(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139805
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】出力アンプ回路、表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 611A
G09G3/20 642A
G09G3/20 623D
G09G3/20 623C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050711
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【テーマコード(参考)】
5C080
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD08
5C080DD22
5C080DD26
5C080DD27
5C080FF11
5C080HH09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
(57)【要約】
【目的】チップ面積及び消費電力を抑えた出力アンプ回路、当該出力アンプ回路を含む表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【構成】本発明は、第1~第nのアンプを所定個数毎に区分けした第1~第Kのアンプ群の各々に対応して設けられており、夫々がアンプの動作電流の電流値を設定するための複数のバイアス電圧を生成して、対応する前記アンプ群に属する各アンプに供給する第1~第Kのサブバイアス回路と、バイアス電圧の電圧値を指定する制御信号によって指定された電圧値に対応した電流値を夫々が有するK個の電流を第1~第Kのバイアス制御電流として第1~第Kのサブバイアス回路に供給するメインバイアス回路と、を有し、当該第1~第Kのサブバイアス回路の各々は、第1~第Kのバイアス制御電流のうちで自身が受けたバイアス制御電流に対して電流電圧変換を施して得られた電圧に基づき複数のバイアス電圧を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1~第n(nは2以上の整数)のアンプと、
前記第1~第nのアンプを所定個数毎に区分けした第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群の各々に対応して設けられており、夫々が前記アンプの動作電流の電流値を設定するための複数のバイアス電圧を生成して、対応する前記第1~第Kのアンプ群の各々に属する各アンプに供給する第1~第Kのサブバイアス回路と、
前記複数のバイアス電圧の電圧値を指定する制御信号を受け、前記制御信号によって指定された前記電圧値に対応した電流値を夫々が有するK個の電流を生成し、夫々を第1~第Kのバイアス制御電流として前記第1~第Kのサブバイアス回路に供給するメインバイアス回路と、を有し、
前記第1~第Kのサブバイアス回路の各々は、前記第1~第Kのバイアス制御電流のうちの自身が受けたバイアス制御電流に対して電流電圧変換を施して得られた電圧に基づき前記複数のバイアス電圧を生成することを特徴とする出力アンプ回路。
【請求項2】
前記第1~第Kのサブバイアス回路が、各々で生成された前記複数のバイアス電圧を個別に前記第1~第Kのアンプ群に供給する第1~第Kのバイアス電圧配線群を有し、
前記第1~第Kのバイアス電圧配線群のうちの同一バイアス電圧配線同士が、サブバイアス回路間で互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の出力アンプ回路。
【請求項3】
前記第1~第Kのバイアス電圧配線群のうちの同一バイアス電圧配線同士が、サブバイアス回路間でスイッチを介して接続されており、
前記スイッチを周期的に所定期間の間だけオン状態に制御するスイッチ制御信号を前記スイッチに供給する制御部を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の出力アンプ回路。
【請求項4】
前記第1~第nのアンプの各々は、前記複数のバイアス電圧と共に前記複数のバイアス電圧とは異なる共通バイアス電圧を受けることで前記動作電流が設定され、
前記メインバイアス回路は、電圧値が固定の前記共通バイアス電圧を生成して前記第1~第nのアンプ各々に供給する共通バイアス電圧生成回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の出力アンプ回路。
【請求項5】
前記第1~第nのアンプは、所定周期のデータ期間毎に第1~第nの入力電圧を受けて前記第1~第nの入力電圧を夫々増幅した第1~第nの出力電圧を生成し、
前記メインバイアス回路は、
前記データ期間毎に、そのデータ期間の開始直後の第1の期間では、前記複数のバイアス電圧各々の電圧値を、前記第1~第nのアンプ各々の前記動作電流を増加させる第1の電圧値に設定すべく、前記第1の電圧値に対応した電流値を有する前記バイアス制御電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に供給し、
前記第1の期間に引き続く第2の期間では、前記複数のバイアス電圧各々の電圧値を、前記第1~第nのアンプ各々の動作電流を低下させる第2の電圧値に設定すべく、前記第2の電圧値に対応した電流値を有する前記バイアス制御電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に供給することを特徴とする請求項1に記載の出力アンプ回路。
【請求項6】
前記メインバイアス回路は、
前記データ期間毎に、前記第2の期間に引き続く第3の期間では、前記複数のバイアス電圧各々の電圧値を、前記第1~第nのアンプ各々の前記動作電流を増加させる前記第1の電圧値に設定すべく、前記第1の電圧値に対応した電流値を有する前記バイアス制御電流を前記第1~第Kのサブバイアス回路に供給することを特徴とする請求項5に記載の出力アンプ回路。
【請求項7】
映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した電圧値を夫々が有する第1~第n(nは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成回路と、
請求項1に記載の出力アンプ回路を含み、前記出力アンプ回路の前記第1~第nのアンプによって前記第1~第nの階調電圧を増幅して得た前記第1~第nの出力電圧を、表示パネルの第1~第nのデータ線に供給する出力部と、を有することを特徴とする表示ドライバ。
【請求項8】
表示画面の水平方向に沿って伸張する第1~第n(nは2以上の整数)のデータ線を有する表示パネルと、
映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した電圧値を夫々が有する第1~第nの階調電圧を生成する階調電圧生成回路と、
請求項1に記載の出力アンプ回路を含み、前記出力アンプ回路の前記第1~第nのアンプによって前記第1~第nの階調電圧を増幅して得た前記第1~第nの出力電圧を、前記表示パネルの前記第1~第nのデータ線に供給する出力部と、を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンプを含む出力アンプ回路、当該出力アンプ回路を含む表示ドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルとしての例えば液晶表示パネル又は有機ELパネルを駆動する表示ドライバには、映像信号によって表される輝度レベルに対応した階調電圧を増幅して、表示パネルのソースラインに供給する複数の出力アンプが含まれている。
【0003】
また、近年の表示パネルの大画面化、高精細化に伴い、出力アンプに対して、出力電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間の短縮化、いわゆる高スルーレート化が望まれている。ところで、出力アンプは、例えばオペアンプからなり、自身の差動段に流す動作電流を増やすことによりスルーレートを高くすることができるが、その分だけ電力消費量が増加するという問題が生じる。
【0004】
そこで、出力アンプの差動段に流れる動作電流の大きさを、1データ期間の前半で大、後半では小となるように出力アンプの外部からバイアス電圧によって制御することが考えられる。例えば、表示ドライバとしての半導体ICチップのチップ中央部にバイアス電圧を生成するバイアス回路を設け、このバイアス回路からバイアス線を介して、半導体ICチップの長辺方向に沿って配置されている出力アンプの各々にバイアス電圧を供給する。
【0005】
しかしながら、バイアス線の抵抗や、各出力アンプに含まれるトランジスタのゲート容量による大きなインパーダンスにより、チップ中央部とチップ端部とでバイアス電圧を変化させるタイミングに大きなずれが生じて表示ムラを生じた。
【0006】
そこで、このようなチップ中央部とチップ端部でのバイアス電圧変化のタイミング差を短縮する方法として、出力アンプをグループ化し、グループ毎にバイアス電圧を生成するサブバイアス回路を設けるようにした表示ドライバが提案された(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示されている表示ドライバでは、出力アンプをグループ化し、グループ毎にバイアス電圧を生成するサブバイアス回路を設けている。各サブバイアス回路はチップ中央部に配置したメインバイアス回路から、電流値一定の基準電流及びバイアス制御信号を受ける。各サブバイアス回路は、基準電流を基に複数の電流を生成し、バイアス制御信号によって、生成した電流を合成する組合せを変えることで所望とする合成電流を生成し、その合成電流値に応じたバイアス電圧を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示されている表示ドライバでは、メインバイアス回路に接続されている複数のサブバイアス回路の各々で、バイアス制御信号に従ってバイアス電圧の電圧値を調整する回路が設けられている。
【0009】
しかしながら、バイアス電圧の調整ステップを増やすほど、各サブバイアス回路の素子数も増加しそれに伴い消費電力も増加するという問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、チップ占有面積及び消費電力を抑えて、複数のアンプのスルーレートの制御を行うことが可能な出力アンプ回路、当該出力アンプ回路を含む表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る出力アンプ回路は、第1~第n(nは2以上の整数)のアンプと、前記第1~第nのアンプを所定個数毎に区分けした第1~第K(Kは2以上の整数)のアンプ群の各々に対応して設けられており、夫々が前記アンプの動作電流の電流値を設定するための複数のバイアス電圧を生成して、対応する前記第1~第Kのアンプ群の各々に属する各アンプに供給する第1~第Kのサブバイアス回路と、前記複数のバイアス電圧の電圧値を指定する制御信号を受け、前記制御信号によって指定された前記電圧値に対応した電流値を夫々が有するK個の電流を生成し、夫々を第1~第Kのバイアス制御電流として前記第1~第Kのサブバイアス回路に供給するメインバイアス回路と、を有し、前記第1~第Kのサブバイアス回路の各々は、前記第1~第Kのバイアス制御電流のうちの自身が受けたバイアス制御電流に対して電流電圧変換を施して得られた電圧に基づき前記複数のバイアス電圧を生成するすることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る表示ドライバは、映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した電圧値を夫々が有する第1~第n(nは2以上の整数)の階調電圧を生成する階調電圧生成回路と、上記した出力アンプ回路を含み、前記出力アンプ回路の前記第1~第nのアンプによって前記第1~第nの階調電圧を増幅して得た前記第1~第nの出力電圧を、表示パネルの第1~第nのデータ線に供給する出力部と、を有する。
【0013】
本発明に係る表示装置は、表示画面の水平方向に沿って伸張する第1~第n(nは2以上の整数)のデータ線を有する表示パネルと、映像信号に基づく各画素の輝度レベルに対応した電圧値を夫々が有する第1~第nの階調電圧を生成する階調電圧生成回路と、上記した出力アンプ回路を含み、前記出力アンプ回路の前記第1~第nのアンプによって前記第1~第nの階調電圧を増幅して得た前記第1~第nの出力電圧を、前記表示パネルの前記第1~第nのデータ線に供給する出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、メインバイアス回路で、制御信号にて示されるバイアス電圧の電圧値に対応した電流値を有する第1~第Kのバイアス制御電流を生成し、夫々を第1~第Kのサブバイアス回路に供給する。サブバイアス回路の各々は、自身が受けたバイアス制御電流に電流電圧変換処理を施して得た電圧に基づき複数のバイアス電圧を生成し、自身に対応したアンプ群に供給する。
【0015】
このように、複数のアンプのスルーレートの制御を行うにあたり、本発明では、制御信号に従ったバイアス電圧の調整処理をメインバイアス回路で行うので、サブバイアス回路の各々で当該調整処理を行う場合に比べて回路面積及び消費電力を低減させることが可能となる。更に、制御信号を供給する配線をメインバイアス回路のみに接続すれば良いので、各サブバイアス回路に当該制御信号を供給する場合に比べて配線数を減らすことができる。
【0016】
よって、本発明によれば、チップ占有面積及び消費電力を抑えた出力アンプ回路を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る出力アンプ回路の第1の実施例としての出力アンプ回路100_1の構成を示すブロック図である。
【
図2】アンプAP1~APnのうちからアンプAP1を抜粋してその内部構成を示す回路図である。
【
図3】サブバイアス回路SB1~SB3各々の内部構成を示す回路図である。
【
図4】可変電流源11の内部構成を示す回路図である。
【
図5】メインバイアス回路MB_1、サブバイアス回路SB1~SB3、及び出力アンプ部OBLK_1各々の半導体ICチップCHP内での配置形態の一例を示すレイアウト図である。
【
図6】出力タイミング制御信号OCLK、バイアス制御信号PWRC、可変バイアス制御電流Io、バイアス電圧VBx、入力電圧V1、出力電圧G1の波形を表すタイムチャートである。
【
図7】バイアス制御信号PWRC、可変バイアス制御電流Io及びバイアス電圧VBx各々のタイミングの変更例を示すタイムチャートである。
【
図8】本発明に係る出力アンプ回路の第2の実施例としての出力アンプ回路100_2の構成を示す回路図である。
【
図9】カレントミラー回路CM_2及びバイアス制御電流生成部IG_2の内部構成を示す回路図である。
【
図10】スイッチ回路SW12及びSW23をオンオフ制御するスイッチ制御信号SWCを示すタイムチャートである。
【
図11】本発明に係る出力アンプ回路の第3の実施例としての出力アンプ回路100_3の構成を示す回路図である。
【
図12】サブバイアス回路SB1a~SB3a各々の構成を示す回路図である。
【
図13】出力アンプ回路100_1、100_2又は100_3を含む表示ドライバを有する表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0019】
図1は、本発明に係る出力アンプ回路の第1の実施例としての出力アンプ回路100_1の構成を示すブロック図である。
【0020】
出力アンプ回路100_1は、夫々が所定のデータ周期毎に電圧値が変化するn(nは2以上の整数)個の入力電圧を受け、夫々個別に増幅したn個の出力電圧を生成して出力する回路である。
【0021】
出力アンプ回路100_1は、半導体ICチップに形成されており、
図1に示すように、メインバイアス回路MB_1、サブバイアス回路SB1~SB3、制御部CN_1及び出力アンプ部OBLK_1を含む。
【0022】
出力アンプ部OBLK_1は、n個の入力電圧V1~Vnを受け、夫々を個別に増幅して得られたn個の電圧を出力電圧G1~Gnとして生成し、夫々を半導体ICチップの出力端子T1~Tnを介して出力するアンプAP1~APnを含む。尚、アンプAP1~APnの各々は、例えば同一構成のオペアンプからなり、サブバイアス回路SB1~SB3から供給されたバイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pによって、自身の差動段及びカレントミラー段に流す動作電流が設定される。これにより、アンプAP1~APnの各々は、上記したバイアス電圧群(VB1N~VB3、VB1P~VB3P)に基づき自身の出力スルーレートを調整する。
【0023】
メインバイアス回路MB_1は、カレントミラー回路CM_1及びバイアス制御電流生成部IG_1を含む。
【0024】
カレントミラー回路CM_1は、Pチャネル型のトランジスタQ0、Q1~Q3を含む。トランジスタQ0、Q1~Q3の各々は、自身のソースで電源電圧VDDを受ける。トランジスタQ1~Q3各々のゲートは、トランジスタQ0のゲート及びドレインに接続されている。バイアス制御電流生成部IG_1は、トランジスタQ0のドレインに流す可変バイアス制御電流Ioを生成する可変電流源11を含む。
【0025】
かかる構成により、カレントミラー回路CM_1は、トランジスタQ0のドレインに流れる可変バイアス制御電流Ioをミラーしたバイアス制御電流I1を、トランジスタQ1のドレインから配線BL1を介してサブバイアス回路SB1に供給する。また、カレントミラー回路CM_1は、当該可変バイアス制御電流Ioをミラーしたバイアス制御電流I2を、トランジスタQ2のドレインから配線BL2を介してサブバイアス回路SB2に供給する。更に、カレントミラー回路CM_1は、当該可変バイアス制御電流Ioをミラーしたバイアス制御電流I3を、トランジスタQ3のドレインから配線BL3を介してサブバイアス回路SB3に供給する。尚、バイアス制御電流I1~I3夫々の可変バイアス制御電流Ioに対する電流ミラー比は共通に設定される。
【0026】
制御部CN_1は、各制御信号のタイミング生成の基となるクロック信号CLK、上記したデータ周期を設定する出力タイミング信号OCLK、及び設定信号を受け、バイアス電圧の電圧値を指定するバイアス制御信号PWRCをメインバイアス回路MB_1の可変電流源11に供給する。可変電流源11は、かかるバイアス制御信号PWRCに従って可変バイアス制御電流Ioの電流値を変更する。これにより、メインバイアス回路MB_1は、バイアス制御信号PWRCに従って、サブバイアス回路SB1~SB3に夫々供給するバイアス制御電流I1~I3各々の電流値を制御する。
【0027】
サブバイアス回路SB1~SB3の各々は同一の内部構成を有し、夫々がアンプAP1~APnを3つのグループに区分けした際の第1~第3のグループの各々に対応付けして設けられている。尚、第1のグループにはアンプAP1~APr(rはn未満の整数)が属しており、第2のグループにはアンプAP(r+1)~APg(gは、rより大であり且つn未満の整数)が属しており、第3のグループにはアンプAP(g+1)~APnが属しているものとする。
【0028】
サブバイアス回路SB1は、メインバイアス回路MB_1から送出されたバイアス制御電流I1を配線BL1を介して受ける。サブバイアス回路SB1は、バイアス制御電流I1の電流値に対応した大きさの電圧値を有するバイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pを生成し、夫々を6つの配線からなる第1の配線群L1を介して第1のグループに属するアンプAP1~APrに供給する。
【0029】
サブバイアス回路SB2は、メインバイアス回路MB_1から送出されたバイアス制御電流I2を配線BL2を介して受ける。サブバイアス回路SB2は、バイアス制御電流I2の電流値に対応した大きさの電圧値を有するバイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pを生成し、夫々を6つの配線からなる第2の配線群L2を介して第2のグループに属するアンプAP(r+1)~APgの各々に供給する。
【0030】
サブバイアス回路SB3は、メインバイアス回路MB_1から送出されたバイアス制御電流I3を、配線BL3を介して受ける。サブバイアス回路SB3は、バイアス制御電流I3の電流値に対応した大きさの電圧値を有するバイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pを生成し、夫々を6つの配線からなる第3の配線群L3を介して第3のグループに属するアンプAP(g+1)~APnの各々に供給する。
【0031】
尚、上記した配線群L1~L3は、互いに電気的に接続されていても良い。
【0032】
以下に、
図1に示すアンプAP1~APn、サブバイアス回路SB1~SB3、可変電流源11の詳細な構成について説明する。
【0033】
図2は、アンプAP1~APnのうちからアンプAP1を抜粋してその内部構成を示す回路図である。
【0034】
アンプAP1は、Pチャネル型のトランジスタU2~U4、及びNチャネル型のトランジスタJ2~J4を含む差動段と、Pチャネル型のトランジスタU11及びNチャネル型のトランジスタJ11を含む出力段と、カスコードカレントミラー回路30及び40と、浮遊電流源50及び60と、を有する。
【0035】
差動段のトランジスタU2のソースには電源電圧VDDが印加されており、ゲートにはバイアス電圧VB1Pが供給されている。トランジスタU2は、バイアス電圧VB1Pに応じた電流値を有する動作電流Iu1を生成し、これをトランジスタU3及びU4各々のソースに供給する。トランジスタU3は自身のゲートで入力電圧V1を受ける。トランジスタU4は自身のゲートでアンプAP1の出力である出力電圧G1を受ける。トランジスタU3及びU4は、入力電圧V1と出力電圧G1との電圧比で、トランジスタU2から供給された動作電流Iu1を2分割した差動出力電流を電流NCM1及びNCM2として生成する。トランジスタU3及びU4は、電流NCM1及びNCM2を夫々のドレインを介して、カスコードカレントミラー回路40のノードn3及びn4に供給する。すなわち、トランジスタU3は、入力電圧V1の電圧値に対応した電流NCM2をカスコードカレントミラー回路40のノードn4に供給する。トランジスタU4は、出力電圧G1の電圧値に対応した電流NCM1をカスコードカレントミラー回路40のノードn3に供給する。
【0036】
差動段のトランジスタJ2のソースには接地電圧VSSが印加されており、ゲートにはバイアス電圧VB1Nが供給されている。トランジスタJ2のドレインはトランジスタJ3及びJ4各々のソースに接続されている。トランジスタJ2は、バイアス電圧VB1Nに応じた電流値を有する動作電流Ij1を生成し、これをトランジスタJ3及びJ4のソースから引き出す。トランジスタJ3は自身のゲートで入力電圧V1を受ける。トランジスタJ4は自身のゲートで出力電圧G1を受ける。トランジスタJ3及びJ4は、夫々のゲートで受けた入力電圧V1と出力電圧Y1との電圧比で動作電流Ij1を2分割した差動出力電流を電流PCM1及びPCM2として生成する。トランジスタJ3は、入力電圧V1に対応した電流PCM2をカスコードカレントミラー回路30のノードn2から引き出し、これをトランジスタJ2のドレインに供給する。トランジスタJ4は、出力電圧G1に対応した電流PCM1をカスコードカレントミラー回路30のノードn1から引き出し、これをトランジスタJ2のドレインに供給する。
【0037】
尚、上記した差動段では、バイアス電圧VB1Pによって動作電流Iu1の電流値が調整され、更に、バイアス電圧VB1Nによって上記した動作電流Ij1の電流値が調整される。これにより、例えばバイアス電圧VB1Pの電圧値が低いほど大きな電流がカスコードカレントミラー回路40のノードn3及びn4に供給される。また、バイアス電圧VB1Nの電圧値が高いほど大きな電流がカスコードカレントミラー回路30のノードn1及びn2から引き出される。
【0038】
カスコードカレントミラー回路30は、Pチャネル型のトランジスタU5~U8を含み、カスコードカレントミラー回路40は、Nチャネル型のトランジスタJ7~J10を含む。また、浮遊電流源50は、Pチャネル型のトランジスタU9及びNチャネル型のトランジスタJ5を含み、浮遊電流源60は、Pチャネル型のトランジスタU10及びNチャネル型のトランジスタJ6を含む。
【0039】
カスコードカレントミラー回路30のトランジスタU5及びU6各々のソースには電源電圧VDDが印加されており、夫々のゲートは互いに接続されている。トランジスタU5のドレインはノードn1を介してトランジスタU7のソースに接続されている。トランジスタU6のドレインはノードn2を介してトランジスタU8のソースに接続されている。トランジスタU7及びU8のゲートには共にバイアス電圧VB2Pが印加されている。トランジスタU7のドレインは、ノードn5を介してトランジスタU5及びU6各々のゲートと、浮遊電流源50のトランジスタU9のソース、及びトランジスタJ5のドレインに接続されている。
【0040】
トランジスタU8のドレインは、高電位側の駆動ノードとしてのノードn6を介して浮遊電流源60のトランジスタU10のソース及びトランジスタJ6のドレインに接続されている。トランジスタU9及びU10各々のゲートにはバイアス電圧VB3Pが印加されており、トランジスタJ5及びJ6各々のゲートにはバイアス電圧VB3Nが印加されている。トランジスタU9のドレイン及びトランジスタJ5のソースは、ノードn7を介して、カスコードカレントミラー回路40のトランジスタJ7のドレインに接続されている。トランジスタU10のドレイン及びトランジスタJ6のソースは、低電位側の駆動ノードとしてのノードn8を介して、カスコードカレントミラー回路40のトランジスタJ8のドレインに接続されている。
【0041】
トランジスタJ7及びJ8各々のゲートにはバイアス電圧VB2Nが印加されている。トランジスタJ7のソースはノードn3を介してトランジスタJ9のドレインに接続されている。トランジスタJ8のソースは、ノードn4を介してトランジスタJ10のドレインに接続されている。トランジスタJ9及びJ10各々のソースには接地電圧VSSが印加されており、これらトランジスタJ9及びJ10各々のゲートはトランジスタJ7のドレインに接続されている。
【0042】
上記したカスコードカレントミラー回路30及び40、浮遊電流源50及び60では、差動段から供給された電流PCM1と電流PCM2との差に対応した電流値を有する動作電流Iu2がノードn6に流れ、差動段から供給された電流NCM1と電流NCM2との差に対応した電流値を有する動作電流Ij2がノードn8に流れる。
【0043】
これにより、カスコードカレントミラー回路30及び40、浮遊電流源50及び60では、電流PCM1とPCM2との差に対応した動作電流Iu2をノードn6に供給する又はノードn6から引き出すことで、ノードn6に高電位側の出力駆動電圧PGを生成する。当該出力駆動電圧PGは出力段のトランジスタU11のゲートに供給される。また、カスコードカレントミラー回路30及び40、浮遊電流源50及び60では、電流NCM1と電流NCM2との差に対応した動作電流Ij2をノードn8に供給する又はノードn8から引き出すことで、ノードn8に低電位側の出力駆動電圧NGを生成する。当該出力駆動電圧NGは出力段のトランジスタJ11のゲートに供給される。
【0044】
出力段のトランジスタU11のソースには電源電圧VDDが印加されており、そのゲートで受けた出力駆動電圧PGに対応した電流を生成し、これを出力ノードnZに供給することで出力ノードnZの電圧を増加させる。トランジスタJ11のソースには接地電圧VSSが印加されており、そのゲートで受けた出力駆動電圧NGに対応した電流を出力ノードnZから引き出すことで、出力ノードnZの電圧を低下させる。
【0045】
上記したトランジスタU11及びJ11の動作により、出力ノードnZに出力電圧G1が生成され、これが出力端子を介して出力される。この際、出力された出力電圧G1が差動段の高電位側のトランジスタU4のゲート、及び低電位側のトランジスタJ4のゲートの各々に帰還供給される。
【0046】
なお、アンプAP1の安定した出力動作を行うため位相補償容量C1、C2が設けられている。位相補償容量の接続の一例として、
図2では、出力ノードnZとノードn2間に位相補償容量C1を接続し、出力ノードnZとノードn4間に位相補償容量C2を接続している。
【0047】
ところで、
図2に示すアンプAP1の構成によると、バイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pの大きさにより、出力段のトランジスタU11及びJ11を駆動する駆動ノードとしてのノードn6及びn8に流れる動作電流Iu2及びIj2の電流値が調整される。これにより、出力ノードnZに送出する及び当該出力ノードnZから引き出す電流の大きさが変化して、アンプAP1の駆動能力が調整される。尚、アンプAP1の入力電圧V1が大きく変化するときの出力電圧G1の変化速度、すなわちスルーレートは、差動段に流れる動作電流Ij1、Iu1に主に依存する。簡易的には、スルーレートは、出力電圧G1の変化に伴う位相補償容量C1、C2の充放電速度とみなすことができるので、動作電流Ij1、Iu1の電流値が大きいほど、アンプAP1は高駆動能力で高スルーレートが可能となる。
【0048】
図3は、サブバイアス回路SB1~SB3のうちからサブバイアス回路SB1を抜粋してその内部構成を示す回路図である。
【0049】
サブバイアス回路SB1は、Nチャネル型のトランジスタ70~74、75A、75B、及び76~78と、Pチャネル型のトランジスタ81~87、88A及び88Bと、を有する。
【0050】
トランジスタ70及び71は、互いのゲート同士が接続されており、且つ各々のソースに接地電圧VSSが印加されている第1のカレントミラー回路を構成している。第1のカレントミラー回路(70、71)は、メインバイアス回路MB_1から供給されたバイアス制御電流I1をトランジスタ70のドレインで受ける。
【0051】
第1のカレントミラー回路(70、71)は、当該バイアス制御電流I1をミラーしたミラー電流i1をトランジスタ81のドレインに流す。
【0052】
トランジスタ81~85は、互いのゲート同士が接続されており、且つ各々のソースに電源電圧VDDが印加されている第2のカレントミラー回路(81~85)を構成している。
【0053】
第2のカレントミラー回路(81~85)は、トランジスタ81に流れるミラー電流i1をミラーしたミラー電流i2~i5をトランジスタ82~85各々のドレインから送出する。
【0054】
トランジスタ72、76~78は、互いのゲート同士が接続されており、且つ各々のソースに接地電圧VSSが印加されている第3のカレントミラー回路(72、76~78)を構成している。
【0055】
第3のカレントミラー回路(72、76~78)は、トランジスタ82のドレインから送出されたミラー電流i2をミラーしたミラー電流i6~i8をトランジスタ76~78に夫々流す。
【0056】
トランジスタ73は、自身のドレイン及びゲート同士が接続されている、ダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ73は、ソースで接地電圧VSSを受け、且つ上記したコピー電流i3をドレイン及びゲートで受けることで当該ドレイン及びゲートに生じた電圧を、バイアス電圧VB1Nとして出力する。
【0057】
トランジスタ74は、自身のドレイン及びゲート同士が接続されている、ダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ74は、ソースで接地電圧VSSを受け、且つ上記したミラー電流i4をドレイン及びゲートで受けることで当該ドレイン及びゲートに生じた電圧を、バイアス電圧VB2Nとして出力する。
【0058】
トランジスタ75Aは、自身のドレイン及びゲート同士が接続されている、ダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ75Aは、ソースで接地電圧VSSを受け、ドレインはトランジスタ75Bのソースに接続されている。
【0059】
トランジスタ75Bは、自身のドレイン及びゲート同士が接続されている、ダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ75Bは、上記したミラー電流i5をドレイン及びゲートで受けることで当該ドレイン及びゲートに生じた電圧を、バイアス電圧VB3Nとして出力する。
【0060】
トランジスタ86は、自身のドレイン及びゲート同士が接続されており、且つそのドレインがトランジスタ76のドレインに接続されている、ダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ86は、トランジスタ76に流れるミラー電流i6が自身のドレインに流れることで当該ドレインに生じた電圧をバイアス電圧VB1Pとして出力する。
【0061】
トランジスタ87は、自身のドレイン及びゲート同士が接続されており、且つそのドレインがトランジスタ77のドレインに接続されている、ダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ87は、トランジスタ77に流れるミラー電流i7が自身のドレインに流れることで当該ドレインに生じた電圧をバイアス電圧VB2Pとして出力する。
【0062】
トランジスタ88Aは、自身のドレイン及びゲート同士が接続されているダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ88Aは、ソースで電源電圧VDDを受け、ドレインはトランジスタ88Bのソースに接続されている。
【0063】
トランジスタ88Bは、自身のドレイン及びゲート同士が接続されているダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタ88Bのドレインはトランジスタ78のドレインに接続されている。トランジスタ88Bは、トランジスタ78に流れるミラー電流i8が自身のドレインに流れることで当該ドレインに生じた電圧を、バイアス電圧VB3Pとして出力する。
【0064】
このように、サブバイアス回路SB1は、配線BL1を介してメインバイアス回路MB_1から供給されたバイアス制御電流I1を受ける。そして、サブバイアス回路SB1は、第1~第3のカレントミラー回路によって当該バイアス制御電流I1をミラーしたミラー電流i3~i8の各々を、ダイオード接続されたトランジスタで電圧に変換することで、バイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pを得る。すなわち、サブバイアス回路SB1は、バイアス制御電流I1に対して電流・電圧変換を施すことで、6系統のバイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pを得る。
【0065】
尚、前述したように、サブバイアス回路SB2及びSB3においても
図3に示す構成と同様な構成を採用することで、サブバイアス回路SB1と同様に、夫々が受けたバイアス制御電流I2及びI3に基づきバイアス電圧VB1N~VB3N及びVB1P~VB3Pを生成する。
【0066】
図4は、
図1に示す可変電流源11の内部構成を示す回路図である。
【0067】
図4に示されるように可変電流源11は、定電流源45A、45A_1~45A_p(pは2以上の整数)と、夫々がスイッチ素子としてのNチャネル型のトランジスタ46A_1~46A_pと、を含む。
【0068】
定電流源45A、45A_1~45A_pは、接地電圧VSSが印加されている電源端子と
図1に示すカレントミラー回路CM_1との間において、並列形態で接続されている。トランジスタ46A_1~46A_pは、定電流源45A_1~45A_pに夫々対応して設けられている。トランジスタ46A_1~46A_p各々のソースは、そのトランジスタに対応する定電流源に接続されており、各ドレインがカレントミラー回路CM_1のトランジスタQ0のドレインに接続されている。
【0069】
ここで、バイアス制御信号PWRCは、トランジスタ46A_1~46A_pを個別にオン状態又はオフ状態に設定する論理レベルを有するp系統の制御信号PWRC_1~PWRC_pからなる。当該制御信号PWRC_1~PWRC_pは、トランジスタ46A_1~46A_p各々のゲートに個別に供給される。
【0070】
図4に示す構成により、トランジスタ46A_1~46A_pのうちでオン状態に設定されているトランジスタに接続されている定電流源と、定電流源45Aとから夫々送出された電流の合計電流が可変バイアス制御電流Ioとなる。
【0071】
ここで、上記した出力アンプ部OBLK_1は、矩形平面形状を有する半導体ICチップの長辺に沿ってアンプAP1~APnが並置されるように、当該半導体ICチップの端部の近傍に配置される。尚、サブバイアス回路SB1~SB3の各々は、出力アンプ部OBLK_1に含まれるアンプ群のうちで、対応するグループに属するアンプ群の近傍に配置され、メインバイアス回路MB_1は、半導体ICチップの中央部に配置される。
【0072】
図5は、
図1に示されるメインバイアス回路MB_1、サブバイアス回路SB1~SB3、及び出力アンプ部OBLK_1各々の半導体ICチップCHP内での配置形態の一例を示すレイアウト図である。
【0073】
図5に示すレイアウトでは、半導体ICチップCHPの中央部にメインバイアス回路MB_1を配置する。そして、出力アンプ部OBLK_1、及びサブバイアス回路SB1~SB3の各々を2分割し、メインバイアス回路MB_1の左右の領域に配置する。
【0074】
つまり、出力アンプ部OBLK_1をOBLK_1_LとOBLK_1_Rとに分け、出力アンプ部OBLK_1_Lを、メインバイアス回路MB_1の左側であり且つ半導体ICチップCHPの一辺の端部近傍に配置する。更に、出力アンプ部OBLK_1_Rを、メインバイアス回路MB_1の右側であり且つ半導体ICチップCHPの一辺の端部近傍に配置する。
【0075】
また、サブバイアス回路SB1をSB1_LとSB1_Rとに分け、
図5に示すように、サブバイアス回路SB1_Lを出力アンプ部OBLK_1_Lの近傍に配置し、サブバイアス回路SB1_Rを出力アンプ部OBLK_1_Rの近傍に配置する。また、サブバイアス回路SB2をSB2_LとSB2_Rとに分け、
図5に示すように、サブバイアス回路SB2_Lをサブバイアス回路SB1_Lの左隣に配置し、サブバイアス回路SB2_Rをサブバイアス回路SB1_Rの右隣に配置する。更に、サブバイアス回路SB3をSB3_LとSB3_Rとに分け、
図5に示すように、サブバイアス回路SB3_Lをサブバイアス回路SB2_Lの左隣に配置し、サブバイアス回路SB3_Rをサブバイアス回路SB2_Rの右隣に配置する。
【0076】
尚、
図5に示すように、サブバイアス回路SB1_L及びSB1_Rは配線BL1によって、半導体ICチップCHPの中央部に配置されているメインバイアス回路MB_1と接続されている。また、
図5に示すように、サブバイアス回路SB2_L及びSB2_Rは、配線BL2によって当該メインバイアス回路MB_1と接続されており、サブバイアス回路SB3_L及びSB3_Rは、配線BL3によって当該メインバイアス回路MB_1と接続されている。
【0077】
次に、出力アンプ回路100_1の内部動作について
図6を参照しつつ説明する。
【0078】
図6は、出力タイミング信号OCLK、バイアス制御信号PWRC、可変バイアス制御電流Io及びバイアス電圧VBxと、アンプAP1に印加される入力電圧V1及びその出力電圧G1と、を表すタイムチャートである。尚、
図6においてバイアス電圧VBxは、サブバイアス回路SB1~SB3の各々で生成されるバイアス電圧VB1N~VB3N、VB1P~VB3Pを統括して表すものである。
【0079】
制御部CN_1は、
図6に示す出力タイミング信号OCLKの立ち上がりエッジの時点t0から、所定の第1期間PE1に亘り、バイアス電圧の電圧値としてアンプを高駆動能力化する所定の第1の電圧値を指定する論理レベル1のバイアス制御信号PWRCを生成し、これをバイアス制御電流生成部IG_1に供給する。第1期間PE1は、例えば、設定信号により指定されるクロック信号CLKのクロック数に応じて設定される。
【0080】
バイアス制御電流生成部IG_1は、当該論理レベル1のバイアス制御信号PWRCに応じて、
図6に示すように、第1期間PE1に亘り所定の高電流値Iobを有する可変バイアス制御電流Ioを生成し、これをカレントミラー回路CM_1に流す。よって、カレントミラー回路CM_1は、当該高電流値Iobを有する可変バイアス制御電流Ioをミラーした3系統のバイアス制御電流I1~I3を生成し、夫々を、配線BL1~BL3を介してサブバイアス回路SB1~SB3に個別に供給する。
【0081】
サブバイアス回路SB1~SB3は、夫々が受けたバイアス制御電流(I1、I2、I3)に対して電流・電圧変換を施すことで、
図6に示すように高電圧値Vbxbを有するバイアス電圧VBx(VB1N~VB3N、VB1P~VB3P)を生成し、夫々のグループに属するアンプ群に供給する。
【0082】
そして、当該第1期間PE1が経過した時点t1から、次のクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点t2までの第2期間PE2に亘り、制御部CN_1は、バイアス電圧の電圧値としてアンプを低駆動能力化する所定の第2の電圧値を指定する論理レベル0のバイアス制御信号PWRCを生成し、これをバイアス制御電流生成部IG_2に供給する。
【0083】
バイアス制御電流生成部IG_1は、当該論理レベル0のバイアス制御信号PWRCに応じて、
図6に示すように、第2期間PE2に亘り高電流値Iobよりも小さい低電流値Ioaを有する可変バイアス制御電流Ioを生成し、これをカレントミラー回路CM_1に流す。よって、カレントミラー回路CM_1は、当該低電流値Ioaを有する可変バイアス制御電流Ioをミラーした3系統のバイアス制御電流I1~I3を生成し、夫々を、配線BL1~BL3を介してサブバイアス回路SB1~SB3に個別に送出する。
【0084】
サブバイアス回路SB1~SB3は、夫々が受けたバイアス制御電流(I1、I2、I3)に対して電流・電圧変換を施すことで、
図6に示すように高電圧値Vbxbより低い低電圧値Vbxaを有するバイアス電圧VBx(VB1N~VB3N、VB1P~VB3P)を生成し、夫々のグループに属するアンプ群に供給する。
【0085】
上記動作によれば、
図6に示すように、出力タイミング信号OCLKの立ち上がり時点t0から第1期間PE1の間に、各アンプAP内に流れる動作電流は、当該第1期間PE1に後続する第2期間PE2で各アンプAP内に流れる動作電流よりも大きい。
【0086】
これにより、入力電圧の変化が大きい場合に高速応答が要求される出力電圧(例えば
図6に示す出力電圧G1)の立ち上がり又は立ち下がり区間中は、アンプAPのスルーレートが高くなるので、アンプAPから出力される出力電圧の立ち上がり又は立ち下がり時間も短くなる。
【0087】
一方、第1期間PE1の終了時点t1から次のクロック信号CLKの立ち上がりエッジの時点t2までの第2期間PE2では、出力電圧G1の電圧変化は十分小さいため、各アンプAP内に流れる動作電流は、第1期間PE1で各アンプAP内に流れる動作電流よりも小さくして各アンプの駆動能力を下げることができる。
【0088】
これにより、駆動能力を抑えることが可能な出力電圧の電圧値一定区間(P2)中は、アンプAPで消費される電力が少なくなる。
【0089】
このように、
図1に示す出力アンプ回路100_1では、バイアス制御信号PWRCに従って、アンプAP1~APnの各々内に流れる動作電流の電流値を決定するバイアス電圧の電圧値を調整することで、各アンプの駆動能力の制御(変更)を可能としている。よって、かかる出力アンプ回路100_1の動作によれば、低消費電力で高速な応答処理が可能になる。
【0090】
ここで、出力アンプ回路100_1では、バイアス電圧の電圧値の調整をメインバイアス回路MB_1で一括して行うようにしている。つまり、メインバイアス回路MB_1は、バイアス電圧の電圧値を指定するバイアス制御信号PWRCを受け、当該バイアス制御信号PWRCにて示されるバイアス電圧の電圧値に対応した電流値を有する可変バイアス制御電流Ioを生成する。そして、メインバイアス回路MB_1は、かかる可変バイアス制御電流Ioを、サブバイアス回路SB1~SB3の数(3つ)だけミラーしたバイアス制御電流I1~I3をサブバイアス回路SB1~SB3に供給する。この際、サブバイアス回路SB1~SB3の各々は、自身が受けたバイアス制御電流に対して電流電圧変換処理を施すことで、バイアス制御信号PWRCにて指定された駆動能力に対応した電圧値を有するバイアス電圧(VB1N~VB3N、VB1P~VB3P)を取得する。
【0091】
このように、出力アンプ回路100_1では、メインバイアス回路MB_1が、バイアス制御信号PWRCにて示されるバイアス電圧の電圧値に対応した電流値を有するバイアス制御電流I1~I3を生成し、夫々をサブバイアス回路SB1~SB3に供給する。サブバイアス回路SB1~SB3の各々は、自身が受けたバイアス制御電流に電流電圧変換処理を施して得た電圧に基づきバイアス電圧群(VB1N~VB3N、VB1P~VB3P)を生成し、自身に対応したアンプ群[AP1~APr、AP(r+1)~APg、AP(g+1)~APn]に供給する。
【0092】
つまり、出力アンプ回路100_1では、アンプAP1~APnの駆動能力を制御するにあたり、バイアス制御信号PWRCに従ったバイアス電圧の調整処理をメインバイアス回路MB_1で行う。これにより、サブバイアス回路SB1~SB3の各々で当該バイアス電圧の調整処理を行う場合に比べて回路面積及び消費電力を低減させることが可能となる。更に、かかる構成によれば、バイアス制御信号PWRCを供給する配線をメインバイアス回路のみに接続すれば良いので、サブバイアス回路SB1~SB3の各々に当該バイアス制御信号PWRCを供給する為の配線を設ける場合に比べてその配線数を減らすことができる。
【0093】
よって、出力アンプ回路100_1によれば、チップ占有面積及び消費電力を低減させることが可能となる。
これにより、バイアス電圧が低い第2期間PE2において外部ノイズ(例えばゲート電圧の変化に伴うカップリングノイズ)等の影響で各アンプの出力電圧が僅かに変動した場合でも1データ期間終了前の上記所定時間に出力電圧を所望の電圧値に回復させることが可能となる。