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  • 特開-繰出容器、及びレフィル容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139625
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】繰出容器、及びレフィル容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20241002BHJP
   A45D 40/06 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A45D40/00 M
A45D40/00 Y
A45D40/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050659
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰紀
(57)【要約】
【課題】新たな棒状内容物を保持した中皿を簡単に取り付けることができる繰出容器及びレフィル容器を提案する。
【解決手段】繰出容器20は、外筒体1と、操作部螺旋溝7c又は操作部係合突起を有する操作部2と、操作部螺旋溝7cに係合するホルダー係合突起8f又は操作部係合突起に係合するホルダー螺旋溝を有する中皿ホルダー8と、棒状内容物Cを保持可能であって中皿ホルダー8に取り付けられる中皿9とを備え、中皿ホルダー8は、中心軸Oに沿って延在するホルダー係合穴8b又は中心軸Oに沿って延在するホルダー係合軸を有し、中皿9は、中心軸Oに沿って延在しホルダー係合穴8bに挿入される中皿係合軸9b又は中心軸Oに沿って延在しホルダー係合軸が挿入されてホルダー係合軸に係合する中皿係合穴を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒体と、
前記外筒体に対して該外筒体の中心軸まわりに回転可能に保持され、操作部螺旋溝、又は操作部係合突起を有する操作部と、
前記外筒体の内側に配置されて前記中心軸に沿って移動可能であって且つ該中心軸まわりの回転が規制され、前記操作部螺旋溝に係合するホルダー係合突起、又は前記操作部係合突起に係合するホルダー螺旋溝を有する中皿ホルダーと、
底部と周壁部を有し該底部と該周壁部の内側に設けられる棒状内容物を保持可能であって、前記中皿ホルダーに取り付けられる中皿と、を備え、
前記中皿ホルダーは、前記中皿を取り付けた際に前記底部に対向する天壁部と、該天壁部に設けられ前記中心軸に沿って延在するホルダー係合穴、又は該天壁部から該中心軸に沿って延在するホルダー係合軸とを有し、
前記中皿は、前記底部から前記中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合穴に挿入されて該ホルダー係合穴に係合する中皿係合軸、又は該底部に設けられ該中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合軸が挿入されて該ホルダー係合軸に係合する中皿係合穴を有する、繰出容器。
【請求項2】
外筒体と、該外筒体に対して回転可能に保持される操作部と、該外筒体の内側に配置され該操作部を該外筒体の中心軸まわりに回転させると該中心軸に沿って移動する中皿ホルダーとを備える繰出容器に使用されるレフィル容器であって、
底部と周壁部を有し、前記中皿ホルダーに取り付けられる中皿と、
前記中皿に装着されて該中皿との間に内部空間を区画形成するオジーブと、
前記内部空間に設けられ前記中皿で保持される棒状内容物と、を備え、
前記中皿ホルダーは、前記中皿を取り付けた際に前記底部に対向する天壁部と、該天壁部に設けられ前記中心軸に沿って延在するホルダー係合穴、又は該天壁部から該中心軸に沿って延在するホルダー係合軸とを有し、
前記中皿は、前記底部から前記中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合穴に挿入されて該ホルダー係合穴に係合する中皿係合軸、又は該底部に設けられ該中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合軸が挿入されて該ホルダー係合軸に係合する中皿係合穴を有する、レフィル容器。
【請求項3】
前記中皿ホルダーは、前記ホルダー係合穴を有し、
前記中皿は、前記中皿係合軸を有し、
前記中皿係合軸は、該中皿係合軸を貫通して前記内部空間に通じていて溶融した前記棒状内容物が充填される充填口を有する、請求項2に記載のレフィル容器。
【請求項4】
前記周壁部は、前記中皿を取り付けた前記中皿ホルダーが前記中心軸に沿って前進限まで移動した際に前記外筒体から露出する周壁係合部を有し、
前記オジーブは、前記中皿で保持する前記棒状内容物が使用されて前記中皿ホルダーが前記前進限まで移動した状態において前記周壁部が挿入可能な筒壁部を有し、
前記筒壁部は、前記周壁部が挿入された状態において前記周壁係合部に係合する筒壁係合部を有する、請求項2に記載のレフィル容器。
【請求項5】
前記オジーブは、前記中心軸から離れる向きに突出するフランジを有し、
前記フランジは、前記中心軸に沿って前進限まで移動した前記中皿ホルダーが、前記オジーブが装着された前記中皿を取り付けた状態で後退する際、前記外筒体の開口端部に係合して該オジーブの後退移動を阻止するように機能する、請求項2に記載のレフィル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出容器、及びこの繰出容器に使用されるレフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅やリップクリーム、或いはスティックタイプの糊のような棒状内容物を収容する容器として、外筒体の下部に設けられた操作部を回転させることによって中皿を前進させ、中皿で保持した棒状内容物を外筒体の上部開口から繰り出すことができる繰出容器が既知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、棒状内容物を使い切った後は新たな棒状内容物に取り換えることができる繰出容器も知られている。特許文献2には、棒状口紅(棒状内容物)を保持する中皿、及びこの中皿に装着されるオジーブにより構成されるレフィル容器と、容器本体(外筒体)の下部に設けられた底部筒(操作部)を回転させることによって保持筒(中皿ホルダー)が前進するように構成された繰出容器が示されている。ここで保持筒は、中皿を着脱できるように構成されているため、使用後の棒状口紅を保持した中皿を保持筒から取り外し、新たな棒状口紅を保持した中皿を保持筒に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-062016号公報
【特許文献2】特開2002-85153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献2に示された保持筒(71)と中皿(43)は、以下の工程で取り付けられる。すなわち、使用後の棒状口紅(59)を保持する中皿(43)が取り外された保持筒(71)に対し、まず新たな棒状口紅(59)を保持したレフィル容器の中皿(43)を保持筒(71)に挿入する。このとき、保持筒(71)の矩形凸部(75)を中皿(43)の筒軸方向凹部(47a)に挿入する必要があるため、保持筒(71)と中皿(43)の周方向の向きを合せておく必要がある。次いで、容器本体(21)に対して中皿(43)を回転させることにより、矩形凸部(75)を周方向凹部(47b)に係合させる。
【0006】
このように特許文献2に示された保持筒と中皿との取り付けは、保持筒と中皿の周方向の向きを合せておかなければならず、また保持筒に中皿を挿入し、次いで保持筒に対して中皿を回転させるという2つの手順を実施しなければならない。
【0007】
このような点に鑑み、本発明は、新たな棒状内容物を保持した中皿を簡単に取り付けることができる繰出容器、及びこの繰出容器に使用されるレフィル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
外筒体と、
前記外筒体に対して該外筒体の中心軸まわりに回転可能に保持され、操作部螺旋溝、又は操作部係合突起を有する操作部と、
前記外筒体の内側に配置されて前記中心軸に沿って移動可能であって且つ該中心軸まわりの回転が規制され、前記操作部螺旋溝に係合するホルダー係合突起、又は前記操作部係合突起に係合するホルダー螺旋溝を有する中皿ホルダーと、
底部と周壁部を有し該底部と該周壁部の内側に設けられる棒状内容物を保持可能であって、前記中皿ホルダーに取り付けられる中皿と、を備え、
前記中皿ホルダーは、前記中皿を取り付けた際に前記底部に対向する天壁部と、該天壁部に設けられ前記中心軸に沿って延在するホルダー係合穴、又は該天壁部から該中心軸に沿って延在するホルダー係合軸とを有し、
前記中皿は、前記底部から前記中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合穴に挿入されて該ホルダー係合穴に係合する中皿係合軸、又は該底部に設けられ該中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合軸が挿入されて該ホルダー係合軸に係合する中皿係合穴を有する、繰出容器である。
【0009】
また本発明は、
外筒体と、該外筒体に対して回転可能に保持される操作部と、該外筒体の内側に配置され該操作部を該外筒体の中心軸まわりに回転させると該中心軸に沿って移動する中皿ホルダーとを備える繰出容器に使用されるレフィル容器であって、
底部と周壁部を有し、前記中皿ホルダーに取り付けられる中皿と、
前記中皿に装着されて該中皿との間に内部空間を区画形成するオジーブと、
前記内部空間に設けられ前記中皿で保持される棒状内容物と、を備え、
前記中皿ホルダーは、前記中皿を取り付けた際に前記底部に対向する天壁部と、該天壁部に設けられ前記中心軸に沿って延在するホルダー係合穴、又は該天壁部から該中心軸に沿って延在するホルダー係合軸とを有し、
前記中皿は、前記底部から前記中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合穴に挿入されて該ホルダー係合穴に係合する中皿係合軸、又は該底部に設けられ該中心軸に沿って延在し前記ホルダー係合軸が挿入されて該ホルダー係合軸に係合する中皿係合穴を有する、レフィル容器でもある。
【0010】
前記中皿ホルダーは、前記ホルダー係合穴を有し、
前記中皿は、前記中皿係合軸を有し、
前記中皿係合軸は、該中皿係合軸を貫通して前記内部空間に通じていて溶融した前記棒状内容物が充填される充填口を有することが好ましい。
【0011】
前記周壁部は、前記中皿を取り付けた前記中皿ホルダーが前記中心軸に沿って前進限まで移動した際に前記外筒体から露出する周壁係合部を有し、
前記オジーブは、前記中皿で保持する前記棒状内容物が使用されて前記中皿ホルダーが前記前進限まで移動した状態において前記周壁部が挿入可能な筒壁部を有し、
前記筒壁部は、前記周壁部が挿入された状態において前記周壁係合部に係合する筒壁係合部を有することが好ましい。
【0012】
前記オジーブは、前記中心軸から離れる向きに突出するフランジを有し、
前記フランジは、前記中心軸に沿って前進限まで移動した前記中皿ホルダーが、前記オジーブが装着された前記中皿を取り付けた状態で後退する際、前記外筒体の開口端部に係合して該オジーブの後退移動を阻止するように機能することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の繰出容器において、中皿ホルダーは、天壁部に設けられて外筒体の中心軸に沿って延在するホルダー係合穴、又は天壁部から中心軸に沿って延在するホルダー係合軸を有し、中皿は、底部から中心軸に沿って延在しホルダー係合穴に挿入されてホルダー係合穴に係合する中皿係合軸、又は底部に設けられて中心軸に沿って延在しホルダー係合軸が挿入されてホルダー係合軸に係合する中皿係合穴を備えている。すなわち、本発明の繰出容器によれば、新たな棒状内容物を保持した中皿を中皿ホルダーに取り付けるにあたって中皿と中皿ホルダーとを周方向に位置合せする必要はなく、また中皿を外筒体の中心軸に沿って移動させるだけで両者の取り付けが完了する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る繰出容器とレフィル容器の一実施形態を示す側面視での断面図であって、レフィル容器によって使用後の棒状内容物が保持された中皿を繰出容器から取り外す状態を示した図である。
図2図1に示した状態の後、オジーブの筒壁係合部を中皿の周壁係合部に係合させた状態を示した図である。
図3図2に示した状態の後、レフィル容器を繰出容器から引き上げて中皿が中皿ホルダーから取り外された状態を示した図である。
図4図3に示した状態の後、レフィル容器を上下逆さまにして新たな棒状内容物が保持された中皿を外筒体に挿入する状態を示した図である。
図5図4に示した状態の後、中皿を外筒体に更に挿入してホルダー係合穴と中皿係合軸が係合した状態を示した図である。
図6図5に示した状態の後、操作部を回転させて中皿ホルダーとともに中皿と棒状内容物を後退させ、オジーブから棒状内容物を分離させた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明に従う繰出容器の一実施形態(繰出容器20)とレフィル容器の一実施形態(レフィル容器21)について説明する。なお以下の説明では、図面に示した向きで説明することとする。ここで上下方向とは、図1に示した中心軸O(以下に説明する外筒体1の中心軸)に沿う方向である。また径方向とは、中心軸Oに対して垂直な面内で中心軸Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で中心軸Oを中心として周回する方向である。また図1は、後述する中皿ホルダー8が前進限(上昇限)へ移動した状態を示していて、図6は、中皿ホルダー8が後退限(下降限)へ移動した状態を示している。
【0016】
本実施形態の繰出容器20は、棒状内容物Cを繰り出すものであって、外筒体1、操作部2(操作下部材3、操作上部材4、ベース5、Oリング6、中間部材7で構成される)、中皿ホルダー8、及び中皿9で構成される。またレフィル容器21は、新たな棒状内容物Cを保持する中皿9、及びオジーブ10で構成される。繰出容器20、及びレフィル容器21を構成する各部材は種々の素材で形成可能であるが、本実施形態の各部材は、以下で個別に説明する場合を除いて合成樹脂で形成されている。また各部材の詳細な形態は後述するが、各部材の中心は何れも中心軸Oと一致している。
【0017】
外筒体1は、中心軸Oを中心とする円筒状の外筒壁1aを備えている。外筒壁1aの下部には、外筒壁1aを径方向内側へ向けて湾曲させた内向き凸部1bが設けられている。そして、図1の部分拡大図に示すように外筒壁1aの内周面には、上下方向に延在する縦溝1cが設けられている。ここで、外筒体1における上方に開口した部位の端部を開口端部1dと称する。
【0018】
操作下部材3は、円板状になる下部壁3aと、下部壁3aの外縁部から上方に向けて延在する円筒状の下部周壁3bを備えている。下部壁3aの上面には、断面視で爪状になる外側爪部3cが設けられている。そして外側爪部3cの内周面には、周方向に間隔をあけて設けられる回り止め凸部3dが設けられている(図1の部分拡大図を参照)。
【0019】
操作上部材4は、円筒状をなしていて上端部が径方向内側に延在する上部周壁4aを備えている。上部周壁4aの外周面には、径方向外側に向けて延在する円環板状のリング壁4bが設けられている。上部周壁4aは、下部周壁3bに挿入されてこれに嵌合保持される。そしてリング壁4bは、上部周壁4aを下部周壁3bに挿入した際に下部周壁3bに接触し、操作上部材4が操作下部材3に過剰に入り込まないようにするストッパーとして機能する。なお操作上部材4は、外筒体1を覆う有蓋筒状のキャップ(不図示)を着脱可能に保持する機能を有する。
【0020】
ベース5は、有蓋筒状になる基部5aを備えている。基部5aの下部には、断面視で爪状になる内側爪部5bが設けられている。内側爪部5bの外周面には、周方向に間隔をあけて設けられる回り止め凹部5cが設けられている(図1の部分拡大図を参照)。図示したように、内側爪部5bは外側爪部3cに係合するものであり、回り止め凹部5cは回り止め凸部3dが挿入されるものであって、これらによってベース5は、操作下部材3に対して抜け止め保持され、且つ回り止め保持される。そして基部5aにおける内側爪部5bの上方には、基部5aの外周面を径方向内側に向けて凹ませた環状凹部5dが設けられている。
【0021】
またベース5は、円筒状をなし、基部5aの上面から中心軸Oに沿って上方に向けて延在するベース筒部5eを備えている。ベース筒部5eの外周面には、ベース螺旋溝5fが設けられている。
【0022】
Oリング6は、円環状をなしていて弾性を有する素材で形成されている。Oリング6は、環状凹部5dに取り付けられて内向き凸部1bに対して接触する。上述したように、ベース5は操作下部材3に回り止め保持されている。従って外筒体1に対して操作下部材3を回転させた際、内向き凸部1bとOリング6との間で適度な摺動抵抗が生じるため、操作性を向上させることができる。
【0023】
中間部材7は、円筒状をなし、ベース筒部5eに挿入される中間筒部7aを備えている。中間筒部7aの内周面には、ベース螺旋溝5fに係合する中間係合突起7bが設けられている。そして中間筒部7aの外周面には、中間螺旋溝7cが設けられている。なお中間螺旋溝7cは、本明細書等における「操作部螺旋溝」に相当する部位である。
【0024】
中皿ホルダー8は、円板状をなすとともに中央部に円形の貫通孔を有する天壁部8aを備えている。天壁部8aの下面には、この貫通孔を取り囲んで下方に向けて延在する円筒部分が設けられていて、この円筒部分の内周面には、径方向内側に向けて突出する凸部分が設けられている。ここで、凸部分が設けられた円筒部分の内側に位置する穴をホルダー係合穴8bと称する。なお、本実施形態のホルダー係合穴8bは、図示したように上下方向に貫通しているが、下方の開口は閉じていてもよい
【0025】
また中皿ホルダー8は、天壁部8aの外縁部から下方に向けて延在する円筒状のホルダー周壁部8cを備えている。図1の部分拡大図に示すようにホルダー周壁部8cの外周面には、上下方向に延在して縦溝1cに係合する縦リブ8dが設けられている。このような縦溝1cと縦リブ8dによって中皿ホルダー8は、外筒体1に対して中心軸Oに沿って移動可能である一方、中心軸Oまわりの回転が規制される。
【0026】
更に中皿ホルダー8は、ホルダー周壁部8cの径方向内側において、天壁部8aの下面から下方に向けて延在する内側周壁部8eを備えている。内側周壁部8eには、下方から上方へ向けて延在する複数のスリットが設けられていて、隣り合うスリットの間は径方向外側に向けて弾性変形可能である。また内側周壁部8eにおける弾性変形可能な部位には、径方向内側に向けて突出して中間螺旋溝7cに係合するホルダー係合突起8fが設けられている。
【0027】
中皿9は、円板状をなすとともに中央部に円形の貫通孔を有する底部9aを備えている。底部9aの下面には、この貫通穴を取り囲んで下方に向けて延在する円筒状部分が設けられていて、この円筒状部分の外周面には、径方向外側に向けて突出する凸部分が設けられている。ここで、凸部分が設けられた円筒状部分を中皿係合軸9bと称する。また、中皿係合軸9bの下端部における開口を、充填口9cと称する。中皿係合軸9bは、図1に示すようにホルダー係合穴8bに挿入されてこれに係合するため、中皿ホルダー8で中皿9を保持することができる。
【0028】
また中皿9は、底部9aの外縁部から上方に向けて延在する周壁部9dを備えている。周壁部9dの内周面には、上下方向に延在するとともに周方向に間隔をあけて設けられる保持リブ9eが設けられている。
【0029】
更に中皿9は、図2の部分拡大図に示すように周壁部9dの上部に設けられ、周壁部9dの外周面から径方向外側に向けて突出する周壁係合部9fを備えている。周壁係合部9fは、図1に示すように中皿ホルダー8が前進限(上昇限)に移動した状態において、外筒体1よりも上方に位置していて、外筒体1から露出している。
【0030】
なお、図示したように底部9aと周壁部9dの内側には、棒状内容物Cが設けられている。繰出容器20が備える棒状内容物Cは、元々、レフィル容器21が備える棒状内容物Cと同様の形状をなすものであって、周壁部9dよりも上方に突出するものであるが、図1では、既に周壁部9dの上端に至るまで使用した状態を示している。後述するように本実施形態の棒状内容物Cは、溶融させた棒状内容物Cの原料を充填口9cから充填してこれを固化したものであり、棒状内容物Cは、保持リブ9eが内側に入り込んだ状態で底部9aと周壁部9dに接触して中皿9に保持されている。
【0031】
オジーブ10は、図1に示すように有底筒状になるオジーブ本体部10aを備えている。オジーブ本体部10aの上端部には、オジーブ本体部10aよりも大径になる円筒状の拡径部10bが設けられている。そして拡径部10bの上端部には、径方向外側に向けて延在するフランジ10cが設けられ、フランジ10cの外縁部には、上方に向けて延在する円筒状のガイド筒10dが設けられている。拡径部10bの内径は、周壁係合部9fの外径と略同一又はこれよりも若干大きくなっていて、ガイド筒10dの内径は、外筒壁1aの外径と略同一又はこれよりも若干大きくなっている。
【0032】
またオジーブ10は、図1に示すようにオジーブ本体部10aから下方に向けて延在する円筒状の筒壁部10eを備えている。筒壁部10eの内周面における下部には、径方向内側に向けて突出する筒壁係合部10fが設けられている。また筒壁部10eの内周面における上部には、上下方向に延在するストッパーリブ10gが設けられている。
【0033】
ここで、図1に示したレフィル容器21について説明する。オジーブ10の拡径部10bに中皿9の周壁部9dを挿入して中皿9にオジーブ10を装着した際、中皿9とオジーブ10との間には、内部空間Nが区画形成される。この内部空間Nは、充填口9cと通じている。そして充填口9cから溶融させた棒状内容物Cの原料を内部空間Nに充填し、内部空間Nで固化させることによって、中皿9とオジーブ10の内側に棒状内容物Cが設けられたレフィル容器21を製造することができる。
【0034】
次に、上述した部材で構成される繰出容器20に関し、外筒体1に対して操作下部材3を回転した際の動作について説明する。外筒体1に対して操作下部材3を回転させると、操作下部材3に回り止めされたベース5も操作下部材3とともに回転する。ここでベース5に設けたベース螺旋溝5fには、中間部材7の中間係合突起7bが係合している。また中間部材7の中間螺旋溝7cには、中皿ホルダー8のホルダー係合突起8fが係合している。そして中皿ホルダー8は、外筒体1に対して中心軸Oに沿って移動可能である一方、中心軸Oまわりの回転が規制された状態にある。ここで、図6に示すように中皿ホルダー8が後退限に移動した状態で操作下部材3を回転させ、これによりベース5も回転すると、ベース螺旋溝5fに中間係合突起7bが係合していることで中間部材7がベース5とともに回転し、更にホルダー係合突起8fに対して中間螺旋溝7cが回転して、これにより中皿ホルダー8が中間部材7に対して前進する(第一前進パターン)、若しくは、中間係合突起7bに対してベース螺旋溝5fが回転し、これにより中間部材7がベース5に対して前進することにより中皿ホルダー8が前進する(第二前進パターン)、又は第一前進パターンと第二前進パターンの組み合わせにより中皿ホルダー8が前進する。なお、第一前進パターンと第二前進パターンの何れが優先して生じるかは、例えばベース螺旋溝5fと中間係合突起7bとの摩擦力と、中間螺旋溝7cとホルダー係合突起8fとの摩擦力の何れが大きいか等による。このように第一前進パターンと第二前進パターンの何れでも中皿ホルダー8が前進する。従って外筒体1に対して操作下部材3を回転すると、中皿ホルダー8とともに中皿9で保持された棒状内容物Cも前進し、また外筒体1に対して操作下部材3を逆方向に回転すると、中皿ホルダー8とともに中皿9で保持された棒状内容物Cも後退する。従って、棒状内容物Cを前進させてこれを開口端部1dから突出させることにより、塗布先に棒状内容物Cを塗布することができる。また使用後は、棒状内容物Cを後退させてこれを外筒壁1aの内側に格納することができる。
【0035】
このように繰出容器20を動作させて棒状内容物Cを使い切った後は、図1図6に示した手順によって、使用後の棒状内容物Cを保持する中皿9を繰出容器20から取り外することができ、また、レフィル容器21が備える新たな棒状内容物Cを保持した中皿9を繰出容器20に取り付けることができる。
【0036】
繰出容器20から中皿9を取り外すにあたっては、まず図1に示すように中皿ホルダー8を前進限まで移動させる。これにより周壁係合部9fを、外筒体1よりも上方に位置させることができる。そして、筒壁部10eが下方に位置する状態でレフィル容器21を繰出容器20の中皿9に近づける。
【0037】
そして、筒壁部10eに周壁部9dを挿入しつつ、レフィル容器21を繰出容器20の中皿9に更に近づけると、図2に示すように筒壁係合部10fを周壁係合部9fに係合させることができる。なお、筒壁係合部10fを周壁係合部9fに係合させた際、筒壁部10eの下端部は外筒体1の開口端部1dに対して接触又は近接し、ストッパーリブ10gの下端部は周壁部9dの上端部に対して接触又は近接するため、レフィル容器21を繰出容器20に対して過剰に押し込むことがない。
【0038】
その後は、図3に示すように繰出容器20に対してレフィル容器21を引き上げる。上述したように筒壁係合部10fは周壁係合部9fに係合しているため、繰出容器20に取り付けていた中皿9に上方へ向かう力が作用する。これにより、ホルダー係合穴8bと中皿係合軸9bとの係合が解除され、使用後の棒状内容物Cを保持する中皿9を繰出容器20から取り外すことができる。
【0039】
ところで特許文献2に示された繰出容器において、使用後の棒状口紅(59)が保持されている中皿(43)を保持筒(71)から取り外す際は、容器本体(21)に対して中皿(43)を回転して矩形凸部(75)と周方向凹部(47b)との係合を解除させている。しかし、矩形凸部(75)と周方向凹部(47b)は容器本体(21)に隠れていて外側から視認できないため、中皿(43)を取り外す方法が分かりにくくなっている。一方、本実施形態の筒壁部10eは、オジーブ10から突出していて目立つため、中皿9を取り外す方法が利用者にとって分かりやすいという利点がある。
【0040】
次いで、図4に示すようにレフィル容器21を上下逆さまの姿勢に変位させ、レフィル容器21が備える新たな棒状内容物Cを保持した中皿9を中皿ホルダー8に近づけて、周壁部9dを外筒壁1aに挿入する。
【0041】
そして、レフィル容器21を中皿ホルダー8に更に近づけると、図5に示すようにホルダー係合穴8bに中皿係合軸9bを係合させることができる。ここで、ホルダー係合穴8bと中皿係合軸9bは、ともに中心軸Oに沿って延在している。すなわち、ホルダー係合穴8bと中皿係合軸9bを係合させる際に、レフィル容器21と中皿ホルダー8とを周方向に位置合せする必要がないため、両者の取り付けが容易に行える。なお図5に示した状態において、フランジ10cは開口端部1dに接触していて、ガイド筒10dは外筒体1の上部を取り囲んでいる。
【0042】
その後は、外筒体1に対して操作下部材3を回転して、図6に示すように中皿ホルダー8を後退限へ移動させる。ここで、ホルダー係合穴8bと中皿係合軸9bは係合しているため、中皿ホルダー8が後退すると中皿9も後退し、これにより中皿9に保持された新たな棒状内容物Cにも下方への力が作用する。一方、フランジ10cが開口端部1dに接触しているため、オジーブ10は外筒体1に対して下方へ移動することができない。このため中皿9に保持された棒状内容物Cを、オジーブ10から分離させることができる。上述したように本実施形態のオジーブ10は、外筒体1の上部を取り囲むガイド筒10dを備えていて、外筒体1はオジーブ10を傾きなく保持することができる。すなわち、オジーブ10に対して棒状内容物Cを、下方に向けて真っ直ぐに移動させることができるため、オジーブ本体部10aの内面に沿う形状で形作られた棒状内容物Cを、その形状を保ったままオジーブ10から分離させることができる。
【0043】
しかる後は、オジーブ10を外筒体1から取り外すことにより、新たな棒状内容物Cに取り換えた状態で繰出容器20を使用することができる。また使用後の棒状内容物Cを保持した中皿9は、周壁係合部9fが筒壁係合部10fに係合してオジーブ10に保持されていて、これらを一体的に廃棄することが可能であるため利便性に優れる。また棒状内容物Cを保持した中皿9とオジーブ10とを分離させることも可能であるため、リサイクル性の観点でも優れている。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0045】
例えば上述した実施形態において、操作部2は、ベース5と中間部材7を備えることによって、中皿ホルダー8の前進量を確保しつつ(すなわち棒状内容物Cの長さを確保して十分な容量を維持しつつ)繰出容器20の高さを減らすことができるが、ベース5と中間部材7を一体的に形成した操作部2を用いてもよい。
【0046】
また上述した実施形態においては、中間部材7に中間螺旋溝7c(操作部螺旋溝)を設け、中皿ホルダー8にホルダー係合突起8fを設けたが、螺旋溝と係合突起を設ける対象を逆にして、中間部材7に操作部係合突起を設け、中皿ホルダー8にホルダー螺旋溝を設けてもよい。そして上述した実施形態においては、中皿ホルダー8にホルダー係合穴8bを設け、中皿9に中皿係合軸9bを設けたが、係合穴と係合軸を設ける対象を逆にして、中皿ホルダー8にホルダー係合軸を設け、中皿9に中皿係合穴を設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1:外筒体
1a:外筒壁
1b:内向き凸部
1c:縦溝
1d:開口端部
2:操作部
3:操作下部材
3a:下部壁
3b:下部周壁
3c:外側爪部
3d:回り止め凸部
4:操作上部材
4a:上部周壁
4b:リング壁
5:ベース
5a:基部
5b:内側爪部
5c:回り止め凹部
5d:環状凹部
5e:ベース筒部
5f:ベース螺旋溝
6:Oリング
7:中間部材
7a:中間筒部
7b:中間係合突起
7c:中間螺旋溝(操作部螺旋溝)
8:中皿ホルダー
8a:天壁部
8b:ホルダー係合穴
8c:ホルダー周壁部
8d:縦リブ
8e:内側周壁部
8f:ホルダー係合突起
9:中皿
9a:底部
9b:中皿係合軸
9c:充填口
9d:周壁部
9e:保持リブ
9f:周壁係合部
10:オジーブ
10a:オジーブ本体部
10b:拡径部
10c:フランジ
10d:ガイド筒
10e:筒壁部
10f:筒壁係合部
10g:ストッパーリブ
20:繰出容器
21:レフィル容器
C:棒状内容物
N:内部空間
O:中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6