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特開2024-139767空洞を備える構造体を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139767
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】空洞を備える構造体を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20241002BHJP
   B23K 26/323 20140101ALI20241002BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20241002BHJP
   B23K 101/14 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/323
B23K20/00 310A
B23K101:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024049766
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】2302883
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・モンテルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・シニア
【テーマコード(参考)】
4E167
4E168
【Fターム(参考)】
4E167AA02
4E167AA06
4E167AA08
4E167AA13
4E167BA13
4E167DB01
4E168BA02
4E168BA30
4E168BA83
4E168BA87
4E168BA89
4E168FB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】変形、変位、および/またはずれの現象を回避しながら場合により単純なまたは複雑な形状を有する空洞を備える構造体を形成することを可能にする方法を提供する。
【解決手段】空洞を備える構造体を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、a)第1の材料で作られた基材(100)の第1の面(101)に陥凹領域(110)を形成するステップと、b)基材(100)の陥凹領域(110)を覆うように、基材(100)の第1の面(101)上に第2の材料で作られたプレート(200)を置くステップと、c)陥凹領域の周りで好ましくは真空下で抵抗溶接、電子ビーム溶接、または貫通レーザ溶接を行い、それによりプレート(200)が基材(100)上に溶接され、空洞が形成される、ステップと、d)得られた組立体上で熱間静水圧圧縮成形拡散溶接のステップを行うステップと、を含む、方法。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を備える構造体を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)第1の材料で作られた基材(100)の第1の面(101)に陥凹領域(110)を形成するステップと、
b)前記基材(100)の前記陥凹領域(110)を覆うように、前記基材(100)の前記第1の面(101)上に第2の材料で作られたプレート(200)を置くステップと、
c)前記陥凹領域の周りで真空下での抵抗貫通溶接または真空中貫通レーザ溶接を行い、それにより前記プレート(200)が前記基材(100)上に溶接され、空洞が形成される、ステップと、
d)得られた組立体上での熱間静水圧圧縮成形拡散溶接のステップを行うステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップc)中、前記プレート(200)の輪郭にわたって貫通レーザ溶接が行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc)の後、前記プレート(200)/基材(100)接触面においてガス抜きのステップが行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップc)とステップd)との間に、以下の連続的なステップ、すなわち、
- 前記プレート(200)上にカウル(300)を置くステップと、
- 前記カウル(300)を前記プレート(200)上に溶接するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カウル(300)を前記プレート(200)上に溶接した後、前記プレート(200)/カウル(300)接触面においてガス抜きのステップが行われるステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カウル(300)が、好ましくは真空下でのレーザ溶接により前記プレート(200)上に溶接されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の材料および前記第2の材料が、銅およびその合金、チタンおよびその合金、アルミニウムおよびその合金、鋼鉄、ならびにバナジウムの中から独立して選択され、前記第1の材料および前記第2の材料が、場合により同一であるかまたは異なることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 第1の材料で作られた基材(100)であって、その第1の面(101)に陥凹領域(110)を備える、基材(100)と、
- 前記基材(100)の前記陥凹領域(110)を覆う第2の材料で作られたプレート(200)であって、真空透過、抵抗溶接、またはレーザ溶接、および熱間静水圧圧縮成形拡散によって得られる溶接部(210)により前記陥凹領域(110)の周りで前記基材(100)上に溶接されており、前記基材(100)および前記プレート(200)によって区切られた前記陥凹領域が空洞を形成する、プレート(200)と、
- 場合により、前記プレート(200)上に溶接されたカウル(300)と、
を備える、構造体。
【請求項9】
前記第1の材料および前記第2の材料が、銅およびその合金、チタンおよびその合金、アルミニウムおよびその合金、鋼鉄、ならびにバナジウムの中から独立して選択され、前記第1の材料が、場合により前記第2の材料と同一であるかまたは前記第2の材料とは異なることを特徴とする、請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
前記構造体が、流体循環を引き起こすように配置された空洞を備える熱交換器であり、前記空洞が、気体または液体などの流体の循環のためのチャネルを形成することを特徴とする、請求項8または9に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換の分野に関し、より一般的には、例えば流体循環チャネルといった空洞を備える構造体に関する。
【0002】
本発明は、空洞を含む構造体を製造するための方法に関する。
【0003】
本発明はまた、空洞を含む構造体に関する。
【0004】
本発明は、多くの産業分野に応用され、また特に熱交換器の製造に応用される。
【0005】
本発明は、空洞を備える要素を得ることを可能にするので、特に関心を引くものであり、空洞は、場合により単純な形状または複雑な形状を有する。
【背景技術】
【0006】
現在、いくつかの方法が、陥凹部分を備える構造体を作ることができる。
【0007】
第1の解決策は、付加製造(または、3D印刷)により構成要素を製造することにある。良好な機械的特性を有する複雑な幾何形状の部品を得ることができる。しかし、寸法公差および幾何公差が順守されないことがしばしばある。
【0008】
第2の解決策は、中実の基本部品において材料を除去することによりチャネルを形成することにある。しかし、そのような機械加工技法は、チャネルの所望の幾何形状、断面、および長さの全てを得ることを可能にしない。
【0009】
第3の解決策は、例えば融接、鑞付け、または拡散溶接のような様々な技法により基本部品を互いに組み立てることにある。
【0010】
拡散溶接は、現在最も有望な手法のうちの1つであり、より詳細には、熱間静水圧圧縮成形(HIP:Hot Isostatic Pressing)溶接である。押圧は、組み立てられるべき構成要素の壁の全てにわたって加圧ガスを適用することによって得られる。この技法により陥凹部分を含む構成要素を作るための3つの方法が存在する。
【0011】
図1に示された第1の方法は、2つの溝付きプレート2、3の間に挟まれるチューブ1を使用することにある。溝の形状は、チューブと同一である。チューブは、様々な断面(例えば、正方形、長方形)を得るために、または様々な長さ方向曲率(lengthwise curvature)を有するために、事前変形され得る。
【0012】
しかし、この第1の方法によると、単純な幾何形状の陥凹部分しか得られない。
【0013】
図2に示された第2の方法は、2回の拡散溶接サイクルにより組立てを実行することにある。そのような方法は、文献WO2011/026925A1で説明されている。少なくとも1つの溝付きプレートを含むいくつかのプレート4、5が、重ね合わせられる。2つのプレートの間にビードが配置される。プレート4、5上での材料ビードの拡散による溶接を行うために、処理ステップが実行される。第1のサイクルは、低圧において実行される。陥凹部分は、端部において閉塞されている。ガスは接触面に侵入しないので、拡散溶接が行われる。接合部は、気密である。しかし、大きな寸法の孔隙が残存し、組立体は、低い機械的強度を有する。したがって、方法は、組立体の要素の拡散溶接を行うために、熱間静水圧圧縮成形により組立体を結合するステップを含む。このサイクルは、高圧において開始され、陥凹部分は、孔隙を閉塞しかつ接合部を抑えるために、開放している。
【0014】
この第2の方法の主な欠点は、陥凹部分を変形させることなしに陥凹部分を製造することがほとんど不可能であることである。実際、第1のサイクル中、チャネルの内側には圧力が存在しないので、チャネルは変形され得る。
【0015】
チャネルの変形/崩壊を回避するために、後で例えば化学的にまたは機械的に排除または除去することができる材料をチャネル内に挿入することが可能である。例えば、そのような解決策が、文献特開2006/263746で説明されている。しかし、適切なフィラー材料を見つけることのみならず、フィラー材料を完全に排除するのに成功することも、困難であり得る。
【0016】
第3の方法は、基材7に形成されたチャネル上に薄肉のプレート6のレーザ溶接を行い、次いで得られた組立体上にキャップ8を溶接することにある。例えば、この方法は、図3に示されている。そのような方法はまた、文献WO2006/067349A1で説明されている。より詳細には、この方法は、以下のステップ、すなわち、
- 陥凹部分の底部を形成するために溝が作られた基材7を用意するステップ(図4A)と、
- 陥凹部分を閉塞するために溝の上部に薄肉のブレード6を配置するステップ(図4B)と、
- 気密性を保証するために縁部/縁部レーザ溶接によりブレード6を基材7に溶接するステップ(図4C)と、
- 基材7およびブレード6によって形成された組立体上にキャップ8を堆積させるステップ(図4D)と、
- 熱間静水圧圧縮成形拡散により基材7およびキャップ8を溶接するステップ(図4E)と、
を含む。
【0017】
しかし、この最後の方法は、多くの欠点を有する。具体的には、溝における薄肉のブレードのかみ合いは、厳密な幅公差(0.1mm)を要求し、これは、機械加工費を増大させるのみならず、特にブレードが複雑な形状の陥凹部分になるときに変形、変位、および/またはずれを伴うことなしにかみ合い部において薄いブレードをかみ合わせかつ溶接することは依然として難しいので、方法を複雑にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2011/026925号
【特許文献2】特開2006/263746号公報
【特許文献3】国際公開第2006/067349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、従来技術の欠点を克服する方法を提供することを目的とし、具体的には、変形、変位、および/またはずれの現象を回避しながら場合により単純なまたは複雑な形状を有する空洞を備える構造体を形成することを可能にする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的のために、本発明は、空洞を備える構造体を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
a)第1の材料で作られた基材の第1の面に陥凹領域を形成するステップと、
b)基材の陥凹領域を覆うように第2の材料で作られたプレートを基材の第1の面上に置くステップと、
c)陥凹領域の周りで好ましくは真空下で抵抗溶接、電子ビーム溶接、または貫通レーザ溶接(transparent laser welding)を行い、それによりプレートが基材上に溶接されて空洞が形成される、ステップと、
d)得られた組立体上で熱間静水圧圧縮成形拡散溶接のステップを行うステップと、
を含む方法を提供する。
【0021】
本発明は、基材上にプレートを置くこと、および、気密な空洞を形成するために基材の陥凹領域の輪郭全体にわたって好ましくは真空下で基材上へのプレートの貫通溶接のステップを実施することが、従来技術とは本質的に異なる。溶接は、貫通抵抗溶接(transparent resistance welding)、貫通電子ビーム溶接(transparent electron-beam welding)、または貫通レーザ溶接で構成され得る。このステップは、基材/プレート接合部における気密性を確実にする。したがって、空洞の境界がシールされるだけでなく、さらに、このステップは、閉じ込められる表面の汚染/酸化を制限し、場合により回避する。
【0022】
真空環境の使用は、中性ガス下と同じビーム出力において、より薄くかつより貫通性のある溶接ビードを得ることを可能にする。溶接は、プレートを通してプレート/基材接触面において行われる。
【0023】
熱間静水圧圧縮成形拡散溶接は、組立体を完成することを可能にする。
【0024】
有利には、ステップc)中、プレートの輪郭にわたって貫通レーザ溶接が行われる。
【0025】
溶接ビードは薄く、大気は真空下で均質である(中性ガス下で溶接するときのように溶融と一緒にガス状保護物を有することは、必須ではない)ので、小さな幅の空洞を溶接すること、および/または狭く深いウェルの底において溶接することが可能である。
【0026】
有利には、ステップc)の後、プレート/基材接触面においてガス抜きのステップが行われる。
【0027】
この有利な変形形態によれば、方法は、ステップc)とステップd)との間に、以下の連続的なステップ、すなわち、
- プレート上にカウルを置くステップと、
- カウルをプレート上に溶接するステップと、
を含む。
【0028】
有利には、カウルをプレート上に溶接した後、方法は、プレート/カウル接触面においてガス抜きのステップが行われるステップを含む。
【0029】
有利には、カウルは、好ましくは真空下で貫通レーザ溶接によりプレート上に溶接される。
【0030】
有利には、第1の材料および第2の材料は、銅およびその合金、チタンおよびその合金、アルミニウムおよびその合金、鋼鉄、ならびにバナジウムから独立して選択される。第1の材料および第2の材料は、同一であるかまたは異なっていてもよい。
【0031】
方法は、多くの利点、すなわち、
- 残留応力がほとんどない(化学組成および微細構造の観点から)一様な溶接部を得ること、
- 同一の(鋼鉄、アルミニウム合金、チタン合金、銅合金などの)材料を互いに組み立てるか、または、化学組成が非常に異なる材料(例えば、鋼鉄/銅、鋼鉄/バナジウム組立体、など)を組み立てること、
- 従来技術の方法と比較してより低い実施費、具体的にはより低い機械加工費を有すること、
- 複雑な形状の空洞を有する構造体を製造する能力、
- 変形現象を回避すること、
- かみ合わせステップを実施しないこと
を有する。
【0032】
本発明はまた、そのような方法によって得られる構造体に関する。構造体は、
- 基板の第1の面に陥凹領域を備える、第1の材料で作られた基材と、
- 基材の陥凹領域を覆う第2の材料で作られたプレートであって、好ましくは真空下での透過、抵抗溶接、レーザ溶接、および電子ビーム溶接、ならびに熱間静水圧圧縮成形拡散によって得られる溶接部により陥凹領域の周りで基材上に溶接され、陥凹領域が基材およびプレートによって区切られて空洞を形成する、プレートと、
- プレート上に溶接されたカウルと、
を備える。
【0033】
有利には、第1の材料および第2の材料は、銅およびその合金、チタンおよびその合金、アルミニウムおよびその合金、鋼鉄、ならびにバナジウムから独立して選択される。第1の材料は、第2の材料と同一であるかまたは異なっていてもよい。
【0034】
有利には、構造体は、流体循環を引き起こすように配置された空洞を備える熱交換器であり、空洞は、流体、すなわち気体または液体(例えば、N、水、溶融金属の混合物)の循環のためのチャネルを形成する。
【0035】
本発明の他の特徴および利点は、以下の補完的な説明から明らかになるであろう。
【0036】
当然ながら、この補完的な説明は単に本発明の目的の例示として与えられたものであり、いかなる場合においてもこの目的を限定するものと解釈されるべきではない。
【0037】
本発明は、純粋に表示目的のためにまた限定しない目的のために与えられた実施形態の説明を添付の図面を参照しながら読めば、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】先に説明された従来技術による実施形態の図である。
図2】先に説明された従来技術による実施形態の図である。
図3】先に説明された従来技術による実施形態の図である。
図4A】先に説明された従来技術による方法のステップの図である。
図4B】先に説明された従来技術による方法のステップの図である。
図4C】先に説明された従来技術による方法のステップの図である。
図4D】先に説明された従来技術による方法のステップの図である。
図4E】先に説明された従来技術による方法のステップの図である。
図5A】本発明の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図5B】本発明の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図5C】本発明の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図5D】本発明の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図6A】本発明の別の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図6B】本発明の別の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図6C】本発明の別の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図6D】本発明の別の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図6E】本発明の別の特定の実施形態による方法のステップの図である。
図7A】本発明の特定の実施形態による方法を実施するために使用される基材の概略立体図である。
図7B】本発明の特定の実施形態による方法を実施するために使用される基材の概略立体図である。
図8】本発明の別の特定の実施形態による方法を実施するために使用される異なる基材の写真である。
図9】本発明の別の特定の実施形態による、図8の異なる基材上へのプレートの真空中貫通レーザ溶接(transparent laser-in-vacuum welding)後に得られた異なる構造体の写真である。
図10図9に示された構造体のうちの一方の溶接部の金属組織断面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図に示された様々な部分は、図をより読みやすくするために、必ずしも一定の縮尺に従って表示されていない。
【0040】
様々な可能性(変形形態および実施形態)は、互いに排他的なものではなく、互いに組み合わせされてもよいものであると理解されるべきである。
【0041】
さらに、以下の説明では、構造体の「頂部(top)」、「底部(bottom)」などのような配向に左右される用語は、図に示された態様で構造体が配向されていることを考慮して適用される。
【0042】
これは決して制限的ではないが、本発明は、特に、しかしこれに限られないが、2つの流体間の熱交換を対象とした流体の循環のためのチャネルを含む構造体の製造において特定の応用を見出す。
【0043】
次に、添付の図5Aから図5Fを参照しながら、空洞を備える構造体を製造するための方法をより詳細に説明する。方法は、以下のステップ、すなわち、
a)第1の材料で作られた基材100の第1の面101に陥凹領域110を形成するステップ(図5A)と、
b)基材100の陥凹領域を覆うように、基材100の第1の面101上に第2の材料で作られたプレート200を置くステップ(図5B)と、
c)陥凹領域の周りで好ましくは真空下で抵抗溶接、電子ビーム溶接、または貫通レーザ溶接を行い、それにより、プレート200が基材100上に溶接され、気密な空洞が形成される、ステップ(図5C)と、
d)得られた組立体上で熱間静水圧圧縮成形拡散溶接のステップを行うステップ(図5D)と、
を含む。
【0044】
1つの変形形態によれば、方法は、ステップc)とステップd)との間に、プレート200上にカウル300を置くステップと、カウル300をプレート200に溶接するステップと、をさらに含む。したがって、例えば図6Aから図6Eに示されたこの変形形態によれば、方法は、以下のステップ、すなわち、
a)第1の材料で作られた基材100の第1の面101に陥凹領域110を形成するステップ(図6A)と、
b)基材100の陥凹領域110を覆うように、基材100の第1の面101上に第2の材料で作られたプレート200を置くステップ(図6B)と、
c)陥凹領域110の周りで好ましくは真空下で抵抗溶接、レーザ溶接、または電子ビーム溶接を行い、それにより、プレート200が基材100上に溶接され、気密な空洞が形成される、ステップ(図6C)と、
- カウル300をプレート200上に置くステップと、
- カウル300をプレート200上に溶接するステップ(図6D)と、
d)得られた組立体上で熱間静水圧圧縮拡散溶接のステップを行うステップ(図6E)と、
を含む。
【0045】
基材100は、第1の面101および第2の面102を備える。第1の面101は、第2の面102に平行であり得る。第1の面101は、第2の面102に平行でない場合もある。例えば、第1の面101は、平面状である(図7A)か、または起伏を有する(図7B)場合がある。
【0046】
ステップa)中、基材100は、陥凹領域を形成するように機械加工される。陥凹領域110は、単純な形状(例えば、長手方向の形状)を有し得る。例えば、陥凹領域は、溝(すなわち、狭いものであり得る長手方向の切欠き)で構成される。陥凹領域はまた、複雑な形状を有し得る(例えば、曲がり角、ジグザグを有し得る)。
【0047】
陥凹領域110は、かなり多様な断面および経路を有し得る。具体的には、陥凹領域110は、長方形、多角形、半円形の断面を有し得る。陥凹領域110はまた、それらの長さに従って変化する断面を有し得る。陥凹領域110の経路は、直線状あってもそうでなくてもよい。経路は、前後するセグメントおよび/またはきつい曲がり角を特徴とし得る。
【0048】
陥凹領域は、2D(すなわち、同じ平面(x、y))において作られるか、または3Dにおいて作られ得る(すなわち、それらの位置が平面(x、y、z)内で変化し得る)。
【0049】
有利には、各陥凹領域110は、少なくともその端部のうちの1つにおいて開口している。陥凹領域2つの端部を有し、2つの端部が開口して通じていることが好ましい。
【0050】
特定の実施形態では、基材100の第1の面101および第2の面102に陥凹領域110を形成することが可能である。すると、基材100の第2の面102上に別のプレートを配置することが可能であり、基材は2つのプレートの間に挟まれる。この実施形態は、コンパクトな構造体を形成することを可能にする。
【0051】
有利には、組み立てられるべき全ての表面が、きれいな表面を得るために、また、接合部の特性(例えば、機械的特性または電気的特性)を向上させるために、清掃されかつ/または(例えば、化学的酸洗いもしくは軽い機械加工により)前処理される。
【0052】
ステップb)中に使用されるプレート200は、貫通溶接によりプレートを基材上に溶接することが可能であるように選択される。プレート200は、基材100上に置かれて位置合わせされる。プレート200は中実のプレートであるので、この調整は、実施するのが簡単である。プレート200の表面は、少なくとも陥凹領域110の全てを覆う。プレート200の表面は、基材100の第1の面101の全体を覆うことが好ましい。
【0053】
有利には、プレート200および基材100は、それらの部品の表面に存在し得る表面酸化物を除去しかつ/または良好な粗さを有するために、組み立てられる前に清掃されかつ/または機械加工される。したがって、組み立てられるべき接合部の清浄度は、保証される。このステップは、接合部における機械的特性の向上につながる。
【0054】
第1の変形形態によれば、プレート200は、キャップとして機能し得る。これは、方法の実施に必要なステップおよび要素の数を減らすことを可能にする。したがって、費用が削減される。プレート200の厚さは、基材100との耐密溶接を得るのに十分な小ささであるように選択される。
【0055】
別の変形形態によれば、続いて、カウル300がプレート200上に溶接される。カウル300は、キャップとして機能する。カウル300の表面は、少なくともプレート200の表面に相当する。カウル300は、必要に応じて材料を追加することを可能にする、反対型(counter-form)である。
【0056】
この変形形態によれば、プレート200もまた、陥凹領域を含み得る。プレートの陥凹領域は、カウル300によって閉塞され得る。カウル300は、陥凹領域を有さない場合もあれば、陥凹領域を有する場合もある。
【0057】
この変形形態によれば、プレート200の厚さは、プレートがキャップとしても機能する変形形態におけるよりも薄い場合がある。
【0058】
基材100の第1の材料、およびプレート200の第2の材料は、同一であってもよい(すなわち、均質な集合体で構成される)。
【0059】
あるいは、第1の材料および第2の材料は、異なっていてもよい(すなわち、不均質の集合体で構成される)。
【0060】
第1の材料および第2の材料は、銅およびその合金、チタンおよびその合金、アルミニウムおよびその合金、鋼鉄、ならびにバナジウムから、互いに独立して選択され得る。ステップc)中、基材100の第1の面101に向かい合って配置されたプレート200の面、および基材100の第1の面101は、拡散によって溶接されるべき接触面を形成する。
【0061】
プレート200は、基材100上に溶接される。溶接は、陥凹領域110の輪郭全体にわたって行われる。得られる溶接部210は、陥凹領域110の輪郭に従う(図5C図6C)。接触面の周囲は、気密かつガス抜きされた態様で溶接される。
【0062】
溶接により、鑞付けの使用は必須ではない。したがって、得られた要素を使用することができる最高温度が上昇する。
【0063】
貫通溶接は、レーザ溶接、電子ビーム溶接、または抵抗溶接によって行われ得る。有利には、抵抗溶接の場合、溶接されるべき要素の厚さは、典型的には3mmよりも小さくなる。抵抗溶接は、空気下で、制御された大気下で、または真空下で行われ得る。
【0064】
このステップは、レーザ溶接によって行われることが好ましく、さらには真空中貫通レーザ溶接よりなることがより好ましい。
【0065】
各陥凹領域110に対して2つの溶接ビードを形成することが可能である。それでもなお、陥凹領域が互いに非常に近接している場合、単一の溶接ビードで十分であり得る。
【0066】
溶接条件は、基材/プレート接合部における気密を実現するように選択される。
【0067】
したがって、熱間静水圧圧縮成形(HIP)サイクル中に適用されまた陥凹部分に侵入する加圧ガスは、2つのレーザ溶接ビード間において基材100/プレート200接触面には存在しない。
【0068】
有利には、規格NF EN ISO 13919において定義されているように、ビードの完全な貫入および溶接ビードにおける禁止的欠陥の不在を検証するために、検査標本において金属組織断面が行われ得るが、この制御は破壊的である。
【0069】
有利には、基材100の各チャネルの貫通真空溶接の良好な気密性を保証するために、規格NF EN ISO 20485に従う1x10-10 mbar.l.s-1の漏れ検出限界でのヘリウム気密検査が行われ得る。この制御は、非破壊的である。
【0070】
有利には、規格NF EN ISO 13919において定義されているように、溶接ビードにおける隠れた欠陥(redhibitory defect)の不在を検証するために、X線透視法またはX線断層撮影法が行われ得る。この制御は、非破壊的である。
【0071】
有利には、ステップc)中、基材100/プレート200接触面の輪郭もまた、溶接される。溶接部220は、組立体を気密にすることを可能にする(図5D)。適切な場合には、カウル300/プレート200接触面の輪郭もまた、溶接される。溶接部310は、組立体を気密にすることを可能にする(図6D)。輪郭の溶接は、真空溶接によって行われることが好ましい。
【0072】
ステップc)の完了後、形成された空洞は、気密である。
【0073】
ステップd)を実施するために、空洞は、ガスが陥凹部分の内側を循環し得るように、それらの端部のうちの少なくとも1つにおいて開口している。したがって、ステップd)中、空洞の内側の圧力は上昇可能であり、このステップの実施中にチャネルの変形は存在しない。この開口部は、HIPサイクルに先立って基材100の機械加工のステップ中に設けられ得る。
【0074】
有利には、ステップd)の前に、基材100/プレート200接触面、および/またはカウル300/プレート200接触面は、2次的な真空下でガス抜きされる。
【0075】
ステップd)中、HIP拡散溶接が行われる。ステップc)中に溶接されたプレート200による陥凹領域110のシーリングは、形成されたチャネルの著しい変形を伴わないHIP拡散溶接を可能にする。
【0076】
この拡散溶接は、固相において行われる。材料の融点である約0.5から0.9xTfの温度および高圧が、組み立てられるべき構成要素に適用される。
【0077】
鋼鉄およびニッケル合金に関しては、溶接温度は、典型的には900℃から1,250℃の間で選択される。圧力は、典型的には700バールから1,500バールの間(すなわち、8x10Paから1.5x10Paの間)である。例えば、溶接時間は、1時間から10時間の間、好ましくは2時間から5時間の間で構成される。
【0078】
第1のステップでは、粗い材料スパイクにおいて接触が行われる。次いで、様々な拡散機構、およびグレーンシール(grain seal)のシールの移動が、細孔を閉塞する。したがって、組み立てられるべき2つの部品の間の接触面は、消失する。
【0079】
ステップc)のレーザ溶接の真空度が十分でない場合、HIP拡散溶接ステップの前に、例えば穿孔ノズルおよびポンプノズル(すなわち、基材/プレート接触面および/またはプレート/カウル接触面において真空を引くことを可能にするチューブ)により穴が形成されるステップを行うことが可能である。溶接されるべき接触面における真空度が高いほど、接合部の機械的特性はより良くなるであろう。
【0080】
拡散溶接は、チャネルの変形をもたらさない。
【0081】
特定の変形形態では、拡散溶接ステップの後、作られるべき部品の所望の寸法を得るために、構造体の様々な要素の厚さを減少させることが可能である。
【0082】
1つの実施形態の例示的かつ非限定的な例
この例では、ジグザグ様の陥凹領域110、より具体的にはM字状の陥凹領域を含む基材100が、製造された(図8)。基材100は、鋼鉄で作られている。
【0083】
鋼鉄で作られたプレート200が、構造体の上に設置されている。次いで、以下のステップ、すなわち、
- 溶接部210によりプレート200を基材100上に溶接し、したがって気密な空洞を形成するために、真空中貫通レーザ溶接が行われるステップであって、基材100の輪郭およびプレート200の輪郭もまた貫通レーザ溶接によって溶接されている、ステップと、
- 得られた組立体の熱間静水圧圧縮成形拡散溶接のステップと、
が行われる。
【0084】
図9は、真空中貫通レーザ溶接ステップ後に得られた部品を示す。
【0085】
レーザ溶接部の気密性を検証するためにヘリウム検査が行われた。検査は、規格ISO20485:2018(「非破壊検査-リークテスト-トレーサーガス法」)の段落A.3で説明されているものである。部品は、良好な気密度を有する。
【0086】
金属組織断面が、溶接部210が基材100内に貫入することを確認する(図10)。
【符号の説明】
【0087】
1 チューブ
2 溝付きプレート
3 溝付きプレート
4 プレート
5 プレート
6 プレート、ブレード
7 基材
8 キャップ
100 基材
101 第1の面
102 第2の面
110 陥凹領域
200 プレート
210 溶接部
220 溶接部
300 カウル
310 溶接部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図8
図9
図10
【外国語明細書】