(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139747
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電気コネクタハウジングおよび電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R13/42 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024047414
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】202320628397.3
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521523202
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (スーヂョウ) リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】508079120
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カァン ヂォウ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュイン ヅォン
(72)【発明者】
【氏名】タァオ トムソン ドォン
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF13
5E087GG16
5E087GG26
5E087GG31
5E087JJ05
5E087LL28
5E087LL33
5E087RR25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気コネクタハウジングおよび電気コネクタが開示される。
【解決手段】電気コネクタハウジング100は、第1のハウジング部110および第2のハウジング部120であって、少なくとも一方は、複数の接続端子および回路基板を受け入れるための受入れスロット101を画定する。弾性接続部130を介して、第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のそれぞれの一端部が互いに接続されており、弾性接続部130の弾性作用下で互いから離れることで、受入れスロット101が初期状態で開いた状態に保たれるように構成される。電気コネクタは、上記の電気コネクタハウジング100を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタハウジング(100)であって、
電気コネクタハウジング(100)は、
- 第1のハウジング部(110)および第2のハウジング部(120)であって、前記第1のハウジング部(110)および前記第2のハウジング部(120)のうちの少なくとも一方は、複数の接続端子(200)および回路基板(300)を受け入れるための受入れスロット(101)を画定する、第1のハウジング部(110)および第2のハウジング部(120)と、
- 弾性接続部(130)であって、前記弾性接続部(130)を介して、前記第1のハウジング部(110)および前記第2のハウジング部(120)のそれぞれの一端部が互いに接続されている、弾性接続部(130)と
を備え、
前記弾性接続部(130)は、前記弾性接続部(130)から離れた前記第1のハウジング部(110)および前記第2のハウジング部(120)のそれぞれの他端部が、前記弾性接続部(130)の弾性作用下で互いから離れることで、前記受入れスロット(101)が初期状態で開いた状態に保たれるように構成されている、
電気コネクタハウジング(100)。
【請求項2】
前記第1のハウジング部(110)には、第1の係合部(111)が設けられ、前記第2のハウジング部(120)には、第2の係合部(121)が設けられ、
前記第1の係合部(111)および前記第2の係合部(121)は、前記第1のハウジング部(110)および前記第2のハウジング部(120)が互いに接近するときに前記第1の係合部(111)および前記第2の係合部(121)を互いに係合させることにより、前記受入れスロット(101)を閉じた状態に保つように構成されている、
請求項1に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項3】
前記第1の係合部(111)および前記第2の係合部(121)は、スナップ嵌めにより係合し、前記第1の係合部(111)および前記第2の係合部(121)のうちの一方は、突出ブロックであり、前記第1の係合部(111)および前記第2の係合部(121)のうちの他方は、前記突出ブロックを収容することが可能な開口部を有する弾性シートである、
請求項2に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項4】
前記第1の係合部(111)および前記第2の係合部(121)のうちの一方は、インサートであり、前記第1の係合部(111)および前記第2の係合部(121)のうちの他方は、前記インサートを収容することが可能な孔を有する、
請求項2に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項5】
前記第1のハウジング部(110)には、前記受入れスロット(101)の両側にそれぞれ前記第1の係合部(111)が設けられ、
前記第2のハウジング部(120)には、前記受入れスロット(101)の両側にそれぞれ前記第2の係合部(121)が対応して設けられている、
請求項2に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項6】
前記第1の係合部(111)は、前記受入れスロット(101)の入口の近くに配置され、
前記第2の係合部(121)は、前記受入れスロット(101)の前記入口の近くに配置されている、
請求項5に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項7】
前記第1の係合部(111)は、前記第1のハウジング部(110)と一体に形成され、
前記第2の係合部(121)は、前記第2のハウジング部(120)と一体に形成されている、
請求項5に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項8】
前記受入れスロット(101)が設けられているハウジング部に対する前記第1のハウジング部(110)および前記第2のハウジング部(120)のうちのいずれか一方には、前記受入れスロット(101)へと延びるロック用ブロック(113)が形成され、前記ロック用ブロック(113)は、前記受入れスロット(101)に配置されている前記接続端子(200)に当接するように構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項9】
前記受入れスロット(101)が設けられている前記ハウジング部に対する前記第1のハウジング部(110)および前記第2のハウジング部(120)のうちのいずれか一方には、ロック用ノッチ(112)が形成され、前記ロック用ノッチ(112)は、前記受入れスロット(101)に配置される前記接続端子(200)が内部へと延びることを可能とし、前記接続端子(200)に当接するように構成されている、
請求項8に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項10】
前記第1のハウジング部(110)および前記第2のハウジング部(120)は、前記弾性接続部(130)と一体に形成されている、
請求項1に記載の電気コネクタハウジング(100)。
【請求項11】
電気コネクタ(1000)であって、
前記電気コネクタ(1000)は、
- 請求項1から7および10のいずれか一項に記載の前記電気コネクタハウジング(100)と、
- 複数の接続端子(200)と、
- 回路基板(300)と
を備え、
前記複数の接続端子(200)および前記回路基板(300)は、互いに接続され、前記電気コネクタハウジング(100)の前記受入れスロット(101)に配置されている、
電気コネクタ(1000)。
【請求項12】
各接続端子(200)は、圧着部(220)を備え、
前記電気コネクタハウジング(100)の前記第1のハウジング部(110)には、前記受入れスロット(101)へと延びるロック用ブロック(113)が形成され、
前記圧着部(220)は、前記受入れスロット(101)が閉じたままであるときに前記ロック用ブロック(113)に当接する、
請求項11に記載の電気コネクタ(1000)。
【請求項13】
各接続端子(200)は、弾性シート部(210)を備え、
前記第1のハウジング部(110)には、ロック用ノッチ(112)が形成され、
前記弾性シート部(210)の少なくとも一部分は、前記ロック用ノッチ(112)へと延び、前記弾性シート部(210)の端部は、前記受入れスロット(101)が閉じたままであるときに前記ロック用ノッチ(112)に当接する、
請求項11に記載の電気コネクタ(1000)。
【請求項14】
前記複数の接続端子(200)は、圧着により前記回路基板(300)と係合し、
前記回路基板(300)は、フレキシブルプリント回路基板である、
請求項11に記載の電気コネクタ(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、中国国家知識産権局において2023年3月27日に出願された中国特許出願第CN202320628397.3号の利益を主張し、その全開示が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に電気コネクタの技術分野に関し、特に電気コネクタハウジングおよび電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
既存のフレキシブルプリント回路基板用電気コネクタの応用シナリオにおいては、フレキシブルプリント回路基板における電気コンタクトと接続端子との間の物理的かつ電気的な接続を実現し、フレキシブルプリント回路基板および接続端子のアセンブリを形成するために、接続端子がフレキシブルプリント回路基板に予め設置される。次いで、完全なフレキシブルプリント回路基板用電気コネクタを形成するために、フレキシブルプリント回路基板および接続端子のアセンブリの全体が電気コネクタのハウジングのポケットに挿入される。
【0004】
実際のところでは、フレキシブルプリント回路基板における電気コンタクトと接続端子との間の物理的かつ電気的な接続は圧着により実現されるので、接続端子の数の多さおよび圧着位置の影響に起因して、フレキシブルプリント回路基板および接続端子のアセンブリを電気コネクタハウジングのポケットに挿入するプロセス中に、接続端子自体の弾性シートとプラスチック製のハウジングのポケットとの間の累積摩擦力がより大きく、アセンブリを電気コネクタハウジングのポケットに完全に挿入するためには、通常ある程度の強さの挿入力が必要とされる。さらに、回路基板の可撓性によっても、アセンブリを電気コネクタハウジングのポケットに挿入することが難しくなり、それにより挿入の難しさがさらに増大する。
加えて、アセンブリの挿入方法は、接続端子の圧着部(crimping portion)の銅箔に損傷を生じさせやすい場合があり、これは挿入後には視認不可能であり、深刻な品質リスクがある。さらに、関連技術において、電気コネクタハウジングは、フレキシブル回路基板の穿孔および圧着の領域(puncturing and crimping region)における接着剤塗布(adhesive dispensing)についての許容度(tolerance)が低く、接着剤塗布の厚さについての仕様要件が厳しく、この厚さが仕様要件を超えると、フレキシブル回路基板の挿入が難しくなる。加えて、関連技術において、フレキシブルプリント回路基板および接続端子のアセンブリが電気コネクタハウジングのポケットに挿入されるときの、接続端子とハウジングの貫通孔との間の不正確な位置合わせが、依然として課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、関連技術に存在する上記の課題および難点のうちの少なくとも1つを解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
第1のハウジング部(housing part)および第2のハウジング部であって、第1のハウジング部および第2のハウジング部のうちの少なくとも一方は、複数の接続端子および回路基板を受け入れるための受入れスロットを画定する、第1のハウジング部および第2のハウジング部と、
弾性接続部であって、弾性接続部を介して、第1のハウジング部および第2のハウジング部のそれぞれの一端部が互いに接続される、弾性接続部と
を含む電気コネクタハウジングが提供され、
弾性接続部は、弾性接続部から離れた第1のハウジング部および第2のハウジング部のそれぞれの他端部が、弾性接続部の弾性作用下で互いから離れることで、受入れスロットが初期状態で(initially)開いた状態に保たれるように構成される。
【0007】
本開示の例示的実施形態によれば、第1のハウジング部には、第1の係合部(engagement portion)が設けられ、第2のハウジング部には、第2の係合部が設けられ、第1の係合部および第2の係合部は、第1のハウジング部および第2のハウジング部が互いに接近するときに第1の係合部および第2の係合部を互いに係合させることにより、受入れスロットを閉じた状態に保つように構成される。
【0008】
本開示の例示的実施形態によれば、第1の係合部および第2の係合部は、スナップ嵌めにより係合し、第1の係合部および第2の係合部のうちの一方は、突出ブロックであり、第1の係合部および第2の係合部のうちの他方は、突出ブロックを収容することが可能な開口部を有する弾性シートである。
【0009】
本開示の例示的実施形態によれば、第1の係合部および第2の係合部のうちの一方は、インサートであり、第1の係合部および第2の係合部のうちの他方は、インサートを収容することが可能な孔を有する。
【0010】
本開示の例示的実施形態によれば、第1のハウジング部には、受入れスロットの両側にそれぞれ第1の係合部が設けられ、第2のハウジング部には、受入れスロットの両側にそれぞれ第2の係合部が対応して設けられる。
【0011】
本開示の例示的実施形態によれば、第1の係合部は、受入れスロットの入口の近くに配置され、第2の係合部は、受入れスロットの入口の近くに配置される。
【0012】
本開示の例示的実施形態によれば、第1の係合部は、第1のハウジング部と一体に形成され、第2の係合部は、第2のハウジング部と一体に形成される。
【0013】
本開示の例示的実施形態によれば、受入れスロットが設けられるハウジング部に対する第1のハウジング部および第2のハウジング部のうちのいずれか一方には、受入れスロットへと延びるロック用ブロック(locking block)が形成され、ロック用ブロックは、受入れスロットに配置される接続端子に当接するように構成される。
【0014】
本開示の例示的実施形態によれば、受入れスロットが設けられるハウジング部に対する第1のハウジング部および第2のハウジング部のうちのいずれか一方には、ロック用ノッチ(locking notch)が形成され、ロック用ノッチは、受入れスロットに配置される接続端子が内部へと延びることを可能とし、接続端子に当接するように構成される。
【0015】
本開示の例示的実施形態によれば、第1のハウジング部および第2のハウジング部は、弾性接続部と一体に形成される。
【0016】
本開示の別の態様によれば、
上記の態様および/または例示的実施形態のうちのいずれか1つに係る電気コネクタハウジングと、
複数の接続端子と、
回路基板と
を含む電気コネクタが提供され、
複数の接続端子および回路基板は、互いに接続され、電気コネクタハウジングの受入れスロットに配置される。
【0017】
本開示の例示的実施形態によれば、各接続端子は、圧着部を含み、電気コネクタハウジングの第1のハウジング部には、受入れスロットへと延びるロック用ブロックが形成され、圧着部は、受入れスロットが閉じた状態に保たれているときにロック用ブロックに当接する。
【0018】
本開示の例示的実施形態によれば、各接続端子は、弾性シート部(elastic sheet portion)を含み、第1のハウジング部には、ロック用ノッチが形成され、弾性シート部の少なくとも一部分は、ロック用ノッチへと延び、弾性シート部の端部は、受入れスロットが閉じた状態に保たれているときにロック用ノッチに当接する。
【0019】
本開示の例示的実施形態によれば、複数の接続端子は、圧着により回路基板と係合し、回路基板は、フレキシブルプリント回路基板である。
【0020】
本開示の前出の例示的実施形態により提供される電気コネクタハウジングおよび電気コネクタによれば、電気コネクタハウジングは、電気コネクタハウジングを開いて受入れスロットを露出させることが可能なスプリット設計を採用し、受入れスロットが初期状態で開いているとき、小さい外力のみの印加でまたはさらには外力を印加せずに接続端子およびフレキシブル回路基板のアセンブリを電気コネクタハウジングの受入れスロットに配置することが簡便であり、それにより、関連技術において採用されるアセンブリの挿入方法により生じる様々な難点を根本的に克服する。
さらに、本開示の前出の例示的実施形態により提供される電気コネクタハウジングおよび電気コネクタによれば、受入れスロットが閉じているとき、接続端子およびフレキシブル回路基板のアセンブリを受入れスロットに効果的にかつ正確にロックすることができ、同時に、接続端子とハウジングの貫通孔との間の正確な位置合わせを確実にすることができる。加えて、本開示の前出の例示的実施形態により提供される電気コネクタハウジングおよび電気コネクタによれば、接続端子およびフレキシブル回路基板のアセンブリが電気コネクタハウジングに配置されてロックされ、これは接続端子の圧着部の接着剤塗布物に損傷を生じさせにくく、したがって、接続端子の圧着部の接着剤塗布についての許容度が向上し、厚さの要件が厳格でなくなり、電気コネクタの全体的な耐圧性が大幅に向上する。
【0021】
本開示の上記および他の特徴が、添付の図面を参照してその例示的実施形態を詳細に説明することによってより明らかとなり、本開示の完全な理解をもたらす助けとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】受入れスロットが初期状態で開いている、本開示の例示的実施形態に係る電気コネクタハウジングの模式的構造図である。
【
図2】電気コネクタハウジングの受入れスロットが初期状態で開き、接続端子および回路基板のアセンブリが受入れスロットに配置されている、本開示の例示的実施形態に係る電気コネクタの模式的構造図である。
【
図3】電気コネクタハウジングの受入れスロットが閉じた状態に保たれ、接続端子および回路基板のアセンブリが受入れスロットにロックされている、本開示の例示的実施形態に係る電気コネクタの模式的構造図である。
【
図4】
図3に示す電気コネクタの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面と併せて、本開示の実施形態を以下で詳細に説明する。本説明において、同じまたは類似の部分は、同じまたは類似の参照符号により示されている。添付の図面を参照した以下の本開示の実施形態の各々の説明は、本開示の一般的な発明概念を説明することを意図したものであり、本開示に対する限定として解釈されるべきではない。
【0024】
加えて、以下の詳細な説明においては、説明の目的で、多数の具体的な詳細事項が開示の実施形態の完全な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、1つまたは複数の実施形態がこれらの具体的な詳細事項なしで実施されてもよいことは明らかであろう。他の例として、図面を簡略化するために、周知の構造および装置は模式的に示されている。
【0025】
本開示の1つの一般的な技術的概念によれば、第1のハウジング部および第2のハウジング部であって、第1のハウジング部および第2のハウジング部のうちの少なくとも一方は、複数の接続端子および回路基板を受け入れるための受入れスロットを画定する、第1のハウジング部および第2のハウジング部と、弾性接続部であって、弾性接続部を介して、第1のハウジング部および第2のハウジング部のそれぞれの一端部が互いに接続される、弾性接続部とを含む電気コネクタハウジングが提供され、弾性接続部は、弾性接続部から離れた第1のハウジング部および第2のハウジング部のそれぞれの他端部が、弾性接続部の弾性作用下で互いから離れることで、受入れスロットが初期状態で開いた状態に保たれるように構成される。
【0026】
本開示の別の一般的な技術的概念によれば、上記の電気コネクタハウジングと、複数の接続端子と、回路基板とを含む電気コネクタが提供され、複数の接続端子および回路基板は、互いに接続され、電気コネクタハウジングの初期状態で開いた受入れスロットに配置される。
【0027】
図1は、受入れスロットが初期状態で開いている、本開示の例示的実施形態に係る電気コネクタハウジングの模式的構造図を示す。
図2~
図4は、それぞれ本開示の例示的実施形態に係る電気コネクタの模式的構造図を示し、
図2は、初期状態で開いた電気コネクタハウジングの受入れスロットと、受入れスロットに配置されている接続端子および回路基板のアセンブリとを示し、
図3は、閉じた状態に保たれた電気コネクタハウジングの受入れスロットと、受入れスロットにロックされている接続端子および回路基板のアセンブリとを示し、
図4は、電気コネクタハウジングの受入れスロットが閉じた状態に保たれ、接続端子および回路基板のアセンブリが受入れスロットにロックされている、
図3に示す電気コネクタの模式的断面図である。
【0028】
本明細書の
図1~
図4に示す例示的実施形態の説明において、説明および図示を容易にするために、電気コネクタハウジング100に配置される単一の接続端子200の長手延在方向を第1の方向Xと定義し、複数の接続端子200が横並びに配置される方向を第2の方向Yと定義し、第1の方向Xおよび第2の方向Yの両方に垂直な方向を第3の方向Zと定義する。
【0029】
図1を参照すると、本開示の一実施形態によれば、第1のハウジング部110、第2のハウジング部120、および弾性接続部130を含む電気コネクタハウジング100が提供される。第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のうちの少なくとも一方(例えば
図1に示す実施形態における第1のハウジング部110)は、複数の接続端子200(
図2~
図4参照)および回路基板300(
図2~
図4参照)を受け入れるための受入れスロット101を画定する。第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のそれぞれの一端部は、弾性接続部130を介して互いに接続される。好ましくは、第1のハウジング部110および第2のハウジング部120は、弾性接続部130と一体に形成される。
例えば、図示の実施形態において、第1のハウジング部110、第2のハウジング部120、および弾性接続部130は、一定程度の弾性を有するプラスチック材料から一体に形成されることにより作製されてよい。別の例として、不図示の別の実施形態において、第1のハウジング部110および第2のハウジング部120は、弾性シートなどの弾性接続部により互いに接続され、弾性シートの弾性作用により初期状態で開いた状態に保たれる。本開示の実施形態によれば、弾性接続部130は、弾性接続部130から離れた第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のそれぞれの他端部が弾性接続部130の弾性作用下で互いから遠ざかることで、受入れスロット101を初期状態で開いた状態に保つように構成される。
さらに、
図1に示すように、第1のハウジング部110には第1の係合部111が設けられ、第2のハウジング部120には第2の係合部121が設けられる。第1の係合部111および第2の係合部121は、第1のハウジング部110および第2のハウジング部120が互いに接近するときに互いに係合するように構成され、それにより受入れスロット101が閉じた状態に保たれる。本明細書に記載の「閉じる」とは、電気コネクタハウジング100、加えてその受入れスロット101が、関連技術における一体型ハウジングおよびそのポケットと同じ従来の状態に復元することを指してよい。
すなわち、本開示により提供される電気コネクタハウジング100の初期状態は、弾性接続部130から離れた第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のそれぞれの他端部が弾性接続部130の弾性作用下で互いから遠ざかり、受入れスロット101はこのとき開いたまたは開かれた状態であり、弾性接続部130から離れた第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のそれぞれの他端部が弾性接続部130の弾性作用に打ち勝って互いに近づき、受入れスロット101はこのとき閉じた状態であり、これは関連技術における従来の状態に相当する。本開示の実施形態によれば、弾性接続部130は、第1のハウジング部110および第2のハウジング部120の対応する端辺の長さと同じであるか、または第1のハウジング部110および第2のハウジング部120の対応する端辺の長さよりも小さいかもしくは大きくてもよい長さを有するように設計されてよい。
本開示の実施形態によれば、電気コネクタハウジング100の第1のハウジング部110および第2のハウジング部120は、弾性接続部130の弾性作用下で初期状態で開いた状態に保たれる。電気コネクタハウジング100を開いて受入れスロット101を露出させることが可能な電気コネクタハウジング100のスプリット設計を採用することにより、例えば、
図2に示すように、電気コネクタハウジング100の受入れスロット101が初期状態で開いているとき、接続端子200および回路基板300のアセンブリ(本明細書に記載の「アセンブリ」は、接続端子200および回路基板300がはんだ付け等により予め互いに接続された後に形成される一体部品を指すものであってよい)を受入れスロット101に容易に配置することができ、すなわち、接続端子200もしくは回路基板300または接続端子200およびフレキシブル回路基板300のアセンブリを、小さい外力のみの印加でまたはさらには外力を印加せずに電気コネクタハウジング100の受入れスロット101に配置することが簡便であり、それにより、関連技術において採用されるアセンブリの挿入方法により生じる様々な難点を根本的に克服する。
【0030】
図1に示す例示的実施形態において、第1の係合部111および第2の係合部121は、スナップ嵌めにより係合し、第1の係合部111および第2の係合部121のうちの一方(図示の例示的実施形態では第2の係合部121)は突出ブロックであり、第1の係合部111および第2の係合部121のうちの他方(図示の例示的実施形態では第1の係合部111)は、突出ブロックを収容することが可能な開口部を有する弾性片である。本開示の他の実施形態において、第1の係合部111および第2の係合部121は、第1のハウジング部および第2のハウジング部が互いに接近するときに受入れスロット101を閉じた状態に保つことができる限り、任意の他の好適な固定嵌めにより係合してもよい(例えば、第1の係合部111および第2の係合部121のうちの一方はインサートであり、第1の係合部111および第2の係合部121のうちの他方は、インサートを収容することが可能な孔を有する)。
【0031】
具体的には、本開示の例示的実施形態によれば、
図1に示すように、第1のハウジング部110には、受入れスロット101の両側にそれぞれ第1の係合部111が設けられ、第2のハウジング部120には、受入れスロット101の両側にそれぞれ第2の係合部121が対応して設けられる。好ましくは、第1の係合部111は受入れスロット101の入口の近くに配置され、第2の係合部121は受入れスロット101の入口の近くに配置される。例えば、
図1に示すように、第1の係合部111は、第2の方向Yに沿って第1のハウジング部110の受入れスロット101の両側にそれぞれ配置され、第2の係合部121は、第2の方向Yに沿って第2のハウジング部120の受入れスロット101の両側にそれぞれ対応して配置される。
さらに、各第1の係合部111および各第2の係合部121は両方、第1の方向Xに沿って受入れスロット101の入口の近くに配置される。この構成では、第1のハウジング部および第2のハウジング部が互いに接近するときに受入れスロット101を閉じた状態に堅固に保つことが有益である。
【0032】
具体的には、本開示の例示的実施形態によれば、
図1に示すように、第1の係合部111は、第1のハウジング部110と一体に形成され、第2の係合部121は、第2のハウジング部120と一体に形成される。例えば、好ましくは、係合部111、121、併せてハウジング部110、120、および弾性接続部130は、プラスチック材料から一体に形成されてよい。
【0033】
本開示によれば、受入れスロット101が設けられるハウジング部に対する第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のうちのいずれか一方には、受入れスロット101へと延びるロック用ブロック113が形成され、ロック用ブロック113は、受入れスロット101に配置される接続端子200に当接するように構成される。具体的には、本開示の例示的実施形態によれば、
図4に示すように、第1のハウジング部110には、受入れスロット101へと延びるロック用ブロック113が形成されてよく、ロック用ブロック113は、受入れスロット101に配置される接続端子200に当接するように構成される。より具体的には、例えば、
図4に示すように、ロック用ブロック113は、受入れスロット101に配置される接続端子200の圧着部220に当接するように構成される。
図4に示すように、受入れスロット101が閉じた状態に保たれているとき、接続端子200の圧着部220の端面がロック用ブロック113に当接し、それにより、接続端子200および回路基板300のアセンブリを受入れスロット101内の適切な位置に効果的にロックする。
【0034】
受入れスロット101が設けられるハウジング部に対する第1のハウジング部110および第2のハウジング部120のうちのいずれか一方には、ロック用ノッチ112が形成され、ロック用ノッチ112は、内部に配置される接続端子200が内部へと延びることを可能とし、接続端子200に当接するように構成される。具体的には、本開示の例示的実施形態によれば、
図4に示すように、第1のハウジング部110には、ロック用ノッチ112が形成されてもよく、ロック用ノッチは、受入れスロット101に配置される接続端子200が内部へと延びることを可能とし、接続端子200に当接するように構成される。より具体的には、例えば、
図4に示すように、ロック用ノッチ112は、受入れスロット101に配置される接続端子200の弾性片部210が内部へと延びることを可能とし、弾性シート部210に当接するように構成される。
例えば、
図4に示すように、受入れスロット101が閉じた状態に保たれているとき、接続端子200の弾性片部210の少なくとも一部分がロック用ノッチ112へと延び、弾性片部210の端部がロック用ノッチ112の壁に当接し、それにより、接続端子200および回路基板300のアセンブリを受入れスロット101内の適切な位置にさらにロックする。上記のロック用ノッチ112については、図面に示す実施形態において、ロック用ノッチ112が第1のハウジング部110を貫通してよいことに留意されたい。不図示の別の実施形態においては、ロック用ノッチは、第1のハウジング部110の内面に形成される止まり穴であってもよく、すなわち、第1のハウジング部110を貫通しない。
【0035】
したがって、本開示の実施形態により提供される電気コネクタハウジングでは、受入れスロットが閉じた状態に保たれているとき、電気コネクタハウジングは、接続端子および回路基板のアセンブリを電気コネクタハウジングの受入れスロットに効果的にかつ正確にロックすることができ、同時に、接続端子とハウジングの貫通孔との間の正確な位置合わせを確実にすることができる。さらに、接続端子およびフレキシブル回路基板のアセンブリが電気コネクタハウジングに配置されてロックされ、これは接続端子の圧着部の接着剤塗布物に損傷を生じさせにくく、したがって、接続端子の圧着部の接着剤塗布についての許容度が向上し、厚さの要件が厳格でなくなり、電気コネクタの全体的な耐圧性が大幅に向上する。
【0036】
一方、本開示の実施形態によれば、電気コネクタも提供される。
図2~
図4を参照すると、電気コネクタ1000は、上述の実施形態のうちのいずれか1つに係る電気コネクタハウジング100と、複数の接続端子200と、回路基板300とを含み、複数の接続端子200および回路基板300は、互いに接続され、電気コネクタハウジング100の受入れスロット101に配置される。
【0037】
本開示の例示的実施形態によれば、
図2に示すように、電気コネクタの設置または組立てプロセス中、電気コネクタハウジング100の受入れスロット101が初期状態で開いているとき、接続端子200および回路基板300のアセンブリを受入れスロット101に容易に配置することができる。具体的には、
図2~
図4に示す例示的実施形態において、複数の接続端子200は、第2の方向Yに沿って電気コネクタハウジング100に横並びに配置され、より具体的には、第2のハウジング部120に横並びに配置される。
【0038】
本開示の例示的実施形態によれば、
図3および
図4に示すように、各接続端子200は、圧着部220を含んでよく、電気コネクタハウジング100の第1のハウジング部110には、受入れスロット101へと延びるロック用ブロック113が形成される。例えば、
図4に示すように、電気コネクタの設置または組立てが完了した後、受入れスロット101は閉じた状態に保たれ、接続端子200の圧着部220の端面がロック用ブロック113に当接し、それにより、接続端子200および回路基板300のアセンブリを受入れスロット101内の適切な位置に効果的にロックする。
【0039】
本開示の例示的実施形態によれば、
図3および
図4に示すように、各接続端子200は、弾性部210をさらに含んでよく、第1のハウジング部110には、ロック用ノッチ112が形成される。例えば、
図4に示すように、電気コネクタの設置または組立てが完了した後、受入れスロット101は閉じた状態に保たれ、接続端子200の弾性シート部210の少なくとも一部分がロック用ノッチ112へと延び、弾性シート部210の端部がロック用ノッチ112に当接し、それにより、接続端子200および回路基板300のアセンブリを受入れスロット101内の適切な位置にさらにロックする。
【0040】
したがって、本開示の実施形態により提供される電気コネクタでは、電気コネクタの設置または組立てが完了した後、電気コネクタハウジングの受入れスロットは閉じた状態に保たれ、接続端子200および回路基板300のアセンブリを電気コネクタハウジングの受入れスロットに効果的にロックすることができる。
【0041】
本開示の例示的実施形態によれば、
図2~
図4に示すように、複数の接続端子200は、圧着により回路基板300と係合するように構成される。本明細書に記載の回路基板300は、フレキシブルプリント回路基板であることが好ましい。
【0042】
このように、本開示の実施形態により提供される電気コネクタでは、接続端子およびフレキシブルプリント回路基板のアセンブリが電気コネクタハウジングに配置されてロックされ、これは接続端子の圧着部の接着剤塗布物に損傷を生じさせにくく、よって、接続端子の圧着部の接着剤塗布についての許容度が向上し、厚さの要件が厳格でなくなり、電気コネクタの全体的な耐圧性が大幅に向上する。
【0043】
上記の実施形態は例示を意図したものであり、多数の修正が当業者により上記の実施形態に対してなされてよいことが、当業者には理解されるべきである。さらに、様々な実施形態において説明されている様々な構造は、構成または原理において矛盾しない限り互いに自由に組み合わされてよい。
【0044】
添付の図面を参照して本開示を上記で詳細に説明したが、添付の図面における開示の実施形態は、本開示の好適な実施形態を例として示すことを意図したものであり、本開示に対する限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0045】
本開示の一般的な発明概念のいくつかの実施形態を示し説明したが、その範囲が特許請求の範囲およびその均等物において定められる一般的な発明概念の原理および趣旨から逸脱しない限りにおいて、これらの実施形態に対して変更または修正がなされてよいことが、当業者には理解されるであろう。
【0046】
「備える」または「含む」という語は、他の要素またはステップを除外するものではなく、「一の」という語は、複数以上のものを除外するものではないことに留意されたい。加えて、特許請求の範囲における任意の参照符号は、本開示の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。
【外国語明細書】