(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139774
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】装飾材及び装飾材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 5/02 20060101AFI20241002BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241002BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20241002BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B32B5/02
B32B27/00 E
B32B5/26
D06M15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050041
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2023049624
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良介
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 幹之
(72)【発明者】
【氏名】松沢 孝教
【テーマコード(参考)】
4F100
4L033
【Fターム(参考)】
4F100AG00B
4F100AK01A
4F100AK46C
4F100AK52A
4F100AK52B
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100CB00C
4F100CB03C
4F100DC11B
4F100DG01B
4F100DG12A
4F100DG15B
4F100EJ54D
4F100EJ82A
4F100EJ86A
4F100EJ86B
4F100GB08
4F100HB00
4F100HB00D
4F100JB12A
4F100JB12B
4F100JB14D
4F100JK01
4F100JK04
4F100JK14
4F100JL01
4F100JL03
4F100JL05
4F100JL10
4F100JL10D
4F100JL11C
4F100JL12C
4F100JN01
4F100JN06
4F100JN08
4F100YY00B
4L033AA09
4L033AB05
4L033AC15
4L033CA59
(57)【要約】
【課題】軽量化を図りつつ施工性を向上することができる装飾材及び装飾材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】装飾材10は、三軸織物21を有する表面材20を備え、三軸織物21は、硬化性樹脂22によって硬化されている。この装飾材10は、更に、多孔性の繊維集合体である基材4と、表面材20と基材4との間に配置された接着層3と、備え、基材4の坪量は150g/m
2以下である。三軸織物21を有する表面材20を備えた装飾材10の製造方法は、硬化性樹脂22によって三軸織物21を硬化させて表面材20を作製する。この装飾材10の製造方法は、更に、表面材20と多孔性の繊維集合体である基材4とを接着し、基材4の坪量を150g/m
2以下とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三軸織物を有する表面材を備え、
前記三軸織物は、硬化性樹脂によって硬化されている、
装飾材。
【請求項2】
前記硬化性樹脂は、前記三軸織物の表面を被覆している、
請求項1に記載の装飾材。
【請求項3】
多孔性の繊維集合体である基材と、
前記表面材と前記基材との間に配置された接着層と、を更に備え、
前記基材の坪量は150g/m2以下である、
請求項1に記載の装飾材。
【請求項4】
前記基材が、ガラス繊維不織布からなる、
請求項3に記載の装飾材。
【請求項5】
前記三軸織物上に設けられた絵柄層を更に備え、
前記絵柄層は、前記三軸織物の厚さ方向に立体的に設けられている、
請求項1に記載の装飾材。
【請求項6】
前記絵柄層は、UVインキの硬化物を有する、
請求項5に記載の装飾材。
【請求項7】
前記三軸織物は、第一方向に延びる第一糸と、前記第一方向と交差する第二方向に延びる第二糸と、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向に延びる第三糸と、を有し、
前記絵柄層は、前記第一糸上、前記第二糸上、及び前記第三糸上に設けられており、
前記三軸織物の厚さ方向から見て、前記第一糸上に設けられた前記絵柄層と、前記第二糸上に設けられた前記絵柄層と、前記第三糸上に設けられた前記絵柄層と、が連続している、
請求項5に記載の装飾材。
【請求項8】
三軸織物を有する表面材を備えた装飾材の製造方法であって、
硬化性樹脂によって前記三軸織物を硬化させて前記表面材を作製する、
装飾材の製造方法。
【請求項9】
前記表面材と多孔性の繊維集合体である基材とを接着し、
前記基材の坪量を150g/m2以下とする、
請求項8に記載の装飾材の製造方法。
【請求項10】
前記三軸織物上に絵柄層を設ける、
請求項8に記載の装飾材の製造方法。
【請求項11】
前記硬化性樹脂の表面に前記絵柄層を設ける、
請求項10に記載の装飾材の製造方法。
【請求項12】
前記三軸織物の表面に前記絵柄層を設ける、
請求項10に記載の装飾材の製造方法。
【請求項13】
インクジェット印刷により前記絵柄層を設ける、
請求項10に記載の装飾材の製造方法。
【請求項14】
UVインクを用いてインクジェット印刷を行った後に、紫外線を照射することにより前記UVインクを硬化させて、前記絵柄層を設ける、
請求項13に記載の装飾材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾材及び装飾材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光を透過する装飾材として、金属の板に穴をあけたパンチングメタルや、木材や金属またはガラスからなる細長い羽板を隙間をあけて平行に並べたルーバー材などが広く用いられている。
【0003】
さらに最近、金属や木材、ガラスなどの重量物に代わる光を透過する装飾材として、特許文献1に記載されているような三軸織物を表面材として使用した膜材も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなパンチングメタルやルーバー材は、重量物で柔軟性を持たないため、施工性やハンドリングが悪い。
【0006】
また、特許文献1に記載された膜材は、三軸織物の素材や織り構造によって剛性が大きく変わるため、施工性が必ずしも十分であるとは言えない。
【0007】
このようなことから、本発明は、軽量化を図りつつ施工性を向上することができる装飾材及び装飾材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 本発明に係る装飾材は、三軸織物を有する表面材を備え、三軸織物は、硬化性樹脂によって硬化されている。
【0009】
[2] [1]に記載の装飾材において、硬化性樹脂は、三軸織物の表面を被覆していてもよい。
【0010】
[3] [1]又は[2]に記載の装飾材において、多孔性の繊維集合体である基材と、表面材と基材との間に配置された接着層と、を更に備え、基材の坪量は150g/m2以下であってもよい。
【0011】
[4] [3]に記載の装飾材において、基材が、ガラス繊維不織布からなってもよい。
【0012】
[5] [1]~[4]の何れかに記載の装飾材において、三軸織物上に設けられた絵柄層を更に備え、絵柄層は、三軸織物の厚さ方向に立体的に設けられていてもよい。
【0013】
[6] [5]に記載の装飾材において、絵柄層は、UVインキの硬化物を有してもよい。
【0014】
[7] [5]又は[6]に記載の装飾材において、三軸織物は、第一方向に延びる第一糸と、第一方向と交差する第二方向に延びる第二糸と、第一方向及び第二方向と交差する第三方向に延びる第三糸と、を有し、絵柄層は、第一糸上、第二糸上、及び第三糸上に設けられており、三軸織物の厚さ方向から見て、第一糸上に設けられた絵柄層と、第二糸上に設けられた絵柄層と、第三糸上に設けられた絵柄層と、が連続していてもよい。
【0015】
[8] 本開示に係る装飾材の製造方法は、三軸織物を有する表面材を備えた装飾材の製造方法であって、硬化性樹脂によって三軸織物を硬化させて表面材を作製する。
【0016】
[9] [8]に記載の装飾材の製造方法において、表面材と多孔性の繊維集合体である基材とを接着し、基材の坪量を150g/m2以下としてもよい。
【0017】
[10] [8]又は[9]に記載の装飾材の製造方法において、三軸織物上に絵柄層を設けてもよい。
【0018】
[11] [10]に記載の装飾材の製造方法において、硬化性樹脂の表面に絵柄層を設けてもよい。
【0019】
[12] [10]又は[11]に記載の装飾材の製造方法において、三軸織物の表面に絵柄層を設けてもよい。
【0020】
[13] [8]~[12]の何れかに記載の装飾材の製造方法において、インクジェット印刷により絵柄層を設けてもよい。
【0021】
[14] [13]に記載の装飾材の製造方法において、UVインクを用いてインクジェット印刷を行った後に、紫外線を照射することによりUVインクを硬化させて、絵柄層を設けてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、軽量化を図りつつ施工性を向上することができる装飾材及び装飾材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の一実施態様の装飾材の概略断面図である。
【
図3】本開示の別の実施形態の装飾材の概略断面図である。
【
図4】本開示の別の実施態様の装飾材の概略断面図である。
【
図5】
図1の実施態様に係る装飾材に絵柄層を設けた装飾材の概略断面図である。
【
図6】
図4の実施形態に係る装飾材に絵柄層を設けた装飾材の概略断面図である。
【
図7】
図1の実施形態に係る装飾材に絵柄層を設けた装飾材の概略断面図である。
【
図8】
図1の実施形態に係る装飾材に絵柄層を設けた装飾材の概略断面図である。
【
図9】
図1の実施形態に係る装飾材に絵柄層を設けた装飾材の概略断面図である。
【
図10】
図5の実施形態に係る装飾材に絵柄層を設けた装飾材の概略断面図である。
【
図11】
図8の実施形態に係る装飾材に絵柄層を設けた装飾材の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明を行う。ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定されない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
以下、本願の一実施形態に係る装飾材10について説明する。
図1は、装飾材10の積層構造を説明するための断面図である。
【0026】
図1に示すように、装飾材10は、表面材20と、接着層3と、基材4と、を備えている。
【0027】
表面材20は、三軸織物21と硬化性樹脂22からなる。三軸織物21は、硬化性樹脂22によって硬化されている。つまり、表面材20は、硬化性樹脂22によって三軸織物21を硬化させることにより作製される。このため、軽量化が図られるとともに、適度な剛性を有している。
【0028】
図2は、三軸織物21の概略平面図である。
図2に示すように、三軸織物21は、第一方向D1に延びる複数の第一糸21aと、第一方向D1と交差する第二方向D2に延びる複数の第二糸21bと、第一方向D1及び第二方向D2と交差する第三方向D3に延びる複数の第三糸21cと、を有する。三軸織物21は、複数の第一糸21aと、複数の第二糸21bと、複数の第三糸21cとが、互いに織り込まれて構成されている。
【0029】
三軸織物21を構成する繊維は、不燃素材からなることが好ましい。不燃素材からなる繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維を用いることができる。不燃素材からなる繊維を使用した場合は、不燃性を求められる箇所へ採用することが可能となる。また、耐候性を持たせることが可能となる。
【0030】
三軸織物21は、硬化性樹脂22によって硬化されている。硬化性樹脂22は、三軸織物21を硬化させ、また、その表面を保護することを目的として設けられている。
【0031】
硬化性樹脂22は、三軸織物21の表面を被覆している。ここで被覆とは、樹脂が三軸織物21に浸透せず表面のみを覆っている状態、または樹脂が三軸織物に浸透して、かつ、その表面を覆っている状態のいずれでも良い。
【0032】
硬化性樹脂22としては、ポリエチレンやポリプロピレン、シリコーン系硬化性樹脂、フッ素系硬化性樹脂、アクリル系硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル系硬化性樹脂、ポリカーボネート系等を用いることができる。特に、シリコーン系硬化性樹脂、フッ素系硬化性樹脂、アクリル系硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル系硬化性樹脂、ポリカーボネート系を用いた場合は、耐候性がより高くなる。また、紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)などの耐候剤を添加しても良い。
【0033】
硬化性樹脂22として透明度の高い樹脂を用いた場合は、意匠性が特に良くなる。
【0034】
三軸織物21を構成する繊維として耐候性のよい不燃材を用い、さらにその表面に耐候性を有する硬化性樹脂を設けた場合は、特に外装用途として好適に使用することが可能になる。
【0035】
接着層3は、表面材20と基材4との間に配置されて、表面材20と基材4とを接着している。つまり、表面材20と基材4とを接着剤で接着することで、表面材20と基材4との間に接着層3が配置される。接着層3を構成する接着剤は、固形分100%のホットメルト(EVA系やポリアミド系等)やPUR(湿気硬化型)、もしくは高粘度のゴム系やウレタン硬化性樹脂系のものが好ましい。
【0036】
基材4としては、紙や不織布、織物等の繊維からなる多孔性の繊維集合体を用いることができる。基材4としては、例えば、ガラス繊維不織布を用いる。
【0037】
基材4の坪量は、150g/m
2以下とすることができる。基材4については、坪量を150g/m
2以下の範囲で、装飾材1の全光線透過率が40%以上の範囲となるように設定するとよい。基材の坪量が151g/m
2以上で装飾材の全光線透過率が39%以下となると、製品の曲げ易さが低下し施工性に劣る。また、
図3に示す装飾材11のように、基材の坪量を0g/m
2、すなわち基材を貼り付けない状態(装飾材が基材を備えないもの)としてもよい。この場合は、装飾材10の全光透過率を100%とすることができる。
【0038】
ここで、パンチングメタルやルーバー材を用いた従来の装飾材においては、部材が存在する部分では光が遮断されるため、光の透過率は0%となり影ができる。一方で、パンチングメタルの穴や、ルーバー材の部材と部材の間などの部材が存在しない部分においては、光は遮断されることなく侵入するため、光の透過率は100%となっている。そのため、これらの装飾材を用いた場合、光の透過率を0%より大きく100%より小さい範囲の値に適宜コントロールすることは困難である。
【0039】
また、特許文献1に記載された膜材では、三軸織物の空隙部の面積割合を変化させることで、光の透過率を変更することができるが、三軸織物の空隙部の面積割合を変化させるためには、製造方法や製造条件の大幅な変更が必要になるため、容易ではない。
【0040】
これに対して、本実施形態では、基材4の坪量を150g/m2以下の範囲で調整することで、製造方法や製造条件を大幅に変更しなくても、光の透過率を調整することができる。
【0041】
さらに、
図4に示す装飾材12のように、基材4の表面に硬化性樹脂4’を設けることもできる。硬化性樹脂4’は、硬化性樹脂22と同様、樹脂が基材4に浸透せず表面のみを覆っている状態、または樹脂が基材4に浸透して、かつ、その表面を覆っている状態のいずれの状態でも良い。
【0042】
硬化性樹脂4’としては、硬化性樹脂22と同様に、ポリエチレンやポリプロピレン、シリコーン系硬化性樹脂、フッ素系硬化性樹脂、アクリル系硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル系硬化性樹脂、ポリカーボネート系等を用いることができる。特に、シリコーン系硬化性樹脂、フッ素系硬化性樹脂、アクリル系硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル系硬化性樹脂、ポリカーボネート系を用いた場合は、耐候性がより高くなる。また、紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)などの耐候剤を添加しても良い。また、意匠性の観点から透明度の高い硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0043】
基材4の表面に硬化性樹脂4’を設けた場合は、基材4の表面が保護されるため、耐久性や耐候性が向上する。
【0044】
また、
図5~
図9に示すように、三軸織物21上に絵柄層23が設けられていてもよい。
【0045】
図5に示す装飾材13、
図6に示す装飾材14、及び
図7に示す装飾材15では、三軸織物21の表面に絵柄層23が設けられることで、三軸織物21上に絵柄層23が設けられている。
【0046】
図5に示す装飾材13では、
図1の、表面材20を構成する三軸織物21の、接着層3が設けられている面とは異なる面に、絵柄層23を設けたのちに、三軸織物21と絵柄層23からなる積層体の表面全体に硬化性樹脂22を設けることで、三軸織物21の表面に絵柄層23が設けられている。
【0047】
図6に示す装飾材14では、
図4の、表面材20を構成する三軸織物21の、接着層3が設けられている面とは異なる面に、絵柄層23を設けたのちに、三軸織物21と絵柄層23からなる積層体の表面全体に硬化性樹脂22を設けることで、三軸織物21の表面に絵柄層23が設けられている。
【0048】
図7に示す装飾材15では、
図1の、表面材20を構成する三軸織物21の表裏面に、絵柄層23を設けたのちに、三軸織物21と三軸織物21の表裏面に設けられた絵柄層23からなる積層体の表面全体に硬化性樹脂22を設けることで、三軸織物21の表面に絵柄層23が設けられている。
【0049】
三軸織物21の表裏面に絵柄層23を設ける場合、三軸織物21の表裏面に色・同柄の絵柄層23を設けてもよく、三軸織物21の表裏面に異なる色相又は柄の絵柄層23を設けてもよい。また、三軸織物21の片面に黒色の絵柄層23を設けてもよい。三軸織物21の表裏面に同色・同柄の絵柄層23を設けることで、曲げたり丸めたりしてインテリア空間に配置した際に違和感を生み出さないようにすることができる。三軸織物21の表裏面に異なる色相又は柄の絵柄層23を設けることで、1つの空間を2つに分けるインテリア装飾材として用いた場合に、雰囲気の異なる空間を再現することができる。三軸織物21の片面に黒色の絵柄層23を設けることで、壁面への色柄の映り込みがないインテリア装飾材として用いることができる。
【0050】
図8に示す装飾材16及び
図9に示す装飾材17では、硬化性樹脂22の表面に絵柄層23が設けられることで、三軸織物21上に絵柄層23が設けられている。三軸織物21を構成する繊維として、ガラス繊維などのインキが密着し難い繊維を用いることもある。このような場合、硬化性樹脂22の表面に絵柄層23を設けることで、絵柄層23の定着性が向上する。
【0051】
図8に示す装飾材16では、
図1の、表面材20を構成する硬化性樹脂22の、接着層3が設けられている面とは異なる面に、絵柄層23を設けることで、硬化性樹脂22の表面に絵柄層23が設けられている。
【0052】
図9に示す装飾材17では、
図1の、表面材20を構成する硬化性樹脂22の表裏面に、絵柄層23を設けることで、硬化性樹脂22の表面に絵柄層23が設けられている。
【0053】
硬化性樹脂22の表面に絵柄層23が設けられる場合、硬化性樹脂22の表裏面に同色・同柄の絵柄層23を設けてもよく、硬化性樹脂22の表裏面に異なる色相又は柄の絵柄層23を設けてもよい。また、硬化性樹脂22の片面に黒色の絵柄層23を設けてもよい。硬化性樹脂22の表裏面に同色・同柄の絵柄層23を設けることで、曲げたり丸めたりしてインテリア空間に配置した際に違和感を生み出さないようにすることができる。硬化性樹脂22の表裏面に異なる色相又は柄の絵柄層23を設けることで、1つの空間を2つに分けるインテリア装飾材として用いた場合に、雰囲気の異なる空間を再現することができる。硬化性樹脂22の片面に黒色の絵柄層23を設けることで、壁面への色柄の映り込みがないインテリア装飾材として用いることができる。
【0054】
また、
図10及び
図11に示すように、基材4上に絵柄層23が設けられていてもよい。
【0055】
図10に示す装飾材18では、
図5の、基材4の、接着層3が設けられている面とは異なる面に絵柄層23が設けられることで、基材4上に絵柄層23が設けられている。
【0056】
図11に示す装飾材19では、
図8の、基材4の、接着層3が設けられている面とは異なる面に絵柄層23が設けられることで、基材4上に絵柄層23が設けられている。
【0057】
絵柄層23は、三軸織物21上に設けられることで、三軸織物21の織り構造に沿うように、三軸織物21の厚さ方向(
図2の紙面と垂直な方向)に立体的に設けられている。
【0058】
三軸織物21上に絵柄層23を設けた場合には、三軸織物21の意匠性が向上し、特に意匠性の高い装飾材を提供することが可能となる。
【0059】
絵柄層23を構成するインキとしては、有機顔料インキや無機顔料インキを用いることができる。
【0060】
有機顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等が使用できる。
【0061】
無機顔料としては、天然鉱物顔料や剛性無機顔料が使用でき、例えば酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、ベンガラ、チタンイエロー、黄色酸化鉄、コバルトグリーン、ビリジアン、コバルトブルー、群青、紺青、マンガンバイオレット等を用いることが可能である。
【0062】
絵柄層23を設ける方法としては、グラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷等、公知な印刷方式を選択して用いることができる。
【0063】
また、刷毛塗り、ローラーブラシ塗装、へら塗り、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、浸漬塗装、静電気塗装、電着塗装、粉体塗装、カーテンフローコーター塗装、ローラーコーター塗装等、公知なコーティング手法により、絵柄層23を設けることも可能である。
【0064】
絵柄層23をインクジェット印刷により設ける場合、UVインクを用いることができる。UVインクには、例えば、光重合開始材、年度調整用としての低分子量のモノマー成分などが含まれており、絵柄層23にも、これらの成分が含まれている。UVインクを用いたインクジェット印刷では、UVインクを用いてインクジェット印刷を行った後に、紫外線を照射することによりUVインキを硬化させる。これにより、三軸織物21上に、UVインキの硬化物を有する絵柄層23が設けられる。
【0065】
例えば、インクジェットプリンターを用いて、三軸織物21における空隙部分以外の繊維部分にUVインキを付着させ、UVインキが繊維の反対面側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させる。これにより、ガラス不織布内部へのUVインキの染み込みを抑制できることから、鮮明な絵柄、色を再現できる。
【0066】
また、例えば、UVインクジェットプリンターを用いて、三軸織物21における空隙部分以外の繊維部分にUVインキを付着させ、連続して紫外線照射によりUVインキを硬化させる。これにより、既に絵柄層23が設けられている面へUVインキが垂れることを抑制でき、基材4内部へのUVインキの染み込みも抑制できるため、鮮明な絵柄、色を再現できる。
【0067】
絵柄層23は、第一糸21a上、第二糸21b上、及び第三糸21c上に設けられる。第一糸21a上に設けられた絵柄層23を絵柄層23aとし、第二糸21b上に設けられた絵柄層23を絵柄層23bとし、第三糸21c上に設けられた絵柄層23を絵柄層23cとする。
【0068】
グラビア印刷及びスクリーン印刷により絵柄層23を設けると、第一糸21a、第二糸21b、及び第三糸21cが互いに織り込まれているため、三軸織物21の厚さ方向から見ると、絵柄層23a、絵柄層23b、及び絵柄層23は、第一糸21a、第二糸21b、及び第三糸21cが互いに織り込まれる箇所で、互いに離間した状態となる。
【0069】
これに対し、インクジェット印刷により絵柄層23を設けると、インキの液滴が三軸織物21の厚さ方向に吐出される。このため、三軸織物21の厚さ方向から見ると、絵柄層23a、絵柄層23b、及び絵柄層23は、第一糸21a、第二糸21b、及び第三糸21cが互いに織り込まれる箇所でも、互いに連続した状態、又は、グラビア印刷及びスクリーン印刷に比べて近接した状態となる。これにより、意匠性が更に向上する。
【実施例0070】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
(実施例1-1)
【0072】
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m
2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物をシリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで、基材を有さない表面材のみからなる、実施例1-1の装飾材を作製した(
図3参照)。
【0073】
(実施例1-2)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m
2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物をシリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで表面材を作製した(
図1参照)。
【0074】
次いで、坪量が30g/m2であるガラス繊維不織布をシリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで基材を作製した。
【0075】
最後に、表面材と基材の間にポリアミド系ホットメルトを挟み込み、60秒間、120℃で熱することで表面材と基材を貼り合わせて、実施例1-2の装飾材を作製した(
図4参照)。
【0076】
(実施例1-3)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を40g/m
2とした以外は、実施例1-2と同様にして、実施例1-3の装飾材を作製した(
図4参照)。
【0077】
(実施例1-4)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を50g/m
2とした以外は、実施例1-2と同様にして、実施例1-4の装飾材を作製した(
図4参照)。
【0078】
(実施例1-5)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を80g/m
2とした以外は、実施例1-2と同様にして、実施例1-5の装飾材を作製した(
図4参照)。
【0079】
(実施例1-6)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を150g/m
2とした以外は、実施例1-2と同様にして、実施例1-6の装飾材を作製した(
図4参照)。
【0080】
(実施例1-7)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を151g/m
2とした以外は、実施例1-2と同様にして、装飾材を作製した(
図4参照)。
【0081】
(実施例2-1)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の一方の面に、インクジェット方式にて無機顔料インキを印刷することで絵柄層を形成した後、シリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで、基材を有さない表面材のみからなる、実施例2-1の装飾材を形成した。
【0082】
(実施例2-2)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の一方の面に、インクジェット方式にて無機顔料インキを印刷することで絵柄層を設けた後、シリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで表面材を作製した。
【0083】
次いで、坪量が30g/m2であるガラス繊維不織布をシリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで基材を作製した。
【0084】
最後に、表面材の絵柄層が設けられている面とは異なる面と、基材の間にポリアミド系ホットメルトを挟み込み、60秒間、120℃で熱することで表面材と基材を貼り合わせて、実施例2-2の装飾材を作製した(
図6参照)。
【0085】
(実施例2-3)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を40g/m
2とした以外は、実施例2-2と同様にして、実施例2-3の装飾材を作製した(
図6参照)。
【0086】
(実施例2-4)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を50g/m
2とした以外は、実施例2-2と同様にして、実施例2-4の装飾材を作製した(
図6参照)。
【0087】
(実施例2-5)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を80g/m
2とした以外は、実施例2-2と同様にして、実施例2-5の装飾材を作製した(
図6参照)。
【0088】
(実施例2-6)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を150g/m
2とした以外は、実施例2-2と同様にして、実施例2-6の装飾材を作製した(
図6参照)。
【0089】
(実施例2-7)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を151g/m
2とした以外は、実施例2-2と同様にして、実施例2-7の装飾材を作製した(
図6参照)。
【0090】
(実施例3-1)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m
2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の片面(第一面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として木目柄を印刷した。この印刷では、三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、UVインキが反対面(第二面)側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させた。その他は、実施例1―2と同様にして、実施例3-1の装飾材を作製した(
図5参照)。
【0091】
この装飾材では、ガラス不織布内部へのUVインキの染み込みを抑制できることから、鮮明な絵柄、色を再現できた。
【0092】
(実施例3-2)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の片面(第一面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として木目柄を印刷した。この印刷では、三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、UVインキが反対面(第二面)側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させた。
【0093】
また、もう一方の反対面(第二面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として黒色の単一色を印刷した。この印刷では、三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、連続して紫外線照射によりUVインキを硬化させた。その他は、実施例1―2と同様にして、実施例3-2の装飾材を作製した(
図7参照)。
【0094】
この装飾材では、既に木目柄を印刷している反対面(第二面)側へUVインキが垂れることを抑制できると同時にガラス不織布内部へのUVインキの染み込みも抑制できるため、鮮明な絵柄、色を再現できた。なお、このように作製した装飾材は、壁面付近にインテリア装飾材として用いることができる。さらに、このように作製した三軸織物は、反対面(第二面)側が黒色になっている為、壁面への色柄の映り込みがないインテリア装飾材として用いることができる。
【0095】
(実施例3-3)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の片面(第一面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として濃色の木目柄を印刷した。この印刷では、三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、UVインキが反対面(第二面)側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させた。
【0096】
また、もう一方の反対面(第二面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として淡い色相の木目柄を印刷し、連続して紫外線照射によりUVインキを硬化させた。その他は、実施例1―2と同様にして、実施例3-3の装飾材を作製した(
図7参照)。
【0097】
この装飾材では、既に木目柄を印刷している反対面(第二面)側へUVインキが垂れることを抑制できると同時にガラス不織布内部へのUVインキの染み込みも抑制できるため、鮮明な絵柄、色を再現できた。なお、このように作製した三軸織物は、両面が異なる色相の木目柄になっているため、1つの空間を2つに分けるインテリア装飾材として用いた場合に、雰囲気の異なる空間が再現できる。
【0098】
(実施例3-4)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の片面(第一面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として木目柄を印刷した。この印刷では、三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、UVインキが反対面(第二面)側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させた。
【0099】
また、もう一方の反対面(第二面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として既に印刷している木目柄と同色、同柄の木目柄を印刷し、連続して紫外線照射により三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、UVインキが反対面(第二面)側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させた。その他は、実施例1―2と同様にして、実施例3-4の装飾材を作製した(
図7参照)。
【0100】
この装飾材では、既に木目柄を印刷している反対面(第二面)側へUVインキが垂れることを抑制できると同時にガラス不織布内部へのUVインキの染み込みも抑制できるため、鮮明な絵柄、色を再現できた。なお、この三軸織物は、両面が同色・同柄の木目柄となっているため、曲げたり丸めたりしてインテリア空間に配置した際に違和感を生み出さない。
【0101】
(実施例3-5)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の片面(第一面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として木目柄を印刷した。この印刷では、三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、UVインキが反対面(第二面)側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させた。その他は、実施例1―2と同様にして、実施例3-5の装飾材を作製した。
【0102】
また、作成した装飾材の基材面側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として黒色の単一色を印刷、連続して紫外線照射によりUVインキを硬化させ、装飾材を作製した(
図10参照)。
【0103】
この装飾材では、既に木目柄を印刷している基材面側へUVインキが染みこむことを抑制できるため、鮮明な絵柄、色を再現できた。なお、このように作製した装飾材は、壁面付近にインテリア装飾材として用いることができる。また、反対面(第二面)側が黒色になっているため、壁面への色柄の映り込みも少なくなっている。
【0104】
(実施例3-6)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物の片面(第一面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として木目柄を印刷した。この印刷では、三軸織物における空隙部分以外のガラス繊維部分にUVインキを付着させ、その後、UVインキが反対面(第二面)側に垂れる前に紫外線照射によりUVインキを硬化させた。その他は、実施例1―2と同様にして、装飾材を作製した。
【0105】
また、作成した装飾材の基材面側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層としてガラス繊維側に既に印刷している木目柄と異なる木目柄を印刷し、連続して紫外線照射によりUVインキを硬化させ、実施例3-6の装飾材を作製した(
図10参照)。
【0106】
この装飾材では、基材面へUVインキが染み込むことを抑制することができるため、鮮明な絵柄、色を再現できた。なお、このように作製した装飾材は、壁面付近にインテリア装飾材として用いることができる。また、基材面側が異なる木目柄になっているため、空間の間仕切り材のインテリア装飾材として使用できる。
【0107】
(比較例1)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を三軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる三軸織物を作製した。この三軸織物をシリコーン系硬化性樹脂に含浸させない以外は、実施例1―1と同様にして、比較例1の装飾材を作製した。
【0108】
(比較例2)
三軸織物の片面(第一面)側に、UVインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、コロラド1640)を用いて、絵柄層として木目柄を印刷した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の装飾材を作製した。
【0109】
(比較例3)
坪量が50g/m2であるガラス繊維不織布をシリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで基材を作製した。該基材と比較例1の三軸織物の間にポリアミド系ホットメルトを挟み込み、60秒間、120℃で熱することで表面材と基材を貼り合わせて、比較例3の装飾材を作製した。
【0110】
(比較例4)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を150g/m2とした以外は、比較例3と同様にして、比較例4の装飾材を作製した。
【0111】
(比較例5)
糸幅が2mmからなるガラス繊維を二軸に織り込む事により、坪量が700g/m2、空隙率が33%からなる二軸織物を作製した。この二軸織物をシリコーン系硬化性樹脂に含浸させない以外は、実施例1―1と同様にして、比較例5の装飾材を作製した。
【0112】
(比較例6)
坪量が50g/m2であるガラス繊維不織布をシリコーン系硬化性樹脂に含浸し、風乾にて硬化させることで基材を作製した。該基材と比較例5の二軸織物の間にポリアミド系ホットメルトを挟み込み、60秒間、120℃で熱することで表面材と基材を貼り合わせて、比較例6の装飾材を作製した。
【0113】
(比較例7)
基材を構成するガラス繊維不織布の坪量を150g/m2とした以外は、比較例5と同様にして、比較例7の装飾材を作製した。
【0114】
<評価項目および評価方法>
実施例1-1から1-7、実施例2-1から2-7、実施例3-1から3-6、比較例1から6、に記載の構成で装飾材を作成し、以下の評価項目および評価方法で試験、評価した。
【0115】
[全光透過率]
実施例1-1から1-7、実施例2-1から2-7、実施例3-1から3-6、比較例1から6の装飾材の全光透過率を、下記の方法で測定した。
【0116】
30mm×40mmに切り出した坪量が異なる基材数種を島津製作所製UV-3600(島津紫外・可視・近赤外分光光度計)にセットし、可視光範囲(360nm~860nm)における全光透過率を測定した。
【0117】
[施工性]
実施例1-1から1-7、実施例2-1から2-7、実施例3―1から3-6、比較例1から6の装飾材を半径150mmの柱にぴったりと沿わせた際の、装飾材の外観を評価した。
【0118】
評価指標は次のとおりである。
A:柱に沿って曲げた際、変化が生じない。
B:柱に沿って曲げた際、基材または表面材に軽いシワが生じる。
C:柱に沿って曲げると、基材または表面材にクラックや大きなシワが生じる。
【0119】
[成形性]
実施例1-1から1-7、実施例2-1から2-7、実施例3―1から3-6、比較例1から6の装飾材を、山部を有する型で挟み込み型押しすることで、成形した。得られた成形品の外観を評価した。
【0120】
評価指標は次のとおりである。
A:型押しにより所望の形が得られている。
B:一部型通りの形が付かない部分がある。
C:型押ししても所望の形状になっていない。
【0121】
[意匠性]
インクジェット印刷により絵柄を印刷した実施例2-1から2-7、実施例3-1から3-6、および比較例2について、意匠性を評価した。
【0122】
評価指標は次のとおりである。
A:絵柄がはっきりと視認できる。
B:絵柄が問題なく視認できる。
C:絵柄の一部に抜けや剥がれがある。
【0123】
<評価結果>
上記試験の評価結果を表1に示す。
【0124】
【0125】
実施例1-1から1-7、実施例2-1から2-7、実施例3-1から3-6では、何れも施工性は良好であるが、基材の坪量を150g/m2以下とした実施例1-1から1-6及び実施例2-1から2-6は、基材の坪量を変化させることにより、装飾材の全光透過率を連続的に調節できることがわかる。
【0126】
一方、基材の坪量を151g/m2以上とした実施例1-7および2-7では、施工性は悪くないものの、基材の坪量を150g/m2以下とした実施例1-1から1-6及び実施例2-1から2-6よりも、施工性が低下していることが分かる。また、三軸織物を樹脂で硬化させなかった比較例1から4は、三軸織物自体が柔らかすぎて施工時に表面材にしわが生じてしまうことが分かった。また、基布の有無によらず、三軸織物を樹脂で硬化させない場合はすべて施工性に劣ることが分かる。加えて、表面材を二軸織物にした比較例5から7は、二軸織物であるがゆえに剛性が無く、こちらも施工性に劣ることが分かる。また、二軸織物を用いた場合は、樹脂を含浸させたり、基布を設けたりしても施工性が向上することはなかった。
【0127】
また、実施例1-1から1-7、実施例2-1から2-7、実施例3-1から3-6では、何れも成形性は良好であるが、基材の坪量を151g/m2以上とした実施例1-7および2-7は、基材の坪量が大きくなることで装飾材の剛性が上がってしまい、成形性がやや低下していることが分かる。また、三軸織物を樹脂で硬化させなかった比較例1から4は、三軸織物自体が柔らかすぎて加工性も劣ることが分かる。また、基布の有無によらず、三軸織物を樹脂で硬化させない場合はすべて加工性に劣ることが分かる。加えて、表面材を二軸織物にした比較例5から7は、二軸織物であるがゆえに剛性が無く、こちらも加工性に劣ることが分かる。二軸織物を用いた場合は、樹脂を含浸させたり、基布を設けたりしても加工性が向上することはなかった。
【0128】
絵柄の印刷前又は印刷後に三軸織物に樹脂を含浸させて、絵柄層を設けた実施例2-1から2-7、実施例3-1から3-6では、何れも意匠性が良好であることが分かった。一方で、樹脂を含浸しなかった比較例2では、インキと表面材の密着性が悪く、指でインキ面を擦ると簡単にインキが取れてしまった。また、そのため、意匠性に劣る結果となった。
【0129】
したがって本実施形態に係る装飾材によれば、優れた施工性を保ちつつ、基材の坪量を変えることで、その光の透過率を簡単に変更することができる。併せて施工性、成形性、意匠性の向上も図ることができる。
10,11,12,13,14,15,16,17,18,19…装飾材、20…表面材、21…三軸織物、21a…第一糸、21b…第二糸、21c…第三糸、22…硬化性樹脂、23…絵柄層、23a…絵柄層、23b…絵柄層、23c…絵柄層、3…接着層、4…基材、4’…硬化性樹脂、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向。