(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139832
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】医用画像表示プログラム、医用画像表示装置、医用画像表示システム及び医用画像表示方法
(51)【国際特許分類】
G16H 30/00 20180101AFI20241003BHJP
【FI】
G16H30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050743
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 恒
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】ユーザーによる読影時の作業をより効率化することができる医用画像表示プログラム等を提供する。
【解決手段】医用画像表示プログラムは、コンピューターに、医用画像50に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域60を含む画像領域600を医用画像50から抽出する第1の抽出機能と、第1の抽出機能により抽出された画像領域600を表示する表示機能と、第1の抽出機能により抽出された画像領域600の確認結果を特定する特定機能と、を実行させる。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターに、
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する第1の抽出機能と、
前記第1の抽出機能により抽出された前記画像領域を表示する表示機能と、
前記第1の抽出機能により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定機能と、
を実行させる、
医用画像表示プログラム。
【請求項2】
前記特定機能は、前記第1の抽出機能により抽出された前記画像領域の前記病変候補領域の読影判定結果を特定する、
請求項1記載の医用画像表示プログラム。
【請求項3】
ユーザーによって指定された病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する第2の抽出機能を有し、
前記特定機能は、前記ユーザーによって指定された前記病変候補領域の読影判定結果を特定する、
請求項2記載の医用画像表示プログラム。
【請求項4】
前記表示機能は、前記病変候補領域を確認するための確認手段を表示し、
前記病変候補領域と前記確認手段とが対応付けられている、
請求項1又は2に記載の医用画像表示プログラム。
【請求項5】
前記病変候補領域が複数ある場合には、前記病変候補領域と前記確認手段とが1対1で対応づけられている、
請求項4記載の医用画像表示プログラム。
【請求項6】
前記画像領域は、複数の画像領域であり、
前記複数の画像領域は、各々異なる病変候補領域を含み、
前記表示機能は、前記複数の画像領域を一覧表示する、
請求項1に記載の医用画像表示プログラム。
【請求項7】
前記画像領域は、複数の画像領域であり、
前記複数の画像領域は、各々異なる病変候補領域を含み、
前記表示機能は、前記複数の画像領域のうち第1の画像領域を表示し、
ユーザーの入力に応じて前記第1の画像領域から第2の画像領域へ表示を切り替える、
請求項1に記載の医用画像表示プログラム。
【請求項8】
前記読影判定結果は、陽性、陰性、偽陽性、偽陰性及び保留のうち少なくとも一つである、
請求項2又は3に記載の医用画像表示プログラム。
【請求項9】
前記読影判定結果を読影レポートに出力する出力機能を有する、
請求項2又は3に記載の医用画像表示プログラム。
【請求項10】
前記出力機能は、前記特定機能によって前記読影判定結果として陽性及び偽陰性の少なくとも一つが選択された画像領域を、読影レポートに参照画像として貼り付ける、
請求項9に記載の医用画像表示プログラム。
【請求項11】
前記表示機能は、前記医用画像に対するコンピューター処理により得られた前記病変候補領域を含む前記画像領域と、前記病変候補領域と対応づけられており前記病変候補領域を確認するための前記確認手段と、を前記医用画像に重畳して表示する、
請求項4記載の医用画像表示プログラム。
【請求項12】
前記確認手段と対応付けられるとともに前記特定機能により特定された前記病変候補領域を含む前記画像領域を前記医用画像から抽出する第3の抽出機能を、
実行させる、
請求項11記載の医用画像表示プログラム。
【請求項13】
前記表示機能は、前記病変候補領域に表示された病変の病変確度及び大きさの少なくとも一方の情報に基づいて表示順を変更する、
請求項6又は7記載の医用画像表示プログラム。
【請求項14】
前記特定機能は、前記画像領域の前記確認結果に応じて、前記画像領域の表示態様を変化させる、
請求項1記載の医用画像表示プログラム。
【請求項15】
前記表示機能は、前記確認手段である前記画像領域の濃度、位置、大きさのうち少なくとも一つを変更する、
請求項4記載の医用画像表示プログラム。
【請求項16】
前記特定機能は、前記医用画像を第1の医用画像としたとき、当該第1の医用画像より前に撮影された同一患者の同一部位における第2の医用画像に対してコンピューター処理により得られた病変候補領域に対する確認結果を取得し、前記第1の医用画像の前記病変候補領域の前記確認結果と前記第2の医用画像の前記病変候補領域の前記確認結果とを比較し、
前記表示機能は、前記比較結果に応じて前記画像領域の表示態様を変更する、
請求項1記載の医用画像表示プログラム。
【請求項17】
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域を表示する表示制御部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定部と、
を備える、
医用画像表示装置。
【請求項18】
医用画像を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置により撮影された前記医用画像を表示する医用画像表示装置と、を備え、
前記医用画像表示装置は、
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域を表示する表示制御部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定部と、
を有する、
医用画像表示システム。
【請求項19】
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する抽出工程と、
前記抽出工程により抽出された前記画像領域を表示する表示工程と、
前記抽出工程により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定工程と、
を有する、
医用画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示プログラム、医用画像表示装置、医用画像表示システム及び医用画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像の読影診断において、一次読影医の読影診断結果を二次読影医が確認して確定診断することが知られている。近年では、コンピューターが医用画像を解析し、画像解析により検出された病変候補領域を医師が診断する診断支援(CAD:Computer Aided Detection/Diagnosis)システムも実用化されている。
【0003】
特許文献1には、以下のような医用画像レポート作成装置が記載されている。具体的には、まず、CADにより画像管理サーバー内の画像を基に異常部位を検出する。次いで、異常部位が検出されたスライスだけを抽出して参照画像としてレポートに添付してレポート作成装置に転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来における読影診断の方法では、一次読影医の読影診断結果が間違っている場合等がある。この場合、一次読影医の読影診断結果をそのまま採用できないため、一次読影医の作成した読影レポートや一次読影医がアノテーションを付した診断画像に対して、二次読影医が修正や追加をする確認作業が必要となる。また、特許文献1に記載のCADシステムでは、コンピューターの解析精度が低く、偽陽性を含む場合がある。そのため、この場合にも、読影医がAIによる診断結果の確認作業が必要となる。これらのように、一次読影医やコンピューターによる読影結果をそのまま採用できない場合、二次読影医の確認作業が煩雑になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、ユーザーによる読影時の作業をより効率化することができる医用画像表示プログラム、医用画像表示装置、医用画像表示システム及び医用画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る医用画像表示プログラムは、
コンピューターに、
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する第1の抽出機能と、
前記第1の抽出機能により抽出された前記画像領域を表示する表示機能と、
前記第1の抽出機能により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定機能と、
を実行させる。
【0008】
本発明に係る医用画像表示装置は、
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域を表示する表示制御部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定部と、
を備える。
【0009】
本発明に係る医用画像表示システムは、
医用画像を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置により撮影された前記医用画像を表示する医用画像表示装置と、を備え、
前記医用画像表示装置は、
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域を表示する表示制御部と、
前記抽出部により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定部と、
を有する。
【0010】
本発明に係る医用画像表示方法は、
医用画像に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域を含む画像領域を前記医用画像から抽出する抽出工程と、
前記抽出工程により抽出された前記画像領域を表示する表示工程と、
前記抽出工程により抽出された前記画像領域の確認結果を特定する特定工程と、
を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザーは表示された病変候補領域を含む画像領域を視認して読影できるとともに、ユーザーが病変候補領域を確認したことを示す確認結果を特定機能により特定するので、読影時の作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態に係る医用画像表示システムの概略構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る医用画像管理サーバーのブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る医用画像管理サーバーのデータ管理テーブルの構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る情報処理装置のブロック図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る情報処理装置の表示部に表示される読影画面の構成例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る医用画像解析処理時における医用画像管理サーバーの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施の形態に係る読影支援処理時における情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図8A】第1の実施の形態に係る読影画面に一覧表示される病変候補領域を含む画像領域の表示例を示す図である。
【
図8B】第1の実施の形態に係るメニューを用いた確認指示の入力方法を示す図である。
【
図9】第1の実施の形態に係る病変候補領域を含む画像領域上に表示される確認手段の表示例を示す図である。
【
図10】第2の実施の形態に係る情報処理装置の表示部に表示される読影画面の構成例を示す図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る読影支援処理時における情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第2の実施の形態に係る読影画面に順番に切り替え表示される病変候補領域を含む画像領域の表示例を示す図である。
【
図13】第3の実施の形態に係る読影画面に一覧表示される病変候補領域を含む画像領域の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0014】
[医用画像表示システム100の構成例]
図1は、本実施の形態に係る医用画像表示システム100の概略構成例を示す図である。
図1に示すように、医用画像表示システム100は、医用画像管理サーバー10と、撮影装置の一例であるモダリティー20,20,・・・と、コンピューター及び医用画像表示装置の一例である情報処理装置30とを備える。医用画像管理サーバー10、モダリティー20及び情報処理装置30は、通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。医用画像表示システム100を構成する各装置は、HL7(Health Level Seven)やDICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じている。各装置間の通信は、HL7やDICOMに則って行われる。なお、情報処理装置30の台数は、特に限定されない。通信ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等である。通信方式は、安定的な通信が実現できれば有線であっても無線であってもよい。
【0015】
モダリティー20は、患者(被検体)の医用画像50を撮影し、撮影した患者の医用画像50の画像データを生成する。モダリティー20には、例えば、CR(Computed Radiography)、DR(Digital Radiography)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、US(Ultra Sonography)、NM(Nuclear Medicine:核医学検査)、内視鏡検査であるES(Endoscope)等が用いられる。モダリティー20は、撮影した医用画像50に対して、当該医用画像50に係る画像属性情報を付帯する。画像属性情報には、患者ID、患者名、生年月日、性別、撮影日時、画像ID、モダリティー、部位、方向等が含まれる。モダリティー20は、生成した医用画像50の画像データ及び画像データに付帯する画像属性情報を、医用画像管理サーバー10に送信する。
【0016】
医用画像管理サーバー10は、モダリティー20において生成された医用画像50の画像データや画像属性情報等を保存し、管理する。医用画像管理サーバー10としては、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が挙げられる。
【0017】
情報処理装置30は、PC(Personal Computer)やタブレット等のコンピューター装置である。情報処理装置30は、放射線技師、読影医や臨床医等のユーザーによる医用画像50を読影する際等に用いられる。情報処理装置30は、医用画像管理サーバー10から医用画像50の画像データを取得し、取得した画像データに基づいて医用画像50を表示する。
【0018】
[医用画像管理サーバー10の構成例]
図2は、本実施の形態に係る医用画像管理サーバー10のブロック図を示している。医用画像管理サーバー10は、制御部11と、通信部12と、画像解析部13と、記憶部14とを備える。制御部11と通信部12等の各部とは、バス15により互いに接続されている。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)等のメモリーとを有する。制御部11のCPUは、記憶部14に記憶されている各種処理プログラムを読み出して、当該プログラムとの協働により医用画像管理サーバー10に係る種々の機能を実現する。制御部11のCPUは、単一のプロセッサにより構成してもよいし、複数のプロセッサにより構成し、これらが並列又は用途ごとに独立して動作してもよい。
【0020】
通信部12は、ネットワークインターフェース等を有する。通信部12は、通信ネットワークNを介して接続されたモダリティー20や情報処理装置30との間で各種データを送受信する。例えば、通信部12は、モダリティー20により撮影された患者の医用画像50の画像データを受信する。通信部12は、情報処理装置30から医用画像50の取得要求が送信された場合に、取得要求に応じた医用画像50やその医用画像50の病変候補に関する解析結果を情報処理装置30に送信する。
【0021】
画像解析部13は、モダリティー20によって撮影された医用画像50に対してコンピューター処理を行い、医用画像50の中から病変候補領域を検出する。病変候補領域とは、例えば、肺がんが疑われる所見である結節影や、肺炎や結核等の感染症の所見である浸潤影等を含む画像領域である。画像解析部13は、検出した病変候補領域を含む解析結果データを生成する。コンピューター処理としては、例えば、医用画像50の中から病変候補を検出して画像診断・画像解析を行うAI(Artificial Intelligence)を利用したAI解析(CAD(Computer Aided Diagnosis))を用いることができる。解析結果データは、例えば、DICOMのGSPS(Grayscale Softcopy Presentation State)データ、オーバーレイデータ等により構成される。解析結果データには、解析結果を識別するための解析結果ID及び病変候補領域に関する各種情報が含まれる。病変候補領域の各種情報には、例えば、位置、病変の種類、付帯情報(アノテーション情報)の内容等が含まれる。画像解析部13は、記憶部14に格納されたプログラムと制御部11のCPUとの協働によってソフトウェア処理で実現される。なお、画像解析部13は、一部又は全部を制御部11に組み込んでもよいし、例えばネットワーク上の外部機器やクラウドにより実現してもよい。また、画像解析部13にディープラーニング等の機械学習によって医師の読影診断の技術を学習する学習機能を設け、医用画像50における病変の解析力を向上させるようにしてもよい。学習機能は、情報処理装置30とは異なる例えばネットワーク上の外部機器やクラウドにより実現してもよい。
【0022】
記憶部14は、半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)及び光ディスク記憶装置等の少なくとも一つを有する。記憶部14は、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶する。記憶部14は、ユーザー管理テーブル141と、データ管理テーブル142と、医用画像記憶領域143と、解析結果記憶領域144と、読影結果記憶領域145とを有する。
【0023】
ユーザー管理テーブル141は、医用画像表示システム100を利用するユーザー(医師等の医療従事者)を管理するためのテーブルである。ユーザー管理テーブル141には、ユーザーごとに、ユーザーID、パスワード、氏名、所属、メールアドレス、電話番号等が対応付けられて格納されている。
【0024】
ユーザーIDは、ユーザーの識別情報である。パスワードは、ユーザーが情報処理装置30から医用画像管理サーバー10にアクセスする際の認証に用いられる。氏名は、ユーザーの氏名である。所属は、ユーザーが所属する医療施設、診療科等の情報である。メールアドレスは、ユーザーのメールアドレスである。電話番号は、ユーザーの電話番号である。
【0025】
データ管理テーブル142は、医用画像管理サーバー10内のデータを管理するためのテーブルである。
図3は、本実施の形態に係るデータ管理テーブル142の構成の一例を示している。
図3に示すように、データ管理テーブル142には、医用画像記憶領域143に記憶されている医用画像50ごとに、画像ID、患者ID、撮影日時、モダリティー、部位、方向、解析結果ID、読影結果ID等が対応付けられて格納されている。
【0026】
画像IDは、医用画像50の識別情報である。患者IDは、医用画像50の撮影対象とされた患者の識別情報である。撮影日時は、医用画像50が撮影された日時である。モダリティーは、医用画像50が撮影されたモダリティーである。部位は、医用画像50の撮影対象とされた部位である。方向は、医用画像50の撮影方向である。解析結果IDは、画像解析部13が医用画像50を解析することで得られた解析結果の識別情報である。読影結果IDは、医用画像50に対するユーザーによる読影結果を識別するための識別情報である。
【0027】
医用画像記憶領域143には、モダリティー20により撮影された医用画像50の画像データが記憶される。解析結果記憶領域144には、医用画像50をコンピューター処理することで得られた病変候補領域を含む解析結果データが記憶される。読影結果記憶領域145には、ユーザーによる医用画像50に対する読影結果のデータが記憶される。読影結果には、例えば、コンピューター処理により病変候補領域と判定された解析結果が正しいか(二次陽性)、正しくないか(二次偽陽性)を確認(承認)したことを示す確認結果情報等が含まれる。確認結果情報には、例えば、病変候補領域の位置、病変の種類、付帯情報(例えば、アノテーション情報)が含まれる。
【0028】
[情報処理装置30の構成例]
図4は、本実施の形態に係る情報処理装置30のブロック図を示している。
図4に示すように、情報処理装置30は、制御部31と、操作部32と、表示部33と、通信部34と、記憶部35とを備える。制御部31と操作部32等の各部とは、バス36を介して互いに接続されている。
【0029】
制御部31は、CPU等のプロセッサと、RAM等のメモリー等を有する。制御部31のCPUは、記憶部35に記憶されている医用画像表示プログラム351等を含む各種処理プログラムを読み出して、当該プログラムとの協働により情報処理装置30に係る種々の機能を実現する。制御部31のCPUは、単一のプロセッサにより構成してもよいし、複数のプロセッサにより構成し、これらが並列又は用途ごとに独立して動作してもよい。
【0030】
操作部32は、例えば、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を含むキーボードやマウス等のポインティングデバイス等を有する。操作部32は、ユーザーによるキーボード等の操作により入力された各種指示を受け付け、受け付けた指示に応じた操作信号を制御部31に出力する。操作部32がタッチパネルの機能を含む場合、操作部32はユーザーの指等によるタッチ操作の位置に応じた指示を受け付ける。
【0031】
表示部33は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(ElectroLuminescence)等のディスプレイを有する。表示部33は、制御部31の表示制御に基づいて、ユーザーによる読影診断時に使用する読影画面331等の各種画面を表示する。表示部33は、上述したように、操作部32であるタッチパネルを組み合わせたものであってもよい。
【0032】
図5は、第1の実施の形態に係る表示部33に表示される読影画面331の構成の一例を示している。
読影画面331は、ユーザーが視認により読影診断を行うとともに、読影判定結果を入力するための画面である。読影画面331には、医用画像管理サーバー10から取得した特定患者の医用画像50が表示される医用画像表示領域331aが設けられる。読影画面331の上部には、医用画像50の表示方法等を編集するための複数の各種ボタンを含むツール表示領域331dが設けられる。読影画面331の下部には、解析結果ボタン331bと、終了ボタン331cと、画像一覧表示ボタン331eとが設けられる。解析結果ボタン331bは、コンピューターによるAI解析によって検出された病変候補領域を医用画像50上に表示させるためのボタンである。終了ボタン331cは、読影診断の終了を指示するためのボタンである。画像一覧表示ボタン331eは、コンピューターによるAI解析によって検出された病変候補領域を含む画像領域を一覧表示するためのボタンである。
【0033】
読影画面331の医用画像表示領域331aには、
図5に示すように、医用画像50が表示される。医用画像50には、コンピューターによるAI解析によって検出された病変候補がある場合、病変候補領域60が表示される。本実施の形態では、一例として、2箇所の第1の病変候補領域60a及び第2の病変候補領域60bが表示される。第1の病変候補領域60a等は、病変候補の位置や大きさ等を示す。第1の病変候補領域60aは、例えば、病変候補の位置を示す白い円形のマークMaによって囲まれている。第2の病変候補領域60bは、例えば、病変候補の位置を示す白い円形のマークMbで囲まれている。これにより、ユーザーは、医用画像50において、コンピューターによるAI解析によって検出された病変候補領域60を容易に特定できる。なお、病変候補の位置を特定するためのマークは、病変候補を特定でき、読影の邪魔にならなければ、特に円形のマークに限定されることはない。なお、以下では、複数の第1の病変候補領域60a及び第2の病変候補領域60b等をまとめて病変候補領域60と呼ぶ場合がある。
【0034】
図4に戻り、通信部34は、ネットワークインターフェース等を有する。通信部34は、通信ネットワークNを介して接続された医用画像管理サーバー10やモダリティー20との間で各種データを送受信する。
【0035】
記憶部35は、半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)及び光ディスク記憶装置等の少なくとも一つを有する。記憶部35は、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶する。記憶部35には、医用画像表示プログラム351が記憶されている。医用画像表示プログラム351は、コンピューターにより解析された医用画像50の読影結果をユーザーが効率的に読影判定するためのブログラムである。
【0036】
上述した情報処理装置30において、制御部31は、医用画像表示プログラム351を実行することにより、以下に示す各機能を実現する。制御部31は、抽出部として機能し、医用画像50に対するコンピューター処理により得られた病変候補領域60を含む画像領域600(
図8A参照)を医用画像50から抽出する第1の抽出機能及び抽出工程を実行する。ここで、画像領域600は、医用画像50から抽出された一部の領域である。制御部31は、表示制御部として機能し、第1の抽出機能により抽出された画像領域600を表示部33に一覧表示等させる表示機能及び表示工程を実行する。制御部31は、特定部として機能し、第1の抽出機能により抽出された画像領域600の確認結果を特定する特定機能及び特定工程を実行する。確認結果には、第1の抽出機能により抽出された画像領域600の病変候補領域の読影判定結果が含まれる。
【0037】
[医用画像管理サーバー10の動作例]
図6は、第1の実施の形態に係る医用画像解析処理時における医用画像管理サーバー10の動作の一例を示すフローチャートである。この処理は、制御部11のCPUと記憶部14に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0038】
医用画像管理サーバー10の通信部12は、モダリティー20により撮影された患者の医用画像50をネットワークNを介して受信する(ステップS100)。
【0039】
制御部11は、モダリティー20から受信した患者の医用画像50を記憶部14の医用画像記憶領域143(
図2参照)に記憶する(ステップS110)。制御部11は、モダリティー20から受信した医用画像50の画像属性情報に含まれる画像ID、患者ID、撮影日時、モダリティー、部位、方向等を、記憶部14のデータ管理テーブル142(
図2参照)に格納する。
【0040】
画像解析部13は、モダリティー20から受信した医用画像50を例えばAI(Artificial Intelligence)により解析することで、医用画像50の中から肺がんや肺炎等が疑われる病変候補領域60を検出する(ステップS120)。
【0041】
制御部11は、画像解析部13により解析された病変候補領域60を含む解析結果データと解析対象とされた元画像である医用画像50とを対応付けて記憶部14に記憶する(ステップS130)。例えば、制御部11は、解析結果データを解析結果記憶領域144(
図2参照)に記憶する。
【0042】
[医用画像表示システム100の動作例]
図7は、第1の実施の形態に係る読影支援処理時における情報処理装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
図8Aは、第1の実施の形態に係る読影画面331に一覧表示される病変候補領域60を含む画像領域600の表示例を示している。
図8Bは、メニュー332を用いた確認指示の入力方法の一例を示している。
図9は、病変候補領域60を含む画像領域600上に表示される確認手段80の表示例を示している。この処理は、制御部31のCPUと記憶部35に記憶されている医用画像表示プログラム351との協働によるソフトウェア処理によって実現される。なお、以下では、医用画像50に複数の病変候補領域60が含まれている場合について説明する。
【0043】
図7に示すように、制御部31は、医用画像管理サーバー10から医用画像50及びその医用画像50に対応付けられた病変候補領域60を含む解析結果データを受信する(ステップS200)。具体的には、制御部31は、ユーザーにより指定された画像IDを含む医用画像50の取得要求を医用画像管理サーバー10に送信する。医用画像管理サーバー10の制御部11は、取得要求に含まれる画像IDに対応する医用画像を医用画像記憶領域143から読み出し、読み出した医用画像50を情報処理装置30に送信する。制御部11は、記憶部14のデータ管理テーブル142を参照して、医用画像50の画像IDに対応するレコードから解析結果IDを取得する。制御部11は、特定した解析結果IDに対応する解析結果データを解析結果記憶領域144から読み出して情報処理装置30に送信する。
【0044】
制御部31は、医用画像管理サーバー10から取得した医用画像50及び解析結果データに含まれる病変候補領域60を表示部33の読影画面331に表示させる(ステップS210)。具体的には、
図5に示したように、制御部31は、医用画像50と、コンピューターによるAI解析によって検出された第1の病変候補領域60a及び第2の病変候補領域60bを読影画面331に表示させる。
【0045】
制御部31は、読影画面331に表示されている医用画像50において、ユーザーにより新規の病変候補領域60の追加指示が受け付けられたか否かを判定する(ステップS220)。具体的には、ユーザーは、読影画面331に表示中の医用画像50において、コンピューターによるAI解析によって検出された第1の病変候補領域60a等以外の新規な病変候補を発見した場合、新規の病変候補の追加指示を入力する。例えば、追加指示の入力は、新規に病変候補となる医用画像50上の位置を、マウス操作によりカーソルを位置合わせして左クリック操作することで行ってもよい。追加指示の入力は、新規に病変候補となる医用画像50上の位置に、カーソルを位置合わせして右クリックし、メニューから新規陽性の項目を選択することで行ってもよい。追加指示の入力は、操作部32がタッチパネルで構成される場合、新規に病変候補となる医用画像50上の位置を直接タッチ操作することで行ってもよい。
【0046】
制御部31は、ユーザーにより新規の病変候補領域60の追加指示が受け付けられたと判定した場合(ステップS220:YES)、ステップS230に進む。制御部31は、読影画面331に表示されている医用画像50に新規の病変候補領域60を重畳させて表示させる(ステップS230)。具体的には、制御部31は、
図5に示すように、読影画面331に表示されている医用画像50に新規の第3の病変候補領域60cを表示させる。第3の病変候補領域60cは、白い円形の破線で示すマークMcによって囲まれている。なお、マークMcは、マークMa等と同様に実線でもよい。マークMcは、コンピューター処理による第1の病変候補領域60a等と区別するために、線の太さを異ならせてもよいし、色を異ならせてもよい。
【0047】
一方、制御部31は、ユーザーにより新規に病変候補領域60の指定が受け付けられていないと判定した場合(ステップS220:NO)、ステップS240に進む。つまり、ユーザーによる読影診断において、コンピューターによるAI解析によって検出された第1の病変候補領域60a等以外に新規の病変候補が発見されない場合である。
【0048】
制御部31は、ユーザーにより病変候補領域60を一覧表示する表示指示が受け付けられたか否かを判定する(ステップS240)。制御部31は、一覧表示する表示指示が受け付けられたと判定した場合(ステップS240:YES)、ステップS250に進む。例えば、制御部31は、
図5に示した読影画面331の画像一覧表示ボタン331eの選択操作に応じた表示指示を受け付けたか否かにより判定する。
【0049】
制御部31は、読影画面331に表示されている医用画像50から病変候補領域60を抽出し、抽出した病変候補領域60を含む画像領域600を読影画面331に一覧表示させる(ステップS250)。具体的には、制御部31は、第1の病変候補領域60aを含む第1の画像領域600a及び第2の病変候補領域60bを含む第2の画像領域600bを医用画像50から抽出する第1の抽出機能を実行する。制御部31は、第3の病変候補領域60cを含む第3の画像領域600cを医用画像50から抽出する第2の抽出機能を実行する。なお、以下では、第1の画像領域600a、第2の画像領域600b、第3の画像領域600cをまとめて画像領域600と呼ぶ場合がある。
【0050】
図8Aは、第1の実施の形態に係る読影画面331に一覧表示される病変候補領域60を含む画像領域600の表示例を示している。
制御部31は、
図8Aに示すように、抽出した3箇所の第1の画像領域600a、第2の画像領域600b、第3の画像領域600cを例えば2行×2列で読影画面331に一覧表示させる表示機能を実行する。なお、画像領域600の配列方法は、2行×2列に限定されることはなく、例えば3行×3列等の任意の配列を採用できる。また、本実施の形態では、画像領域600の抽出形状及び抽出サイズとして、病変候補領域60の外周部を含む画像領域を矩形状で切り出しが、これに限定されることはない。
【0051】
制御部31は、読影画面331に一覧表示された病変候補領域60に対してユーザーによる読影判定結果に応じた確認指示が受け付ける(ステップS260)。読影判定結果は、コンピューターのAI解析により陽性判定とされた病変候補領域60に対して、ユーザーがコンピューターの解析結果に対して誤りがないかを確認した際の結果(確認結果)を含む。読影判定結果は、ユーザー自身が陽性と判定した病変候補領域60を確認した際の結果であってもよい。具体的には、ユーザーは、読影画面331に一覧表示された病変候補領域60を読影診断する。ユーザーは、自身の読影判定結果がコンピューターによるAI解析結果と同一である場合、第1の病変候補領域60aが陽性であることを確認(承認)したことを示す陽性確認指示を入力する。ユーザーは、自身の読影判定結果がコンピューターによるAI解析結果と異なる場合、第2の病変候補領域60bの偽陽性であることを確認したことを示す偽陽性確認指示を入力する。ユーザーは、コンピューターによるAI解析では発見されていない新たな病変候補を追加する場合、第3の病変候補領域60cが新規陽性であることを確認したことを示す陽性確認指示を入力する。
【0052】
確認指示の入力は、一の操作(ワンタッチ操作)によって行うようにしてもよい。例えば、陽性確認指示の入力は、マウス操作によりカーソルを病変候補領域60上に位置合わせして左クリック操作により行ってもよい。偽陽性確認指示の入力は、病変候補領域60を選択しない、つまり何れの操作も行われない場合に、偽陽性確認指示の入力とみなしてもよい。また、偽陽性確認指示の入力は、陽性確認指示の入力とは異なる左クリックの回数が入力された場合に、偽陽性確認指示の入力としてもよい。
【0053】
確認指示の他の入力方法としては、メニュー332を用いてもよい。
図8Bは、第1の実施の形態に係るメニュー332を用いた確認指示の入力方法を示す図である。
図8Bに示すように、制御部31は、読影判定結果を行う画像領域600(第1の画像領域600a)上にカーソルが位置合わせされ、右クリック操作が行われると、画像領域600上にメニュー332を表示させる。制御部31は、メニュー332の矢印ボタン332aが選択されると、メニュー332を展開表示させる。メニュー332には、読影判定結果の入力として、陽性ボタン333a、陰性ボタン333b、偽陽性ボタン333c、偽陰性ボタン333d、保留ボタン333eが設けられる。制御部31は、メニュー332において、陽性ボタン333a等の何れかのボタンがユーザーにより選択されると、選択ボタンに応じた確認指示を受け付ける。
【0054】
本実施の形態では、制御部31は、第1の画像領域600aに対して陽性確認指示を受け付ける。制御部31は、第2の画像領域600bに対して偽陽性確認指示を受け付ける。制御部31は、第3の画像領域600cに対して新規陽性確認指示を受け付ける。なお、読影判定結果としては、例えば、陽性、偽陽性以外にも、陰性、偽陰性及び保留のうち少なくとも一つの確認指示を入力可能である。
【0055】
制御部31は、ユーザーにより入力された確認結果に応じて、読影画面331に一覧表示されている病変候補領域60の表示態様を変化させる(ステップS270)。つまり、制御部31は、ユーザーにより入力された病変候補領域60に対する読影判定結果である確認結果を特定する特定機能を実行する。続けて、制御部31は、特定した病変候補領域60を確認するための確認手段80を表示する表示機能を実行する。
【0056】
図9は、第1の実施の形態に係る病変候補領域60を含む画像領域600上に表示される確認手段80の表示例を示している。
例えば、制御部31は、
図9に示すように、第1の病変候補領域60aに対して陽性確認指示を受け付けると、第1の画像領域600a上に「チェック」の確認手段80を表示させる。第1の病変候補領域60aと「チェック」の確認手段80とは、1対1で対応づけられるとともに、医用画像50上に重畳して表示される。制御部31は、第2の病変候補領域60bに対して偽陽性確認指示を受け付けると、第2の病変候補領域60bの表示態様は変化させず、確認手段80を非表示とする。制御部31は、第3の病変候補領域60cに対して陽性確認指示を受け付けると、第3の画像領域600c上に「チェック」の確認手段80を表示させる。第3の病変候補領域60cと「チェック」の確認手段80とは、1対1で対応づけられるとともに、医用画像50上に重畳して表示される。ユーザーが新規の第3の病変候補領域60cを発見した場合、コンピューター処理による陽性判定と区別するために、例えば確認手段80を「チェック(新規)」と表示してもよい。なお、本実施の形態では、確認手段80の一例として、「チェック」を用いた例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、確認手段80としては、「チェック」以外の他の文字であってもよいし、記号や図形等であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0057】
一方、ステップS240において、制御部31は、一覧表示する表示指示が受け付けられていないと判定した場合(ステップS240:NO)、ステップS260に進む。例えば、ユーザーが病変候補領域60の一覧表示機能を利用せずに、
図5に示す読影画面331に表示されている医用画像50において病変候補領域60の読影診断を行う場合である。ユーザーは、医用画像50において、コンピューターによるAI解析により検出された病変候補領域60がある場合、病変候補領域60に対する陽性判定が正しいか、正しくないかを判定する。また、ユーザーは、医用画像50において、新規な病変候補領域60がないか否かを判定する。読影判定結果の入力方法は、上述した一覧表示の場合と同様の方法を採用できる。
【0058】
制御部31は、ユーザーによる医用画像50の読影診断が終了すると、画像領域の読影判定結果を読影レポートに出力する出力機能を実行するとともに、読影レポート及び読影判定結果を示すデータを医用画像管理サーバー10に送信する(ステップS280)。読影レポートとは、例えば、診療科からの検査依頼に対して、放射線科の読影医が医用画像50から異常の有無を指摘し、患者の状態や疾患についてまとめたものである。読影レポートは、診察医が患者へ診断結果をフィードバックする際に用いられる。
【0059】
制御部31は、ユーザーによる読影判定結果として陽性、偽陰性、新規陽性及び保留等のうち少なくとも一つが選択された画像領域600を特定機能により特定する。制御部31は、特定した画像領域600を、第3の抽出機能により抽出して読影レポートに参照画像として貼り付ける。読影レポートには、例えば、各病変候補領域60における陽性(二次読影確認)、偽陽性(二次読影確認)、新規陽性(二次読影医追加)が次の診察医に分かるように表示される。例えば、制御部31は、陽性、新規陽性の画像領域600のみを抽出して、読影レポートに貼り付けるようにしてもよい。陽性等の画像領域600であるか否かの判定は、画像領域600の表示態様、例えば画像領域600に「チェック」の確認手段80が表示されているか否かにより行ってもよい。
【0060】
なお、上述した実施の形態では、コンピューター処理により検出された病変候補領域60に対するユーザーの読影判定結果として、画像領域600に「チェック」の確認手段80を表示等させたが、これに限定されることはない。例えば、制御部31は、ユーザーによる読影判定結果に応じて、確認手段の一例としての画像領域600の濃度、表示位置及び大きさのうち少なくとも一つの表示状態を変更してもよい。また、画像領域600の濃度、表示位置及び大きさの少なくとも一つと、上述した「チェック」の確認手段80とを組み合わせてもよい。
【0061】
具体的には、制御部31は、ユーザーにより読影判定結果で陽性と判定された第1の画像領域600aを、ユーザーにより読影判定結果で偽陽性と判定された第2の画像領域600bよりも明るく又は暗くなるように表示してもよい。
制御部31は、ユーザーにより読影判定結果で陽性と判定された第1の画像領域600aを読影画面331の例えば左側に配列し、ユーザーにより読影判定結果で偽陽性と判定された第2の画像領域600bを読影画面331の例えば右側に配列してもよい。
制御部31は、ユーザーにより読影判定結果で陽性と判定された第1の画像領域600aを、ユーザーにより読影判定結果で偽陽性と判定された第2の画像領域600bよりも大きく又は小さくなるように表示してもよい。
【0062】
また、制御部31は、複数の病変候補領域60を読影画面331に一覧表示する場合、複数の病変候補領域60の病変の病変確度及び大きさの少なくとも一方の情報に基づいて表示順を変更してもよい。例えば、病変確度が第1の病変候補領域60a、第3の病変候補領域60c、第2の病変候補領域60bの順番で高い場合、一覧表示の左側から第1の病変候補領域60a、第3の病変候補領域60c、第2の病変候補領域60bの順番で表示する。病変の大きさについても、病変の病変確度の場合と同様である。また、病変の病変確度及び大きさの両方を考慮して、複数の病変候補領域60の表示順を変更してもよい。
【0063】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、ユーザーは読影画面331に一覧表示された病変候補領域60を含む画像領域600を視認しながら読影できる。つまり、医用画像50の中から病変候補領域60を含む画像領域600のみが抽出された一覧画像を確認することで二次読影できる。これにより、ユーザーによる読影時の作業の効率化を図ることができる。
また、第1の実施の形態によれば、一覧表示された病変候補領域60に対して読影確認を行う場合、画像領域600上を左クリック操作等することで、読影の読影判定結果を入力できる。この場合、制御部31の特定機能が読影判定結果を自動で特定するので、読影時における読影判定結果の入力を簡単に行うことができ、ユーザーによる読影時の作業の効率化を図ることができる。
また、第1の実施の形態によれば、ユーザーによる読影判定結果の入力に応じて、ユーザーがコンピューターによる解析結果を確認したことを示す確認手段(確認手段80)を画像領域600上に表示するので、ユーザーが病変候補領域60における陽性の有無を確認したか否かを容易に特定できる。
【0064】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、医用画像50において検出された病変候補領域60を1画像ごとに順番に切り替えて表示する。なお、上述した第1の実施の形態に係る医用画像表示システム100等と同一の構成及び動作には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
図10は、第2の実施の形態に係る表示部33に表示される読影画面331の構成の一例を示している。
図10に示すように、読影画面331には、第1の実施の形態で用いた画像一覧表示ボタン331eに代えて、切替表示ボタン331fが設けられている。切替表示ボタン331fは、コンピューターによるAI解析によって検出された病変候補領域を含む画像領域を一つずつ順番に切り替えて表示するためのボタンである。その他の構成は、上述した
図5の読影画面331の構成と同様である。
【0066】
図11は、第2の実施の形態に係る読影支援処理時における情報処理装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
図12は、第2の実施の形態に係る読影画面331に順番に切り替え表示される病変候補領域60の表示例を示している。この処理は、制御部31のCPUと記憶部35に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。なお、以下では、医用画像50に病変候補領域60が含まれている場合について説明し、病変候補領域60の種類や個数は第1の実施の形態と同様である。
【0067】
図11に示すように、制御部31は、医用画像管理サーバー10から医用画像50及びその医用画像50の病変候補領域60を含む解析結果データを受信する(ステップS300)。
【0068】
制御部31は、医用画像管理サーバー10から取得した医用画像50及び医用画像50の解析結果データに含まれる病変候補領域60を表示部33の読影画面331に表示させる(ステップS310)。
【0069】
制御部31は、読影画面331に表示されている医用画像50において、ユーザーにより新規の病変候補領域60の追加指示が受け付けられたか否かを判定する(ステップS320)。制御部31は、ユーザーにより新規の病変候補領域60の追加指示が受け付けられたと判定した場合(ステップS320:YES)、ステップS330に進む。制御部31は、ユーザーによる新規の病変候補領域60の追加指示が受け付けられると、
図5に示したように、読影画面331に表示されている医用画像50に新規の病変候補領域60を重畳させて表示させる(ステップS330)。
【0070】
一方、制御部31は、ユーザーにより新規に病変候補領域60の指定が受け付けられていないと判定した場合(ステップS320:NO)、ステップS340に進む。
【0071】
制御部31は、ユーザーにより病変候補領域60を順番に切り替えて表示する表示指示が受け付けられたか否かを判定する(ステップS340)。制御部31は、順番に切り替えて表示する表示指示が受け付けられたと判定した場合(ステップS340:YES)、ステップS350に進む。
【0072】
制御部31は、読影画面331に表示されている医用画像50から病変候補領域60を含む画像領域600を抽出し、抽出した画像領域600のN番目の画像領域を表示させる(ステップS350)。変数Nは抽出した画像領域600の個数に対応する値であり、初期値として例えばN=1が設定される。病変候補領域60が複数ある場合、複数の病変候補領域60に対して番号が順番に割り当てられる。本実施の形態では、医用画像50のうち一番上の第1の画像領域600aに対しては、No.1が割り当てられる。医用画像50の上から二番目の第2の画像領域600bに対しては、No.2が割り当てられる。医用画像50の上から三番目の第3の画像領域600cに対しては、No.3が割り当てられる。制御部31は、
図12Aに示すように、最初の段階ではN=1なので、読影画面331にNo.1の第1の画像領域600aを表示させる。
【0073】
制御部31は、読影画面331に切替表示された病変候補領域60に対してユーザーによる読影判定結果に応じた確認指示が受け付ける(ステップS360)。本実施の形態では、例えば、第1の画像領域600aに対しては陽性確認指示が受け付けられる。
【0074】
制御部31は、ユーザーにより入力された読影判定結果に応じて、読影画面331に表示されている病変候補領域60の表示態様を変化させる(ステップS370)。例えば、制御部31は、第1の病変候補領域60aに対して陽性確認指示が受け付けられると、
図12Bに示すように、第1の病変候補領域60a上に「チェック」の確認手段80を表示させることで表示態様を変化させる。ユーザーは、読影判定結果の入力が終了した場合、次の画像領域に進むための、例えばボタン(図示省略)を押下する等の操作を行う。
【0075】
制御部31は、抽出した全ての画像領域600の切り替え表示が終了したか否かを判定する(ステップS380)。制御部31は、全ての画像領域600の切り替え表示が終了していないと判定した場合(ステップS380:NO)、ステップS350に戻る。このとき、制御部31は、変数Nをインクリメント(N=N+1)する。制御部31は、1つの画像領域600の表示が終了するごとに、次の画像領域に切り替えるかを選択するためのボタンを表示してもよい。これにより、ワンタッチ操作で次の画像領域600に切り替えることができる。
【0076】
制御部31は、抽出した2番目以降の画像領域を順番に読影画面331に表示させる。具体的には、
図12Cに示すように、ユーザーによる表示指示の入力に応じて、読影画面331に表示されている第1の画像領域600aを第2の画像領域600bに切り替えて表示する。本実施の形態では、第2の病変候補領域60bに対しては、例えば偽陽性を示す偽陽性確認指示が受け付けられる。本実施の形態では、例えば、ユーザーにより何れの操作も行われない場合に、偽陽性確認指示の入力とみなす。制御部31は、第2の病変候補領域60bが偽陽性であることをユーザーが確認したことを示すために、第2の画像領域600bに対しては確認手段80を非表示とする。ユーザーは、読影判定結果の入力が終了した場合、次の画像領域に進むための、例えばボタンを押下する等の操作を行う。
【0077】
制御部31は、
図12Dに示すように、ユーザーによる表示指示の入力に応じて、読影画面331に表示されている第2の画像領域600bを第3の画像領域600cに切り替えて表示する。本実施の形態では、例えば第3の病変候補領域60cに対しては、例えば新規陽性を示す新規陽性確認指示が受け付けられる。制御部31は、第3の病変候補領域60cに対して陽性確認指示が受け付けられると、
図12Eに示すように、第3の画像領域600c上に「チェック」の確認手段80を表示させることで表示態様を変化させる。ユーザーは、読影判定結果の入力が終了すると、次の画像領域に進むための、例えばボタンを押下する等の操作を行う。
【0078】
制御部31は、抽出した医用画像50の全ての切り替え表示が終了したと判定した場合(ステップS380:YES)、ステップS390に進む。例えば、制御部31は、全ての医用画像50の切り替え表示が終了した場合、表示終了を示すダイアログボックスを読影画面331に表示し、ダイアログボックス中の確認ボタンが選択された場合に次のステップS390に進むようにしてもよい。
【0079】
一方、ステップS340において、制御部31は、順番に切り替えて表示する表示指示が受け付けられていないと判定した場合(ステップS340:NO)、例えばステップS400に進む。例えば、ユーザーが病変候補領域60の切り替え表示機能を利用せずに、読影画面331に表示されている医用画像50において病変候補領域60の読影判定を実施する場合である。制御部31は、読影画面331に表示された病変候補領域60に対してユーザーによる読影判定結果に応じた確認指示が受け付ける(ステップS400)。読影判定結果の入力方法は、上述した一覧表示の場合と同様の方法を採用できる。読影判定結果の入力が終了したら、ステップS390に進む。
【0080】
制御部31は、医用画像50の読影診断が終了すると、ユーザーによる画像領域の読影判定結果を読影レポートに出力するとともに、読影レポート及び読影判定結果を示すデータを医用画像管理サーバー10に送信する(ステップS390)。
【0081】
なお、複数の病変候補領域60を順番に切り替えて表示する場合、複数の病変候補領域60の病変の病変確度及び大きさの少なくとも一方の情報に基づいて表示順を変更してもよい。例えば、病変の病変確度が第1の病変候補領域60a、第3の病変候補領域60c、第2の病変候補領域60bの順番で高い場合には、病変確度が高い第1の病変候補領域60a、第3の病変候補領域60c、第2の病変候補領域60bの順番で切り替えて表示してもよい。逆に、病変確度が低い第2の病変候補領域60b、第3の病変候補領域60c、第1の病変候補領域60aの順番で切り替えて表示してもよい。病変の大きさについても、病変の病変確度と同様である。また、病変の病変確度及び大きさの両方を考慮して、複数の病変候補領域60の表示順を変更してもよい。
【0082】
また、コンピューター処理により検出された病変候補領域60に対するユーザーの読影判定結果としては、「チェック」の確認手段80以外でもよい。例えば、第1の実施の形態で説明したように、ユーザーによる読影判定結果に応じて、画像領域600の濃度、表示位置及び大きさのうち少なくとも一つの表示状態を変更してもよい。また、画像領域600の濃度、表示位置及び大きさの少なくとも一つと、上述した「チェック」の確認手段80とを組み合わせてもよい。
【0083】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、ユーザーは読影画面331に順番に切り替え表示される病変候補領域60を含む画像領域600を視認しながら読影できる。つまり、医用画像50の中から病変候補領域60を含む画像領域600のみが抽出された画像を1枚ずつ順番に確認しながら二次読影できる。これにより、ユーザーによる読影時の作業の効率化を図ることができる。
また、第2の実施の形態によれば、切り替え表示される病変候補領域60に対して読影確認を行う場合、画像領域600上を左クリック操作等することで、読影の読影判定結果を入力できる。この場合、制御部31の特定機能が読影判定結果を自動で特定するので、読影時における読影判定結果の入力を簡単に行うことができ、ユーザーによる読影時の作業の効率化を図ることができる。
また、第2の実施の形態によれば、ユーザーによる読影判定結果の入力に応じて、ユーザーがコンピューターによる解析結果を確認したことを示す確認手段80を画像領域600上に表示するので、ユーザーが病変候補領域60における陽性の有無を確認したか否かを容易に特定できる。
【0084】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、同一患者の同一部位における現在の医用画像50の病変候補領域と過去の医用画像の病変候補領域とを比較し、その比較結果に応じて現在の医用画像50の病変候補領域の表示態様を変更する。なお、上述した第1の実施の形態に係る医用画像表示システム100等と同一の構成及び動作には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
図13は、第3の実施の形態に係る読影画面331に一覧表示される病変候補領域60を含む画像領域600の表示例を示している。なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、医用画像50において3箇所の第1の病変候補領域60a、第2の病変候補領域60b、第3の病変候補領域60cが検出される場合について説明する。
【0086】
第3の実施の形態では、制御部31は、現在の医用画像50に対して同一患者の同一部位における過去の医用画像がある場合、過去の医用画像に対してコンピューターのAI解析により検出された病変候補領域60に対する読影判定結果を取得する。なお、現在の画像を第1の医用画像50と呼び、過去の医用画像を第2の医用画像と呼ぶ。第2の医用画像は、例えば、医用画像管理サーバー10から取得できる。制御部31は、特定機能の実行により、第1の医用画像50における病変候補領域と、第2の医用画像における病変候補領域に対する読影判定結果とを比較する。制御部31は、比較結果に応じて表示態様を変更する表示機能を実行する。
【0087】
制御部31は、第1の医用画像50と第2の医用画像との両方で第1の病変候補領域60aが陽性判定である場合、陽性である可能性が高いため、第1の画像領域600aを陽性であることを示す紫色(
図13ではハッチングで示す)の枠Faにより囲んで表示する。制御部31は、第1の医用画像50で第2の病変候補領域60bが陽性判定であり、第2の医用画像において病変候補領域60が病変候補として検出されていない場合、陽性である可能性が低いため、第2の画像領域600bを偽陽性であることを示すグレー(
図13ではハッチングで示す)の枠Fbで囲んで表示する。制御部31は、ユーザー自身による読影診断の結果により発見された第3の病変候補領域60cを新規陽性であることを示す赤(
図13ではハッチングで示す)の枠Fcで囲んで表示する。なお、枠Fa,Fb,Fcの色は、本実施の形態の色に限定されることはない。また、枠を
図13で示したようにハッチング等の模様の種類によって異ならせてもよい。
【0088】
制御部31は、読影画面331に一覧表示された病変候補領域60に対してユーザーによる読影判定結果に応じた確認指示を受け付ける。制御部31は、ユーザーによる確認結果を受け付けると、病変候補領域60を含む画像領域600の表示態様を変化させる。例えば、制御部31は、第1の実施の形態と同様に、第1の病変候補領域60a及び第3の病変候補領域60cに対して、ユーザーから陽性確認結果を受け付けると、「チェック」の確認手段80を表示させる。制御部31は、第2の病変候補領域60bに対して、ユーザーから偽陽性確認結果を受け付けると、「チェック」の確認手段80を非表示とする。
【0089】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、過去の医用画像でコンピューターにより検出された病変候補領域と、現在の医用画像50でコンピューターにより検出された病変候補領域60とを比較し、その比較結果に応じて画像領域600の表示態様を変化させる。そのため、ユーザーは、画像領域600の表示態様、つまりコンピューターによる過去の解析結果を参考にしながら、各病変候補領域60に対する二次読影を行うことができる。これにより、ユーザーは、より高精度に二次読影を行うことができる。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得る技術は、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
例えば、第1の実施の形態では画像領域600を一覧表示させる例について説明し、第2の実施の形態では画像領域600を順番に切り替えて表示させる例について説明したが、これらの技術を組み合わせてもよい。具体的には、
図5に示した読影画面331に、第1の実施の形態の画像一覧表示ボタン331eと、第2の実施の形態の切替表示ボタン331fとの両方を設け、ユーザーがいずれかのボタンを選択できるようにしてもよい。
また、第1の実施の形態から第3の実施の形態に係る医用画像表示システム100に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピューターに格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供してもよい。
【符号の説明】
【0092】
20 モダリティー(撮影装置)
30 情報処理装置(コンピューター、医用画像表示装置)
31 制御部
100 医用画像表示システム
351 医用画像表示プログラム