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特開2024-139633問題行動障害を検出する糞便中のバイオマーカー及び問題行動障害改善剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139633
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】問題行動障害を検出する糞便中のバイオマーカー及び問題行動障害改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/702 20060101AFI20241002BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20241002BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20241002BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241002BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20241002BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A61K31/702
C12Q1/04 ZNA
C12Q1/686
A61P25/00
A61P25/20
A61P1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050675
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000125381
【氏名又は名称】学校法人藤田学園
(71)【出願人】
【識別番号】511045475
【氏名又は名称】株式会社農
(71)【出願人】
【識別番号】000118578
【氏名又は名称】伊藤忠製糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】舩坂 好平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 彩子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 匡
(72)【発明者】
【氏名】栃尾 巧
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 学之
(72)【発明者】
【氏名】原 和志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 修啓
(72)【発明者】
【氏名】平林 克樹
(72)【発明者】
【氏名】山川 早紀
【テーマコード(参考)】
4B063
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA07
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ00
4B063QQ06
4B063QQ28
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ62
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR42
4B063QR62
4B063QR66
4B063QR75
4B063QS03
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA03
4C086ZA66
4C086ZC61
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イヌの攻撃性等の問題行動を改善する改善剤/予防剤、問題行動障害の検査方法、検査キット、及び治療方法を提供することを課題とする。
【解決手段】問題行動障害、特に攻撃性を有するイヌの腸内細菌について解析を行ったところ、複数の細菌の存在比率が健常犬とは異なることが明らかとなった。特に、Nan遺伝子クラスターの存在比率が攻撃性と相関があることから、これを客観的な指標として攻撃性の検査を行うことができる。また、攻撃性の高いイヌにケストースを投与したところ、攻撃性だけではなく、興奮性、分離不安等、他の問題行動にも改善が認められた。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケストースを有効成分とするイヌの問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
【請求項2】
前記問題行動障害が攻撃性、興奮性、及び分離不安であることを特徴とする請求項1記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
【請求項3】
経口投与されるものである請求項1又は2に記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
【請求項4】
少なくとも50mg/kg体重/日以上で有効成分であるケストースが投与されるものである請求項3記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
【請求項5】
イヌの腸内細菌叢を解析し、
Nan遺伝子クラスターを有する細菌の存在比率が所定値以上である場合には、
問題行動障害があると判断することを特徴とするイヌの問題行動障害の検査方法。
【請求項6】
前記所定値が健常犬の中央値であることを特徴とする請求項5記載のイヌの問題行動障害の検査方法。
【請求項7】
問題行動障害を判定するための検査キットであって、
Nan遺伝子クラスターの遺伝子を増幅することができるPCRプライマーセットと増幅試薬を含むことを特徴とする問題行動障害判定キット。
【請求項8】
イヌの問題行動障害を検査する方法であって、
糞便中のLachnospiraceae、Ruminococcus gnavus group、Blautia、Erysipelatoclostridium、Sutterella、Collinsella、Parasutterella、Prevotella、Slackia、Alloprevotella、Bifidobacterium、Ruminococcaceae Incetae Sedis、Peptoclostridium、Enterococcus及びButyricoccusの占有率を検査し、
Lachnospiraceae、Ruminococcus gnavus group、Blautia、Erysipelatoclostridium、Sutterella、又はCollinsellaの少なくともいずれか1つの占有率が所定値よりも高い場合、
及び/又はParasutterella、Prevotella、Slackia、Alloprevotella、Bifidobacterium、Ruminococcaceae Incetae Sedis、Peptoclostridium、Enterococcus又はButyricoccusの少なくともいずれか1つの占有率が所定値よりも低い場合には、
問題行動障害であることを判断する検査方法。
【請求項9】
ケストースを有効成分とする組成物を投与することを特徴とするイヌの問題行動障害治療法。
【請求項10】
前記問題行動障害が攻撃性、興奮性、及び分離不安であることを特徴とする請求項9記載のイヌの問題行動障害治療法。
【請求項11】
ケストースを少なくとも50mg/kg体重/日以上で経口投与することを特徴とする請求項9、又は10記載のイヌの問題行動障害治療法。
【請求項12】
請求項5~7いずれか1項記載の方法でイヌの問題行動障害を検査し、
問題行動障害であると判定された場合にはケストースを有効成分とする組成物を投与することを特徴とする請求項9記載のイヌの問題行動障害治療法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イヌの問題行動障害を検出するための診断マーカー及び問題行動障害を予防、又は改善する予防改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
伴侶動物(companion animal)は、補助犬やセラピー犬に代表されるように、生活になくてはならない動物や、孤独感の減少等、生活をより豊かにするものとして、人間とのかかわりがますます重要視されている。しかし、伴侶動物もヒトと同様に、感情的、行動的な問題を引き起こす可能性がある。
【0003】
特にイヌは人間社会において最も身近な伴侶動物のひとつであり、生活になくてはならないものとなっている。しかしながら、イヌは時として、問題行動を起こすことがある。その代表的な行動が攻撃性である。イヌの攻撃性とはある個体が他の個体の自由度を減少させる物理的な行為またはその脅威として定義される問題行動のひとつである(非特許文献1)。具体的なイヌの攻撃行動としては、唸る、歯を見せる、脅迫的に吠える、突進する、噛むなどの行動となって表れる。
【0004】
イヌの攻撃性は、重大な場合には咬傷事故等につながることもあり、人との協調が著しく損なわれるだけではなく、危険性もあることから早期の対応が必要となる。対処方法としては、行動クリニックやトレーニングスクールでの訓練等、専門家によるトレーニング(行動療法)や、薬剤による治療(薬物療法)が行われている。しかしながら、攻撃性の治療を行う際に、2つの大きな課題が存在する。一つ目は「攻撃性の診断が難しいこと」であり、二つ目は「早期に明確な改善効果を発揮する治療が存在しないこと」である。
【0005】
現在のところ、攻撃性の診断は、獣医師が飼い主に対し質問を行い、攻撃性を判断する。しかしながら、攻撃性の要因が多様であり、かつその表現型も多様であることから、質問による診断は長年の経験や専門的な知識が要求されるため、適切に診断を行うことのできる獣医師は非常に少ない。また、一般的に飼い主は、攻撃性に関する知識が無いため、判断することは不可能である。
【0006】
攻撃性の治療には、上述のように、薬物療法と行動療法が存在する。しかし、薬物による治療には、抗不安薬を用いた薬物療法での攻撃性の亢進や、反対に効果を示さないなどの問題があることが報告されている(非特許文献2、3)。また、攻撃行動の治療として、拮抗条件付けや系統的脱感作等の行動療法も治療法とされているが(非特許文献4)、行動療法は熟練された獣医師が実施する必要があり、また、治療に時間を要するため、広く適用できる治療方法ではない(非特許文献5)。
【0007】
近年、攻撃性と腸内環境の関係性が報告されている。非特許文献6には、ピットブル系の犬種を対象とし、10頭の高い攻撃性を示すイヌと21頭の攻撃性を示さないイヌの糞便を用いて、腸内細菌叢の16Sアンプリコンシークエンスを行い、バイオインフォマティクス解析を実施したところ、攻撃性の高い犬と攻撃性を示さない犬の腸内細菌叢のβ多様性が異なっていたことが報告されている。これは、イヌの攻撃性が腸内細菌叢の構成と関連があることを示唆している。しかし、攻撃性を示す個体に特異的な腸内細菌の変化が特定されているわけではないため、診断に使うためには不十分である。
【0008】
特許文献1には、乳酸菌の亜種であるラクトバチルスプランタルム亜種プランタルムPS128(PS128乳酸菌)を投与することによって、恐れ、恐怖症、不安及び攻撃性などの感情的、行動的な問題を解決できることが開示されている。PS128乳酸菌を投与することによって、イヌの感情障害の評価(EDED)スケールが投与2週間で改善されたことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2022-518600号公報
【特許文献2】特開2020-070245号公報
【特許文献3】特開2020-097558号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Landsberg, G., Hunthausen, W., & Ackerman, L., “Behavior problems of the dog and cat.” Elsevier Health Sciences, 2011, p298
【非特許文献2】Ogata, N. & Dodman, N.H., J.Veterinary Behavior, 2011, Vol.6, Issu 2, pp.130-137,https://doi.org/10.1016/j.jveb.2010.10.004
【非特許文献3】Wrubel, K.M. et al., J. Am. Vet. Med. Assoc., 2011, Vol.238(6), pp.731-740. DOI: https://doi.org/10.2460/javma.238.6.731
【非特許文献4】Dinwoodiea, I. R. et al., J.Veterinary Behavior. 2021, Vol. 43, pp. 46-53
【非特許文献5】Craven, A. J., PLoSOne, 2022, 17(1):e0261139. doi:10.1371/journal.pone.0261139. eCollection 2022.
【非特許文献6】Kirchoff, N.S. et al., PeerJ. 2019,7:e6103. doi: 10.7717/peerj.6103. eCollection 2019.
【非特許文献7】Ide, K. et al.,2020, JVet Med Sci. Vol.82(1):1-8. doi: 10.1292/jvms.19-0071. Epub 2019 Nov 25.
【非特許文献8】Wright, J. C., & Nesselrote, M. S., Applied Animal BehaviourScience,1987, Vol.19(1-2), pp.169-178.
【非特許文献9】Takahashi S. et al., PLoS One 2014;9:e105592.
【非特許文献10】Martin M., 2011, EMBnet. journal 2011;17:10-12.
【非特許文献11】Aronesty E., 2013, Open Bioinforma J 2013;7:1-8.
【非特許文献12】Bolyen, E. et al., Nat. Biotechnol. 2019, 37, 852-857,doi:10.1038/s41587-019-0209-9.
【非特許文献13】Callahan B.J., et al. 2016, Nat Methods. Vol.13, pp.581‐583.
【非特許文献14】Robeson, M. S. et al., 2020, bioRxiv2020.10.05.326504; 12doi: https://doi.org/10.1101/2020.10.05.326504
【非特許文献15】Bokulich, N.A. et al.Microbiome, 2018, 6, 90. https://doi.org/10.1186/s40168-018-0470-z
【非特許文献16】Quast, C. et al. Nucleic AcidsRes. 2013, Vol.41,pp. 590-596. doi: 10.1093/nar/gks1219.
【非特許文献17】C. E. Shannon, The Bell System Technical Journal, 1948, vol. 27, no.3, pp. 379-423, July 1948, doi: 10.1002/j.1538-7305.1948.tb01338.x.https://ieeexplore.ieee.org/document/6773024
【非特許文献18】Anderson, M. J., Austral Ecology, 2001,Vol.26(1), pp.32-46, https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1442-9993.2001.01070.pp.x
【非特許文献19】Crost, E.H. et al., GutMictobes, 2016, Vol.7, No.4, pp.302-312
【非特許文献20】Denman, S. E. & McSweeney, C. S., FEMS Microbiology Ecology, 2006Vol.56(3), pp.572-582
【非特許文献21】Ide, K. et al., J Vet Med Sci. 2020Jan 10;82(1):1-8. doi: 10.1292/jvms.19-0071. Epub 2019 Nov 25.
【非特許文献22】Duffy, D.L. Prev Vet Med., 2014, Vol.117(3-4), pp.601-609. doi: 10.1016/j.prevetmed.2014.10.003.Epub 2014 Oct 22.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、イヌの攻撃性の診断には、経験や知識の豊富な獣医師が必要とされているため、早期に適切な診断が行われているとは言い難い。本発明は、検査によって客観的な指標を得ることにより、早期に攻撃性の診断を行うことを課題とする。また、従来の治療方法は、熟練した獣医師やトレーナーによる行動療法、あるいは抗うつ薬による薬物療法が主だったが、行動療法は時間がかかること、薬物療法は副作用が多く、効果も限定的であることが課題であった。また、特定の乳酸菌を摂取させることによる治療法は、原因を見極めたうえでの治療法ではないことから、効果が限定的な可能性がある。本治療法は、診断マーカーである腸内細菌という原因に対して作用し、腸内細菌叢の改善を行う治療方法、及び剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下のイヌの攻撃性等の問題行動を改善する改善剤/予防剤、問題行動障害の検査方法、検査キット、及び治療方法に関する。
(1)ケストースを有効成分とするイヌの問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
従来からケストースには、腸内細菌や腸内代謝物を増加させる効果があることが知られていたが問題行動障害を改善する効果は知られていなかった。ケストースは、食品として長年使用されていることから、安心して問題行動障害改善剤として服用させることができる。
【0013】
(2)前記問題行動障害が攻撃性、興奮性、及び分離不安であることを特徴とする(1)記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
攻撃性を有するイヌを対象として解析を行ったが、攻撃性だけではなく、興奮性、分離不安もケストースによって改善されることが明らかとなった。
【0014】
(3)経口投与されるものである(1)又は(2)に記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
(4)少なくとも50mg/kg体重/日以上で有効成分であるケストースが投与されるものである(3)記載の問題行動障害改善剤及び/又は予防剤。
ケストースは、少なくとも50mg/kg体重/日で経口投与されることが好ましい。
【0015】
(5)イヌの腸内細菌叢を解析し、Nan遺伝子クラスターを有する細菌の存在比率が所定値以上である場合には、問題行動障害があると判断することを特徴とするイヌの問題行動障害の検査方法。
イヌの腸内細菌叢を解析したところ、Nan遺伝子クラスターを有する細菌の存在比率と問題行動障害に相関が認められた。Nan遺伝子の腸内での占有率を解析することによって、問題行動障害を検査することができる。
【0016】
(6)前記所定値が健常犬の中央値であることを特徴とする(5)記載のイヌの問題行動障害の検査方法。
(7)問題行動障害を判定するための検査キットであって、Nan遺伝子クラスターの遺伝子を増幅することができるPCRプライマーセットと増幅試薬を含むことを特徴とする問題行動障害判定キット。
Nan遺伝子を増幅し、その占有率を解析することによって、問題行動障害を判定することができることから、Nan遺伝子を増幅するPCRプライマー及び増幅に必要な試薬を構成とした検査キットとすることができる。
【0017】
(8)イヌの問題行動障害を検査する方法であって、糞便中のLachnospiraceae、Ruminococcus gnavus group、Blautia、Erysipelatoclostridium、Sutterella、Collinsella、Parasutterella、Prevotella、Slackia、Alloprevotella、Bifidobacterium、Ruminococcaceae Incetae Sedis、Peptoclostridium、Enterococcus及びButyricoccusの占有率を検査し、Lachnospiraceae、Ruminococcus gnavus group、Blautia、Erysipelatoclostridium、Sutterella、又はCollinsellaの少なくともいずれか1つの占有率が所定値よりも高い場合、及び/又はParasutterella、Prevotella、Slackia、Alloprevotella、Bifidobacterium、Ruminococcaceae Incetae Sedis、Peptoclostridium、Enterococcus又はButyricoccusの少なくともいずれか1つの占有率が所定値よりも低い場合には、問題行動障害であることを判断する検査方法。
Nan遺伝子の他、上記細菌の占有率も、攻撃性を有するイヌでは健常犬と有意に異なることが明らかとなった。したがって、これら細菌の占有率もイヌの攻撃性の客観的指標として使用することができる。
【0018】
(9)ケストースを有効成分とする組成物を投与することを特徴とするイヌの問題行動障害治療法。
(10)前記問題行動障害が攻撃性、興奮性、及び分離不安であることを特徴とする(9)記載のイヌの問題行動障害治療法。
(11)ケストースを少なくとも50mg/kg体重/日以上で経口投与することを特徴とする(9)、又は(10)記載のイヌの問題行動障害治療法。
(12)(5)~(7)いずれか1つ記載の方法でイヌの問題行動障害を検査し、問題行動障害であると判定された場合にはケストースを有効成分とする組成物を投与することを特徴とする(9)記載のイヌの問題行動障害治療法。
ケストースを投与することによって、攻撃性等の問題行動を改善することが明らかになったことから、イヌの問題行動障害の治療法として、ケストースを投与することができる。
【発明の効果】
【0019】
これまでイヌの攻撃性については、飼い主に対する質問によって獣医師が診断していたところ、客観的な指標によって攻撃性の診断を行うことが可能となる。また、原因である腸内細菌叢を改善する剤を提供することによって、副作用がなく、効果的な治療剤、及び治療法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】腸内細菌叢の属レベルでの多様性を示す。(A)はシャノンの多様度指数を(B)は2次元主成分分析(PCoA)の結果を示す。
図2】腸内細菌の属レベルでの相対的な量を示す図。
図3】NanAと相同性を有するタンパク質のアミノ酸配列を示す図。
図4】攻撃性を有するイヌと、攻撃性を示さないイヌにおけるNan遺伝子を有する菌の占有率の解析結果を示す図。
図5】ケストース投与30日後、60日後の腸内細菌叢の属レベルでの多様性を示す。(A)はシャノンの多様度指数を(B)は2次元PCoA解析の結果を示す。
図6】ケストース投与30日後、60日後のNan遺伝子を有する菌であるR.gnavus及びB.coccoides-E.rectale groupのコピー数を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本検査法は、糞便中の腸内細菌を調べることにより攻撃性の診断を行うものである。腸内細菌の特定や相対量は、次世代シーケンサーやqPCR等、公知の方法を使用することができる。攻撃性の診断は以下に示す攻撃性の有無によって変化している遺伝子群あるいは細菌の一つ以上を調べればよく、複数調べることによって、診断精度が上がるものと考えられる。
【0022】
以下に示すように、イヌの攻撃性の治療にはケストースが有効であることが明らかとなった。ケストース(1-ケストース)は、スクロースのフルクトース残基に1分子のフルクトースがβ-2,1結合した構造を有する三糖類のフラクトオリゴ糖で安全性の高い食品素材である。したがって、投与量の上限は厳格に定める必要はないが、非特許文献7には、9.3~11.4kgのビーグルに対して2g/日のケストース、すなわち最大で215mg/kg/日を投与しているが、特に有害事象は報告されていない。平均体重5kgのトイプードルを用いた試験では、一日400mgのケストースを摂取させ有効性を得ており、特に有害事象は得られていない。これらの報告から、ケストースの一日あたりの投与量としては、50mg/kg以上、好ましくは、80mg/kg以上で投与すれすればよく、250mg/kg以下、好ましくは200mg/kg以下で投与すればよい。
【0023】
ケストースは、医薬品として、飼料添加剤、サプリメント、栄養補助食品の形態で、攻撃性の治療、あるいは予防に用いることができる。医薬品、サプリメントの剤型としては、例えば、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、液剤、シロップ剤等の固形または液状の剤型を挙げることができる。栄養補助食品、いわゆるおやつとしては、例えば、ビスケット、ソーセージ、チーズ、ジャーキー、ゼリー状食品等、種々の食品形態を挙げることができる。また、飼料添加剤としてケストースを配合した飼料として与えることができる。なお、各剤型は、当業者に公知の方法で製造することができる。また、原料として使用するケストースは、例えば、純度90%以上の結晶ケストースであるiKesクリスタル(伊藤忠製糖(株))やケストース純度75%以上のiKes75(伊藤忠製糖(株))などを使用することが可能である。
【0024】
以下、データを示しながら詳細に説明する。攻撃性と腸内細菌叢との関係が報告されていることから、最初に攻撃性を有するイヌと攻撃性を示さないイヌ(健常犬)の腸内細菌叢を比較解析した。
【0025】
[実施例1]診断マーカーの探索
(1)対象の選択及び試料の採取
2~6歳のトイプードルを非特許文献8の基準に基づき攻撃性を有するイヌ10頭(Aggression group、以下、Agg(0)、Agg群とする。)を選択した(N=10、年齢中央値4.64(四分位範囲2.79-6.31)、オス3頭、メス7頭)。対象群として、攻撃性を有さない健康な犬(N=6、年齢中央値3.94(四分位範囲3.03-4.54)、オス2頭、メス4頭(Healthy dog、以下、HD群とする。)を選択した。なお、胃腸の手術歴のあるもの、糞便採取前2ヶ月以内に抗生物質を服用したもの、糞便採取前2週間以内に胃腸薬や脳神経に作用する薬物や向精神薬を服用したものは試験から除外した。
【0026】
最初の採便の7日前から試験終了まで、飼料は、IMMUNE natural(株式会社リフレックス)、NATURAL Harvest(バンガード国際食品株式会社)およびLong Life Wish(パーパス株式会社)の飼料に限定した。これら3種類の市販飼料の化学組成は、粗蛋白質(全含有量18~32%)、粗脂肪(8~15.5%)、粗繊維(4~5%)、粗灰分(6~9%)で、水分は10%であった。糞便の採取は、採便キット(テクノスルガ・ラボ株式会社)を用いて実施し、排便後30分以内に採取した後、-20℃にて保管しその後のDNA抽出に用いた。
【0027】
(2)DNA抽出と16Sアンプリコンシークエンス解析
各糞便サンプルからのDNA抽出は、非特許文献9の方法に従い前処理を行い、粗抽出DNAはGENE PREP STAR PI-480(倉敷紡績)を用いて精製を行った。細菌と古細菌の16S rRNA遺伝子(V3-V4領域)を増幅するプライマーセット(Pro341F-Pro805R、非特許文献9)を用いてPCR増幅を行った。PCR産物は、MiSeqシステムとMiSeq Reagent Kit version 3(illumina)を用いて、2×301-bp cycleでペアエンドシーケンスを行った(600 cycles)。プライマー配列と結合したペアエンドシーケンスをCutadaptソフトウェア(非特許文献10)およびfastq-joinソフトウェア(非特許文献11)を用いて、オブタイド配列を除去した。QV値(Quality Value)が20以上の配列が99%以上含まれるリードを選択し、そのリードからキメラ配列を除去した。
【0028】
16S rRNA 遺伝子解析は、QIIME2(ver.2022.2、非特許文献12)を用いた。配列データはDADA2(非特許文献13)パイプラインを用いて品質フィルタリングとデノイズ処理を行った。フィルタリングされた出力配列は、「qiime feature-classifier classify-sklearn」コマンド(非特許文献14、15)を使用して、分類群に割り当てた。Silva SSU Ref Nr 99(ver.138)を分類群割り当てのための参照データベースとして使用した(非特許文献16)。シャノンの多様度指数(非特許文献17)および重み付きUniFrac距離に基づく主座標分析(PCoA)は、サンプルあたりの最小リード数で「qiime diversity core-metrics-phylogenetic」コマンドにて算出した。HD群とAgg群の腸内細菌叢構造の全体的な差異は、「qiime diversity beta-group-significance」コマンド用いて並べ替え多変量分散分析(PERMANOVA)を行い評価した(非特許文献18)。
【0029】
(3)解析結果
各群において、ある1つのサンプルの多様性を表すα多様性と、ある2つのサンプルの多様性の相違度を表すβ多様性の腸内細菌叢の解析を属レベルで行った(図1)。α多様性の指標の一つであるシャノンの多様度指数は、Agg群はHD群と比較して有意に高かった(図1(A)、Mann-Whitney test、p=0.0047)。図1(B)に、検体間で得られた菌叢距離を用いた2次元PCoA解析を示す。横軸に第一主成分(PC1)、縦軸に第二主成分(PC2)をプロットし、各プロットは個々のサンプルの微生物叢の構造を表している。Agg群はHD群と比べβ多様性が有意に異なっていることが明らかとなった(p<0.01)。
【0030】
さらに、Agg群とHD群において、いくつかの腸内細菌の占有率を属レベルで比較した(図2)。HD群と比較してAgg群では、Lachnospiraceae、Ruminococcus gnavus group、Blautia、Erysipelatoclostridium、Sutterella及びCollinsellaの占有率が有意に高く、Parasutterella、Prevotella、Slackia、Alloprevotella、Bifidobacterium、Ruminococcaceae Incetae Sedis、Peptoclostridium、Enterococcus及びButyricoccusの占有率は有意に低かった。これら細菌の増減は攻撃性の有無と相関が認められることから、攻撃性の客観的指標として用いることができる。
【0031】
具体的には、図2に示した細菌は、いずれもAgg群とHD群間で有意差が認められた細菌であることから、Agg群で占有率が高い細菌に関しては、健常犬群の第三四分位数あるいは中央値を、Agg群で占有率が低い細菌の場合には、健常犬群の第一四分位数あるいは中央値を所定の基準値として、攻撃性を判断することができる。また、これら細菌の占有率は、一つを選択して解析してもよいが、複数の細菌について解析することにより、より正確にイヌの攻撃性を判断することができる。客観的にイヌの攻撃性の判断を行う指標は今までになく、非常に画期的な検査方法となる。
【0032】
さらに、個々の菌ではなく、代謝に関わる遺伝子と攻撃性との関連を検討するために、図2で有意な差が認められた菌と、代謝を担う特定のアミノ酸をコードする遺伝子群との関連を解析することにした。Ruminococcus gnavus groupはNan遺伝子クラスターを有し、腸管の末端ムチン糖鎖を分解資化することが知られている(非特許文献19)。Nan遺伝子クラスター内の遺伝子の一つ、nanAがコードするアミノ酸配列(GenBank:EDN77078.1、配列番号1)をBLAST解析し、NanAホモログを有している細菌を抽出し、異なる種、異なる属の細菌をまとめた(図3、表1)。Nan遺伝子クラスターを有する細菌としては、Ruminococcus gnavusの属するRuminococcus groupの細菌以外にも、Blautia属、Clostridium属、Eubacterium属、Mediterraneibacter属、Lachnospiraceae属、Faecalicatena属、Butyricicoccus属、Peptostreptococcus属、Extibacter属、Dorea属、Robinsoniella属、Schaedlerella属、Latilactobacillus 属、Angelakisella属、Dubosiella属、Streptococcus属の細菌がNan遺伝子クラスターを有していた。
【0033】
【表1】
【0034】
R.gnavusのnanA、R.gnavusとBlautiaのnanAを増幅するプライマーセット、及びDoreaのnanAを増幅するプライマーセットを作製し、Agg群とHD群のNan遺伝子量に差があるか検討を行った。なお、YはCとT、RはAとG、DはG、A、T、HはA、T、Cの混合塩基を示す。
【0035】
R.gnavusのnanA増幅するプライマーセット
nanA_R. gnavus only_113F:5’-ATTCCGGCATTTTATGC-3’(配列番号21)
nanA_R. gnavus only_113R:5’-CCGTTTACATAGACACCTTTTAC-3’(配列番号22)
【0036】
R. gnavusとBlautiaのnanA増幅するプライマーセット
nanA_R.gnavus+Blautia_113F:5’-ATYCCGGCATTTTATGC-3’(配列番号23)
nanA_R.gnavus+Blautia_113R:5’-CCRTTTACRTAGACACCYTTTAC-3’(配列番号24)
【0037】
DoreaのnanA増幅するプライマーセット
nanA_Dorea genus_113F:5’-ATYCCDGCRTTYTATGC-3’(配列番号25)
nanA_Dorea genus_113R:5’-CCRTTHACATAYACACCTTTBAC-3’(配列番号26)
【0038】
これらのプライマーセットを用い、HD群とAgg群の各糞便サンプルに対し定量PCRを行った。具体的には、PowerTrack SYBR Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific)を用い、95℃、120秒1サイクル、95℃、10秒、55℃、60秒の45サイクルで増幅した。増幅と検出はQuantStudio7(ThermoFisher)を用いて行った。qPCR標準曲線にはR.gnavus由来のnanA遺伝子のPCR断片を用いた。同時に非特許文献20に従い、プライマーセット(1114f:5’-CGGCAACGAGCGCAACCC-3’(配列番号27)及び1275r:5’-CCATTGTAGCACGTGTGTAGCC-3’(配列番号28))を用いて全バクテリアの16S rRNA遺伝子の定量PCRも実施し、この値で除することによって正規化を行なった(図4)。
【0039】
R.gnavusのnanA量の中央値は、HD群と比較してAgg群で高く(図4(A)、P<0.05)、配列番号23及び24のプライマーを使用して増幅したR.gnavusとBlautiaのnanA量は、HD群と比較してAgg群で高かった(図4(B)、P<0.05)。また、DoreaのnanA量の中央値は、HD群と比較してAgg群で高かった(図4(C))。いずれも、Agg群で有意に高い値となっており、Nan遺伝子群が攻撃性に関与することが示された。
【0040】
図4で示したように、Nan遺伝子クラスターを有する菌の増減は、攻撃性と相関している。したがって、Nan遺伝子クラスターを有する菌の存在比率を確認することによって、客観的にイヌの攻撃性を検査することができる。ここでは、NanA遺伝子の存在比率(NanA遺伝子量/全バクテリアのrRNA量)を解析することによって、攻撃性を解析しているが、Nan遺伝子クラスターの遺伝子であれば、どの遺伝子を解析してもよいことは言うまでもない。また、Nan遺伝子の存在比率を指標とする攻撃性を判断する場合には、健常犬群における中央値、あるいは第三四分位数を基準とし、それ以上であれば攻撃性があると判断し、後述の治療薬を投与すればよい。
【0041】
図4に示したように、80%相同性を有するDorea属のNan遺伝子の占有率が攻撃性と相関が認められたことから、少なくとも80%の相同性を有する菌を指標として、問題行動障害を判定することが可能である。また、相同性の観点からすれば、R.gnavusと70%以上の相同性があるNan遺伝子クラスターを有する細菌の占有率を指標として、イヌの問題行動障害を判定することが可能であると考えられる。
【0042】
また、上記で使用したNanA遺伝子を増幅することができるプライマーは、イヌの攻撃性を判定するためのキットに含めることができる。イヌの攻撃性を判定するキットには、上記プライマーセットの他に、PCRを行うための試薬等、必要な試薬やマニュアルを含むことができる。
【0043】
[実施例2]ケストースによる攻撃性の治療
腸内細菌叢がイヌの攻撃性に深く関わっていることから、腸内細菌叢を改善する剤を投与することによって、イヌの攻撃性が改善するか検討を行った。ケストースは、犬において、腸内の有用な腸内細菌や腸内代謝物を増加させる効果が報告されている(非特許文献21、特許文献2、3)。しかし、攻撃性等、行動についての効果は報告されていない。そこで、ケストースを投与して攻撃性に関わる腸内細菌に変化が見られるか検討を行った。上述の攻撃性を有する10頭のイヌに対し、ケストース投与の効果を確認した。
【0044】
攻撃性を含む問題行動の評価は、犬行動学的スクリーニングの42項目版Canine Behavioral Assessment and Research Questionnaire(C-BARQ(S))を用いて実施した(非特許文献22)。C-BARQ(S)は、興奮性(excitability)、攻撃性(aggression)、恐れと不安(fear and anxiety)、分離不安(separation-related behavior)、愛着と注意喚起(attachment and attention-seeking)、しつけと服従(training and obedience)、その他(miscellaneous problems)に分類される各項目(item)を評価するものである。C-BARQ(S)の各項目は、0~4(0;ほとんど反応なし、1~3;軽度~中度、4;極度)のスコアに分けられており、各項目スコアの平均値±SEMを算出した。スコアは、獣医師がスコアの記載に対し指導を行った飼い主が記載した。
【0045】
ケストース(伊藤忠製糖)の投与は、錠剤(600mg/錠、kestose含有量400mg/錠)を1日1回、食事と共に60日間摂取させることにより行った。ケストース投与30日後、及び60日後に、C-BARQ(S)のスコアリングを実施した。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2は、C-BARQ(S)42項目のうち、変化のあった項目を示している。攻撃性に関する項目3(知らない人に声をかけられた際の行動)、項目6(宅配便の配達員が自宅に近づいたときの行動)、項目8(知らないイヌが近づいてきた際の行動)、項目9(知らない人が家を通り過ぎた際の行動)、項目10(知らないイヌに吠えられる、唸られる、又は突進された際の行動)のスコアは、ケストース投与前に比べ、30日後、もしくは60日後において有意に減少していた。その他、興奮性に関する項目では、項目1(散歩前に興奮する傾向)、項目2(車での移動前に興奮する傾向)、分離不安に関する項目では、項目23(放って置かれた際の不安兆候)、その他の項目では、項目34(リードをつけている際に過度に引っ張る)、項目38(多動)、項目39(騒々しい)、項目40(活動的)、項目42(しつこく吠える)のスコアもケストース投与前と比べ30日後、もしくは60日後において、投与前に比べ有意に減少していた。
【0048】
すなわち、C-BARQ(S)の攻撃性以外の項目、興奮性、分離不安もケストース摂取により改善することが示された。したがって、実施例1で示した腸内細菌叢の変化は、攻撃性以外の問題行動にも関与している可能性が示唆され、ケストースが幅広い問題行動の改善に効果があることが示唆された。
【0049】
ケストース投与により、腸内細菌叢が変化するか確認を行った。ケストース投与30日後、60日後の腸内細菌叢の属レベル多様性を実施例1と同様にして解析を行った。ケストース未投与時においては、Agg群における腸内細菌叢のシャノンの多様度指数は、HD群と比較して有意に高かったのに対し(図1参照)、ケストース投与後ではケストース30日投与後(Agg Kes(+)(30))、ケストース60日投与後(Agg Kes(+)(60))いずれも、ケストース未投与時に対して有意差は認められなかったものの、低下傾向を示していた(図5(A))。
【0050】
また、ケストース未投与時においては、HD群とAgg群のβ多様性に明確な差があることが主座標分析により示されていたが(図1参照)、ケストース投与後では、Agg群におけるケストース30日投与後、ケストース60日投与後間では有意な差は見られなかったものの、未投与時とは異なる分布を示していた(図5A(B))。
【0051】
また、Nan遺伝子群を有する菌であるR.gnavus及びB.coccoides-E.rectale groupの増減をqPCRにより解析したところ、R.gnavusでは、ケストース投与60日後にコピー数が有意に減少していることが認められた(図6)。また、B.coccoides-E.rectale groupにおいても、ケストース投与によって減少する傾向があることが認められた。
【0052】
以上、検討してきたように、ケストース投与は、攻撃性に限らず問題行動の改善剤として投与することができる。さらに、腸内細菌叢を健全に保つことが問題行動障害を起こさないことを考えると、飼料等に配合した形態で問題行動予防剤としても使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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