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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139631
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】固定部品及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20241002BHJP
   G06F 3/02 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
H01H13/14 B
G06F3/02 400
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050672
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】石田 新
【テーマコード(参考)】
5B020
5G206
【Fターム(参考)】
5B020DD02
5G206AS02H
5G206AS02J
5G206AS02N
5G206AS08N
5G206AS11N
5G206ES16N
5G206GS02
(57)【要約】
【課題】物理キーを固定する技術を改善する。
【解決手段】固定部品は、部材に固定される固定部と、キー部品の押し子が挿入される貫通孔と、第1端部及び第2端部と、第1スリットと、第2スリットとを備える。第1端部及び第2端部は、貫通孔から固定部に向かう第1方向に沿って延びる第1端部及び第2端部であって、貫通孔を挟んで位置する。第1スリットは、第1端部から第1方向と交わる第2方向に沿って延びる。第2スリットは、第2端部から第2方向に沿って延びる。貫通孔と固定部との間において、第1スリットと第2スリットとは、隣り合う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材に固定される固定部と、
キー部品の押し子が挿入される貫通孔と、
前記貫通孔から前記固定部に向かう第1方向に沿って延びる第1端部及び第2端部であって、前記貫通孔を挟んで位置する第1端部及び第2端部と、
前記第1端部から前記第1方向と交わる第2方向に沿って延びる第1スリットと、
前記第2端部から前記第2方向に沿って延びる第2スリットと
を備え、
前記貫通孔と前記固定部との間において、前記第1スリットと前記第2スリットとは、隣り合う、
固定部品。
【請求項2】
前記第1スリットの先端部に開口部をさらに備える、請求項1に記載の固定部品。
【請求項3】
前記第2スリットの先端部に開口部をさらに備える、請求項1に記載の固定部品。
【請求項4】
2つの前記第1スリットをさらに備え、
前記2つの第1スリットの間には、前記貫通孔が位置する、請求項1に記載の固定部品。
【請求項5】
2つの前記第2スリットをさらに備え、
前記2つの第2スリットの間には、前記貫通孔が位置する、請求項1に記載の固定部品。
【請求項6】
2つの前記固定部を備え、
前記貫通孔は、前記2つの固定部の間に位置する、請求項1に記載の固定部品。
【請求項7】
複数の前記第1スリット及び複数の前記第2スリットのうち、
前記貫通孔の側に位置する第1スリット又は第2スリットは、上面視において、前記キー部品の本体部の内側に位置し、
前記固定部の側に位置する第1スリット又は第2スリットは、上面視において、前記キー部品の本体部の外側に位置する、請求項1に記載の固定部品。
【請求項8】
前記第2方向において前記第1スリットと前記第2スリットとが重複する幅は、前記第2スリットの先端部と前記第1端部との間の幅の最小値に基づいて設定される、請求項1から7までの何れか一項に記載の固定部品。
【請求項9】
前記固定部の貫通孔の側の端から前記キー部品の本体部までの長さは、前記キー部品のストローク量に基づいて設定される最大値である、請求項1から7までの何れか一項に記載の固定部品。
【請求項10】
電子機器であって、固定部品を備え、
前記固定部品は、
部材に固定される固定部と、
キー部品の押し子が挿入される貫通孔と、
前記貫通孔から前記固定部に向かう第1方向に沿って延びる第1端部及び第2端部であって、前記貫通孔を挟んで位置する第1端部及び第2端部と、
前記第1端部から前記第1方向と交わる第2方向に沿って延びる第1スリットと、
前記第2端部から前記第2方向に沿って延びる第2スリットと
を備え、
前記貫通孔と前記固定部との間において、前記第1スリットと前記第2スリットとは、隣り合う、電子機器。
【請求項11】
前記キー部品をさらに備え、
前記キー部品は、
操作キーと、
前記操作キーが押されると、前記操作キーとともに移動する前記押し子と、
前記操作キーが押されると、前記電子機器の内部の板部に当接する当接部と
を備える、請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記キー部品は、本体部をさらに備え、
前記本体部の厚さは、前記キー部品の設計において許容される厚さの最小値に基づいて設定される、請求項10に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定部品及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理キーを固定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、板ばね部が記載されている。特許文献1に記載の板ばね部に設けられたフック部材は、キーボード装置に設けられた係合穴に係合可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-185241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物理キーを固定する従来の技術には、改善の余地がある。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、物理キーを固定する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る固定部品は、
部材に固定される固定部と、
キー部品の押し子が挿入される貫通孔と、
前記貫通孔から前記固定部に向かう第1方向に沿って延びる第1端部及び第2端部であって、前記貫通孔を挟んで位置する第1端部及び第2端部と、
前記第1端部から前記第1方向と交わる第2方向に沿って延びる第1スリットと、
前記第2端部から前記第2方向に沿って延びる第2スリットと
を備え、
前記貫通孔と前記固定部との間において、前記第1スリットと前記第2スリットとは、隣り合う。
【0007】
本開示の一実施形態に係る電子機器は、
電子機器であって、固定部品を備え、
前記固定部品は、
部材に固定される固定部と、
キー部品の押し子が挿入される貫通孔と、
前記貫通孔から前記固定部に向かう第1方向に沿って延びる第1端部及び第2端部であって、前記貫通孔を挟んで位置する第1端部及び第2端部と、
前記第1端部から前記第1方向と交わる第2方向に沿って延びる第1スリットと、
前記第2端部から前記第2方向に沿って延びる第2スリットと
を備え、
前記貫通孔と前記固定部との間において、前記第1スリットと前記第2スリットとは、隣り合う。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態によれば、物理キーを固定する技術を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る電子機器の分解図である。
図2図1に示す電子機器の一部拡大図である。
図3図2に示すI1-I1線に沿った断面斜視図である。
図4図2に示すI1-I1線に沿った断面図である。
図5図2に示すI2-I2線に沿った断面図である。
図6図2に示すキー部品及び固定部品の上面図である。
図7】本開示の第1変形例に係る固定部品の上面図である。
図8】本開示の第2変形例に係る固定部品の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。以下の実施形態では、本開示の電子機器は、スマートフォンであるものとして説明する。ただし、本開示の電子機器は、本開示のキー部品及び固定部品を採用可能なものであれば、任意の電子機器であってよい。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る電子機器1は、本体部2と、カバー部材3と、ケース部材4と、開口部5と、キー部品10と、固定部品20とを備える。
【0012】
本体部2には、電子機器1の多様な電子部品が収容される。本体部2には、カバー部材3及びケース部材4が取り付けられる。カバー部材3は、外部の衝撃から本体部2を保護する。カバー部材3の内側には、ケース部材4が取り付けられる。開口部5は、カバー部材3及びケース部材4に位置する。
【0013】
キー部品10は、ユーザによって押される。キー部品10がユーザによって押されると、キー部品10は、図2に示すような矢印Aの方向に移動する。キー部品10は、PET(Polyethyleneterephthalate)又はPC(Polycarbonate)等の樹脂材料で形成されてよい。
【0014】
固定部品20は、図2に示すように、キー部品10をケース部材4に固定する。固定部品20は、矢印Aの方向にキー部品10が所定のストローク量移動可能になるように、キー部品10を固定する。キー部品10が矢印Aの方向に移動すると、固定部品20には、矢印Aの方向に応力がかかる。固定部品20に矢印Aの方向に応力がかかると、固定部品20は、変形する。固定部品20は、薄い板状である。固定部品20は、PET又はPC等の樹脂材料で形成されてよい。
【0015】
キー部品10は、図3に示すように、本体部11と、操作キー12と、押し子13とを備える。キー部品10は、図2に示すように、当接部14と、当接部15とを備える。
【0016】
本体部11は、図3及び図4に示すように、平板状である。本体部11は、平板状であることにより、互いに対向する2つの面を含む。本体部11の2つの面のうち、一方の面には操作キー12が位置し、他方の面には押し子13が位置する。
【0017】
図4に示すような本体部11の厚さT1は、薄くてよい。この厚さT1が薄いほど、固定部品20は、キー部品10の矢印Aの方向への移動に応じて、変形し易くなる。厚さT1は、キー部品10の設計において許容される厚さの最小値に基づいて設定されてよい。厚さT1は、キー部品10の設計において許容される厚さの最小値であってよい。
【0018】
操作キー12は、ユーザによって押される。操作キー12は、図3に示すように、本体部11の中央又は中央付近に位置する。操作キー12は、開口部5に位置する。操作キー12は、本体部11から突出する。操作キー12は、例えば、凸形状である。操作キー12が本体部11から突出することにより、操作キー12の表面12Sは、開口部5から露出する。表面12Sは、ユーザの指によって押される。表面12Sがユーザの指によって押されると、矢印Aの方向にキー部品10が移動する。表面12Sは、図3及び図4に示すように断面視において凸凹形状である。表面12Sが凸凹形状であることにより、ユーザの指が表面12Sから滑る可能性を低減することができる。
【0019】
押し子13は、図3に示すように、本体部11の中央又は中央付近に位置する。押し子13は、操作キー12が突出する方向とは反対方向に、本体部11から突出する。押し子13は、例えば、凸形状である。押し子13は、円柱状であってよい。押し子13は、操作キー12がユーザの指によって押されると、操作キー12とともに矢印Aの方向に移動する。押し子13は、矢印Aの方向に移動することにより、図5に示すような電子機器1内の部品6を押す。
【0020】
当接部14及び当接部15は、図2に示すように、押し子13が突出する方向と同じ方向に、それぞれ突出する。当接部14及び当接部15は、本体部11の2つの面のうちの押し子13が位置する面に、位置する。当接部14及び当接部15は、本体部11の縁部に沿って延びる。当接部14及び当接部15は、押し子13を挟んで位置する。当接部14及び当接部15は、操作キー12がユーザの指によって押されると、図5に示すような電子機器1の内部の板部7にそれぞれ当接する。当接部14及び当接部15が電子機器1の板部7にそれぞれ当接することにより、ユーザが操作キー12を押し過ぎてしまう可能性を低減することができる。
【0021】
図6に示すように、固定部品20は、固定部21と、固定部22と、貫通孔23と、第1端部24と、第2端部25と、切り欠き26とを備える。固定部品20は、第1スリット30及び開口部31と、第1スリット32及び開口部33と、第2スリット40及び開口部41と、第2スリット42及び開口部43とを備える。
【0022】
以下、図6に示すように、貫通孔23から固定部21に向かう方向は、「第1方向D1」とも記載される。ただし、固定部21の代わりに、貫通孔23から固定部22に向かう方向が「第1方向D1」とされてもよい。固定部品20が長方形である場合、固定部品20の長手方向が第1方向D1と特定されてもよい。第1方向D1に直交する方向は、「第2方向D2」とも記載される。ただし、第2方向D2は、第1方向D1と直交しなくてもよい。第2方向D2は、第1方向D1と交わればよい。固定部品20が長方形である場合、固定部品20の短手方向が第2方向D2と特定されてもよい。
【0023】
固定部21と固定部22とは、第1方向D1において互いに対向する。固定部21,22は、第2方向D2に沿って延びる。固定部21,22は、固定部品20の端部であってよい。
【0024】
固定部21,22は、部材に固定される。本実施形態では、固定部21,22は、図3に示すように、ケース部材4に固定される。固定部21,22は、両面接着テープによってケース部材4に接着されることにより、ケース部材4に固定される。ただし、固定部21,22は、任意の方法によって、ケース部材4に固定されてよい。固定部21,22のそれぞれのサイズは、固定部品20にかかる応力に基づいて決定されてよい。
【0025】
貫通孔23には、図6に示すように、押し子13が挿入される。貫通孔23は、第1方向D1において、固定部21と固定部22との間に位置する。貫通孔23は、固定部品20の中央又は中央付近に位置する。貫通孔23は、円形状である。ただし、貫通孔23は、押し子13の形状に応じて、任意の形状であってよい。
【0026】
第1端部24及び第2端部25は、第1方向D1に沿って延びる。第1端部24と第2端部25とは、貫通孔23を挟んで位置する。
【0027】
切り欠き26は、第2端部25の一部を切り欠くことにより、形成される。図2に示すように、切り欠き26から当接部14が突出する。
【0028】
第1スリット30,32は、図6に示すように、第1端部24から第2方向D2に沿って延びる。第1スリット30,32は、直線状に延びてよい。第1スリット30の長さと第1スリット32の長さとは、同じである。ただし、第1スリット30の長さと第1スリット32の長さとは、異なってもよい。また、第1スリット30,32の幅は、固定部品20にかかる応力に基づいて決定されてよい。第1スリット30の幅と第1スリット32の幅とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0029】
第1スリット30と第1スリット32との間には、貫通孔23が位置する。第1スリット30は、貫通孔23よりも固定部21の方に位置する。第1スリット32は、貫通孔23よりも固定部22の方に位置する。第1スリット30,32は、固定部品20がキー部品10をケース部材4に固定する状態では、図6に示すような上面視において、キー部品10の本体部11の内側に位置する。
【0030】
第1スリット30の先端部には、開口部31が位置する。第1スリット32の先端部には、開口部33が位置する。開口部31,33の大きさは、固定部品20にかかる応力に基づいて決定されてよい。開口部31,33は、円形状である。ただし、開口部31,33は、任意の形状であってよい。
【0031】
第2スリット40,42は、図6に示すように、第2端部25から第2方向D2に沿って延びる。第2スリット40,42は、直線状に延びてよい。第2スリット40の長さと第2スリット42の長さとは、同じである。ただし、第2スリット40の長さと第2スリット42の長さとは、異なってもよい。また、第2スリット40,42の幅は、固定部品20にかかる応力に基づいて決定されてよい。第2スリット40の幅と第2スリット42の幅とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0032】
第2スリット40と第2スリット42との間には、貫通孔23が位置する。第2スリット40は、貫通孔23よりも固定部21の方に位置する。第2スリット42は、貫通孔23よりも固定部22の方に位置する。第2スリット40,42は、固定部品20がキー部品10をケース部材4に固定する状態では、図6に示すような上面視において、キー部品10の本体部11の外側に位置する。第2スリット40は、固定部21の貫通孔23の側の端に位置する。第2スリット40は、固定部22の貫通孔23の側の端に位置する。
【0033】
第2スリット40の先端部には、開口部41が位置する。第2スリット42の先端には、開口部43が位置する。開口部41,43の大きさは、固定部品20にかかる応力に基づいて決定されてよい。開口部41,43は、円形状である。ただし、開口部41,43は、任意の形状であってよい。
【0034】
第1スリット30と第2スリット40とは、貫通孔23と固定部21との間において隣り合う。ここで、上述したように、キー部品10が図2に示すような矢印Aの方向に移動すると、固定部品20には、矢印Aの方向に応力がかかる。第1スリット30と第2スリット40とが隣り合うことにより、固定部品20に矢印Aの方向に応力がかかったときに、貫通孔23と固定部21との間において固定部品20は、蛇腹状に変形することができる。例えば、図6に示すような上面視において本体部11の内側に位置する第1スリット30を起点として、第1スリット30及び第2スリット40は、蛇腹状の谷部又は山部となることができる。固定部品20が蛇腹状に変形することにより、固定部品20が破損する可能性が低減する。
【0035】
第1スリット32と第2スリット42とは、貫通孔23と固定部22との間において隣り合う。ここで、上述したように、キー部品10が図2に示すような矢印Aの方向に移動すると、固定部品20には、矢印Aの方向に応力がかかる。第1スリット32と第2スリット42とが隣り合うことにより、固定部品20に矢印Aの方向に応力がかかったときに、貫通孔23と固定部22との間において固定部品20は、蛇腹状に変形することができる。例えば、図6に示すような上面視において本体部11の内側に位置する第1スリット32を起点として、第1スリット32及び第2スリット42は、蛇腹状の谷部又は山部となることができる。固定部品20が蛇腹状に変形することにより、固定部品20が破損する可能性が低減する。
【0036】
図6に示すような幅W1は、第2方向D2において第1スリット30,32と第2スリット40,42とが重複する幅である。この幅W1は、広くてよい。幅W1が広いほど、固定部品20は、矢印Aの方向に応力がかかったときに、蛇腹状により容易に変形することができる。
【0037】
幅W1は、第2スリット40,42の先端部と第1端部24との間の幅W2の最小値に基づいて設定されてよい。幅W2の最小値は、固定部品20の設計において許容される幅W2の最小値であってよい。幅W2の最小値は、固定部品20の耐久性に基づいて設定されてよい。幅W2の最小値は、例えば、固定部品20の第2方向D2における幅W20の20%程度である。
【0038】
幅W1は、第1スリット30,32の先端部と第2端部25との間の幅W3の最小値に基づいて設定されてもよい。幅W3の最小値は、固定部品20の設計において許容される幅W3の最小値であってよい。幅W3の最小値は、固定部品20の耐久性に基づいて設定されてよい。幅W3の最小値は、例えば、固定部品20の第2方向D2における幅W20の20%程度である。
【0039】
幅W1は、固定部品20の第2方向D2における幅W20から、幅W2の最小値及び幅W3の最小値を減算した値であってよい。
【0040】
図6に示すような長さL1は、第1方向D1において固定部21の貫通孔23側の端すなわち第2スリット40からキー部品10の本体部11までの長さである。また、長さL1は、第1方向D1において固定部22の端すなわち第2スリット42からキー部品10の本体部11までの長さである。この長さL1は、長くてよい。長さL1が長いほど、固定部品20がたわみ易くなる。長さL1は、キー部品10のストローク量に基づいて設定される最大値であってよい。
【0041】
このように本実施形態に係る固定部品20は、第1スリット30,32と、第2スリット40,42を備える。第1スリット30と第2スリット40とは、貫通孔23と固定部21との間において隣り合う。第1スリット32と第2スリット42とは、貫通孔23と固定部22との間において隣り合う。このような構成により、上述したように、固定部品20は、図2に示すような矢印Aの方向に応力がかかったときに、蛇腹状に変形することができる。
【0042】
本実施形態では、固定部品20が蛇腹状に変形することにより、固定部品20が蛇腹状に変形しない場合よりも、固定部品20が破損する可能性を低減することができる。その結果、固定部品20は、耐久性に優れたものとなる。
【0043】
また、本実施形態では、固定部品20が蛇腹状に変形することにより、固定部品20をゴム部材等で形成しなくても、キー部品10は、矢印Aの方向に移動することができる。ここで、ゴム部材等で形成される部品は、伸縮するため、電子機器1の製造工程において扱いにくくなり得る。本実施形態では、固定部品20をゴム部材等で形成しなくてもよいため、電子機器1の製造工程において固定部品20を扱い易くすることができる。
【0044】
また、固定部品20が蛇腹状に変形することにより、固定部品20が蛇腹状に変形しない場合よりも、固定部21,22がケース部材4から剥がれにくくなる。固定部21,22がケース部材4から剥がれにくくなることにより、固定部品20とケース部材4との間の接着面積を大きくしなくて済む。つまり、本実施形態では、固定部21,22のサイズを大きくしなくて済む。このような構成により、固定部品20のサイズを小さくすることができる。結果として、キー部品10を電子機器1に固定するためのスペースを削減することができる。
【0045】
よって、本実施形態によれば、物理キーを固定する技術を改善することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、固定部品20は、第1スリット30の先端部に開口部31をさらに備えてもよい。また、固定部品20は、第1スリット32の先端部に開口部33をさらに備えてもよい。このような開口部31,33によって、固定部品20が蛇腹状に変形したときに、第1スリット30,32のそれぞれの先端部に集中する応力を緩和することができる。第1スリット30,32のそれぞれの先端部に集中する応力を緩和することにより、第1スリット30,32の先端部が破損する可能性を低減することができる。このような構成により、固定部品20が破損する可能性をより低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、固定部品20は、第2スリット40の先端部に開口部41をさらに備えてもよい。また、固定部品20は、第2スリット42の先端部に開口部43をさらに備えてもよい。このような開口部41,43によって、固定部品20が蛇腹状に変形したときに、第2スリット40,42のそれぞれの先端部に集中する応力を緩和することができる。第2スリット40,42のそれぞれの先端部に集中する応力を緩和することにより、第2スリット40,42の先端部が破損する可能性を低減することができる。このような構成により、固定部品20が破損する可能性をより低減することができる。
【0048】
また、本実施形態では、図6に示すような幅W1は、幅W2の最小値に基づいて設定されてよい。上述したように、幅W1が広いほど、固定部品20は、矢印Aの方向に応力がかかったときに、蛇腹状により容易に変形することができる。幅W1は、幅W2の最小値に基づいて設定されることにより、幅W2の最小値に基づいて設定されない場合よりも、広くなり得る。幅W1が広くなることにより、固定部品20が破損する可能性をより低減することができる。
【0049】
また、本実施形態では、図6に示すような長さL1は、キー部品10のストローク量に基づいて設定される最大値であってよい。上述したように、長さL1が長いほど、固定部品20がたわみ易くなる。長さL1は、キー部品10のストローク量に基づいて設定される最大値であることにより、当該最大値ではない場合よりも、長くなり得る。長さL1が長くなることにより、固定部品20は、たわみ易くなる。固定部品20は、たわみ易くなることにより、矢印Aの方向に応力がかかったときに、蛇腹状に容易に変形することができる。よって、長さL1が長くなることにより、固定部品20が破損する可能性をより低減することができる。
【0050】
(変形例1)
上述した実施形態では、固定部品20は、図6に示すように、2つの第1スリット及び2つの第2スリットを備えるものとして説明した。ただし、本開示の固定部品は、任意の数の第1スリット及び任意の数の第2スリットを備えてよい。ここで、固定部品が備える第1スリットの数及び第2スリットの数が多いほど、固定部品が変形する自由度を高めることができる。固定部品が変形する自由度が高まるほど、固定部品の耐久性を高めることができる。
【0051】
図7には、本開示の第1変形例に係る固定部品120を示す。固定部品120は、上述した固定部品20と同じく、固定部21と、固定部22と、貫通孔23と、第1端部24と、第2端部25と、切り欠き26とを備える。固定部品120は、上述した固定部品20とは異なり、第1スリット130及び開口部131と、第1スリット132及び開口部133と、第1スリット134及び開口部135と、第1スリット136及び開口部137とを備える。固定部品120は、上述した固定部品20とは異なり、第2スリット140及び開口部141と、第2スリット142及び開口部143とを備える。
【0052】
第1スリット130,132,134,136は、第1端部24から第2方向D2に沿って延びる。第1スリット130,132,134,136は、直線状に延びてよい。第1スリット130,132,134,136のそれぞれの長さは、同じである。ただし、第1スリット130,132,134,136のそれぞれの長さは、異なってもよい。第1スリット130,132,134,136のうち、一部の第1スリットの長さが他の第1スリットの長さとは異なってもよい。また、第1スリット130,132,134,136の幅は、固定部品120にかかる応力に基づいて決定されてよい。第1スリット130,132,134,136のそれぞれの幅は、同じであってもよいし、異なってもよい。第1スリット130,132,134,136のうち、一部の第1スリットの幅が他の第1スリットの幅とは異なってもよい。
【0053】
第1スリット130,132と第1スリット134,136との間には、貫通孔23が位置する。第1スリット130,132は、貫通孔23よりも固定部21の方に位置する。第1スリット134,136は、貫通孔23よりも固定部22の方に位置する。
【0054】
第1スリット130,134は、固定部品20がキー部品10をケース部材4に固定する状態では、図7に示すような上面視において、キー部品10の本体部11の内側に位置する。第1スリット132,136は、固定部品20がキー部品10をケース部材4に固定する状態では、図7に示すような上面視において、キー部品10の本体部11の外側に位置する。第1スリット132は、固定部21の貫通孔23の側の端に位置する。第1スリット136は、固定部22の貫通孔23の側の端に位置する。
【0055】
第1スリット130,132,134,136の先端部には、それぞれ、開口部131,133,135,137が位置する。開口部131,133,135,137の大きさは、固定部品120にかかる応力に基づいて決定されてよい。開口部131,133,135,137は、円形状である。ただし、開口部131,133,135,137は、任意の形状であってよい。
【0056】
第2スリット140,142は、第2端部25から第2方向D2に沿って延びる。第2スリット140,142は、直線状に延びてよい。第2スリット140の長さと第2スリット142の長さとは、同じである。ただし、第2スリット140の長さと第2スリット142の長さとは、異なってもよい。また、第2スリット140,142の幅は、固定部品120にかかる応力に基づいて決定されてよい。第2スリット140の幅と第2スリット142の幅とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0057】
第2スリット140と第2スリット142との間には、貫通孔23が位置する。第2スリット140は、貫通孔23よりも固定部21の方に位置する。第2スリット142は、貫通孔23よりも固定部22の方に位置する。第2スリット140,142は、固定部品20がキー部品10をケース部材4に固定する状態では、図7に示すような上面視において、キー部品10の本体部11の内側に位置する。
【0058】
第2スリット140,142の先端部には、それぞれ、開口部141,143が位置する。開口部141,143の大きさは、固定部品120にかかる応力に基づいて決定されてよい。開口部141,143は、円形状である。ただし、開口部141,143は、任意の形状であってよい。
【0059】
第1スリット130と第2スリット140とは、貫通孔23と固定部21との間において隣り合う。第2スリット140と第1スリット132とは、貫通孔23と固定部21との間において隣り合う。つまり、貫通孔23と固定部21との間において、第1スリット130、第2スリット140及び第1スリット132は、第1方向D1に沿って、第1スリット130、第2スリット140及び第1スリット132の順に並ぶ。このような構成により、固定部品20と同じ又は類似に、固定部品120に矢印Aの方向に応力がかかったときに、貫通孔23と固定部21との間において固定部品120は、蛇腹状に変形することができる。また、固定部品120は、固定部品20よりも多くの第1スリットを備えることにより、蛇腹状により容易に変形することができる。
【0060】
第1スリット134と第2スリット142とは、貫通孔23と固定部22との間において隣り合う。第2スリット142と第1スリット136とは、貫通孔23と固定部22との間において隣り合う。つまり、貫通孔23と固定部22との間において、第1方向D1とは反対の方向に沿って、第1スリット134、第2スリット142及び第1スリット136の順に並ぶ。このような構成により、固定部品20と同じ又は類似に、固定部品120に矢印Aの方向に応力がかかったときに、貫通孔23と固定部22との間において固定部品120は、蛇腹状に変形することができる。また、固定部品120は、固定部品20よりも多くの第1スリットを備えることにより、蛇腹状により容易に変形することができる。
【0061】
第1変形例に係る固定部品120の他の構成及び効果は、上述した実施形態に係る固定部品20と同じ又は類似である。
【0062】
(第2変形例)
図8には、本開示の第2変形例に係る固定部品220を示す。固定部品220は、上述した固定部品20と同じく、固定部21と、固定部22と、貫通孔23と、第1端部24と、第2端部25と、切り欠き26と、第1スリット30及び開口部31と、第2スリット40及び開口部41とを備える。固定部品220は、上述した固定部品20とは異なり、第1スリット232及び開口部233と、第2スリット242及び開口部243とを備える。
【0063】
第1スリット232は、第1端部24から第2方向D2に沿って延びる。第1スリット232は、直線状に延びてよい。第1スリット232の長さと第2スリット40の長さとは、同じである。ただし、第1スリット232の長さと第2スリット40の長さとは、異なってもよい。また、第1スリット232の幅は、固定部品220にかかる応力に基づいて決定されてよい。第1スリット232の幅は、第2スリット40の幅と同じであってもよいし、第2スリット40の幅とは異なってもよい。
【0064】
第1スリット30と第1スリット232との間には、貫通孔23が位置する。第1スリット132は、貫通孔23よりも固定部22の方に位置する。第1スリット132は、固定部品20がキー部品10をケース部材4に固定する状態では、図8に示すような上面視において、キー部品10の本体部11の外側に位置する。第1スリット132は、固定部22の貫通孔23の側の端に位置する。
【0065】
第1スリット232の先端部には、開口部233が位置する。開口部233の大きさは、開口部41の大きさと同じであってよい。
【0066】
第2スリット242は、第2端部25から第2方向D2に沿って延びる。第2スリット242は、直線状に延びてよい。第2スリット242の長さと第1スリット30の長さとは、同じである。ただし、第2スリット242の長さと第1スリット30の長さとは、異なってもよい。また、第2スリット242の幅は、固定部品220にかかる応力に基づいて決定されてよい。第2スリット242の幅は、第1スリット30の幅と同じであってもよいし、第1スリット30の幅とは異なってもよい。
【0067】
第2スリット40と第2スリット242とのには、貫通孔23が位置する。第2スリット242は、貫通孔23よりも固定部22の方に位置する。第2スリット242は、固定部品20がキー部品10をケース部材4に固定する状態では、図7に示すような上面視においてキー部品10の本体部11の内側に位置する。
【0068】
第2スリット242の先端部には、開口部243が位置する。開口部243の大きさは、開口部31の大きさと同じであってよい。
【0069】
第1スリット232と第2スリット242とは、貫通孔23と固定部22との間において隣り合う。このような構成により、図6に示すような固定部品20と同じ又は類似に、固定部品220に矢印Aの方向に応力がかかったときに、貫通孔23と固定部22との間において固定部品220は、蛇腹状に変形することができる。
【0070】
第2変形例に係る固定部品220の他の構成及び効果は、上述した実施形態に係る固定部品20と同じ又は類似である。
【0071】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0072】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1スリットは、第2スリットと識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0073】
一実施形態において、(1)固定部品は、
部材に固定される固定部と、
キー部品の押し子が挿入される貫通孔と、
前記貫通孔から前記固定部に向かう第1方向に沿って延びる第1端部及び第2端部であって、前記貫通孔を挟んで位置する第1端部及び第2端部と、
前記第1端部から前記第1方向と交わる第2方向に沿って延びる第1スリットと、
前記第2端部から前記第2方向に沿って延びる第2スリットと
を備え、
前記貫通孔と前記固定部との間において、前記第1スリットと前記第2スリットとは、隣り合う。
【0074】
(2)上記(1)の固定部品は、
前記第1スリットの先端部に開口部をさらに備えてもよい。
【0075】
(3)上記(1)又は(2)の固定部品は、
前記第2スリットの先端部に開口部をさらに備えてもよい。
【0076】
(4)上記(1)から(3)までの何れか1つの固定部品は、
2つの前記第1スリットをさらに備え、
前記2つの第1スリットの間には、前記貫通孔が位置してもよい。
【0077】
(5)上記(1)から(4)までの何れか1つの固定部品は、
2つの前記第2スリットをさらに備え、
前記2つの第2スリットの間には、前記貫通孔が位置してもよい。
【0078】
(6)上記(1)から(5)までの何れか1つの固定部品は、
2つの前記固定部を備え、
前記貫通孔は、前記2つの固定部の間に位置してもよい。
【0079】
(7)上記(1)から(6)までの何れか1つの固定部品では、
複数の前記第1スリット及び複数の前記第2スリットのうち、
前記貫通孔の側に位置する第1スリット又は第2スリットは、上面視において、前記キー部品の本体部の内側に位置し、
前記固定部の側に位置する第1スリット又は第2スリットは、上面視において、前記キー部品の本体部の外側に位置してもよい。
【0080】
(8)上記(1)から(7)までの何れか1つの固定部品では、
前記第2方向において前記第1スリットと前記第2スリットとが重複する幅は、前記第2スリットの先端部と前記第1端部との間の幅の最小値に基づいて設定されてもよい。
【0081】
(9)上記(1)から(8)までの何れか1つの固定部品では、
前記固定部の貫通孔の側の端から前記キー部品の本体部までの長さは、前記キー部品のストローク量に基づいて設定される最大値であってもよい。
【0082】
一実施形態において、(10)電子機器は、
電子機器であって、固定部品を備え、
前記固定部品は、
部材に固定される固定部と、
キー部品の押し子が挿入される貫通孔と、
前記貫通孔から前記固定部に向かう第1方向に沿って延びる第1端部及び第2端部であって、前記貫通孔を挟んで位置する第1端部及び第2端部と、
前記第1端部から前記第1方向と交わる第2方向に沿って延びる第1スリットと、
前記第2端部から前記第2方向に沿って延びる第2スリットと
を備え、
前記貫通孔と前記固定部との間において、前記第1スリットと前記第2スリットとは、隣り合う。
【0083】
(11)上記(10)の電子機器は、
前記キー部品をさらに備え、
前記キー部品は、
操作キーと、
前記操作キーが押されると、前記操作キーとともに移動する前記押し子と、
前記操作キーが押されると、前記電子機器の内部の板部に当接する当接部と
を備えてもよい。
【0084】
(12)上記(10)又は(11)の電子機器は、
前記キー部品は、本体部をさらに備え、
前記本体部の厚さは、前記キー部品の設計において許容される厚さの最小値に基づいて設定されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 電子機器
2 本体部
3 カバー部材
4 ケース部材
5 開口部
6 部品
7 板部
10 キー部品
11 本体部
12 操作キー
12S 表面
13 押し子
14,15 当接部
20,120,220 固定部品
21,22 固定部
23 貫通孔
24 第1端部
25 第2端部
30,32,130,132,134,136,232 第1スリット
31,33,131,133,135,137,233 開口部
40,42,140,142,242 第2スリット
41,43,141,143,243 開口部
D1 第1方向
D2 第2方向
L1 長さ
W1 幅
W2 幅
W20 幅
W3 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8