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特開2024-139806半導体記憶装置、制御方法及び制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139806
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】半導体記憶装置、制御方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/02 20060101AFI20241003BHJP
   G11C 29/44 20060101ALI20241003BHJP
   G11C 11/4091 20060101ALI20241003BHJP
   G06F 11/10 20060101ALI20241003BHJP
   G06F 11/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G11C29/02 170
G11C29/44 100
G11C11/4091 140
G06F11/10 662
G06F11/16 666
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050712
(22)【出願日】2023-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴彦
【テーマコード(参考)】
5B034
5L206
【Fターム(参考)】
5B034BB03
5L206AA01
5L206BB01
5L206BB12
5L206DD22
5L206DD33
5L206DD50
5L206EE03
(57)【要約】
【課題】センスアンプ自体の構成を変えることなく、センスアンプを構成するトランジスタの製造上のばらつきに起因した誤動作を抑制することができる半導体記憶装置等を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、複数のワード線及びビット線と、複数のワード線のうち何れかのワード線とビット線とに接続された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイ111と、ビット線に接続されたセンスアンプ13と、を備えた半導体記憶装置であって、センスアンプ13のセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながら、メモリセルからのデータ読み出し動作において期待値とは異なる値が読み出される読み出し誤りメモリセル数をカウントし、読み出し誤りメモリセル数が最小となる当該動作不良メモリセル数が最小となるようにパラメータの値を調整する調整部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワード線及びビット線と、
前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイと、
前記ビット線に接続されたセンスアンプと、を備えた半導体記憶装置であって、
前記センスアンプのセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながら、前記メモリセルからのデータ読み出し動作において期待値とは異なる値が読み出される読み出し誤りメモリセル数をカウントし、
当該読み出し誤りメモリセル数が最小となるように前記パラメータの値を調整する調整部を備えることを特徴とする
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記パラメータを変化させながら、前記メモリセルが「1」「0」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在している場合に前記パラメータにおける「1」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数と「0」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数とをカウントし、
前記「1」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数と、前記「0」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数とを比較して、多い方を前記読み出し誤りメモリセル数とし、当該読み出し誤りメモリセル数が最小になるように前記パラメータの値を調整することを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記「1」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数と前記「0」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数とをカウントし、これらのうちのいずれか一方の前記メモリセル数が所定の値以上である場合には、値の大きさの比較を行わず、これらの当該メモリセル数を前記読み出し誤りメモリセル数とすることを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリセルアレイは、スペアセルを含み、
前記調整部により前記読み出し誤りメモリセル数が最小になるように前記パラメータの値が調整された後に、前記パラメータにおける読み出し誤りが存在しているメモリセルに対して当該スペアセルを用いた冗長救済を行うことを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記パラメータの値から所定の範囲のパラメータの値において前記パラメータにおける読み出し誤りが存在しているメモリセルに対して前記スペアセルを用いた冗長救済を行うことを特徴とする請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記センスアンプは、一対の前記ビット線間に接続された、2つのnMOSトランジスタ及び2つのpMOSトランジスタとからなるクロスカップルドラッチタイプのセンスアンプであることを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記パラメータは、前記センスアンプを構成するnMOSトランジスタのバックバイアス電圧、前記センスアンプの電源電圧及び一対の前記ビット線間の平衡電圧の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項6記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記調整部は、エラーが含まれない複数ビットからなる期待値データ情報と、メモリセルアレイから読み出した複数ビットからなる読み出しデータ情報とが入力され、これらの読み出しデータ情報から、前記メモリセルの「1」「0」いずれの読み出し動作においてどの前記メモリセルにおいて前記読み出し誤りが存在しているかを特定するエラー情報を生成する第一比較器を備えることを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記調整部が、前記「1」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数と前記「0」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数とをカウントし、これらのうちのいずれか一方の前記メモリセル数が所定の値以上である場合には、アラームを発するように構成したことを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記調整部が、誤り検出・訂正を行うECC部を含み、前記ECC部による誤り検出を行うことで、「1」「0」いずれの読み出し動作においてどの前記メモリセルにおいて前記読み出し誤りが存在しているかを特定するエラー情報を生成することを特徴とする請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記調整部は、前記パラメータを固定して所定の順でメモリセルを選択しながら各パラメータにおける読み出し誤りが存在しているメモリセル数をカウントするにあたり、
同一のワード線に接続されているメモリセルを連続して選択しないように構成されたことを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記半導体記憶装置は、揮発性メモリであることを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
複数のワード線及びビット線と、
前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイと、
前記一対のビット線に接続されたセンスアンプと、を備えた半導体記憶装置の制御方法であって、
前記センスアンプのセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながら、前記メモリセルからのデータ読み出し動作において期待値とは異なる値が読み出される読み出し誤りメモリセル数をカウントし、
当該読み出し誤りメモリセル数が最小となるように前記パラメータの値を調整することを特徴とする半導体記憶装置の制御方法。
【請求項14】
複数のワード線及びビット線と、
前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイと、
前記一対のビット線に接続されたセンスアンプと、を備えた半導体記憶装置に設けられる制御装置であって、
前記センスアンプのセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながら、前記メモリセルからのデータ読み出し動作において期待値とは異なる値が読み出される読み出し誤りメモリセル数をカウントし、
当該読み出し誤りメモリセル数が最小となるように前記パラメータの値を調整する調整部を有することを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置、制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置は、複数のメモリセルからなるメモリセルアレイを有し、このメモリセルアレイに接続された複数のビット線に対応してセンスアンプが設けられている。センスアンプは、データの読み出し時には、メモリセルからビット線に読み出されたデータを検知及び増幅し、データの書き込み時には、書き込みデータをビット線に転送する。
【0003】
センスアンプとしては、クロスカップルドラッチタイプが知られているが、センスアンプを構成する素子における製造上のばらつきが原因であるミスマッチ(例えば、閾値電圧のミスマッチなど)が存在する場合、有効ではないセンシングが発生し、誤動作が生じる可能性がある。
【0004】
このような誤動作を抑制するために、例えば、特許文献1のようなトランジスタ特性のばらつきの影響を受けにくい構成のセンスアンプが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-040660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、センスアンプの構成を大幅に変更することは、コストや集積化の観点で好ましくないことも多い。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、センスアンプ自体の構成を変えることなく、センスアンプを構成するトランジスタの製造上のばらつきに起因した誤動作を抑制することができる半導体記憶装置、制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体記憶装置は、複数のワード線及びビット線と、前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイと、前記ビット線に接続されたセンスアンプと、を備えた半導体記憶装置であって、前記センスアンプのセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながら、前記メモリセルからのデータ読み出し動作において期待値とは異なる値が誤って読み出されたセルが存在していれば、前記パラメータにおける読み出し誤りメモリセル数をカウントし、当該読み出し誤りメモリセル数が最小となるように前記パラメータの値を調整する調整部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体記憶装置の制御方法は、複数のワード線及びビット線と、前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイと、前記一対のビット線に接続されたセンスアンプと、を備えた半導体記憶装置の制御方法であって、前記センスアンプのセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながら、前記メモリセルからのデータ読み出し動作において期待値とは異なる値が読み出されるセルが存在している場合に、前記パラメータにおける読み出し誤りメモリセル数をカウントし、当該読み出し誤りメモリセル数が最小となるように前記パラメータの値を調整することを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体記憶装置に設けられる制御装置は、複数のワード線及びビット線と、前記複数のワード線のうち何れかのワード線と前記ビット線とに接続された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイと、前記一対のビット線に接続されたセンスアンプと、を備えた半導体記憶装置に設けられる制御回路であって、前記センスアンプのセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながら、前記メモリセルからのデータ読み出し動作において期待値とは異なる値が読み出されるセルが存在している場合に、前記パラメータにおける読み出し誤りメモリセル数をカウントし、当該読み出し誤りメモリセル数が最小となるように前記パラメータの値を調整する調整部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体記憶装置、制御方法及び制御装置によれば、センスアンプを構成するトランジスタの製造上のばらつきに起因した誤動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る半導体記憶装置を示す模式的ブロック図。
図2】メモリセルアレイの構成を説明するための模式図。
図3】センスアンプとメモリセルとの関係を説明するための模式図。
図4】センシングにおけるビット線bl、blxの電圧変化を示す図。
図5】センシングにおけるビット線bl、blxの電圧変化を示す図。
図6】動作不良セル数Yと、パラメータXとの関係を示す図。
図7】調整部による制御を説明するためのフローチャート。
図8】実施形態2に係る半導体記憶装置を示す模式的ブロック図。
図9】半導体記憶装置の構成を説明するための模式的ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る制御装置、制御方法及び半導体記憶装置について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
(実施形態1)
図1は、半導体記憶装置1のブロック図である。本実施形態の半導体記憶装置1は、揮発性メモリである。図示するように、半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ11、ロウデコーダ12、センスアンプ13、データ制御部14、カラムデコーダ15、センスアンプ制御部16を備える。また、半導体記憶装置1は、詳しくは後述する調整部20として、第一比較器21、第二比較器22、0誤りカウンタ23,1誤りカウンタ24、誤り記録部25を備える。また、センスアンプ制御部16も、調整部20の一要素としても機能する。
【0015】
メモリセルアレイ11を、図2を用いて説明する。なお、図2はメモリセルアレイ11を詳細に説明するために模式的に示しており、メモリセルの数や構成はこれに限定されるものではなく、位置により区別する場合には、参照符号に[ ]を付して位置を特定して区別する。メモリセルアレイ11は、ロウ及びカラムに対応付けられ、二次元的に配置された複数のメモリセル111を備えている。同一行にあるメモリセル111は同一のワード線wlに接続され、同一列にあるメモリセル111は同一の一対のビット線blもしくはビット線blxに接続される。一対のビット線bl及びビット線blxには、カラム線clが接続されている。データの読み出し及び書き込みは、同一のワード線wlに接続された複数のメモリセル111に対して一括して行われる。また、メモリセルアレイ11は、複数のセンスアンプ13を備える。複数のセンスアンプ13は、ワード線wl[i]~wl[i+3]とwl[j]~wl[j+3]との間に設けられている。
【0016】
図1に戻り、ロウデコーダ12は、メモリセルアレイ11の行(ロウ)方向を指定するロウアドレスをデコードする。そして、デコード結果に応じてワード線wlを選択し、データの書き替え、読み出しに必要な電圧を印加する。具体的には、ロウデコーダ12は、ロウアドレス情報arで選択されたワード線wlをワード線起動信号wlonで指定されたタイミングでアクティブにするワード線信号swlをメモリセルアレイ11に入力する。なお、このロウアドレス情報ar等のアドレス情報やワード線起動信号wlonは、図1中図示しないメモリコントローラからコマンド入出力部を介して各構成要素に入力される。
【0017】
センスアンプ13は、データの読み出し時には、メモリセルアレイ11から読み出されたデータをセンスし、データ制御部14に転送する。具体的には、センスアンプ13は、センスアンプ制御部16により制御され、センスアンプ制御部16は、センスすべきメモリセルアレイ11の行を選択するロウアドレス情報arでワード線wlを選択し、センスアンプイネーブル信号saenがアサ―トされるタイミングで、所定のセンスアンプ13を活性化させるためのセンスアンプ活性化信号saonをアサートして、センスアンプ13に出力する。センスアンプ13は、このセンスアンプ活性化信号saonに従い動作する。これにより、センスアンプ13がメモリセルアレイ11の所定のメモリセル111からデータ情報gdbを読み出し、データ制御部14へデータバスを介して転送する。また、センスアンプ13は、データの書き込み時には、データ制御部14内のデータ情報gdbをメモリセルアレイ11にデータバスを介して転送する。センスアンプ13については、詳細を後述する。
【0018】
データ制御部14は、書き込みデータまたは読み出しデータが入力されるので、これらのデータを保持し、入出力する。
【0019】
カラムデコーダ15は、メモリセルアレイ11の列(カラム)方向を指定するカラムアドレスをデコードする。そしてデコード結果に応じて、書き込み時にはデータをセンスアンプ13に転送し、読み出し時にはセンスアンプ13からデータを読み出す。具体的には、カラムデコーダ15は、カラム線起動信号cslonで指定されたタイミングで、カラムアドレス情報acで選択されたカラム線をアクティブにする。カラム線信号sclはセンスアンプ13に入力され、カラムアドレスに対応するビット線bl、blxがデータバスに接続し、データ情報gdbに転送することができる。
【0020】
センスアンプについて図3を用いて詳細に説明する。図3はセンスアンプ13とメモリセル111との関係を説明するための模式図である。ワード線wl[i]には、メモリセル111が接続され、ワード線wl[j]には、別のメモリセル111が接続されている。ロウ方向に一致する二本のワード線wl[i]とワード線wl[j]との間には、センスアンプ13が設けられている。センスアンプ13は、ワード線wl[i]及びワード線wl[j]に対して直交する一対のビット線blと、ビット線blxとに接続され、また、ビット線blと、ビット線blxとにはイコライザeqlが接続されている
【0021】
センスアンプ13は、センスアンプとして機能するものであればどのような構成でもよいが、本実施形態では、通常用いられるクロスカップルドラッチタイプ(一対のビット線間に接続された、2つのnMOSトランジスタ及び2つのpMOSトランジスタからなる)のセンスアンプを用いている。このようなセンスアンプは、通常用いられるセンスアンプであり、特殊な構造のものではないため扱いが容易である。センスアンプ13は、pMOSトランジスタP1~P3と、nMOSトランジスタN1~N3とにより構成されている。即ち、pMOSトランジスタP1のゲートとnMOSトランジスタN1のゲートとが接続し、かつ、pMOSトランジスタP2のゲートとnMOSトランジスタN2のゲートとが接続し、また、pMOSトランジスタP1のドレインとnMOSトランジスタN1のドレインとが接続し、かつ、pMOSトランジスタP2のドレインとnMOSトランジスタN2のドレインとが接続している。また、pMOSトランジスタP1のソースとpMOSトランジスタP2のソースとpMOSトランジスタP3のドレインとが電源線psaを介して接続し、nMOSトランジスタN1のソースとnMOSトランジスタN2のソースとnMOSトランジスタN3のドレインが電源線nsaを介して接続している。このpMOSトランジスタP3を介して一対のpMOSトランジスタに対して電力が供給される。また、nMOSトランジスタN3を介して一対のnMOSトランジスタに対して電力が供給される。なお、一つのpMOSトランジスタP3から複数のセンスアンプ13のpMOSトランジスタP1及びP2に電力を介して供給されてもよく、また、一つのnMOSトランジスタN3を介して複数のセンスアンプのnMOSトランジスタN1及びN2に電力が供給されてもよい。
【0022】
この場合に、センスアンプ13のpMOSトランジスタP1の閾値電圧vtpとnMOSトランジスタN1の閾値電圧vtnとは、それぞれ設定された閾値電圧vtp0、vtn0と同一であることが望ましいが、製造上のばらつきにより、これらが一致せずに、それぞれ設定値との差分Δvtp、Δvtnが発生することもある。このような場合について以下検討する。
【0023】
センスアンプ13において、イコライザeqlをネゲートしてビット線blと、ビット線blxとの平衡を解除し、ワード線wl[i]を活性化して、センスアンプ13をpMOSトランジスタP3、nMOSトランジスタN3により動作させてセンシングを行う。この場合に、メモリセルからビット線blにハイレベルである「1」が読み出されると、センシングにおけるビット線bl、blxの電圧変化は図4(1)に示すようになる。なお、本実施形態では、一対のビット線のうち、一方のビット線はリファレンスとして使われた後、データ信号線としても利用されている。
【0024】
図4(1)に示すように、時間t01でワード線wl[i]が活性化し、イコライザeqlがネゲートしてビット線bl側がハイレベルとなる。そして、時間t02からセンスアンプ13がオンとなる。この場合、ビット線bl側の立ち上がりは、Δvtn>Δvtpである場合のほうがΔvtp>Δvtnである場合よりも早く、逆にビット線blx側の立ち下がりはΔvtp>Δvtnである場合のほうがΔvtn>Δvtpである場合よりも早い。即ち、ビット線blx側でΔvtn>Δvtpである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0025】
図4(2)は、ビット線blxにハイレベルである「1」が読み出された場合を示す。それ以外の条件は図4(1)と同様である。図4(2)では、ビット線bl側でΔvtn>Δvtpである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0026】
図4(3)は、ビット線blにローレベルである「0」が読み出された場合を示す。それ以外の条件は図4(1)と同様である。図4(3)では、ビット線blx側でΔvtp>Δvtnである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0027】
図4(4)は、ビット線blxにローレベルである「0」が読み出された場合を示す。それ以外の条件は図4(1)と同様である。図4(4)では、ビット線bl側でΔvtp>Δvtnである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0028】
次に、nMOSトランジスタN1の閾値電圧vtlとnMOSトランジスタN2の閾値電圧vtrとがそれぞれ設定された閾値電圧とは一致せず、設定された閾値電圧とは差分Δvtl、Δvtrで異なる場合、即ち、センスアンプ13のnMOSトランジスタN1の閾値電圧vtlとnMOSトランジスタN2の閾値電圧vtrとは設定された閾値電圧と同一であることが望ましいが、製造上のばらつきにより、これらが一致しない場合について図5を用いて検討する。なお、図4と同様の点については説明を省略する。
【0029】
ビット線blにハイレベルである「1」が読み出された場合を図5(1)に示す。センスアンプ13がオンとなったときに、ビット線bl側の立ち上がりは、Δvtl>Δvtrである場合のほうがΔvtr>Δvtlである場合よりも早く、ビット線blx側の立ち下がりはΔvtl>Δvtrである場合のほうがΔvtr>Δvtlである場合よりも早い。即ち、ビット線blx側でΔvtr>Δvtlである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0030】
図5(2)は、ビット線blxにハイレベルである「1」が読み出された以外は図5(1)と同様の場合を示している。図5(2)では、ビット線bl側でΔvtl>Δvtrである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0031】
図5(3)は、ビット線blにローレベルである「0」が読み出された以外は図5(1)と同様の場合を示している。図5(3)では、ビット線blx側でΔvtl>Δvtrである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0032】
図5(4)は、ビット線blxにローレベルである「0」が読み出された以外は図5(1)と同様の場合を示している。図5(4)では、ビット線bl側でΔvtr>Δvtいである場合には、電圧が安定するタイミングが遅れている。
【0033】
図4図5をまとめると、センシング動作において、センスアンプ13の製造上のばらつきがあると所望の電圧になるまでの時間が異なる。そうすると、一般的にセンシング動作における読み取り時間は短くすることが好ましいが、センスアンプ13の製造上のばらつきに起因して所望の電圧値となるまでの時間が長期化すると、設定された読み取り時間では誤動作が生じることがある。他方で、電圧値が安定するように読み取り時間を長く設定すれば、遅延が生じてしまう。
【0034】
例えば、上述の図4(1)に示すように、ビット線blで「1」が読み出された場合に、センシングのタイミングである時間t03では、Δvtp>Δvtnの場合には、電圧値が安定しているが、Δvtn>Δvtpである場合にはビット線blxの電圧値が下がりきっておらず、誤動作が生じる可能性がある。他方で、図4(3)に示すように、ビット線blで「0」が読み出された場合に、時間t04には、Δvtn>Δvtpの場合には、電圧値が安定しているが、Δvtp>Δvtnである場合にはビット線blxの電圧値が上がりきっておらず、誤動作が生じる可能性がある。また、図4(2)(4)及び図5(1)~(4)のいずれも同様の傾向がある。
【0035】
これらのことから、トランジスタの製造上のばらつきにより、「1」及び「0」のデータの読み出し動作において、一方では誤作動は生じず、他方では誤作動が生じるという関係になることがわかる。つまり、同じパラメータの値でも、「1」の読み出し動作における読み出し誤りセルが多くなるような場合には、「0」の読み出し動作における読み出し誤りセルが減り、逆に「0」の読み出し動作における読み出し誤りセルが多くなるような場合には、「1」の読み出し動作における読み出し誤りセルが減るという関係にある。
【0036】
以上のことをまとめると、読み出し動作時の読み出し誤り数と、パラメータとの関係との間には図6に示すような一定の関係があるものと考えられる。図6は、図4、5に示す場合における読み出し誤りセル数Y(X)と、パラメータXとの関係を示すものである。図6におけるパラメータXは、閾値電圧vtn及びvtpのそれぞれの設定値からのずれであるΔvtn及びΔvtpの差分(Δvtn-Δvtp)である。ここで、閾値電圧vtnはバックバイアスで可変であるから、この閾値電圧vtnの値を変更することで、パラメータXを振ることが可能である。例えば、図4の場合では、図6に示すように(Δvtn―Δvtp)が小さいほど、即ちΔvtnが小さくΔvtpが大きいほど、読み出し誤り数Yは「1」の読み出し動作時の読み出し誤り数が増加し、(Δvtn―Δvtp)が大きいほど、即ちΔvtnが大きくΔvtpが小さいほど、「0」の読み出し誤り数が増加する。したがって、読み出し誤り数としては、パラメータxに対して、下に凸となるような曲線となり、「1」の読み出し誤り数と「0」の読み出し誤り数がどちらも少ない、総読み出し誤り数が最小になるパラメータの最適条件が存在することが考えられる。そして、その最小値を取るパラメータの値に対する一方側は「1」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数が多く、その他方側は、「0」データの読み出し動作において読み出し誤りが存在しているメモリセル数が多くなると考えられる。そこで、読み出し誤りが存在しているメモリセル数が多い方を読み出し誤りメモリセル数とし、該読み出し誤りメモリセル数が最小になる前記パラメータの値を得るようにパラメータを調整することで、センスアンプを構成するトランジスタの製造上のばらつきに起因した誤動作を抑制することができる。
【0037】
そこで、本実施形態では、この総読み出し誤りセル数が最小になるパラメータの最適値を決定するためにパラメータの値を調整する調整部20を有する。例えば、調整部20は、一のパラメータに対して選択された複数のセルに対してエラーチェックを行い、次にパラメータを変更して再度選択された複数のセルに対してエラーチェックを行い、それぞれの場合における「1」「0」の読み出し誤り数をカウントして総読み出し誤りセル数を得る。そして、読み出し誤り数がパラメータX1において最も小さくなっていることが判明すれば、調整部20は、センスアンプ13のnMOSトランジスタN1、N2の値の閾値電圧vtnをパラメータX1に基づいて補正する。
【0038】
ここで、上記では、センスアンプ13のnMOSトランジスタの閾値電圧に影響する基板のバックバイアス電圧をパラメータXとして挙げたが、それ以外には、センスアンプ13の電源電圧、ビット線bl、blxの平衡電圧もパラメータXとして好ましく挙げられる。これらは、製造上ばらつきが生じやすい一方で、パラメータとして値を変更することが可能であり、好ましく用いることができる。この点、図4の(1)の場合を用いて説明する。ビット線bl、blxの平衡電圧を維持したまま電源電圧を高くすると、メモリセル111に記憶される電荷量がビット線bl、blxの平衡電圧を基準としたときに「1」側で増加するので、時刻t01~t02におけるビット線blとblxとの電圧差が増加し、「1」が読み出されやすくなる。逆に、電源電圧を維持したままビット線bl、blxの平衡電圧を下げた場合にも、同様にメモリセルに蓄積される電荷量が「1」データ側で増加するため、「1」が読み出しやすくなる。このことから、調整部20は、センスアンプ13の電源電圧、ビット線bl、blxの平衡電圧をパラメータXとして、「1」「0」の読み出し誤り数をカウントして総読み出し誤りセル数の最も少ないパラメータを設定することが可能である。また、特に、nMOSトランジスタのバックバイアス電圧は、パラメータとして変更することが簡易であり好ましい。
【0039】
調整部20について説明する。具体的には、調整部20は、センスアンプ13のセンシング動作の条件に関するパラメータを変化させながらメモリセルアレイ11中の選択されたメモリセル111に対して順番にエラーチェックを行う。そして、調整部20は、各パラメータ値でのメモリセル111において、「1」「0」のいずれかの読み出しでエラーが存在している場合には、読み出し誤りセルの数をカウントし、「1」の読み出し動作時の読み出し誤りセル数と「0」の読み出し動作時の読み出し誤りセル数とがそれぞれ最小となるようにパラメータを設定する。
【0040】
第一比較器21には、データバスを介してデータ情報gdbが入力される。第一比較器21には、さらに入力信号(期待値データ信号)dinと、読み出し信号read、ロウアドレス情報arが入力される。入力信号dinは、出荷前試験やメモリコントローラからのメモリ動作の検査の際に、半導体記憶装置1の外部端子から入力される信号であり、検査用の期待値データを示す信号である。読み出し信号readは、読み出し動作中にアサートされる信号である。ロウアドレス情報arは、読み出し対象のメモリセル111がビット線blx側に接続されている場合にデータバスにおけるデータ情報gdbとは位相が反転したデータがメモリセル111から読み出されるので、メモリセル111上のデータに変換するために利用される。第一比較器21は、読み出し信号readがアサートされている状態、即ち、読み出し動作中のみ動作するように構成されている。
【0041】
第一比較器21は、入力信号dinと、データ情報gdbとからエラーチェックを行い、「1」「0」それぞれの読み出し時における読み出し誤りメモリセル数を示すエラー情報信号1error、0errorを生成する。このようなエラー情報信号は、読み出し誤りメモリセル数を示すことができればよいが、本実施形態では、このエラー情報信号1error、0errorは、それぞれ「1」「0」読み出し時データの読み出し誤りビット位置情報も含む。具体的には、入力信号dinと、データ情報gdbとはいずれも複数ビットからなり、入力信号dinは、検査用の正しいデータ(期待値データ)であるので、第一比較器21は、データ情報gdbをロウアドレスarでメモリセル111上のデータに変換したビット情報dtと入力信号dinのビット情報とに対して排他的OR演算(din[N]^dt[N])|... |din[1] ^ dt[1] |din[0] ^dt[0])を行う。そして、第一比較器21では、排他的OR演算をした結果に対して、さらに、入力信号dinの反転信号をAND演算して得られたエラー情報信号0errorは0誤りカウンタ23に入力し、入力信号dinをAND演算して得られたエラー情報信号1errorは、1誤りカウンタ24に入力する。
【0042】
入力されるクロックに応じて、0誤りカウンタ23は、入力されたエラー情報信号0errorに従い「0」読み出し時の読み出し誤りセル数をカウントし、1誤りカウンタ24は入力されたエラー情報信号1errorに従い「1」読み出し時の読み出し誤りセル数をカウントする。0誤りカウンタ23のカウント結果を示す信号cnt0fと、1誤りカウンタ24のカウント結果を示す信号cnt1fとがそれぞれ第二比較器22に入力される。
【0043】
第二比較器22は、信号cnt0fと信号cnt1fとが示すメモリセル上の「0」又は「1」データに対する読み出し誤りセル数が最大値に達していないかを判断する。「0」又は「1」誤りカウンタが最大値に達している場合には、当該パラメータにおける制御を中止する。ここで最大値とは、あらかじめ設定された読み出し誤り数の最大値であるが、読み出し誤り数がこの最大値に達しているのであれば、比較せずともその値のほうが大きくなるので、比較などをする必要がないためである。なお、この場合には後述するようにアラームを発するように構成してもよい。
【0044】
また、第二比較器22は、信号cnt0fと信号cnt1fとを比較して、「0」又は「1」のどちらの読み出し時の読み出し誤り数が多いかを判断する。例えば、パラメータがX1である場合に、「0」読み出し時の読み出し誤り数がN、「1」読み出し時の読み出し誤り数がMであり、N<Mである場合には、「1」の読み出し時の読み出し誤り数Mを読み出し誤り数として決定する。得られた読み出し誤り数を誤り記録部25に格納するための制御信号chkcmpfを生成する
【0045】
第二比較器22は、この結果に基づいて、パラメータの最適化のための調整信号adjsaを生成し、出力する。調整信号adjsaはパラメータの値をどのように調整すればよいのか示す信号であり、例えば、すでに複数のパラメータに対する読み出し誤り数が得られている場合に、もう少しパラメータの値を小さく/大きく調整することを示すものである。例えば、上述のパラメータがX1の場合において、「1」の読み出し時の読み出し誤り数Mが読み出し誤り数として入力された場合に、かつ、更新前の別のパラメータX2(X2>X1)における読み出し誤り数LがL>Mである場合には、最適化のための調整信号adjsaは、当該パラメータを当該読み出し誤り数Mに基づいてさらに小さくするように設定する。調整信号adjsaはセンスアンプ制御部16に入力され、センスアンプ制御部16は、調整信号adjsaの情報をもとにセンスアンプ13のパラメータを調整する。
【0046】
また、誤り記録部25には、第二比較器22からこの調整信号adjsaや、制御信号chkcmpf、信号cnt0f、信号cnt1fが入力され、記録される。即ち、誤り記録部25では、「1」又は「0」読み出し時の読み出し誤りセル数が記録され、かつ、それによりどのようなセンスアンプ13の値が設定されたかが記録する。
【0047】
調整部20による制御を、図7のフローチャートも用いて説明する。
【0048】
例えば出荷前試験等を開始することで、本制御が開始される。初めに、ステップS01で、センスアンプ制御部16が、センスアンプ13のパラメータを初期化し、ステップS02へ進む。
【0049】
ステップS02では、メモリセル111のアドレスを初期化する。ここで、調整部20による制御でのメモリセル111の選択順序について説明する。調整部20による制御では、メモリセルアレイ11においては、図2中(1)~(8)で示す二つのメモリセル111をそれぞれこの順で評価を行う。(1)~(8)で示す二つのメモリセル111は、それぞれ同一のワード線wlに接続しているものであり、互いに隣り合うビット線bl又はblxに接続されている。そして、奇数の番号が付された二つのメモリセル111と、偶数の番号が付されたメモリセル111とは、センスアンプ13をはさんで上下に配置されている。例えば、(1)の番号が付された二つのメモリセル111は、ワード線wl[i]に接続し、ビット線bl[n]及びビット線bl[n+1]にそれぞれ接続している。また、(2)の番号が付された二つのメモリセル111は、ワード線wl[j]に接続しつつ、ビット線blx[n]及びビット線blx[n+1]にそれぞれ接続している。また、二つのメモリセル111は、カラム方向に隣接する二つのメモリセル111に対しては、メモリセルアレイ11においてその配置が対角線上に存在するように構成されている。例えば、(3)の番号が付された二つのメモリセル111は、ワード線wl[i+1]に接続し、ビット線bl[n+2]及びビット線bl[n+3]にそれぞれ接続しているので、(1)の番号が付された二つのメモリセル111に対して対角線上に存在する。ここで、カラム方向に隣接するセルで同じ番号が付されたメモリセル111の数を2としたが、これに限定されない。一度の読み出し動作におけるメモリ読み出しセル数を多くする必要がある場合は同一ワード線wlに接続されるより多くのメモリセル111に対して同じ番号を付与してもよいし、一度の読み出し動作におけるメモリ読み出しセル数が少ない場合は各ワード線wlに接続される1個のメモリセルに1個の番号を付与しても良い。
【0050】
本制御においては、同じワード線wlに存在するメモリセル111を列ごとにすべて走査すると、例えばワード線に不良個所がある場合に検出される不良セルがすべて当該ワード線に接続されるメモリセル111となってしまう結果、センスアンプの特性ばらつきに起因する読み出し誤りセル数を検出できない可能性がある。したがって、本実施形態では、このように異なるワード線、ビット線に存在するメモリセル111を順に選択してエラーチェックを行うことで、正確な読み出し誤りセル数を検出している。
【0051】
ステップS03に進み、センスアンプ制御部16は、メモリセルのアドレスが終了アドレスへ到達しているかを判断する。終了アドレスは、例えば図2に示すメモリセル111では、(8)で示す二つのメモリセルのアドレスの次のアドレスであり、検査範囲外のアドレスとなる。即ち、終了アドレスに到達している場合とは、図2に示すメモリセル111のうち、(1)~(8)で指定したすべてのメモリセル111に対してこの順で下記のエラーチェックをしたことを示す。終了アドレスに到達していない場合には(NO)、ステップS04へ進む。ステップS04では、第一比較器21において、入力信号dinとデータ情報gdbとからエラーチェックが行われる。
【0052】
そして、ステップS05に進み、第一比較器21においてエラーがない場合には(NO)、ステップS06へ進む。ステップS06では、次のエラーチェックの対象となるメモリセルのアドレスに更新される。ステップS05において第一比較器21においてエラーが検出された場合には(YES)、ステップS07へ進む。ステップS07では、第一比較器21において検出された読み出し誤りが「1」読み出し動作時の読み出し誤りであるか、「0」読み出し動作時の読み出し誤りであるかを判断する。これは、実質的には前述のように、本実施形態では第一比較器21において、入力信号dinとデータ情報gdbとから求めることで行われる。
【0053】
「0」読み出し動作時の読み出し誤りである場合、ステップS08に進み、第一比較器21からエラー情報信号0errorが0誤りカウンタ23に入力され、カウントアップされる。そして、ステップS09で読み出し誤り数が最大値に達しているかどうか判断する。最大値に達していれば、ステップS10へ進み、0誤りカウンタ23は、「0」読み出し動作時の読み出し誤り数を示す信号cnt0fを誤り記録部25に入力する。
【0054】
他方で、最大値に達していなければステップS06へ戻り、異なるメモリセル111を選択すべく、アドレスを更新する。読み出し誤りが「1」読み出し動作時にある場合も同様に、ステップS11に進み、1誤りカウンタ24においてカウントアップされる。そして、ステップS12でもカウントアップされた「1」読み出し動作時の読み出し誤り数が最大値に達しているかどうか判断する。最大値に達していれば、ステップS13へ進み、「1」読み出し動作時の読み出し誤り数を示す信号cnt1fを誤り記録部25に入力する。他方で、最大値に達していなければステップS06へ戻り、異なるメモリセル111を選択すべく、アドレスを変更する。
【0055】
ステップS10、ステップS13のいずれかにおいて誤り記録部25への記録が終了すると、ステップS14へ進み、パラメータを更新する。ステップS15へ進み、この更新されたパラメータがあらかじめ定められた終了パラメータである場合には(YES)、すべてのメモリセルにおけるすべてのパラメータでのエラーチェックが終了しているとして、そこで本制御は終了する。パラメータがあらかじめ定められた最終パラメータではない場合には(NO)、ステップS02へ進み、エラーチェック対象のメモリセル111のアドレスの初期化を行い、所定のアドレスが入力されて異なるパラメータによるメモリセル111のエラーチェックが行われる。
【0056】
他方で、ステップS03で、センスアンプ制御部16は、メモリセルのアドレスが終了アドレスへ到達しているかを判断した結果、到達していた場合(YES)、ステップS16へ進む。この場合には、一のパラメータの値に対して所定のすべてのメモリセル111に対するエラーチェックが終わったので、第二比較器22において「0」読み出し時の読み出し誤り数又は「1」読み出し時の読み出し誤り数のいずれが多かったか判断する。「0」読み出し時の読み出し誤り数が多かった場合には、ステップS17へ進み、その読み出し誤り数を誤り記録部25へ記録する。また、「1」読み出し時の読み出し誤り数が多かった場合には、ステップS18へ進み、その読み出し誤りの回数とパラメータを誤り記録部25へ記録する。さらには、同数であった場合には、ステップS19へ進み、いずれの数も誤り記録部25へ記録する。なお、この場合には、第二比較器22は、「0」読み出し時の読み出し誤り数又は「1」読み出し時の読み出し誤り数に応じて調整信号adjsaも生成し出力する。ステップS17~S19の後は、ステップS14へ進み、センスアンプ制御部16において調整信号adjsaに基づいてパラメータが更新される。
【0057】
このようにして、すべての選択されたメモリセル111に対して、各種パラメータのすべての値でエラーチェックを行うことで、読み出し誤り数の最も少ないパラメータの最適値を得ることができる。この最適値になるように、調整部20がセンスアンプ制御部16を介してセンスアンプ13を調整する。これにより、センスアンプ自体の構成を変えることなく、センスアンプを構成するトランジスタの製造上のばらつきに起因した誤動作を抑制することができる。
【0058】
その後、例えば、メモリセルアレイ11が有するスペアセルを用いて、最適条件のパラメータ値においてパラメータにおける読み出し誤りが発生しているメモリセルに対して当該スペアセルを用いた冗長救済を行い、このパラメータの最適条件における読み出し誤り数をできるかぎり減少させることができるように構成されてもよい。
【0059】
さらには、このパラメータの近傍のパラメータ値においても冗長救済を行って、最適なパラメータ値近傍においての読み出し誤り数をできるかぎり減少させてもよい。最少となるパラメータの近傍のパラメータも冗長救済を行うことで、さらに誤動作による読み出し誤り数を減少させることができる結果、効果的な冗長救済を行うことができ、かつ、誤動作を抑制することが可能である。即ち、パラメータ値から所定の範囲のパラメータの値においても冗長救済を行うことで、最適パラメータの値を設定した場合に、最適パラメータの近傍のパラメータの値で読み出し誤りとなったセルが、最適パラメータでも読み出し誤りとなる可能性がある。そのため、最適パラメータから所定の範囲のパラメータ値においても冗長救済を行って、最適なパラメータ値近傍においての読み出し誤り数をできるかぎり減少させてもよい。最適となるパラメータの近傍のパラメータも冗長救済を行うことで、さらに誤動作による読み出し誤り数を減少させることができる結果、効果的な冗長救済を行うことができ、かつ、より誤動作を抑制することが可能である。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態では、図8に示すように、調整部20がECC(Error Check and Correct)部30を有する点で実施形態1とは異なる。実施形態1と異なる点について説明する。
【0061】
ECC部30は、通常のECCとしての構成を備えていればよく、本実施形態では、第一比較器21と同様の第三比較器31、チェックディジット計算部32、読み出し訂正部33とを備える。
【0062】
本実施形態では、データ情報gdbは第三比較器31、チェックディジット計算部32、読み出し訂正部33のいずれにも入力される。また、本実施形態では、入力信号dinはチェックディジット計算部32に入力され、入力信号dinは期待値データではなく、チェック用データを生成するための情報ビットと符号ビットの複数ビットからなる検査用データである。チェックディジット計算部32において、入力信号dinとデータ情報gdbとにより符号ビットがエンコードされて、チェック用データが生成される。このチェック用データが第三比較器31に入力される。第三比較器31は、読み出し信号readがアサートされて入力された場合のみ、実施形態1と同様にチェック用データとデータ情報gdbとロウアドレス情報arに基づいて排他的OR演算及びAND演算を行う。そして、第三比較器31は、エラーが検出されたビットのデータが「1」の場合(即ち「0」データ読み出しの期待値に対するエラーの場合)にエラー情報信号0errorを0誤りカウンタ23に入力し、エラーが検出されたビットのデータが「0」の場合に(即ち「1」データ読み出しの期待値に対するエラーの場合に)エラー情報信号1errorを、1誤りカウンタ24に入力する。
【0063】
また、第三比較器31における排他的OR演算の結果を示す信号が読み出し訂正部33に入力され、読み出し訂正部33においてエラーが訂正される。訂正されたデータrdbは、データ制御部14に入力される。第二比較器22については、実施形態と同様に動作するが、得られた調整信号adjsaは、データ制御部14にも入力される。
【0064】
本実施形態では、このようにECC部30が有するチェックディジット計算部32をエラーチェックに用いることで、「0」「1」読み出し時の読み出し誤りセルを簡易に検出し、かつ、その数を得ることができる。また、図8に示すような半導体記憶装置1においては、実施形態1のように外部から検査信号が入力された場合だけでなく、ECC部30による読み出し訂正を行いながらセンスアンプ条件の最適化も行うことができる。
【0065】
図9では、半導体記憶装置1が有するメモリコントローラ41は、半導体記憶装置1の総合的な制御を行う制御部であり、アドレス情報(ロウアドレス情報ar等)やコマンド(ワード線起動信号wlon等)をコマンド入出力部42に入力し、メモリコントローラ41から入力されたコマンドのうち、センスアンプの制御に関連するセンスアンプ活性化信号saon等をセンスアンプ制御部16へ入力する。センスアンプ制御部16は、上述のようにセンスアンプ13を制御する。また、メモリコントローラ41は、データ情報data(読み出しデータや書き出しデータ)をデータ入出力部43との間で入出力する。
【0066】
また、ECC部30は上述のようにメモリセルアレイ11からの入力情報から、「0」「1」読み出し時の読み出し誤り数を示す信号を「1」「0」誤りカウンタ44(図8における「1」誤りカウンタ及び「0」誤りカウンタを便宜上一つにまとめたもの)へ入力し、また、これらの情報は誤り記録部25へ入力されている。この場合に、「1」「0」誤りカウンタ44において、カウントされた読み出し誤り数が最大値に到達した等の異常を検出した場合には、メモリコントローラ41へアラーム信号が入力され、これに基づいてメモリコントローラ41から、センスアンプ制御部16による調整を行うコマンドが入力されていてもよい。そして、この場合に、センスアンプ制御部16は、誤り記録部25に入力されている読み出し誤り数の記録を読み出し、さらに詳細にセンスアンプ13の調整を行うように構成されていてもよい。
【0067】
本実施形態では、このようにECC部30を備えていることで、読み出し動作中にエラー訂正を行うことができる。また、このような従来からあるECC制御部を活用することで、新たに回路を構成することなく、好ましく「1」「0」の読み出し誤り数をカウントすることが可能である。
【0068】
上述した実施形態では、「1」「0」の読み出し動作における読み出し誤りセル数があらかじめ設定された最大値を超える場合も説明したが、これに限定されず、任意の所定の値を最大値としてもよい。また、実施形態2において、実施形態1における冗長救済とECC部30による読み出し訂正とを併用して行うように構成してもよい。
【0069】
実施形態2の構成、即ちECC部30を有する場合に、読み出し誤りのあるメモリセル数が所定の値以上である場合にはアラームを発するように構成したが、これに限定されない。例えば、実施形態1のようにECC部を有していない構成においても、読み出し誤りのあるメモリセル数が所定の値以上である場合にはアラームを発するように構成してもよい。
【0070】
なお、上述した実施形態では、半導体記憶装置が揮発性メモリである場合を一例として説明したが、本発明は、この場合に限定されない。例えば、半導体記憶装置は、不揮発性メモリや他の半導体記憶装置であってもよい。
【0071】
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態及び変形例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0072】
上述した実施形態における回路構成は一例であり、適宜変更されてもよいし、他の様々な構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 半導体記憶装置
11 メモリセルアレイ
12 ロウデコーダ
13 センスアンプ
14 データ入出力制御部
15 カラムデコーダ
16 センスアンプ制御部
20 調整部
21 第一比較器
22 第二比較器
23 0誤りカウンタ
24 1誤りカウンタ
25 誤り記録部
30 ECC部
31 第三比較器
32 チェックディジット計算部
33 読み出し訂正部
41 メモリコントローラ
42 コマンド入出力部
43 データ入出力部
44 誤りカウンタ
111 メモリセル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9