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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139798
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H05K5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050702
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛山 友博
(72)【発明者】
【氏名】西江 智之
(72)【発明者】
【氏名】登阪 隆広
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB12
4E360AB33
4E360BA01
4E360BB22
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA18
4E360EC05
4E360EC11
4E360ED03
4E360ED28
4E360GA07
4E360GA29
4E360GC08
4E360GC14
(57)【要約】
【課題】パッキンの圧縮反力を、ケースに対して分散して伝えることができる筐体を提供する。
【解決手段】筐体100は、ケース10の開口端に設けられるパッキン収納溝11と、パッキン収納溝11の底面に設けられるリブ12と、パッキン収納溝11に収納され、ケース10に取り付けられるカバー20に押圧されるパッキン30と、パッキン30に二股状に形成され、リブ12を挟み込む二股部31とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの開口端に設けられるパッキン収納溝と、
前記パッキン収納溝の底面に設けられるリブと、
前記パッキン収納溝に収納され、前記ケースに取り付けられるカバーに押圧されるパッキンと、
前記パッキンに二股状に形成され、前記リブを挟み込む二股部とを備える
ことを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記リブの幅方向両側面は、前記パッキン収納溝の底面に向かうに従って、互いに徐々に接近するような、傾斜面であり、
前記二股部における幅方向において互いに対向する2つの内面は、前記パッキン収納溝の底面に向かうに従って、互いに徐々に接近するような、傾斜面であり、前記リブの幅方向両側面を、その幅方向両側から挟み込む
ことを特徴とする請求項1記載の筐体。
【請求項3】
ケースの開口端に設けられるパッキン収納溝と、
前記パッキン収納溝の底面に設けられる押さえ部材と、
前記パッキン収納溝に収納され、前記ケースに取り付けられるカバーに押圧されるパッキンと、
前記パッキンに二股状に形成され、前記押さえ部材に前記パッキン収納溝の底面に対して押さえ付けられる二股部とを備える
ことを特徴とする筐体。
【請求項4】
前記押さえ部材は、弾性体である
ことを特徴とする請求項3記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体には、ケースとカバーとの間の防水性を確保するため、それらの間にパッキンを備えたものがある。このような、従来の筐体は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-13763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された筐体は、カバーの裏面に、環状をなすリブを備えている。このリブは、カバーをケースに取り付けるときに、当該ケースの開口端付近の内面に嵌合する。このため、パッキンは、リブの外周縁に密着して設けられることで、ケースとカバーとの間の防水性を確保している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された筐体においては、カバーをケースに取り付ける場合、カバーのリブが、パッキンをケース側に押圧することになる。このとき、パッキンの圧縮反力は、ケースの内面にそのまま作用する。このため、特許文献1に開示された筐体においては、パッキンの圧縮反力によるケースへの負荷が、大きくなるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、パッキンの圧縮反力を、ケースに対して分散して伝えることができる筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る筐体は、ケースの開口端に設けられるパッキン収納溝と、パッキン収納溝の底面に設けられるリブと、パッキン収納溝に収納され、ケースに取り付けられるカバーに押圧されるパッキンと、パッキンに二股状に形成され、リブを挟み込む二股部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、パッキンの圧縮反力を、ケースに対して分散して伝えることができる。この結果、本開示に係る筐体は、パッキンの圧縮反力によるケースへの負荷を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る筐体の斜視図である。
図2図1のII-II矢視断面図である。
図3】パッキンをパッキン収納溝から取り外した状態を示す断面図である。
図4】カバーをケースに取り付けた際のパッキンの変形状態を示す断面図である。
図5】実施の形態2に係る筐体の要部断面図である。
図6】パッキンをパッキン収納溝から取り外した状態を示す断面図である。
図7】カバーをケースに取り付けた際のパッキンの変形状態を示す断面図である。
図8】実施の形態3に係る筐体の要部断面図である。
図9】押さえ部材及びパッキンをパッキン収納溝から取り外した状態を示す断面図である。
図10】カバーをケースに取り付けた際のパッキンの変形状態を示す断面図である。
図11】従来の筐体の斜視図である。
図12】従来のケースの斜視図である。
図13図12のXIII-XIII矢視断面図である。
図14】従来のパッキンの斜視図である。
図15図11のXV-XV矢視断面図である。
図16】カバーをケースに取り付けた際のパッキンの変形状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る筐体100について、図1から図4を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る筐体100の斜視図である。図2は、図1のII-II矢視断面図である。図3は、パッキン30をパッキン収納溝11から取り外した状態を示す断面図である。図4は、カバー20をケース10に取り付けた際のパッキン30の変形状態を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、実施の形態1に係る筐体100は、ケース10、カバー20、及び、パッキン30を備えている。
【0014】
ケース10は、上部が開口した箱型の本体部材である。このケース10は、例えば、略矩形の底面を有しており、この底面の形状を維持すように、4つの縦壁が形成されるものである。ケース10の内部には、収納物(省略)が、上部開口を介して、収納可能となっている。また、図1から図3に示すように、ケース10は、パッキン収納溝11及びリブ12を有している。
【0015】
パッキン収納溝11は、パッキン30を収納するための溝である。このパッキン収納溝11は、ケース10の開口端に沿って、環状に形成されている。パッキン収納溝11は、上方に向けて開口している。パッキン収納溝11は、その長さ方向において、一様な溝形状となっている。パッキン収納溝11の深さは、パッキン30が十分に隠れる程の深さとなっている。
【0016】
リブ12は、パッキン30をパッキン収納溝11に取り付けるための凸部である。リブ12は、パッキン収納溝11の底面に設けられている。リブ12は、パッキン収納溝11の底面から突出するように形成されている。また、リブ12は、パッキン収納溝11の長さ方向に沿うように、環状に形成されている。リブ12は、その長さ方向において、一様な横断面形状となっている。
【0017】
図1に示すように、カバー20は、ケース10を開閉するための蓋部材である。カバー20は、パッキン30を介して、ケース10に取り付け可能となっている。
【0018】
図2及び図4に示すように、カバー20は、押圧部21を有している。押圧部21は、カバー20の裏面に設けられている。このカバー20の裏面とは、当該カバー20がケース10に取り付けられたときに、ケース10の開口及びパッキン収納溝11と対向する面である。押圧部21は、カバー20の裏面から突出するように形成されている。押圧部21は、カバー20の裏面における外周縁に沿うように、環状に形成されている。環状をなす押圧部21は、環状をなすパッキン収納溝11及びリブ12に対応している。押圧部21は、その長さ方向において、一様な横断面形状となっている。
【0019】
図2に示すように、パッキン30は、ケース10とカバー20との間からの液体の浸入を防止するシール部材である。パッキン30は、環状に形成されている。また、パッキン30は、リブ12に着脱可能となっている。このような、パッキン30は、例えば、弾性樹脂材で形成されている。
【0020】
図4に示すように、パッキン30は、ケース10のリブ12に装着された状態で、カバー20の押圧部21によって押圧される。このため、パッキン30は、リブ12と押圧部21との間に挟まれた状態で、パッキン収納溝11の底面上を幅方向両側方に向けて広がるように、弾性変形する。なお、パッキン30は、リブ12と押圧部21との間に挟まれない状態で、パッキン収納溝11の底面上を幅方向両側方に向けて広がるように、弾性変形しても良い。
【0021】
具体的には、パッキン30の一端側は、押圧部21によって押圧される部分であり、パッキン30の他端側は、リブ12に装着される部分となっている。パッキン30には、他端に開口するような、U字状の溝が、その長さ方向に沿って形成されている。このパッキン30は、その長さ方向において、一様な横断面となっている。このため、パッキン30の他端側には、二股状に形成されている二股部31が設けられている。なお、二股部31における幅方向において互いに対向する内面間の間隔(隙間)は、リブ12の幅よりも狭くなっている。
【0022】
ここで、パッキン30をパッキン収納溝11に収納する際には、リブ12が、二股部31における幅方向において互いに対向する内面間に、その幅方向両側から挟み込まれるように、パッキン30をパッキン収納溝11に収納する。このとき、上述したように、二股部31における上記内面間の間隔は、リブ12の幅よりも狭くなっているため、当該二股部31は、その幅方向両側方に向けて広がるように、弾性変形をして、リブ12を挟持する。更に、互いに当接した、リブ12の側面と二股部31の内面との間には、摩擦力が発生する。この結果、パッキン30は、仮に、カバー20が取り付けられていない状態で、ケース10が逆さにされた場合でも、リブ12から脱落することは無い。
【0023】
従って、図4に示すように、カバー20をケース10に取り付ける場合には、押圧部21がパッキン30を押圧する。このため、パッキン30は、全体的に弾性変形し、その中でも、二股部31は、リブ12を中心として、その幅方向両側方に向けて広がるように、弾性変形する。この結果、パッキン30は、押圧部21の押圧による圧縮反力を、全周に亘って、パッキン収納溝11の幅方向両側に意図的に分散することができる。
【0024】
また、カバー20をケース10から取り外す場合には、押圧部21がパッキン30から離れる。即ち、押圧部21は、パッキン30に対する押圧力を解除する。このため、パッキン30は、全体的に元の状態(形状)に復帰し、その中でも、二股部31は、全周に亘って、リブ12をその幅方向両側から挟み込むように、復帰する。この結果、パッキン30は、カバー20のケース10からの取り外し直後から、リブ12からの脱落防止が図られる。
【0025】
次に、実施の形態1に係る筐体100の効果について、従来の筐体500と比較しながら、図11から図16を用いて説明する。
【0026】
図11は、従来の筐体500の斜視図である。図12は、従来のケース50の斜視図である。図13は、図12のXIII-XIII矢視断面図である。図14は、従来のパッキン70の斜視図である。図15は、図11のXV-XV矢視断面図である。図16は、カバー60をケース50に取り付けた際のパッキン70の変形状態を示す断面図である。
【0027】
図11に示すように、従来の筐体500は、ケース50、カバー60、及び、パッキン70を備えている。
【0028】
図12及び図13に示すように、ケース50は、パッキン収納溝51及びリブ52を有している。パッキン収納溝51は、パッキン70を収納するための溝である。このパッキン収納溝51は、ケース50の開口端に沿って、環状に形成されている。リブ52は、パッキン収納溝51の内壁を構成するものである。このリブ52は、パッキン収納溝51の長さ方向において所定の間隔で配置されている。
【0029】
図11及び図15に示すように、カバー60は、ケース50を開閉するための蓋部材である。カバー60は、パッキン70を介して、ケース50に取り付け可能となっている。また、カバー60は、押圧部61を備えている。この押圧部61は、カバー60の裏面において、環状に設けられている。このため、押圧部61は、カバー60をケース50に取り付ける際に、パッキン収納溝51に収納されたパッキン70を押圧することができる。
【0030】
図11図14図15に示すように、パッキン70は、環状に形成されている。このパッキン70の横断面は、円形をなしている。また、パッキン70は、複数の嵌入孔71を有している。これらの嵌入孔71は、ケース50のリブ52が嵌入される孔である。嵌入孔71は、パッキン70の内側において、所定の間隔で形成されている。パッキン70は、パッキン収納溝51に収納されるときに、嵌入孔71に対してケース50のリブ52が嵌入される。このため、パッキン70は、パッキン収納溝51からの脱落防止が図られている。
【0031】
ここで、図16に示すように、従来の筐体500において、カバー60をケース50に取り付ける場合には、パッキン70の横断面が円形をなしているため、当該パッキン70が押圧部61に押圧されると、パッキン70の圧縮反力が、そのまま、パッキン収納溝51に作用する。このため、従来の筐体500においては、パッキン70の圧縮反力によるケース50への負荷が、大きくなっている。
【0032】
これに対して、図4に示すように、実施の形態1に係る筐体100は、パッキン30におけるパッキン収納溝11に接触する部分を、二股状に形成される二股部31としている。このため、筐体100は、パッキン30の圧縮反力をパッキン収納溝11の幅方向両側に意図的に分散することができる。この結果、筐体100は、パッキン30の圧縮反力によるケース10への負荷を小さくすることができる。
【0033】
以上、実施の形態1に係る筐体100は、ケース10の開口端に設けられるパッキン収納溝11と、パッキン収納溝11の底面に設けられるリブ12と、パッキン収納溝11に収納され、ケース10に取り付けられるカバー20に押圧されるパッキン30と、パッキン30に二股状に形成され、リブ12を挟み込む二股部31とを備える。このため、筐体100は、パッキン30の圧縮反力を、ケース10に対して分散して伝えることができる。この結果、筐体100は、パッキン30の圧縮反力によるケース10への負荷を小さくすることができる。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態2に係る筐体200について、図5から図7を用いて説明する。
【0035】
図5は、実施の形態2に係る筐体200の要部断面図である。図6は、パッキン30をパッキン収納溝11から取り外した状態を示す断面図である。図7は、カバー20をケース10に取り付けた際のパッキン30の変形状態を示す断面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
実施の形態1に係る筐体100は、パッキン30がリブ12を挟み込んだ際の摩擦力を利用して、パッキン30のリブ12からの脱落防止を図るものである。これに対して、実施の形態2に係る筐体200は、パッキン30がリブ12を挟み込んだ際の引っ掛かり力(摩擦力を含む)を利用して、パッキン30のリブ13からの脱落防止を図るものである。このため、実施の形態2に係る筐体200は、実施の形態1に係る筐体100のリブ12に替えて、リブ13を備えた構造となっている。
【0037】
図6に示すように、リブ13は、パッキン30をパッキン収納溝11に取り付けるための凸部である。リブ13は、パッキン収納溝11の底面に設けられている。リブ13は、パッキン収納溝11の底面から突出するように形成されている。また、リブ13は、パッキン収納溝11の長さ方向に沿うように、環状に形成されている。リブ13の横断面は、その長さ方向から見て、逆三角(逆台形を含む)となっている。このため、リブ13の幅方向両側面は、傾斜面となっている。リブ12は、その長さ方向において、一様な横断面形状となっている。
【0038】
リブ13の上面は、リブ13の下面よりも幅広である。なお、リブ13の上面は、パッキン収納溝11の開口側に位置する面であり、リブ13の下面は、パッキン収納溝11の底面に接続する面である。このため、リブ13の幅方向両側面は、パッキン収納溝11の底面に向かうに従って、互いに接近するように、徐々に内側に向かって傾斜している。
【0039】
これに対して、図5に示すように、パッキン30の二股部31は、ケース10のリブ13に着脱可能となっている。二股部31における幅方向において互いに対向する2つの内面は、リブ13の幅方向両側面と、それぞれ対応する傾斜面となっている。二股部31における幅方向において互いに対向する2つの内面は、パッキン収納溝11の底面(又は、パッキン30の他端)に向かうに従って、互いに接近するように、徐々に内側に向かって傾斜している。
【0040】
ここで、パッキン30をパッキン収納溝11に収納する際には、リブ13が、二股部31における幅方向において互いに対向する内面間に、その幅方向両側から挟み込まれるように、パッキン30をパッキン収納溝11に収納する。このとき、上述したように、リブ13の幅方向両側面と、二股部31の上記2つの内面とが、互いに対向するような、傾斜面となっているため、二股部31の上記2つの内面と、リブ13の幅方向両側面とは、互いにそれぞれ引っ掛かる。このため、リブ13は、パッキン30との間で、互いの傾斜面同士の引っ掛かりによる、抜け止め効果を発揮し、パッキン30に対する保持力を向上させる。この結果、パッキン30は、仮に、カバー20が取り付けられていない状態で、ケース10が逆さにされた場合でも、リブ13から脱落することは無い。
【0041】
従って、図7に示すように、カバー20をケース10に取り付ける場合には、押圧部21がパッキン30を押圧する。このため、パッキン30は、全体的に弾性変形し、その中でも、二股部31は、リブ13を中心として、その幅方向両側方に向けて広がるように、弾性変形する。この結果、パッキン30は、押圧部21の押圧による圧縮反力を、全周に亘って、パッキン収納溝11の幅方向両側に意図的に分散することができる。
【0042】
また、カバー20をケース10から取り外す場合には、押圧部21がパッキン30から離れる。即ち、押圧部21は、パッキン30に対する押圧力を解除する。このため、パッキン30は、全体的に元の状態(形状)に復帰し、その中でも、二股部31は、全周に亘って、リブ13をその幅方向両側から挟み込むように、復帰する。この結果、パッキン30は、カバー20のケース10からの取り外し直後から、リブ12からの脱落防止が図られる。
【0043】
以上、実施の形態2に係る筐体200おいては、リブ13の幅方向両側面は、パッキン収納溝11の底面に向かうに従って、互いに徐々に接近するような、傾斜面であり、二股部31における幅方向において互いに対向する2つの内面は、パッキン収納溝11の底面に向かうに従って、互いに徐々に接近するような、傾斜面であり、リブ13の幅方向両側面を、その幅方向両側から挟み込む。このため、筐体200は、パッキン30をリブ13に装着させた際の当該パッキン30に対する保持力を、向上させることができる。
【0044】
実施の形態3.
実施の形態3に係る筐体300について、図8から図10を用いて説明する。
【0045】
図8は、実施の形態3に係る筐体300の要部断面図である。図9は、押さえ部材14及びパッキン30をパッキン収納溝11から取り外した状態を示す断面図である。図10は、カバー20をケース10に取り付けた際のパッキン30の変形状態を示す断面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
実施の形態1に係る筐体100は、パッキン30がリブ12を挟み込んだ際の摩擦力を利用して、パッキン30のリブ12からの脱落防止を図るものである。これに対して、実施の形態3に係る筐体300は、押さえ部材14がパッキン30を押さえ付けることで、パッキン30のパッキン収納溝11からの脱落防止を図るものである。このため、実施の形態3に係る筐体300は、実施の形態1に係る筐体100のリブ12に替えて、押さえ部材14を備えた構造となっている。
【0047】
図8及び図9に示すように、ケース10は、嵌入溝15を有している。この嵌入溝15は、押さえ部材14が嵌入される溝である。嵌入溝15は、パッキン収納溝11の底面に設けられている。嵌入溝15は、パッキン収納溝11の長さ方向全域に設けられている。即ち、嵌入溝15は、環状に形成されている。
【0048】
これに対して、図8に示すように、押さえ部材14は、環状に形成されている。押さえ部材14の横断面は、L字状又はフック状に形成されている。押さえ部材14は、例えば、基端側と先端側とが共に直線状に形成され、且つ、基端側と先端側とが交差するような、構造となっている。このため、押さえ部材14においては、基端側が嵌入溝15に嵌入されることで、押さえ側となる先端側が、パッキン30に当接し、当該パッキン30をパッキン収納溝11の底面に押し付け可能となっている。また、押さえ部材14は、例えば、弾性樹脂材料で形成されている。このため、弾性体となる押さえ部材14においては、基端側が嵌入溝15に嵌入された状態でも、基端側及び先端側が個別に撓むことができる。
【0049】
ここで、パッキン30をパッキン収納溝11に収納する際には、先ず、押さえ部材14が、嵌入溝15に嵌入される。次いで、パッキン30の二股部31の一部分が、押さえ部材14の先端とパッキン収納溝11の底面との間に挟み込まれるように、当該パッキン30をパッキン収納溝11に収納する。このとき、押さえ部材14は、自身の弾性変形によって、パッキン30を、先端側とパッキン収納溝11の底面との間に、容易に挟み込むことができる。このため、押さえ部材14は、パッキン30をパッキン収納溝11の底面に押さえ付けることができる。この結果、パッキン30は、仮に、カバー20が取り付けられていない状態で、ケース10が逆さにされた場合でも、パッキン収納溝11から脱落することは無い。
【0050】
従って、図10に示すように、カバー20をケース10に取り付ける場合には、押圧部21がパッキン30押圧する。このため、パッキン30は、全体的に弾性変形し、その中でも、二股部31は、その幅方向両側方に向けて広がるように、弾性変形する。このとき、パッキン30の変形方向の先には、押さえ部材14が配置されているが、当該押さえ部材14は、弾性体であるため、二股部31の変形に倣って、撓むことができる。このように、押さえ部材14は、パッキン30の弾性変形を阻害するような反力を発生することは無い。この結果、パッキン30は、押圧部21の押圧による圧縮反力を、全周に亘って、パッキン収納溝11の幅方向両側に意図的に分散することができる。
【0051】
また、カバー20をケース10から取り外す場合には、押圧部21がパッキン30から離れる。即ち、押圧部21は、パッキン30に対する押圧力を解除する。このため、パッキン30は、全体的に元の状態(形状)に復帰し、その中でも、二股部31は、全周に亘って、その幅方向中心部に向かうように、復帰する。このとき、押さえ部材14は、二股部31が元の状態に復帰するのに伴って、元の状態(形状)に復帰して、パッキン30を押さえ付ける。この結果、パッキン30は、カバー20のケース10からの取り外し直後から、パッキン収納溝11からの脱落防止が図られる。
【0052】
以上、実施の形態3に係る筐体300は、ケース10の開口端に設けられるパッキン収納溝11と、パッキン収納溝11の底面に設けられる押さえ部材14と、パッキン収納溝11に収納され、ケース10に取り付けられるカバー20に押圧されるパッキン30と、パッキン30に二股状に形成され、押さえ部材14にパッキン収納溝11の底面に対して押さえ付けられる二股部31とを備える。このため、筐体300は、パッキン30の圧縮反力を、ケース10に対して分散して伝えることができる。この結果、筐体300は、パッキン30の圧縮反力によるケース10への負荷を小さくすることができる。
【0053】
また、筐体300は、押さえ部材14を弾性体としている。このため、筐体300は、押さえ部材14がパッキン30の弾性変形を阻害することを、防止することができる。
【0054】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、或いは、各実施の形態における任意の構成要素の変形、若しくは、各実施の形態における任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 ケース、11 パッキン収納溝、12,13 リブ、14 押さえ部材、15 嵌入溝、20 カバー、21 押圧部、30 パッキン、31 二股部、50 ケース、51 パッキン収納溝、52 リブ、60 カバー、61 押圧部、70 パッキン、71 嵌入孔、100,200,300,500 筐体。
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