(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139755
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】自動分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20241002BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20241002BHJP
G01N 33/86 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G01N35/00 B
G01N35/02 A
G01N33/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024048877
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】23164272.9
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・パツケ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G058
【Fターム(参考)】
2G045AA10
2G045JA08
2G058AA09
2G058BB02
2G058BB06
2G058BB12
2G058CC08
2G058CE02
(57)【要約】
【課題】実験室で稀にしか要求されない検査に関しても、完全自動分析システムで実施される検査の簡略化された開発および提供を可能にすること。
【解決手段】カートリッジ(3)を、268.15ケルビン未満である第1の温度(T1)で保管するための第1のデバイス(2)を含む、試料(23)を分析するための自動分析システム(1)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料(23)を分析するための自動分析システム(1)であって、
カートリッジ(3)を、268.15ケルビン未満である第1の温度(T1)で保管するための第1のデバイス(2)と、
好ましくは、移送箱(5)を受け取るための第2のデバイス(4)と、
カートリッジ(3)を273.15ケルビン超の第2の温度(T2)で保管するための第3のデバイス(6)と、
カートリッジ(3)を第1の温度(T1)から第2の温度(T2)まで加熱するための第4のデバイス(7)と、
少なくとも1種の液体をピペッティングするための第5のデバイス(8)と、
少なくとも1つのカートリッジ(3)をインキュベーションするための第6のデバイス(9)と、
試料(23)の少なくとも1種の試料調製物(11)を測定するための第7のデバイス(10)と、を含み、
カートリッジ(3)はそれぞれ、
少なくとも1種の試薬(13)が入った少なくとも1つの第1のコンパートメント(12)と、
少なくとも1種の対照物質(15)が入った少なくとも1つの第2のコンパートメント(14)と、
少なくとも1つの第3のコンパートメント(16)と、を含み、
該第3のコンパートメント(16)は、測定キュベット(17)を含み、
該測定キュベット(17)内の第7のデバイス(10)によって検査調製物(11)の測定を行うことができ、少なくとも1つのカートリッジ(3)は、該分析システム(1)に送達可能であり、該カートリッジは、268.15ケルビン未満である第3の温度(T3)を有し、移送箱(5)は、好ましくは少なくとも1つのカートリッジ(3)を第3の温度(T3)で移送するように構成されている、前記自動分析システム。
【請求項2】
移送箱(5)は、少なくとも1つのカートリッジ(3)を、233.15~323.15ケルビン、好ましくは288.15~298.15ケルビン、特に好ましくは室温である第4の温度(T4)で移送するようにさらに構成されている、請求項1に記載の自動分析システム(1)。
【請求項3】
第3のデバイス(6)は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、第4のデバイス(7)、第5のデバイス(8)、第6のデバイス(9)および/または第7のデバイス(10)を含む、請求項1または2に記載の自動分析システム(1)。
【請求項4】
第2の温度(T2)は293.15~315.15ケルビン、好ましくは308.15~312.15ケルビンの所定の一定温度であり、第2の温度(T2)は特に好ましくは310.15ケルビンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項5】
第1の温度(T1)は268.15ケルビン未満、好ましくは263.15ケルビン未満、特に好ましくは255.15~245.15ケルビンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項6】
液体は試料液体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項7】
第5のデバイス(8)は、試料、試薬、および/または希釈媒体をピペッティングするためのピペッティング針を含み、該希釈媒体は好ましくは緩衝液から構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項8】
第2のデバイス(4)は凹部(18)を含み、該凹部(18)は少なくとも1つの移送箱(5)を受け取るように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項9】
第1、第2、第3、および/または第4の温度(T1、T2、T3、T4)を制御するための第8のデバイスを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項10】
少なくとも1つのカートリッジ(3)を第2のデバイス(4)に収容された移送箱(5)から第1のデバイス(2)に自動的に搬入するための第9のデバイス(20)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項11】
少なくとも1つのカートリッジ(3)を第1のデバイス(2)から第3のデバイス(6)に自動的に搬入するための第10のデバイス(21)を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項12】
少なくとも1つのカートリッジ(3)を第3のデバイス(6)から第2のデバイス(4)に収容された移送箱(5)に自動的に搬入するための第11のデバイス(22)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)。
【請求項13】
少なくとも1つのカートリッジ(3)を分析システム(1)へ、かつ/または分析システム(1)から移送するための、請求項1~12のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)用の移送箱(5)であって、カートリッジ(3)は、少なくとも1種の凍結試薬(13)が入った少なくとも1つの第1のコンパートメント(12)と、少なくとも1種の対照物質(15)が入った少なくとも1つの第2のコンパートメント(14)と、測定キュベット(17)を含む少なくとも1つの第3のコンパートメント(16)とを含み、移送箱(5)は、好ましくは少なくとも1つのカートリッジ(3)を収容する、前記移送箱。
【請求項14】
好ましくは請求項13に記載の移送箱(5)によって、請求項1~12のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)に、かつ/または分析システム(1)から移送可能なカートリッジ(3)であって、該カートリッジ(3)は、少なくとも1種の凍結試薬(13)が入った少なくとも1つの第1のコンパートメント(12)と、少なくとも1種の対照物質(15)が入った少なくとも1つの第2のコンパートメント(14)と、測定キュベット(17)を含む少なくとも1つの第3のコンパートメント(16)とを含む、前記カートリッジ。
【請求項15】
請求項13に記載の移送箱(5)、および/または請求項1~12のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)内の請求項14に記載のカートリッジ(3)の使用。
【請求項16】
請求項14に記載のカートリッジ(5)および好ましくは請求項13に記載の移送箱(5)を用いることによって、請求項1~12のいずれか1項に記載の自動分析システム(1)を用いて試料(23)を分析するための方法(30)であって:
好ましくは移送箱(5)の中の、第1の温度(T1)を有するカートリッジ(3)を、自動分析システム(1)に送達する工程と、
好ましくは、カートリッジ(3)が入った移送箱(5)を第2のデバイス(4)に搬入する工程と、
好ましくは、移送箱(5)からカートリッジ(3)を取り出し、第9のデバイス(20)によって第1のデバイス(2)に送達し、またはカートリッジ(5)を第1のデバイス(2)に送達する工程と、
第10のデバイス(21)によって第1のデバイス(2)からカートリッジ(3)を取り出し、第3のデバイス(6)に送達する工程と、
第4のデバイス(7)を用いてカートリッジ(3)を第1の温度(T1)から第2の温度(T2)まで加熱する工程と、
検査調製物(11)の製造を含む、少なくとも1種の試料(23)、少なくとも1種の試薬(13)、および少なくとも1種の対照物質(15)を第5のデバイス(8)によってピペッティングする工程と、
好ましくは、第6のデバイス(9)を用いてカートリッジ(3)内の検査調製物(11)をインキュベーションする工程と、
カートリッジ(3)の第3のコンパートメント(16)の測定キュベット(17)内で、第7のデバイス(10)を用いて検査調製物(11)を測定する工程と、
好ましくは分析システム(1)に電子的に送信される少なくとも1つの検量線(24)を用いることによって、検査調製物(11)の測定を評価する工程と、
好ましくは、第11のデバイス(22)によって、カートリッジ(3)を第3のデバイス(6)から移送箱(5)に搬入する工程と、
好ましくは、移送箱(5)内の、第4の温度(T4)を有するカートリッジ(3)を廃棄ステーションに移送する工程と
を含む、前記方法。
【請求項17】
第VIII因子結合検査を実行することを含む、請求項16に記載の試料(23)を分析するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、268.15ケルビン未満の温度でカートリッジを保管するデバイスを有する、試料を分析するための自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
体液試料または他の生体試料中の生理学的パラメータを測定するための多くの検出および分析法は、今日では自動分析機器、いわゆる体外診断システムで数多く自動化されて実施されている。
【0003】
最新の分析機器は、1種の試料で複数の検出反応および分析を行うことができる。自動化して複数の調査を実施できるようにするためには、測定セル、反応容器、および試薬容器を物理的に移送するための様々なデバイス、例えばグリップ機能を有する移送アーム、コンベヤベルト、または回転可能な移送ホイール、ならびに液体移送のためのデバイス、例えばピペッティングデバイスが必要とされる。これらの機器は、対応するソフトウェアによって、所望の分析のための作業工程を実質的に独立して計画し、実行することができる制御ユニットを含む。
【0004】
このような自動分析機器で使用される分析法の多くは、光学的手法に基づいている。これらの方法は、分析物、すなわち試料中の検出または測定される物質の定性的検出および定量的検出を可能にする。臨床的に関連するパラメータ、例えば分析物の濃度または活性の測定は、測定セルである場合もある反応容器内で試料の一部を1種またはそれ以上の検査試薬と混合することにより、例えば生化学反応または特異的結合反応を開始させ、検査調製物の光学的特性または他の物理的特性の測定可能な変化を引き起こすことによってしばしば行われる。
【0005】
医療技術機器、例えば生物学的体液のin vitro試料の自動分析および調査のための診断分析機器では、測定キュベットには、例えばピペッティング針を有するピペッティングデバイスによって必要な試薬が充填される。測定キュベットは、ロボットステーションの一部であるロボットアームにより、キュベットグリッパを用いて自動分析機器内の異なる位置に自動的に移動される。測定後、使用済み測定キュベットは、ごみシュートを通して廃棄されるように、ごみ容器に入れられる。
【0006】
このような自動分析器では、比較的長時間にわたる自動操作または比較的多数の試料の分析を可能にするために、消耗品、例えば試薬、対照物質、および標準物質が機器内に保管されている。
【0007】
既存の完全自動分析システム用に、実験室では一般的に稀にしか要求されない特別な検査を開発することは、一般的に比較的高価であり、したがって経済的に実行不可能であることが多い。
【0008】
一般的に、市場で利用可能な既存の検査は、多くの入念な技術的修正を用いてやっと新しい分析システムに適合させることができる。したがって、これには通常、高い開発費用が伴う。現在一般的に使用されている全自動分析システムは、頻繁に実行される検査用に設計されているため、試薬、対照物質、および標準物質を、例えばカートリッジまたはフラスコに入れて機器内に保管することが有益である。
【0009】
稀にしか実施されない検査の場合、これらの成分の安定時間はしばしば超過するため、これらは定期的に廃棄しなければならず、このことには追加の費用が生じ、さらに検査の自動実行を不経済なものとする。さらに、このような検査では、校正を比較的頻繁に、時には個々の試料測定毎に実施する必要があり、これは技術的に要求が厳しく、時間がかかり、経済的に不利である。
【0010】
今日まで、一方では頻繁に実施される検査に技術的に最適化された完全自動分析システム、他方ではポイントオブケア検査またはELISA(酵素免疫検定法)、あるいは様々な手動工程を伴う他の解決策が基本的に存在してきたが、非常に頻度の低い特別な検査用の完全自動化解決策は存在しなかった。
【0011】
したがって、先行技術によるデバイスは、通常、完全自動分析システム上で、実験室で稀にしか要求されない検査を、簡単かつ経済的に実行可能に開発し提供することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、特に、実験室で稀にしか要求されない検査に関しても、完全自動分析システムで実施される検査の簡略化された開発および提供を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、本発明によれば、以下に述べる主題および方法によって達成される。
【0014】
完全自動分析システムで実験室では稀にしか要求されない検査を実施するための、改良され簡略化された検査の開発および提供は、測定キュベットとともにカートリッジで提供される凍結試薬の使用によって達成できることが判明している。
【0015】
この場合、該当する検査に適合したカートリッジだけでなく、凍結試薬および/または対照物質ならびに測定キュベットが使用され、これらのすべての構成要素はすべてカートリッジに含まれている。
【0016】
これには、特に実験室で、稀にしか要求されない検査に関して、開発費用を大幅に削減できるという利点があり、同時にそのような検査を完全自動分析システムに提供し、最適化された方法で実験室に保管し、実施することができる。
【0017】
本発明は特に、試料を分析するための自動分析システムであって、この分析システムは、カートリッジを、268.15ケルビン未満である第1の温度で保管するための第1のデバイスと、好ましくは移送箱を受け取るための第2のデバイスと、カートリッジを273.15ケルビン超の第2の温度で保管するための第3のデバイスと、カートリッジを第1の温度から第2の温度まで加熱するための4のデバイスと、少なくとも1種の液体をピペッティングするための第5のデバイスと、少なくとも1つのカートリッジをインキュベーションするための第6のデバイスと、試料の少なくとも1種の試料調製物を測定するための第7のデバイスとを含み、カートリッジはそれぞれ、少なくとも1種の試薬が入った少なくとも1つの第1のコンパートメントと、少なくとも1種の対照物質が入った少なくとも1つの第2のコンパートメントと、少なくとも1つの第3のコンパートメントとを含み、第3のコンパートメントは、測定キュベットを含み、測定キュベット内の第7のデバイスによって検査調製物の測定を行うことができ、少なくとも1つのカートリッジは分析システムに送達可能であり、カートリッジは268.15ケルビン未満である第3の温度を有し、移送箱は、好ましくは、第3の温度で少なくとも1つのカートリッジを移送するように構成されている、自動分析システムを提供する。
【0018】
好ましくは、カートリッジは移送箱の中で分析システムに送達される。したがって、カートリッジは、好ましくは、分析システムに送達される間、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、移送箱の中に収容される。好ましくは、移送箱は、それに対応してその中に1つまたはそれ以上のカートリッジとともに分析システムに送達される。
【0019】
第3のデバイスは好ましくはブロックとして構成され、このブロックは好ましくは全体が37℃に調節される。このブロックは、好ましくは、カートリッジを解凍するために使用される別の装置、例えば水浴および/または金属製ブロックを収容し、好ましくは第4のデバイスを含む、または構成する。
【0020】
第3のデバイスは、好ましくは、試料調製用のインキュベーションブロックをさらに含み、この場合、インキュベーションは、例えば、空気中、水浴中、かつ/または第6のデバイスを含むかもしくは構成する金属製ブロック中で行われる。
【0021】
第3のデバイスは、好ましくはさらに、試料の測定が好ましくは空気空間中で行われる、すなわち、試料が好ましくは測定中に水浴および/または金属製ブロックに収容されていない測定ユニットを含む。第7のデバイスは、好ましくは、この測定ユニットを含むか、または構成する。
【0022】
好ましくは、第1の温度と第3の温度は等しいが、異なっていてもよい。温度が異なっていることは、カートリッジの戻り移送および/またはさらなる移送が室温で行われる場合に特に有利である。
【0023】
好ましい一実施形態では、移送箱はさらに、少なくとも1つのカートリッジを、233.15~323.15ケルビン、好ましくは288.15~298.15ケルビン、特に好ましくは室温である第4の温度で移送するように構成されている。
【0024】
別の好ましい実施形態では、第3のデバイスは、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、第4のデバイス、第5のデバイス、第6のデバイスおよび/または第7のデバイスを含む。このように、第3のデバイスは、有利には、他の様々なデバイスを含み、それらを1つのデバイスに統合する。
【0025】
別の好ましい実施形態では、第2の温度は293.15~315.15ケルビン、好ましくは308.15~312.15ケルビンの所定の一定温度であり、第2の温度は特に好ましくは310.15ケルビンである。
【0026】
別の好ましい実施形態では、第1の温度は268.15ケルビン未満、好ましくは263.15ケルビン未満、特に好ましくは255.15~245.15ケルビンである。
【0027】
別の好ましい実施形態では、液体は試料液体を含む。
【0028】
別の好ましい実施形態では、第5のデバイスは、試料、試薬、洗浄液および/または希釈媒体をピペッティングするためのピペッティング針を含み、希釈媒体は好ましくは緩衝液から構成される。
【0029】
別の好ましい実施形態では、第2のデバイスは凹部を含み、凹部は少なくとも1つの移送箱を受け取るように構成されている。
【0030】
別の好ましい実施形態では、分析システムは、第1の温度、第2の温度、第3の温度、および/または第4の温度を制御するための第8のデバイスを含む。
【0031】
別の好ましい実施形態では、分析システムは、少なくとも1つのカートリッジを第2のデバイスに収容された移送箱から第1のデバイスに自動的に搬入するための第9のデバイスを含む。
【0032】
別の好ましい実施形態では、分析システムは、少なくとも1つのカートリッジを第1のデバイスから第3のデバイスに自動的に搬入するための第10のデバイスを含む。
【0033】
別の好ましい実施形態では、分析システムは、少なくとも1つのカートリッジを第3のデバイスから第2のデバイスに収容されている移送箱に自動的に搬入するための第11のデバイスを含む。
【0034】
本発明の別の好ましい主題は、特に、少なくとも1つのカートリッジを分析システムへ、かつ/または分析システムから移送するための、本発明による自動分析システム用の移送箱であって、カートリッジは、少なくとも1種の凍結試薬が入った少なくとも1つの第1のコンパートメントと、少なくとも1種の対照物質が入った少なくとも1つの第2のコンパートメントと、測定キュベットを含む少なくとも1つの第3のコンパートメントとを含み、移送箱は、好ましくは少なくとも1つのカートリッジを収容する、移送箱である。
【0035】
本発明の別の主題は、特に、好ましくは、本発明による移送箱によって、本発明による自動分析システムに、かつ/または分析システムから移送可能なカートリッジであって、カートリッジは、少なくとも1種の凍結試薬が入った少なくとも1つの第1のコンパートメントと、少なくとも1種の対照物質が入った少なくとも1つの第2のコンパートメントと、測定キュベットを含む少なくとも1つの第3のコンパートメントとを含む、カートリッジである。
【0036】
本発明の別の主題は、特に、本発明による自動分析機器における、本発明による移送箱および/または本発明によるカートリッジの使用である。
【0037】
本発明の別の主題は、特に、本発明によるカートリッジおよび好ましくは本発明による移送箱を用いることによる、本発明による自動分析システムにより試料を分析するための方法であって、本方法は:
- 好ましくは移送箱の中の、第1の温度を有するカートリッジを、自動分析システムに送達する工程と、
- 好ましくは、カートリッジが入った移送箱を第2のデバイスに搬入する工程と、
- 好ましくは、移送箱からカートリッジを取り出し、第9のデバイスによって第1のデバイスに送達し、かつ/またはカートリッジ(5)を第1のデバイス(2)に送達する工程と、
- 第10のデバイスによって第1のデバイスからカートリッジを取り出し、第3のデバイスに送達する工程と、
- 第4のデバイスによってカートリッジを第1の温度から第2の温度まで加熱する工程と、
- 検査調製物の製造を含む、少なくとも1種の試料、少なくとも1種の試薬、および少なくとも1種の対照物質を第5のデバイスによってピペッティングする工程と、
- 好ましくは、第6のデバイスを用いてカートリッジ内の検査調製物をインキュベーションする工程と、
- カートリッジの第3のコンパートメントの測定キュベット内で、第7のデバイスを用いて検査調製物を測定する工程と、
- 好ましくは分析システムに電子的に送信される少なくとも1つの検量線を用いることによって、検査調製物の測定を評価する工程と、
- 好ましくは、第11のデバイスによって、カートリッジを第3のデバイスから移送箱に搬入する工程と、
- 好ましくは、移送箱内の、第4の温度を有するカートリッジを廃棄ステーションに移送する工程と
を含む方法である。
【0038】
好ましくは、カートリッジ(5)の第1のデバイス(2)への送達は、カートリッジ(5)が先に分析システムの別のデバイスに送達されることなく、手動および/または直接、好ましくは直接経路で行われる。
【0039】
好ましい一実施態様では、本方法は止血検査、好ましくは第VIII因子結合検査を実施することを含む。
【0040】
他の好ましい実施形態では、本方法は、「Labor und Diagnose: Indikation und Bewertung von Laborbefunden fur die medizinische Diagnostik」[「Laboratory and diagnosis:indication and evaluation of laboratory data for medical diagnostics」]Lothar Thomas著、8th edition 2012、ISBN-10:3980521583、ISBN-13:978-3980521581のセクション16.10~16.28におけるチャプター16「Hamostasesystem」[「Hemostasis system」]、および/またはLothar Thomasによるhttps://www.clinical-laboratory-diagnostics.com(2022年12月15日公開)にてオンラインで電子利用可能な刊行物「Clinical Laboratory Diagnostics」のチャプター「Laboratory investigations」に記載の検査および/または検査群の1つまたはそれ以上を実施することを含む。
【0041】
他の好ましい実施形態では、本方法は、以下に規定する検査および/または検査群の1つまたはそれ以上を実施することを含む。
血栓形成促進状態のマーカとしてのトロンビン-アンチトロンビン複合体濃度を測定するためのELISA検査(Pelzer、Hermann、Angela Schwarz、およびNorbert Heimburger「Determination of human thrombin-antithrombin III complex in plasma with an enzyme-linked immunosorbent assay」Thrombosis and Haemostasis 59.01(1988):101~106)、
血栓性血小板減少性紫斑病を特定するための抗N10モノクローナル抗体を用いたADAMTS13活性測定用のELISA検査(Kato,Seijiら「Novel monoclonal antibody-based enzyme immunoassay for determining plasma levels of ADAMTS13 activity.」Transfusion 46.8(2006):1444~1452)、
トロンビン生成の測定によるタンパク質S-TFPI補因子活性測定用の検査(Alshaikh,N.A.ら「New functional assays to selectively quantify the activated protein C-and tissue factor pathway inhibitor cofactor activities of protein S in plasma」Journal of Thrombosis and Haemostasis 15.5(2017):950~960)、
直接トロンビン阻害剤の抗凝固作用を定量化するためのエカリン発色アッセイ検査(Lange,U.,G.NowakおよびE.Bucha.「Ecarin chromogenic assay-a new method for quantitative determination of direct thrombin inhibitors like hirudin」Pathophysiology of haemostasis and thrombosis 33.4(2003):184~191)、
ワルファリン、ダビガトラン、リバーロキサバン、およびアピキサバンの抗凝固作用を測定する検査dFiix-PT(Letertre,L.R.ら、「A single test to assay warfarin, dabigatran,rivaroxaban,apixaban,unfractionated heparin,and enoxaparin in plasma」Journal of Thrombosis and Haemostasis 14.5(2016):1043~1053.)。
【0042】
好ましい実施形態では、検査調製物のインキュベーションは行われないか、または任意の所望の回数のインキュベーション工程、例えば1~10回のインキュベーション工程が行われる。これらは特に、試料をまだ含まない試薬混合物(すなわち、このようなインキュベーション工程における検査調製物は、試薬および/または試薬混合物からなり、試料をまだ含まない)をインキュベーションする工程も含み得る。
【0043】
本発明によれば、検査は校正を必要とし得る。好ましくは、校正は、1点校正および/または時点校正によって行われ、これは、検量線の形状が電子的に提供され、検量線の位置が単一、または多くても2つの測定点を測定することによって確立されることを意味する。カートリッジは、好ましくは、1回またはそれ以上の校正を実施するための1つまたはそれ以上の校正器を含む。校正器は、好ましくはこの目的のために特別に構成されたカートリッジの1つまたはそれ以上のコンパートメントに配置されることが好ましい。
【0044】
別の好ましい実施形態では、本方法は:
- 使用済みカートリッジを自動で再注文する工程をさらに含む。
【0045】
別の好ましい実施形態では、本方法は:
- どの検査および/またはいくつのカートリッジが分析システム内に保持されるかを自動的に判定し、好ましくはそれに対応して検査および/またはカートリッジを自動的に注文および/または再注文する工程をさらに含む。
【0046】
本発明の文脈における「試料」とは、検出される物質(分析物)を含有していると疑われる材料を意味する。「試料」という用語は、特にヒトまたは動物の生体液、例えば血液、血漿、血清、喀痰、滲出液、気管支肺胞洗浄液、リンパ液、滑液、精液、膣粘液、糞便、尿、髄液、あるいは光度定量、好ましくは比濁定量のためにホモジナイズまたは細胞溶解によって調製された組織試料または細胞培養試料を含む。さらに、例えば、植物性流体または組織、法医学試料、水試料および廃液試料、食品、薬剤も試料として使用することができ、これらは、定量前に対応する試料調製を行うことができる。
【0047】
本発明の文脈における「試薬」とは、試薬由来の他の物質および試料由来の物質と接触したときに、物理的に測定可能な特定の反応を誘発し、試料から分析物を測定するために使用することができる物質を含む材料を意味する。特に、試薬としては、緩衝液、NaCl水溶液、および/または単蒸留もしくは複蒸留水も挙げられる。
【0048】
本発明の文脈における「緩衝液」とは、反応調製物中のpHを一定に保つためにのみ、またはとりわけ使用される材料を意味する。特に、緩衝液としては、NaCl水溶液および/または単蒸留水もしくは複蒸留水も挙げられる。
【0049】
定量的検出では、試料中の分析物の量、濃度、または活性が測定される。「分析物」という用語は、例えば活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)のような代謝過程の機能的経路を記録するパラメータも含む。「定量的検出」という用語は、試料中の分析物のおおよその量、濃度もしくは活性を記録するのみであるか、または相対的な量、濃度、もしくは活性のインジケーションにのみ使用できる半定量的方法も含む。「定性的検出」とは、試料中の分析物の存在の検出、または試料中の分析物の量、濃度、もしくは活性が特定の閾値もしくは複数の特定の閾値を下回る、または上回ることのインジケーションを意味する。
【0050】
測定キュベットは、例えばガラス、プラスチック、または金属製のキュベットまたは反応容器である。測定キュベットは有利には、光透過性材料から作られ、これは特に光学分析法を使用する場合に有利であり得る。
【0051】
「測定キュベット」および「キュベット」という用語は同義語として使用され、同じ対象を指す。
【0052】
本発明は、図面を用いて実施例によりさらに詳細に説明する:
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】自動分析システム(1)、カートリッジ(3)、移送箱(5)および中央保管ユニット(25)の構造を概略的に示す。
【
図2】移送箱(5)により移送可能なカートリッジ(3)の詳細を概略的に示す。
【
図3】自動分析システム(1)により試料(23)を分析するための方法(30)を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
すべての図において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0055】
図1は、自動分析システム(1)、カートリッジ(3)、移送箱(5)、および中央保管ユニット(25)を示す。自動分析システム(1)は、試料(23)を自動的に分析するように構成されている。分析システム(1)は、カートリッジ(3)を第1の温度(T1)で保管するための第1のデバイス(2)を含む。第1の温度(T1)は268.15ケルビン未満である。自動分析システム(1)は、移送箱(5)を受け取るための第2のデバイス(4)と、カートリッジ(3)を第2の温度(T2)で保管する、または本発明に従って使用するための第3のデバイス(6)とをさらに含む。第2の温度(T2)は273.15ケルビン超である。第3のデバイス(6)は、カートリッジ(3)を第1の温度(T1)から第2の温度(T2)まで加熱するための第4のデバイス(7)と、少なくとも1種の液体をピペッティングするための第5のデバイス(8)と、少なくとも1つのカートリッジ(3)をインキュベーションするための第6のデバイス(9)と、試料(23)の少なくとも1種の試料調製物(11)を測定するための第7のデバイス(10)とを含む。第4のデバイス(7)、第5のデバイス(8)、第6のデバイス(9)、および第7のデバイス(10)、試料(23)および試料調製物(11)は図示されていない。
【0056】
図1はさらに、本発明による移送箱(5)によって移送可能な本発明によるカートリッジ(3)を概略的に示す。カートリッジ(3)は、いずれの場合も、凍結試薬(13)が入った第1のコンパートメント(12)と、対照物質(15)が入った第2のコンパートメント(14)と、第3のコンパートメント(16)とを含む。第3のコンパートメント(16)は測定キュベット(17)を含む。検査調製物(11)の測定は、測定キュベット(17)内の第7のデバイス(10)により、本発明に従って行われる。コンパートメント(12、14、16)、試薬(13)、対照物質(15)および測定キュベット(17)は図示されていない。
【0057】
図1はさらに、本発明による移送箱(5)を概略的に示す。移送箱(5)は、少なくとも1つのカートリッジ(3)を第3の温度(T3)で移送するように構成されている。第3の温度(T3)は268.15ケルビン未満である。
【0058】
図1はさらに、本発明による中央保管ユニット(25)を概略的に示す。
【0059】
図2は、本発明によるカートリッジ(3)の詳細を概略的に示しており、このカートリッジ(3)は、本発明による移送箱(5)によって移送できるように構成されている。
【0060】
カートリッジ(3)は平面視で示されており、種々のコンパートメントが模式的に表されている。カートリッジ(3)の寸法は、長さ100mm、幅20mm、および高さ15mmである。カートリッジ(3)は、22の個々のキュベット(31~52)1~22を含み、そのうち21のキュベット(31~45および47~52)は、特にサイズおよび形状が同一に構成されている。これら21のキュベット(31~45および47~52)は、平面視でブロック形状で、カートリッジ(3)内の右側に7つずつ3列に配置され、カートリッジ(3)の容積の半分を占めている。さらなるキュベット(46)は、平面図の左側のカートリッジ(3)の容積のもう半分を占めている。キュベット(31~52)はそれぞれ、対応するキュベットの実質的に全断面にわたって上部に開口部を有する。
【0061】
自動分析システム(1)、移送箱(5)、およびカートリッジ(3)に関する本発明による1つの適用例は、酵素免疫検定法(ELISA)として構成される第VIII因子結合検査を実施することである。第VIII因子結合検査は、第VIII因子と結合するフォン・ヴィレブラント因子の能力を測定し、フォン・ヴィレブラント病のサブタイプ2Nを診断するために必要である。このサブタイプは非常に稀にしかないが、フォン・ヴィレブラント病のサブタイプの区別は正しい治療法を決定するために非常に重要である。現在まで、完全に自動の検査はなく、その代わりにELISA形式の検査のみがある。これらは購入および実行が比較的高価である。それらの実行は、これまで手作業の工程が部分的に伴っており、その結果、高い人件費がかかることもある。通常、検量線は複数回の定量において各回ごとに入念に作成し直さなければならない。検査の精度は時折改善の必要がある場合もある。
【0062】
そのような第VIII因子結合検査は、例えば、Diagnostica Stago S.A.S.によるキットASSERACHROM VWF:FVIIIBが関わる診断法であり得る(フランス、添付文書バージョン2018年2月、REF00919、2023年3月16日にダウンロードされたhttps://ifu.stago.com/fileadmin/user_upload/notices/Notices_Reactifs/0091904201802/DE_ASSERACHROM%23VWF%23FVIIIB_20180228.pdf)。
【0063】
図3は、酵素免疫検定法(ELISA)として構成される第VIII因子結合検査に関して、自動分析システム(1)を用いて試料(23)を分析するための方法(30)を概略的に示す。
【0064】
まず、試薬および対照物質用のコンパートメントならびに測定用のキュベットを有する、好ましくは検査に特化したカートリッジ(3)が製造される(カートリッジ製造(27))。
【0065】
さらに、好ましくは市販されている承認済み検査の必要な試薬が、好ましくは改変されずに製造され、カートリッジ(3)のコンパートメントにすぐに使用できる形態で添加される(試薬製造(26))。
【0066】
例えば、個々のキュベット(31~52)の充填量および用途は以下の通りである。
【0067】
キュベット16(46)は8000μLの充填量を有する。キュベット1~6(31~36)は測定を実施することを目的としており、それぞれキュベット底部がコーティングされている。キュベット7~12(37~42)は160μLの充填量を有する。キュベット17~22(47~52)は空であり、すなわち、0μLの充填量を有する。キュベット13(43)は85μLの充填量を有する。キュベット14および15(44および45)は110μLの充填量を有する。
【0068】
キュベット(31~52)はそれぞれ、上記で指定された充填量に従って以下の物質が充填されるか、またはその底部は対応するようにコーティングされている。
【0069】
キュベット1~6(31~36)のキュベット底部は、ヒトVWF(フォン・ヴィレブランド因子)に対するウサギ抗体のF(ab’)2-フラグメントがコーティングされている。
【0070】
キュベット7および8(37および38)には組換えヒト第VIII因子を含む試薬が充填されている。
【0071】
キュベット9および10(39および40)にはヒト第VIII因子に対するペルオキシダーゼ結合モノクローナルマウス抗体を含む試薬が充填されている。
【0072】
キュベット11および12(41および42)には、テトラメチルベンジジン(TMB)を含む試薬が充填されている。
【0073】
キュベット13(43)にはH2SO4を含む試薬が充填されている。
【0074】
キュベット14(44)は対照物質1を含み、正常範囲の既知量のVWF:FVIIIBを含むヒト血漿が充填されている。
【0075】
キュベット15(45)は対照物質2を含み、病理学的に低い範囲で既知量のVWF:FVIIIBを含むヒト血漿が充填されている。
【0076】
キュベット16(46)には洗浄液が充填され、洗浄液は測定キュベットの洗浄に使用される。
【0077】
キュベット17~22(47~52)は空である。
【0078】
充填(28)を実施した後、カートリッジ(3)のキュベット1~22(31~52)のコンパートメントはフィルムで密封される。
【0079】
カートリッジ(3)は冷凍され、中央保管デバイス(25)に移され、そこで-20℃以下に保たれる。
【0080】
カートリッジ(3)、あるいは複数のカートリッジ(3)は、その後移送箱(5)に詰められ、-20℃以下で分析システム(1)まで移送される。カートリッジ(3)の特定の選択および個数の注文によりそれぞれ、対応する移送箱(5)への移送および分析システム(1)の場所への移送を開始する。
【0081】
分析システム(1)の位置で、移送箱(5)が第2のデバイス(4)に導入される。
【0082】
分析システム(1)は、自動化された方法でカートリッジ(3)を移送箱(5)から取り出し、保管のために第1のデバイス(2)に搬入され、第1のデバイス(2)の温度は-20℃以下である。
【0083】
分析システム(1)に試料(23)を入れると、この試料(23)に必要なカートリッジ(3)の第3のデバイス(6)への移送が開始される。
【0084】
第3のデバイス(6)において、カートリッジ(3)は第4のデバイス(7)によって解凍され、好ましくは水浴によって37℃に調節される。
【0085】
37℃に調節されたカートリッジ(3)は、その後、第5のデバイス(8)に移送され、ピペッティング工程、洗浄工程、およびインキュベーション工程を含め、該当の検査が実施される。インキュベーション工程は、好ましくは第6のデバイス(9)で実施される。様々なピペッティング工程、洗浄工程、およびインキュベーション工程は以下の順序で行われる。
i)50μLの試料(23)、50μLの対照物質1、および50μLの対照物質2をそれぞれ2つの測定キュベットにピペッティングし、カバーフィルムを穿孔する;
ii)37℃で30分間インキュベーションする;
iii)どの場合も75μLの洗浄液で5回洗浄する;
iv)50μLの試薬a.(組換えヒト第VIII因子を含む試薬)を6個の測定キュベットそれぞれにピペッティングする;
v)37℃で30分間インキュベーションする;
vi)どの場合も75μLの洗浄液で5回洗浄する;
vii)50μLの試薬b.(ヒト第VIII因子に対するペルオキシダーゼ結合モノクローナルマウス抗体を含む試薬)を6個の測定キュベットそれぞれにピペッティングする;
viii)37℃で30分間インキュベーションする;
ix)どの場合も75μLの洗浄液で5回洗浄する;
x)50μLの試薬a.(テトラメチルベンジジン(TMB)を含む試薬)を6個の測定キュベットそれぞれにピペッティングする;
xi)37℃で2.5分間インキュベーションする;
xii)12.5μLの試薬e.(H2SO4(1M)を含む試薬)を6個の測定キュベットそれぞれにピペッティングする;
xiii)37℃で7.5分間インキュベーションする。
【0086】
試料(23)は0.11Mクエン酸血漿であり、リン酸緩衝液を用いて、VWF:Ag値が標準値の10%に希釈されている。試料のVWF:Ag濃度は、希釈倍率を確定できるように事前に決定しておく必要がある。
【0087】
カートリッジ(3)はその後、試料調製物を測定し、測定結果を評価するために、第7のデバイス(10)に移される。波長450nmにおける試料調製物の消光が測定される。この評価は、正確に対応する検査手順を使用することによって、カートリッジ(3)のそれぞれのバッチについて一元的に決定された、電子的に送信された検量線に関連して行われる。
【0088】
さらに、使用済みカートリッジ(3)は移送箱(5)に移される。移送箱はもはや冷却されておらず、有利には室温である。カートリッジ(3)は、移送箱(5)が新たに送達された別の移送箱(5)と交換されるまで、移送箱(5)内に留まる。新たに送達された移送箱(5)には次に冷凍カートリッジ(3)が入れられる。使用済みカートリッジ(3)は、好ましくは、できるだけ環境に優しい方法で廃棄されるか、または再利用のために送達される。使用済みカートリッジ(3)を搬送した移送箱(5)は洗浄され、別の新しいカートリッジ(3)の次の移送に備えられる。
【符号の説明】
【0089】
1 分析システム
2 (T1でカートリッジを保管するための)第1のデバイス
3 カートリッジ
T1 第1の温度
4 (移送箱を受け取るための)第2のデバイス
5 移送箱
6 (T2でカートリッジを保管するための)第3のデバイス
T2 第2の温度
7 (カートリッジをT1からT2まで加熱するための)第4のデバイス
8 (少なくとも1種の液体をピペッティングするための)第5のデバイス
9 (少なくとも1つのカートリッジをインキュベーションするための)第6のデバイス
10 (少なくとも1種の試料調製物を測定するための)第7のデバイス
11 検査調製物
12 (少なくとも1種の試薬が入ったカートリッジの)第1のコンパートメント
13 試薬
14 (少なくとも1種の対照物質が入ったカートリッジの)第2のコンパートメント
15 対照物質
16 (測定キュベットを含むカートリッジの)第3のコンパートメント
17 測定キュベット
T3 第3の温度
T4 第4の温度
18 凹部
19 (T1、T2、T3、T4を制御するための)第8のデバイス
20 (カートリッジを5から2に自動的に搬入するための)第9のデバイス
21 (カートリッジを2から6に自動的に搬入するための)第10のデバイス
22 (カートリッジを6から5に自動的に搬入するための)第11のデバイス
23 試料
24 検量線
25 中央保管ユニット
26 試薬製造
27 カートリッジ製造
28 充填
30 方法
31 キュベット1
32 キュベット2
33 キュベット3
34 キュベット4
35 キュベット5
36 キュベット6
37 キュベット7
38 キュベット8
39 キュベット9
40 キュベット10
41 キュベット11
42 キュベット12
43 キュベット13
44 キュベット14
45 キュベット15
46 キュベット16
47 キュベット17
48 キュベット18
49 キュベット19
50 キュベット20
51 キュベット21
52 キュベット22
【外国語明細書】