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特開2024-139744プラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイ、半導体装置、無線通信装置、ディスプレイ、センサ制御装置、フレキシブルデバイスおよびプラグラマブル論理ゲートセルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139744
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】プラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイ、半導体装置、無線通信装置、ディスプレイ、センサ制御装置、フレキシブルデバイスおよびプラグラマブル論理ゲートセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20241002BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20241002BHJP
   H10K 10/46 20230101ALI20241002BHJP
   H03K 19/17724 20200101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L21/82 A
H01L29/78 613A
H01L29/78 618B
H01L29/78 619A
H01L29/78 618A
H01L27/092 B
H10K10/46
H03K19/17724
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024046787
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2023050359
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 健太
(72)【発明者】
【氏名】堀井 新司
【テーマコード(参考)】
5F048
5F064
5F110
5J042
【Fターム(参考)】
5F048AA09
5F048AB03
5F048AB04
5F048AB05
5F048AC03
5F048BA16
5F048BD01
5F048BF07
5F064AA04
5F064BB02
5F064BB03
5F064BB04
5F064BB05
5F064BB06
5F064BB07
5F064BB19
5F064BB26
5F064CC12
5F064CC21
5F064CC25
5F064FF04
5F064FF24
5F064FF29
5F064FF34
5F064FF52
5F064FF60
5F064GG10
5F110AA16
5F110BB04
5F110CC01
5F110CC03
5F110CC05
5F110CC07
5F110DD01
5F110DD02
5F110DD05
5F110EE01
5F110EE02
5F110EE03
5F110EE04
5F110EE07
5F110EE09
5F110EE14
5F110FF01
5F110FF02
5F110FF27
5F110GG01
5F110GG05
5F110GG42
5F110GG51
5F110HK01
5F110HK02
5F110HK03
5F110HK04
5F110HK07
5F110HK09
5F110HK21
5F110NN05
5F110NN27
5F110NN71
5F110QQ06
5J042BA09
5J042BA11
5J042CA21
5J042DA01
(57)【要約】
【課題】LUTや大規模セレクタ等を用いる場合と比べて小さい回路規模で、フォトマスクや製造プロセス工程を増やすことなく、製造工程中に容易に論理回路構成の変更を実現可能なプラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイ、半導体装置、無線通信装置、ディスプレイ、センサ制御装置、フレキシブルデバイスおよびプラグラマブル論理ゲートセルの製造方法を提供する。
【解決手段】プラグラマブル論理ゲートセルは、p型TFT構造対とn型TFT構造対を有し、p型TFT構造対およびn型TFT構造対は、1つのゲート電極と、1つのドレイン電極と、1つのソース電極と、ゲート電極とソースおよびドレイン電極を絶縁するゲート絶縁膜と、を備え、p型TFT構造対またはn型TFT構造対の、少なくとも1つに半導体層が形成される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の入力端子と、少なくとも1個の出力端子を有するプラグラマブル論理ゲートセルであって、
少なくとも入力端子の個数分のp型TFT構造が直列接続されたp型直列TFT構造対と、
少なくとも入力端子の個数分のp型TFT構造が並列接続されたp型並列TFT構造対と、が並列に接続されたp型TFT構造対と、
少なくとも入力端子の個数分のn型TFT構造が直列接続されたn型直列TFT構造対と、
少なくとも入力端子の個数分のn型TFT構造が並列接続されたn型並列TFT構造対と、が並列に接続されたn型TFT構造対と、
を備え、
前記p型TFT構造対と前記n型TFT構造対が、相補的に接続され、
相補的に接続された前記p型TFT構造対と前記n型TFT構造対の双方に接続された電極は、
出力端子に接続され、
前記p型TFT構造および前記n型TFT構造は、
少なくとも1つのゲート電極と、少なくとも1つのドレイン電極と、少なくとも1つのソース電極と、ゲート電極とソースおよびドレイン電極を絶縁するゲート絶縁膜と、を備え、
前記p型TFT構造対または前記n型TFT構造対の、少なくとも1つに半導体層が形成され、
各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、論理回路の機能を有することを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセル。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグラマブル論理ゲートセルであって、
前記論理回路の機能は、
NANDゲート、NORゲートおよび入力端子のうち1つを入力とするインバータのいずれかから選ばれてなることを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセル。
【請求項3】
請求項2に記載のプラグラマブル論理ゲートセルであって、
前記p型TFT構造対に、
ゲート電極を低電位配線に接続したp型TFT構造が並列接続され、
前記n型TFT構造対に、
ゲート電極を高電位配線に接続したn型TFT構造を並列接続され、
各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、論理回路の機能がNANDゲート、NORゲート、入力端子のうち1つを入力とするインバータ、HレベルおよびLレベルのいずれかから選ばれてなることを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセル。
【請求項4】
請求項2または3に記載のプラグラマブル論理ゲートセルであって、
当該プラグラマブル論理ゲートセルの出力端子のうち、1つ以上に、バッファ型TFT構造対、トランスミッションゲート型TFT構造対および双方向ダイオード接続型TFT構造対、から選ばれる少なくとも1つのTFT構造対と、少なくとも1つのインバータ型TFT構造対と、が並列に接続され、
前記インバータ型TFT構造対は、
p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、奇数個直列に接続されたものであり、
前記バッファ型TFT構造対は、
p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、偶数個直列に接続されたものであり、
前記トランスミッションゲート型TFT構造対は、
p型TFT構造のゲートが低電位配線に、n型TFT構造のゲートが高電位配線にそれぞれ接続され、p型TFT構造とn型TFT構造のソース電極同士およびドレイン電極同士がそれぞれ接続されたものであり、
前記双方向ダイオード接続型TFT構造対は、
少なくとも2個のp型ダイオード接続TFT構造もしくはn型ダイオード接続TFT構造を備え、そのうち少なくとも2つのダイオード接続TFT構造において、アノードとカソードが、それぞれ逆向きに接続され、
前記p型ダイオード接続TFT構造は、
p型TFT構造のソース電極がアノード、ゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がカソード、であり、
前記n型ダイオード接続TFT構造は、n型TFT構造のゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がアノード、ソース電極がカソードであり、
前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対の論理出力端子は、いずれも第2の出力端子に接続され、
前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対のうち、いずれか1つのTFT構造対にp型半導体層およびn型半導体層が形成され、
各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、前記第2の出力端子に現れる論理回路の機能がインバータ、バッファ、NANDゲート、NORゲート、ANDゲート、ORゲート、HレベルおよびLレベルのいずれかから選ばれてなることを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセル。
【請求項5】
請求項1に記載のプラグラマブル論理ゲートセルであって、
前記半導体層に、
有機半導体材料、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェンおよびナノダイヤモンドから選ばれる1つ以上の半導体材料を含む、ことを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセル。
【請求項6】
請求項5に記載のプラグラマブル論理ゲートセルであって、
前記半導体層に、
カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体を含有する、ことを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセル。
【請求項7】
請求項5に記載のプラグラマブル論理ゲートセルであって、
前記n型TFT構造対のうち、少なくとも前記半導体層が形成されるn型TFTの全てに、リン原子、ヒ素原子および窒素原子から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する第2絶縁層を有する、ことを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセル。
【請求項8】
請求項1に記載のプラグラマブル論理ゲートセルを複数個備えたプラグラマブル論理ゲートアレイであって、
少なくとも1つのプラグラマブル論理ゲートセルの出力端子に電気的に接続される出力配線と、
2つ以上のプラグラマブル論理ゲートセルの入力端子に電気的に接続される入力配線と、
を有し、
前記出力配線と前記入力配線の接続部に、各々少なくとも1つの配線切替用TFT構造対を備え、
前記配線切替用TFT構造対は、
インバータ型TFT構造対、バッファ型TFT構造対、トランスミッションゲート型TFT構造対または双方向ダイオード接続型TFT構造対から選ばれるTFT構造対であり、
前記インバータ型TFT構造対は、
p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、奇数個直列に接続されたものであり、
前記バッファ型TFT構造対は、
p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、偶数個直列に接続されたものであり、
前記トランスミッションゲート型TFT構造対は、
p型TFT構造のゲートが低電位配線に、n型TFT構造のゲートが高電位配線にそれぞれ接続され、p型TFT構造とn型TFT構造のソース電極同士およびドレイン電極同士がそれぞれ接続されたものであり、
前記双方向ダイオード接続型TFT構造対は、
少なくとも2個のp型ダイオード接続TFT構造もしくはn型ダイオード接続TFT構造を備え、そのうち少なくとも2つのダイオード接続TFT構造において、アノードとカソードが、それぞれ逆向きに接続され、
前記p型ダイオード接続TFT構造は、
p型TFT構造のソース電極がアノード、ゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がカソード、であり、
前記n型ダイオード接続TFT構造は、n型TFT構造のゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がアノード、ソース電極がカソードであり、
前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対の論理出力端子は、いずれも第2の出力端子に接続され、
前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対のうち、いずれか1つのTFT構造対にp型半導体層およびn型半導体層が形成され、
各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、前記第2の出力端子に現れる論理回路の機能がインバータ、バッファ、NANDゲート、NORゲート、ANDゲート、ORゲート、HレベルおよびLレベルのいずれかから選ばれてなり、
前記配線切替用TFT構造対のうち、少なくとも1つの配線接続部に、前記p型半導体層と前記n型半導体層が形成されることを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートアレイ。
【請求項9】
請求項1に記載のプラグラマブル論理ゲートセルを少なくとも1つと、
制御回路と、
を備えることを特徴とする、
半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載のプラグラマブル論理ゲートセルを少なくとも1つ含む制御回路を備えたことを特徴とする、
半導体装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の半導体装置と、
アンテナと、
を備えることを特徴とする、
無線通信装置。
【請求項12】
請求項9または10に記載の半導体装置と、
TFTアレイを有する制御回路と、
を備えることを特徴とする、
ディスプレイ。
【請求項13】
請求項9または10に記載の半導体装置と、
センサ信号処理回路を有する制御回路と、
を備えることを特徴とする、
センサ制御装置。
【請求項14】
請求項9または10に記載の半導体装置と、
柔軟性を有する基板と、
を備え、
前記半導体装置は、
前記基板上に形成されてなることを特徴とする、
フレキシブルデバイス。
【請求項15】
請求項1に記載のプラグラマブル論理ゲートセルの製造方法であって、
半導体層を、インクジェット法、ディスペンサ法、ドロップキャスト法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、グラビア印刷、フレキソ印刷およびオフセット印刷から選ばれる塗布法により形成する、
ことを特徴とする、
プラグラマブル論理ゲートセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイ、半導体装置、無線通信装置、ディスプレイ、センサ制御装置、フレキシブルデバイスおよびプラグラマブル論理ゲートセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の製造方法では、低コスト、大面積、フレキシブル、ベンダブルな電子機器の実現を目指して、インクジェット技術やスクリーン印刷等の塗布・印刷技術を用いた技術が注目されている。そして、そのような塗布・印刷技術が適用できる半導体材料として、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェンおよび有機半導体等の研究や開発が盛んに行われている。電子機器としては、例えば、ディスプレイやセンサ、RFID(Radio Frequency IDentification)等の無線通信装置が挙げられ、それらの制御回路やICチップ内の駆動回路等に半導体素子が使用される。
【0003】
一般に、それらの装置は、半導体層に結晶Si(シリコン)を用いたLSI(Large Scall Integration)が広く使用されている。また、それらの装置は、化合物半導体、ポリシリコンまたはアモルファスシリコン等の無機材料も使われる。これらの無機材料は、シリコンウエハやサファイヤウェハ、ガラス基材等、硬度の高い基材の上にトランジスタを形成する。トランジスタの製造には、真空プロセスが適用され、1枚の基板から取れるダイの数を集積化によって高めることでコストダウンを行う。
【0004】
1枚の基板の集積度を高めることは、本質的に同一設計のダイを多数生産するということを意味するが、一方で社会ニーズとしてはアプリケーションや価値の多様化により、少量多品種の要望が年々増加している。
【0005】
多品種生産の観点では、SiベースのLSI設計において、あらかじめダミー素子や回路セルを冗長に配置し、配線を切り替えることで品種変更や、回路修正が行われることが一般的である。この場合、配線層の1層あるいは数層を変更したマスクを作製し、配線層形成時にマスクを差し替えてウエハの製造を行う。
【0006】
また、1970年代後半からはPLA(Programmable Logic Array)と呼ばれる、AND-ORアレイ構造のゲートでヒューズをカットする方法や、それを発展させたゲートアレイが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。特に、FPGA(Field Programmable Gate Array)やCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のSRAM(Static Random Access Memory)とLUT(Look Up Table)を複合したデバイスは、書き換え可能なゲートアレイを実現しており、家電製品やプロトタイピング、製品の動作検証等に広く使用されている。
【0007】
一方、塗布・印刷技術を用いた回路においては、半導体そのものを塗布工程により位置選択的に形成できることから、半導体層の有無によりメモリの状態を定めるメモリセル、メモリアレイが開示されている(例えば、特許文献2または特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭59―048574号公報
【特許文献2】特許第6350757号公報
【特許文献3】特開2022-151732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的に、広く利用されている集積回路は、Siや化合物半導体等の無機物を半導体層としており、そのほとんどが真空プロセスや写真技術を応用したフォトプロセスを用いて製造されている。これらのプロセスでは、製品の設計毎にフォトマスクが大量に必要となり、少量多品種の製造には向いていない。例えば、従来のプロセスでは、配線変更で品種を変える場合でも、フォトマスクの変更が必要となる。また、1枚のウエハの中に多品種を作り込む場合もあるが、その数量はフォトマスク上のレイアウトに依存するため、品種毎の数量をコントロールすることは難しい。
【0010】
特許文献1に記載の技術やFPGAによる回路変更は、いずれもSiベースのLSIで実施されているものであり、数量を多く作ることでコストダウンを図れるが、LSIチップ自体の少数多品種には向いていない。FPGAやCPLDは、汎用性には優れるが、冗長度合いが非常に高く、チップ面積が大きくなるうえ、集積度も高く、そのため消費電力も高くなりやすい。
【0011】
従って、低コスト製品にFPGAやCPLDを適用することは、コストやエネルギー消費量の点からも現実的ではない。また、PLA等のゲートアレイを回路中に組み込むことは、少量多品種製造に有用であるものの、Si等の結晶系で形成される半導体では、回路セル(例えばスタンダードセル等)そのものを冗長に配置することとなり、消費電力増加等の悪影響も発生する。
【0012】
また、現在RFIDタグなどの無線通信装置に用いられる集積回路は、そのほとんどがSiや化合物半導体等の無機物を半導体層としており、前述の理由から少量多品種の製造には向いていない。LSIを低コストで実現するためには同一製品を大ロットで製造する必要があり、数量とコストがトレードオフの関係になっていることが、社会的ニーズの大きい低コストRFIDタグを小ロットで実現することの障壁となっている。
【0013】
特許文献2、および特許文献3に記載の技術は、塗布型回路の利点を生かし、不揮発性のROMを半導体層の有無で実現するものである。これらの構成は、ROMとしては低価格かつ柔軟性に優れるものであるが、ROMによってできる製品品種の変更が非常に限定されたものに留まり、少量多品種を実現することは困難であった。
【0014】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、LUTや大規模セレクタ等を用いる場合と比べて小さい回路規模で、フォトマスクや製造プロセス工程を増やすことなく、製造工程中で容易に論理回路構成の変更を実現することができるとともに、比較的安価に少量多品種なプラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイ、半導体装置、無線通信装置、ディスプレイ、センサ制御装置、フレキシブルデバイスおよびプラグラマブル論理ゲートセルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[1]少なくとも2個の入力端子と、少なくとも1個の出力端子を有するプラグラマブル論理ゲートセルであって、少なくとも入力端子の個数分のp型TFT構造が直列接続されたp型直列TFT構造対と、少なくとも入力端子の個数分のp型TFT構造が並列接続されたp型並列TFT構造対と、が並列に接続されたp型TFT構造対と、少なくとも入力端子の個数分のn型TFT構造が直列接続されたn型直列TFT構造対と、少なくとも入力端子の個数分のn型TFT構造が並列接続されたn型並列TFT構造対と、が並列に接続されたn型TFT構造対と、を備え、前記p型TFT構造対と前記n型TFT構造対が、相補的に接続され、相補的に接続された前記p型TFT構造対と前記n型TFT構造対の双方に接続された電極は、出力端子に接続され、前記p型TFT構造および前記n型TFT構造は、少なくとも1つのゲート電極と、少なくとも1つのドレイン電極と、少なくとも1つのソース電極と、ゲート電極とソースおよびドレイン電極を絶縁するゲート絶縁膜と、を備え、前記p型TFT構造対または前記n型TFT構造対の、少なくとも1つに半導体層が形成され、各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、論理回路の機能を有することを特徴とする、プラグラマブル論理ゲートセル。
【0016】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[2]前記論理回路の機能がNANDゲート、NORゲートおよび入力端子のうち1つを入力とするインバータのいずれかから選ばれてなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[3]上記[2]に係る発明において、前記p型TFT構造対に、ゲート電極を低電位配線に接続したp型TFT構造が並列接続され、前記n型TFT構造対に、高電位配線に接続したn型TFT構造を並列接続され、各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、論理回路の機能がNANDゲート、NORゲート、入力端子のうち1つを入力とするインバータ、HレベルおよびLレベルのいずれかから選ばれてなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[4]上記[2]または[3]に係る発明において、当該プラグラマブル論理ゲートセルの出力端子のうち、1つ以上に、バッファ型TFT構造対、トランスミッションゲート型TFT構造対および双方向ダイオード接続型TFT構造対、から選ばれる少なくとも1つのTFT構造対と、少なくとも1つのインバータ型TFT構造対と、が並列に接続され、前記インバータ型TFT構造対は、p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、奇数個直列に接続されたものであり、前記バッファ型TFT構造対は、p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、偶数個直列に接続されたものであり、前記トランスミッションゲート型TFT構造対は、p型TFT構造のゲートが低電位配線に、n型TFT構造のゲートが高電位配線にそれぞれ接続され、p型TFT構造とn型TFT構造のソース電極同士およびドレイン電極同士がそれぞれ接続されたものであり、前記双方向ダイオード接続型TFT構造対は、少なくとも2個のp型ダイオード接続TFT構造もしくはn型ダイオード接続TFT構造を備え、そのうち少なくとも2つのダイオード接続TFT構造において、アノードとカソードが、それぞれ逆向きに接続され、前記p型ダイオード接続TFT構造は、p型TFT構造のソース電極がアノード、ゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がカソード、であり、前記n型ダイオード接続TFT構造は、n型TFT構造のゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がアノード、ソース電極がカソードであり、前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対の論理出力端子は、いずれも第2の出力端子に接続され、前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対のうち、いずれか1つのTFT構造対にp型半導体層およびn型半導体層が形成され、各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、前記第2の出力端子に現れる論理回路の機能がインバータ、バッファ、NANDゲート、NORゲート、ANDゲート、ORゲート、HレベルおよびLレベルのいずれかから選ばれてなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[5]上記[1]~[4]のいずれか一つに係る発明において、前記半導体層に、有機半導体材料、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェンおよびナノダイヤモンドから選ばれる1つ以上の半導体材料を含む、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[6]上記[1]~[5]のいずれか一つに係る発明において、前記半導体層に、カーボンナノチューブの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したカーボンナノチューブ複合体を含有する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[7]上記[5]または[6]に係る発明において、前記n型TFT構造対のうち、少なくとも前記半導体層が形成されるn型TFTの全てに、リン原子、ヒ素原子および窒素原子から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する第2絶縁層を有する、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートアレイは、[8]上記[1]に記載のプラグラマブル論理ゲートセルを複数個備えたプラグラマブル論理ゲートアレイであって、少なくとも1つのプラグラマブル論理ゲートセルの出力端子に電気的に接続される出力配線と、2つ以上のプラグラマブル論理ゲートセルの入力端子に電気的に接続される入力配線と、を有し、前記出力配線と前記入力配線の接続部に、各々少なくとも1つの配線切替用TFT構造対を備え、前記配線切替用TFT構造対は、インバータ型TFT構造対、バッファ型TFT構造対、トランスミッションゲート型TFT構造対または双方向ダイオード接続型TFT構造対から選ばれるTFT構造対であり、前記インバータ型TFT構造対は、p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、奇数個直列に接続されたものであり、前記バッファ型TFT構造対は、p型TFT構造とn型TFT構造がそれぞれ1つ以上相補的に接続された構成が、偶数個直列に接続されたものであり、前記トランスミッションゲート型TFT構造対は、p型TFT構造のゲートが低電位配線に、n型TFT構造のゲートが高電位配線にそれぞれ接続され、p型TFT構造とn型TFT構造のソース電極同士およびドレイン電極同士がそれぞれ接続されたものであり、前記双方向ダイオード接続型TFT構造対は、少なくとも2個のp型ダイオード接続TFT構造もしくはn型ダイオード接続TFT構造を備え、そのうち少なくとも2つのダイオード接続TFT構造において、アノードとカソードが、それぞれ逆向きに接続され、前記p型ダイオード接続TFT構造は、p型TFT構造のソース電極がアノード、ゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がカソード、であり、前記n型ダイオード接続TFT構造は、n型TFT構造のゲート電極とドレイン電極を電気的に接続した端子がアノード、ソース電極がカソードであり、前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対の論理出力端子は、いずれも第2の出力端子に接続され、前記インバータ型TFT構造対、前記バッファ型TFT構造対または前記トランスミッションゲート型TFT構造対または前記双方向ダイオード接続型TFT構造対のうち、いずれか1つのTFT構造対にp型半導体層およびn型半導体層が形成され、各TFT構造の半導体層の形成箇所によって、前記第2の出力端子に現れる論理回路の機能がインバータ、バッファ、NANDゲート、NORゲート、ANDゲート、ORゲート、HレベルおよびLレベルのいずれかから選ばれてなり、前記配線切替用TFT構造対のうち、少なくとも1つの配線接続部に、前記p型半導体層と前記n型半導体層が形成されることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る半導体装置は、[9]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載のプラグラマブル論理ゲートセルを少なくとも1つと、制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る半導体装置は、[10]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載のプラグラマブル論理ゲートセルを少なくとも1つ含む制御回路を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る無線通信装置は、[11]上記[9]または[10]に係る半導体装置と、アンテナと、を備えることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係るディスプレイは、[12]上記[9]または[10]に係る半導体装置と、TFTアレイを有する制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係るセンサ制御装置は、[13]上記[9]または[10]に係る半導体装置と、センサ信号処理回路を有する制御回路と、を備えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係るフレキシブルデバイスは、[14]上記[9]または[10]に係る半導体装置と、柔軟性を有する基板と、を備え、前記半導体装置は、前記基板上に形成されてなることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係るプラグラマブル論理ゲートセルは、[15]上記[1]に係るプラグラマブル論理ゲートセルの製造方法であって、半導体層を、インクジェット法、ディスペンサ法、ドロップキャスト法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、グラビア印刷、フレキソ印刷およびオフセット印刷から選ばれる塗布法により形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、追加マスクやプロセス変更がなく、短TAT(Turn Around Time)で回路の異なる製品を実現できるとともに、少量多品種なものを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A図1Aは、本発明の実施の形態1に係るプラグラマブル論理ゲートセルを示す概略鳥瞰図である。
図1B図1Bは、図1Aの等価回路図である。
図2A図2Aは、図1のプラグラマブル論理ゲートセルに含まれるp型TFT構造の概略鳥観図である。
図2B図2Bは、図1のプラグラマブル論理ゲートセルに含まれるp型TFTの概略鳥観図である。
図2C図2Cは、図1のプラグラマブル論理ゲートセルに含まれるn型TFT構造の概略鳥観図である。
図2D図2Dは、図1のプラグラマブル論理ゲートセルに含まれるn型TFTの概略鳥観図である。
図3A図3Aは、本発明の実施の形態1に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(NANDゲート)との対応を示す等価回路図および論理式である。
図3B図3Bは、本発明の実施の形態1に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(NORゲート)との対応を示す等価回路図および論理式である。
図3C図3Cは、本発明の実施の形態1に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(インバータ(NOTゲート))との対応を示す等価回路図および論理式である。
図3D図3Dは、本発明の実施の形態1に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(インバータ)との対応を示す等価回路図および論理式である。
図4A図4Aは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルを示す概略鳥瞰図である。
図4B図4Bは、図4Aの等価回路図である。
図5A図5Aは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(NANDゲート)との対応を示す等価回路図および論理式である。
図5B図5Bは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(NORゲート)との対応を示す等価回路図および論理式である。
図5C図5Cは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(インバータ)との対応を示す等価回路図および論理式である。
図5D図5Dは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路(インバータ)との対応を示す等価回路図および論理式である。
図5E図5Eは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図5F図5Fは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図6図6は、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの内部ブロック図である。
図7A図7Aは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図7B図7Bは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図8A図8Aは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図8B図8Bは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図9A図9Aは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図9B図9Bは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図9C図9Cは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図9D図9Dは、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセルの一例における半導体形成箇所と、それによって選ばれる論理回路との対応を示す等価回路図および論理式である。
図10図10は、本発明の実施の形態4に係るプラグラマブル論理ゲートアレイの構成を示す概略回路図である。
図11図11は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置および無線通信装置の構成を示す概略図である。
図12図12は、本発明の実施の形態5に含まれるクロック生成回路の一例を示す概略回路図である。
図13図13は、本発明の実施の形態5に含まれる符号化回路の一例を示す概略回路図である。
図14図14は、本発明の実施の形態5に含まれる符号化回路の入出力信号のタイミングチャートの一例である。
図15図15は、本発明の実施の形態6に係るセンサ制御装置を備えるセンサシステムの構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものである。また、本発明は以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。以下において、特に注記のない場合、TFT(Thin Film Transistor)は、薄膜トランジスタのことを意味し、TFT構造とは、TFTと同様の構造から半導体層を除いた構造を意味する。
【0033】
(実施の形態1)
<プラグラマブル論理ゲートセル>
図1Aは、本発明の実施の形態1に係るプラグラマブル論理ゲートセル001を模式的に示した概略鳥瞰図である。図1Bは、図1Aの等価回路図である。ゲート部分に〇が付されているものはp型であることを示す。図1Bにおいて、点線で記載されたp型MOSFETの図記号は、半導体層が形成されないTFT構造を示しており、実線で記載されたn型MOSFETの図記号は、TFT構造に半導体層が形成されたTFTを、それぞれ示している。
【0034】
図1Aおよび図1Bの例では、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)等からなる基材100の上に、8個のTFT構造が形成され、TFT構造のゲート端子、ソース端子、ドレイン端子が電気的配線によって接続されたプラグラマブル論理ゲートセル001が記載されている。これらの8個のTFT構造の一部には、半導体層が形成されてなる。
【0035】
プラグラマブル論理ゲートセル001は、p型直列TFT構造対201、p型並列TFT構造対211、n型直列TFT構造対221およびn型並列TFT構造対231を備える。p型直列TFT構造対201とn型直列TFT構造対221、および、p型並列TFT構造対211とn型並列TFT構造対231は、一般に電源電位等に接続される高電位配線401と、一般的に基準電位等に接続される低電位配線411を挟んで、それぞれ相補的に接続される。図1Aの例では、2つの入力端子301、302と1つの出力端子351がある。
【0036】
入力端子301は、p型直列TFT構造対201、p型並列TFT構造対211、n型直列TFT構造対221、n型並列TFT構造対231のうち、それぞれ一方のTFT構造対のゲート電極に接続される。
【0037】
入力端子302は、p型直列TFT構造対201、p型並列TFT構造対211、n型直列TFT構造対221、n型並列TFT構造対231のうち、それぞれもう一方のTFT構造対のゲート電極に接続されている。
【0038】
出力端子351は、相補的に接続された直列TFT構造対、並列TFT構造対の中点に接続される。
【0039】
本実施の形態1では、p型並列TFT構造対211に含まれるTFT構造にp型半導体層が形成され、またn型直列TFT構造対221に含まれるTFT構造にn型半導体層が形成され、それぞれp型TFT、n型TFTとして機能する。このとき、回路は相補型MOS(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)となる。
【0040】
また、p型直列TFT構造対201に含まれるTFT構造と、n型並列TFT構造対231に含まれるTFT構造には、半導体層は形成されず、それぞれのソース-ドレイン電極間は高抵抗となる。
【0041】
このように半導体層を選択することで、プラグラマブル論理ゲートセル001は、入力端子301をA,入力端子302をB、出力端子351をYとしたとき、
【数1】
の論理をもつNANDゲートとなる。
【0042】
以下、図2A図2Dを参照して、TFT構造およびTFTの構造について説明する。図2A図2Dは、図1Aで示した構造に含まれるp型TFT構造、p型TFT、n型TFT構造、n型TFTをそれぞれ抜き出した概略鳥瞰図である。
【0043】
図2Aのp型TFT構造は、基材100の上に、1つのゲート電極020と、ゲート電極020上に形成されたゲート絶縁膜050と、ゲート絶縁膜050を挟んで、ゲート電極と対向して配置されるソースもしくはドレインとなる2つの電極030、040と、からなる。このときソース電極およびドレイン電極は、それぞれ電極030、040のどちらであっても良い。
【0044】
図2Bのp型TFTは、図2Aのp型TFT構造に追加して、ゲート絶縁膜上に、ソースおよびドレイン電極030、040に跨って、両方に接触するようにp型半導体層060を形成したものである。このように、ゲート電極上にゲート絶縁膜を挟んでp型半導体層が形成されることで、ソース電極-ドレイン電極間にチャネルが形成され、p型TFT素子として機能する。
【0045】
図2Cのn型TFT構造は、基材100の上に、1つのゲート電極021と、ゲート電極021上に形成されたゲート絶縁膜051と、ゲート絶縁膜を挟んで、ゲート電極と対向して配置されるソースもしくはドレインとなる2つの電極031、041と、からなる。このときソース電極、ドレイン電極は、それぞれ電極031、041のどちらであっても良い。
【0046】
図2Dのn型TFTは、図2Cのn型TFT構造に追加して、ゲート絶縁膜051上に、ソースおよびドレイン電極031、041のどちらにも接触するようにn型半導体層061を形成したものである。このように、ゲート電極上にゲート絶縁膜を挟んでn型半導体層が形成されることで、ソース電極-ドレイン電極間にチャネルが形成され、n型TFT素子として機能する。
【0047】
図1Aおよび図2A図2Dでは、p型TFT構造、n型TFT構造および半導体層が形成されたp型TFTおよびn型TFTは、ゲート電極がゲート絶縁層に対して基材側に存在する、いわゆるボトムゲート構造を示したが、所望の特性や効果が得られる限りにおいては、ゲート電極がゲート絶縁層に対して基材と反対側に存在する、いわゆるトップゲート構造でも良い。この場合、ソース電極、ドレイン電極および半導体層は、ゲート絶縁層に対して基材側に存在する。また、同様に、本実施の形態1では、半導体層がソース電極およびドレイン電極に対して基材側で接する、いわゆるボトムコンタクト型の構成を示したが、所望の特性や効果が得られる限りにおいては、半導体層がソース電極およびドレイン電極に対して基材と反対側で接する、いわゆるトップコンタクト型の構成でも良い。
【0048】
また、p型TFT構造、p型TFT、n型TFT構造およびn型TFTの各々は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極およびゲート絶縁層が必ずしも1対である必要がなく、2対以上を並列接続した、いわゆるマルチ構造や、複数のソース/ドレイン電極を共用して構成する、いわゆるフィンガー型構造であってもよい。
【0049】
さらに、p型TFT構造、p型TFT、n型TFT構造およびn型TFTの各々は、ゲート電極が2つのTFTの間で共通であり、かつ複数のソース-ドレイン電極およびチャネルを直列接続した、マルチゲート型であってもよい。
【0050】
なお、図1Aおよび図2A図2Dでは、比較の容易性のためにTFT構造、TFTのチャネル長、チャネル幅や電極幅等を同一のサイズで記載しているが、素子特性や回路の動作目的、その他必要に応じてそれぞれの素子のサイズを任意に調整することもできる。
【0051】
p型直列TFT構造対201においては、高電位配線401と出力端子351の間にあるp型TFT構造の順番は入れ替わってもよい。すなわち、p型直列TFT構造対201では、高電位配線401側にあるp型TFT構造のゲート電極の接続先が入力端子302になり、出力端子351側にあるp型TFT構造のゲート電極の接続先が入力端子301になってもよい。同様に、n型直列TFT構造対221においても、2つのn型TFT構造が入れ替わっても問題ない。これらの直列TFT構造対の接続順は、その出力論理に変化がない限りにおいて、レイアウト上の配線容易性や回路動作速度の調整のために任意の組み合わせとできる。
【0052】
図3A図3Dは、実施の形態1に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体が形成されている箇所を、図1Aおよび図1Bに示す構成から変更した場合に発現する論理ゲートおよびその論理関数式をそれぞれ示したものである。図3A図3Dでは、図1Bと同様に、点線で記載されたp型MOSFETの図記号は、半導体層が形成されないTFT構造を示しており、実線で記載されたn型MOSFETの図記号は、TFT構造に半導体層が形成されたTFTを、それぞれ示している。さらに、論理の分かりやすさのために、図1Bの入力端子301を論理“A”、入力端子302を論理“B”、出力端子351を論理“Y”として記載している。
【0053】
図3Aは、図1Aおよび図2A図2Dに示す構造と等価であり、前述の説明の通り、
【数2】
の論理をもつNANDゲートとなる。
【0054】
ここで、半導体層の形成箇所を図3Bのように変更し、p型直列TFT構造対201とn型並列TFT構造対231にそれぞれp型半導体層とn型半導体層を形成した場合は、
【数3】
の論理をもつNORゲートとなる。
【0055】
同様に、図3Cのように、p型並列TFT構造対211とn型並列TFT構造対231のうち、A入力側にゲート電極が接続されるTFT構造対のみにそれぞれp型半導体層とn型半導体層を形成した場合は、
【数4】
の論理を持つインバータ(NOTゲート)となる。
【0056】
さらに、図3Dのように、p型並列TFT構造対211とn型並列TFT構造対231のうち、B入力側にゲート電極が接続されるTFT構造対のみにそれぞれp型半導体層とn型半導体層を形成した場合は、
【数5】
の論理を持つインバータとなる。
【0057】
このように半導体層の形成箇所を選択することで、入力論理に対する出力論理の論理演算関数、すなわち論理回路を変更することが容易に可能になる。上記の如く、製造中に容易に論理回路が変更できることで、比較的安価に少量多品種の半導体装置を提供することが可能になる。
【0058】
上記のボトムゲート構造、かつボトムコンタクト構造を採用した場合、ソース電極およびドレイン電極の形成までした構造を先行して作製しておくことで、NANDゲート、NORゲートおよびインバータ(入力2種類)から選ばれる論理ゲートが、半導体層を形成する工程のみで実現でき、製品のTATが大幅に短縮できる。また、追加のフォトマスク等を製造する必要がなく、開発コストを抑えることもできる。
【0059】
本実施の形態1においては、例として2入力1出力の回路構成を示したが、入出力端子の数はこれに限定されるものではなく、入力を3個以上に拡張することや、任意の電極から追加の出力端子を取り出しても良い。本実施の形態1においては、入力を3個以上に拡張する場合、p型直列TFT構造対201、n型直列TFT構造対221中におけるTFT構造の直列個数を少なくとも入力端子の増加分だけ増やして、それぞれのゲート端子を入力端子に接続する。同時にp型並列TFT構造対211、n型並列TFT構造対231中におけるTFT構造の並列個数を少なくとも入力端子の増加分だけ増やして、それぞれのゲート端子を入力端子に接続する。上記の如き構成とすることによって、任意の入力数の論理ゲート、例えばNANDゲートおよびNORゲートを構成でき、また各入力のインバータ出力(NOTゲート)も構成することができる。
【0060】
本実施の形態1において、半導体層の材料は特に限定されないが、半導体装置や無線通信装置を安価に実現する観点から、半導体層は、いわゆる塗布・印刷法を用いて形成することが望ましい。さらに、半導体層を形成するために使用される材料の使用量を最小限に抑制するためには、TFT等の素子を形成する部分にのみ半導体層を塗布・印刷することが好ましいことから、インクジェット法、ディスペンサ法、ドロップキャスト法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、グラビア印刷、フレキソ印刷およびオフセット印刷から選ばれる方法を用いることが好ましい。さらに、マスクや印刷版を事前に作製する必要がなく、論理を任意に選択することが容易になるという観点から、インクジェット法、ディスペンサ法、ドロップキャスト法、ノズル塗布法が特に好ましく用いられる。一般的に半導体材料は高純度で、デバイスを構成する材料中では比較的高価であることから、製造時に半導体材料の使用量を最小限に抑えることは、製造コストの低減に有用であり、環境負荷低減や材料調達における地政学的リスクの観点からも好ましい。
【0061】
また、本実施の形態1において、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および配線材料に用いられる材料は、一般的に電極として使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。例えば、酸化錫インジウム(ITO)、金、銀、銅、アルミニウム、白金、ニッケル、鉛、錫、チタン、タングステン、コバルト、カルシウム、ポリシリコン、導電性ポリマー、炭素材料等が挙げられる。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
【0062】
例えば、図2Aのp型TFT構造および図2Bのp型TFTと、図2Cのn型TFT構造および図2Dのn型TFTにおいては、ゲート電極020とゲート電極021、ゲート絶縁膜050とゲート絶縁膜051、ドレインおよびソース電極030、031、040、041は、それぞれ同一の材料であっても良いし、異なっても良い。材料を同一にする場合、製造プロセスは、より簡便になり、製造コストを抑えることができる。このとき、図2Aのp型TFT構造と図2Cのn型TFT構造は、同一の材料構成となる。一方で材料を意図的に変更し、電極の仕事関数絶縁層の誘電率や、半導体-絶縁層表面状態を必要に応じて変化させることで、回路に使用する素子特性の調整を行うことができる。
【0063】
また、ゲート電極020、021や、ドレインおよびソース電極030、040、031、041に使用する電極の種類を異なるものにすることで、p型半導体層とn型半導体層に同一の材料を使うこともできる。この場合、ソースおよびドレインの電極の仕事関数が半導体層のフェルミ準位に対して適切に調整することでp型TFT、n型TFTをそれぞれ形成できる。
【0064】
本実施の形態1では、基材としてPETからなるフィルムを例示したが、基材は、少なくとも電極や素子が配置される面が絶縁されていればいかなる材質のものでもよい。例えば、シリコンウエハ、ガラスおよびポリイミド等が挙げられる。また、基材は、複数の材料が積層されたものであってもよい。なお、ロールツーロール等の安価な製造プロセスへの適用や、フレキシブルデバイスまたはベンダブルデバイス等の曲率を有する装置への適用を踏まえると、基材は、フィルム等のフレキシブル性に優れたものの方が好ましく、さらに絶縁性や保護性等の所望の機能性・特性が確保できる限りにおいては、極力薄いことが好ましい。
【0065】
本実施の形態1において、ゲート絶縁層に含まれる材料は、所望の絶縁性が得られる限りにおいて、特に限定されない。例えば、酸化シリコン、アルミナおよびポリイミド等が挙げられる。ロールツーロール等の安価な製造プロセスへの適用を踏まえ、塗布法や印刷法等に適用可能な材料である方が好ましい。
【0066】
また、本実施の形態1において、p型半導体層060およびn型半導体層061に含まれる材料は、所望の電気的特性が得られ、安価な製造プロセスが適用可能で、加工性に優れる限りにおいては特に限定されない。中でも、半導体層に含まれる材料は、有機半導体材料、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェンおよびナノダイヤモンドから選ばれる1つ以上であることが、高い電気的特性を実現し、且つ塗布による形成が容易となる点で、より好ましい。特に、材料本来の持つキャリア移動度の高さの観点から、CNTが好ましく、CNTの溶媒への分散性を含む塗布形成における材料加工性の観点から、CNT表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNTがいっそう好ましい。
【0067】
また、複数のCNTがネットワーク状に構成されることで、単体のCNTを製造・配置することや複数のCNTを配向させる場合に比べて、電気的特性と製造の簡便さを両立できることから、より好ましい。複数のCNTがネットワーク状に構成される様子は、原子間力顕微鏡(AFM)や透過電子顕微鏡(TEM)、顕微ラマン分光法等の手法を用いて観察することができる。
【0068】
さらに、CNTは、TFTの特性ばらつきを抑制する点、および、複数のチャネル間に跨るリーク電流経路を抑制する点から、半導体型CNTを80重量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは、半導体型CNTを90重量%以上含むことであり、特に好ましくは、半導体型CNTを95重量%以上含むことである。
【0069】
また、p型TFT、n型TFTの特性を調整するために、それぞれの半導体層の上に電気的特性を変化させる第2絶縁層を配置してもよい。特に、導電型をn型とするためには、上記第2絶縁層が、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、オレフィンポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリカーボネート、ビニルアルコール系樹脂、フェノール系樹脂の樹脂と、炭素原子と窒素原子との結合を含む有機化合物と、を含有するものであることが好ましい。
【0070】
また、上記有機化合物は、リン原子、ヒ素原子および窒素原子から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有することが好ましい。より詳細には、有機化合物は、例えば、アミド系化合物、イミド系化合物、ウレア系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、アニリン系化合物、ニトリル系化合物等、窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有することが好ましい。
【0071】
これらの第2絶縁層は、TFT特性を調整する目的においては、p型TFTおよびn型TFTで異なっていてもよく、その場合は、第2絶縁層の中でも組成によって種類が増える場合もある。また、第2絶縁層は複数のp型TFTおよびn型TFTに連続的に形成されてもよく、さらにはp型TFT構造およびn型TFT構造に形成されていてもよい。p型TFT構造およびn型TFT構造上に形成された場合は、その素子特性はチャネルが絶縁状態であるため変化しないが、半導体層の有無によって第2絶縁層を選択的に形成する必要がなくなるため、より簡便あるいは高速な製造プロセスを適用する事ができる。
【0072】
なお、本実施の形態1では、図1Aで示したプラグラマブル論理ゲートセル001中にある8個のTFT構造およびTFTについて、各々のゲート絶縁層が分離されてなる一例を示したが、ゲート絶縁層は複数の素子にまたがって連続的に形成されていてもよい。連続的に形成することで、スピンコート、スリットコート、ロールコート、スクリーン印刷等の安価あるいは高速な一括形成方法が適用できる。
【0073】
(実施の形態2)
図4Aは、本発明の実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセル002を模式的に示した概略鳥瞰図である。図4Bは、図4Aの等価回路図である。図4Bにおいては、図1Bと同様に、点線で記載されたp型MOSFETの図記号は、半導体層が形成されないTFT構造を示しており、実線で記載されたn型MOSFETの図記号は、TFT構造に半導体層が形成されたTFTを、それぞれ示している。
【0074】
実施の形態2で示すプラグラマブル論理ゲートセル002では、プラグラマブル論理ゲートセル001に加えて、1つのp型TFT構造と1つのn型TFT構造が相補的に接続される。それぞれのドレイン電極は、出力端子352に接続される。p型TFT構造のゲート電極は、低電位配線402に、ソース電極は高電位配線401に接続され、n型TFT構造のゲート電極は、高電位配線401に、ソース電極は、低電位配線402に接続される。また、基材100、p型直列TFT構造対201、p型並列TFT構造対211、n型直列TFT構造対221、n型並列TFT構造対231、入力端子301、302、高電位配線401および低電位配線402は、実施の形態1と同様である。
【0075】
図5A図5Fは、実施の形態2に係るプラグラマブル論理ゲートセルの半導体が形成されている箇所を、図4Aおよび図4Bに示す構成から変更した場合に発現する論理ゲートおよびその論理関数式をそれぞれ示したものである。図5A図5Fでは、p型MOSFETおよびn型MOSFETの図記号、入力論理の記号については図3A図3Dと同様であり、出力論理“Y”は図4Aおよび図4Bの出力端子352の論理記号である。
【0076】
図5A図5Dについては、図3A図3Dと同様であり、説明を省略するが、このとき実施の形態2で追加されたp型TFT構造、n型TFT構造には、半導体層が形成されず、ソース-ドレイン間が高抵抗となるため、出力論理には影響ない。
【0077】
図5Eでは、実施の形態2で追加されたTFT構造のうちゲートが低電位配線に接続されたp型TFT構造にのみ半導体層が形成されてp型TFTとなり、それ以外のTFT構造は、半導体層が形成されずソース-ドレイン電極間は高抵抗となる。このように構成することで、ゲートが低電位に接続されたp型TFTは常にON状態となり、出力は“H”レベルに固定される。
【0078】
図5Fでは、実施の形態2で追加されたTFT構造のうちゲートが高電位配線に接続されたn型TFT構造にのみ半導体層が形成されてn型TFTとなり、それ以外のTFT構造は、半導体層が形成されずソース-ドレイン電極間が高抵抗となる。このように構成することで、ゲートが高電位に接続されたn型TFTは、常にON状態となり、出力は“L”レベルに固定される。
【0079】
上記の如き構成とすることで、実施の形態1に示した論理に加え、固定値である“H”レベル(正論理であれば論理“1”)、“L”レベル(正論理であれば論理“0”)の出力を選択することが可能になる。
【0080】
なお、入力端子301、302および出力端子352の個数は、上記した実施の形態2においても実施の形態1で説明した方法と同様に拡張が可能である。
【0081】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係るプラグラマブル論理ゲートセル003を示した回路ブロック図である。実施の形態3では、実施の形態1に記載のプラグラマブル論理ゲートセル001の出力に、インバータ(論理NOT)またはバッファ(論理変化なし)から論理が選ばれる論理選択セル004がカスケード状に接続されている。プラグラマブル論理ゲートセル001の出力端子351(論理“Y”)は、論理選択セル004(論理選択セル)の入力端子と共通である。論理選択セル004の出力端子353は論理“Y2”として記載する。
【0082】
論理選択セル004の構成例について、図7A図7B図8A図8Bおよび図9A図9Dを用いてより詳細に説明する。図7Aおよび図7Bに示す例は、インバータ型TFT構造対と、インバータ型TFT構造対を2段のカスケード状に接続したバッファ型TFT構造対が入力Yと出力Y2に間に並列に接続されている。
【0083】
図7Aの例では、インバータ型TFT構造対にのみ半導体層が形成されてなる。このため、図7Aの例では、出力論理Y2は、入力論理Yの論理反転出力となる。
【0084】
図7Bの例では、バッファ型TFT構造対にのみ半導体層が形成されてなる。このため図7Bの例では、出力論理Y2は、入力論理Yと同論理(非反転出力)となる。
【0085】
図7Aおよび図7Bの例では、インバータ論理を得る構成を、インバータ型TFT構造対1段として示したが、インバータ型TFT構造対を奇数段カスケード接続してもよく、1段の場合と同様に反転論理出力を得ることができる。
【0086】
同様にバッファ型TFT構造対は、インバータ型TFT構造対を2段カスケードとしたもので示したが、インバータ型TFT構造対を偶数段カスケード接続してもよく、2段の場合と同様に非反転論理出力を得ることができる。
【0087】
また、図7Aおよび図7Bでは、非反転論理ゲートを構成するためにインバータ型TFT構造対を2段カスケードとしたが、非反転出力を得るためにトランスミッションゲート型のTFT構造対を用いてもよい。
【0088】
図8Aおよび図8Bの例は、図7Aおよび図7Bのバッファ型TFT構造対をトランスミッションゲート型のTFT構造対に置き換えたものである。トランスミッションゲート型のTFT構造対は、ゲート電極が低電位配線に接続されたp型TFT構造、ゲート電極が高電位配線に接続されたn型TFT構造対がソース電極およびドレイン電極をそれぞれ相互に接続して成る。図8Bのように半導体層が形成された場合は、p型TFTおよびn型TFTがそれぞれON状態となり、トランジスタのON抵抗を持った抵抗素子のようにふるまう。Y2に接続される電気的負荷が十分に小さい場合は、“Y”の出力電位がその
まま“Y2”に現れ、論理バッファと同等に扱うことができる。なお、図8Aに示すようにインバータ型TFT構造対にのみ半導体層が形成される場合は、回路は、図7Aと同様にふるまう。
【0089】
なお、図8Aおよび図8Bでは、非反転論理ゲートを構成するためにトランスミッションゲート型TFT構造対を用いたが、TFTのゲート-ドレイン間を短絡したいわゆるダイオード接続の構造を用いても非反転論理ゲートを構成することができる。より具体的には、図9A図9Dの例に示すように、p型またはn型のダイオード接続構造をアノードおよびカソードがそれぞれ逆向きになるように並列接続した双方向ダイオード接続の回路構成を使用する。このとき、ダイオード接続TFTとして、p型TFTを使用した場合とn型TFTを使用した場合では物理的な構造、すなわちゲート-ドレイン電極とソース電極に対して、電気的にアノード端子とカソード端子が逆向きになるが、その組み合わせはダイオードの逆方向接続を実現できる向きに接続されていればどの組合せを使用しても良い。
【0090】
図9Bには、p型TFT構造対とn型TFT構造対を用いたダイオード接続の等価回路図、図9Cには、p型TFT構造対のみを用いたダイオード接続の等価回路図、図9Dには、n型TFT構造対のみを用いたダイオード接続の等価回路図を示した。
【0091】
上記の如き構成とすることで、入力“Y”と出力“Y2”は、双方向ダイオード、すなわち非線形抵抗素子で接続されたようにふるまい、図8Bの場合のトランスミッションゲート型と同様に、”Y2”に接続される電気的負荷が十分に小さい場合は、“Y”の出力電位がそのまま“Y2”に現れ、論理バッファと同等に扱うことができる。なお、図9Aに示すようにインバータ型TFT構造対にのみ半導体層が形成される場合は、回路は、図7Aと同様にふるまう。
【0092】
図6に示す論理選択セル004に、図7A図7B図8A図8Bおよび図9A図9Dにて示した構成を用いることで、プラグラマブル論理ゲートセル001の出力端子351の“Y”論理を反転、あるいは非反転から選択した上で、出力端子353に“Y2”論理として再生成することができる。すなわち、論理選択セルのNAND、NOR、各入力のNOTに加えて、NAND、NORをそれぞれ反転させたAND、ORの出力も得ることが可能になる。図6では、前段のプラグラマブル論理ゲートセルとして、実施の形態1で示したプラグラマブル論理ゲートセル001を用いた例を示したが、前段のプラグラマブル論理ゲートセルは、実施の形態2で示したプラグラマブル論理ゲートセル002でもよく、さらに実施の形態1、実施の形態2のプラグラマブル論理ゲートセルが複合化したプラグラマブル論理ゲートセルでも良い。また、実施の形態3の構造自体が前段のプラグラマブル論理ゲートセルとなり、後段の論理選択セルが複数個カスケード接続された構造とすることもできる。
【0093】
(実施の形態4)
<プラグラマブル論理ゲートアレイ>
本発明の実施の形態4に係るプラグラマブル論理ゲートアレイは、実施の形態1~3に記載のプラグラマブル論理ゲートセルを複数備え、少なくとも1つ以上プラグラマブル論理ゲートセルの出力端子に接続される配線と、2つ以上のプラグラマブル論理ゲートセルの入力端子接続される配線と、それらの配線の接続部に配線切替用TFT構造対と、を備えるものである。
【0094】
図10は、プラグラマブル論理ゲートセル4個を備えるプラグラマブル論理ゲートアレイの一例を模式的に示した図である。図10に示すプラグラマブル論理ゲートアレイは、前段のプラグラマブル論理ゲートセル005、006と後段のプラグラマブル論理ゲートセル007、008の間に、プラグラマブル論理ゲートセル005の出力端子に接続される出力配線601、602と、プラグラマブル論理ゲートセル006の出力端子に接続される出力配線603、604、さらにプラグラマブル論理ゲートセル007の入力端子に接続される入力配線611、612と、プラグラマブル論理ゲートセル008の入力端子に接続される入力配線613,614をそれぞれ備える。図10に示すプラグラマブル論理ゲートアレイは、各出力配線601~604と各入力配線611~614の間には、配線切替用TFT構造対501~516を備える。
【0095】
配線切替用TFT構造対は、それぞれの配線の接続部にインバータ型TFT構造対、バッファ型TFT構造対、トランスミッションゲート型TFT構造対および双方向ダイオード接続型TFT構造対から選ばれる、少なくとも1つのTFT構造対を含み、接続するそれぞれの配線を論理的に接続したい場合は半導体層を形成し、切断したい場合は半導体層を形成しないことで後段のプラグラマブル論理ゲートセルの入力で使用したい論理を選択することができる。
【0096】
図10の例では、配線切替用TFT構造対501~516として、16個のインバータ型TFT構造対を備える。
【0097】
配線切替用TFT構造対501~504は、出力配線601~604と入力配線611の接続部各々に、それぞれ1つずつ配置される。配線切替用TFT構造対505~508は、出力配線601~604と入力配線612の接続部各々に、それぞれ1つずつ配置される。配線切替用TFT構造対509~512は、出力配線601~604と入力配線613の接続部各々に、それぞれ1つずつ配置される。配線切替用TFT構造対513~516は、出力配線601~604と入力配線614の接続部各々に、それぞれ1つずつ配置される。
【0098】
図10の例では、配線切替用TFT構造対501~516のうち、実線で記載された501、507、509、516に半導体層が形成され、点線で記載された502~506、508、510~515には半導体層が形成されない。
【0099】
上記の如く半導体層を選択することで、配線切替用TFT構造対501によって出力配線601と入力配線611が、配線切替用TFT構造対507によって出力配線603と入力配線612が、配線切替用TFT構造対509によって出力配線601と入力配線613が、配線切替用TFT構造対516によって出力配線604と入力配線614が、それぞれ論理的に接続される。ただし、図10の構成では、配線切替用TFT構造対は、インバータ型であるため、入力配線の論理が各々に接続された出力配線の論理を反転したものとなる。
【0100】
図10の例では、配線切替用TFT構造対501~516にインバータ型TFT配線を使用する例を示したが、上記の通り、配線切替用TFT構造対としてバッファ型TFT構造対、トランスミッションゲート型TFT構造対または双方向ダイオード接続型TFT構造対を使用してもよい。この場合、入力端子の論理は、出力端子の論理と同一になる。また、配線切替用TFT構造対が複数ある場合、それらの種類が必ずしも同一である必要はなく、種類が異なっても良い。また、インバータ型とバッファ型等、複数種類が並列形成された構成を用いてもよく、図7A図7B図8A図8Bおよび図9A図9Dに示した構成を用いることで、配線切替時に論理の反転・非反転を選択することもできる。
【0101】
図10の例では、プラグラマブル論理ゲートセル005~008に、実施の形態1~3のプラグラマブル論理ゲートセルを使用する例を示したが、実施の形態1~3のプラグラマブル論理ゲートセルを含み、所望の機能を満たす限りにおいては、プラグラマブル論理ゲートセル005~008の前後段、すなわちプラグラマブル論理ゲートセルの入出力端子と、入出力配線の間に任意の回路が含まれても良い。例えば、プラグラマブル論理ゲートセル005およびプラグラマブル論理ゲートセル006として、図3に示す実施の形態3のプラグラマブル論理ゲートセル003の出力端子352に、D-フリップフロップを接続し、D-フリップフロップの出力Qと、その論理反転出力であるQBを、出力配線601と出力配線602にそれぞれ接続する等の回路構成としてもよい。この場合、複数のD-フリップフロップのクロック端子を共通クロック配線に接続することで、クロック同期にて動作するプラグラマブル論理ゲートアレイが実現できる。
【0102】
(実施の形態5)
<半導体装置、無線通信装置>
本発明の実施の形態5では、半導体装置を備えた無線通信装置について例示する。本実施の形態に係る半導体装置は、上記のプラグラマブル論理ゲートセルを少なくとも1つと、制御回路を少なくとも1つ備えるものである。この場合、制御回路中にプラグラマブル論理ゲートセルを含んでいてもよく、その限りにおいては、制御回路以外にプラグラマブル論理ゲートセルを独立に含まなくてもよい。また、本実施の形態に係る無線通信装置は、上記のプラグラマブル論理ゲートセルを備える半導体装置と、アンテナと、を備える。
【0103】
図11は、本実施の形態5に係る半導体装置および半導体装置を備えた無線通信装置の一例を模式的に示した図である。半導体装置901は、内部電源電圧の生成や接続先システムとのデータ送受信を担う、電源/入出力回路911と、内部動作クロックを生成するクロック生成回路912と、内部演算や、メモリ制御のタイミング信号生成、ビット列とワード列のデコード、メモリ出力回路の制御信号生成等を担う制御回路913と、固有ID等を記憶し、読出時には記録されたデータを変調回路に受け渡すメモリ914と、出力回路に送信される信号を符号化する符号化回路915と、で構成される。
【0104】
また、無線通信装置1000は、半導体装置901と、アンテナ900と、で構成される。本実施の形態5では、クロック生成回路912と符号化回路915にそれぞれプラグラマブル論理ゲートセルを含む構成を一例として記載する。
【0105】
電源/入出力回路911は、外部電力源から入力された電力から安定した内部電圧を生成するとともに、外部からの制御信号や基準周波数信号を受け付け、内部に記録されたデータやその演算結果を外部回路や外部システムに転送することを可能にする。
【0106】
電源回路は、交流信号を直流信号に変換する整流回路や、直流電圧を回路動作に適した電圧に変換するコンバータ等によって構成される。入力電圧の変動を吸収して安定した電圧を供給するレギュレータが含まれることは回路動作の安定化の観点から好ましい。また、回路構成によっては定電流源のような回路を用いることもできる。さらに、サージ等の高電圧から回路を保護するクランプ回路等の保護回路を用いてもよい。
【0107】
入出力回路は、無線通信形式によって、入力回路としてはコンパレータや各種アンプ、出力側は高周波アンプやバックスキャッタのスイッチ等によって構成される。半導体回路の出力が有線接続の場合は、入力回路は、シングルエンドバッファや差動レシーバ、出力側はシングルエンドドライバや差動トランシーバ等によって構成されてもよい。有線接続のアナログ通信の場合は、コンパレータやアンプを用いることもできる。また、入力回路にAM(Amplitude Modulation)、FM(Frequency Modulation)、ASK(Amplitude-Shift Keying)、PSK(Phase-Shift Keying)等の復調回路や、RZ(Return to Zero)、AMI(Alternate mark inversion)、CMI(Coded Mark Inversion)、マンチェスタ等の復号化回路が含まれてもよい。
【0108】
クロック生成回路912は、内部のタイミング基準信号を生成する機能を有する。クロック生成回路912は、半導体装置901を有線接続で使用し、外部からクロック信号が供給される等、半導体装置901の外部からタイミング信号を利用する場合、必ずしも備える必要はない。本実施の形態5では、クロック生成回路912は、電源/入出力回路911からの電源電圧を受け取り、基準クロック信号を生成する。具体的な例としては、クロック生成回路912は、オシレータ、PLL(Phase Locked Loop)、DLL(Delay Locked Loop)、逓倍器、分周器等のクロック源生成器等が使用される。
【0109】
図12は、実施の形態5に係るクロック生成回路912に、リングオシレータを適用した場合の回路図であり、回路の一部に実施の形態1のプラグラマブル論理ゲートセル009~012を含むものである。
【0110】
図12の例によれば、プラグラマブル論理ゲートセル009、011、012は、図3Cに記載のA入力インバータ、プラグラマブル論理ゲートセル010は、図3Bに記載のB入力インバータとして形成されている。プラグラマブル論理ゲートセル009~012には、出力端子Yの後段にそれぞれ1個のインバータが接続され、出力Yを反転した信号が後段のプラグラマブル論理ゲートセルの入力端子Aに接続される。
【0111】
上記の通り、最後段であるプラグラマブル論理ゲートセル012の出力Yにもインバータが接続されるが、その後段にさらにもう1段のインバータが接続され、その出力配線470は、フィードバック信号として、後段のインバータ2段からなる遅延バッファへ入力される。この出力は、配線471によって、プラグラマブル論理ゲートセル012の入力端子Bへ接続される。
【0112】
配線471は、さらにインバータ2段からなる遅延バッファに接続され、その出力は、配線472によってプラグラマブル論理ゲートセル011の入力端子Bに接続される。同様に、配線472後段の遅延バッファの配線473は、プラグラマブル論理ゲートセル010の入力端子Bに、配線473後段の遅延バッファの配線474は、プラグラマブル論理ゲートセル009の入力端子Bにそれぞれ接続される。配線474には、インバータ2段からなる遅延バッファが2個、すなわちインバータ4段からなる遅延バッファが配置され、その出力がプラグラマブル論理ゲートセル009のA入力に接続される。このような
構成で、インバータ13段によるループ回路を備えたリングオシレータが構成される。なお、フィードバックとして機能する出力配線470は、さらに出力論理を安定させるためのインバータを経て、クロック信号出力である配線480に接続される。
【0113】
図12では、インバータ13段によるループ回路を備えたリングオシレータについて示したが、ここでA入力に対するインバータとして形成されているプラグラマブル論理ゲートセル012をB入力に対するインバータに変更し、さらにB入力に対するインバータとして形成されているプラグラマブル論理ゲートセル010を、A入力に対するインバータに変更した場合、回路はインバータ5段によるループ回路を備えたリングオシレータとなる。同様に、図12に対して、プラグラマブル論理ゲートセル010をA入力に対するインバータに変更した上で、プラグラマブル論理ゲートセル011をB入力に対するインバータに変更した場合は9段、プラグラマブル論理ゲートセル009をB入力に対するインバータに変更した場合は17段のループ回路を備えたリングオシレータとなる。さらに、プラグラマブル論理ゲートセル009~012が全てA入力に対するインバータとして形成される場合は、21段のループ回路を備えたリングオシレータとなる。インバータの段数を変更することで信号がリングオシレータを一周する遅延時間が変化するため、生成されるクロック信号出力の周波数は変化する。
【0114】
このようにして、プラグラマブル論理ゲートセルの内部構成を変更することで、製造時にクロック周波数を調整した回路が容易に製造できるようになる。
【0115】
ここでは遅延素子としてインバータ2段からなる遅延バッファを示したが、遅延素子は、その設計目的を満たすものであれば、どのようなものでも問題なく、さらに多段のインバータや、RC回路等であってもよい。
【0116】
制御回路913は、入力信号や内部で生成した信号を演算し、システムとして所望の機能を実現するための信号処理を行う。制御回路913は、所望の機能を得られる限りにおいてその構成は特に限定されるものではない。制御回路913およびその一部として使用される回路には、カウンタ、デコーダ、フィルタ、マスク回路等のタイミング信号生成器、加算器や乗算器等の演算回路、NAND、NOR、NOTおよびXOR等の論理ゲート回路、設定を一時的に保持するレジスタ等があげられる。また、制御回路913の一部として実施の形態1~3に示したプラグラマブル論理ゲートセルや実施の形態4に示したプラグラマブル論理ゲートアレイを含んでもよく、制御回路913全部が実施の形態4で示したプラグラマブル論理ゲートアレイを使用した回路を使用して構成されていてもよい。
【0117】
メモリ914は、ID等のデータを記録しておく記憶装置およびその読出、書込を制御する回路であって、制御回路913にて生成されたタイミング信号やアドレス信号等を用いて、読出時には内部に記録されたID等のデータを後段の符号化回路915に出力する。記憶装置は読み書きが可能なRAM(Random Access Memory)であってもよいし、あらかじめデータが記録されており、読出のみが可能なROM(Read Only Memory)であってもよい。また、一度だけ書込が可能なOTP(One Time PROM)やe-fuseを使用してもよい。書込が可能である場合、メモリ914は、制御回路913よりデータと書込処理信号を受け取り、内部の記録装置にデータを記録する。メモリの種類は、所望の機能を得られる限りにおいてその構成は特に限定されるものではない。より具体的には、マスクROM、フラッシュメモリ、SRAM、DRAM、FeRAM、MRAM、e-fuse、D-フリップフロップを用いたレジスタアレイやFIFO等を使用することができる。また、特許文献1、特許文献2に記載の塗布型メモリを使用することは、柔軟な基材上に簡便なプロセスで低コストにメモリとプラグラマブル論理ゲートセルを含む半導体装置を作製できる観点から、好ましい。
【0118】
符号化回路915は、制御回路913やメモリ914で生成した出力信号を、通信で使用するために符号化する。符号化の方法は所望の機能を得られる限りにおいてその構成は特に限定されるものではないが、具体的には、NRZ(Non-Return-to-Zero)やRZ(Return-to-Zero)、マンチェスタ符号、差動マンチェスタ符号、MFM(Modified Frequency Modulation)符号、CMI(Coded Mark Inversion)等が一般的に使用される。また、通信信号の変化回数(トグル率)を増やすために4B5B、8b/10bのようなビット列変換や、64b/66b、128b/130bのようなスクランブル処理を含んでもよい。符号化回路915によって符号化された信号は、データの送信のため、出力回路を備える電源/入出力回路911へ出力される。
【0119】
符号化回路915の一部または全部に、本実施の形態1~3に記載のプラグラマブル論理ゲートセルを使用することもできる。図13は、本実施の形態5に係る符号化回路915の一例を回路図で示したものである。図14は、入出力信号のタイミングチャートの一例である。図13の例では、メモリセルから出力された信号を、D-フリップフロップ920でCLK信号に同期し、その出力Qの反転信号であるQBの出力をプラグラマブル論理ゲートセル013の入力端子Aに、さらにCLK信号を入力端子Bに接続した回路である。図13の例では、プラグラマブル論理ゲートセル013は、図3Bに示すNORゲートとして構成されている。図13のような回路構成とすることによって、メモリ出力のデータをクロックの反転信号によってRZに符号化することができる。ここで、プラグラマブル論理ゲートセル013の半導体形成箇所を図3Cのように構成し、A入力に対するインバータ回路とすれば、出力データは、NRZとして出力される。
【0120】
また、プラグラマブル論理ゲートセル013に、図6に示す論理選択セル付きのプラグラマブル論理ゲートセル003を用いることで、半導体形成箇所によってRZ、NRZ、反転RZ(RZの論理を反転したものであり、RO:Return-to-Oneと呼ばれることもある)、反転NRZ(NRZの論理を反転したもの)のいずれかを符号化出力とする回路を選択することもできる。
【0121】
このように、本実施の形態5によれば、必要な通信のプロトコルや、出力回路に必要な論理に応じて、製造時に回路を変更することも容易となる。
【0122】
アンテナ900は、無線通信に使用する周波数帯域に対して感度を有し、かつ接続される半導体装置901によって消費される電力を受電できる限りにおいて、特にその構成は限定されない。
【0123】
アンテナ900は、柔軟性があることが、RFIDタグ等として使用する場合に貼付面の形状に制約がなくなる観点から好ましい。また、半導体装置901等のアンテナ900以外の部分も柔軟性を有する基材上に形成されることで、フレキシブル性を有する無線通信装置となることが好ましい。このような構成の具体例としては、半導体装置901等と、アンテナ900と、が柔軟性を有する同一の基材上に形成されてなる構成や、半導体装置901等が柔軟性を有する一の基材上に形成され、かつアンテナ900が柔軟性を有する別の基材上に形成されてなる構成等が挙げられる。後者の場合、各基板を貼り合わせて無線通信装置とすることができる。
【0124】
本実施の形態5に係る無線通信装置1000は、本発明の実施の形態に係るプラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイや半導体装置を備えているので、マスク修正やプロセス追加が不要で、かつ製造工程中で容易に回路変更が行えることから、少量多品種の無線通信装置を短TATで比較的安価に提供できる。
【0125】
なお、ここで半導体装置901は、アンテナ900と接続され無線通信装置1000の回路部として構成される例を示したが、電源入力や入出力回路への通信線は、必ずしもアンテナ900と接続される必要はなく、半導体装置901が別の通信機器と有線や光配線で接続されてもよい。また、電源/入出力回路911は、アンテナ900から受信した電力をもとに内部回路の電源電圧を生成する例を示したが、内部回路の電源電圧は、電池やその他電源に接続することで供給されてもよく、特にその構成は限定しない。
【0126】
本実施の形態に示した無線通信装置1000は、無線でのデータの送受信を想定しているが、一方的にメモリセルに記憶された情報を送信するのみでもよい。
【0127】
また、回路の構成は本実施の形態に示した回路に限定されるものではなく、その他回路を含んでもよく、プラグラマブル論理ゲートセルを所望の論理回路として選択して使用する限りにおいては、その構成や機能は特に限定しない。
【0128】
(実施の形態6)
<センサ制御装置>
本発明に係るセンサ制御装置は、上記のプラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイや半導体装置と、センサ信号処理回路を有する制御回路とを備えるものである。
【0129】
図15は、本発明の実施の形態6に係る、プラグラマブル論理ゲートセルを用いたセンサ制御装置を備えたセンサシステムを模式的に示した図である。図15に示すセンサシステム1001は、センサ制御装置902と、電池903と、外部装置904と、センシング素子960と、を備える。
【0130】
センサ制御装置902は、センシング素子960を制御することにより、例えば、温度や湿度、加速度、匂い、ガス濃度等、環境や物理状態、化学的状態等を電気信号に変換し、センシング素子960からの信号を利用する外部装置904へ通信することを可能にする。
【0131】
センサ制御装置902は、回路内部に電源電圧を供給する電源回路916と、センサを動作させるタイミングの制御や、センシングデータを外部装置904に出力することが可能な送受信回路920と、内部動作用基準クロック信号を生成するクロック生成回路917と、内部回路の制御を行う制御回路918と、センシング素子960へ制御信号を出力し、センシング素子からのデータを受信するセンサ信号処理回路950と、制御回路918からの制御信号やセンサ信号処理回路950にて生成されたデータを受け取り、通信方式に応じて出力信号の符号化を行う符号化回路919と、で構成される。
【0132】
電源回路916は、電池903からの電力を受けて内部回路の電源を生成し、内部回路に安定した電源を供給する。電源回路916の構成は、内部回路の動作に必要な電力を供給できる限りにおいては、その構成は特に限定されるものではない。実施の形態5に示した電源/入出力回路911の電源回路を用いてもよい。
【0133】
なお、実施の形態6では、電源として電池903を記載したが、電力源は内部回路およびセンシング素子960について、所望の動作が可能な電力を供給できれば、その構成や種類は限定されない。例えば、アルカリ乾電池やマンガン乾電池、オキシライド乾電池、ボタン電池類、ニッケル水素2次電池、リチウムイオン2次電池、太陽電池、商用コンセント、AC-DCコンバータ出力、DC-DCコンバータ出力等を使用できる。また、実施の形態5で示した無線通信装置のように、アンテナによって電磁波を電圧に変換したものを電源として利用することもできる。
【0134】
クロック生成回路917は、電源回路916からの電圧や送受信回路920からの入力信号を受けて内部基準クロックを生成する。クロック生成回路917には、例えば、上記実施の形態5および図12で示した、プラグラマブル論理ゲートセルを備えたリングオシレータを用いることができる。
【0135】
制御回路918は、入力信号や内部で生成した信号を演算し、システムとして所望の機能を実現するための信号処理を行う。制御回路918は、所望の機能を得られる限りにおいてその構成は特に限定されるものではない。制御回路918には、例えば、実施の形態5で示した制御回路913等を使用することができる。
【0136】
センサ信号処理回路950は、センシング素子960の動作を制御するとともに、センシング素子から出力されるデータを信号処理して符号化回路にて処理できるよう演算する。センサ信号処理回路950は、センシング素子960からの信号を所望の信号に処理できる限りにおいて、その構成は特に限定されない。センサ信号処理回路950は、センシング素子960への信号を送受信するI2C(Inter-Integrated Circuit)やSPI(Serial Peripheral Interface)等の通信回路であってもよいし、受信用アンプ等のアナログ回路であってもよい。また、A/Dコンバータや差動アンプ、コンパレータ等であってもよい。センシング素子960の出力がデジタル出力である場合、入力バッファのようなデジタルインターフェースであってもよい。
【0137】
センシング素子960としては、さまざまなデバイスを適用でき、その構成は特に限定されない。具体的には、センシング素子960は、例えば温度や湿度、加速度、ひずみ、匂い、各種ガス濃度、接触、水分、磁気等の各種センサが適用できる。センシング素子960は、制御信号を受け取って動作するものであってもよく、制御信号によらず出力を連続的に出し続けるものでもよい。また、入出力の信号は、デジタルであってもよく、アナログであってもよい。
【0138】
符号化回路919は、制御回路913やセンサ信号処理回路950で生成した出力信号を、通信で使用するために符号化する。符号化の方法は、所望の機能を得られる限りにおいてその構成は特に限定されるものではない。例えば、実施の形態5で示した制御回路913等を使用することができる。
【0139】
本実施の形態に係るセンサ制御装置902は、本発明の実施の形態に係るプラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイや半導体装置を備えているので、種々のセンサが備える様々な特性や仕様に応じて、マスクレスで短TATに回路構成を変更してセンシング素子960の制御が可能なセンサ制御装置が実現できる。
【0140】
なお、回路の構成は、本実施の形態に示した回路に限定されるものではなく、その他回路を含んでもよく、プラグラマブル論理ゲートセルによって回路が構成され、センシング素子960を制御、あるいはその出力信号に対して処理を行う限りにおいては、その構成や機能は特に限定しない。
【0141】
以上それぞれの実施の形態について、図面を参照しながら説明したが、これら実施の形態によって形成されるプラグラマブル論理ゲートセル、プラグラマブル論理ゲートアレイ、半導体装置、無線検査装置、ディスプレイ、センサ制御装置は、柔軟性を有する基材上に形成させることが可能であり、例えばウェアラブルセンサのようなフレキシブルデバイスの実現が可能となる。ここで、ウェアラブルデバイスを実現するためには、基材はフィルム等のフレキシブル性に優れたものが好ましく、さらに絶縁性や保護性等所望の機能性・特性が確保できる限りにおいては、極力薄いことが好ましい。
【符号の説明】
【0142】
001~004、006~013 プラグラマブル論理ゲートセル
005 論理選択セル
020、021 ゲート電極
030、031 ソースもしくはドレイン電極
040、041 ソースもしくはドレイン電極
050、051 ゲート絶縁層
060 p型半導体層
061 n型半導体層
100 基材
201 n型直列TFT構造対
211 n型並列TFT構造対
221 p型直列TFT構造対
231 p型並列TFT構造対
301、302 入力端子
351 出力端子
401 高電位配線
411 低電位配線
470~474 配線
480 クロック信号出力配線
501~516 配線切替用TFT構造対
601~604 出力配線
611~614 入力配線
900 アンテナ
901 半導体装置
902 センサ制御装置
903 電池
904 外部装置
911 電源/入出力回路
912、917 クロック生成回路
913、918 制御回路
914 メモリ
915、919 符号化回路
916 電源回路
920 入出力回路
950 センサ信号処理回路
960 センシング素子
1000 無線通信装置
1001 センサシステム
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
図15