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特開2024-139718ゴルフスイング支援装置、及び、ゴルフスイング支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139718
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ゴルフスイング支援装置、及び、ゴルフスイング支援方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20241002BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
A63B69/36 541Z
A63B69/36 502Z
A63B69/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031868
(22)【出願日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2023049211
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523110787
【氏名又は名称】北原 聡浩
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】北原 聡浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 吉宜
(57)【要約】
【課題】プレイヤーのスイング状態をより正確に判定可能なゴルフスイング支援装置及び方法を提供する。
【解決手段】ゴルフスイング支援装置1は、発光部10、複数の受光部20、判定部30、及び、出力部40を備える。発光部10は、ゴルフクラブGC1の軌道200が設定範囲AR1内か否かを区画する境界面SP0に沿ってレーザー光BM1を出射する。複数の受光部20は、境界面SP0に沿ったレーザー光BM1の照射位置P0に配置され、該照射位置P0に向かうレーザー光BM1が遮断されたか否かを検出する。判定部30は、複数の受光部20の検出結果に基づいてプレイヤーPL1のスイング状態を判定する。出力部40は、スイング状態の判定結果を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブの軌道が設定範囲内か否かを区画する境界面に沿ってレーザー光を出射する発光部と、
前記境界面に沿った前記レーザー光の照射位置に配置されて該照射位置に向かう前記レーザー光が遮断されたか否かを検出する複数の受光部と、
前記複数の受光部の検出結果に基づいてプレイヤーのスイング状態を判定する判定部と、
前記スイング状態の判定結果を出力する出力部と、を備えるゴルフスイング支援装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記複数の受光部を通る線状の照射範囲となるように前記レーザー光を出射する、請求項1に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項3】
前記境界面には、前記設定範囲の前面にある前側境界面、及び、前記設定範囲の後面にある後側境界面が含まれ、
前記判定部は、前記前側境界面に配置されている前記複数の受光部の検出結果、及び、前記後側境界面に配置されている前記複数の受光部の検出結果に基づいて前記スイング状態を判定する、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項4】
前記複数の受光部は、前記境界面において床面に沿って配置され、
前記発光部は、前記複数の受光部よりも高い位置にあり、
前記境界面に沿った水平方向において、前記設定範囲内にある所定のゴルフボール位置からゴルフボールが飛び出す側を飛び出し側とし、該飛び出し側とは反対側を始動側として、
前記発光部は、前記始動側に位置し、
前記複数の受光部は、前記飛び出し側に位置する、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項5】
床面に対する前記境界面の傾きを調整可能な傾き調整機構と、
前記境界面に沿った前記発光部の高さを調整可能な高さ調整機構と、をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記複数の受光部の検出結果に基づいて前記軌道が途中で前記境界面を横切ったか否かを前記スイング状態として判定し、
前記出力部は、前記軌道が途中で前記境界面を横切ったか否かを含む前記判定結果を出力する、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記複数の受光部の検出結果に基づいて、前記スイング状態として、前記軌道が途中で前記境界面を横切ることにより前記設定範囲から非設定範囲に変わる第一変化状態、及び、前記軌道が途中で前記境界面を横切ることにより前記非設定範囲から前記設定範囲に変わる第二変化状態を含む複数の状態のいずれであるかを判定し、
前記出力部は、前記第一変化状態と前記第二変化状態を含む前記スイング状態の前記判定結果を出力する、請求項6に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項8】
フォロースルーを判定可能に前記ゴルフクラブの動きを検出するゴルフクラブ通過検出部をさらに備え、
前記判定部は、前記ゴルフクラブ通過検出部の検出結果に基づいて前記フォロースルーを判定し、前記フォロースルーが判定された後における前記複数の受光部の検出結果を前記スイング状態の判定に使用しない、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項9】
前記ゴルフクラブ通過検出部は、スイング時に前記ゴルフクラブが通過する複数の箇所のそれぞれに前記ゴルフクラブの通過を検出するセンサーを備え、
前記判定部は、各前記センサーによる前記ゴルフクラブの通過の検出順に基づいて前記フォロースルーを判定する、請求項8に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項10】
スイング始動を判定可能に前記ゴルフクラブの動きを検出するゴルフクラブ通過検出部と、
前記設定範囲内にある所定のゴルフボール位置を通るスイングラインに沿って打球方向へ流れるように可視光レーザー光を床面に向けて照射可能な照射部をさらに備え、
前記判定部は、前記ゴルフクラブ通過検出部の検出結果に基づいて前記スイング始動を判定し、前記スイング始動を起点として設定タイミングが経過した時に前記可視光レーザー光が前記ゴルフボール位置を照射するように、前記照射部に前記打球方向へ流れるように前記可視光レーザー光を照射させる、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項11】
前記照射部は、前記ゴルフボール位置を通って前記スイングラインと交差する線状の基準ラインが現れるように第二の可視光レーザー光を前記床面に向けて照射する、請求項10に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記プレイヤーのアドレス位置を基準として前記設定範囲よりも前側に空中表示画面を出現させる空中ディスプレイを含み、前記判定結果を前記空中ディスプレイに表示させる、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項13】
前記プレイヤーのアドレス位置に前記プレイヤーがいるか否かを検知するプレイヤー検知部と、
前記アドレス位置に前記プレイヤーがいることを前記プレイヤー検知部が検知すると前記発光部に前記レーザー光を出射させ、前記アドレス位置に前記プレイヤーがいないことを前記プレイヤー検知部が検知すると前記発光部に前記レーザー光の出射を停止させる出射制御部と、をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング支援装置。
【請求項14】
ゴルフクラブの軌道が設定範囲内か否かを区画する境界面に沿って発光部からレーザー光を出射する出射工程と、
前記境界面に沿った前記レーザー光の照射位置に配置された複数の受光部で前記照射位置に向かう前記レーザー光が遮断されたか否かを検出する検出工程と、
前記複数の受光部の検出結果に基づいてプレイヤーのスイング状態を判定する判定工程と、
前記スイング状態の判定結果を出力する出力工程と、を含むゴルフスイング支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切なゴルフスイングを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフスイング時のフォームを矯正する方法として、カメラを使用する方法や、鏡を見る方法がある。ゴルフスイング時のフォームをビデオカメラで撮影する場合、毎回ビデオをセットして巻き戻して見る必要があり、手間がかかる。カメラと解析装置を使用する場合、ゴルフスイング時のフォームをカメラで撮影した後、撮影画像を解析してフォームを評価する処理に時間がかかる。このため、スイングから評価結果を確認するまでに時間がかかり、身体の動きと脳内のイメージとのギャップをリアルタイムで実感できない。プレイヤーのアドレス位置の正面に鏡がある場合、プレイヤーは素振りをしながらフォームを見ることができる。しかし、鏡を見ながらの素振りは、実際にゴルフボールを打つ際のスイングとは異なってしまう。プレイヤーが鏡を見ると頭の動きがスイングに大きな影響を与え、フォームが崩れ、理想のスイングができない。
【0003】
特開2011-103925号公報には、前限投光部、後限投光部、ユーザの手部及びユーザが使用するクラブに付した反射面にて反射された光線を検出する受光部、及び、評価手段を備えるゴルフスイング評価装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-103925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、手やクラブに反射部材を取り付ける手間がかかる。その上、手やクラブに取り付けられた反射部材による違和感をプレイヤーが覚え、正確なスイング修正が困難になる。さらに、スイング時に動く反射面は、投光部からの光線を様々な方向へ反射させる。このため、反射光の検出精度が低く、評価手段はユーザのスイング状態を正確に評価することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゴルフスイング支援装置は、
ゴルフクラブの軌道が設定範囲内か否かを区画する境界面に沿ってレーザー光を出射する発光部と、
前記境界面に沿った前記レーザー光の照射位置に配置されて該照射位置に向かう前記レーザー光が遮断されたか否かを検出する複数の受光部と、
前記複数の受光部の検出結果に基づいてプレイヤーのスイング状態を判定する判定部と、
前記スイング状態の判定結果を出力する出力部と、を備える、態様を有する。
【0007】
また、本発明のゴルフスイング支援方法は、
ゴルフクラブの軌道が設定範囲内か否かを区画する境界面に沿って発光部からレーザー光を出射する出射工程と、
前記境界面に沿った前記レーザー光の照射位置に配置された複数の受光部で前記照射位置に向かう前記レーザー光が遮断されたか否かを検出する検出工程と、
前記複数の受光部の検出結果に基づいてプレイヤーのスイング状態を判定する判定工程と、
前記スイング状態の判定結果を出力する出力工程と、を含む、態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スイングプレーンとともにゴルフスイング支援装置の例を模式的に示す側面図。
図2】ゴルフスイング支援装置の例を模式的に示す側面図。
図3】ゴルフスイング支援装置の例を模式的に示す正面図。
図4図4Aは受光部毎の点状の照射範囲となるようにレーザー光を出射する発光部の例を模式的に示す図、図4Bは複数の受光部を通る線状の照射範囲となるようにレーザー光を出射する発光部の例を模式的に示す図。
図5】ゴルフクラブ通過検出部の例を模式的に示す斜視図。
図6】照射部の例を模式的に示す図。
図7】回転式のスリット部材を備える照射部の例を模式的に示す図。
図8】複数の流れ照射部を備える照射部の例を模式的に示す図。
図9】直動式の遮蔽部材を備える照射部の例を模式的に示す図。
図10】ゴルフスイング支援装置の制御系の構成例を模式的に示すブロック図。
図11】スイングプレーン設定処理の例を模式的に示すフローチャート。
図12】スイング状態判定出力処理の例を模式的に示すフローチャート。
図13】処理テーブルの構造例を模式的に示す図。
図14】インサイド-アウト状態とアウトサイド-イン状態の例を模式的に示す図。
図15】スイングリズム伝達処理の例を模式的に示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~15に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0011】
図2,10等に例示するように、本技術の一態様に係るゴルフスイング支援装置1は、発光部10、複数の受光部20、判定部30、及び、出力部40を備える。前記発光部10は、ゴルフクラブGC1の軌道200(図14参照)が設定範囲AR1内か否かを区画する境界面SP0に沿ってレーザー光BM1を出射する。前記複数の受光部20は、前記境界面SP0に沿った前記レーザー光BM1の照射位置P0に配置され、該照射位置P0に向かう前記レーザー光BM1が遮断されたか否かを検出する。前記判定部30は、前記複数の受光部20の検出結果に基づいてプレイヤーPL1のスイング状態を判定する。前記出力部40は、前記スイング状態の判定結果を出力する。
【0012】
各人は骨格や筋肉が異なるので、各人で違う関節の動きのタイミングを組み合わせた正しいスイングは億種類以上あると言われる。推奨されているメジャーなスイングは5タイプあると言われているが、必要なのは、正しいスイングプレーンに沿ったスイング、すなわち、正しいシャフトの軌道である。ただ、物理的にスイングを矯正する装置をプレイヤーが使用すると、固定された軌道上にスイングを沿わせることにプレイヤーが注力してしまい、例えば手振りのように、体全体の筋肉を使ったスイングをすることが難しくなる。その結果、各人の骨格や筋肉にあったスイングを実現することが困難になってしまう。
上述した態様は、境界面SP0に沿ったレーザー光BM1の照射位置P0に複数の受光部が配置されているので、境界面SP0を基準としたスイング状態の判定結果をプレイヤーPL1が得ることができる。これにより、プレイヤーPL1は、正しいシャフト軌道に沿ったスイングを筋肉に記憶させることが可能になる。ここで、各受光部20は、反射光ではなく、発光部10から境界面SP0に沿って受光部20に向けて出射された高い指向性のレーザー光BM1を検出する。このため、各受光部20は、自らに向けて出射されたレーザー光BM1が遮断されたか否かを精度よく検出することができる。判定部30は、複数の受光部20の高精度の検出結果に基づいてプレイヤーPL1のスイング状態を素早く且つ精度よく判定することができる。出力部40は、スイング状態の判定結果をリアルタイムで出力することができる。スイング状態の高精度の判定結果が出力されるので、上述した態様は、プレイヤーのスイング状態をより正確に判定可能なゴルフスイング支援装置を提供することができる。
【0013】
ここで、レーザー光BM1は、可視光レーザー光でもよいし、赤外線レーザー光等でもよい。
プレイヤーがゴルフクラブをスイングすることから、プレイヤーPL1の身体の一部が境界面SP0を横切るか否かを検出することも、本技術に含まれる。すなわち、発光部10から照射位置P0に向かうレーザー光BM1を遮るのは、ゴルフクラブGC1に限定されず、プレイヤーPL1の身体の一部でもよい。
上述したように、各人は骨格や筋肉が異なるので、各人に適したスイングがあるはずである。そこで、前記ゴルフスイング支援装置1は、床面FL1に対する前記境界面SP0の傾きを調整可能な傾き調整機構50を備えていてもよい。前記ゴルフスイング支援装置1は、前記境界面SP0に沿った前記発光部10の高さを調整可能な高さ調整機構60を備えていてもよい。前記ゴルフスイング支援装置1は、前記ゴルフクラブGC1の動きを検出するゴルフクラブ通過検出部70を備えていてもよい。該ゴルフクラブ通過検出部70は、スイング時に前記ゴルフクラブGC1が通過する複数の箇所のそれぞれに前記ゴルフクラブGC1の通過を検出するセンサー71~73(図3,5参照)を備えていてもよい。前記ゴルフスイング支援装置1は、前記設定範囲AR1内にある所定のゴルフボール位置PB1を通るスイングラインLN2に沿って打球方向D1へ流れるように可視光レーザー光BM2を床面FL1に向けて照射可能な照射部80(図6~9参照)を備えていてもよい。
【0014】
複数の受光部20に向けてレーザー光BM1を出射する発光部10は、図2等に例示するように一つでもよいし、図3等に例示するように複数でもよい。例えば、前記発光部10は、図4B等に例示するように、前記複数の受光部20を通る線状の照射範囲となるように前記レーザー光BM1を出射してもよい。この場合、ゴルフスイング支援装置1の部品を削減することができ、発光部10の出射方向及び複数の受光部20の位置を調整する工程を低減させることができる。また、ゴルフスイング支援装置1は、図4A等に例示するように、異なる受光部20に向けてレーザー光BM1を出射する複数の発光部10を備えていてもよい。
【0015】
境界面SP0は、一つでもよいし、複数でもよい。例えば、前記境界面SP0には、前記設定範囲AR1の前面にある前側境界面(例えばスイングプレーンSP5)、及び、前記設定範囲AR1の後面にある後側境界面(例えばスイングプレーンSP4)が含まれてもよい。この場合、判定部30は両境界面(SP5,SP4)にそれぞれ配置されている複数の受光部20の判定結果をスイング状態の判定に使用することができるので、スイング状態をさらに正確に判定可能である。プレイヤーPL1は、両境界面(SP5,SP4)を基準としたスイング状態の判定結果を得ることができる。
【0016】
前記複数の受光部20は、前記境界面SP0において床面FL1に沿って配置されてもよい。前記発光部10は、前記複数の受光部20よりも高い位置にあってもよい。ここで、図3に例示するように、前記境界面SP0に沿った水平方向D2において、前記設定範囲AR1内にある所定のゴルフボール位置PB1からゴルフボールGB1が飛び出す側を飛び出し側SD1とし、該飛び出し側SD1とは反対側を始動側SD2とする。前記発光部10は、前記始動側SD2に位置してもよい。前記複数の受光部20は、前記飛び出し側SD1に位置してもよい。
以上の場合、レーザー光BM1がプレイヤーPL1の邪魔とならない。
【0017】
前記判定部30は、前記複数の受光部20の検出結果に基づいて前記軌道200が途中で前記境界面SP0を横切ったか否かを前記スイング状態として判定してもよい。この場合、プレイヤーPL1は軌道200が途中で境界面SP0を横切ったか否かを知ることができるので、スイングの修正がし易くなる。例えば、前記判定部30は、図12~14に例示するように、前記複数の受光部20の検出結果に基づいて、前記スイング状態として、前記軌道200が途中で前記境界面SP0を横切ることにより前記設定範囲AR1から非設定範囲AR2に変わる第一変化状態210、及び、前記軌道200が途中で前記境界面SP0を横切ることにより前記非設定範囲AR2から前記設定範囲AR1に変わる第二変化状態220を含む複数の状態のいずれであるかを判定してもよい。この場合、プレイヤーPL1はインサイド-アウト状態やアウトサイド-イン状態を知ることができるので、スイングの修正がさらにし易くなる。尚、本願における「第一」、「第二」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。
ここで、第一変化状態210には、軌道200が途中で前側境界面(SP5)を横切ることにより設定範囲AR1から非設定範囲AR2に変わるインサイド-アウト状態211、及び、軌道200が途中で後側境界面(SP4)を横切ることにより設定範囲AR1から非設定範囲AR2に変わるアウトサイド-イン状態212が含まれる。第二変化状態220には、軌道200が途中で前側境界面(SP5)を横切ることにより非設定範囲AR2から設定範囲AR1に変わるアウトサイド-イン状態221、及び、軌道200が途中で後側境界面(SP4)を横切ることにより非設定範囲AR2から設定範囲AR1に変わるインサイド-アウト状態222が含まれる。
【0018】
ところで、ゴルフスイングで大切なことは、リズムとテンポを保つことである。そのための補助として、前記判定部30は、前記ゴルフクラブ通過検出部70の検出結果に基づいて前記スイング始動を判定してもよい。当該判定部30は、図6,15等に例示するように、前記スイング始動を起点として設定タイミングT1が経過した時に前記可視光レーザー光BM2が前記ゴルフボール位置PB1を照射するように、前記照射部80に前記打球方向D1へ流れるように前記可視光レーザー光BM2を照射させてもよい。プレイヤーPL1は、打球方向D1への可視光レーザー光BM2の流れSR1を見ることができるので、スイングタイミングを身につけることができ、スイングの能力をさらに向上させることができる。加えて、前記照射部80は、前記ゴルフボール位置PB1を通って前記スイングラインLN2と交差する線状の基準ラインLN3が現れるように第二の可視光レーザー光BM3を前記床面FL1に向けて照射してもよい。この場合、インパクトの目標が判り易い。
【0019】
判定結果の出力は、音声出力でもよいし、発光、表示、振動、等でもよい。例えば、前記出力部40は、図1等に例示するように、前記プレイヤーPL1のアドレス位置(例えばアドレスラインLN1)を基準として前記設定範囲AR1よりも前側に空中表示画面45cを出現させる空中ディスプレイ45を含み、前記判定結果を前記空中ディスプレイ45に表示させてもよい。この場合、判定結果の表示装置がスイングの邪魔とならない。
【0020】
ところで、本技術の一態様に係るゴルフスイング支援方法は、図10,12等に例示するように、以下の工程を含んでいる。
(A1)ゴルフクラブGC1の軌道200が設定範囲AR1内か否かを区画する境界面SP0に沿って発光部10からレーザー光BM1を出射する出射工程ST1。
(A2)前記境界面SP0に沿った前記レーザー光BM1の照射位置P0に配置された複数の受光部20で前記照射位置P0に向かう前記レーザー光BM1が遮断されたか否かを検出する検出工程ST2。
(A3)前記複数の受光部20の検出結果に基づいてプレイヤーPL1のスイング状態を判定する判定工程ST3。
(A4)前記スイング状態の判定結果を出力する出力工程ST4。
上記態様は、プレイヤーPL1のスイング状態をより正確に判定可能なゴルフスイング支援方法を提供することができる。
【0021】
さらに、本技術は、上述したゴルフスイング支援装置を含むシステム、該システムの制御方法、上述したゴルフスイング支援装置の制御プログラム、前述のシステムの制御プログラム、前述のいずれかの制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。上述したゴルフスイング支援装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0022】
(2)スイングプレーンの定義:
図1は、スイングプレーンSP1~SP5とともにゴルフスイング支援装置1を模式的に例示する側面図である。位置関係を示す都合上、図1~9等には、X方向、Y方向、及び、Z方向が示されている。X方向は、スイングラインLN2に並行するアドレスラインLN1に足PL5の先を合わせたプレイヤーPL1から見た前方向であり、床面FL1に沿った水平方向である。図3等に示すY方向は、スイングラインLN2に沿った打球方向D1であり、X方向に直交する水平方向である。Z方向は、上方向であり、X方向とY方向に直交する鉛直方向である。
プレイヤーPL1がゴルフクラブGC1としてウッドやアイアンをスイングするとき、一般に、テイクバック、トップ、ダウンスイング、ため、インパクト、フォロースルー、及び、フィニッシュの順に動作が行われる。スイングプレーンSP1~SP5は、アドレス位置(アドレスラインLN1)にいてテイクバック時のプレイヤーPL1を側面から見たときのラインで表される。ゴルフクラブGC1のシャフトGC2を手PL4で持ったプレイヤーPL1は、テイクバック時、ゴルフボールGB1の位置(ゴルフボール位置PB1)の近くにヘッドGC3を合わせる。
【0023】
スイングプレーンSP1は、ゴルフボール位置PB1とプレイヤーPL1の首PL2又は両肩間の中心とを結ぶラインで表される。本具体例のスイングプレーンSP1は、プレイヤーPL1がゴルフクラブGC1をスイングするときにプレイヤーPL1の手PL4(身体の一部)及びゴルフクラブGC1の軌道200(図14参照)についての理想的な前側限界面を意味する。スイングプレーンSP2は、ゴルフボール位置PB1とプレイヤーPL1の肘PL3とを結ぶラインで表される。スイングプレーンSP3は、ゴルフクラブGC1のシャフトGC2を通るラインで表される。本具体例のスイングプレーンSP3は、プレイヤーPL1がゴルフクラブGC1をスイングするときに手PL4及びゴルフクラブGC1の軌道200についての理想的な後側限界面を意味する。ただ、スイングプレーンSP1,SP3はスイングの許容範囲にあるともいえるため、スイングプレーンSP3の後にスイングプレーンSP4が定義され、スイングプレーンSP1の前にスイングプレーンSP5が定義されている。スイングプレーンSP4は、スイングプレーンSP3から後へ平行に距離x1ずれたラインで表される。スイングプレーンSP5は、ゴルフボール位置PB1から前に距離x2ずれた位置とプレイヤーPL1の首PL2又は両肩間の中心とを結ぶラインで表される。スイングプレーンSP5は、スイングプレーンSP1から前へ平行に距離x2ずれたラインで表されてもよい。距離x1,x2は、調整可能でもよい。軌道200についての設定範囲AR1は、スイングプレーンSP4とスイングプレーンSP5との間にある。非設定範囲AR2は、設定範囲AR1を除く範囲であり、スイングプレーンSP4から後側、及び、スイングプレーンSP5から前側となる。スイングプレーンSP4,SP5は境界面SP0の例であり、スイングプレーンSP4は前側境界面の例であり、スイングプレーンSP5は後側境界面の例である。
【0024】
(3)ゴルフスイング支援装置の具体例:
図2,3は、ゴルフスイング支援装置1を模式的に例示している。図3の下部には、複数の受光部20を上から見た平面図が示されている。
ゴルフスイング支援装置1は、発光部10、複数の受光部20、制御装置100(判定部30の例)、出力部40、傾き調整機構50、高さ調整機構60、ゴルフクラブ通過検出部70、照射部80、映像撮影可能なデジタルカメラCM1,CM2、等を備えている。カメラCM1の高さは、例えば、テイクバック時のプレイヤーPL1のグリップ(手PL4)の位置に合わせられる。
【0025】
発光部10は、前側の発光部11、及び、後側の発光部12を総称している。発光部11は、手PL4及びゴルフクラブGC1の軌道200が設定範囲AR1内か否かを区画するスイングプレーンSP5に沿ってレーザー光BM1を出射する。発光部12は、手PL4及びゴルフクラブGC1の軌道200が設定範囲AR1内か否かを区画するスイングプレーンSP4に沿ってレーザー光BM1を出射する。レーザー光は、一般に、位相の揃ったコヒーレント光であり、指向性が高い。発光部11,12は、それぞれ、図2に示すように一つでもよいし、図3に示すように複数でもよい。以下の説明において、発光部11と発光部12の両方を説明する場合、単に「発光部10」と記載する。
複数の受光部20は、複数の前側の受光部21、及び、複数の後側の受光部22を総称している。各受光部21は、スイングプレーンSP5に沿ったレーザー光BM1の照射位置P0に配置され、該照射位置P0に向かうレーザー光BM1が遮断されたか否かを検出する。各受光部22は、スイングプレーンSP4に沿ったレーザー光BM1の照射位置P0に配置され、該照射位置P0に向かうレーザー光BM1が遮断されたか否かを検出する。図3に下部には、複数の受光部21が打球方向D1の順に受光部21a,21b,21c,21d,21eを含み、複数の受光部22が打球方向D1の順に受光部22a,22b,22c,22d,22eを含むことが示されている。以下の説明において、受光部21と受光部22の両方を説明する場合、単に「受光部20」と記載する。各境界面SP0に沿って配置される受光部20の数は、2個でもよいが、スイング状態をきめ細やかに判定するため3個以上が好ましく、図示していないが6個以上でもよい。受光部20の数が増えると、線よりも面に近い検出精度が得られる。各境界面SP0における発光部10と複数の受光部20の組合せは、正しいスイングプレーンSP5,SP4を管理するカーテン状のレーザーセンサーを構成する。該カーテン状のレーザーセンサーにより、判定部30は、正しいスイングプレーンSP5,SP4に従ってプレイヤーPL1のスイング状態を判定することができる。
【0026】
図2,3に示す複数の受光部20は、境界面SP0において床面FL1に沿って配置されている。発光部10は、複数の受光部20よりも高い位置にある。ここで、境界面SP0に沿った水平方向D2において、設定範囲AR1内にあるゴルフボール位置PB1からゴルフボールGB1が飛び出す側を飛び出し側SD1とし、該飛び出し側SD1とは反対側を始動側SD2とする。境界面SP0に沿った水平方向D2は、境界面SP0と交差する方向でないことを意味し、複数の受光部20の高さが同じであれば複数の受光部20が並んでいる方向を意味する。図3に示すようにアドレス位置にいるプレイヤーPL1を前から見たとき、飛び出し側SD1はゴルフボール位置PB1を通る鉛直線VL1から打球方向D1に向かう側を意味する。始動側SD2は、鉛直線VL1から打球方向D1とは反対の方向に向かう側を意味する。図2,3に示す発光部10は、始動側SD2に位置している。図2,3に示す複数の受光部20は、飛び出し側SD1に位置している。従って、レーザー光BM1がプレイヤーPL1の邪魔とならない。
むろん、レーザー光BM1がプレイヤーPL1の邪魔とならない限り、発光部10が飛び出し側SD1に位置したり床面FL1に配置されたりしてもよく、複数の受光部20が始動側SD2に位置したり発光部10よりも高い位置に配置されたりしてもよい。
【0027】
図4Aは、受光部20毎の点状の照射範囲となるようにレーザー光BM1を出射する発光部10を模式的に例示している。尚、図4A,4Bの二点鎖線の囲み内には、照射範囲を上から見た平面図が示されている。図4Aに示す例の場合、ゴルフスイング支援装置1は、異なる受光部20に向けてレーザー光BM1を出射する複数の発光部10を備える。各発光部10は、細いレーザー光BM1を受光部20に向けて出射する。各発光部10の照射位置P0は、境界面SP0に沿っている。
図4Bは、複数の受光部20を通る線状の照射範囲となるようにレーザー光BM1を出射する発光部10を模式的に例示している。発光部10の線状の照射位置P0は、境界面SP0に沿っている。一つの発光部10が複数の受光部20に向けて線状の照射範囲となるようにレーザー光BM1を出射する場合、ゴルフスイング支援装置1の部品を削減することができ、発光部10の出射方向及び複数の受光部20の位置を調整する工程を低減させることができる。
【0028】
例えば、各受光部20のスリット直径を0.5mmとし、シャフトGC2の直径を8mmとし、スイング時のシャフトGC2の速度を最大55m/sとする。この場合、移動するシャフトGC2が受光部20のスリットを閉塞する時間は、{7.5×10-3(m)}/{55×10-3(m/ms)=0.14msとなる。マイコンのI/Oポート(入出力ポート)の最小パルス検出幅が10ns=0.01msである場合、受光部20はレーザー光BM1の遮断を十分に検出可能である。
制御装置100は、複数の受光部20の検出結果に基づいてプレイヤーPL1のスイング状態を判定する。制御装置100の詳細は、後述する。
【0029】
出力部40は、スイング状態の判定結果を出力する。図1,2に示す出力部40は、空中表示画面45cを出現させる空中ディスプレイ45、音声を出力する音声出力装置46、及び、光を放出する発光装置47を含んでいる。尚、出力部40には、これらの要素(45~47)のうち一部が無くてもよい。音声出力装置46には、様々なスピーカーを用いることができる。発光装置47には、発光ダイオード等を用いることができる。
【0030】
図1に示す空中ディスプレイ45は、原画像を表示する液晶ディスプレイ45a、該液晶ディスプレイ45aから入射する光を反射させてから空中表示画面45cを結像させる空中表示用プレート45b、等を備えている。空中ディスプレイ45は、プレイヤーPL1のアドレス位置を基準として設定範囲AR1よりも前側に空中表示画面45cを出現させる。空中表示画面45cには、原画像が再現される。原画像が映像である場合、空中表示画面45cには映像が再現される。むろん、空中ディスプレイ45には、空中表示画面45cを結像させる様々な装置を用いることができる。液晶ディスプレイ45aは、図1に示すように床に埋め込まれてもよいし、プレイヤーPL1のアドレス位置を基準として空中表示画面45cから前側に配置されてもよい。出力部40は、スイング状態の判定結果を空中ディスプレイ45に表示させる。出力部40は、スイング状態の判定結果に応じた音声を音声出力装置46に出力させてもよいし、スイング状態の判定結果に応じた光を発光装置47に放出させてもよい。
【0031】
プレイヤーPL1の正面にあるカメラCM2がスイング時のプレイヤーPL1の映像や画像を撮影する場合、空中ディスプレイ45は、カメラCM2により再生される正面視の映像や画像をスイング時やスイング後に表示してもよい。プレイヤーPL1から始動側SD2にあるカメラCM1がスイング時のプレイヤーPL1の映像や画像を撮影する場合、空中ディスプレイ45は、カメラCM1により再生される側面視の映像や画像をスイング時やスイング後に表示してもよい。その際、制御装置100は、スイングプレーンSP1,SP2,SP3を重畳した側面視の映像や画像を空中ディスプレイ45に表示させてもよい。正面視と側面視とを切り替える空中スイッチが空中表示画面45cに設けられると、アドレス位置にいるプレイヤーPL1は、ゴルフクラブGC1のヘッドGC3で正面視と側面視とを切り替えることができる。
アドレス位置にいるプレイヤーPL1の近くに空中表示画面45cがあることにより、プレイヤーPL1は、スイングしたその場でスイング状態の判定結果や自らのスイング姿勢等を素早く確認することができる。様々な情報を表示するのが空中表示画面45cであることにより、表示装置がスイングの邪魔とならない。
【0032】
図2に示すように、ゴルフスイング支援装置1は、床面FL1に対するスイングプレーンSP5の傾きを調整可能な傾き調整機構50、及び、床面FL1に対するスイングプレーンSP4の傾きを調整可能な傾き調整機構50を備えている。各傾き調整機構50は、床に設けられたベースBS1から上側へ突出した長尺なポール51、該ポール51の下端をベースBS1に対して回転可能に接続する回転接続部52、床面FL1に対するポール51の傾きを変化させるアクチュエーター53、該アクチュエーター53の下端をベースBS1に対して回転可能に接続する回転接続部54、及び、アクチュエーター53の上端をポール51に対して回転可能に接続する回転接続部55を備えている。境界面SP0の傾きは、ポール51の傾きにより設定される。アクチュエーター53は、前側のスイングプレーンSP5の傾き調整用のアクチュエーター53a、及び、後側のスイングプレーンSP4の傾き調整用のアクチュエーター53bを総称している。アクチュエーター53は、制御装置100からの指示に従って長さを変えてもよいし、手動で長さが変わってもよい。図2には示すアクチュエーター53は、制御装置100からの指示に従って長さを変える直動シリンダーである。回転接続部52は、Y方向に沿った回転軸を中心としてベースBS1にポール51を傾動可能に接続している。回転接続部54は、Y方向に沿った回転軸を中心としてベースBS1にアクチュエーター53を傾動可能に接続している。回転接続部55は、Y方向に沿った回転軸を中心としてポール51とアクチュエーター53とを接続している。
以上により、傾き調整機構50は、床面FL1に対する境界面SP0の傾きを制御装置100からの指示に従って調整する。
【0033】
図2に示すゴルフスイング支援装置1は、前側のスイングプレーンSP5に沿った発光部10の高さを調整可能な高さ調整機構60、及び、後側のスイングプレーンSP4に沿った発光部10の高さを調整可能な高さ調整機構60を備えている。各高さ調整機構60は、長尺なポール51に沿って摺動可能な摺動部材61を備えている。各摺動部材61には、境界面SP0に沿ってレーザー光BM1を出射する発光部10が組み込まれている。摺動部材61は、制御装置100からの指示に従って位置を変えてもよいし、手動で位置が変わってもよい。図10には、制御装置100からの指示に従って摺動部材61の位置を変化させるアクチュエーター62a,62bが例示されている。アクチュエーター62aは、前側のスイングプレーンSP5に沿って摺動部材61の高さを変える。アクチュエーター62bは、後側のスイングプレーンSP4に沿って摺動部材61の高さを変える。
以上により、高さ調整機構60は、境界面SP0に沿った発光部10の高さを制御装置100からの指示に従って調整する。各人は骨格の可動域、筋肉の量、筋肉のつき方、等が異なるが、ゴルフスイング支援装置1は、傾き調整機構50と高さ調整機構60によりスイングプレーンを各人に合わせることができる。すなわち、ゴルフスイング支援装置1は、プレイヤーPL1のフォームを矯正するのではなく、プレイヤーPL1の骨格及び筋肉に合わせてプレイヤーPL1の手PL4及びゴルフクラブGC1の軌道200をスイングプレーンSP5,SP4間に矯正することを支援する。
【0034】
図2,3に示すゴルフスイング支援装置1は、スイング始動、フォロースルー、等を判定可能にゴルフクラブGC1の動きを検出するゴルフクラブ通過検出部70を備えている。ゴルフクラブ通過検出部70は、スイング時にゴルフクラブGC1が通過する複数の箇所のそれぞれにゴルフクラブGC1の通過を検出するセンサー71~73を備えている。
センサー71は、アドレス位置にいるプレイヤーPL1から始動側SD2に位置している。センサー72は、アドレス位置にいるプレイヤーPL1から飛び出し側SD1に位置している。センサー71,72は、例えば、テイクバック時のプレイヤーPL1のグリップ(手PL4)の位置に合わせられる。センサー73は、アドレス位置にいるプレイヤーPL1の上方に位置している。
【0035】
図5は、ゴルフクラブ通過検出部70を模式的に例示している。センサー71,72,73は、それぞれ、発光部71a,72a,73a及び受光部71b,72b,73bを備えている。発光部71a,72a,73aは、それぞれ、昇降可能な摺動部材71c,72c,73cに組み込まれ、受光部71b,72b,73bに向けてレーザー光BM4を出射する。受光部71b,72b,73bは、それぞれ、昇降可能な摺動部材71d,72d,73dに組み込まれている。ゴルフクラブGC1が発光部71aと受光部71bとの間を通過すると、受光部71bがレーザー光BM4の遮断を検出する。ゴルフクラブGC1が発光部72aと受光部72bとの間を通過すると、受光部72bがレーザー光BM4の遮断を検出する。ゴルフクラブGC1が発光部73aと受光部73bとの間を通過すると、受光部73bがレーザー光BM4の遮断を検出する。摺動部材71c,71d,72c,72d,73c,73dは、制御装置100からの指示に従って位置を変えてもよいし、手動で位置が変わってもよい。図10には、制御装置100からの指示に従って摺動部材71c,71d,72c,72d,73c,73dの位置をそれぞれ変化させるアクチュエーター71e,71f,72e,72f,73e,73fが例示されている。レーザー光BM4の出射範囲は、点状でもよいし、Z方向に沿った線状でもよい。発光部71a,72a,73aがZ方向に沿った線状の照射範囲となるようにレーザー光BM4を出射すると、発光部71a,72a,73aと受光部71b,72b,73bとの高さを合わせやすい。
【0036】
ゴルフスイングで大切なことは、リズムとテンポを保つことである。そこで、図2に示すゴルフスイング支援装置1は、図6に例示するように、可視光レーザー光BM2の流れSR1を実現させる照射部80を備えている。図6に示す照射部80は、流れ照射部82と基準照射部81を備えている。流れ照射部82は、図6の下部に示されるように、ゴルフボール位置PB1を通るスイングラインLN2に沿って打球方向D1へ流れるように可視光レーザー光BM2を床面FL1に向けて照射可能である。基準照射部81は、ゴルフボール位置PB1を通ってスイングラインLN2と交差する線状の照射範囲となるように第二の可視光レーザー光BM3を床面FL1に向けて照射する。これにより、ゴルフボール位置PB1を通る基準ラインLN3が床面FL1に現れ、インパクトの目標が判り易くなる。基準ラインLN3の向きは、スイングラインLN2に直交する向きからずれていてもよいが、判り易さの観点からスイングラインLN2に直交する向きが好ましい。
【0037】
図6に示す流れ照射部82は、線状照射部83と流れ生成部84を備えている。線状照射部83は、スイングラインLN2に沿ってゴルフボール位置PB1を通る線状の照射範囲となるように可視光レーザー光BM2を床面FL1に向けて照射する。流れ生成部84は、打球方向D1への可視光レーザー光BM2の流れSR1が床面FL1に現れるように、線状照射部83からの可視光レーザー光BM2を通す。図6に示す可視光レーザー光BM2の流れSR1は、初期のタイミングt1、インパクトタイミングt2、その後のタイミングt3、及び、最終タイミングt4の順に照射光の線が伸びるように表現されている。プレイヤーPL1は、インパクトタイミングt2の瞬間にヘッドGC3をゴルフボールGB1に当てることを目標にスイングすればよい。
【0038】
照射部80は、図7に例示するように回転式のスリット部材85及びモーター86を備えていてもよいし、図8に例示するように複数の流れ照射部82を備えていてもよいし、図9に例示するように直動式の遮蔽部材89を備えていてもよい。
図7に示す流れ生成部84は、スリット部材85とモーター86を備えている。スリット部材85は、4枚の羽根を備え、回転軸85aを中心として回転可能である。モーター86は、制御装置100からの指示に従って、回転軸85aを中心としてスリット部材85を回転させる。モーター86には、小型ステップモーター等を用いることができる。図7の下部に示されるように、スリット部材85が回転すると、流れ照射部82からの可視光レーザー光BM2のうちスリット部材85の羽根で遮られる部分が変化する。図7に示す例では、スリット部材85の1/4回転毎に、可視光レーザー光BM2の線が伸びるような流れSR1が現れる。スリット部材85の羽根の数は、4枚に限定されないが、回転時のぶれを減らす点で偶数が好ましい。羽根の形状を変更することにより、可視光レーザー光BM2の流れSR1を階段状に伸ばすことも可能である。
【0039】
図8に示す流れ生成部84は、Y方向沿ったスリット87を複数有する部材、及び、複数の流れ照射部82を備えている。各スリット87には、流れ照射部82が一つずつ割り当てられている。ここで、Y方向の順に、流れ照射部82a、流れ照射部82b、流れ照射部82c、及び、流れ照射部82dが並んでいるものとする。全ての流れ照射部82が消灯している状態から、制御装置100からの指示に従って、流れ照射部82aが初期のタイミングt1で点灯し、流れ照射部82bがインパクトタイミングt2で点灯し、流れ照射部82cがその後のタイミングt3で点灯し、流れ照射部82dが最終タイミングt4で点灯する。これにより、可視光レーザー光BM2の線が段階的に伸びるような流れSR1が現れる。その後、全ての流れ照射部82が消灯する。照射光の幅は、スリット87と流れ照射部82との間の距離を変えることにより調整可能である。
【0040】
図9に示す流れ生成部84は、Y方向沿ったスリット88を有する部材、直動式の遮蔽部材89、及び、ソレノイド90を備えている。遮蔽部材89は、Y方向に沿って双方向へ移動可能である。ソレノイド90は、制御装置100からの指示に従って、Y方向に沿って遮蔽部材89を双方向へ移動させる。これにより、流れ照射部82からの可視光レーザー光BM2のうち遮蔽部材89で遮られる部分が変化し、可視光レーザー光BM2の線が伸びるような流れSR1が現れる。
【0041】
さらに、可視光レーザー光BM2の流れSR1は、点状の照射光の移動でもよい。この場合、流れ照射部82は、ゴルフボール位置PB1を通るスイングラインLN2に沿って移動する点状の照射範囲となるように可視光レーザー光BM2を床面FL1に向けて照射すればよい。
【0042】
図10は、上述した各部を制御するゴルフスイング支援装置1の制御系の構成を模式的に例示している。ゴルフスイング支援装置1は、各部を制御する制御装置100を備えている。制御装置100は、パーソナルコンピューターでもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む専用装置等でもよい。ゴルフスイング支援装置1において、複数の受光部20にレーザー光BM1を出射する発光部10は、出射工程ST1を実施する。複数の受光部20と制御装置100は、検出工程ST2を実施する。制御装置100は、判定工程ST3を実施する。出力部40と制御装置100は、出力工程ST4を実施する。
【0043】
制御装置100は、例えば、時計部110、プロセッサーであるCPU(Central Processing Unit)111、半導体メモリーであるROM(Read Only Memory)112、半導体メモリーであるRAM(Random Access Memory)113、記憶部114、入力部115、表示部116、I/F(インターフェイス)117、等を備える。前述の要素(110~117)は、電気的に接続され、互いに情報を入出力可能とされている。時計部110は、現在時刻を計時する。ROM112は、ブートプログラム等を保持している。記憶部114は、制御装置100を判定部30として機能させる判定プログラム等を記憶している。CPU111は、ブートプログラムの実行後、記憶部114に記憶されている情報を適宜、RAM113に読み出し、判定プログラムを実行することにより、図11,12,15に例示される処理を行う。判定プログラムは、判定部30に対応する判定機能を制御装置100に実現させる。判定プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体から判定プログラムが記憶部114に記憶されてもよい。記憶部114は、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリーでもよいし、磁気記憶装置等でもよい。入力部115には、表示部116上のタッチパネル、ハードキー、ポインティングデバイス、等を用いることができる。表示部116には、液晶表示パネル等を用いることができる。I/F117は、複数の受光部20、ゴルフクラブ通過検出部70のセンサー71~73、及び、カメラCM1,CM2から情報を取得する。制御装置100は、I/F117を介して、出力部40、ゴルフクラブ通過検出部70のアクチュエーター71e,71f,72e,72f,73e,73f、傾き調整機構50、高さ調整機構60、及び、照射部80に指示を出す。
また、ゴルフスイング支援装置1は、プレイヤーPL1がアドレス位置にいるか否かを検知するプレイヤー検知部90を備えていてもよい。この場合、I/F117は、プレイヤー検知部90からプレイヤーPL1がアドレス位置にいるか否かを示す検知情報を取得する。I/F117を含む制御装置100は、発光部10の出射制御部の例である。プレイヤー検知部90には、超音波センサーや赤外線センサーといった人感センサー、ToF(Time of Flight)距離センサー、カメラ、等を用いることができる。例えば、人感センサーがアドレス位置に向いていると、プレイヤーPL1がアドレス位置にいるか否かを検知することができる。制御装置100は、プレイヤーPL1がアドレス位置にいることを示す検知情報をプレイヤー検知部90から取得すると、I/F117を介して発光部10にレーザー光BM1を出射させる。一方、制御装置100は、プレイヤーPL1がアドレス位置にいないことを示す検知情報をプレイヤー検知部90から取得すると、I/F117を介して発光部10にレーザー光BM1の出射を停止させる。すなわち、出射制御部は、アドレス位置にプレイヤーPL1がいることをプレイヤー検知部90が検知すると発光部10にレーザー光BM1を出射させ、アドレス位置にプレイヤーPL1がいないことをプレイヤー検知部90が検知すると発光部10にレーザー光BM1の出射を停止させる。これにより、プレイヤーPL1がアドレス位置にいない時にゴルフスイング支援装置1の電源がオンであっても、不要なレーザー光BM1が発光部10から出射されない。
【0044】
図11は、制御装置100が行うスイングプレーン設定処理を模式的に例示している。
制御装置100は、スイングプレーン設定処理を開始させる操作をプレイヤーPL1から受け付けると、アドレス位置にいるプレイヤーPL1の側方にあるカメラCM1にプレイヤーPL1を撮像させ、カメラCM1からデジタルの撮影画像を取得する(ステップS102)。以下、「ステップ」の記載を省略する。次いで、制御装置100は、撮影画像からプレイヤーPL1、ゴルフクラブGC1、等を認識する画像認識処理を行い、撮影画像から、ゴルフボール位置PB1、首PL2の位置、肘PL3の位置、及び、シャフトGC2上の直線を抽出する(S104)。次いで、制御装置100は、ゴルフボール位置PB1と首PL2とを結ぶスイングプレーンSP1、ゴルフボール位置PB1と肘PL3とを結ぶスイングプレーンSP2、及び、シャフトGC2を通るスイングプレーンSP3を表す情報をRAM113に設定する(S106)。次いで、制御装置100は、スイングプレーンSP3から後へ平行に距離x1ずれたスイングプレーンSP4、及び、ゴルフボール位置PB1から前に距離x2ずれたスイングプレーンSP5を表す情報をRAM113に設定する(S108)。尚、スイングプレーンSP1~SP5を表す情報は、記憶部114に記憶されてもよい。最後に、制御装置100は、スイングプレーンSP4,SP5を表す情報に従ってポール51の傾きを調整する指示を傾き調整機構50に出し、撮影画像から認識されたプレイヤーPL1の体格に合わせて発光部10の高さを調整する指示を高さ調整機構60に出す(S110)。制御装置100は、ポール51の傾きを変える操作をプレイヤーPL1から受け付けてポール51の傾きを調整する指示を傾き調整機構50に出してもよく、発光部10の高さを変える操作をプレイヤーPL1から受け付けて発光部10の高さを調整する指示を高さ調整機構60に出してもよい。傾き調整機構50は前記指示に従ってポール51の傾きをスイングプレーンSP4,SP5の傾きに合わせ、高さ調整機構60は前記指示に従って摺動部材61を摺動させることにより発光部10の高さを調整する。
【0045】
尚、制御装置100は、複数のプレイヤーPL1の情報を記憶部114に記憶し、本ゴルフスイング支援装置1を使用するプレイヤーPL1を識別して記憶部114からプレイヤーPL1の情報を読み出してスイングプレーンSP4,SP5を設定してもよい。これにより、各プレイヤーPL1は、すぐに練習を開始することができる。
【0046】
図12は、制御装置100が行うスイング状態判定出力処理を模式的に例示している。スイング状態判定出力処理は、図11に示すスイングプレーン設定処理が行われた後に繰り返し行われる。尚、S204の処理を行う制御装置100は、複数の受光部20とともに検出工程ST2を実施する。S206~S210の処理を行う制御装置100は、判定工程ST3を実施する。S212の処理を行う制御装置100は、出力部40とともに出力工程ST4を実施する。図13は、S210の判定処理に使用される処理テーブルTA1の構造を模式的に例示している。
【0047】
スイング状態判定出力処理が開始すると、制御装置100は、図3に示すゴルフクラブ通過検出部70の検出結果に基づいて、アドレス位置にいるプレイヤーPL1のダウンスイングの始動(スイング始動)を判定する(S202)。例えば、制御装置100は、始動側SD2のセンサー71がゴルフクラブGC1の通過を検出し、次に上方のセンサー73がゴルフクラブGC1の通過を検出し、再び上方のセンサー73がゴルフクラブGC1の通過を検出すると、スイング始動を判定することができる。次いで、制御装置100は、複数の受光部20の検出結果に基づいて、複数の受光部20のうちレーザー光BM1が遮断された箇所を特定する(S204)。例えば、手PL4及びゴルフクラブGC1の軌道200が図14に例示されるインサイド-アウト状態211である場合、レーザー光BM1の遮断箇所は受光部21d,21eとなる。次いで、制御装置100は、ゴルフクラブ通過検出部70におけるセンサー71~73の検出がスイング時の検出順であるか否かを判断する(S206)。プレイヤーPL1がゴルフクラブGC1としてウッドをスイングするとき、ゴルフクラブGC1の通過は、始動側SD2のセンサー71、上方のセンサー73、上方のセンサー73、始動側SD2のセンサー71、及び、飛び出し側SD1のセンサー72の順に検出される。この順にセンサー71~73が検出した場合、制御装置100は、処理をS208に進める。センサー71~73の検出が前述の順でない場合、本番のスイングが行われていないの で、制御装置100は、スイング状態判定出力処理を終了させる。
【0048】
正しいスイングが行われても、フォロースルー時は手PL4及びゴルフクラブGC1の軌道200が非設定範囲AR2にあってもよい。そこで、S208において、制御装置100は、各センサー71~73によるゴルフクラブGC1の通過の検出順に基づいてフォロースルーを判定し、フォロースルーが判定された後における複数の受光部20の検出結果を除外する。従って、判定部30は、ゴルフクラブ通過検出部70の検出結果に基づいてフォロースルーを判定し、フォロースルーが判定された後における複数の受光部20の検出結果をスイング状態の判定に使用しない。以下の説明において、断りが無い限り、「軌道200」はフォロースルー判定時までの手PL4及びゴルフクラブGC1の軌道を意味する。
【0049】
次いで、制御装置100は、図13に示す処理テーブルTA1を参照することにより、複数の受光部20の検出結果に対応するスイング状態を判定する(S210)。制御装置100は、図14に例示するように、軌道200が途中で境界面SP0を横切ったか否かをスイング状態として判定する。
図13に示す処理テーブルTA1は、前側のスイングプレーンSP5に配置された複数の受光部21についての判定内容(図13の上段)、後側のスイングプレーンSP4に配置された複数の受光部22についての判定内容(図13の中段)、及び、最終的な判定内容(図13の下段)を含んでいる。ここで、「OFF」は受光部20がレーザー光BM1の遮断を検出しなかったことを示し、「ON」は受光部20がレーザー光BM1の遮断を検出したことを示している。また、「OK」は軌道200が境界面SP0を横切らなかったことを示し、「NG」は明らかに誤ったスイングであることを示している。
【0050】
全受光部21がOFFであり、且つ、全受光部22がOFFである場合、軌道200が設定範囲AR1に収まったことを意味する。この場合、最終的な判定は、OKである。尚、OK以外のスイング状態が誤ったスイング状態に当て嵌まる場合、設定範囲AR1は許容範囲といえる。
全受光部21がONである場合、軌道200が最初から前側のスイングプレーンSP5を横切ったことを意味する。全受光部22がONである場合、軌道200が最初から後側のスイングプレーンSP4を横切ったことを意味する。いずれの場合も、最終的な判定は、NGである。
【0051】
打球方向D1において最初の受光部21aがOFFであり、途中から受光部がONに変わる場合、スイング状態は、軌道200が途中で前側のスイングプレーンSP5を横切ることにより設定範囲AR1から非設定範囲AR2に変わるインサイド-アウト状態211である。この場合、最終的な判定には、前側のスイングプレーンSP5についてのインサイド-アウト状態211(第一変化状態210の例)が含まれる。図14に示すインサイド-アウト状態211は、受光部21a~21cがOFFであり、且つ、受光部21d,21eがONであるようなスイング状態である。尚、インサイド-アウト状態211は、明らかに誤ったスイング状態ではなく、若干のインサイド-アウト状態は正しいスイング状態に含まれると考える場合がある。
打球方向D1において最初の受光部21aがONであり、途中から受光部がOFFに変わる場合、スイング状態は、軌道200が途中で前側のスイングプレーンSP5を横切ることにより非設定範囲AR2から設定範囲AR1に変わるアウトサイド-イン状態221である。この場合、最終的な判定には、前側のスイングプレーンSP5についてのアウトサイド-イン状態221(第二変化状態220の例)が含まれる。図14に示すアウトサイド-イン状態221は、受光部21a,21bがONであり、且つ、受光部21c~21eがOFFであるようなスイング状態である。
【0052】
打球方向D1において最初の受光部22aがOFFであり、途中から受光部がONに変わる場合、スイング状態は、軌道200が途中で後側のスイングプレーンSP4を横切ることにより設定範囲AR1から非設定範囲AR2に変わるアウトサイド-イン状態212(第一変化状態210の例)である。この場合、最終的な判定には、後側のスイングプレーンSP4についてのアウトサイド-イン状態212が含まれる。図14に示すアウトサイド-イン状態212は、受光部22a~22cがOFFであり、且つ、受光部22d,22eがONであるようなスイング状態である。
打球方向D1において最初の受光部22aがONであり、途中から受光部がOFFに変わる場合、スイング状態は、軌道200が途中で後側のスイングプレーンSP4を横切ることにより非設定範囲AR2から設定範囲AR1に変わるインサイド-アウト状態222である。この場合、最終的な判定には、後側のスイングプレーンSP4についてのインサイド-アウト状態222(第二変化状態220の例)が含まれる。図14に示すインサイド-アウト状態222は、受光部22a,22bがONであり、且つ、受光部22c~22eがOFFであるようなスイング状態である。
【0053】
複数の受光部20の検出状態が上述したパターンに含まれない場合、通常のスイングでは考えられない状態である。この場合、最終的な判定は、エラーである。
以上説明したように、制御装置100は、処理テーブルTA1を参照することにより、複数の受光部20の検出結果に基づいてスイング状態が第一変化状態210と第二変化状態220を含む複数の状態のいずれであるかを判定する。
【0054】
最後に、制御装置100は、スイング状態の判定結果を出力部40に出力させる(S212)。出力部40が空中ディスプレイ45である場合、制御装置100は、「OK」、「NG」、「前側スイングプレーンを横切るインサイド-アウト状態」、「前側スイングプレーンを横切るアウトサイド-イン状態」、「後側スイングプレーンを横切るアウトサイド-イン状態」、「後側スイングプレーンを横切るインサイド-アウト状態」、及び、「エラー」の中から選ばれる一以上の情報を空中ディスプレイ45に表示させる。出力部40が音声出力装置46である場合、制御装置100は、前述の情報に応じた音声を音声出力装置46に出力させる。出力部40が発光装置47である場合、制御装置100は、前述の情報に応じた光を発光装置47に放出させる。
【0055】
図15は、制御装置100が行うスイングリズム伝達処理を模式的に例示している。スイングリズム伝達処理も、図11に示すスイングプレーン設定処理が行われた後に繰り返し行われる。S302~S310の処理を行う制御装置100は、判定工程ST3を実施する。
スイングリズム伝達処理が開始すると、制御装置100は、図6に示す基準照射部81に第二の可視光レーザー光BM3を照射させ、図6に示す流れ照射部82にタイミングt4に相当する可視光レーザー光BM2を照射させ、十字ラインを床面FL1に出現させる(S302)。次いで、制御装置100は、図12に示すS202の処理を行う(S304)。すなわち、制御装置100は、図3に示すゴルフクラブ通過検出部70の検出結果に基づいて、アドレス位置にいるプレイヤーPL1のスイング始動を判定する。制御装置100は、時計部110からスイング始動時点の時刻(Tsとする。)を取得し、流れ照射部82に可視光レーザー光BM2の照射を停止させ、基準ラインLN3のみ床面FL1に残す(S306)。次いで、制御装置100は、スイング始動を起点として所定の設定タイミングT1が経過した時に可視光レーザー光BM2がゴルフボール位置PB1を照射するように、流れ照射部82に打球方向D1へ流れるように可視光レーザー光BM2を照射させる(S308)。制御装置100は、Ts+T1の時点で可視光レーザー光BM2がゴルフボール位置PB1を照射するように流れ照射部82を制御すればよい。図示していないが、制御装置100は、可視光レーザー光BM2の流れSR1に合わせた音を音声出力装置46に出力させてもよい。最後に、制御装置100は、スイング始動を起点として所定の終了タイミングT2が経過した時に基準ラインLN3及び可視光レーザー光BM2の流れSR1が消えるように、第二の可視光レーザー光BM3及び可視光レーザー光BM2の照射を照射部80に停止させる(S310)。
【0056】
以上説明したように、ゴルフスイング支援装置1はスイング状態の高精度の判定結果を素早く出力するので、アドレス位置にいるプレイヤーPL1はその場でスイング状態の高精度の判定結果を得ることができる。その上、プレイヤーPL1は、打球方向D1への可視光レーザー光BM2の流れSR1を見ながらゴルフクラブGC1をスイングすることにより、スイングタイミングを身につけることができ、スイングの能力をさらに向上させることができる。
【0057】
(4)変形例:
本技術は、上述した具体例に限定されない。
例えば、後側境界面(SP4)についてスイング状態を判定しないで前側境界面(SP5)のみ複数の受光部20の検出結果に基づいてスイング状態を判定することも、本技術に含まれる。前側境界面(SP5)についてスイング状態を判定しないで後側境界面(SP4)のみ複数の受光部20の検出結果に基づいてスイング状態を判定することも、本技術に含まれる。
境界面SP0は、プレイヤーPL1の手PL4が横切る可能性が無い範囲、すなわち、ゴルフクラブGC1のみ横切る可能性がある範囲に設定されてもよい。
判定されるスイング状態にインサイド-アウト状態とアウトサイド-イン状態の少なくとも一方が含まれないことも、本技術に含まれる。
基準ラインLN3無しに可視光レーザー光BM2の流れSR1を出現させることも、本技術に含まれる。
尚、スイング状態の判定結果が出力される限り、基準ラインLN3と可視光レーザー光BM2の流れSR1が現れなくても、より正確な判定結果が得られる。
【0058】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、プレイヤーのスイング状態をより正確に判定可能なゴルフスイング支援装置、ゴルフスイング支援方法、等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…ゴルフスイング支援装置、
10,11,12…発光部、20,21,22…受光部、30…判定部、
40…出力部、45…空中ディスプレイ、46…音声出力装置、47…発光装置、
50…傾き調整機構、60…高さ調整機構、
70…ゴルフクラブ通過検出部、71~73…センサー、
80…照射部、81…基準照射部、82…流れ照射部、
100…制御装置、
200…軌道、210…第一変化状態、220…第二変化状態、
211,222…インサイド-アウト状態、212,221…アウトサイド-イン状態、
AR1…設定範囲、AR2…非設定範囲、
BM1…レーザー光、BM2…可視光レーザー光、BM3…第二の可視光レーザー光、
D1…打球方向、D2…境界面に沿った水平方向、
FL1…床面、
GB1…ゴルフボール、
GC1…ゴルフクラブ、GC2…シャフト、GC3…ヘッド、
LN1…アドレスライン、LN2…スイングライン、LN3…基準ライン、
P0…照射位置、
PB1…ゴルフボール位置、
PL1…プレイヤー、PL2…首、PL3…肘、PL4…手、PL5…足、
SD1…飛び出し側、SD2…始動側、
SP0…境界面、SP1~SP5…スイングプレーン、
SR1…流れ、
ST1…出射工程、ST2…検出工程、ST3…判定工程、ST4…出力工程、
T1…設定タイミング、T2…終了タイミング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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図15