(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139670
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20241002BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241002BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241002BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q19/10
A61Q1/14
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190426
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2023050396
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】羽田 容介
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD201
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD532
4C083AD662
4C083CC05
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD08
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】化粧料に配合可能であって、すぐれた起泡性及び乳化特性を有し、かつ、生体安全性、生分解性にもすぐれた新規化合物、並びに該化合物を配合した乳化化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、一般式(1)で表され、式(1)において、「R」は、炭素数10~40までのアルキル基、「X」は中性アミノ酸、「0」は酸素、「Y」はアルドン酸、又はウロン酸系の単糖、或いはそれら単糖のうちの1つ含む二糖又はオリゴ糖であり、「R-O-X」はエステル結合され、「X-Y」はアミド結合されている化合物を配合した乳化化粧料である。
式(1)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)に示す化合物。
式(1):
(式1中のRは、炭素数10~40までのアルキル基、Xは中性アミノ酸、Oは酸素、Yはアルドン酸、又はウロン酸系の単糖、或いはそれら単糖のうちの1つを含む二糖又はオリゴ糖を表し、R-O-Xはエステル結合され、X-Yはアミド結合されている。)を有効成分とする化粧料。
【請求項2】
請求項1又は請求項2に記載の化粧料が、起泡性化粧料又は乳化化粧料であることを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル基、糖及びアミノ酸の結合体を含む化粧料である。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、化粧品及び食品等の様々な分野において、可溶化剤、乳化剤又は洗浄剤として、アミノ酸及び/又は糖を含む界面活性剤等の様々なものが提案されているが(非特許文献1,2、特許文献1)、化粧料用の起泡性、乳化安定性、洗浄性、刺激性等の点で問題があった。また、特許文献2には、アルキル-糖-アミノ酸の結合体が開示されているが、この結合体を含む化粧料については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05-277351号
【特許文献2】特開2018-145188号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】阿部正彦,坂本一民等、界面活性剤の本、日刊工業新聞社、2010,88
【非特許文献2】國枝博信,坂本一民等、界面活性剤と両親媒性高分子の機能と応用、シーエムシー出版,2005, 76-77
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、アルキル基、糖及びアミノ酸を配合した化粧料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は下記式(1)に示す化合物である。
式(1):
(式1中のRは、炭素数10~40までのアルキル基、Xは中性アミノ酸、Oは酸素、Yはアルドン酸、又はウロン酸系の単糖、或いはそれら単糖のうちの1つを含む二糖又はオリゴ糖を表し、R-O-Xはエステル結合され、X-Yはアミド結合されている。)
また、本発明は、式(1)に示す化合物を有効成分とする化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る化合物を配合することにより起泡性にすぐれた化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、式(1)に示すO-アルキル(R-O-)、アミノ酸(X)及びアルドン酸又はウロン酸(Y)の化合物を有効成分とする化粧料である。
式(1):
【0009】
本発明においては、アルキル(R)は、炭素数10~24のものが好ましい。
【0010】
本発明において、アミノ酸(X)は、グリシンなどのアルキル鎖のみで構成される中性アミノ酸が好ましく、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンが挙げられる。
【0011】
本発明において、アルドン酸又はウロン酸とは、単糖、二糖及びオリゴ糖が好ましく、単糖としては、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸等が挙げられ、二糖としては、ラクトビオン酸、ラクトース、マルトース、スクロース、セルビオース等が挙げられるが、ガラクトースなど還元糖の1位のホルミル基を酸化してカルボン酸としたアルドン酸や、糖の主鎖末端のヒドロキシメチル基を酸化してカルボン酸としたウロン酸及びこれらのアルドン酸、ウロン酸を1つ含む二糖又はオリゴ糖を用いることができる。
【0012】
本発明において、式(1)の「O」は酸素であり、R-O-Xの結合は、アミノ酸のカルボキシル基とアルキル基とのエステル結合である。また、X-Yの結合は、アミノ酸のアミノ基とアルドン酸又はウロン酸のカルボキシル基とのアミド結合である。
【0013】
本発明に係る化合物の製造方法は、アルキル基とアミノ酸と糖の化合物であればよく、一般的な合成方法の組み合わせることでもよい。例えば、アルコール性水酸基とアミノ酸を脱水縮合反応により結合させ、アルキル基とアミノ酸の化合物のアミノ基と、糖の酸化化合物のカルボキシル基を脱水縮合反応により結合させて、製造することができる。なお、アルキル基とアミノ酸との結合反応においては、アミノ酸のアミノ基をtert‐ブトキシカルボニル基により保護してから、結合反応させることでもよい。この場合、tert‐ブトキシカルボニル基の脱保護反応が必要となるが、R-OHとアミノ酸のアミノ基による脱水反応が生じない点から最終的な収率が向上するという利点がある。
【0014】
以下に、本発明に係る化合物の製造は、特許文献2(特開2018-145188号)の段落[0014]~[0019]に示す方法を用いることで行うことができる。
【0015】
なお、特許文献2(特開2018-145188号)の段落[0014]に記載の製造例1において、ラクトビオン酸に代えて、マルトースを用いる他は、製造例1の工程1~工程4と同様の操作により、化合物(4)を製造することも確認した。これにより、当該方法により、糖として二糖を結合させることができることは明らかである。なお、マルトースを糖として結合させた化合物は、C26H49NO13の組成で表せられる。
【0016】
また、マルトースを用いる場合の別の製造方法として、以下の方法も挙げられる。
[工程1]
まず、グリシンを塩酸ガスと反応させ、グリシン塩酸塩を生成する。次に、グリシン塩酸塩に、1当量の1-ドデカノールを高温(80℃~90℃)で反応させ、ドデカノールとグリシンエステルの塩酸塩を生成した。次に、ドデカノールとグリシンエステルの塩酸塩に炭酸水素ナトリウムを反応させて、1-ドデカノールとグリシンのエステル結合体を生成した。
[工程2]
マルトースに水酸化カリウムとヨウ素を反応させ、酸化し、マルトースの1位を開環させ、マルトビオン酸のカリウム塩を生成する。次に、陽イオンイオン交換樹脂で、カリウム塩を除き、マルトビオン酸を得た。このマルトビオン酸をメタノールとエタノール混液(1:1)に溶解し、減圧濃縮することで、ラクトン化させ、マルトノラクトンを生成する。
[工程3]
工程1で生成した1-ドデカノールとグリシンのエステル結合体と、工程2で生成したマルトノラクトンを高温(80℃~90℃)の温度条件で、メタノールの存在下で反応させることで、マルトースと1-ドデカノールとグリシンのエステル結合体のアミノ基を脱水縮合した。これにより、特許文献2(特開2018-145188号)の段落[0014]に記載の製造例1にて得られる化合物(1)において、ラクトビオン酸に代えてマルトースを結合させた化合物(4)を得ることができる。
【0017】
試験例1.表面張力及び臨界ミセル濃度(CMC)の評価
本発明に係る化合物(1)~(3)の表面張力及びCMCを測定した。表面張力は、自動表面張力計 Kruss K122 tensiometerを用いたWilhelmy plate法により測定した。また、CMC及びこのCMCにおける表面張力(γCMC)はWilhelmy plate法による測定から得られる表面張力の濃度の対数をプロットし、得られた2直線の交点から決定することができる。
【0018】
【0019】
本発明に係る化合物(1)~(3)は、表7に示すようにCMCが十分に低いことから、起泡性を有する化粧料を提供することができる。同様に、化合物(4)もCMCが十分に低いことが確認されたことから(CMC/mmol dm-3 0.0114, γCMC/mMm-1 33.0)、起泡性を有する化粧料を提供することができる。
【0020】
本発明に係る化合物(1)~(4)を化粧料に配合する場合、一般的に化粧料に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、消炎剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、抗アクネ剤、細胞賦活剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白剤、抗シワ剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0021】
油性成分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ベルガモット油、ラベンダー油、バラ油、ベルガモット油、カミツレ油等の植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ビタミンA油;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸又はそれらの塩等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、パントテニルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0022】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0023】
乳化剤及び/又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖とタンパク質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来タンパク質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0024】
保湿剤としては、保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、ラフィノース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、ヒアルロン酸発酵液、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、コラーゲンペプチド、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、エストラジオール、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0025】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、プルラン、アロエ多糖体等の多糖類;トラガントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボシキビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0026】
消炎剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ε-アミノカプロン酸、d-カンフル、dl-カンフル、酸化亜鉛、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、及びリボフラビン又はその誘導体等がある。
【0027】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ピリチオン亜鉛、塩化ベンザルコニウム、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、臭化アルキルイソキノリニウム、レゾルシン、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、トリクロロヒドロキシジフェノールエーテル、ヒノキチオール、1、2-ペンタンジオール、プロパンジオール、濃ベンザルコニウム塩化物液50、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ、トウモロコシ等の植物由来のエタノール又は1、3-ブチレングリコール等がある。
【0028】
細胞賦活剤としては、パントテニルアルコール、メントール、dl-メントール、及びγ-オリザノール等がある。
【0029】
抗アクネ剤としては、イオウ、サリチル酸又はその塩、感光素201号、ジカプリル酸ピリドキシン等がある。
【0030】
粉体成分しては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、アズキ等)のパウダー等がある。
【0031】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0032】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン等のカロテノイド、ビタミンE及びその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル)、ビタミンA又はその誘導体(パルミチン酸レチノール等)等がある。
【0033】
美白剤として、コウジ酸又はその誘導体、アスコルビン酸又はその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ビタミンE又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、マグノリグナン(5、5'-ジプロピル-ビフェニル-2、2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)、胎盤抽出液(プラセンタエキス)、リノール酸から選択される1以上のものが挙げられる。
【0034】
上記コウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド(2-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)、L-アスコルビン酸-5-グルコシド(5-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えば、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、ビタミンE誘導体としては、例えばビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0035】
抗シワ剤として、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体(酢酸トコフェロール等)、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等)、パントテニルアルコール、トラネキサム酸、ナイアシンアミドが挙げられる。
【0036】
さらに、以下の植物又は微生物等の天然物由来の成分を併用することも可能である。例えば、コラーゲン又はその加水分解物、酵母抽出物又は加水分解物、乳酸菌培養物、イネ科植物、アブラナ科植物、ツバキ科植物、バラ科植物、ボタン科植物、ミカン科植物、ヒユ科植物、アマモ科植物、マメ科植物、キク科植物、マメ科植物、アオイ科植物、リンドウ科植物、シソ科植物、ハス科植物、ウリ科植物、ウコギ科植物、ナス科植物、ノウゼンカズラ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、アヤメ科植物、キキョウ科植物、モクセイ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、クロウメモドキ科植物、ラン科植物、ウルシ科植物、フクギ科植物、バレンシ科植物、ミカン科植物、フトモモ科植物、ユリ科植物、ベンケイソウ科植物、ヒノキ科植物、ヒルガオ科の植物及びキジカクシ科のいずれかから選択される1以上の植物の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、コンブ科、ミリン科及びアオサ科のいずれかから選択される1以上の海藻の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、クラゲ(ミズクラゲ、エチゼンクラゲ等の自己消化物)、ヒアルロン酸の加水分解物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又はその加水分解物或いは発酵物挙げられる。
【0037】
イネ科の植物由来成分としては、特に、イネ葉加水分解物、米抽出物加水分解物、米糠抽出物加水分解物、ハトムギ抽出物又は発酵物、発芽玄米加水分解物、米発酵液、清酒由来の酒粕抽出物、マダケ又はモウソウチクのタケノコ皮抽出物が好ましい。また、アブラナ科植物由来の成分としては、白芥子の抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物が好ましい。また、ツバキ科植物由来成分としては、特に、緑茶(やぶきた、さみどり、あさひ、ごこう、うじみどり、きょうみどり、うじひかり、さみどり、べにふうき等)及び紅茶(ダージリン、アッサム、セーロン、アールグレイ、蜜香紅茶等)が好ましい。バラ科植物由来成分としては、ダマスクバラの花の抽出物、モモの花、葉又は未成熟果実の抽出物、イチゴの花抽出物、サクラの花又は葉の抽出物、アンズの果実又は種子の抽出物が好ましい。また、ボタン科植物由来成分としては、ボタンの根又は花、及びシャクヤクの花又は根の抽出物が好ましい。また、ヒユ科植物由来成分としては、特に、アッケシソウ抽出物が好ましい。また、アマモ科植物由来成分としては、特に、アマモ又はコアマモの抽出物が好ましい。マメ科植物由来成分としては、特に、白大豆又は黒大豆の抽出物又はその加水分解物或いは豆乳発酵液、アズキ抽出物、アカツメクサ抽出物、クズ根抽出物が好ましい。また、キク科植物由来成分としては、特に、ゴボウ根抽出物、ヒマワリ新芽抽出物、ハゴロモソウ抽出物、アルニカ抽出物又はカミツレ花抽出物が好ましい。アオイ科植物由来成分としては、ハイビスカス、ムクゲ又はフヨウの発酵物が好ましい。リンドウ科植物由来成分としては、ゲンチアナ抽出物が好ましい。また、シソ科植物としては、アオジソ抽出物、ムラサキシキブ果実抽出物が好ましい。ハス科植物由来成分としては、特に、ハスの花又はハス種子抽出物或いはハス種子発酵物が好ましい。ウリ科植物由来成分としては、特に、ヘチマ抽出物が好ましい。ウコギ科植物由来成分としては、オタネニンジンの抽出物又は発酵物が好ましい。ナス科植物由来成分としては、ナス(長ナス、水ナス、米ナス、賀茂ナス等)の抽出物が挙げられる。ノウゼンカズラ科植物由来成分としては、パウダルコ樹皮抽出物が好ましい。マタタビ科植物由来成分としては、未成熟のキウイ抽出物が好ましい。クワ科植物由来成分としては、ソウハクヒ抽出物、マルベリー果実抽出物、イチジクの果実又は樹皮の抽出物が好ましい。クロウメモドキ科植物由来成分としては、ナツメ果実抽出物が好ましい。また、アヤメ科植物由来成分としてはサフランが好ましい。キキョウ科植物由来成分としては、ヒカゲノツルニンジンの根の抽出物又は加水分解物が好ましい。ウルシ科植物由来成分としては、特に、マンゴ果実抽出物が好ましい。フクギ科植物由来成分としては、特に、マンゴスチン果実抽出物が好ましい。また、バレンシ科植物由来成分としては、チェリモヤ果実抽出物が好ましい。ミカン科植物由来成分として、温州ミカン、ベルガモット果実抽出物、グレープフルーツ又は晩白柚の果実(未成熟果実も含む)の抽出物、グレープフルーツ又はハッサク等の植物に含まれるフラボノイド及びその配糖体を含む抽出物、或いはサンショウ種子抽出物が好ましい。ユリ科植物由来成分としては、ホンカンゾウ、ヤブカンゾウ、カサブランカ、マドンナリリー、又はササユリの抽出物が好ましい。ベンケイソウ科植物由来成分としては、特に、イワベンケイ(紅景天)の抽出物又は発酵物が好ましい。モクセイ科植物由来成分としては、特に、ジャスミンの花抽出物が好ましい。ヒノキ科植物としては、特に、セイヨウネズ果実抽出物が好ましい。フトモモ科植物由来成分としては、特に、グアバ葉抽出物が好ましい。ラン科植物としては、特に、シランの根(白及)の抽出物が好ましい。ヒルガオ科植物由来成分としては、サツマイモの抽出物又はその発酵物或いは甘藷焼酎粕の抽出物又はその発酵物が好ましい。キジカクシ科植物由来成分としては、アスパラガスの抽出物が好ましい。コンブ科海藻由来成分としては、特に、コンブ抽出物が好ましく、ミリン科海藻由来成分としてはカタメンキリンサイ抽出物が好ましく、特に、アオサ科海藻由来成分としてはアナアオサ抽出物が好ましい。フノリ科海藻由来成分としては、特に、フノリ抽出物が好ましい。
【0038】
本発明に係る化合物は、化粧料に配合した際にすぐれた起泡性および乳化特性を有することを以下の試験により確認した。
【0039】
試験例1.起泡性評価試験
表2及び表3に示す組成物を調製し、泡質を評価した。調製した組成物1~4をポンプフォーマー容器に充填し、キムワイプに吐出させたときの泡質、泡の保持時間及び液だれの有無を目視で判定した。泡質としては泡の細かさを目視で評価し、泡の保持時間はキムワイプ上で円形の泡の状態で保持される時間を測定し、液だれは、吐出後の容器の吐出口の状態を目視で判定した。判定基準は以下の通りである。
【0040】
[泡質の評価基準]
◎:きめ細か泡が形成された。
〇:泡が形成された。
×:泡が形成されなかった。
【0041】
[保持時間の評価基準]
◎:吐出後の5分経過時にきめ細かい泡が残る。
〇:吐出後の5分経過時にきめ細かい泡が残る。
×:吐出後の5分経過以内に泡が消える。
【0042】
[液だれの評価基準]
◎:吐出後の5分経過時でも吐出口から液だれしない。
〇:吐出後の60秒経過時でも吐出口から液だれしない。
×:吐出後の60秒経過時でも吐出口から液だれした。
【0043】
【0044】
【0045】
表2に示すように、本発明に係る化合物(1)~(4)を含む組成物は、少量ですぐれた起泡性を有することが確認された。また、表3に示すように、保湿剤である1,3-ブチレングリコールを併用した場合でもすぐれた起泡性を有することが確認された。これにより、本発明に係る化合物(1)~(4)を有効成分として、すぐれた起泡性を有する化粧料を提供することができる。
【0046】
試験例2.乳化特性
本発明の化合物1~4を用いて調製した乳化物(表4)について、(1)乳化特性、及び(2)使用感の官能試験を行った。化合物1を配合した乳化物を実施例1、化合物2を配合した乳化物を実施例2、化合物3を配合した乳化物を実施例3、化合物4を配合した乳化物を実施例4とする。
【0047】
【0048】
(1)乳化特性試験
調製直後の乳化状態と、室温又は40℃に3ヵ月間保存した時の乳化状態の経時変化を目視観察し、以下の基準により評価した。
○:良好
△:僅かに分離が認められる
×:完全分離する
【0049】
【0050】
表5に示す通り、本発明の化合物1~4は乳化特性にすぐれていることを確認した。
【0051】
(2)使用感の官能試験
表3に示す実施例1~4の乳化物について以下の試験を行った。無作為に抽出した年齢25~60歳の男女5名を被験者として各被験者の前腕部に実施例1~4の乳化物を塗布する4つの試験区を設け、それぞれ1日2回(朝、晩)4週間塗布した際の(イ)泡の感触、(ハ)肌なじみ、伸び感について、A:非常に良い、B:良い、C:普通、D:やや悪い、という4段階で自己評価した。試験結果を表5に示す。
【0052】
【0053】
表6に示す通り、本発明の化合物1~4により乳化した実施例1~4の乳化物は、すぐれた使用感を有することが確認された。
【0054】
本発明に係る化合物を配合した化粧料としては、例えば、泡タイプの化粧料(化粧水、ローション、乳液、クリーム等)、メイクアップを洗浄するクレンジング化粧料、顔や手の洗浄用化粧料、シャンプー等の毛髪化粧料が挙げられる。これらの化粧料に配合する場合、界面活性剤を配合するのが一般的であるが、界面活性剤の配合量が増えると、使用感が下がることから、本発明に係る化合物を有効成分とすることで、より少ない界面活性剤の量で起泡性、乳化特性及び使用感にすぐれた化粧料を提供することでき、従来の化粧料より使用感を向上させることができる。また、本発明の界面活性剤は、潤い感も向上させることができ、これは、糖及びアミノ酸を含むことに起因するものと推察される。
【0055】
処方例1.クレンジング化粧料
ステアリン酸カリウム 5.0
ミリスチン酸カリウム 3.0
本化合物(1) 0.2
イソステアリン酸PEG-20グリセリル 2.0
イソステアリン酸ソルビタン 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
クエン酸ナトリウム 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 残分
【0056】
処方例2.クレンジング化粧料
処方例1のクレンジング化粧料において、本化合物(1)に代えて本化合物(2)を配合する以外は、処方例1と同様の組成で調製したクレンジング化粧料である。
【0057】
処方例3.クレンジング化粧料
処方例1のクレンジング化粧料において、本化合物(1)に代えて本化合物(3)を配合する以外は、処方例1と同様の組成で調製したクレンジング化粧料である。
【0058】
処方例4.クレンジング化粧料
処方例1のクレンジング化粧料において、本化合物(1)に代えて本化合物(4)を配合する以外は、処方例1と同様の組成で調製したクレンジング化粧料である。
【0059】
処方例5.クレンジング化粧料
ココイル酸グルタミン酸ナトリウム 4.0
ココベタイン 1.0
本化合物(1) 0.2
1,3-ブチレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
クエン酸ナトリウム 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 残分
【0060】
処方例6.クレンジング化粧料
処方例5のクレンジング化粧料において、本化合物(1)に代えて本化合物(2)を配合する以外は、処方例5と同様の組成で調製したクレンジング化粧料である。
【0061】
処方例7.クレンジング化粧料
処方例5のクレンジング化粧料において、本化合物(1)に代えて本化合物(3)を配合する以外は、処方例5と同様の組成で調製したクレンジング化粧料である。
【0062】
処方例8.クレンジング化粧料
処方例5のクレンジング化粧料において、本化合物(1)に代えて本化合物(4)を配合する以外は、処方例5と同様の組成で調製したクレンジング化粧料である。
【0063】
処方例9.ヘアシャンプー
[成分] 部
ラウレス硫酸ナトリウム 5.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
本化合物(1) 0.2
ベヘニルアルコール 2.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
トコフェロール酢酸エステル 0.1
プロピレングリコール 2.0
1,3-ブチレングリコール 3.0
精製水 全量が100部となる量
【0064】
処方例10.シャンプー
処方例9のシャンプーにおいて、本化合物(1)に代えて本化合物(2)を配合する以外は、処方例5と同様の組成で調製したシャンプーである。
【0065】
処方例11.シャンプー
処方例9のシャンプーにおいて、本化合物(1)に代えて本化合物(3)を配合する以外は、処方例5と同様の組成で調製したシャンプーである。
【0066】
処方例12.シャンプー
処方例9のシャンプーにおいて、本化合物(1)に代えて本化合物(4)を配合する以外は、処方例5と同様の組成で調製したシャンプーである。