(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139720
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】物理的複製不可関数コード生成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H04L 9/10 20060101AFI20241002BHJP
H10B 41/30 20230101ALI20241002BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241002BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H04L9/10 Z
H10B41/30
H01L29/78 371
G11C16/04 110
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024036001
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】112111585
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】呉 伯倫
(72)【発明者】
【氏名】許 博硯
(72)【発明者】
【氏名】陳 宜秀
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA02
5B225CA04
5B225CA22
5B225EA01
5B225EH04
5B225EJ01
5F083EP02
5F083EP22
5F083EP42
5F083EP77
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA09
5F083GA12
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA03
5F083LA04
5F083LA05
5F083LA06
5F083LA12
5F083LA16
5F101BA01
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD33
5F101BE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物理的複製不可関数(PUF)コード生成の消費電力を低減し、PUFコード生成装置の製造プロセスを簡略化した持続可能なPUFコード生成装置及びPUFコード生成方法を提供する。
【解決手段】物理的複製不可関数(PUF)コード生成装置100において、PUFコード生成素子110は、複数のメモリセル112を含む。各メモリセルは、ゲート層、半導体層及びトンネル酸化層を含む。トンネル酸化層は、ゲート層と半導体層との間に位置する。方法は、PUFコード生成素子内のメモリセルのトンネル酸化層において、中央領域の最大厚さに対する周辺領域の最小厚さの比であるコーナーが0.99未満となるようにPUFコード生成素子を製造し、PUFコード生成素子をプログラムした後、データ保持損失プロセスを介して、一部のビットをランダムに変化させて、ランダムなPUFコードを生成し、PUFコード記憶素子120にPUFコードを記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PUFコードを生成するように構成されたPUFコード生成素子と、
前記PUFコード受信して記憶するように構成されたPUFコード記憶素子と、
を備え、
前記PUFコード生成素子は、複数の第1のメモリセルを含み、各前記第1のメモリセルは、フローティングゲート層、半導体層、及びトンネル酸化物層を含み、前記トンネル酸化層は、前記フローティングゲート層と前記半導体層との間に位置し、前記トンネル酸化層は、中央領域及び周辺領域を含み、前記トンネル酸化層の前記中央領域の最大厚さに対する前記トンネル酸化層の前記周辺領域の最小厚さの比は、コーナー比として定義され、前記コーナー比は、0.99未満である、
物理的複製不可関数(PUF)コード生成装置。
【請求項2】
前記第1のメモリセルはNOR型フラッシュメモリセルである、
請求項1に記載PUFコード生成装置。
【請求項3】
前記第1のメモリセルの前記トンネル酸化層は、前記コーナー比が0.99未満となるように第1のプロセスを通じて製造され、前記第1のプロセスは、
前記半導体層にアニーリングステップを実行して、前記半導体層上に第1の厚さのトンネル酸化物層を形成することと、
前記トンネル酸化層を平坦化して、前記半導体層上に第2の厚さの前記トンネル酸化層を形成することであって、前記第2の厚さの前記トンネル酸化層の前記コーナー比を0.99未満にすることと、を含む、
請求項1に記載PUFコード生成装置。
【請求項4】
前記トンネル酸化層の前記第2の厚さは、40オングストローム~240オングストロームである、
請求項3に記載PUFコード生成装置。
【請求項5】
前記第1のメモリセルの前記トンネル酸化層は、前記コーナー比が0.99未満となるように第2のプロセスを通じて製造され、前記第2のプロセスは、
前記半導体層上にイオン注入を実行し、窒化シリコン層を形成することと、
前記窒化シリコン層の一部を除去することと、
前記半導体層にアニーリングステップを実行して、前記コーナー比が0.99未満となるように、前記半導体層上に前記トンネル酸化層を形成することと、を含む、
請求項1に記載PUFコード生成装置。
【請求項6】
前記第1のメモリセルの前記トンネル酸化層は、前記コーナー比が0.99未満となるように第3のプロセスを通じて製造され、前記第3のプロセスは、
前記半導体層上に95オングストローム未満の厚さの前記トンネル酸化層を形成することを含む、
請求項1に記載PUFコード生成装置。
【請求項7】
前記PUFコード生成素子は第1の論理値としてプログラムされ、データ保持損失プロセスを介して、前記PUFコード生成素子一部のビットをランダムに第2の論理値に変化させて、前記PUFコードを生成する、
請求項1に記載PUFコード生成装置。
【請求項8】
前記PUFコード生成素子に結合されたセレクタ回路と、
前記セレクタ回路と前記PUFコード記憶素子との間に結合されたセンスアンプ回路と、
選択されたPUFコードを記憶する前記PUFコード記憶素子内の対応するメモリセルをアドレス指定するための複数のデコーダと、
をさらに備える、
請求項1に記載のPUFコード生成装置。
【請求項9】
PUFコード生成装置用に構成されたPUFコード生成方法であって、
前記PUFコード生成装置は、PUFコード生成素子と、PUFコード記憶素子と、を備え、
前記PUFコード生成方法は、
第1のプロセス、第2のプロセス、又は第3のプロセスを通じて、前記PUFコード生成素子内の前記第1のメモリセルのコーナー比が0.99未満となるように、前記PUFコード生成素子内の複数の第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造することと、
第1の論理値として前記PUFコード生成素子をプログラムし、データ保持損失プロセスを介して、前記PUFコード生成素子一部のビットをランダムに第2の論理値に変化させて、前記PUFコードを生成することと、
前記PUFコード記憶素子に前記PUFコードを記憶することと、
を備え、
各前記第1のメモリセルは、ゲート層、半導体層、及びトンネル酸化層を含み、前記トンネル酸化層は、前記ゲート層と前記半導体層との間に位置し、前記トンネル酸化層は、中央領域及び周辺領域を含み、前記トンネル酸化層の前記中央領域の最大厚さに対する前記トンネル酸化層の前記周辺領域の最小厚さの比は、前記コーナー比として定義される、
物理的複製不可関数(PUF)コード生成方法。
【請求項10】
前記第1のメモリセルは、NOR型フラッシュメモリセルである、
請求項9に記載のPUFコード生成方法。
【請求項11】
前記第1のプロセスは、
前記半導体層にアニーリングステップを実行して、前記半導体層上に第1の厚さのトンネル酸化物層を形成することと、
前記トンネル酸化層を平坦化して、前記半導体層上の第2の厚さの前記トンネル酸化層を形成することとであって、前記第2の厚さの前記トンネル酸化層の前記コーナー比を0.99未満にすることと、を含む、
請求項9に記載のPUFコード生成方法。
【請求項12】
前記トンネル酸化層の前記第2の厚さは、40オングストローム~240オングストロームである、
請求項11に記載のPUFコード生成方法。
【請求項13】
前記第2のプロセスは、
上にイオン注入を実行し、前記半導体層、窒化シリコン層を形成することと、
前記窒化シリコン層の一部を除去することと、
前記半導体層にアニーリングステップを実行して、前記コーナー比が0.99未満となるように、前記半導体層上に前記トンネル酸化層を形成することと、を含む、
請求項9に記載のPUFコード生成方法。
【請求項14】
前記第3のプロセスは、
前記半導体層上に95オングストローム未満の厚さの前記トンネル酸化層を形成することを含む、
請求項9に記載のPUFコード生成方法。
【請求項15】
前記データ保持損失プロセスは、前記PUFコード生成素子を周囲温度環境に置くことを含む
、請求項9に記載のPUFコード生成方法。
【請求項16】
前記データ保持損失プロセスの後、不安定なビットを選別するための選別プロセスはない、
請求項9に記載のPUFコード生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード生成装置及びコード生成方法に関し、特に、物理的複製不可関数コード生成装置及び物理的複製不可関数コード生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス中に発生する物理的な変更は、物理的複製不可関数(PUF)と呼ばれる。プロセス中の物理的変化はランダムで予測不可能であるため、PUFに基づいて生成されたランダムコードはランダムで固有の特性を有する。したがって、PUFは、要素ID、セキュリティ、認証などの幅広い応用に適用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、既存のフラッシュメモリのプログラミングを変更したり、既存のフラッシュメモリの動作に使用されるパラメータや方法を消去したりして、フラッシュメモリのさまざまな製造プロセスによって決定されるトンネル酸化膜の厚さによって発生するランダムな電子ノイズを増幅することが行われてきたことが知られている。しかしながら、既存のフラッシュメモリは特性が安定しており、既存のフラッシュメモリのランダムな電子ノイズを増幅するために、従来技術では、複雑な回路やプロセスを用いて、プログラムの変更や動作に使用するパラメータや方法の消去を行う必要があり、微細化やランダム化が容易ではなかった。
【0004】
近年、ランダムコードを生成する需要が高まるにつれ、関連応用分野の業者の間では、PUFコードを効果的に生成するための革新的な設計に対する需要も高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のPUFコード生成装置は、PUFコード生成素子と、PUFコード記憶素子と、を含む。PUFコード生成素子は、PUFコードを生成するように構成される。PUFコード記憶素子は、PUFコード生成素子に結合される。PUFコード記憶素子は、PUFコードを受信して記憶するように構成される。PUFコード生成素子は、複数の第1のメモリセルを含む。各第1のメモリセルは、ゲート層、半導体層、及びトンネル酸化層を含む。トンネル酸化層は、ゲート層と半導体層との間に位置する。トンネル酸化層は、中央領域及び周辺領域を含む。トンネル酸化層の中央領域の最大厚さに対する周辺領域の最小厚さの比は、コーナー比として定義され、コーナー比は、0.99未満である。
【0006】
本発明のPUFコード生成方法は、PUFコード生成装置用に構成される。PUFコード生成装置は、PUFコード生成素子と、PUFコード記憶素子と、を含む。PUFコード生成方法は、第1のプロセス、第2のプロセス、又は第3のプロセスを通じて、PUFコード生成素子内の第1のメモリセルのコーナー比が0.99未満となるように、PUFコード生成素子内の複数の第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造することと、第1の論理値としてPUFコード生成素子をプログラムし、データ保持損失プロセスを介して、PUFコード生成素子一部のビットをランダムに第2の論理値に変化させて、PUFコードを生成することと、PUFコード記憶素子にPUFコードを記憶することと、を備える。各第1のメモリセルは、ゲート層、半導体層、及びトンネル酸化層を含み、トンネル酸化層は、ゲート層と半導体層との間に位置する。トンネル酸化層は、中央領域及び周辺領域を含む。トンネル酸化層の中央領域の最大厚さに対するトンネル酸化層の周辺領域の最小厚さの比は、コーナー比として定義される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ランダムにPUFコードを生成することができる、PUFコード生成装置及びPUFコード生成方法を提供する。コーナー比0.99未満のトンネル酸化層を有する第1のメモリセルがプログラムされた後、データ保持損失プロセスを通じて、一部のビットをランダムに変化させて、PUFコードが生成される。PUFで生成されたランダムコードのランダムで固有の特性に基づいて、ランダムコードは暗号キーとして機能することができ、これにより、システム装置のセキュリティが向上する。さらに、本発明により、PUFコード生成の消費電力が低減され、PUFコード生成装置の製造プロセスが簡略化される。本発明は、持続可能なPUFコード生成装置を提供する。
【0008】
本発明の上述の特徴及び利点を理解しやすくするために、以下に図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態によるPUFコード生成装置の概略図を示す。
【
図2A】本発明の一実施形態によるPUFコードを示す。
【
図2B】本発明の一実施形態によるPUFコードを示す。
【
図2C】本発明の一実施形態によるPUFコードを示す。
【
図3】本発明の一実施形態による第1のメモリセルの構造の概略図を示す。
【
図4A】本発明の一実施形態による第1のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。
【
図4B】本発明の一実施形態による第1のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。
【
図5A】本発明の一実施形態による第2のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。
【
図5B】本発明の一実施形態による第2のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。
【
図6】本発明の一実施形態による第3のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。
【
図7】本発明の一実施形態によるPUFコード生成方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、本発明の一実施形態の物理的複製不可関数(PUF)コード生成装置100は、PUFコード生成素子110と、PUFコード記憶素子120と、を備える。PUFコード記憶素子120は、セレクタ回路130及びセンスアンプ回路140を介してPUFコード生成素子110に結合されて良い。セレクタ回路130は、ビット線BLに接続された列マルチプレクサによって実現されて良い。センスアンプ回路140は、選択されたPUFコードを記憶する対応するPUFコード記憶素子120をアドレス指定するためのデコーダをさらに含んで良い。PUFコード生成素子110は、
図2A、2B、及び2Cに示されるように、PUFコード210、220、及び230を生成するように構成される。PUFコード記憶素子120は、PUFコード210、220、及び230を受信して記憶するように構成される。なお、
図2A、2B、及び2Cに示されるPUFコード210、220、及び230は、専ら例示を目的としたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。
【0011】
PUFコード生成素子110は、アレイ状に配置された複数の第1のメモリセル112を含む。第1のメモリセル112は、それぞれのビット線BL及びワード線WLに結合される。第1のメモリセル112は、例えば、NOR型フラッシュメモリセルである。PUFコード記憶素子120は、アレイ状に配置された複数の第2のメモリセル122を含む。第2のメモリセル122は、それぞれのビット線BL及びワード線WLに結合される。第2のメモリセル122は、例えば、抵抗性ランダムアクセスメモリ(RRAM)セルであるが、本発明はこれに限定されるものではない。第2のメモリセル122は、第1のメモリセル112とは異なる不揮発性メモリセルであって良い。
【0012】
本実施形態において、PUFコード生成素子110は、第1の論理値“0”として“0”プログラムされて良く、データ保持損失プロセスを介して、PUFコード生成素子110の一部のビットをランダムに第2の論理値“1”に変化させて、PUFコード210、220、又は230が生成される。データ保持損失プロセスとは、PUFコード生成素子110を周囲温度環境に置き、PUFコード生成素子110のビットデータをランダムに変化させることにより、PUFコードを生成するプロセスをいう。一実施形態では、PUFコードのランダム性を高め、PUFコードの生成効率を向上させるために、データ保持損失プロセスの後に、不安定なビットを選別するための選別プロセスはない。
図2A、2B、及び2Cでは、最初に論理値“0”としてプログラムされたメモリアレイの一部のビットをランダムに論理値“1”に変化させて、PUFコードが生成される。本発明の実施形態で提供されるビットデータがランダムに変化する特性を有するNOR型フラッシュメモリを用いることにより、本発明の実施形態は、システム装置のセキュリティを高めるための暗号キーとして機能するPUFコードを生成することができる。
【0013】
図3を参照すると、第1のメモリセル112は、フローティングゲート層FG、半導体層AA、及びトンネル酸化層Toxを含む。トンネル酸化層Toxisは、フローティングゲート層FGと半導体層AAとの間に位置する。トンネル酸化層Toxは、中央領域310及び周辺領域320を含む。中央領域310の最大厚さT1に対する周辺領域320の最小厚さT2の比T2/T1は、コーナー比Cとして定義される。中央領域310の最大厚さT1は、周辺領域320の最小厚さT2よりも大きく、コーナー比Cは、0.99未満である。
【0014】
以下、異なるプロセス方法を使用して、PUFコード生成素子のトンネル酸化層Toxを製造し、第1のメモリセル112のコーナー比Cを0.99未満にすることのできる、本発明の実施形態について説明する。さらに、各実施形態は適宜組み合わせてもよい。
【0015】
図4A及び
図4Bは、本発明の一実施形態による第1のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。第1のプロセスにより製造されるトンネル酸化層は、第1のメモリセルのコーナー比を0.99未満にすることができる。
【0016】
図4A及び
図4Bを参照されたい。
図4Aにおいて、過剰量の酸素を導入することにより半導体層AA上にアニールステップが実行され、半導体層AA上に第1の厚さ410のトンネル酸化物層Toxが形成される。次に、
図4Bにおいて、第1の厚さ410のトンネル酸化層Toxが平坦化され、半導体層AA上に第2の厚さ420のトンネル酸化層Toxが形成される。第2の厚さ420のトンネル酸化層Toxは、コーナー比Cを0.99未満にすることができる。第2の厚さのトンネル酸化層は、40オングストローム~240オングストロームである。
【0017】
図5A及び5Bは、第2のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。第2のプロセスにより製造されるトンネル酸化層は、第1のメモリセルのコーナー比を0.99未満にすることができる。
【0018】
図5A及び5Bを参照されたい。
図5Aにおいて、半導体層AA上にイオン注入510が実行され、窒化シリコン層が形成される。次に、
図5Bにおいて、窒化シリコン層の一部が除去され、半導体層AA上にアニーリングステップが実行されて、コーナー比Cが0.99未満となるように、半導体層AA上にトンネル酸化層Tox(酸窒化シリコン(SiON)など)が形成される。
図5Aにおけるイオン注入510のステップにおいて、窒素原子は、アニーリングステップにおいて半導体層の酸化速度を変化させて、形成されるトンネル酸化層Toxの厚さが、コーナー比C0.99未満の特性を有するようにすることができる。
【0019】
図6は、本発明の一実施形態による第3のプロセスを通じて第1のメモリセルのトンネル酸化層を製造するステップのフローチャートを示す。第3のプロセスにより製造されるトンネル酸化層は、第1のメモリセルのコーナー比を0.99未満にすることができる。
図6を参照すると、本実施形態では、例えば、半導体層AA上に厚さ95オングストローム未満のトンネル酸化層Toxを直接形成することで、トンネル酸化層Toxの厚さのコーナー比をC0.99未満とすることができる。
【0020】
上述した第1プロセス、第2プロセス、又は第3プロセスのうちの少なくともいずれかを介して、PUFコード生成装置110内の第1のメモリセル112のトンネル酸化層Toxを製造することにより、PUFコード生成装置110内の第1のメモリセル112のコーナー比Cを0.99未満にすることができる。
【0021】
図7は、本発明の一実施形態によるPUFコード生成方法のフローチャートを示す。
図1及び
図7を参照すると、本実施形態のPUFコード生成方法は、少なくとも
図1の実施形態のPUFコード生成装置100に適用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。ステップS100において、PUFコード生成素子110内の第1のメモリセル112のトンネル酸化層は、第1のプロセス、第2のプロセス、又は,第3のプロセスを通じて、PUFコード生成素子110内の第1のメモリセル112のコーナー比が0.99未満となるように製造される。ステップS110において、PUFコード生成素子110は、第1の論理値“0”としてプログラムされ、データ保持損失プロセスを介して、PUFコード生成素子110の一部のビットをランダムに第2の論理値“1”に変更させて、PUFコード210、220、又は230を生成する。ステップS120において、PUFコード210、220、又は230は、PUFコード記憶素子120内に記憶されて、暗号キーとして機能し、システム装置のセキュリティを向上させる。
【0022】
まとめると、本発明の実施形態において、PUFコード生成素子は、NOR型フラッシュメモリを含む。本発明に従って製造されたNOR型フラッシュメモリがプログラムされた後、データ保持損失プロセスを通じて、一部のビットをランダムに変化させて、PUFコードが生成される。PUFコード生成素子は、本発明により製造されたNOR型フラッシュメモリのランダムに変化するビットデータの特性を利用して、PUFコードを生成する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
PUFで生成されたランダムコードのランダムで固有の特性に基づいて、ランダムコードは暗号キーとして機能することができ、これによりシステム装置のセキュリティを向上することができる。本発明は、ウェーハ上のダイの総数を増加させるために、小型化されたPUFコード生成装置を製造するのに適している。したがって、単一のICを製造する際の生産コスト及び消費エネルギーが低減され、その後のパッケージングの生産エネルギー消費も低減され、これによりPUFコード生成装置の製造過程における炭素排出量を低減することができる。さらに、本発明により、PUFコード生成の消費電力が低減され、PUFコード生成装置の製造プロセスが簡略化される。本発明は、持続可能なPUFコード生成装置を提供する。
【0024】
本発明を上記の実施形態を参照して説明したが、説明した実施形態は本発明を限定することを意図したものではない。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び修正を行うことができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0025】
100: PUFコード生成装置
110: PUFコード生成素子
112: 第1のメモリセル
120: PUFコード記憶素子
122: 第2のメモリセル
130: セレクタ回路
140: センスアンプ回路
210、220、230: PUFコード
410、420、T1、T2: 厚さ
510: イオン注入
AA: 半導体層
BL: ビット線
FG: フローティングゲート層
Tox: トンネル酸化層
WL: ワード線
X、Y、Z: 方向
S100、S110、S120: ステップ
【外国語明細書】