(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139730
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】チップスケールの光測定磁気共鳴センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/24 20060101AFI20241002BHJP
G01N 21/64 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
G01R33/24
G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024043292
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】18/190,526
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】ポール ドナルド シュマーレンベルク
(72)【発明者】
【氏名】シーン ピー.ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】エルカン メフメト デデ
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043EA01
2G043EA17
2G043GA01
2G043GB13
2G043HA15
2G043JA04
2G043LA01
(57)【要約】
【課題】外部磁気又は他の外部刺激を測定する集積装置を提供すること。
【解決手段】本装置は、複数の金属層を備える半導体集積回路と、半導体集積回路上に配置されており、複数の色中心を備える、固体状態のホストと、固体状態のホスト上に配置されており、1000nm未満の光を伝送することができる材料を介して複数の色中心と光学的に通信する光変調器及び回折格子アレイを備える、フォトニック集積回路と、半導体集積回路の複数の金属層における第1の金属層に形成されたマイクロ波アンテナと、複数の色中心と光学的に通信する光検出器と、を含み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属層を備える半導体集積回路と、
前記半導体集積回路上に配置されており、複数の色中心を備える、固体状態のホストと、
前記固体状態のホスト上に配置されており、1000nm未満の光を伝送することができる材料を介して前記複数の色中心と光学的に通信する光変調器及び回折格子アレイを備える、フォトニック集積回路と、
前記半導体集積回路の前記複数の金属層における第1の金属層に形成されたマイクロ波アンテナと、
前記複数の色中心と光学的に通信する光検出器と、
を備える、装置。
【請求項2】
1000nm未満の光を伝送することができる前記材料は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の金属層における第2の金属層に複数の永久磁石を更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光変調器は、マッハツェンダの変調器又はリング共振器の変調器である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の金属層における第2の金属層に電磁コイルを更に備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記フォトニック集積回路は、光信号を生成するレーザに取り付けられている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記光変調器は、前記回折格子アレイと共に、前記固体状態のホストにわたる前記光信号の分散の調整を可能にする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記レーザは、ファイバ/ボール補助カップリング又は直接エッジ結合により前記フォトニック集積回路に結合されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記レーザは、レーザチップ間の統合により取り付けられている、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
永久磁石、マイクロ波アンテナ、及び光検出器を備える半導体集積回路と、
前記半導体集積回路上に配置されており、複数の色中心を備える、固体状態のホストと、
前記固体状態のホスト上に配置されており、1000nm未満の光の伝送に好適な材料を介して前記複数の色中心と光学的に通信する光変調器及び回折格子アレイを備える、フォトニック集積回路と、
光信号を生成するために前記フォトニック集積回路に取り付けられたレーザと、
を備える、デバイス。
【請求項11】
1000nm未満の光を伝送することができる前記材料は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記光変調器は、マッハツェンダの変調器である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記光変調器は、リング共振器の変調器である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記光変調器は、前記回折格子アレイと共に、前記固体状態のホストにわたる前記光信号の分散の調整を可能にする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記レーザは、ファイバ/ボール補助カップリング又は直接エッジ結合により前記フォトニック集積回路に結合されている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
複数の色中心を備える固体状態のホストと、
前記固体状態のホスト上に配置されており、1000nm未満の光の伝送に好適な材料において導波路、光変調器、及び回折格子を介してレーザから前記固体状態のホストへの統合光路を提供する、フォトニック集積回路と、
前記フォトニック集積回路に対して前記固体状態のホストの反対側に配置されており、前記固体状態のホストに対して光学的に結合されたマイクロ波アンテナ及び光検出器を含む、半導体集積回路と、
を備える、装置。
【請求項17】
1000nm未満の光を伝送することができる前記材料は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記半導体集積回路と前記固体状態のホストとの間に光学フィルタを更に含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、前記固体状態のホストに対して前記フォトニック集積回路の反対側で前記フォトニック集積回路上に配置されたミラーを更に含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記半導体集積回路は、永久磁石を更に含む、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、概して磁気共鳴の光検出に関し、より具体的には、産業用途又は民生用途のコンパクトなODMRセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴の光検出(ODMR)は、結晶欠陥が共鳴周波数でのマイクロ波ポンピングを受けるときに磁場の存在によって、光信号による励起から生じる結晶欠陥の蛍光が影響を受け得る技術である。したがって、変わった蛍光の評価に基づいて、磁場の強度及び方向の測定値が取得され得る。ODMRについての対象となる特定の結晶欠陥は、窒素空孔(NV)中心である。
【発明の概要】
【0003】
本技術の実施形態は、外部磁場又は他の外部刺激を測定する装置を含む。本装置は、複数の金属層を備える半導体集積回路と、半導体集積回路上に配置されており、複数の色中心を備える、固体状態のホストと、固体状態のホスト上に配置されており、1000nm未満の光を伝送することができる材料を介して複数の色中心と光学的に通信する光変調器及び回折格子アレイを備える、フォトニック集積回路と、半導体集積回路の複数の金属層における第1の金属層に形成されたマイクロ波アンテナと、複数の色中心と光学的に通信する光検出器と、を含む。
【0004】
本技術の実施形態は、外部磁場又は他の外部刺激を測定するデバイスを含む。本デバイスは、永久磁石、マイクロ波アンテナ、及び光検出器を備える半導体集積回路と、半導体集積回路上に配置されており、複数の色中心を備える、固体状態のホストと、固体状態のホスト上に配置されており、1000nm未満の光の伝送に好適な材料を介して複数の色中心と光学的に通信する光変調器及び回折格子アレイを備える、フォトニック集積回路と、光信号を生成するためにフォトニック集積回路に取り付けられたレーザと、を含む。
【0005】
本技術の実施形態は、外部磁場又は他の外部刺激を測定する装置を含む。本装置は、複数の色中心を備える固体状態のホストと、固体状態のホスト上に配置されており、1000nm未満の光の伝送に好適な材料において導波路、光変調器、及び回折格子を介してレーザから固体状態のホストへの統合光路を提供する、フォトニック集積回路と、フォトニック集積回路に対して固体状態のホストの反対側に配置されており、固体状態のホストに対して光学的に結合されたマイクロ波アンテナ及び光検出器を含む、半導体集積回路と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書の一部において援用され本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の様々なシステム、方法、及び他の実施形態を示す。図において示される要素の境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)は、境界の一実施形態を表すことが理解されるであろう。一部の実施形態では、1つの要素は、複数の要素として設計されてもよく、又は複数の要素は、1つの要素として設計されてもよい。一部の実施形態では、別の要素の内部構成要素として示される要素は、外部構成要素として実装されてもよく、逆もまた同様である。更に、要素は、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0007】
【
図1】産業用途又は民生用途のODMRセンサの例を示す図である。
【
図2】ODMRについての集積デバイスの例を示す図である。
【
図3】ODMRについての集積デバイスの一部として半導体集積回路の例を示す図である。
【
図4】ODMRについての集積デバイスの一部としてNV材料の例を示す図である。
【
図5】ODMRについての集積デバイスの一部としてフォトニック集積回路の例を示す図である。
【
図6】マッハツェンダの変調器及び回折格子を採用したフォトニック集積回路の例を示す図である。
【
図7】リング共振器の変調器及び回折格子を採用したフォトニック集積回路の例を示す図である。
【
図8】ODMRについての集積デバイスの一部として、永久磁石を組み込んだ半導体集積回路の例を示す図である。
【
図9】ODMR測定値にバイアスをかけるために、どのように永久磁石が使用され得るかに関する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
産業用途又は民生用途に好適なODMRセンサのシステム及び方法が本明細書に記載される。本明細書に開示されるシステム及び方法を組み込んだODMRについての集積デバイスの説明例は
図1で提示される。
図1に示されるように、反射型半導体光増幅器(RSOA)レーザは、フォトニックチップによって分散される緑色光を出し得、フォトニックチップは、NV中心を含むNV材料に隣接して光学的に結合されている。緑色光は、(色中心とも称され得る)NV中心によって吸収されると赤色蛍光をもたらし得る。NV材料に隣接して光学的に結合された半導体集積回路は、赤色蛍光を検出するための光検出器と、NV中心にマイクロ波信号を印加するマイクロ波アンテナと、を含み得る。半導体集積回路に存在し得るマイクロ波アンテナからのマイクロ波ポンピングに基づいて、赤色蛍光の周波数成分は、外部磁場Bの強度及び方向を決定するために評価され得る。ODMRセンサは、レーザからの緑色光を除去しつつ光検出器への赤色蛍光の通過を可能にする光学フィルタ(例えば、メタマテリアルフィルタ)を含み得る。加えて、ODMRセンサは、緑色光を反射してNV中心に戻すか又は光検出器へ赤色蛍光を反射するためにフォトニックチップの上にミラーを含み得る。
【0009】
図1に示されていないが、1100nm未満の光を吸収する従来のシリコン導波路と比較して、フォトニックチップは、1000nm未満の光の伝送を可能にする材料、例えば、窒化ケイ素又は炭化ケイ素を使用し得る。フォトニックチップはまた、NV材料中で印加される光信号の場所及び強度を調整するために、マッハツェンダの変調器、リング共振器の変調器、又は他の変調器などの変調器を回折格子と共に使用し得る。
図1に示されていない別の態様では、半導体集積回路は、永久磁石又はマイクロ波発生器及び位相同期回路を含み得る。
【0010】
図2を参照すると、ODMRについての集積デバイスの例が示されている。ODMRデバイス200は、キャリアPCB210上に形成され得る。ODMRデバイス200は、半導体集積回路230の形態である(例えば、キャリアPCB210上に配置された)第1の層と、NV材料240の形態である、第1の層上に配置された第2の層であって、第1の層に対して光学的に結合された第2の層と、フォトニック集積回路250の形態である、第2の層上に配置された第3の層であって、第2の層に対して光学的に結合された第3の層と、備え得る。ODMRデバイス200はまた、第1の層に対して電気的に結合されるか又は第1の層に組み込まれるマイクロ波発生器及び位相同期回路(マイクロ波発生器/PLL)220を備え得る。ODMRデバイス100はまた、第3の層に対して光学的に結合されるか又は第3の層に組み込まれる光源270を備え得る。
【0011】
半導体集積回路230は、
図3に示されるように、マイクロ波信号を生成して光検出を行うために複数の金属層を有する半導体集積回路300を備え得る。半導体集積回路300は、マイクロ波信号をNV材料240に伝送するために第1の金属層にマイクロ波アンテナ320を備え得る。例えば、マイクロ波アンテナは、2.87GHz付近の共鳴を伴うコイルループインダクタであり得る。マイクロ波発生器及び位相同期回路(マイクロ波発生器/PLL310)は、マイクロ波アンテナ320に対して電気的に結合され得る。一部の実施形態では、マイクロ波発生器/PLL310は、キャリアPCB210上に存在してマイクロ波アンテナ320と電気通信するデバイスであり得る。他の実施形態では、マイクロ波発生器/PLL310は、キャリアPCB210上に存在するデバイスではなく、半導体集積回路300内の1つ以上の金属層に存在し得る。マイクロ波発生器/PLL310は、2.87GHz付近のマイクロ波信号を生成し得る。
【0012】
半導体集積回路300はまた、NV材料240から蛍光を検出する光検出器330を備え得る。例えば、光検出器は、(例えば、シリコンフォトダイオードによって提供され得るように)400nmと1100nmとの間の蛍光を検出するように構成され得る。一部の実施形態では、色中心の蛍光に起因しない光信号を除去するために、半導体集積回路300上で又は半導体集積回路300内で光学フィルタが適用され得る。例えば、光学フィルタは、(例えば、575nm~800nmを通過させるように構成されたバンドパスフィルタを介して、637nmを中心とした80nmの帯域幅でのバンドパスフィルタを介して)色中心の蛍光に起因するある範囲の光が光検出器330に達するのを可能にしつつ、(例えば、532nmでの)緑色光が光検出器330に達するのを抑制し得る。一部の実施形態では、磁気バイアスをNV材料240に提供するために、以下に記載されるように半導体集積回路300上で又は半導体集積回路300内で永久磁石が適用され得る。
【0013】
図4に示されるように、NV材料240は、複数の色中心を備える固体状態のホスト400を備え得る。例えば、固体状態のホスト400は、窒素空孔欠陥が内部に分散された形態であるNV中心420を有するダイヤモンド結晶格子を備えるNV材料410の形態を取り得る。例えば、NV材料は、プラズマ合成の結果として生成される単一置換の窒素トラップ空孔をわずかに有し得るダイヤモンドを形成するために化学気相堆積の使用によって形成され得る。一部の実施形態では、NV材料内のNV中心の存在を増大させるために、高エネルギー粒子による照射及びアニーリングも使用され得る。NV材料410の一部の実施形態では、色中心基板の一部は、増大した色中心密度を有し得るか、又は特定の色中心方位を有し得る。
【0014】
フォトニック集積回路500は、
図5に示されるように、光源とNV材料240との間で統合光路を提供するために光の伝送、変調、及び分散の層を備え得る。例えば、フォトニック集積回路500は、可視光電力の低損失伝送を可能にする、材料内に実装されたフォトニック集積回路導波路などを介して光源530に対して光学的に結合され得る。光源530は、ある周波数で光(例えば、RSOAによって生成される532nm)を生成してNV中心を蛍光に励起するレーザであり得る。一部の実施形態では、光源530は、ファイバ/ボール補助カップリング、直接エッジ結合、又はレーザチップ間の統合によりフォトニック集積回路500に結合されたレーザを備え得る。次いで、フォトニック集積回路500は、導波路を介してレーザから光変調器520に光信号を伝え得る。光源530はまた、ファブリ・ペローシステムを介して実装されたレーザゲインチップであり得る。ゲインチップの材料は、短波長の可視光を出す、GaN、InP、InAlGaAs、GaAs、又は任意の他の組み合わせなどの複合III-V材料であり得る。
【0015】
導波路又は他の光学的構成要素に関して、従来のシリコン導波路は、1100nm未満の光を吸収する。したがって、フォトニック集積回路500は、光変調器520及び回折格子510を通じて光源530からNV材料240に、光信号、例えば、532nmのものを伝送するために、1000nm未満の光の伝送を可能にする材料、例えば、窒化ケイ素又は炭化ケイ素を使用し得る。
【0016】
光変調器520は、マッハツェンダの変調器又はリング共振器の変調器などの光変調器を備え得る。例えば、
図6に示されるように、レーザ630は、マッハツェンダの変調器620に対して光学的に結合されており、次いで、更にマッハツェンダの変調器620は、回折格子610に対して光学的に結合されている。加えて、マッハツェンダの変調器620は、電子制御バス640によって電子的に制御され得る。一部の実施形態では、電子制御バス640は、半導体集積回路300に存在し、フォトニック層に対して、更にそこでマッハツェンダの変調器620に対して電気的に結合され得る。(例えば、電子制御バス640によって生成されるような)1つ以上の制御信号に基づいて、マッハツェンダの変調器620は、回折格子610の1つ以上の部材の出力強度を調整し得る。そのような回折格子のピッチ間隔は、色中心基板への直接コヒーレント放射を可能にするように構成され得る。回折格子はまた、色中心密度が増大しているか又は色中心方位が入念に制御されている色中心基板の一部に対して整列されるように構成され得る。このようにして、フォトニック集積回路500は、光信号をNV材料240に印加することだけでなく、更に、NV材料240中の様々な場所に対して光信号の強度の調整を提供することも可能にし得る。
【0017】
別の例として、
図7に示されるように、レーザ730は、リング共振器の変調器720に対して光学的に結合されており、次いで、更にリング共振器の変調器720は、回折格子710に対して光学的に結合されている。加えて、リング共振器の変調器720は、マトリクス電子制御バス740によって電子的に制御され得る。一部の実施形態では、マトリクス電子制御バス740は、半導体集積回路300に存在し、フォトニック層に対して、更にそこでリング共振器の変調器720に対して電気的に結合され得る。(例えば、マトリクス電子制御バス740によって生成されるような)1つ以上の制御信号に基づいて、リング共振器の変調器720は、回折格子710の1つ以上の部材の出力強度を調整し得る。このようにして、フォトニック集積回路500は、光信号をNV材料240に印加することだけでなく、更に、NV材料240中の様々な場所に対して光信号の強度の調整を提供することも可能にし得る。
【0018】
様々な実施形態では、フォトニック集積回路500はまた、液晶技術、ひずみベースの技術、熱光学技術、又は当該技術分野で既知の電気光学技術などの光変調器520に関する他の手法を使用し得る。また、様々な実施形態では、フォトニック集積回路500は、回折格子510に関して、当該技術分野で既知の任意の回折格子を使用し得る。
【0019】
図8を参照すると、半導体集積回路230を実装するために使用され得る半導体集積回路800の例が示されており、マイクロ発生器/PLL810、マイクロ波アンテナ820、及び光検出器830に加えて、永久磁石840が更に組み込まれている。
図9に示されるように、低磁気強度での磁場の測定値は、小さい反応勾配を有する場合があり、したがって、そのような磁場の小さい変化を正確に評価することは困難であり得る。したがって、一部の実施形態では、NV材料240中に静磁場を作用させるために永久磁石が使用され得る。一部の実施形態では、磁場源として半導体集積回路230に電磁コイル(図示せず)が更に組み込まれ得る。そのような実施形態では、電磁コイルは、電気ビアと組み合わせて標準的な多層トレース技術を使用して形成され得る。いずれの実施形態も、永久磁石又は電磁コイルによって生成される静磁場は、磁気バイアスを提供して、ODMR反応曲線のより大きい勾配のエリア内で、低強度での磁場の小さい変化を測定することを可能にし得る。一部の実施形態では、永久磁石又は電磁コイルは、本明細書に記載されるように磁気バイアスを提供するためにキャリアPCB210において実装され得る。
【0020】
詳細な実施形態が本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は単なる例として意図されることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的な詳細は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲に対する根拠として、及び実質的に任意の適切な詳細構造で本明細書の態様を種々に採用するように当業者に教示する代表的な根拠として解釈されるべきである。更に、本明細書で使用される用語及びフレーズは、限定的であるように意図されるのではなく、むしろ、可能性のある実装の理解可能な説明を提供するように意図される。様々な実施形態が
図1~
図9に示されているが、当該実施形態は、図示された構造又は用途に限定されない。
【0021】
本明細書において、「第1」又は「第2」などの名称は、任意のものであって、優先度又は重要性を意味していない。むしろ、それらは、同じタイプの複数の要素(例えば、導波路のセット、温度のセット、屈折率のセットなど)の中で特定の要素を指すために使用される。
【0022】
本明細書で使用される用語「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、1つ又は1つよりも多いものとして定義される。本明細書で使用される用語「複数」は、2つ又は2つよりも多いものとして定義される。本明細書で使用される用語「別の」は、少なくとも第2の又はより多くのものとして定義される。本明細書で使用される用語「含む」及び/又は「有する」は、備える(comprising)(すなわち、オープンランゲージ)として定義される。本明細書で使用されるフレーズ「~及び~のうちの少なくとも1つ」は、関連付けられた列挙事項のうちの1つ以上の任意の全ての可能性のある組み合わせを指し、当該組み合わせを包含する。一例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」というフレーズは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、AB、AC、BC、若しくはABC)を含む。
【0023】
本明細書で使用される「させる」又は「させること」は、直接的又は間接的な方法のいずれかで、ある事象若しくは動作を、起こさせる、起こすように命令する、起こすように指示する、及び/若しくは当該事象若しくは動作が起こるのを可能にするか、又は当該事象若しくは動作を、少なくともこのような事象若しくは動作が起き得る状態になるように、させる、命令する、指示する、及び/若しくは当該事象若しくは動作が少なくとも当該状態になるのを可能にすることを意味する。
【0024】
本明細書における態様は、趣旨又はその本質的属性から逸脱することなく他の形態で具現化され得る。したがって、ここでの範囲を示すものとして、以上の明細書ではなく以下の特許請求の範囲を参照すべきである。
【外国語明細書】