は、同様に、当該検出範囲に存在する食材の管理期限を利用者から入力された食材の種類に対応する管理期限に設定してもよい。
【0055】
例えば、検出範囲に食材が存在する期間が規定の冷却期限を超えた場合、冷却制御部21は、当該検出範囲の冷却を強化するよう、冷却手段が当該検出手段に送り込む冷風の風量を増加させるよう制御する。例えば、変更手段が、当該検出手段へ向けて冷風の風を重点的に送る。冷却期限は、管理期限から規定の期間を減算する、等任意に設定されればよい。
【0056】
次に、図7から図10を用いて、期間が管理される動作の第1例を説明する。
図7は実施の形態1における食材保管庫の要部の第1例における断面図である。図8および図9は実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第1例で取得したタイムチャートである。図10は実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第1例の動作を示すフローチャートである。
【0057】
第1例において、管理部26は、判定部24の判定結果に基づいて、食材が存在する期間を管理する。例えば、ある検出器8の検出範囲には、物が置かれていなかった。前回の判定において、判定部24は、当該検出範囲に食材が存在しないと判定している。図7に示されるように、利用者は、ドア1bを開けて、当該検出器8の検出範囲に食材Fを置いた。その後、ドア1bが閉じられると、当該検出器8の奥ライト12が発光する。当該奥ライト12から対応する検出範囲に照射された光L1は、食材Fに当たって当該検出器8の方向に反射光として入光する。当該検出器8の対応する照度センサ13は、食材Fからの反射光L2の照度を検出する。
【0058】
図8は、当該照度センサ13が検出した照度のタイムチャートである。時刻tにおいて、前回の判定動作が行われた。時刻tからtにおいて、ドア1bの開閉がなされた。その後、時刻tからtにおいて、対応する奥ライト12が発光した。時刻tにおいて、判定部24は、今回の判定動作を行い、照度が一点鎖線で示される第1閾値より大きいため、当該検出範囲に食材が存在すると判定した。
【0059】
この場合、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測をゼロから開始する。
【0060】
次に、図9には、図8のタイムチャートを前回の判定動作とした時の、次の判定動作における同じ照度センサ13のタイムチャートが示される。時刻tの時点で、当該検出範囲に食材が存在する期間は、時刻tからtの期間である。時刻tから時刻tにおいて、利用者は、ドア1bを開けて当該検出範囲に置かれた食材Fを取り出した後、ドア1bを閉めた。その後、時刻tからtにおいて、対応する奥ライト12が発光した。時刻tにおいて、判定部24は、今回の判定動作を行い、当該検出範囲に食材が存在しないと判定した。
【0061】
この場合、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間をゼロにする。
【0062】
また、図示されないが、前回の判定動作で、判定部24によって食材が存在すると判定されており、かつ今回の判定動作で食材が存在すると判定された場合、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測を継続する。
【0063】
図10は、制御装置20が行う判定動作のフローチャートであり、例えば、全ての奥ライト12が発光した後に開始する。本フローチャートでは、複数の照度センサ13について判定されるまで、ループされる。ループの間は、1つの照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われる。全ての照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われた後、フローチャートの動作が終了する。
【0064】
ステップS001において、判定部24は、照度センサ13で検出された照度が第1閾値より大きいか否かを判定する。
【0065】
ステップS001で、第1閾値以下である場合、ステップS002の動作が行われる。ステップS002において、判定部24は、当該検出範囲に食材が存在しないと判定する。管理部26は、判定部24による前回の判定において、当該検出範囲に食材が存在すると判定されたか否かを判定する。
【0066】
ステップS002で、前回食材が存在しないと判定されていた場合、ステップS003の動作が行われる。ステップS003において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間をゼロのまま計測しない。その後、フローチャートの動作が終了される。
【0067】
ステップS002で、前回食材が存在すると判定されていた場合、ステップS004の動作が行われる。即ち、今回の判定の前に食材が取り出されている。ステップS004において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間をゼロにして、計測をしない。その後、フローチャートのループが行われる。
【0068】
ステップS001で、第1閾値より大きい場合、ステップS005の動作が行われる。ステップS005において、判定部24は、当該検出範囲に食材が存在すると判定する。管理部26は、判定部24による前回の判定において、当該検出範囲に食材が存在すると判定されたか否かを判定する。
【0069】
ステップS005で、前回食材が存在しないと判定されていた場合、ステップS006の動作が行われる。即ち、今回の判定の前に食材が新たに検出範囲に置かれている。ステップS006において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測を開始する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0070】
ステップS005で、前回食材が存在すると判定されていた場合、ステップS007の動作が行われる。即ち、前回の判定から検出範囲に食材が存在し続けている。ステップS007において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0071】
次に、図11から図15を用いて、期間が管理される動作の第2例を説明する。
図11および図12は実施の形態1における食材保管庫の要部の第2例における断面図である。図13および図14は実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第2例で取得したタイムチャートである。図15は実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第2例の動作を示すフローチャートである。
【0072】
第2例において、管理部26は、判定部24の判定結果と距離推定部25の演算結果とに基づいて、食材が存在する期間を管理する。図11は、食材Fが検出範囲の内側であって検出器8から比較的遠い第1距離に置かれたときの保管室C1が示される。奥ライト12から対応する検出範囲に照射された光は、食材Fに当たって当該検出器8の方向に反射光として入光する。当該検出器8の対応する照度センサ13は、食材Fからの反射光の照度を検出する。
【0073】
図12は、食材Fが検出範囲の内側であって検出器8から第1距離よりも近い第2距離に置かれたときの保管室C1が示される。奥ライト12から食材Fに当たる光束の量は、図11に示されるケースよりも多い。このため、反射光として食材Fから検出器8へ向かう光束の量は、図11に示されるケースよりも多い。また、食材Fによって反射した反射光のうち、検出器8に入光する光束の比率は、図11に示されるケースよりも多い。
【0074】
図13は、図11に示されるケースにおいて照度センサ13で検出された照度のタイムチャートである。この場合、検出された照度の最大値である第1照度は、第1閾値を超える。この場合、判定部24では、検出範囲に食材が存在すると判定される。例えば、距離推定部25における演算動作は、判定部24と同様に、ドア1bが開いて閉じるごとに行われる。距離推定部25は、第1照度に対応する第1距離を演算し、照度センサ13と食材Fとの推定距離とみなす。
【0075】
図14は、図12に示されるケースにおいて照度センサ13で検出された照度のタイムチャートである。この場合、検出された照度の最大値である第2照度は、第1閾値を超える。第2照度は、第1照度よりも大きい。この場合、判定部24では、検出範囲に食材が存在すると判定される。距離推定部25は、第2照度に対応する第2距離を演算し、照度センサ13と食材Fとの推定距離とみなす。第2距離は、第1距離よりも長い。
【0076】
図15は、制御装置20が行う判定動作のフローチャートであり、例えば、全ての奥ライト12が発光した後に開始する。本フローチャートでは、複数の照度センサ13について判定されるまで、ループされる。ループの間は、1つの照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われる。全ての照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われた後、フローチャートの動作が終了する。
【0077】
フローチャートのステップS001からステップS006における動作は、図10のフローチャートの同じステップで行われる動作と同じである。
【0078】
ステップS005で、前回食材が存在すると判定されている場合、ステップS101の動作が行われる。ステップS101において、管理部26は、距離推定部25によって演算された今回の推定距離が前回判定された前回の推定距離に一致するか否かが判定される。例えば、今回の推定距離と前回の推定距離との差が、規定の差異閾値よりも小さい場合、管理部26は、今回の推定距離が前回の推定距離に一致すると判定する。今回の推定距離と前回の推定距離との差が、差異閾値以上である場合、管理部26は、今回の推定距離が前回の推定距離に一致しないと判定する。差異閾値には、ゼロを含む任意の値が設定されてよい。
【0079】
ステップS101で、一致する場合、ステップS102の動作が行われる。この場合、利用者は、検出範囲に存在する食材を手に取っていないことが想定される。ステップS102において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0080】
ステップS101で、一致しない場合、ステップS103の動作が行われる。この場合、利用者が検出範囲に存在する食材を取り出した後に別の食材を当該検出範囲に置いた、利用者が検出範囲に存在する食材を手に持って確認した後に当該検出範囲に戻した、等の行動が行われたことが想定される。いずれも場合であっても、利用者は、前回の判定動作時点で検出範囲に存在していた食材に気づき、手に取っていることが想定される。ステップS103において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間をゼロにリセットして、当該期間の計測を継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0081】
次に、図16から図20を用いて、期間が管理される動作の第3例を説明する。
図16は実施の形態1における食材保管庫の要部の第3例における断面図である。図17は実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第3例における発光手段の発光制御を示すフローチャートである。図18および図19は実施の形態1における食材保管庫の検出センサが第3例で取得したタイムチャートである。図20は実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第3例の動作を示すフローチャートである。
【0082】
第3例において、管理部26は、判定部24の判定結果と距離推定部25の演算結果と第2発光手段である天井ライト9が発光しているときの照度とに基づいて、食材が存在する期間を管理する。図16に示されるように、食材Fは、天井ライト9と検出器8との間に置かれる。この場合、ドア1bが開いており天井ライト9が発光しているとき、検出器8で検出される照度は、小さくなる。
【0083】
図17は、第1発光手段である奥ライト12と第2発光手段である天井ライト9との発光が制御される動作を示す。図17では、1つの奥ライト12についての動作が示される。フローチャートは、任意の周期でループする。
【0084】
ステップS201において、発光制御部22は、開閉検知手段1cの検知結果に基づいて、ドア1bが開いたか否かを判定する。
【0085】
ステップS201で、ドアが開いていない場合、ループ内の動作が終了する。
【0086】
ステップS201で、ドアが開いている場合、ステップS202の動作が行われる。ステップS202において、発光制御部22の制御によって、天井ライト9は、発光する。
【0087】
その後、ステップS203において、複数の照度センサ13の各々は、照度を検出する。照度センサ13の検出結果に基づいて、タイムチャートが作成される。この際、照度センサ13は、天井ライト9からの直接光の照度を検出している。
【0088】
その後、ステップS204において、発光制御部22は、開閉検知手段1cの検知結果に基づいて、ドア1bが閉じたか否かを判定する。
【0089】
ステップS204で、ドア1bが閉じていない場合、ステップS204の動作が繰り返される。ステップS204の動作が繰り返される間、天井ライト9は発光し、照度センサ13は照度を検出し続ける。
【0090】
ステップS204で、ドア1bが閉じた場合、ステップS205の動作が行われる。ステップS205において、発光制御部22の制御によって、天井ライト9が消灯する。
【0091】
その後、発光制御部22の制御によって、複数の奥ライト12が順番に発光するループが行われる。当該ループは、複数の奥ライト12のうち全ての奥ライト12が発光して消灯するまで繰り返される。ステップS206において、ある奥ライト12が発光する。
【0092】
ステップS207において、ステップS206で発光した当該奥ライト12に対応する照度センサ13が照度を検出する。
【0093】
ステップS208において、当該奥ライト12が消灯する。
【0094】
その後、フローチャートのループが繰り返される。
【0095】
図18は、照度センサ13が検出した照度のタイムチャートの一例である。時刻t10の前、判定部24は、前回の判定として検出範囲に食材が存在しないと判定していた。時刻t10でドア1bが開けられると、天井ライト9が発光する。照度センサ13は、天井ライト9からの直接光による照度を検出する。その後、時刻t11で、利用者によって検出範囲に食材が置かれる。この操作によって、照度センサ13が検出する照度が減少する。その後、時刻t12で、ドア1bが閉められる。その後、時刻t13からt14の間、対応する奥ライト12が発光して、照度センサ13でその反射光が検出される。
【0096】
判定部24は、今回の判定で検出範囲に食材が存在すると判定する。また、天井ライト9が発光しているときの照度の時間変化も、検出範囲に新たに食材が置かれたことと矛盾が無い。管理部26は、検出範囲に新たに食材が置かれたと判定し、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測を開始する。
【0097】
図19は、照度センサ13が検出した照度のタイムチャートの別の例である。本例において、時刻t15の前、判定部24は、前回の判定として検出範囲に食材が存在すると判定していた。また、時刻t15の前、検出範囲の近傍に別の食材が置かれており、照度センサ13が検出した照度には、当該別の食材からの反射光の影響も含まれている。距離推定部25は、前回の演算として、食材との推定距離を第1距離としている。そのため、当該第1距離には、別の食材からの反射光の影響が含まれている。即ち、当該第1距離は、別の食材が存在しない場合に推定されていたはずの推定距離と比べて、短い。
【0098】
時刻t15でドア1bが開けられると、天井ライト9が発光する。照度センサ13は、天井ライト9からの直接光による照度を検出する。その後、時刻t16で、利用者によって検出範囲の近傍に存在する別の食材が取り出される。検出範囲に存在する食材の位置は変わらない。この操作によって、照度センサ13が検出する照度が増加する。ただし、検出範囲に存在する食材によって天井ライト9からの直接光は概ね遮られているので、照度センサ13が検出する照度は、大幅には増加しない。その後、時刻t17で、ドア1bが閉められる。その後、時刻t18からt19の間、対応する奥ライト12が発光して、照度センサ13でその反射光が検出される。
【0099】
判定部24は、今回の判定で検出範囲に食材が存在すると判定する。距離推定部25は、今回の判定で、食材との推定距離を第2距離と推定する。第1距離と第2距離とは、管理部26によって一致しないと判定される関係にある。また、管理部26は、天井ライト9が発光しているときの照度の時間による変化量が、規定の第2閾値より小さいと判定する。この場合、推定距離の変化は、他の食材の出し入れによるものであると判断され、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間をゼロにすることなく、当該期間の計測を継続する。
【0100】
図20は、第3例において制御装置20が行う判定動作のフローチャートであり、例えば、全ての奥ライト12が発光した後に開始する。本フローチャートでは、複数の照度センサ13について判定されるまで、ループされる。ループの間は、1つの照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われる。全ての照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われた後、フローチャートの動作が終了する。
【0101】
フローチャートのステップS001からステップS006およびステップS101からステップS102における動作は、図15のフローチャートの同じステップで行われる動作と同じである。
【0102】
ステップS101で、一致しない場合、ステップS301の動作が行われる。ステップS301において、管理部26は、今回の推定距離が距離推定部25によって演算される直前にドア1bが開いているときに検出された天井ライト9に起因する照度の変化量が、第2閾値よりも小さいか否かを判定する。
【0103】
ステップS301で、照度の変化量が第2閾値以上である場合、ステップS302の動作が行われる。この場合、検出範囲に存在する食材が取り出されたことで天井ライト9の直接光が照度センサ13に入光し、天井ライト9に起因する照度が第2閾値以上となるくらい上昇したことが想定される。また、その後、新たな食材または同じ食材が検出範囲に置かれたことが想定される。ステップS302において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間をゼロにリセットし、当該期間の計測を継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0104】
ステップS301で、照度の変化量が第2閾値より小さい場合、ステップS303の動作が行われる。この場合、図19に示されたように、別の食材が取り出されたことが想定される。ステップS303において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0105】
次に、図21および図22を用いて、期間が管理される動作の第4例を説明する。
図21は実施の形態1における食材保管庫の要部の第4例における正面図である。図22は実施の形態1における食材保管庫の制御手段の第4例の動作を示すフローチャートである。
【0106】
図21に示されるように、複数の検出器8は、左右方向に並ぶ。例えば、3つの検出器8a、8b、8cが紙面左側から右側へ向かって順番に並ぶ。検出器8aには、奥ライト12aと照度センサ13aとが含まれる。検出器8bには、奥ライト12bと照度センサ13bとが含まれる。検出器8cには、奥ライト12cと照度センサ13cとが含まれる。
【0107】
隣り合う2つの検出器8は、互いが隣接検出器となる。例えば、検出器8aと検出器8bとが隣り合うため、検出器8aの隣接検出器は、検出器8bである。同様に、検出器8bの隣接検出器は、検出器8aおよび検出器8cである。奥ライト12および照度センサ13についても、同様の隣接関係が成立する。例えば、奥ライト12aの隣接奥ライトは、奥ライト12bである。照度センサ13bの隣接照度センサは、照度センサ13aおよび照度センサ13cである。なお、例えば、発光手段である奥ライト12bの隣接発光手段は、奥ライト12aおよび奥ライト12cである。例えば、検出手段である照度センサ13aの隣接検出手段は、照度センサ13bである。また、例えば、検出手段である照度センサ13aの検出範囲に対する隣接検出範囲は、照度センサ13bの検出範囲である。
【0108】
第4例において、管理部26は、判定部24の検出手段における判定結果と、判定部24の隣接検出手段における判定結果と、距離推定部25の演算結果と、に基づいて、食材が存在する期間を管理する。言い換えると、管理部26は、検出手段が検出した照度と、隣接検出手段が検出した照度と、距離推定部25の演算結果と、に基づいて、食材が存在する期間を管理する。図21が示す例において、食材F1が照度センサ13bの検出範囲に存在し、隣接食材F2が隣接検出範囲である照度センサ13cの検出範囲に存在する。
【0109】
照度センサ13bが検出した照度には、食材F1からの反射光の影響に加えて、隣接食材F2からの反射光の影響も含まれている。距離推定部25は、前回の演算として、照度センサ13bと食材F1との推定距離を第1距離としている。そのため、当該第1距離には、隣接食材F2からの反射光の影響が含まれている。即ち、当該第1距離は、隣接食材F2が存在しない場合に推定されていたはずの推定距離と比べて、短い。
【0110】
図示されないが、その後、ドア1bが開いた後、隣接食材F2が取り出される。その後、食材F1の位置が動かないまま、ドア1bが閉じ、奥ライト12a、12b、12cが順番に発光する。照度センサ13a、13b、13cは、照度を検出する。
【0111】
判定部24は、今回の判定で、照度センサ13bの照度に基づいて、検出範囲に食材が存在すると判定する。判定部24は、今回の判定で、照度センサ13bの隣接検出手段である照度センサ13cの照度に基づいて、検出範囲に食材が存在しないと判定する。距離推定部25は、今回の判定で、照度センサ13bと食材F1との推定距離を第2距離と推定する。第1距離と第2距離とは、管理部26によって一致しないと判定される関係にある。
【0112】
この場合、推定距離の変化は、隣接検出手段の検出範囲に存在した他の隣接食材の出し入れによるものであると判断され、管理部26は、照度センサ13bの検出範囲に食材が存在する期間をゼロにすることなく、当該期間の計測を継続する。
【0113】
なお、図示されないが、隣接検出範囲に食材が存在しない状態から存在する状態に変化した場合も、同様に、照度センサ13bで検出される照度が変化し得る。管理部26は、この場合において、照度センサ13bの検出範囲に食材が存在する期間をゼロにすることなく、当該期間の計測を継続してよい。
【0114】
図22は、第4例において制御装置20が行う判定動作のフローチャートであり、例えば、全ての奥ライト12が発光した後に開始する。本フローチャートでは、複数の照度センサ13について判定されるまで、ループされる。ループの間は、1つの照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われる。全ての照度センサ13の検出範囲に関する判定動作が行われた後、フローチャートの動作が終了する。なお、本フローチャートでは、同じループが2回行われた後に、フローチャートの動作が終了してもよい。
【0115】
フローチャートのステップS001からステップS006およびステップS101からステップS102における動作は、図15のフローチャートの同じステップで行われる動作と同じである。
【0116】
ステップS101で、一致しない場合、ステップS401の動作が行われる。ステップS401において、管理部26は、隣接検出範囲に隣接食材が存在するか否かに関する判定部24の今回の判定結果が前回の判定結果と一致するか否かを判定する。即ち、管理部26は、前回の判定で隣接検出範囲に存在すると判定されていた隣接食材が今回の判定で隣接検出範囲に存在しないと判定された場合、または前回の判定で隣接検出範囲に存在しないと判定されていた隣接食材が今回の判定で隣接検出範囲に存在すると判定された場合、隣接検出範囲に隣接食材が存在するかに関する判定部24の今回の判定結果が前回の判定結果と一致せずに異なると判定する。
【0117】
ステップS401で、隣接検出範囲における判定部24の判定結果が前回と今回とで一致する場合、ステップS402の動作が行われる。この場合、検出範囲に存在する食材の位置が実際に変化したことが想定される。ステップS402において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間をゼロにリセットし、当該期間の計測を継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0118】
ステップS401で、隣接検出範囲における判定部24の判定結果が一致せずに異なる場合、ステップS403の動作が行われる。この場合、隣接検出範囲に存在する隣接食材が取り出されたこと、または隣接検出範囲に隣接食材が新たに置かれたことで、検出手段の照度が変化したことが想定される。ステップS403において、管理部26は、当該検出範囲に食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0119】
なお、第4例の更なる変形例として、管理部26は、複数の照度センサ13の検出結果に基づいて、より詳細な食材の位置を検出してもよい。複数の照度センサ13が並ぶ棚に1つの食材が存在する場合、食材の位置に応じて各照度センサ13の反射光の照度は異なる。この場合、各照度センサ13が検出する照度の組み合わせと食材の位置との関係性の情報が、予め測定されて管理部26に記憶されてもよい。管理部26は、当該関係性の情報と、各照度センサ13が検出する照度の組み合わせと、に基づいて食材の位置を検出し、当該位置に食材が存在する期間を管理してもよい。
【0120】
以上で説明した実施の形態1によれば、食材保管庫1は、筐体1aと、発光手段である奥ライト12または天井ライト9と、検出手段である照度センサ13と、制御手段である制御装置20と、を備える。制御装置20は、判定部24と管理部26と通知部27とを有する。管理部26によって食材保管庫1の内部に食材が存在する期間が管理される。通知部27は、食材が存在する期間が管理期限を過ぎた場合、当該食材が長く置かれている旨を通知する。食材保管庫1は、当該通知によって、存在が忘れられている恐れのある食材があることを利用者に知らせることができる。利用者は、食材の使い忘れを抑制することができる。その結果、フードロス等の削減にも寄与することができる。
【0121】
また、発光手段である奥ライト12は、検出手段と隣り合う位置に配置される。検出手段は、奥ライト12からの光が食材に反射した反射光を受光して検出する。このため、食材が検出範囲に存在することが精度よく判定されることが可能となる。
【0122】
また、食材保管庫1は、遮光部材14を備える。このため、照度センサ13が検出する照度における奥ライト12の直接光の影響を無くすことができる。その結果、反射光の検出精度を向上させることができる。
【0123】
また、食材保管庫1は、カバー体15を備える。このため、奥ライト12からの光をより広い範囲に届けることができる。その結果、検出範囲を拡大させることができる。
【0124】
また、発光手段である奥ライト12は、奥壁C1fに設けられる。検出手段は、発光手段と隣り合う位置に配置される。特に、冷蔵庫において、奥側の食材は利用者にとって忘れられやすい。食材保管庫1によって、棚の奥にある食材が忘れられることが抑制される。
【0125】
また、制御装置20は、距離推定部25を有する。管理部26は、距離推定部25の演算結果も加味して食材が存在する期間を管理する。具体的には、例えば、食材が存在すると判定されたものの、今回の推定距離が前回の推定距離に一致しない場合、管理部26は、当該食材が存在する期間をゼロにして計測を継続する。このため、食材が存在する期間を管理する精度を向上させることができる。
【0126】
また、食材保管庫1は、奥ライト12を第1発光手段とし、天井ライト9を第2発光手段とする。管理部26は、第1発光手段による照度の検出結果と、第2発光手段による照度の検出結果と、を加味して食材が存在する期間を管理する。具体的には、食材が存在すると判定され、今回の推定距離が前回の推定距離に一致しないと判定されたものの、ドア1bが開いているときに検出された照度の変化量が第2閾値よりも小さい場合、管理部26は、当該食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する。このように、ドア1bを開けている途中の利用者の行動を想定することで、食材が存在する期間を管理する精度を向上させることができる。
【0127】
また、食材保管庫1は、発光手段に対する隣接発光手段、および検出手段に対する隣接検出手段をそれぞれ備える。管理部26は、隣接検出手段による照度の検出結果も加味して食材が存在する期間を管理する。具体的には、食材が存在すると判定され、今回の推定距離が前回の推定距離に一致しないと判定されたものの、隣接食材の存在の有無に関する判定結果が今回と前回とで異なる場合、管理部26は、検出範囲に食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する。このように、ドア1bを開けている途中の利用者の行動を想定することで、食材が存在する期間を管理する精度を向上させることができる。
【0128】
また、食材保管庫1における奥壁C1fおよび側壁C1a、C1b、C1c、C1dは、表面の光の吸収率が吸収閾値よりも大きくなるように形成される。このため、発光手段からの光が各壁面に反射することによる反射光が、検出手段の検出結果に与える影響を小さくすることができる。その結果、検出手段の検出精度を向上させることができる。
【0129】
また、食材保管庫1は、冷却手段を備える冷蔵庫である。食材保管庫1において、検出範囲に食材が存在する期間が規定の冷却期限を超えた場合、冷却手段は、当該検出範囲に送り込む冷風の風量を増加させる。このため、食材をより長い間良好な状態に保って保管することができる。
【0130】
なお、変形例として、制御装置20は、更に提案部28を機能として備えてもよい。図23は実施の形態1における食材保管庫の変形例の機能ブロック図である。
【0131】
提案部28は、管理部26に管理された食材の存在の有無に関する情報に基づいて、保管室C1の内部に空いているスペースを検出する。提案部28は、空いているスペースが存在する場合、表示部7aに当該スペースが開いている旨および当該スペースの位置を表示させる。このため、利用者は、空いているスペースを知ることができる。
【0132】
また、提案部28は、普段の空いているスペースの状況に基づいて、最適な食材保存庫のサイズを推定する。例えば、保管室C1のスペースのうち恒常的に10%程度のスペースが空いている場合、提案部28は、保管室のスペースが現在の保管室C1よりも10%小さい食材保存庫を最適な食材保存庫のサイズと推定する。提案部28は、通知手段である表示部7aなどに、当該最適な食材保存庫のサイズを表示させてもよい。利用者は、次の食材保存庫を購入するときに、推定されたサイズを考慮に入れることができる。
【0133】
実施の形態2.
図24は実施の形態2における食材保管庫の機能ブロック図である。なお、実施の形態1の部分と同一または相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0134】
図24に示されるように、実施の形態2において、食材保管庫1は、複数の絞り体16を更に備える。例えば、複数の検出器8のそれぞれに、絞り体16が設けられる。絞り体16には、絞り穴16aが空けられる。例えば、絞り穴16aは、円形となるよう形成される。絞り穴16aの大きさは、同心円状に変更可能である。絞り体16は、カバー体15と照度センサ13との間に設けられる。即ち、絞り体16は、照度センサ13と対応する検出範囲との間に設けられる。絞り体16は、絞り穴16aの面積を変えることで、照度センサ13に入光する光の面積を調整可能である。即ち、絞り体16は、照度センサ13に入光する光の量を調整可能である。
【0135】
制御装置20は、更に絞り制御部29と形状推定部30とを機能として備える。絞り制御部29は、複数の絞り体16の各々について、絞り穴16aの大きさを制御する。例えば、絞り体16について、絞り穴16aの面積が複数設定される。絞り制御部29は、ある奥ライト12が発光しているときに、当該奥ライト12に対応する絞り体16の絞り穴16aの面積を、設定された個数分だけ順番に変更する。対応する照度センサ13は、変更された面積の数の分、照度を検出する。絞り穴16aの面積と、当該面積の時に検出された照度と、の関係が制御装置20に記憶される。
【0136】
形状推定部30は、絞り穴16aの面積と照度との関係に基づいて、対応する照度センサ13の検出範囲に存在する食材の形状を推定する。例えば、絞り穴16aが第1面積であるときに検出された第1絞り照度と、絞り穴16aが第2面積であるときに検出された第2絞り照度と、の差が規定の形状閾値より小さい場合、形状推定部30は、検出範囲に存在する食材が丸みを帯びた形状であると推定する。
【0137】
例えば、形状閾値は、食材が平らな場合に、第1面積の穴から入光する光と第2面積の穴から入光する光との差が設定される。第1絞り照度と第2絞り照度との差が形状閾値よりも小さい場合、食材が平らなときほどの量の反射光が返ってきていないことになる。即ち、食材は、平らでなく、丸みを帯びているものと推定され得る。形状推定部30によって推定された形状は、食材の種類の判別、管理部26における期間の管理の判定、等に利用されてもよい。
【0138】
次に、図25から図27を用いて、照度センサ13で検出される照度を説明する。
図25からは図27実施の形態2における食材保管庫の絞り穴の面積と食材の形状との関係を示す概要図である。
【0139】
図25には、食材Fが平らな形状である場合が示される。絞り体16の絞り穴16aは、第1面積になるよう設定されている。この場合において、食材Fからは照射した分だけ真っすぐに反射光が返ってくる。照度センサ13では、指標値500の照度が検出される。
【0140】
図26には、食材Fが平らな形状であって、絞り穴16aが第2面積になるよう設定された場合が示される。第2面積は、第1面積よりも大きい。この場合において、食材Fから返ってくる反射光は、絞り穴16aの大きくなった面積分、図25のケースよりも多い。照度センサ13では、指標値600の照度が検出される。例えば、形状閾値として、600から500を減算した指標値100が設定されてもよい。
【0141】
図27には、食材Fが丸みを帯びた形状であって、絞り穴16aが第2面積になるよう設定された場合が示される。この場合において、食材Fから返ってくる反射光のうち照度センサ13の中央部分に入る反射光は真っすぐである。一方で、反射光のうち当該中央部分より端で反射する光は、食材Fの形状に応じて真っすぐからズレた角度で反射する。ズレた角度で反射した光は、絞り体16の絞り穴16aではない部分に遮られることで、照度センサ13に入光しない。もしくは、ズレた角度で反射した光は、別の部材を反射して照度が下がった状態で照度センサ13に入光する。このため、照度センサ13では、指標値520の照度しか検出されない。
【0142】
一方で、図示されないが、絞り穴16aが第1面積である場合、中央部分で反射した反射光がそのまま照度センサ13に入射する。このため、照度センサ13では、指標値500の照度が検出される。このため、第1絞り照度と第2絞り照度との差が、20となる。この場合、当該差は、形状閾値よりも小さい。形状推定部30は、食材が丸みを帯びた形状であると推定する。
【0143】
以上で説明した実施の形態2によれば、食材保管庫1は、絞り体16を備える。制御装置20は、絞り制御部29と形状推定部30とを有する。形状推定部30によって、食材の形状が推定される。具体的には、形状推定部30は、絞り穴16aの第1面積に対応する第1絞り照度と絞り穴16aの第2面積に対応する第2絞り照度との差に基づいて、食材が丸みを帯びた形状であると推定する。このため、食材の形状に基づいて、食材が存在する期間の期限を管理することができる。
【0144】
実施の形態3.
図28は実施の形態3における食材保管庫の機能ブロック図である。なお、実施の形態1または2の部分と同一または相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0145】
実施の形態3において、複数の奥ライト12の各々は、発光する光の波長を変更可能である。変更可能な波長の領域は、可視光領域であってよい。なお、変更可能な波長の領域は、可視光領域に加えて赤外線および紫外線領域、等、任意の領域であってよい。発光制御部22は、奥ライト12の波長を規定の段階だけ変更させながら、奥ライト12を発光させる。即ち、変更される波長の数が予め設定され、奥ライト12の波長は、設定された数だけ変更される。
【0146】
また、図28に示されるように、制御装置20は、DB記憶部31と種類推定部32とDB作成部33とを更に備える。DB記憶部31は、特徴情報のデータベースを記憶する。特徴情報は、食材に照射した光の波長と当該波長の光が食材に当たって反射してきた反射光の照度とが波長ごとに対応付けられた特徴量に関する情報である。当該特徴量は、食材の種類と対応付けられる。
【0147】
例えば、色Xの成分が強い表面色を持つ食材は、色Xの波長の光を強く反射し、色Xと補色関係にある色Yの波長の光をよく吸収する。このため、反射光を見る人の目は、当該食材の表面色を色Xであると認識する。即ち、当該食材に色Xの波長の光を照射すると、その反射光の照度は比較的大きくなる。当該食材に色Yの波長の光を照射すると、その反射光の照度は、色Xの波長の光を照射した場合と比べて、小さい。このように、食材の表面の色の特徴が、特徴量によって表される。
【0148】
種類推定部32は、奥ライト12が発光する波長と対応する照度センサ13で検出された照度との関係を特徴情報に照らし合わせることで、現在検出範囲に存在する食材の種類を推定する。
【0149】
DB作成部33は、奥ライト12が発光する波長と対応する照度センサ13で検出された照度との関係に基づいて、当該関係を示す食材の特徴情報を作成し、DB記憶部31に加える。例えば、DB作成部33は、操作部7bによって利用者から庫内に入れた食材の種類の情報の入力を受け付ける。DB作成部33は、奥ライト12が発光する波長と対応する照度センサ13で検出された照度との関係を入力された食材の種類と対応付けることで、当該種類の特徴情報を作成する。なお、DB作成部33は、別の方法で特徴情報を作成してもよい。
【0150】
管理部26は、判定部24の判定結果と種類推定部32の推定結果とに基づいて、検出範囲に食材が存在する期間を管理する。具体的には、管理部26は、判定部24によって検出範囲に食材が存在すると判定され、かつ、種類推定部32が今回の検出で推定した食材の種類が前回の検出で推定した食材の種類と異なる場合、当該食材が存在する期間をゼロにする。
【0151】
次に、図29を用いて、奥ライト12の発光する波長が変更される動作を説明する。
図29は実施の形態3における食材保管庫の奥ライトの波長が変更される動作の概要のフローチャートである。
【0152】
図29には、複数の奥ライト12のうちの1つが発光するときの動作が示される。例えば、本フローチャートは、ドア1bが開いてから閉じたときに開始する。
【0153】
ステップS501からS502までの動作は、変更するように設定された波長の数だけループする。ステップS501において、奥ライト12は、本ループで設定された波長で発光する。
【0154】
その後、ステップS502で、照度センサ13は、照度を検出する。この際、奥ライト12が発光している波長とその時検出された照度とが対応付けられて制御装置20に保存される。
【0155】
設定された全ての波長の分だけループした後、ステップS503の動作が行われる。ステップS503において、種類推定部32は、検出された全ての照度と波長とが対応付けられた特徴量を作成する。その後、フローチャートの動作が終了する。
【0156】
なお、制御装置20には、特徴量の生成が行われるごとに、当該特徴量が今回の特徴量として記憶される。
【0157】
次に、図30を用いて、特徴情報を説明する。
図30は実施の形態3における食材保管庫に記憶された特徴情報の例を示す図である。
【0158】
図30には、データベースにおける特徴情報ごとの特徴量が示される。特徴量は、照度と波長との関係を示すグラフとして図示される。それぞれの特徴量は、「ビール缶」、「ジャム」、「ヨーグルト」等の食材の種類と対応付けられる。
【0159】
例えば、「ビール缶」の特徴量は、グラフGによって表される。各棒グラフは、ビール缶を検出した時の波長と照度の平均値とを示す。各棒グラフに対応する両矢印は、対応する照度の値がばらつく範囲を示す。例えば、波長Bの棒グラフは、指標値88の照度を示す。これは、缶ビールに波長Bの光を照射したとき、指標値88の照度が反射光によって検出され得ることを示す。また、両矢印によって、缶ビールに波長Bの光を照射したとき、検出される照度が指標値78から98の範囲でばらつく可能性があることを示す。
【0160】
このような照度と波長との関係である特徴量は、食材の種類によって異なる。種類推定部32は、図29のフローチャートのような動作で検出した特徴量との一致度が高い特徴量を示す特徴情報をデータベースから検索する。種類推定部32は、最も一致度が高い特徴情報に対応する食材の種類を、検出範囲に存在する食材の種類であると推定する。
【0161】
次に、図31を用いて、実施の形態3における管理部26等の判定動作を説明する。
図31は実施の形態3における食材保管庫の制御手段の動作例を示すフローチャートである。
【0162】
図31のフローチャートにおけるステップS001からステップS006における動作は、図10のフローチャートの同じステップで行われる動作と同じである。
【0163】
ステップS005で、前回食材が存在すると判定されている場合、ステップS601の動作が行われる。ステップS601において、種類推定部32は、前回の検出で生成された特徴量が今回の検出で生成された特徴量と一致するか否かを判定する。なお、ステップS601の動作は、管理部26によっても行われてもよい。この場合、管理部26は、種類推定部32が今回の検出で推定した食材の種類が前回の検出で推定した食材の種類と一致するか否かを判定してもよい。ここで、一致するか否かは、特徴量同士を比較した際に、規定の一致度合いを満たす場合、一致すると判定さればよい。
【0164】
ステップS601で、一致せず異なると判定された場合、ステップS602の動作が行われる。ステップS602において、種類推定部32は、検出範囲に存在する食材の種類が変わったと判定する。この場合、管理部26は、検出範囲に食材が存在する期間をゼロにリセットし、計測を継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0165】
ステップS601で、一致すると判定された場合、ステップS603の動作が行われる。ステップS603において、種類推定部32は、直前に天井ライト9が発光していたときの照度の変化量が第3閾値より大きいか否かを判定する。第3閾値には、検出範囲に存在する食材が一度でも取り出されたときに、照度センサ13が検出する照度の変化量が設定される。即ち、種類推定部32は、直前に食材の出し入れがあったか否かを判定する。
【0166】
ステップS603で、直前に天井ライト9が発光していたときの照度の変化量が第3閾値より大きい場合、ステップS604の動作が行われる。ステップS604において、種類推定部32は、前回の検出のときと比べて、同じ種類であって別の食材であると判定する。例えば、あるヨーグルトを取り出した後、当該ヨーグルトの一部を切り離して同じ場所に戻した場合、同じ種類の食材であるが、前回とは別の食材であることが想定される。即ち、利用者は、当該食材を手に取っていることが想定される。そのため、管理部26は、検出範囲に食材が存在する期間をゼロにリセットし、計測を継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0167】
ステップS603で、直前に天井ライト9が発光していたときの照度の変化量が第3閾値以下である場合、ステップS605の動作が行われる。ステップS605において、種類推定部32は、前回の検出のときと比べて同じ種類の同じ食材であると判定する。即ち、利用者は、食材に触れていないことが想定される。そのため、管理部26は、検出範囲に食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する。その後、フローチャートのループが行われる。
【0168】
以上で説明した実施の形態3によれば、発光手段である奥ライト12は、発光する光の波長を変更可能である。制御装置20は、種類推定部32を更に備える。このため、庫内に存在する食材の種類を、利用者から情報を入力されることなく推定することができる。
【0169】
また、管理部26は、推定された食材の種類を加味して食材が存在している期間を管理する。具体的には、検出範囲に食材が存在すると判定され、かつ、今回の検出で推定された食材の種類が前回の検出で推定された食材の種類と異なる場合、管理部26は、当該食材が存在する期間をゼロにリセットする。このため、食材が存在する期間を管理する精度を向上させることができる。
【0170】
なお、図31のフローチャートで推定された食材の種類の代わりに、実施の形態2における食材の形状が用いられてもよい。この場合、形状推定部30は、種類推定部32と同様の判定を行ってもよい。管理部26は、同様の判定に基づいて食材が存在する期間を管理してもよい。即ち、管理部26は、判定部24によって検出範囲に食材が存在すると判定され、かつ、形状推定部30が今回の検出で推定した食材の形状が前回の検出で推定した食材の形状と異なる場合、当該食材が存在する期間をゼロにしてもよい。
【0171】
なお、実施の形態1から3における食材保管庫1の制御手段等の機能の少なくとも一部は、食材保管庫1とは別の場所に存在する機器によって実現されてもよい。
図32は実施の形態1から3における食材保管システムの機能ブロック図である。
【0172】
食材保管システム100は、食材保管庫1と携帯端末40とサーバ装置50とを備える。食材保管庫1は、少なくとも制御装置20の機能を除いて、実施の形態1から3における食材保管庫1と同様である。
【0173】
携帯端末40は、利用者に所持される機器である。例えば、携帯端末40は、スマートフォンである。携帯端末40は、制御装置20と少なくとも同等の処理回路を有する。携帯端末40には、特定のソフトウェアがインストールされる。食材保管システム100における携帯端末40の各機能は、当該ソフトウェアが実行されることで実現されてもよい。携帯端末40の端末通知部41は、携帯端末40の画面に情報を表示する。携帯端末40は、ネットワークを介して食材保管庫1の制御装置20と通信可能である。
【0174】
食材保管システム100において、携帯端末40が通知手段に相当する。即ち、通知部27は、端末通知部41に食材が長く置かれている旨の情報を送信する。端末通知部41は、通知部27から受信した情報を携帯端末40の画面に表示させる。
【0175】
例えば、サーバ装置50は、食材保管庫1が設けられた建物とは別の建物に設けられる。サーバ装置50は、ネットワークを介して制御装置20および携帯端末40と通信可能である。サーバ装置50は、制御装置20と少なくとも同等の処理回路を有する。サーバ装置50は、食材保管庫1の制御手段として、実施の形態1から3における制御装置20が有している機能の少なくとも一部の機能を有する。一例として、図32には、サーバ装置50が提案部28の機能を有する例が示される。サーバ装置50が有する機能は、図32に示される例に限らず、例えば、制御装置20の全ての機能を有してもよい。
【0176】
サーバ装置50は、クラウドサーバ上に実現されてもよい。この場合、処理回路は、複数の部分回路によって構成される。複数の部分処理回路は、クラウドサーバを構成する複数の装置にそれぞれ設けられる。クラウドサーバを構成する複数の装置は、それぞれが別の建物に設けられてもよい。
【0177】
このような食材保管システム100であっても、利用者に食材が長く置かれている旨を知らせることができる。
【0178】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
保管室を有した筐体と、
前記保管室の内側に設けられ、食材を照らすよう発光する発光手段と、
前記保管室の内側に設けられ、前記発光手段が発光しているときの照度を検出する検出手段と、
前記発光手段と前記検出手段とを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段が検出した照度が第1閾値より大きい場合、前記検出手段の検出範囲に食材が存在すると判定し、前記検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記検出範囲に食材が存在しないと判定する判定部と、
前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに当該食材が存在する期間の計測を開始または継続し、前記検出範囲に食材が存在しないと判定されたときに当該食材が存在する期間をゼロにする管理部と、
食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、利用者に対して当該食材が長く置かれている旨を通知する通知部と、
を有した食材保管庫。
(付記2)
前記発光手段は、前記検出手段と隣り合う位置に配置され、前記検出範囲の方向を照らすように発光し、
前記検出手段は、前記発光手段が食材を照らすことによって当該食材から反射する反射光を受光して検出する付記1に記載の食材保管庫。
(付記3)
前記発光手段からの直接光が前記検出手段に届かないように前記発光手段と前記検出手段との間に設けられた遮光部を有する遮光部材、
を更に備えた付記2に記載の食材保管庫。
(付記4)
前記発光手段と前記検出手段と前記遮光部材とを覆うカバー体、
を更に備え、
前記発光手段からの光は、前記カバー体を通過すると前記発光手段とは反対側に拡散する付記3に記載の食材保管庫。
(付記5)
前記保管室には、食材を出し入れ可能な開口部分と、前記開口部分とは反対側の奥壁と、前記開口部分を塞ぐドアと、が形成され、
前記発光手段は、前記奥壁に設けられ、前記ドアが閉じているときに発光する第1発光手段である付記2から付記4のいずれか一項に記載の食材保管庫。
(付記6)
前記制御手段は、
前記検出手段が検出した照度の大きさに基づいて、前記検出手段と前記検出範囲に存在する食材との推定距離を演算する距離推定部、
を更に有し、
前記管理部は、前記判定部の判定結果と前記距離推定部の演算結果とに基づいて食材が存在する期間を管理する付記1から付記5のいずれか一項に記載の食材保管庫。
(付記7)
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに前記距離推定部に演算された当該食材との今回の推定距離が前回の推定距離に一致しない場合、当該食材が存在する期間をゼロにして計測を継続する付記6に記載の食材保管庫。
(付記8)
発光したときに前記検出範囲を通って前記検出手段に直接光を入光することが可能な範囲に設けられた第2発光手段、
を更に備え、
前記保管室には、食材を出し入れ可能な開口部分と、前記開口部分とは反対側の奥壁と、前記開口部分を塞ぐドアと、前記開口部分と前記奥壁とを繋ぐ側壁と、が形成され、
前記発光手段は、前記奥壁に設けられ、前記ドアが閉じているときに発光する第1発光手段であり、
前記第2発光手段は、前記側壁に設けられ、前記ドアが開いているときに発光し、
前記検出は、前記第1発光手段が発光しているときの照度と前記第2発光手段が発光しているときの照度とを検出し、
前記管理部は、前記判定部の判定結果と前記距離推定部の演算結果と前記第2発光手段が発光しているときの照度とに基づいて、食材が存在する期間を管理する付記6に記載の食材保管庫。
(付記9)
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに前記距離推定部に演算された当該食材との今回の推定距離が前回の推定距離に一致しない場合であって、前記今回の推定距離が演算される直前に前記ドアが開いているときに検出された照度の変化量が第2閾値よりも小さい場合、当該食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する付記8に記載の食材保管庫。
(付記10)
前記保管室の内側において前記発光手段と隣り合う位置に設けられ、発光する隣接発光手段と、
前記保管室の内側において前記隣接発光手段および前記検出手段と隣り合う位置に設けられ、前記隣接発光手段が発光しているときの照度を検出する隣接検出手段と、
を更に備え、
前記管理部は、前記判定部の判定結果と前記距離推定部の演算結果と前記隣接検出手段が検出した照度とに基づいて、前記検出範囲に食材が存在する期間を管理する付記6に記載の食材保管庫。
(付記11)
前記判定部は、前記隣接検出手段が検出した照度が前記第1閾値より大きい場合、前記隣接検出手段の隣接検出範囲に隣接食材が存在すると判定し、前記隣接検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記隣接検出範囲に隣接食材が存在しないと判定し、
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに前記距離推定部に演算された当該食材との今回の推定距離が前回の推定距離に一致しない場合であって、前記隣接検出範囲に前記隣接食材が存在するか否かに関する前記判定部の今回の判定結果が前回の判定結果と異なる場合に、前記検出範囲に当該食材が存在する期間の計測をゼロにせずに継続する付記10に記載の食材保管庫。
(付記12)
前記検出手段と前記検出範囲との間に設けられ、絞り穴の面積を変更することで前記絞り穴から前記検出手段に入光する光の面積を変更する絞り体、
を更に備え、
前記制御手段は、
前記発光手段が発光している間に前記絞り穴の面積が異なる複数の値をとるように前記絞り体を制御する絞り制御部と、
前記絞り穴の面積と前記検出手段で検出された照度との関係に基づいて、前記検出範囲に存在する食材の形状を推定する形状推定部と、
を更に有した付記1から付記11のいずれか一項に記載の食材保管庫。
(付記13)
前記絞り調整部は、前記発光手段が発光している間に前記絞り穴の面積を第1面積と、前記第1面積より大きい第2面積と、に変化させ、
前記形状推定部は、前記絞り穴が前記第1面積であるときに検出された照度と前記絞り穴が前記第2面積であるときに検出された照度との差が、規定の形状閾値よりも小さい場合に、前記検出範囲に存在する食材の形状が丸みを帯びた形状であると推定する付記12に記載の食材保管庫。
(付記14)
前記発光手段は、発光する光の波長を変更可能であり、
前記制御手段は、
前記発光手段が発光した光の波長と前記検出手段が検出した照度とが波長ごとに関連付けられた特徴量に基づいて、前記検出範囲に存在する食材の種類を推定する種類推定部、
を更に有した付記1から付記13のいずれか一項に記載の食材保管庫。
(付記15)
前記管理部は、前記判定部によって前記検出範囲に食材が存在すると判定され、かつ、前記種類推定部が今回の検出で推定した食材の種類が前回の検出で推定した食材の種類と異なる場合、当該食材が存在する期間をゼロにする付記14に記載の食材保管庫。
(付記16)
前記保管室には、食材を出し入れ可能な開口部分と、前記開口部分とは反対側の奥壁と、前記開口部分を塞ぐドアと、前記開口部分と前記奥壁とを繋ぐ側壁と、が形成され、
前記奥壁および前記側壁は、表面の光の吸収率が規定の吸収閾値よりも大きくなるように形成された付記1から付記15のいずれか一項に記載の食材保管庫。
(付記17)
空気を冷却して冷風を生成し、前記保管室の内部に冷風を送り込む冷却手段、
を更に備え、
前記検出範囲に食材が存在する期間が規定の冷却期限を超えた場合、前記冷却手段は、前記検出範囲に送り込む冷風の風量を増加させる付記1から付記16のいずれか一項に記載の食材保管庫。
(付記18)
保管室を有した筐体と、
前記保管室の内側に設けられ、食材を照らすよう発光する発光手段と、
前記保管室の内側に設けられ、前記発光手段が発光しているときの照度を検出する検出手段と、
前記発光手段と前記検出手段とを制御する制御手段と、
利用者に所持され、情報を表示する通知手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段が検出した照度が第1閾値より大きい場合、前記検出手段の検出範囲に食材が存在すると判定し、前記検出手段が検出した照度が前記第1閾値以下の場合、前記検出範囲に食材が存在しないと判定する判定部と、
前記検出範囲に食材が存在すると判定されたときに当該食材が存在する期間の計測を開始または継続し、前記検出範囲に食材が存在しないと判定されたときに当該食材が存在する期間をゼロにする管理部と、
食材が存在する期間が管理期限を超えた場合、前記通知手段に当該食材が長く置かれている旨を表示させる通知部と、
を有した食材保管システム。
【符号の説明】
【0179】
1 食材保管庫、 1a 筐体、 1b ドア、 1c 開閉検知手段、 2 圧縮機、 3 冷却器、 4 送風ファン、 4a ダンパ、 5 風路、 6 風向変更器、 7 前面パネル、 7a 表示部、 7b 操作部、 8,8a,8b,8c 検出器、 9 天井ライト、 10 サーミスタ、 11 基板、 12,12a,12b,12c 奥ライト、 13,13a,13b,13c 照度センサ、 14 遮光部材、 14a 遮光部、 14b 発光穴、 14c 検出穴、 15 カバー体、 15a 正面部、 16 絞り体、 16a 絞り穴、 20 制御装置、 20a プロセッサ、 20b メモリ、 21 冷却制御部、 22 発光制御部、 23 照度取得部、 24 判定部、 25 距離推定部、 26 管理部、 27 通知部、 28 提案部、 29 制御部、 30 形状推定部、 31 DB記憶部、 32 種類推定部、 33 DB作成部、 40 携帯端末、 41 端末通知部、 50 サーバ装置、 C1,C2,C3,C4 保管室、 C1a 側壁、 C1e 開口部、 C1f 奥壁、 E 検出範囲、 F 食材、 F1 食材、 F2 隣接食材、 G グラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図28
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図30
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図32