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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139839
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】脱硝制御装置および脱硝制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/90 20060101AFI20241003BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01D53/90 ZAB
B01D53/86 222
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050755
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊熊 克典
【テーマコード(参考)】
4D148
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC04
4D148CC61
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA06
4D148DA08
4D148DA10
4D148DA20
(57)【要約】
【課題】広い運転範囲にわたり大気中へのアンモニアガス排出量を抑制する。
【解決手段】実施形態によれば、脱硝制御装置70は、互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置41および第2の窒素酸化物測定装置42と、窒素酸化物濃度の測定への影響指標である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部60と、選択信号決定部20と、制御部30を有する。選択信号決定部20は、影響指標取得部60の出力を受けて第1および第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力を用いるべきかを判定し制御部30に選択対象指令を出力する。制御部30は、選択対象指令に基づいて第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果をアンモニア流量調節弁への指令として出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の窒素酸化物の濃度を制御する脱硝制御装置であって、
前記脱硝部を通過後の前記窒素酸化物濃度の測定を行う互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置と、
前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部と、
影響指標特性データを収納し、前記影響指標取得部の出力を受けて、前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御が行われるべきかを判定し選択対象指令を出力する選択信号決定部と、
前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力する制御部と、
を備えることを特徴とする脱硝制御装置。
【請求項2】
前記影響指標は、前記ガスタービンの運転負荷であり、
前記運転負荷が前記運転負荷のしきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする請求項1に記載の脱硝制御装置。
【請求項3】
前記影響指標は、前記燃焼器における燃焼モードであり、
前記燃焼モードについて非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする請求項1に記載の脱硝制御装置。
【請求項4】
前記影響指標は、前記燃焼器における燃焼温度であり、
前記燃焼温度が前記燃焼温度のしきい値である燃焼温度しきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする請求項1に記載の脱硝制御装置。
【請求項5】
前記影響指標は、前記排ガスの流量であり、
前記排ガスの流量が前記排ガスの流量のしきい値である排ガス流量しきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする請求項1に記載の脱硝制御装置。
【請求項6】
前記影響指標は、前記排ガスの温度であり、
前記排ガスの温度が前記排ガスの温度のしきい値である排ガス温度しきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする請求項1に記載の脱硝制御装置。
【請求項7】
前記影響指標は、前記未燃炭化水素の濃度であり、
前記未燃炭化水素の濃度が前記未燃炭化水素の濃度のしきい値以上であると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする請求項1に記載の脱硝制御装置。
【請求項8】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の窒素酸化物の濃度を制御する脱硝制御方法であって、
選択信号決定部が、前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部の出力と、影響指標特性データに基づいて、制御部が第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御を行うべきかを判定し、前記制御部に選択対象指令を出力するステップと、
前記制御部が、前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力するステップと、
を有することを特徴とする脱硝制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、脱硝制御装置および脱硝制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備から排出される排ガスには窒素酸化物が含まれる。この窒素酸化物にアンモニアガスを注入して触媒を介して窒素酸化物を還元することによって、大気中への窒素酸化物の排出量を削減する。窒素酸化物と反応しなかったアンモニアガスは大気中に排出される。
【0003】
一般的に、ガスタービンコンバインドサイクル発電プラント(以下「GTCC」という)の通常運用負荷帯での運転時は、燃焼器における燃料の燃焼は、燃焼効率が高く、排ガス中に含まれる未燃炭化水素の濃度は小さい。
【0004】
しかしながら、GTCCの負荷が小さい場合や、負荷を小さくする過程においては、ガスタービンの安定した燃焼をさせるために、燃焼過剰な領域や空気過剰な領域が存在して、拡散燃焼においては、未燃炭化水素の排出量が増加する。
【0005】
排ガス成分を測定する計測器には測定対象物を適切に計測するための適用条件がある。この適用条件は各計測器により異なる。
【0006】
赤外線吸収方式を用いた窒素酸化物の計測器では、排ガス中に共存する二酸化炭素、二酸化硫黄、水分、炭化水素の影響を受けやすい。
【0007】
一方で、化学発光方式を用いた計測器は、炭化水素の影響を受けない。すなわち未燃炭化水素の濃度が大きい場合においても排ガス中の窒素酸化物の測定が可能である。
【0008】
また、赤外線吸収方式を用いた計測器では、アンモニアガスを計測することはできないため、排ガス中の窒素酸化物と反応しなかったアンモニアガスを計測する場合は、化学発光方式を用いた計測器は使用される。
【0009】
一般的に、従来のGTCCでは、窒素酸化物濃度を制御量として、応答速度の優れた赤外線吸収法を用いた排ガス分析計を用いて窒素酸化物濃度の計測を行い、その計測結果をフィードバック信号としている。
【0010】
ところで、近年は再生可能エネルギーによる電力割合が増加したことに伴い、GTCCは電力需給調整の役割が大きくなる。そして、今後のGTCCの運用は、ベース負荷運転のみでなく、低負荷運転や、天候と電力需要に合わせた負荷変動運転に広がるようになる。また、低負荷時には、上述のように、ガスタービンの安定した燃焼を維持するために、燃焼過剰な領域や空気過剰な領域が存在する。ここで、負荷は、定格出力における負荷を100%とした率を表す。また、運転時の負荷である運転負荷も同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第6028889号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
GTCCでの低負荷運転、負荷変動運転においてガスタービンの燃焼器における燃焼状態が拡散燃焼となる場合、ガスタービン排ガス中の未燃炭化水素成分が増加する。
【0013】
前述のように、赤外線吸収法を用いた分析計は、排ガス計測時に干渉要因となるガス成分の種類が多いという特性があり、炭化水素分の影響を受ける。そのため、赤外線吸収法を用いた分析計は化学発光法を用いた分析計に比べて、ガスタービン排ガス中の未燃の炭化水素により排ガス計測時に干渉を受けやすく、真値より大きい窒素酸化物濃度を計測する可能性がある。
【0014】
GTCCではガスタービン排ガス中にアンモニアガスを注入して、触媒を介して脱硝を行い、大気中への窒素酸化物の排出量を低減する。このアンモニアガス注入量は窒素酸化物濃度の計測値に基づいて制御しているため、真値よりも大きい窒素酸化物濃度を計測した場合、アンモニアガス注入量が過多となる。すなわち、脱硝反応に必要以上のアンモニアガスが排ガス中に注入されて、大気中へのアンモニアガス排出量が増加するという問題がある。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、広い運転範囲にわたり大気中へのアンモニアガス排出量を抑制することが可能な脱硝制御装置および脱硝制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実施形態によれば、脱硝制御装置は、脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物の濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の窒素酸化物の濃度を制御する脱硝制御装置であって、前記脱硝部を通過後の前記窒素酸化物濃度の測定を行う互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置と、前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部と、影響指標特性データを収納し、前記影響指標取得部の出力を受けて、前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御が行われるべきかを判定し選択対象指令を出力する選択信号決定部と、前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力する制御部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る脱硝制御装置を含むシステムの構成を示す系統図である。
図2】第1の実施形態に係る脱硝制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る脱硝制御装置の選択信号決定部による選択対象決定の根拠を説明する第1の特性を概念的に示すグラフである。
図4】第1の実施形態に係る脱硝制御装置の選択信号決定部による選択対象決定の根拠を説明する第2の特性を概念的に示すグラフである。
図5】第1の実施形態に係る脱硝制御方法の手順を示すフロー図である。
図6】第2の実施形態に係る脱硝制御装置を含むシステムの構成を示す系統図である。
図7】第2の実施形態に係る脱硝制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る脱硝制御装置脱硝制御方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る脱硝システム100の構成を示す系統図である。
【0020】
燃焼器5では、圧縮機6からの圧縮空気と燃焼器5に供給された燃料を混合して燃料を燃焼させ、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスはガスタービン7の作動流体として仕事をした後に排ガスとしてガスタービン7から排出される。
【0021】
脱硝システム100は、ガスタービン7から排ガス系統1に排出される排ガスにアンモニアガスを注入して脱硝を行う脱硝装置10、および脱硝装置10を制御する脱硝制御装置70を備える。
【0022】
脱硝装置10は、脱硝部11、アンモニア噴射部12、アンモニアガス管13、およびアンモニア流量調節弁14を有する。
【0023】
脱硝部11は、脱硝触媒11aを内蔵し、排ガス系統1に配されている。ここで、排ガス系統1は、排ガスの流路である。また、以下では、排ガス系統1における脱硝部11よりも上流側の流路を排ガス上流流路1a、脱硝部11よりも下流の流路を排ガス下流流路1bと、それぞれ呼ぶものとする。
【0024】
アンモニア噴射部12は、脱硝部11にアンモニアガスを噴射するために例えば複数のノズルを有する。アンモニアガス管13は、その上流側の例えばタンクなどのアンモニアガス供給源(図示せず)からアンモニア噴射部12にアンモニアガスを導く。アンモニア流量調節弁14は、アンモニアガス管13に配され、アンモニアガスの流量を調節する。
【0025】
脱硝制御装置70は、第1の窒素酸化物測定装置41、第2の窒素酸化物測定装置42、および影響指標取得部60、選択信号決定部20、および制御部30を有する。
【0026】
第1の窒素酸化物測定装置41および第2の窒素酸化物測定装置42は、それぞれ、排ガス下流流路1bから排ガスを採取して、窒素酸化物濃度を測定する。
【0027】
第1の窒素酸化物測定装置41は、赤外線吸収方式を用いた測定装置である。赤外線吸収方式は、応答性に優れており、制御用に使用できる。また、赤外線吸収方式は、排ガス中に二酸化炭素、二酸化硫黄、水分、炭化水素が比較的少ない場合において有効である。
【0028】
第2の窒素酸化物測定装置42は、化学発光方式を用いた測定装置である。化学発光方式は、赤外線吸収方式に比べて応答性は劣るが、炭化水素の影響を受けずに排ガス中の窒素酸化物を測定できる。すなわち、化学発光方式は、未燃炭化水素の濃度が大きい場合においても、窒素酸化物の測定が可能である。
【0029】
また、赤外線吸収方式では、アンモニアガスを計測することはできず、排ガス中の窒素酸化物と反応しなかったアンモニアガスを計測するためには、化学発光方式による必要がある。
【0030】
第1の窒素酸化物測定装置41および第2の窒素酸化物測定装置42の出力は、制御部30に入力される。
【0031】
影響指標取得部60は、後述する影響指標に関する情報を、燃焼器5、ガスタービン7、あるいは排ガス系統1から取得し、選択信号決定部20に出力する。
【0032】
選択信号決定部20は、影響指標取得部60から影響指標を受け入れて、これに基づいて、制御部30がフィードバック信号として、第1の窒素酸化物測定装置41の出力および第2の窒素酸化物測定装置42の出力のいずれを用いるべきかを決定し、制御部30に選択指令を出力する。
【0033】
制御部30は、第1の窒素酸化物測定装置41の出力および第2の窒素酸化物測定装置42の出力のうち選択した方の信号をフィードバック信号として選択し、制御演算を行う。制御部30は、制御演算結果を指令信号としてアンモニア流量調節弁14に出力する。
【0034】
図2は、第1の実施形態に係る脱硝制御装置70の構成を示すブロック図である。
【0035】
脱硝制御装置70の選択信号決定部20は、入力部21、記憶部22、判定部23、出力部24を有する。
【0036】
入力部21は、影響指標取得部60の出力である影響指標、および外部からの影響指標特性データを受け入れる。記憶部22は、入力部21が受け入れた影響指標特性データを収納・記憶する。影響指標特性データは、後述するように影響指標判定値である影響指標のしきい値を含む。
【0037】
判定部23は、入力部21が受け入れる影響指標取得部60の出力である影響指標を、記憶部22から読み出した影響指標のしきい値と比較し、影響指標が、影響指標判定値より大きいが、小さいかを判定し、選択対象指令を決定する。ここで、選択対象指令とは、第1の窒素酸化物測定装置41の出力および第2の窒素酸化物測定装置42の出力のうち、選択すべきと判断された方の信号を選択する指令をいうものとする。出力部24は、選択対象指令を制御部30に出力する。
【0038】
制御部30は、入力部31、信号選択部32、記憶部33、制御演算部34、および出力部35を有する。
【0039】
入力部31は、選択信号決定部20からの選択対象指令、第1の窒素酸化物測定装置41の出力である第1の窒素酸化物測定値および第2の窒素酸化物測定装置42の出力である第2の窒素酸化物測定値、並びに外部からの窒素酸化物濃度目標値を受け入れる。
【0040】
信号選択部32は、入力部31が受け入れた選択対象指令、ならびに第1の窒素酸化物測定値および第2の窒素酸化物測定値を受け入れる。信号選択部32は、第1の窒素酸化物測定値および第2の窒素酸化物測定値のうち、選択対象指令により指定された方の測定値を選択して、被選択窒素酸化物測定値として制御演算部34に出力する。
【0041】
入力部31が受け入れた窒素酸化物濃度目標値は、記憶部33に収納・記憶される。
【0042】
制御演算部34は、信号選択部32から出力された被選択窒素酸化物測定値をフィードバック信号として、この値が、記憶部33から読み出した窒素酸化物濃度目標値となるように制御演算を行い、アンモニア流量調節弁14への指令値を算出する。この指令値は、出力部35から指令信号としてアンモニア流量調節弁14に出力される。
【0043】
制御演算部34は、上述のようにフィードバック制御を行う。しかしながら、脱硝装置10における注入遅れ、被選択窒素酸化物測定値を得るまでの時間遅れ等が存在することから、たとえば、先行制御、モデル制御等を併用してもよい。このために、脱硝制御装置70は、さらに、フィードバック信号以外のたとえばガスタービン7の運転負荷などの情報を、制御演算部34での制御演算用として取り入れる構成であってもよい。
【0044】
上述の選択信号決定部20の入力部21と制御部30の入力部31は、1つの入力部であってもよい。同様に、上述の選択信号決定部20の出力部24と制御部30の出力部35は、1つの出力部であってもよい。
【0045】
次に、選択信号決定部20の記憶部22に収納されるデータについて説明する。
【0046】
図3は、第1の実施形態に係る脱硝制御装置70の選択信号決定部20による選択対象決定の根拠を説明する第1の特性を概念的に示すグラフである。図3は、赤外線吸収方式による第1の窒素酸化物測定装置41の窒素酸化物測定値の真値からの逸脱度Dの炭化水素濃度CHCへの依存性を示す。図3の横軸は炭化水素の濃度CHC、縦軸は窒素酸化物測定値の真値CNTからの逸脱度Dである。ここで、窒素酸化物測定値の真値CNTからの逸脱度Dは、窒素酸化物測定値として得られた値C、真値CNTを用いて、次の式(1)により与えられるものとする。
(CHC)=(C-CNT)/CNT …(1)
【0047】
ここで、炭化水素濃度CHCは、たとえば、水素炎イオン化検出法(FID法)により測定される。
【0048】
逸脱度Dは、炭化水素濃度CHCの関数となる。炭化水素濃度CHCの値がゼロの場合は、赤外線吸収方式による第1の窒素酸化物測定装置41による測定への炭化水素の影響がなく、窒素酸化物測定値Cは真値CNTに一致することから、式(1)により、逸脱度Dの値はゼロである。逸脱度Dの値は、炭化水素濃度CHCの値の増加に対して、単調に増加する。
【0049】
逸脱度Dの値が大きくなる、すなわち、窒素酸化物測定値Cが真値CNTから遠ざかると、過剰な値のフィードバック信号となり、脱硝部11に必要量以上のアンモニアガスが送られることになる。この結果、大気中へのアンモニアガス排出量が増加することになる。
【0050】
したがって、逸脱度のしきい値DVTHを、たとえば、許容できる逸脱度Dの上限値を用いて設定することができる。この結果、図3に示すように、逸脱度のしきい値DVTHに対応する炭化水素濃度CHCのしきい値である炭化水素濃度しきい値CHCTHの値が決まる。この炭化水素濃度しきい値CHCTHの値は、試験データにより、あるいは実プラントでの経験値により、設定できる。あるいは、理論的に導出して設定してもよい。この炭化水素濃度しきい値CHCTHの値は、必要に応じて修正できる。図3のグラフデータは、2次元データあるいは近似曲線として記憶部22に保存される。
【0051】
なお、炭化水素濃度CHCが炭化水素濃度しきい値CHCTH未満である領域は、赤外線吸収方式による第1の窒素酸化物測定装置41への影響が小さく第1の窒素酸化物測定装置41を使用可能な領域であることから、この領域を炭化水素に関する許容領域と呼ぶこととする。一方、炭化水素濃度CHCが炭化水素濃度しきい値CHCTH以上である領域は、赤外線吸収方式による第1の窒素酸化物測定装置41の測定への影響が大きい領域であり、炭化水素に関する非許容領域と呼ぶこととする。
【0052】
図4は、第1の実施形態に係る脱硝制御装置70の選択信号決定部20による選択対象決定の根拠を説明する特性を概念的に示す第2のグラフである。
【0053】
図4は、赤外線吸収方式による第1の窒素酸化物測定装置41の測定への炭化水素による影響を、炭化水素以外の指標を用いて判定する場合の特性を示す。
【0054】
ここで、炭化水素以外の指標であって、赤外線吸収方式による第1の窒素酸化物測定装置41の測定への炭化水素による影響を判定するために用いられる指標を前述のように影響指標と呼ぶものとしている。
【0055】
以下では、影響指標として、ガスタービン7の運転負荷LLを用いた場合を例にとって説明する。
【0056】
図4の横軸は影響指標としての運転負荷LL、縦軸は炭化水素の濃度CHCである。運転負荷LLが小さい低負荷領域においては、燃焼器5での燃焼状態が、拡散燃焼の状態にある。一方、運転負荷LLが大きな高負荷領域においては、燃焼器5での燃焼状態が、予混合燃焼の状態にある。高負荷領域と低負荷領域の間の負荷領域は、拡散燃焼の部分と予混合燃焼の部分とが並存する負荷領域である。予混合燃焼においては、空気(酸素)と燃料ガスが十分に混合した状態で燃焼する。一方、拡散燃焼においては、空気(酸素)と燃料ガスが十分に混合した状態での燃焼ではなく、この結果、燃焼によって生ずる燃焼ガス中の未燃炭化水素の濃度が増加する。
【0057】
したがって、図4に示すように、炭化水素の濃度CHCは、運転負荷LLが小さい領域において大きく、運転負荷LLが大きくなると急激に減少する。
【0058】
炭化水素の濃度CHCには、図3を引用しながら説明したように、炭化水素濃度しきい値CHCTHが設定されている。したがって、図4に示す特性図から、炭化水素濃度しきい値CHCTHに対応する運転負荷LLのしきい値である運転負荷しきい値LLTHを決定することができる。
【0059】
影響指標としての運転負荷LLが運転負荷しきい値LLTH以下である領域は、炭化水素についての非許容領域に対応する領域であるので、影響指標についての非許容領域と呼ぶものとする。また、運転負荷LLが運転負荷しきい値LLTHを超える領域は、炭化水素についての許容領域に対応する領域であので、影響指標についての許容領域と呼ぶものとする。
【0060】
影響指標としての運転負荷LLが運転負荷しきい値LLTH以下である非許容領域においては、赤外線吸収方式による第1の窒素酸化物測定装置41の測定値ではなく、化学発光方式による第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を用いる必要がある。なお、化学発光方式の場合は赤外線吸収方式に比べて応答性においては劣るが、運転負荷が小さい低負荷領域においては、脱硝装置10における窒素酸化物に関しての変化の時間遅れも大きくなる。このため、低負荷領域においては、窒素酸化物の測定についても、応答性の要求は低下するので、化学発光方式の応答性という問題は小さくなる。
【0061】
影響指標としての運転負荷LLは、影響指標取得部60によって、たとえば図示しないGTCCの電力計の出力を読み出して取得される。
【0062】
選択信号決定部20は、影響指標が非許容領域にある場合には、第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を選択対象信号と決定する。
【0063】
以上、影響指標として運転負荷LLを用いる場合を例にとって説明したが、これに限定されない。影響指標としては、これ以外にたとえば、以下の指標を用いることができる。
【0064】
(1)燃焼モード
【0065】
燃焼器5での燃焼状態は、拡散燃焼の状態、拡散燃焼の部分と予混合燃焼の部分とが並存する状態、予混合燃焼の状態と、負荷領域に応じて変化する。したがって、それぞれの状態に対応しての燃焼モードは、影響指標として用いることができる。
【0066】
この場合にも、炭化水素の濃度CHCの燃焼モードへの依存特性および許容領域と非許容領域間のしきい値に対応する判定内容(たとえば、モード間の境界)が、得られる。この依存特性は、影響指標特性データとして記憶部22に収納される。
【0067】
影響指標取得部60は、この燃焼モードの情報を取得する。選択信号決定部20は、非許容領域のモードの場合、たとえば、燃焼モードが拡散燃焼の状態に対応する、あるいは拡散燃焼の割合が多いモードである場合に、第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を選択対象信号と決定する。
【0068】
(2)燃焼温度
【0069】
燃焼器5内の所定の位置における温度を燃焼温度と呼ぶこととする。燃焼温度Tを影響指標として用いる場合、影響指標取得部60は、この燃焼温度Tを測定する温度検出器である。あるいは、すでに燃焼温度Tを測定する温度検出器が設けられている場合は、影響指標取得部60が、その出力を受け入れることでもよい。
【0070】
負荷が増加するにつれて、燃焼器5内の燃焼状態が、拡散燃焼、拡散燃焼と予混合燃焼の並存状態、予混合燃焼と変化する。この場合、図4と同様に、炭化水素の濃度CHCの燃焼温度Tへの依存特性が得られ、燃焼温度しきい値TFTHが設定できる。この依存特性は、影響指標特性データとして記憶部22に収納される。
【0071】
燃焼温度Tが燃焼温度しきい値TFTH以下の場合は、選択信号決定部20は、第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を選択対象信号と決定する。
【0072】
(3)排ガス系統1内の排ガス流量
【0073】
排ガス系統1内の排ガス流量Wは、運転負荷LLと正の相関があり、運転負荷LLと同様に影響指標として使用できる。したがって、炭化水素の濃度CHCの排ガス流量Wへの依存特性は、図4に類似の曲線となり、排ガス流量しきい値WGTHが得られる。この依存特性は、影響指標特性データとして記憶部22に収納される。
【0074】
排ガス流量Wが排ガス流量しきい値WGTH以下の場合は、選択信号決定部20は、第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を選択対象信号と決定する。
【0075】
(4)排ガス温度
【0076】
ここで、排ガス温度Tは排ガス上流流路1a内の排ガスの温度、すなわち、ガスタービンから排出された排ガスの温度である。排ガス温度Tは、運転負荷LLと正の相関があり、運転負荷LLと同様に影響指標として使用できる。したがって、炭化水素の濃度CHCの排ガス温度Tへの依存特性は、図4に類似の曲線となり、排ガス温度しきい値TGTHが設定できる。この依存特性は、影響指標特性データとして記憶部22に収納される。
【0077】
排ガス温度Tが排ガス温度しきい値TGTH以下の場合は、選択信号決定部20は、第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を選択対象信号と決定する。
【0078】
図5は、第1の実施形態に係る脱硝制御方法の手順を示すフロー図である。以下が、主な流れである。
【0079】
まず、影響指標をどの情報とするかを選定する(ステップS10)。この選択は、脱硝制御装置70の構成を決定するものである。
【0080】
次に、脱硝制御装置70の選択信号決定部20が選択対象指令を決定する(択対象信号決定ステップS20)。
【0081】
次に、脱硝制御装置70の制御部30が、選択対象指令に基づいて第1の窒素酸化物測定値および第2の窒素酸化物測定装置42の出力のいずれかを選択した後に、制御演算を行い、アンモニア流量調節弁14への指令信号を出力する(制御演算処理ステップS30)。
【0082】
次に、アンモニア流量調節弁14が、指令信号に基づいて動作する(ステップS40)。
【0083】
以下、ステップS20の詳細なステップを説明する。
【0084】
選択対象信号決定ステップS20においては、まず、選択信号決定部20が、影響指標特性データを受け入れる(ステップS21)。具体的には、入力部21が影響指標特性データを受け入れて、記憶部22がその影響指標特性データを収納、記憶する。ここで、影響指標特性データとは、図3および図4で例示した選択信号決定部20の判定部23が判定するために必要なデータである。影響指標特性データは少なくとも、影響指標のしきい値、および影響指標が影響指標のしきい値に対して大小のいずれの側が炭化水素の非許容領域に対応するのかについての情報を含む。
【0085】
次に、選択信号決定部20が、影響指標取得部60の出力を受け入れる(ステップS22)。具体的には、入力部21が影響指標取得部60の出力を受け入れ、判定部23に出力する。
【0086】
次に判定部23は、影響指標が許容領域にあるか否かを判定する(ステップS23)。具体的には、判定部23は、記憶部22に収納された影響指標のしきい値を読み出し、入力部21から送られた影響指標の値をこれと比較し、影響指標が許容領域にあるか否かを判定する。
【0087】
判定部23が、影響指標が許容領域にあると判定した(ステップS23 YES)場合は、判定部23は、第1の窒素酸化物測定装置41の測定値を選択対象信号と決定する(ステップS24)。
【0088】
判定部23が、影響指標が許容領域にあると判定しなかった(ステップS23 NO)場合は、判定部23は、第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を選択対象信号と決定する(ステップS25)。
【0089】
ステップS24またはステップS25の結果は、出力部24から制御部30に出力される(ステップS26)。
【0090】
なお、選択対象信号の決定ステップS20では、ステップS22ないしステップS24,S25のステップを繰り返し、その都度、その決定結果を制御部30に出力する。
【0091】
次に、ステップS30の詳細なステップを説明する。
【0092】
制御演算処理ステップS30においては、まず、制御部30の入力部31が、入力データを受け入れる(ステップS31)。具体的には、入力部31は、選択信号決定部20からの選択対象指令、第1の窒素酸化物測定装置41からの第1の窒素酸化物測定値および第2の窒素酸化物測定装置42からの第2の窒素酸化物測定値、並びに、外部からの窒素酸化物濃度目標値を受け入れる。入力部31が受け入れた選択対象指令、第1の窒素酸化物測定値および第2の窒素酸化物測定値は、信号選択部32に出力される。入力部31が受け入れた窒素酸化物濃度目標値は記憶部33により収納、記憶される。
【0093】
次に、信号選択部32が、選択対象信号の選択を行う(ステップS32)。具体的には、信号選択部32が、選択信号決定部20により決定された選択対象指令に基づいて、第1の窒素酸化物測定値および第2の窒素酸化物測定値のうち、選択対象信号として選択された方の測定値を選択する。信号選択部32は、選択した信号を、被選択窒素酸化物測定値として制御演算部34に出力する。
【0094】
次に、制御演算部34が制御演算を行う(ステップS33)。具体的には、制御演算部34は、信号選択部32から出力された被選択窒素酸化物測定値をフィードバック信号として、フィードバック信号が記憶部33に収納された窒素酸化物濃度目標値となるように、制御演算を行う。
【0095】
制御演算部34が制御演算により算出したアンモニア流量調節弁14への指令値は、出力部35からアンモニア流量調節弁14への指令信号として出力される(ステップS34)。
【0096】
以上のように、本実施形態によれば、排ガス中の未燃の炭化水素の影響が大きく、赤外線吸収法を用いた分析計では、問題がある領域にあるか否かを判定する。この結果を用いて、赤外線吸収法、化学発光法のいずれかを自動的に選択することにより、窒素酸化物濃度の制御を適切な状態に維持することができる。また、アンモニアガスの流量を適切に制御できる。
【0097】
この結果、本実施形態によれば、広い運転範囲にわたり大気中へのアンモニアガス排出量を抑制することができる。
【0098】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る脱硝システム100aの構成を示す系統図である。本実施形態は、第1の実施形態の変形である。
【0099】
脱硝システム100aの脱硝制御装置70aは、第1の実施形態における影響指標取得部60に変えて、未燃炭化水素測定装置50を有する。
【0100】
未燃炭化水素測定装置50は、たとえば、水素炎イオン化検出法(FID法)による検出方式である。
【0101】
図7は、第2の実施形態に係る脱硝制御装置70aの構成を示すブロック図である。
【0102】
脱硝制御装置70aにおいては、選択信号決定部20の入力部21が受け入れるのが、未燃炭化水素測定装置50の出力である炭化水素の濃度CHC、および外部からの炭化水素濃度特性データである。
【0103】
ここで、炭化水素濃度特性データは、第1の実施形態において図3を引用しながら説明した内容である。ここで、炭化水素濃度特性データは、少なくとも炭化水素濃度しきい値CHCTHを含むものとする。
【0104】
判定部23は、未燃炭化水素測定装置50の出力である炭化水素の濃度CHCを炭化水素濃度しきい値CHCTHと比較し、窒素酸化物濃度の選択対象信号を選択する。出力部24は、この結果を選択対象指令として、制御部30に出力する。すなわち、たとえば、炭化水素の濃度CHCが化水素濃度しきい値CHCTH以上であれば、選択信号決定部20は、第2の窒素酸化物測定装置42の測定値を選択対象信号と決定し、制御部30に出力する。
【0105】
上述のように、本実施形態においては、直接に、炭化水素の濃度CHCを用いて窒素酸化物濃度の選択対象信号が決定される。このため、選択信号決定部20における判定の精度をさらに確保できる。
【0106】
以上、説明した実施形態によれば、広い運転範囲にわたり大気中へのアンモニアガス排出量を抑制することが可能な脱硝制御装置および脱硝制御方法を提供することが可能となる。
[その他の実施形態]
【0107】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。それぞれの実施形態の特徴を組み合わせてもよい。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1…排ガス系統、1a…排ガス上流流路、1b…排ガス下流流路、5…燃焼器、6…圧縮機、7…ガスタービン、10…脱硝装置、11…脱硝部、11a…脱硝触媒、12…アンモニア噴射部、13…アンモニアガス管、14…アンモニア流量調節弁、20…選択信号決定部、21…入力部、22…記憶部、23…判定部、24…出力部、30…制御部、31…入力部、32…信号選択部、33…記憶部、34…制御演算部、35…出力部、41…第1の窒素酸化物測定装置、42…第2の窒素酸化物測定装置、50…未燃炭化水素測定装置、60…、70、70a…脱硝制御装置、100、100a…脱硝システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御装置であって、
前記脱硝部を通過後の前記窒素酸化物濃度の測定を行う互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置と、
前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部と、
影響指標特性データを収納し、前記影響指標取得部の出力を受けて、前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御が行われるべきかを判定し選択対象指令を出力する選択信号決定部と、
前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力する制御部と、
を備え
前記影響指標は、前記燃焼器における燃焼モードであり、
前記燃焼モードについて非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ことを特徴とする脱硝制御装置。
【請求項2】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御装置であって、
前記脱硝部を通過後の前記窒素酸化物濃度の測定を行う互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置と、
前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部と、
影響指標特性データを収納し、前記影響指標取得部の出力を受けて、前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御が行われるべきかを判定し選択対象指令を出力する選択信号決定部と、
前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力する制御部と、
を備え、
前記影響指標は、前記燃焼器における燃焼温度であり、
前記燃焼温度が前記燃焼温度のしきい値である燃焼温度しきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする脱硝制御装置。
【請求項3】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御装置であって、
前記脱硝部を通過後の前記窒素酸化物濃度の測定を行う互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置と、
前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部と、
影響指標特性データを収納し、前記影響指標取得部の出力を受けて、前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御が行われるべきかを判定し選択対象指令を出力する選択信号決定部と、
前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力する制御部と、
を備え、
前記影響指標は、前記排ガスの流量であり、
前記排ガスの流量が前記排ガスの流量のしきい値である排ガス流量しきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする脱硝制御装置。
【請求項4】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御装置であって、
前記脱硝部を通過後の前記窒素酸化物濃度の測定を行う互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置と、
前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部と、
影響指標特性データを収納し、前記影響指標取得部の出力を受けて、前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御が行われるべきかを判定し選択対象指令を出力する選択信号決定部と、
前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力する制御部と、
を備え、
前記影響指標は、前記未燃炭化水素の濃度であり、
前記未燃炭化水素の濃度が前記未燃炭化水素の濃度のしきい値以上であると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ることを特徴とする脱硝制御装置。
【請求項5】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御方法であって、
選択信号決定部が、前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部の出力と、影響指標特性データに基づいて、制御部が第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御を行うべきかを判定し、前記制御部に選択対象指令を出力するステップと、
前記制御部が、前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力するステップと、
を有し、
前記影響指標は、前記燃焼器における燃焼モードであり、
前記選択対象指令を出力するステップにおいては、前記燃焼モードについて非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ことを特徴とする脱硝制御方法
【請求項6】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御方法であって、
選択信号決定部が、前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部の出力と、影響指標特性データに基づいて、制御部が第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御を行うべきかを判定し、前記制御部に選択対象指令を出力するステップと、
前記制御部が、前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力するステップと、
を有し、
前記影響指標は、前記燃焼器における燃焼温度であり、
前記選択対象指令を出力するステップにおいては、前記燃焼温度が前記燃焼温度のしきい値である燃焼温度しきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ことを特徴とする脱硝制御方法
【請求項7】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御方法であって、
選択信号決定部が、前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部の出力と、影響指標特性データに基づいて、制御部が第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御を行うべきかを判定し、前記制御部に選択対象指令を出力するステップと、
前記制御部が、前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力するステップと、
を有し、
前記影響指標は、前記排ガスの流量であり、
前記選択対象指令を出力するステップにおいては、前記排ガスの流量が前記排ガスの流量のしきい値である排ガス流量しきい値以下となり非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ことを特徴とする脱硝制御方法
【請求項8】
脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御方法であって、
選択信号決定部が、前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部の出力と、影響指標特性データに基づいて、制御部が第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御を行うべきかを判定し、前記制御部に選択対象指令を出力するステップと、
前記制御部が、前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力するステップと、
を有し、
前記影響指標は、前記未燃炭化水素の濃度であり、
前記選択対象指令を出力するステップにおいては、前記未燃炭化水素の濃度が前記未燃炭化水素の濃度のしきい値以上であると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、
ことを特徴とする脱硝制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
実施形態によれば、脱硝制御装置は、脱硝触媒を内蔵し、燃焼器で生成されガスタービンで仕事をした後に排出される排ガス中の窒素酸化物の濃度を低減する脱硝部と、前記脱硝部にアンモニアを供給するアンモニア供給管と、前記アンモニア供給管に設けられたアンモニア流量調節弁と、を有する脱硝装置の前記アンモニア流量調節弁を調節して前記排ガス中の前記窒素酸化物濃度を制御する脱硝制御装置であって、前記脱硝部を通過後の前記窒素酸化物濃度の測定を行う互いに異なる検出方式による第1の窒素酸化物測定装置および第2の窒素酸化物測定装置と、前記窒素酸化物濃度の測定に影響する因子である未燃炭化水素の濃度に対応する影響指標を取得する影響指標取得部と、影響指標特性データを収納し、前記影響指標取得部の出力を受けて、前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれの出力に基づいた制御が行われるべきかを判定し選択対象指令を出力する選択信号決定部と、前記選択対象指令に基づいて前記第1の窒素酸化物測定装置および前記第2の窒素酸化物測定装置のいずれかを被選択窒素酸化物測定値として選択し制御演算を行いその結果を前記アンモニア流量調節弁への指令として出力する制御部と、を備え、前記影響指標は、前記燃焼器における燃焼モードであり、前記燃焼モードについて非許容領域にあると判定したときに、前記選択信号決定部は、前記第2の窒素酸化物測定装置の出力を選択するように前記制御部に選択指令を出力する、ことを特徴とする