(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139639
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ハイブリッド型発電装置
(51)【国際特許分類】
F24T 10/40 20180101AFI20241002BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20241002BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F24T10/40
H02N11/00 A
H02J3/38 110
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050682
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】322012929
【氏名又は名称】藤井忠生
(71)【出願人】
【識別番号】522482120
【氏名又は名称】株式会社Asuka
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠生
(72)【発明者】
【氏名】上林 昭平
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HB04
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】自然エネルギーを利用するが、設置場所の環境条件の制限を受けにくいハイブリッド型発電装置を提供する。
【解決手段】地熱発電部2と太陽光発電部3を備える。地熱発電部は、上側熱交換体4と、中間熱交換体5と、上側及び中間熱交換体間にのびる複数本の第1の伝熱体6と、中間熱交換体及び第1の伝熱体間に配置された第1の熱電変換モジュール7と、各第1の伝熱体を第1の熱電変換モジュールとともに被覆する第1の断熱材8と、下側熱交換体10と、中間及び下側熱交換体間にのびる複数本の第2の伝熱体11と、中間熱交換体及び第2の伝熱体間に配置された第2の熱電変換モジュール12と、各第2の伝熱体を第2の熱電変換モジュールとともに被覆する第2の断熱材13を有する。太陽光発電部は、上側熱交換体に設けられた支持構造15と、支持構造に取り付けられた太陽電池モジュール16とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地熱発電部および太陽光発電部を備え、
前記地熱発電部は、
外気との熱交換のための上側熱交換体と、
前記上側熱交換体の下方に配置された、地表層との熱交換のための中間熱交換体と、
それぞれ、前記上側および前記中間熱交換体間にのびるとともに、互いに間隔をあけて配置され、上下端がそれぞれ前記上側および前記中間熱交換体に導熱性を有するように接続された複数本の第1の伝熱体と、
前記上側熱交換体および前記第1の伝熱体間、および/または前記中間熱交換体および前記第1の伝熱体間に配置されて、一端面が前記上側熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記上側熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した、および/または一端面が前記中間熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記中間熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した第1の熱電変換モジュールと、
前記複数本の第1の伝熱体のそれぞれを関係する前記第1の熱電変換モジュールとともに被覆する第1の断熱材と、
前記中間熱交換体の下方に配置された、地中との熱交換のための下側熱交換体と、
それぞれ、前記中間および前記下側熱交換体間にのびるとともに、互いに間隔をあけて配置され、上下端がそれぞれ前記中間および前記下側熱交換体に導熱性を有するように接続された複数本の第2の伝熱体と、
前記中間熱交換体および前記第2の伝熱体間、および/または前記下側熱交換体および前記第2の伝熱体間に配置されて、一端面が前記中間熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記中間熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した、および/または一端面が前記下側熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記下側熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した第2の熱電変換モジュールと、
前記複数本の第2の伝熱体のそれぞれを関係する前記第2の熱電変換モジュールとともに被覆する第2の断熱材と、を有し、
前記太陽光発電部は、
前記上側熱交換体の上面に設けられた支持構造と、
前記支持構造に取り付けられて、日射を受ける太陽電池モジュールと、を有しているものであることを特徴とするハイブリッド型発電装置。
【請求項2】
前記地熱発電部の前記複数本の第1の伝熱体のうちの少なくとも1本がヒートパイプであり、前記複数本の第2の伝熱体のうちの少なくとも1本がヒートパイプであることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド型発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギー、特に、太陽光および地熱を利用して発電を行うハイブリッド型発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題の解決のため、CО2排出削減、脱炭素化社会の実現に向けた取り組みが推進されており、その中で、自然エネルギーを利用した発電装置の開発も行われている。
【0003】
自然エネルギーを利用した発電方式として、現在最も普及しているのが、太陽光発電であるが、太陽光発電、夜間に発電ができない、日射量が少ないと発電量が減少する等のデメリットも有している。
【0004】
そのため、従来技術においては、太陽光発電に、自然エネルギーを利用した別の発電方式を組み合わせたハイブリッド型発電方式がいくつか提案されている。
この種のハイブリッド型発電装置としては、例えば、太陽光発電と風力発電を組み合わせたものが知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0005】
このハイブリッド型発電装置によれば、太陽光発電および風力発電のそれぞれのデメリットを互いに補うことで、より安定的な発電を実現することができる。
【0006】
しかしながら、風力発電を安定して行うには、一定時間、十分な風量が得られることが必要であり、よって、この従来のハイブリッド型発電装置は、設置場所が限定されるという欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-77895号公報
【特許文献2】特開2008-11589号公報
【特許文献3】特開2023-7792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、自然エネルギーを利用するが、設置場所の環境条件の制限を受けにくいハイブリッド型発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明によれば、地熱発電部および太陽光発電部を備え、前記地熱発電部は、外気との熱交換のための上側熱交換体と、前記上側熱交換体の下方に配置された、地表層との熱交換のための中間熱交換体と、それぞれ、前記上側および前記中間熱交換体間にのびるとともに、互いに間隔をあけて配置され、上下端がそれぞれ前記上側および前記中間熱交換体に導熱性を有するように接続された複数本の第1の伝熱体と、前記上側熱交換体および前記第1の伝熱体間、および/または前記中間熱交換体および前記第1の伝熱体間に配置されて、一端面が前記上側熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記上側熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した、および/または一端面が前記中間熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記中間熱交換体および前記第1の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した第1の熱電変換モジュールと、前記複数本の第1の伝熱体のそれぞれを関係する前記第1の熱電変換モジュールとともに被覆する第1の断熱材と、前記中間熱交換体の下方に配置された、地中との熱交換のための下側熱交換体と、それぞれ、前記中間および前記下側熱交換体間にのびるとともに、互いに間隔をあけて配置され、上下端がそれぞれ前記中間および前記下側熱交換体に導熱性を有するように接続された複数本の第2の伝熱体と、前記中間熱交換体および前記第2の伝熱体間、および/または前記下側熱交換体および前記第2の伝熱体間に配置されて、一端面が前記中間熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記中間熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した、および/または一端面が前記下側熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの一方に熱的に接触し、他端面が前記下側熱交換体および前記第2の伝熱体のうちの他方に熱的に接触した第2の熱電変換モジュールと、前記複数本の第2の伝熱体のそれぞれを関係する前記第2の熱電変換モジュールとともに被覆する第2の断熱材と、前記第1および前記第2の熱電変換モジュールに接続された第1のパワーコンディショナーと、を有し、前記太陽光発電部は、前記上側熱交換体の上面に設けられた支持構造と、前記支持構造に取り付けられた太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールに接続された第2のパワーコンディショナーと、を有しているものであることを特徴とするハイブリッド型発電装置が提供される。
【0010】
本発明の好ましい実施例によれば、前記地熱発電部の前記複数本の第1の伝熱体のうちの少なくとも1本がヒートパイプであり、前記複数本の第2の伝熱体のうちの少なくとも1本がヒートパイプである。
【0011】
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記ハイブリッド型発電装置は、さらに、前記地熱発電部の前記第1のパワーコンディショナーおよび前記太陽光発電部の前記第2のパワーコンディショナーに接続された蓄電池を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハイブリッド型発電装置は、地熱発電部の下側熱交換体、中間熱交換体および上側熱交換体がそれぞれ、地中、地表層および地上に位置する配置で、中間熱交換体から下の部分が地中に埋設されることによって地面に設置される。
【0013】
ハイブリッド型発電装置が地面に設置された状態で、地熱発電部の上側熱交換体は、外気と熱交換を行い、外気と熱平衡状態となって気温と同じ温度になり、中間熱交換体は、地表層と熱交換を行い、地表層と熱平衡状態となって地表層と同じ温度になり、下側熱交換体は、地中と熱交換を行い、地中と熱平衡状態となって地中と同じ温度になる。
【0014】
ところで、年間を通して、また1日を通して、気温の変化、地表層の温度変化および地中の温度変化はそれぞれ異なるサイクルで、かつ異なる変動幅で生じており、気温が地表層の温度よりも高くなる期間(時間)とそれが逆転する期間(時間)とが交互に発生し、また地表の温度が地中の温度よりも高くなる期間(時間)とそれが逆転する期間(時間)とが交互に発生している。
【0015】
そして、地熱発電部においては、地表層の温度が気温よりも高いときは、熱が中間熱交換体から第1の伝熱体を通じて上側熱交換体に移動するとともに、第1の熱電変換モジュールの両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第1の熱電変換モジュールから電気エネルギーが出力される。
【0016】
一方、地表層の温度が気温よりも低いときは、熱が上側熱交換体から第1の伝熱体を通じて中間熱交換体に移動するとともに、第1の熱電変換モジュールの両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第1の熱電変換モジュールから電気エネルギーが出力される。
【0017】
また、地表層の温度が地中の温度よりも高いときは、熱が中間熱交換体から第2の伝熱体を通じて下側熱交換体に移動するとともに、第2の熱電変換モジュールの両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第2の熱電変換モジュールから電気エネルギーが出力される。
【0018】
一方、地表層の温度が地中の温度よりも低いときは、熱が下側熱交換体から第2の伝熱体を通じて中間熱交換体に移動し、第2の熱電変換モジュールの両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第2の熱電変換モジュールから電気エネルギーが出力される。
【0019】
こうして、年間を通した、または1日を通した気温と地表層の温度との温度差、および地表層の温度と地中の温度との温度差を有効利用することによって、安定的な発電を行うことが可能になる。
【0020】
また、太陽光発電部においては、太陽光が太陽電池モジュールに照射されると、太陽光は太陽電池モジュールによって電気エネルギーに変換され、太陽電池モジュールから電気エネルギーが出力される。
【0021】
こうして、晴れた日中等の日射量が十分にあるときは、太陽光を有効利用することによって、安定的な発電を行うことが可能になる。
【0022】
本発明によれば、晴れた日中等の日射量が十分にあるときは、主として太陽光発電により、必要な電力を安定供給することができ、一方、夜間や日射量が少ない場合には、主として地熱発電によって、必要な電力を安定供給することができる。
そして、一定のスペースがあって、日中に適量の日射がありさえすれば、いかなる場所でも、ハイブリッド型発電装置を設置し、年間を通して安定的に発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の1実施例によるハイブリッド型発電装置の斜視図である。
【
図2】
図1のハイブリッド型発電装置を地面に設置した状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例によるハイブリッド型発電装置の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1のハイブリッド型発電装置の縦断面図である。
【0025】
図1および
図2を参照して、本発明のハイブリッド型発電装置1は、地熱発電部2および太陽光発電部3を備えている。
【0026】
地熱発電部2は、外気Vとの熱交換のための上側熱交換体4と、上側熱交換体4の下方に配置された、地表層Wとの熱交換のための中間熱交換体5と、それぞれ、上側および中間熱交換体4、5間にのびるとともに、互いに間隔をあけて配置され、上下端がそれぞれ上側熱交換体4および中間熱交換体5に熱伝導性を有するように接続された複数本の第1の伝熱体6とを備えている。
【0027】
上側および中間熱交換体4、5は、この実施例では、高い熱伝導率をもつ金属または合金、好ましくは、アルミニウムまたは銅から形成された板状体からなっている。
好ましくは、上側および中間熱交換体4、5は、一定程度の剛性を維持しつつ、できるだけ薄く、かつできるだけ大きな面積を有するように形成される。それによって、上側および中間熱交換体4、5の熱交換性および熱伝導性が高められる。
【0028】
また、この実施例では、複数本の第1の伝熱体6のうちの少なくとも1本はヒートパイプ6aからなり、複数本の第1の伝熱体6のうちの残りは、高い熱伝導率をもつ金属または合金、好ましくは、アルミニウムまたは銅から形成された棒体6bからなっている。
【0029】
ヒートパイプ6aは、主として、中間熱交換体5の温度が上側熱交換体4の温度よりも高い場合に、中間熱交換体5側から上側熱交換体4側への一方向の高効率な熱移動を実現するものであり、棒体6bは、中間熱交換体5および上側熱交換体4間の双方向の熱移動を可能にするものである。
【0030】
地熱発電部2は、さらに、中間熱交換体5および第1の伝熱体6間に配置されて、一端面が中間熱交換体5および第1の伝熱体6のうちの一方(この実施例では、第1の伝熱体6)に熱的に接触し、他端面が中間熱交換体5および第1の伝熱体6のうちの他方(この実施例では、中間熱交換体5)に熱的に接触した第1の熱電変換モジュール7を備えている。
第1の熱電変換モジュール7としては、例えば、ゼーベック効果またはスピンゼーベック効果を利用したものが使用される。
【0031】
第1の熱電変換モジュール7を設ける位置は、この実施例に限定されない。
例えば、第1の熱電変換モジュール7を、中間熱交換体5および第1の伝熱体6間の代わりに、上側熱交換体4および第1の伝熱体6間に配置し、一端面が上側熱交換体4および第1の伝熱体6のうちの一方に熱的に接触し、他端面が上側熱交換体4および第1の伝熱体6のうちの他方に熱的に接触するように構成してもよいし、あるいは、第1の熱電変換モジュール7を、中間熱交換体5および第1の伝熱体6間、および上側熱交換体4および第1の伝熱体6間のそれぞれに配置してもよい。
【0032】
地熱発電部2は、また、複数本の第1の伝熱体6のそれぞれを関係する第1の熱電変換モジュール7とともに被覆する第1の断熱材8を備えている。
【0033】
この実施例では、さらに、第1の伝熱体6の配置領域の外側において、上側熱交換体4および中間熱交換体5間にのびる複数本の連結部材9が備えられる。
連結部材9は、低熱伝導率の棒体からなっている。
【0034】
連結部材9によって、上側熱交換体4、第1の伝熱体6(ヒートパイプ6a、棒体6b)、第1の熱電変換モジュール7および中間熱交換体5は互いに強固に接続され、一体的な構造を形成している。
【0035】
地熱発電部2は、さらに、中間熱交換体5の下方に配置された、地中との熱交換のための下側熱交換体10と、それぞれ、中間および下側熱交換体5、10間にのびるとともに、互いに間隔をあけて配置され、上下端がそれぞれ中間および下側熱交換体5、10に導熱性を有するように接続された複数本の第2の伝熱体11を備えている。
【0036】
下側熱交換体10は、上側および中間熱交換体4、5と同じ構成を有している。
また、複数本の第2の伝熱体11のうちの少なくとも1本はヒートパイプ10aからなり、複数本の第2の伝熱体11のうちの残りは、高い熱伝導率をもつ金属または合金、好ましくは、アルミニウムまたは銅から形成された棒体11bからなっている。
【0037】
ヒートパイプ11aは、主として、下側熱交換体10の温度が中間熱交換体5の温度よりも高い場合に、下側熱交換体10側から中間熱交換体5側への一方向の高効率な熱移動を実現するものであり、棒体11bは、下側熱交換体10および中間熱交換体5間の双方向の熱移動を可能にするものである。
【0038】
地熱発電部2は、さらに、中間熱交換体5および第2の伝熱体11間に配置されて、一端面が中間熱交換体5および第2の伝熱体11のうちの一方に熱的に接触し、他端面が中間熱交換体5および第2の伝熱体11のうちの他方に熱的に接触した第2の熱電変換モジュール12を備えている。
【0039】
第2の熱電変換モジュール12は第1の熱電変換モジュール7と同じ構成を有しており、第2の熱電変換モジュール12と、中間熱交換体5および第2の伝熱体11との接続部の構成も、第1の熱電変換モジュール7の場合と同じである。
【0040】
第2の熱電変換モジュール12を設ける位置は、この実施例に限定されない。
例えば、第2の熱電変換モジュール12を、中間熱交換体5および第2の伝熱体11間の代わりに、下側熱交換体10および第2の伝熱体11間に配置し、一端面が下側熱交換体10および第2の伝熱体11のうちの一方に熱的に接触し、他端面が下側熱交換体10および第2の伝熱体11のうちの他方に熱的に接触するように構成してもよいし、あるいは、第2の熱電変換モジュール12を、中間熱交換体5および第2の伝熱体11間、および下側熱交換体10および第2の伝熱体11間のそれぞれに配置してもよい。
【0041】
地熱発電部2は、さらに、複数本の第2の伝熱体11のそれぞれを関係する第2の熱電変換モジュール12とともに被覆する第2の断熱材13を備えている。
第2の断熱材13は第1の断熱材8と同じ構成を有している。
【0042】
この実施例では、さらに、第2の伝熱体11の配置領域の外側において、中間熱交換体5および下側熱交換体10間にのびる複数本の連結部材14が備えられる。
【0043】
連結部材14によって、中間熱交換体5、第2の伝熱体11(ヒートパイプ11a、棒体11b)、第2の熱電変換モジュール12および下側熱交換体10は互いに強固に接続され、一体的な構造を形成している。
【0044】
図示はしないが、第1および第2の熱電変換モジュール7、12は、熱電変換モジュール専用のパワーコンディショナーに接続され、このパワーコンディショナーは、太陽電池モジュールと共通の蓄電池に接続されている。
【0045】
太陽光発電部3は、上側熱交換体4の上面に設けられた支持構造15と、支持構造15に取り付けられ、日射を受ける太陽電池モジュール16とを有している。
【0046】
図示はしないが、太陽電池モジュール16は、太陽電池モジュール専用のパワーコンディショナーに接続され、このパワーコンディショナーは、熱電変換モジュールと共通の蓄電池に接続されている。
【0047】
次に本発明のハイブリッド型発電装置1の動作を説明する。
図2からわかるように、ハイブリッド型発電装置1は、下側熱交換体10、中間熱交換体5および上側熱交換体4がそれぞれ、地中X、地表層Wおよび地上Vに位置する配置で、中間熱交換体5から下の部分が地中に埋設されることによって設置される。
【0048】
ハイブリッド型発電装置1が設置された状態で、上側熱交換体4は、外気Vと熱交換を行い、外気Vと熱平衡状態となって気温と同じ温度になり、中間熱交換体5は、地表層Wと熱交換を行い、地表層Wと熱平衡状態となって地表層Wと同じ温度になり、下側熱交換体10は、地中Xと熱交換を行い、地中Xと熱平衡状態となって地中Xと同じ温度になる。
【0049】
ところで、年間を通して、また1日を通して、気温の変化、地表層Wの温度変化および地中Xの温度変化はそれぞれ異なるサイクルで、かつ異なる変動幅で生じており、気温が地表層Wの温度よりも高くなる期間(時間)とそれが逆転する期間(時間)とが交互に発生し、また地表層Wの温度が地中Xの温度よりも高くなる期間(時間)とそれが逆転する期間(時間)とが交互に発生している。
【0050】
そして、この地熱発電ユニット1によれば、地表層Wの温度が気温よりも高いときは、熱が中間熱交換体5から第1の伝熱体6、特に、ヒートパイプ6aを通じて上側熱交換体4に移動するとともに、第1の熱電変換モジュール7の両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第1の熱電変換モジュール7から電気エネルギーが取り出される。
【0051】
逆に、地表層Wの温度が気温よりも低いときは、熱が上側熱交換体4から第1の伝熱体6、主として棒体6bを通じて中間熱交換体5に移動するとともに、第1の熱電変換モジュール7の両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第1の熱電変換モジュール7から電気エネルギーが出力される。
【0052】
また、地表層Wの温度が地中Xの温度よりも高いときは、熱が中間熱交換体5から第2の伝熱体11、主として棒体11bを通じて下側熱交換体10に移動するとともに、第2の熱電変換モジュール12の両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第2の熱電変換モジュール12から電気エネルギーが出力される。
【0053】
逆に、地表層Wの温度が地中Xの温度よりも低いときは、熱が下側熱交換体10から第2の伝熱体11、特にヒートパイプ11aを通じて中間熱交換体5に移動し、第2の熱電変換モジュール12の両端面にこの熱移動に応じた温度差が生じて、第2の熱電変換モジュール12から電気エネルギーが出力される。
【0054】
こうして、1年を通した、または1日を通した気温と地表層Wの温度との温度差、および地表層Wの温度と地中Xの温度との温度差を有効利用することによって、安定的な発電を行うことが可能になる。
【0055】
また、太陽光発電部3においては、太陽光が太陽電池モジュール16に照射されると、太陽光は太陽電池モジュール16によって電気エネルギーに変換され、太陽電池モジュール16から電気エネルギーが出力される。
【0056】
こうして、晴れた日中等の日射量が十分にあるときは、太陽光を有効利用することによって、安定的な発電を行うことが可能になる。
【0057】
本発明によれば、晴れた日中等の日射量が十分にあるときは、主として太陽光発電により、必要な電力を安定供給することができ、一方、夜間や日射量が少ない場合には、主として地熱発電によって、必要な電力を安定供給することができる。
そして、一定のスペースがあって、日中に適量の日射がありさえすれば、いかなる場所でも、ハイブリッド型発電装置1を設置し、年間を通して安定的に発電を行うことができる。
【0058】
本発明のハイブリッド型発電装置1は、地面に設置されるので、地面に固定された対象(いわゆる不動産)、例えば、バス停留所等のデジタルサイネージ、宅配ボックス、交通信号機および道路灯(街灯)等に対する小型電源装置として使用するのに適している。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されず、当業者が添付の特許請求の範囲に記載された構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1 ハイブリッド型発電装置
2 地熱発電部
3 太陽光発電部
4 上側熱交換体
5 中間熱交換体
6 第1の伝熱体
6a ヒートパイプ
6b 棒体
7 第1の熱電変換モジュール
8 第1の断熱材
9 連結部材
10 下側熱交換体
11 第2の伝熱体
11a ヒートパイプ
11b 棒体
12 第2の熱電変換モジュール
13 第2の断熱材
14 連結部材
15 支持構造
16 太陽電池モジュール
V 地上(外気)
W 地表層
X 地中