(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139789
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/12 20060101AFI20241003BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20241003BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G03G21/12
G03G15/08 390Z
G03G21/16 176
G03G21/16 190
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050689
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】萩之内 友
【テーマコード(参考)】
2H077
2H134
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
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2H077EA03
2H077GA04
2H134JB02
2H134JB03
2H134KG03
2H171FA03
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2H171GA29
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2H171JA06
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2H171JA46
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2H171KA06
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2H171KA10
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2H171KA29
2H171QA04
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2H171QA24
2H171QB15
2H171QB32
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2H171QC37
2H171RA01
2H171RA05
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
(57)【要約】
【課題】運送時の振動等によって未使用の現像剤が漏れ出ることを防止しつつ、設置時の作業効率の低下を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る画像形成装置は、現像装置と、現像装置に着脱可能な装着体と、を備え、現像装置は、排出口と、排出口を開閉するシャッター部材と、排出口とシャッター部材との間に設けられたシール部材と、を有し、シャッター部材は、排出口を開いた開位置と、排出口を閉じる第1閉位置と、第1閉位置よりもシャッター部材を排出口側へ押圧する押圧力が大きい第2閉位置と、に移動可能であり、装着体は、現像装置に装着された状態において、シャッター部材を第1閉位置から開位置に押圧可能である押圧部を有し、装着体は、押圧部にシャッター部材を押圧させることなく、シャッター部材が第2閉位置において現像装置に装着可能である。
【選択図】
図11C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上に現像剤を供給する現像装置と、
前記現像装置に着脱可能な装着体と、を備え、
前記現像装置は、
現像剤を排出する排出口と、
前記排出口を開閉する方向に移動して前記排出口を開閉するシャッター部材と、
前記排出口と前記シャッター部材との間に設けられたシール部材と、を有し、
前記シャッター部材は、前記排出口を開いた開位置と、前記開位置よりも前記排出口を閉じる方向に位置し、かつ前記排出口を閉じる第1閉位置と、前記第1閉位置よりも前記排出口を閉じる方向に位置し、かつ前記排出口を閉じるとともに前記第1閉位置よりも前記シャッター部材を前記排出口側へ押圧する押圧力が大きい第2閉位置と、に移動可能であり、
前記装着体は、前記現像装置に装着された状態において、前記シャッター部材を前記第1閉位置から前記開位置に押圧可能である押圧部を有し、
前記装着体は、前記押圧部に前記シャッター部材を押圧させることなく、前記シャッター部材が前記第2閉位置において前記現像装置に装着可能である、画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置は、
前記シャッター部材を、前記排出口を閉じる方向に付勢する付勢部材を有し、
前記押圧部は、
前記装着体が前記現像装置に装着された状態において、前記付勢部材の付勢力に抗して前記シャッター部材が前記開位置に押圧される押圧位置と、前記シャッター部材を押圧せず、前記付勢部材の付勢力によって前記シャッター部材が前記第1閉位置に付勢される非押圧位置と、に切換可能である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装着体は、前記押圧部を前記非押圧位置に切り換えることで、前記シャッター部材が前記第2閉位置において前記現像装置に装着可能である、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シャッター部材に設けられ、前記シャッター部材を移動させるための操作レバーを有し、
前記シャッター部材は、前記操作レバーを介して前記第1閉位置から前記第2閉位置へと移動可能である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、
前記シャッター部材を、前記排出口を閉じる方向に付勢する付勢部材を有し、
前記付勢部材は、その付勢力によって、前記装着体が前記現像装置から取り外された場合に前記シャッター部材を前記開位置から前記第1閉位置にさせ、前記第1閉位置に保持する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装着体は、廃トナーボックスである、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シャッター部材を前記第1閉位置から前記第2閉位置へと移動させる際に係る力は、前記シャッター部材を前記開位置から前記第1閉位置へと移動させる際に係る力よりも大きい、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記シャッター部材を前記第2閉位置に固定するロック機構を有する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の輸送時において、予め現像剤が充填された現像ユニットから現像剤が漏れ出ることを防止することを目的として、現像装置のトナー供給口及び現像剤送出口のそれぞれにシール部材が貼り付けられた画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、画像形成ユニットと、画像形成ユニットに着脱可能な現像剤カートリッジと、現像剤カートリッジを開閉するための開閉部材と、を有し、画像形成ユニットに現像剤カートリッジが装着されたときに、開閉部材は、トナー供給口を開く位置、又は閉じる位置を取り、画像形成ユニットから現像剤カートリッジが取り外されたときに、トナー供給口を閉じる位置を取る画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
特許文献2に記載の画像形成装置では、画像形成ユニットに現像剤カートリッジが装着されたときに、開閉部材は、トナー供給口を閉じる位置を取ることで、画像形成装置の輸送時において、画像形成ユニットと現像剤カートリッジとの継ぎ目(トナー供給口)から現像剤が漏れることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-210763号公報
【特許文献2】特開2007-093737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、上記の画像形成装置の他に、例えば、現像装置の現像槽内に古い現像剤が滞留することを防止するために、一定以上の現像剤が溜まった場合に外部へ排出するトリクル排出口を有する現像装置を備えた画像形成装置が知られている。
【0007】
トリクル排出口を有する画像形成装置では、現像装置に着脱可能な装着体として、例えば、廃トナーボックスが挙げられる。現像装置に廃トナーボックスが装着されることで、トリクル排出口を介して現像槽内の古い現像剤を廃トナーボックスに収容可能としている。
【0008】
上記のトリクル排出口を有する画像形成装置では、運送時の振動によってトリクル排出口から未使用の現像剤が漏れ出ることを防止することを目的として、特許文献1に記載の画像形成装置のように、トリクル排出口をシール部材によって封止することが考えられる。
【0009】
また、上記のトリクル排出口を有する画像形成装置では、運送時の振動によってトリクル排出口から未使用の現像剤が漏れ出ることを防止することを目的として、特許文献2に記載の画像形成装置のように、トリクル排出口を開閉するシャッター部材を設け、廃トナーボックスが装着された状態において、シャッター部材がトリクル排出口を閉じるように構成することが考えられる。
【0010】
しかしながら、トリクル排出口をシール部材によって封止する構成では、画像形成装置の設置時において、サービスマンがシール部材を引き剥がす工程が必要となることから、作業負担及び作業時間が増えるため、作業効率が低下する場合があった。また、トリクル排出口をシャッター部材によって閉じる構成では、運送時の振動によって、シャッター部材が揺れ動くことでトリクル排出口とシャッター部材との間に隙間が生じ、当該隙間から未使用の現像剤が漏れ出る場合があった。
【0011】
そこで、本開示の一態様は、運送時の振動等によって未使用の現像剤が漏れ出ることを防止しつつ、設置時の作業効率の低下を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様に係る画像形成装置は、感光体上に現像剤を供給する現像装置と、前記現像装置に着脱可能な装着体と、を備え、前記現像装置は、現像剤を排出する排出口と、前記排出口を開閉する方向に移動して前記排出口を開閉するシャッター部材と、前記排出口と前記シャッター部材との間に設けられたシール部材と、を有し、前記シャッター部材は、前記排出口を開いた開位置と、前記開位置よりも前記排出口を閉じる方向に位置し、かつ前記排出口を閉じる第1閉位置と、前記第1閉位置よりも前記排出口を閉じる方向に位置し、かつ前記排出口を閉じるとともに前記第1閉位置よりも前記シャッター部材を前記排出口側へ押圧する押圧力が大きい第2閉位置と、に移動可能であり、前記装着体は、前記現像装置に装着された状態において、前記シャッター部材を前記第1閉位置から前記開位置に押圧可能である押圧部を有し、前記装着体は、前記押圧部に前記シャッター部材を押圧させることなく、前記シャッター部材が前記第2閉位置において前記現像装置に装着可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図7】現像装置及び廃トナーボックスの斜視図である。
【
図8】廃トナーボックスの後面を示す斜視図である。
【
図9】現像装置に廃トナーボックスを装着した状態におけるトリクル排出口を通る断面図である。
【
図10】現像装置に廃トナーボックスを装着した状態におけるトリクル排出口を通る断面図である。
【
図11A】シャッター部材が開位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図11B】シャッター部材が第1閉位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図11C】シャッター部材が第2閉位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図12A】第1変形例に係る排出部の概略底面図である。
【
図12B】シャッター部材が開位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図12C】シャッター部材が第1閉位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図12D】シャッター部材が第2閉位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図13A】第2変形例に係る排出部の概略底面図である。
【
図13B】シャッター部材が開位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図13C】シャッター部材が第1閉位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【
図13D】シャッター部材が第2閉位置にある状態を示す排出部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
以下、
図1を参照して、本開示の一態様に係る画像形成装置1について説明する。
図1は、画像形成装置1を示す概略断面図である。画像形成装置1は、例えば、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能よびファクシミリ機能などを有する複合機である。
【0016】
画像形成装置1は、印刷装置10と、画像読取装置20と、を有する。画像形成装置1は、画像読取装置20によって読み取られた画像データを外部に送信し、また、読み取られた原稿の画像データまたは外部から受信した画像データを単色または多色にて原稿に画像形成する。
【0017】
画像読取装置20は、透明材によって形成される原稿載置台21と、原稿載置台21に対して開閉自在に取り付けられる原稿押さえカバー22と、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を有し、原稿表面の画像に基づく画像データを生成する画像読取部23と、を備える。原稿載置台21の前側には、ユーザによる入力操作を受け付ける表示操作部(図示せず)が設けられる。表示操作部は、例えば、タッチパネルおよび操作ボタン等の操作パネルである。
【0018】
印刷装置10は、給紙部110と、搬送ローラ対120と、レジストローラ対130と、画像形成部140と、排出ローラ対150と、排出トレイ160と、を備える。印刷装置10の内部には、給紙部110から給紙された用紙を、搬送ローラ対120、レジストローラ対130、画像形成部140、及び排出ローラ対150を経由させて、排出トレイ160に送るための搬送経路R1が形成されている。
【0019】
給紙部110は、画像形成部140の下部に配置されたカセット111と、用紙が積載される給紙トレイ112と、給紙トレイ112の一端の上側に設けられたピックアップローラ113と、ピックアップローラ113よりも用紙の搬送方向の下流側に配置された給紙ローラ114と、給紙ローラ114に圧接された分離ローラ115と、を備える。
【0020】
給紙部110では、ピックアップローラ113により給紙トレイ112から用紙を繰り出して給紙ローラ114へと導き、用紙を給紙ローラ114と分離ローラ115との間に通して1枚ずつに分離し、搬送ローラ対120によって用紙を搬送経路R1に搬送する。
【0021】
レジストローラ対130は、トナー像形成のタイミングに合わせて用紙を送りだす。レジストローラ対130は、用紙を一旦停止させて、用紙先端を揃えた後、後述の中間転写ベルト145aと転写ローラ146との間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて、用紙を搬送する。
【0022】
画像形成部140は、感光体ドラム141と、帯電器142と、露光ユニット143と、クリーナユニット144と、中間転写ベルトユニット145と、転写ローラ146と、定着ユニット147と、現像装置200等を備える。
【0023】
なお、画像形成部140において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、感光体ドラム141、帯電器142、クリーナユニット144、現像装置200のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像形成ステーションが構成される。トナーカートリッジは、各画像形成ステーションに対応するトナーを供給できるように4個設けられる。
【0024】
感光体ドラム141は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された静電潜像担持体である。帯電器142は、感光体ドラム141の表面を所定の電位に帯電させる。露光ユニット143は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニットである。露光ユニット143は、帯電された感光体ドラム141の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム141の表面に形成する。現像装置200は、感光体ドラム141の表面に形成された静電潜像を、4色のトナーによって顕像化する。現像装置200の具体的な構成については、後述する。クリーナユニット144は、現像および画像転写後における感光体ドラム141の表面に残留したトナーを除去して回収する。
【0025】
中間転写ベルトユニット145は、中間転写ベルト145a、駆動ローラ145b、従動ローラ145cおよび4つの中間転写ローラ145d等を備える。中間転写ベルトユニット145は、感光体ドラム141の上方に配置される。中間転写ベルト145aは、各感光体ドラム141に接触するように設けられ、各中間転写ローラ145dを用いて、対応する感光体ドラム141に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト145aに順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト145a上にトナー像が形成される。
【0026】
転写ローラ146は、搬送経路R1において、駆動ローラ145bの近傍に配置される。転写ローラ146と中間転写ベルト145aとの間のニップ域に用紙が通過することによって、中間転写ベルト145a上に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0027】
定着ユニット147は、用紙に対してトナー像を熱定着する。定着ユニット147は、搬送経路R1において、転写ローラ146の上方、言い換えれば、用紙の搬送方向の下流側に配置される。定着ユニット147を用紙が通過することによって、用紙に対してトナー像が熱定着される。トナー像が定着された用紙は、排出ローラ対150によって排出トレイ160に搬送される。
【0028】
また、用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙を排出ローラ対150から反転経路R2へと逆方向に搬送する。反転経路R2では、反転ローラ対170を通じて用紙の表裏を反転させ、用紙をレジストローラ対130へ再度導く。その後、表面と同様にして裏面に画像形成を行われた用紙は、排出トレイ160に搬送される。
【0029】
図2及び
図3を用いて、現像装置200の具体的な構成について説明する。
図2は、現像装置200の内部構成を示す斜視図である。
図2では、現像装置200の後述の上面カバー部材210b及び排出ハウジング273が取り除かれた図が示されている。
図3は、現像装置200の断面図である。
図3では、現像装置200の搬送スクリューの軸方向と直交する方向に切った断面図である。
図2及び
図3では、後述の現像ハウジング210に現像剤Dが収容されていない状態が示されている。現像剤Dは、トナーT及びキャリアCを主成分とする2成分の現像剤である。
【0030】
現像装置200は、トリクル現像方式の現像装置である。トリクル現像方式の現像装置200では、2成分の現像剤Dによって感光体ドラム141上の静電潜像を現像するにあたり、劣化したキャリアCを新しいキャリアCと入れ替える。トリクル現像方式の現像装置では、トナーTを後述の現像ハウジング210に補給する際にキャリアCを少しずつ追加する一方で、余剰の現像剤Dを排出することにより、現像剤Dを徐々に入れ替えている。
【0031】
図2及び
図3に示すように、現像装置200は、現像ハウジング210と、第1搬送スクリュー220と、第2搬送スクリュー230と、現像ローラ240と、層規制ブレード250と、受入部260と、排出部270と、を備える。
【0032】
現像ハウジング210は、現像剤Dを収容するとともに、現像装置200の各構成部品を保持する。現像ハウジング210は、前後方向に延びる長尺のハウジングである。現像ハウジング210は、主に、上面が開口された基部フレーム210aと、上面カバー部材210bと、を有する(
図3参照)。基部フレーム210aの上面の開口を塞ぐように上面カバー部材210bが基部フレーム210aに取り付けられる。現像ハウジング210の内部に収容された現像剤Dに含まれるトナーTが、現像ローラ240を介して感光体ドラム141に供給される。
【0033】
現像ハウジング210には、内部空間を左右に仕切る仕切り壁210cが設けられる。仕切り壁210cは、前後方向に延びる壁体である。仕切り壁210cによって仕切られた一方の空間には、第1搬送スクリュー220が設けられ、他方の空間には、第2搬送スクリュー230が設けられる。
【0034】
第1搬送スクリュー220は、前後方向を軸方向として配置される。第1搬送スクリュー220は、回転軸を中心として一方向にらせん状に巻き付けられた羽根部220aを有する。第1搬送スクリュー220は、駆動機構(図示せず)からの動力によって、羽根部220aが現像剤Dを前方向に押し出すことを可能としている。
【0035】
第2搬送スクリュー230は、前後方向を軸方向として配置される。第2搬送スクリュー230は、回転軸を中心として一方向にらせん状に巻き付けられた羽根部230aを有する。第2搬送スクリュー230は、駆動機構(図示せず)からの動力によって、羽根部230aが現像剤Dを後方向に押し出すことを可能としている。
【0036】
以上の構成において、駆動機構(図示せず)からの動力によって、第1搬送スクリュー220及び第2搬送スクリュー230が回転されることで、現像ハウジング210の内部において、
図2に示す矢印の方向に沿って現像剤Dが循環搬送される。
【0037】
図2及び
図3に示すように、現像ローラ240は、現像ハウジング210に収容された現像剤Dを担持する長尺のローラである。現像ローラ240は、前後方向を軸方向として配置される。現像ローラ240は、第2搬送スクリュー230の上方に配置される。
【0038】
現像ローラ240は、複数の磁石体を有するマグネットローラ240aとマグネットローラ240aを内包する円筒状の現像スリーブ240bとを備える。マグネットローラ240aは、現像ハウジング210に固定されている。現像スリーブ240bは、現像ハウジング210に回転可能に支持されている。現像スリーブ240bは、駆動機構(図示せず)からの動力によって、回転駆動される。現像ローラ240は、現像ハウジング210内の現像剤Dに含まれる磁性を有するキャリアCをマグネットローラ240aの磁力によって現像スリーブ240bに吸着させる。これにより、現像ローラ240は、現像剤Dの穂立ちを形成することができる。
【0039】
層規制ブレード250は、現像剤Dの層厚を規制する。層規制ブレード250は、先端部が現像スリーブ240bに対して所定の間隔をあけて現像ハウジング210に設けられる。現像スリーブ240bが感光体ドラム141の回転方向とは逆方向に回転されることで、現像ローラ240は、感光体ドラム141に現像剤Dを供給する。
【0040】
受入部260は、トナーカートリッジからのトナーT及びキャリアCを受け入れる。受入部260は、供給口である。受入部260は、トナーカートリッジと連結されることで、キャリアCを含むトナーTを現像ハウジング210に補給する。
【0041】
排出部270は、現像ハウジング210に収容された現像剤Dのうち、余剰の現像剤Dを現像ハウジング210の外部へ排出する。排出部270は、現像装置200の前端部に位置する。
【0042】
図4から
図6までを用いて、排出部270の具体的な構成について説明する。
図4は、排出部270の断面図である。
図4では、後述の排出スクリュー271の軸方向に沿った断面図である。
図5は、シャッター部材274の斜視図である。
図6は、排出部270の斜視図である。
【0043】
排出部270は、排出スクリュー271と、スクリューカバー272と、排出ハウジング273と、を備える。
【0044】
排出スクリュー271は、第1搬送スクリュー220の搬送方向の下流側に位置し、第1搬送スクリュー220と同軸上に形成される。排出スクリュー271は、現像ハウジング210を貫通して設けられる。排出スクリュー271は、回転軸の後側に、第1搬送スクリュー220の羽根部220aとは逆方向にらせん状に巻き付けられた羽根部271aを有する。排出スクリュー271は、羽根部271aの前側に、第1搬送スクリュー220の羽根部220aと同一方向にらせん状に巻き付けられた羽根部271bを有する。排出スクリュー271の羽根部271bのスクリューピッチは、第1搬送スクリュー220の羽根部220aのスクリューピッチよりも短い。
【0045】
スクリューカバー272は、現像ハウジング210から外側に突出する排出スクリュー271を覆う略筒状に形成される。スクリューカバー272は、連通口210dを介して互いの内部空間が連通するように現像ハウジング210に取り付けられる。スクリューカバー272の前端部下部には、現像剤Dを排出する第1排出口272aが設けられる。第1排出口272aは、例えば、矩形状の開口部である。本実施形態では、トリクル排出口は、第1排出口272aを指す。スクリューカバー272の前端部には、軸受272bが設けられる。
【0046】
排出ハウジング273は、スクリューカバー272や、各種の伝達機構等を収容するハウジングである。排出ハウジング273は、現像ハウジング210に取り付けられる。排出ハウジング273には、上下方向からみて、スクリューカバー272の第1排出口272aと重なる位置に第2排出口273aが設けられる。第2排出口273aは、例えば、矩形状の開口部であり、第1排出口272aよりもやや大きく形成される。
【0047】
図4から
図6までに示すように、排出部270は、トリクル排出口(第1排出口272a)を開閉するシャッター部材274と、トリクル排出口(第1排出口272a)とシャッター部材274との間に設けられたシール部材275と、シャッター部材274を付勢する付勢部材276と、シャッター部材274を移動させるための操作レバー277と、を備える。
【0048】
図4に示すように、シャッター部材274は、スクリューカバー272の第1排出口272aの下側、より具体的には、スクリューカバー272の第1排出口272a及び排出ハウジング273の第2排出口273aの間に配置される。
【0049】
図4に示すように、排出ハウジング273の内部には、シャッター部材274が前後方向に移動可能に保持するための空間Sが設けられる。空間Sは、スクリューカバー272の第1排出口272aと、排出ハウジング273の第2排出口273aとの間の空間である。すなわち、空間Sは、シャッター部材274を前後方向に移動可能に保持する保持部ともいえる。空間Sの前後方向の長さは、シャッター部材274が前後方向に移動できるようにシャッター部材274の前後方向の長さよりも長く形成される。
【0050】
図5に示すように、シャッター部材274は、例えば、一枚の板状部材の左右の端部を上方に向けて屈曲した形状を有する。シャッター部材274は、例えば、前後方向に移動することで、トリクル排出口(第1排出口272a)を開閉可能である。シャッター部材274には、例えば、トリクル排出口(第1排出口272a)と連通可能な開口部274aが設けられている。開口部274aは、例えば、シャッター部材274の前部に形成される。
【0051】
シール部材275は、トリクル排出口(第1排出口272a)とシャッター部材274との間を封止する。本実施形態では、シール部材275は、シャッター部材274の上面に固定される。具体的には、シール部材275は、シャッター部材274における一対の屈曲部間に設けられ、シャッター部材274における開口部274aの周囲を囲うように設けられる。すなわち、シール部材275には、シャッター部材274の開口部274aと同一形状である開口部275aが形成されている。
【0052】
図5に示すように、シャッター部材274には、シャッター部材274を所定の方向に付勢する付勢部材276が設けられる。付勢部材276は、例えば、バネである。本実施形態では、付勢部材276は、シャッター部材274を前方に向けて付勢しているものとする。付勢部材276は、その一端がシャッター部材274の後端部に取り付けられ、その他端がシャッター部材274を収容する空間Sの後壁に取り付けられる。
【0053】
図5に示すように、操作レバー277は、シャッター部材274を前後方向に移動させるためのレバーである。操作レバー277は、シャッター部材274に設けられる。具体的には、シャッター部材274の前端部から側方に向けて突出する突出片である。操作レバー277は、例えば、前後方向に厚みを有し、かつ他の面に対して前後の面が大きい突出片である。
【0054】
図6に示すように、操作レバー277は、排出ハウジング273の外部に露出している。具体的には、排出ハウジング273に形成された開口部273bを介して外部に露出している。
【0055】
以上の構成において、シャッター部材274は、空間Sにおいて、トリクル前後方向に移動することで、トリクル排出口(第1排出口272a)を開閉している。具体的には、シャッター部材274は、付勢部材276の付勢力に抗して後方に移動することで、開口部274aがトリクル排出口(第1排出口272a)に重なってトリクル排出口(第1排出口272a)を開き、シャッター部材274が、付勢部材276の付勢力によって前方に移動することで、開口部274aがトリクル排出口(第1排出口272a)からずれてトリクル排出口(第1排出口272a)を閉じている。
【0056】
次に、
図7から
図9までを用いて、画像形成部140(現像装置200)に対する廃トナーボックス300の装着について説明する。
図7は、現像装置200及び廃トナーボックス300の斜視図である。
図8は、廃トナーボックス300の後面を示す斜視図である。
図9は、現像装置200に廃トナーボックス300を装着した状態におけるトリクル排出口(第1排出口272a)を通る断面図である。
図9は、前後方向に延びる鉛直面で切った断面図である。
図9では、現像装置200の一部の図示を省略している。
【0057】
図7に示すように、画像形成装置1は、現像装置200(画像形成部140)に着脱可能な装着体(例えば、廃トナーボックス300)を備える。廃トナーボックス300は、画像形成部140に装着されることで、現像装置200のトリクル排出口(第1排出口272a)から排出される余剰分の現像剤Dを収容可能である。また、廃トナーボックス300は、画像形成部140に装着されることで、クリーナユニット144から排出される廃トナーを収容可能である。
【0058】
廃トナーボックス300は、画像形成部140の正面側の一部又は全部を覆うように設けられている。また、廃トナーボックス300は、画像形成装置1のフロントカバー(図示せず)を開いた状態において、現像装置200に対して着脱可能である。具体的には、廃トナーボックス300を画像形成部140に対して位置決めし、廃トナーボックス300の側部に形成された爪部301(
図7参照)を画像形成部140側の本体側に係止することで、廃トナーボックス300は、本体側に装着可能である。
【0059】
図8及び
図9に示すように、廃トナーボックス300は、フレーム310と、フレーム310に取り付けられたスライド部材320と、フレーム310に設けられ、現像剤Dを受け入れる受入口330と、を備える。
【0060】
フレーム310は、内部に現像剤Dを収容可能な略箱状に形成される。すなわち、フレーム310が廃トナーを貯留する貯留タンクである。フレーム310の後面上部には、内側に向かって窪んだ複数の凹部311が設けられる。複数の凹部311は、クリーナユニット144の数に対応して設けられる。本実施形態では、フレーム310には、4つの凹部311が左右に間隔をあけて設けられる。
【0061】
凹部311は、画像形成部140に装着された状態において、クリーナユニット144の端部が挿入される。凹部311は、例えば、クリーナユニット144の形状に応じて略筒状に形成される。凹部311の底面には、開口部311aが設けられる。クリーナユニット144から排出される廃トナーは、開口部311aを介してフレーム310の内部に収容される。
【0062】
スライド部材320は、フレーム310の後面中部に設けられる。スライド部材320は、左右方向に延びる棒状の部材である。スライド部材320には、左右に延びる孔320aが左右方向に間隔をあけて一対設けられている。スライド部材320は、各孔320aを介してフレーム310に取り付けられることで、孔320a内の範囲内においてフレーム310に対して左右方向に移動可能に支持される。
【0063】
スライド部材320には、内側に向かって窪んだ複数の凹部321が左右に間隔をあけて設けられる。本実施形態では、スライド部材320には、3つの凹部321が設けられる。凹部321は、画像形成部140に装着された状態において、現像装置200(排出部270)の端部が挿入される。本実施形態では、最も左側に位置する現像装置200は、スライド部材320よりも左側に位置しており、それ以外の現像装置200(排出部270)の端部は、それぞれ対応する凹部321に挿入されている。凹部321の左右方向における長さ(幅)は、例えば、排出部270の左右方向における長さ(幅)よりもやや大きくなるように形成される。
【0064】
スライド部材320には、シャッター部材274の操作レバー277を後方に向けて押圧可能な押圧部322が設けられる。押圧部322は、スライド部材320の左右方向への移動に応じて、操作レバー277を後方に向けて押圧する押圧位置と、操作レバー277を後方に向けて押圧しない非押圧位置と、に切り換え可能である。
【0065】
押圧部322は、現像装置200の数に対応して4つ設けられる。最も左側に位置する押圧部322は、スライド部材320の左端部から右方に向けて突出する突出片である。その他の押圧部322は、スライド部材320の凹部321を規定する左縁部から右方に向けて突出する突出片である。
【0066】
受入口330は、フレーム310の後面において上側に向けて開口する開口部である。受入口330は、フレーム310の後面に形成された段差部分に形成される。受入口330は、スライド部材320の下側に位置する。受入口330は、現像装置200の数に対応して設けられる。本実施形態では、フレーム310には、4つの受入口330が左右に間隔をあけて設けられる。
【0067】
受入口330上には、受入口330の周囲を囲うように緩衝部材331が設けられる。すなわち、緩衝部材331には、受入口330と同一形状の開口部331aが形成される。
【0068】
以上の構成において、現像装置200に廃トナーボックス300が装着されたときに緩衝部材331を介して受入口330上に第2排出口273aが配置される。これにより、現像装置200から排出される現像剤Dを、受入口330を介して廃トナーボックス300内に収容可能としている。
【0069】
図10を用いて、押圧部322の押圧位置及び非押圧位置について説明する。
図10は、現像装置200に廃トナーボックス300を装着した状態におけるトリクル排出口(第1排出口272a)を通る断面図である。
図10は、左右方向に延びる鉛直面で切った断面図である。
図10では、廃トナーボックス300の図示を一部省略している。押圧部322の押圧位置及び非押圧位置の切り換えは、例えば、ユーザがスライド部材320を左右に移動させることで可能としている。
【0070】
非押圧位置とは、
図10に示す位置、すなわち、押圧部322及び操作レバー277が前後方向に重なり合わない位置である。非押圧位置では、スライド部材320は、フレーム310に対して左側に移動した位置である。非押圧位置では、現像装置200に廃トナーボックス300が装着されたとしても、押圧部322及び操作レバー277が左右にずれて配置されているため、押圧部322は、操作レバー277を後方に向けて押圧しない。
【0071】
押圧位置とは、
図10に示す位置からスライド部材320が右側に移動することによって、押圧部322及び操作レバー277が前後方向に重なり合う位置である。押圧位置では、スライド部材320は、フレーム310に対して右側に移動した位置である。押圧位置では、現像装置200に廃トナーボックス300が装着されると、押圧部322は、操作レバー277を後方に向けて押圧する。このとき、押圧部322は、シャッター部材274が後述の開位置P1となるように押圧している。
【0072】
図11を用いて、シャッター部材274によるトリクル排出口(第1排出口272a)の開閉動作について説明する。
図11Aは、シャッター部材274が開位置P1にある状態を示す排出部270の概略断面図である。
図11Bは、シャッター部材274が第1閉位置P2にある状態を示す排出部270の概略断面図である。
図11Cは、シャッター部材274が第2閉位置P3にある状態を示す排出部270の概略断面図である。
図11Aから
図11Cまでにおいて、排出スクリュー271等について図示を省略している。
【0073】
シャッター部材274は、トリクル排出口(第1排出口272a)を開いた開位置P1と、トリクル排出口(第1排出口272a)を閉じた第1閉位置P2と、第1閉位置P2よりもシャッター部材274をトリクル排出口側(本実施形態では、上側)へ押圧する押圧力が大きい第2閉位置P3と、に移動可能である。
【0074】
図11Aに示すように、シャッター部材274は、開位置P1では、トリクル排出口(第1排出口272a)を開いている。シャッター部材274は、開位置P1では、開口部274aがトリクル排出口(第1排出口272a)と上下方向に重なっている。これにより、第1排出口272aを開いた状態となっている。すなわち、開位置P1では、現像ハウジング210内の現像剤Dが第1排出口272a及び第2排出口273aを介して現像装置200の外部に排出可能である。
【0075】
図11Aに示す開位置P1では、シャッター部材274は、付勢部材276の付勢力に抗して、押圧部322が操作レバー277を押圧している。すなわち、押圧部322が押圧位置において装着体(廃トナーボックス300)が装着された状態において、シャッター部材274は開位置P1に保持される。これにより、装着体(廃トナーボックス300)が装着されたときに、トリクル排出口(第1排出口272a)が開かれることで、廃トナーボックス300に余剰の現像剤Dを収容可能としている。
【0076】
図11Bに示すように、シャッター部材274は、第1閉位置P2では、トリクル排出口(第1排出口272a)を閉じている。シャッター部材274は、第1閉位置P2では、開位置P1と比べて、前方に位置している。具体的には、開口部274aがトリクル排出口(第1排出口272a)よりも前方にずれ、トリクル排出口(第1排出口272a)と上下方向に重なっていない。これにより、第1排出口272aを閉じた状態となっている。すなわち、第1閉位置P2では、現像ハウジング210内の現像剤Dが第1排出口272a及び第2排出口273aを介して現像装置200の外部に排出することを防止している。
【0077】
図11Bに示す第1閉位置P2では、シャッター部材274は、押圧部322に押圧されることなく、付勢部材276によって付勢されている。付勢部材276の付勢力は、装着体(廃トナーボックス300)を取り外したときに、開位置P1から第1閉位置P2に移動させて、第1閉位置P2に保持するように定められる。これにより、装着体(廃トナーボックス300)が取り外された状態において、シャッター部材274は、第1閉位置P2に保持される。装着体(廃トナーボックス300)が取り外されたときに、トリクル排出口(第1排出口272a)を閉じることで、例えば、装着体(廃トナーボックス300)の交換等のメンテンナンス時において、現像剤Dが現像装置200の外部に排出されることを防止している。
【0078】
また、押圧部322が非押圧位置において装着体(廃トナーボックス300)が装着された状態においても、シャッター部材274は第1閉位置P2に位置することができる。この状態で、例えば、画像形成装置1を運送した場合、運送時の振動によって第1排出口272aとシャッター部材274との間に隙間が生じ、当該隙間から現像剤Dが漏れ出る場合が考えられる。そこで、本実施形態では、シャッター部材274を、第1閉位置P2よりもシャッター部材274をトリクル排出口側(本実施形態では、上側)へ押圧する押圧力が大きい第2閉位置P3に移動可能にしている。
【0079】
図11Cに示すように、第2閉位置P3では、第1閉位置P2と同様に、トリクル排出口(第1排出口272a)を閉じている。シャッター部材274は、第2閉位置P3では、第1閉位置P2と比べて、前方に位置している。また、第2閉位置P3では、第1閉位置P2と比べて、シャッター部材274をトリクル排出口(第1排出口272a)側に押圧する押圧力が大きい。すなわち、第2閉位置P3では、第1閉位置P2と比べて、シャッター部材274が上側に持ち上げられている。これにより、第1閉位置P2と比べて、第1排出口272a及びシャッター部材274間の封止性を向上させることができる。
【0080】
第2閉位置P3において、シャッター部材274を上側に押圧する構成として、シャッター部材274を前後方向に移動させる空間Sには、例えば、隆起部278が設けられる。隆起部278は、空間Sの底面から隆起している。また、隆起部278は、空間Sの底面において前後に一対設けられる。
【0081】
隆起部278は、空間Sの底面から前方に向けて滑らかに傾斜する傾斜部278aと、傾斜部278aの前端に位置する頂部278bと、を備える。傾斜部278aは、空間Sの底面から前方に向けて滑らかに傾斜することで、頂部278bに向けてシャッター部材274をガイドすることができる。また、頂部278bには、シャッター部材274を係止する被係止部278cが設けられる。被係止部278cは、例えば、下方に向けて凹む凹部である。
【0082】
シャッター部材274には、被係止部278cに係止する係止部274bが設けられる。係止部274bは、例えば、下方に向けて突出する突起部である。係止部274bは、被係止部278c(凹部)に嵌合する形状を有している。本実施形態では、係止部274bは、シャッター部材274の前後に一対設けられる。
【0083】
以上の構成において、シャッター部材274が第1閉位置P2よりも前方に移動すると、シャッター部材274が傾斜部278aに沿って持ち上げられ、さらに、前方に移動すると、シャッター部材274が頂部278bに達し、被係止部278cにシャッター部材274の係止部274bが係止され、第2閉位置P3に固定される。すなわち、排出部270には、シャッター部材274を第2閉位置P3に固定するロック機構として、シャッター部材274の係止部274b及び隆起部278の被係止部278cが設けられる。これにより、シャッター部材274がトリクル排出口(第1排出口272a)側に押圧された状態で保持されるため、トリクル排出口(第1排出口272a)及びシャッター部材274の間に隙間が生じることを防止できる。
【0084】
以上の構成において、シャッター部材274が第2閉位置P3において装着体(廃トナーボックス300)を装着可能としている。具体的には、装着体(廃トナーボックス300)が取り外された状態において、操作レバー277を前方に引くことにより、シャッター部材274を第2閉位置P3にロックし、当該状態において、押圧部322が非押圧位置において装着体(廃トナーボックス300)が装着することにより、シャッター部材274を第2閉位置P3に保持することができる。これにより、トリクル排出口(第1排出口272a)及びシャッター部材274間の封止性を向上させた状態で装着体(廃トナーボックス300)を装着することができる。そのため、画像形成装置1の運送時の振動によって、トリクル排出口(第1排出口272a)から外部に現像剤Dが漏れ出ることを防止できる。すなわち、シャッター部材274は、画像形成装置1の運送時において、
図11Cに示す第2閉位置P3とする。
【0085】
また、上記の構成であれば、画像形成装置1の設置時において、装着体(廃トナーボックス300)を取り外して、操作レバー277を後方に向けて押し込んでシャッター部材274を第1閉位置P2に切り換え、押圧部322を押圧位置に切り換えて、装着体(廃トナーボックス300)を装着することで、装着体(廃トナーボックス300)の着脱に応じてトリクル排出口(廃トナーボックス300)を開閉する通常使用時の構成に切り替えることができる。ゆえに、画像形成装置1の設置時における作業負荷及び作業時間がかからないため、作業性を低下することなく良好に保つことができる。
【0086】
また、通常使用時の構成に切り替える方法として、上記の他に、画像形成装置1の設置時において、装着体(廃トナーボックス300)を取り外した後、操作レバー277を後方に向けて押し込むことなく、押圧部322を押圧位置に切り換えて、装着体(廃トナーボックス300)を再び装着する方法であってもよい。この場合、装着体(廃トナーボックス300)の装着によって押圧部322が操作レバー277を押し込んでシャッター部材274を第2閉位置P3から開位置P1まで移動させることで、通常使用時の構成に切り替えられることから、操作レバー277を押し込む工程を省略できるため、作業性をより向上させることができる。
【0087】
また、第2閉位置P3では、開位置P1及び第1閉位置P2と比べて、シャッター部材274を上側に押圧する押圧力が大きいため、シャッター部材274を第1閉位置P2から第2閉位置P3へと移動させる際に係る力は、シャッター部材274を開位置P1から第1閉位置P2へと移動させる際に係る力よりも大きくなる。これにより、通常の使用時においてシャッター部材274が第2閉位置P3に誤って保持されることを防止できる。
【0088】
なお、本実施形態では、第2閉位置P3において、シャッター部材274を上側に押圧する構成として、一対の隆起部278が設けられているが、これに限らず、第2閉位置P3において、シャッター部材274を上側に押圧できればよく、例えば、1つの隆起部278のみであってもよい。また、第2閉位置P3において、シャッター部材274を上側に押圧する構成として、隆起部278が設けられているが、シャッター部材274を上側に押圧できればよく、例えば、第2閉位置P3において、バネ等の付勢部材を用いてシャッター部材274を上側に付勢する構成であってもよい。
【0089】
また、本実施形態では、押圧部322の押圧位置と非押圧位置との切換えを、スライド部材320を手動でスライドさせることによって行っているが、これに限らず、例えば、スライド機構やリンク機構等を用いて行ってもよい。
【0090】
また、本実施形態では、シャッター部材274は、第1排出口272aを開閉する構成であるが、現像装置200から外部に排出するための排出口を閉じればよく、例えば、第2排出口273aを開閉する構成であってもよいし、第1排出口272a及び第2排出口273aの連通部分を開閉する構成であってもよい。
【0091】
また、本実施形態では、シール部材275は、シャッター部材274に取り付けられているが、これに限らず、シール部材275は、トリクル排出口(第1排出口272a)に取り付けられてもよい。
【0092】
図12を用いて、第1変形例に係る排出部280について説明する。第1変形例に係る排出部280は、シャッター部材281と、シール部材282とが、トリクル排出口(第1排出口272a)を連通可能な開口部を有していない点で、上記実施形態と異なる。
図12Aは、排出部280の概略底面図である。
図12Aでは、排出ハウジング273について図示を省略している。
図12Bは、シャッター部材281が開位置P1にある状態を示す排出部280の概略断面図である。
図12Cは、シャッター部材281が第1閉位置P2にある状態を示す排出部280の概略断面図である。
図12Dは、シャッター部材281が第2閉位置P3にある状態を示す排出部280の概略断面図である。
図12Bから
図12Dまでにおいて、排出スクリュー271等について図示を省略している。以下では、上記の実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0093】
図12Aに示すように、シャッター部材281は、トリクル排出口(第1排出口272a)と連通する開口部を有していない。シャッター部材281の上面には、シール部材282が取り付けられる。シール部材282は、トリクル排出口(第1排出口272a)と連通する開口部を有していない。
【0094】
図12Bに示すように、シャッター部材281は、開位置P1では、トリクル排出口(第1排出口272a)を開いている。具体的には、シャッター部材281が、トリクル排出口(第1排出口272a)と上下方向に重なっていない。これにより、第1排出口272aを開いた状態となっている。
【0095】
図12Cに示すように、シャッター部材281は、第1閉位置P2では、トリクル排出口(第1排出口272a)と上下方向に重なっている。これにより、第1排出口272aを閉じた状態となっている。
【0096】
図12Dに示すように、シャッター部材281は、第2閉位置P3では、第1閉位置P2よりも前方に位置する。さらに、第2閉位置P3では、第1閉位置P2よりもシャッター部材281をトリクル排出口側(本実施形態では、上側)へ押圧する押圧力が大きい。シャッター部材281を上側に押圧する構成は、上記の実施形態と同様に、空間Sに設けられた隆起部278が設けられている。また、第2閉位置P3においてシャッター部材281を係止する構成として、シャッター部材281には、隆起部278の被係止部278cに係止される係止部281bが設けられる。
【0097】
これにより、排出部280は、第2閉位置P3において、トリクル排出口(第1排出口272a)及びシャッター部材281間の封止性を向上させることができる。
【0098】
図13を用いて、第2変形例に係る排出部290について説明する。第2変形例に係る排出部290は、シャッター部材291がトリクル排出口(第1排出口272a)を連通可能な開口部を有しておらず、シール部材292がトリクル排出口(第1排出口272a)に取り付けられている点で、上記実施形態と異なる。
図13Aは、排出部290の概略底面図である。
図13Aでは、排出ハウジング273について図示を省略している。
図13Bは、シャッター部材291が開位置P1にある状態を示す排出部290の概略断面図である。
図13Cは、シャッター部材291が第1閉位置P2にある状態を示す排出部290の概略断面図である。
図13Dは、シャッター部材291が第2閉位置P3にある状態を示す排出部290の概略断面図である。
図13Bから
図13Dまでにおいて、排出スクリュー271等について図示を省略している。以下では、上記の実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0099】
図13Aに示すように、シャッター部材291は、トリクル排出口(第1排出口272a)と連通する開口部を有していない。さらに、シール部材292は、トリクル排出口(第1排出口272a)の周囲を囲うように取り付けられている。すなわち、シール部材292は、トリクル排出口(第1排出口272a)と連通する開口部292aを有する。本変形例では、シャッター部材291のみが空間Sにおいて前後方向に移動可能である。
【0100】
図13Bに示すように、シャッター部材291は、開位置P1では、トリクル排出口(第1排出口272a)を開いている。具体的には、シャッター部材291が、トリクル排出口(第1排出口272a)と上下方向に重なっていない。これにより、第1排出口272aを開いた状態となっている。
【0101】
図13Cに示すように、シャッター部材291は、第1閉位置P2では、トリクル排出口(第1排出口272a)と上下方向に重なっている。これにより、第1排出口272aを閉じた状態となっている。
【0102】
図13Dに示すように、シャッター部材291は、第2閉位置P3では、第1閉位置P2よりも前方に位置する。さらに、第2閉位置P3では、第1閉位置P2よりもシャッター部材291をトリクル排出口側(本実施形態では、上側)へ押圧する押圧力が大きい。。シャッター部材291を上側に押圧する構成は、上記の実施形態と同様に、空間Sに設けられた隆起部278が設けられている。また、第2閉位置P3においてシャッター部材291を係止する構成として、シャッター部材291には、隆起部278の被係止部278cに係止される係止部291bが設けられる。
【0103】
これにより、排出部290は、第2閉位置P3において、トリクル排出口(第1排出口272a)及びシャッター部材291間の封止性を向上させることができる。
【0104】
以上の構成において、画像形成装置1は、感光体上に現像剤Dを供給する現像装置200と、現像装置200に着脱可能な装着体(廃トナーボックス300)と、を備える。現像装置200は、現像剤Dを排出する排出口(第1排出口272a)と、排出口(第1排出口272a)を開閉する方向に移動して排出口(第1排出口272a)を開閉するシャッター部材274と、排出口(第1排出口272a)とシャッター部材274との間に設けられたシール部材275と、を有する。シャッター部材274は、排出口(第1排出口272a)を開いた開位置P1と、開位置P1よりも排出口(第1排出口272a)を閉じる方向に位置し、かつ排出口(第1排出口272a)を閉じる第1閉位置P2と、第1閉位置P2よりも排出口(第1排出口272a)を閉じる方向に位置し、かつ排出口(第1排出口272a)を閉じるとともに第1閉位置P2よりもシャッター部材274を排出口(第1排出口272a)側へ押圧する押圧力が大きい第2閉位置P3と、に移動可能である。装着体(廃トナーボックス300)は、現像装置200に装着された状態において、シャッター部材274を第1閉位置P2から開位置P1に押圧可能である押圧部322を有する。装着体(廃トナーボックス300)は、押圧部322にシャッター部材274を押圧させることなく、シャッター部材274が第2閉位置P3において現像装置200に装着可能である。
【0105】
これにより、トリクル排出口(第1排出口272a)及びシャッター部材274間の封止性を向上させた状態で装着体(廃トナーボックス300)を装着させることができる。そのため、画像形成装置1の運送時の振動によって、排出口(第1排出口272a)から外部に現像剤Dが漏れ出ることを防止できる。
【0106】
現像装置200は、シャッター部材274を、排出口(第1排出口272a)を閉じる方向に付勢する付勢部材276を有する。押圧部322は、装着体(廃トナーボックス300)が現像装置200に装着された状態において、付勢部材276の付勢力に抗してシャッター部材274が開位置P1に押圧される押圧位置と、シャッター部材274を押圧せず、付勢部材276の付勢力によってシャッター部材274が第1閉位置P2に付勢される非押圧位置と、に切換可能である。これにより、装着体(廃トナーボックス300)を装着したときであっても、排出口(第1排出口272a)を閉じることができる。
【0107】
装着体(廃トナーボックス300)は、押圧部322を非押圧位置に切り換えることで、シャッター部材274が第2閉位置P3において現像装置200に装着可能である。これにより、装着体(廃トナーボックス300)を装着したときに、シャッター部材274を第2閉位置P3に保持させることができる。
【0108】
現像装置200は、シャッター部材274に設けられ、シャッター部材274を移動させるための操作レバー277を有する。シャッター部材274は、操作レバー277を介して第1閉位置P2から第2閉位置P3へと移動可能である。
【0109】
現像装置200は、シャッター部材274を、排出口(第1排出口272a)を閉じる方向に付勢する付勢部材276を有する。付勢部材276は、その付勢力によって、装着体(廃トナーボックス300)が現像装置200から取り外された場合にシャッター部材274を開位置P1から第1閉位置P2にさせ、第1閉位置P2に保持する。これにより、装着体(廃トナーボックス300)の装着に応じて、排出口(第1排出口272a)を開閉できる。ゆえに、例えば、装着体(廃トナーボックス300)が取り外されたときに、現像装置200の外部に現像剤Dに排出されることを防止できる。また、装着体(廃トナーボックス300)を装着するだけで、装着体(廃トナーボックス300)への現像剤Dの収容を可能にする。
【0110】
シャッター部材274を第1閉位置P2から第2閉位置P3へと移動させる際に係る力は、シャッター部材274を開位置P1から第1閉位置P2へと移動させる際に係る力よりも大きい。これにより、通常の使用時においてシャッター部材274が誤って第2閉位置P3に保持されることを防止できる。
【0111】
シャッター部材274を第2閉位置P3に固定するロック機構(係止部274b及び被係止部278c)を有する。これにより、シャッター部材274を第2閉位置P3に保持することができるため、画像形成装置1の運送時の振動等によって、シャッター部材274が第2閉位置P3からずれることを防止できる。
【0112】
なお、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置、200 現像装置、272a 第1排出口(排出口)、274 シャッター部材、274b 係止部、275 シール部材、276 付勢部材、277 操作レバー、278c 被係止部、281 シャッター部材、282 シール部材、291 シャッター部材、292 シール部材、300 廃トナーボックス(装着体)、322 押圧部、P1 開位置、P2 第1閉位置、P3 第2閉位置