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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139836
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気システム
(51)【国際特許分類】
   F02B 29/04 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F02B29/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050750
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】平野 栄樹
(72)【発明者】
【氏名】池原 賢亮
(57)【要約】
【課題】インタークーラで発生した凝縮水を適切に処理する。
【解決手段】インタークーラ構成部品4には、インタークーラ本体で冷却されることにより発生した凝縮水を溜めることが可能な凝縮水滞留部8が形成されている。凝縮水滞留部8には、凝縮水通路9が接続されている。凝縮水通路9は、凝縮水滞留部8に流れ込んだ凝縮水を吸気弁10のバルブシート11付近で吸気ポート6に噴出させることが可能となるように形成されている。凝縮水通路9は、凝縮水を吸気弁10のバルブシート11付近まで導く吸気ポート6とは独立した通路であり、吸気弁10の開弁時に生じるバルブシート11付近の負圧により凝縮水を吸気ポート6内に霧状に噴出させるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気を圧縮する過給機と、
上記過給機の下流側に位置するインタークーラと、
上記インタークーラで冷却されることにより発生した凝縮水を溜めることが可能な凝縮水滞留部と、
上記凝縮水滞留部に流れ込んだ凝縮水を吸気通路に噴出させることが可能な凝縮水通路と、を有し、
上記凝縮水滞留部は、上記吸気通路に対して下方側に位置するよう形成され、
上記凝縮水通路は、吸気弁の開弁時に生じる当該吸気弁のバルブシート付近の負圧により凝縮水を上記吸気通路内に霧状に噴出させることを特徴とする内燃機関の吸気システム。
【請求項2】
上記凝縮水通路は、上記凝縮水滞留部に開口する一端と、上記一端の位置よりも上方側に位置する中間部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気システム。
【請求項3】
上記凝縮水通路は、上記凝縮水滞留部に開口する一端を有し、
上記凝縮水滞留部内には、凝縮水を吸収可能な吸水材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気システム。
【請求項4】
上記凝縮水通路は、上記凝縮水滞留部に接続された第1通路部と、上記吸気弁のバルブシート付近で上記吸気通路に接続された第2通路部と、上記第1通路部と上記第2通路部とを連結するタンク部と、を有し、
上記第2通路部は、上記タンク部に開口する一端と、当該一端の位置よりも上方側に位置する中間部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気システム。
【請求項5】
上記凝縮水通路は、上記吸気弁のバルブシート付近に開口して上記吸気通路に凝縮水を噴出する凝縮水噴出部を有し、
上記凝縮水噴出部は、上記吸気通路の内壁面に対して直交もしくは垂直に近い角度で交わるように形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の内燃機関の吸気システム。
【請求項6】
上記凝縮水通路は、凝縮水の流れ方向で下流側となる他端側ほど通路断面積が小さくなるよう形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の内燃機関の吸気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
過給機により圧縮された空気が冷却されることにより発生した凝縮水は、吸気管内で水滴となると、内燃機関の吸気行程で燃焼室内に入りこんで点火装置等に悪影響を及ぼす虞がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、インタークーラで発生した凝縮水が溜まる凝縮水溜まり部と、凝縮水溜まり部と凝縮水溜まり部より重力方向にて高い位置の吸気通路とを連通する連通管と、有し、吸気通路に開口する連通管の噴出口から凝縮水溜まり部に溜まった凝縮水を噴出させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-169632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、連通管から吸気通路に噴出させた凝縮水が吸気通路の壁面に付着する虞がある。そのため、特許文献1においては、吸気通路の壁面に付着した凝縮水により吸気通路の通路断面積が狭められ、内燃機関の出力低下等の悪影響を及ぼす虞がある。すなわち、インタークーラで発生した凝縮水を適切に処理するにあたって更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る内燃機関の吸気システムは、インタークーラで冷却されることにより発生した凝縮水を溜めることが可能な凝縮水滞留部と、上記凝縮水滞留部に流れ込んだ凝縮水を吸気弁のバルブシート付近で上記吸気通路に噴出させることが可能な凝縮水通路と、を有し、上記凝縮水通路は、上記吸気弁のバルブシート付近の負圧により凝縮水を吸気通路内に霧状に噴出させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、凝縮水が燃焼室の直前で吸気通路に戻されるので、凝縮水の吸気通路壁面への(再)付着が抑制され、吸気通路壁面に付着した凝縮水により吸気通路の通路断面積が狭められて内燃機関の出力が低下してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明が適用された第1実施例における内燃機関の吸気システムの要部を模式的に示した説明図。
図2】本発明が適用された第1実施例における内燃機関の吸気システムにおけるインタークーラ構成部品の斜視図。
図3】本発明が適用された第1実施例における内燃機関の吸気システムの他端側通路を詳細に示した説明図。
図4】本発明が適用された第2実施例における内燃機関の吸気システムの要部を模式的に示した説明図。
図5】本発明が適用された第3実施例における内燃機関の吸気システムの要部を模式的に示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1及び図2を用いて、第1実施例の内燃機関の吸気システム1について説明する。図1は、本発明が適用された第1実施例における内燃機関の吸気システム1の要部を模式的に示した説明図である。図2は、本発明が適用された第1実施例における内燃機関の吸気システム1のインタークーラ構成部品4の斜視図である。内燃機関の吸気システム1は、例えば、自動車等の車両に搭載されるものである。なお、適用される内燃機関は、吸気ポート6に燃料を噴射するものでもよいし、筒内(燃焼室内)に燃料を噴射するものでもよい。
【0011】
内燃機関の吸気システム1は、吸気を圧縮する図示外の過給機と、この過給機の下流側に位置するインタークーラ2と、インタークーラ2が接続された内燃機関のシリンダヘッド3と、を有している。
【0012】
インタークーラ2は、図示外のインタークーラ本体と、このインタークーラ本体にボルトで固定されるインタークーラ構成部品4と、を有している。インタークーラ構成部品4は、吸気の流れ方向で、当該インタークーラ2の下流側端部を構成する筒状の部材である。
【0013】
図1に示すように、インタークーラ2は、インタークーラ構成部品4をシリンダヘッド3に固定することでシリンダヘッド3に取り付けられている。なお、インタークーラ構成部品4とインタークーラ本体とを一体に形成するようにしてもよい。
【0014】
インタークーラ構成部品4は、図2に示すように、内燃機関の気筒列方向に沿って細長い形状であり、吸気流れ方向の下流側に内燃機関の気筒数に応じた開口部5を有している。各開口部5は、シリンダヘッド3に形成された吸気ポート6に接続される。
【0015】
内燃機関の燃焼室7には、吸気ポート6を介してインタークーラ2で冷却された吸気が導入される。
【0016】
なお、内燃機関は、インタークーラ2よりも上流側の位置に、内燃機関の排気通路から排気の一部を還流するようなものでもよい。
【0017】
インタークーラ構成部品4には、インタークーラ本体で冷却されることにより発生した凝縮水を溜めることが可能な凝縮水滞留部8が形成されている。換言すると、凝縮水滞留部8は、吸気が流れる吸気通路上に形成されている。
【0018】
凝縮水滞留部8は、図2に示すように、内燃機関の気筒列方向に沿って連続して延びる断面U字状の溝である。凝縮水滞留部8は、インタークーラ構成部品4内を流れる吸気に干渉しないように、インタークーラ構成部品4の内壁面にインタークーラ構成部品4の周方向に沿って形成されている。換言すると、凝縮水滞留部8は、吸気通路を流れる吸気に干渉しないように吸気通路の内壁面に吸気通路の周方向に沿って形成されている。
【0019】
凝縮水滞留部8は、車両に搭載された際に、車両上下方向で下方側となるインタークーラ構成部品4の内壁面に形成される。つまり、凝縮水滞留部8は、吸気通路に対して下方側に位置するよう形成されている。
【0020】
また、凝縮水滞留部8には、凝縮水通路9が接続されている。凝縮水通路9は、内燃機関の気筒毎に設けられている。凝縮水通路9は、一端9aが凝縮水滞留部8に開口し、他端9bが吸気弁10のバルブシート11付近で吸気ポート6(吸気通路)に開口するよう形成されている。換言すると、凝縮水通路9は、凝縮水滞留部8に流れ込んだ凝縮水を吸気弁10のバルブシート11付近で吸気ポート6(吸気通路)に噴出させることが可能となるように形成されている。
【0021】
凝縮水通路9は、凝縮水を吸気弁10のバルブシート11付近まで導く吸気ポート6とは独立した通路であり、吸気弁10の開弁時に生じるバルブシート11付近の負圧により他端9bから凝縮水を吸気ポート6(吸気通路)内に霧状に噴出させるものである。
【0022】
凝縮水通路9は、凝縮水の流れ方向で下流側ほど通路断面積が小さくなるよう形成されている。すなわち、凝縮水通路9は、他端9b側ほど通路断面積が小さくなるよう形成されている。
【0023】
第1実施例における凝縮水通路9は、インタークーラ構成部品4に設けられた一端側通路12と、シリンダヘッド3に設けられた他端側通路13と、一端側通路12と他端側通路13とを接続する連結通路14と、を有している。
【0024】
一端側通路12は、凝縮水滞留部8内に突出する一端部としての管状の突出通路部15と、インタークーラ構成部品4に形成された一端側内部通路部16と、を有している。
【0025】
突出通路部15は、円管状の部材をU字形状に湾曲させてなり、一方の端部が凝縮水滞留部8の壁面に開口した一端側内部通路部16に接続され、他方の端部が凝縮水滞留部8の底面と所定距離離間して対向するように配置されている。第1実施例における凝縮水通路9は、一端9aが突出通路部15の他方の端部に相当する。
【0026】
突出通路部15は、インタークーラ構成部品4内を流れる吸気に干渉しないように凝縮水滞留部8内に突出する。つまり、突出通路部15は、凝縮水滞留部8の外側に突出しないように形成されている。
【0027】
突出通路部15は、U字の開口部分が下となるように凝縮水滞留部8内に配置されている。つまり、U字状の突出通路部15において上方側となるU字の底の部分15aが、一端9aの車両上下方向に沿った位置より上方側に位置している。すなわち、凝縮水通路9は、車両に搭載された状態において、凝縮水滞留部8に対して開口する一端9aの車両上下方向に沿った位置より上方側に位置する中間部(部分15a)を有するよう形成されている。
【0028】
一端側内部通路部16は、例えば、ドリル等の機械加工により形成される断面円形の孔である。なお、一端側内部通路部16は、インタークーラ構成部品4の成型時に金型を利用して同時に作り込むようにしてもよい。
【0029】
他端側通路13は、シリンダヘッド3に形成された他端側第1内部通路部17及び他端側第2内部通路部18を有し、全体がL字形状を呈している。
【0030】
他端側第1内部通路部17は、吸気ポート6に沿って直線状に延びるように形成され、インタークーラ構成部品4側の一端が連結通路14に接続され、バルブシート11側の他端が他端側第2内部通路部18のインタークーラ構成部品4側の一端と連続している。
【0031】
他端側第2内部通路部18は、凝縮水噴出部に相当するものであって、直線状で吸気ポート6の内壁面に対して直交もしくは垂直に近い角度で交わるように形成され、バルブシート11側の他端が吸気ポート6の内壁面に開口している。他端側第2内部通路部18は、他端側第1内部通路部17及び一端側通路12よりも通路断面積が小さくなるよう形成されている。第1実施例における凝縮水通路9は、他端9bが他端側第2内部通路部18の他端に相当する。
【0032】
他端側通路13は、例えば、ドリル等の機械加工により形成される断面円形の孔である。具体的には、他端側通路13は、図3示すように、例えば、シリンダヘッド3に2方向から機械加工を行って形成する。すなわち、他端側通路13は、吸気ポート6沿った他端側第1内部通路部17と、バルブシート11付近の吸気ポート6の内周面に対して直交もしくは垂直に近い角度で交わる他端側第2内部通路部18と、をシリンダヘッド3にドリル等で孔開けし、他端側第2内部通路部18の不要な部分を封止プラグ19で塞いで凝縮水が流入しないようにして形成する。なお、他端側通路13は、シリンダヘッド3の成型時に金型を利用して同時に作り込むようにしてもよい。
【0033】
連結通路14は、一端側内部通路部16に接続される管状の第1連結通路部20と、他端側第1内部通路部17に接続される管状の第2連結通路部21と、を有している。
【0034】
第1連結通路部20は、インタークーラ構成部品4側の一端が一端側内部通路部16に接続され、バルブシート11側の他端が第2連結通路部21に接続されている。第1連結通路部20は、管状の第1連結部材22の内側に形成されている。
【0035】
第2連結通路部21は、インタークーラ構成部品4側の一端が第1連結通路部20に接続され、バルブシート11側の他端が他端側第1内部通路部17に接続されている。第2連結通路部21は、管状の第2連結部材23の内側に形成されている。
【0036】
第1連結部材22は、凝縮水が漏れ出ないように、一端側がインタークーラ構成部品4に対して固定されている。第2連結部材23は、凝縮水が漏れ出ないように、他端側がシリンダヘッド3に対して固定されている。第1連結部材22と第2連結部材23とは、凝縮水が漏れ出ないように、スリーブ24によって接続されている。
【0037】
つまり、連結通路14は、第1連結部材22、第2連結部材23及びスリーブ24によって形成されている。
【0038】
内燃機関の吸気行程においては、バルブシート11に着座した閉弁状態の吸気弁10が開き始めると、吸気弁10のバルブシート付近に高速の空気流が生じる。そのため、内燃機関の吸気行程においては、吸気弁10のバルブシート11付近に生じる高速の空気流により吸気弁10のバルブシート付近に負圧が発生する。
【0039】
凝縮水滞留部8に流れ込んだ(溜まった)凝縮水は、吸気弁10のバルブシート付近の負圧により吸引され、霧状となって燃焼室7内に導かれる。換言すると、凝縮水滞留部8に流れ込んだ(溜まった)凝縮水は、吸気弁10のバルブシート付近での吸気の流速と凝縮水滞留部8付近の吸気の流速との流速差による差圧により吸引され、霧状となって燃焼室7内に導かれる。
【0040】
なお、凝縮水通路9は、凝縮水通路9の一端9aの位置よりも上下方向の上方側に位置する部分15a(中間部)を有しているため、吸気弁10のバルブシート11付近に負圧が発生しなければ、凝縮水が凝縮水通路9の他端9bから吸気ポート6内に流出することはない。つまり、内燃機関の吸気システム1は、吸気弁10のバルブシート11付近に負圧が発生しない状況では、凝縮水滞留部8に流れ込んだ(溜まった)凝縮水が凝縮水通路9の他端9bから吸気ポート6内に噴き出さないようになっている。
【0041】
上述した第1実施例における内燃機関の吸気システム1は、燃焼室7の直前で凝縮水が吸気ポート6(吸気通路)に戻されるので、凝縮水の吸気ポート6壁面(吸気通路壁面)への(再)付着が抑制され、吸気ポート6壁面に付着した凝縮水により吸気ポート6の通路断面積が狭められて内燃機関の出力が低下してしまうことを抑制することができる。
【0042】
内燃機関の吸気システム1は、凝縮水通路9から噴き出す霧状の凝縮水が吸気弁10の開弁に伴い燃焼室7の下方へ誘導されるため、凝縮水を含んだ空気(あるいは混合気)が点火プラグ(図示せず)に直接当たってしまうことや、吸気ポート6壁面に付着することを抑制することができる。
【0043】
内燃機関の吸気システム1は、凝縮水通路9から凝縮水を霧状に噴出させているので、凝縮水が比較的大きな水滴(液滴)の状態で燃焼室7内に進入することを抑制することができる。
【0044】
そのため、内燃機関の吸気システム1は、比較的大きな水滴(液滴)が点火プラグ(図示せず)に付着することを抑制することができるため、凝縮水が点火プラグに悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0045】
内燃機関の吸気システム1は、レイアウト上の制約を受けることなく凝縮水滞留部8及び凝縮水通路9を設けることができる。
【0046】
内燃機関の吸気システム1において、凝縮水滞留部8及び凝縮水通路9は、吸気通路内に突出するものではなく、吸気ポート6内やインタークーラ構成部品4内を流れる吸気に干渉しないように設定されている。そのため、内燃機関の吸気システム1は、凝縮水滞留部8及び凝縮水通路9による吸気の圧力損失の発生を抑制することができる。
【0047】
内燃機関の吸気システム1において、凝縮水通路9は、吸気ポート6に開口する他端9bの通路断面積が小さくなるよう形成されている。そのため、内燃機関の吸気システム1は、吸気ポート6内を流れる吸気の流れを妨げないように、凝縮水通路9の他端9bから凝縮水を噴出させることができる。
【0048】
以下、本発明の他の実施例について説明する。なお、上述した実施例と同一の構成要素には同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0049】
図4を用いて本発明の第2実施例について説明する。第2実施例における内燃機関の吸気システム31は、上述した第1実施例の吸気システム1と略同一構成となっているが、図4に示すように、凝縮水滞留部8に凝縮水を吸収可能な吸水材32が充填されている。つまり、第2実施例の吸気システム31は、第1実施例における突出通路部15に換えて凝縮水滞留部8に流れ込んだ凝縮水を吸収可能な吸水材32を有する構成となっている。
【0050】
吸水材32は、インタークーラ構成部品4内を流れる吸気に干渉しないように、凝縮水滞留部8の外側に突出しないように凝縮水滞留部8に配置される。
【0051】
吸水材32は、例えば、スポンジ状の多孔質の部材である。吸水材32は、例えば、凝縮水滞留部8の壁面に接着剤等で固定される。なお、吸水材32は、凝縮水滞留部8の壁面に開口した一端側内部通路部16の一端となる凝縮水通路9の一端9aと対向する部分への接着剤の塗布を行わないものとする。
【0052】
内燃機関の吸気システム31は、第1実施例における中間部(部分15a)に相当する構成を具備していないが、凝縮水滞留部8内の凝縮水が吸水材32に吸収されているので、吸気弁10のバルブシート付近に負圧が発生しなければ、凝縮水が凝縮水通路9の他端9bから吸気ポート6内に流出することはない。
【0053】
また、第2実施例における内燃機関の吸気システム31は、一端側通路12が第1実施例の吸気システム1における突出通路部15を有しておらず、一端側通路12が一端側内部通路部16のみを有している。
【0054】
このような第2実施例に内燃機関の吸気システム31は、上述した第1実施例の吸気システム1と略同様の作用を得ることができる。
【0055】
内燃機関の吸気システム31において、凝縮水滞留部8、凝縮水通路9及び吸水材32は、吸気通路内に突出するものではなく、吸気ポート6内やインタークーラ構成部品4内を流れる吸気に干渉しないように設定されている。そのため、内燃機関の吸気システム31は、凝縮水滞留部8、凝縮水通路9及び吸水材32による吸気の圧力損失の発生を抑制することができる。
【0056】
内燃機関の吸気システム31は、凝縮水滞留部8内の凝縮水が吸水材32に吸収されているので、振動等により凝縮水滞留部8からの漏水を抑制することができる。
【0057】
図5を用いて本発明の第3実施例について説明する。第3実施例における内燃機関の吸気システム41は、上述した第1実施例の吸気システム1と略同一構成となっているが、図5に示すように、凝縮水滞留部8内の凝縮水がインタークーラ構成部品4及びシリンダヘッド3の外側に位置するタンク部としての凝縮水タンク42に送り込まれている。そして、第3実施例における内燃機関の吸気システム31は、凝縮水タンク42内の凝縮水を吸気弁10のバルブシート11付近に発生した負圧を利用して、吸気弁10のバルブシート付近から吸気ポート6内に霧状に噴出させている。
【0058】
すなわち、第3実施例における内燃機関の吸気システム41は、凝縮水滞留部8に流れ込んだ凝縮水を吸気弁10のバルブシート11付近で吸気ポート6に噴出させることが可能な凝縮水通路9が、凝縮水滞留部8の下面(下端)に接続され第1通路部としての一端側通路12と、吸気弁10のバルブシート11付近で吸気ポート6(吸気通路)に接続された第2通路部としての他端側通路13と、一端側通路12と他端側通路13とを連結する凝縮水タンク42と、を有している。
【0059】
一端側通路12は、インタークーラ構成部品4内に形成される一端側内部通路部16と、インタークーラ構成部品4の外部に位置する一端側外部通路部43と、を有している。つまり、第3実施例における一端側通路12は、第1実施例における突出通路部15を有していない。一端側外部通路部43は、凝縮水タンク42に接続されている。一端側外部通路部43は、例えば管状の部材によって構成される。
【0060】
凝縮水タンク42は、車両に搭載された際に、車両上下方向で凝縮水滞留部8の下方に位置するよう配置される。
【0061】
他端側通路13は、シリンダヘッド3に形成された他端側第1内部通路部17及び他端側第2内部通路部18と、シリンダヘッド3の外部に位置する他端側外部通路部44と、を有している。他端側外部通路部44は、凝縮水タンク42に接続されている。他端側外部通路部44は、例えば管状の部材によって構成される。
【0062】
他端側外部通路部44は、一端44aが凝縮水タンク42内に位置して開口している。また他端側第1内部通路部17及び凝縮水噴出部に相当する他端側第2内部通路部18は、車両に搭載された際に、車両上下方向で他端側外部通路部44の一端44aよりも上方側に位置している。
【0063】
つまり、他端側通路13は、凝縮水タンク42内に位置する一端44aと、吸気ポート6に開口する他端9bと、一端44aよりも上方側に位置する中間部として他端側第1内部通路部17及び他端側第2内部通路部18と、を有している。他端側通路13は、凝縮水タンク42に開口する上流側端が凝縮水タンク42内の凝縮水の液面よりも下方側になると、凝縮水を吸気ポート6内に噴出可能となる。
【0064】
また、第3実施例において、凝縮水通路9の他端側通路13は、凝縮水の流れ方向で下流側ほど通路断面積が小さくなるよう形成されている。すなわち、第3実施例における凝縮水通路9の他端側通路13は、吸気ポート6に接続された他端側ほど通路断面積が小さくなるよう形成されている。
【0065】
このような第3実施例に内燃機関の吸気システム41は、上述した第1実施例の吸気システム1と略同様の作用を得ることができる。
【0066】
内燃機関の吸気システム41において、凝縮水タンク42を含む凝縮水通路9、凝縮水滞留部8は、吸気通路内に突出するものではなく、吸気ポート6内やインタークーラ構成部品4内を流れる吸気に干渉しないように設定されている。そのため、内燃機関の吸気システム41は、凝縮水タンク42を含む凝縮水通路9、凝縮水滞留部8による吸気の圧力損失の発生を抑制することができる。
【0067】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、インタークーラ構成部品4は、インタークーラ本体と一体に成形するようにしてもよい。
【0069】
例えば、第3実施例において、凝縮水通路9は、凝縮水滞留部8に流れ込んだ凝縮水がインタークーラ構成部品4とシリンダヘッド3を介して凝縮水タンク42へ送られるように、凝縮水通路9を形成してもよい。この場合、凝縮水通路9は、インタークーラ構成部品4とシリンダヘッド3とに跨がる部分を第1、第2実施例のように連結通路14のような構成とすればよい。
【0070】
また、上述した各実施例において、凝縮水滞留部8は、例えばシリンダヘッド3の吸気ポート6に形成してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…吸気システム
2…インタークーラ
3…シリンダヘッド
4…インタークーラ構成部品
5…開口部
6…吸気ポート
7…燃焼室
8…凝縮水滞留部
9…凝縮水通路
9a…一端
9b…他端
10…吸気弁
11…バルブシート
12…一端側通路
13…他端側通路
14…連結通路
15…突出通路部
15a…部分
16…一端側内部通路部
17…他端側第1内部通路部
18…他端側第2内部通路部
19…封止プラグ
20…第1連結通路部
21…第2連結通路部
22…第1連結部材
23…第2連結部材
24…スリーブ
31…吸気システム
32…吸水材
41…吸気システム
42…凝縮水タンク
43…一端側外部通路部
44…他端側外部通路部
44a…一端
図1
図2
図3
図4
図5