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  • 特開-補助立体ギャザー 図1
  • 特開-補助立体ギャザー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139846
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】補助立体ギャザー
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/84 20060101AFI20241003BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20241003BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20241003BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61F13/84
A61F13/475 111
A61F13/56
A61F13/494 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050767
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 郁子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA05
3B200BA12
3B200BB03
3B200BB11
3B200DA02
3B200DA03
3B200DE01
3B200DE11
3B200DE14
3B200EA09
3B200EA11
(57)【要約】
【課題】尿とりパッド等の吸収性物品の任意の場所に自由に取り付けられ、着用者の排泄状況に応じて漏れの発生しやすい箇所を補強できるため、効果的に漏れを防止できる補助立体ギャザーを提供する。
【解決手段】液撥水性の立体ギャザーシートと弾性部材を含む補助立体ギャザーであって、立体ギャザーシートの一方の幅方向端部付近に弾性部材が長手方向に伸長状態で接着され、前記立体ギャザーシートの他方の幅方向端部付近には長手方向に沿って貼着手段が備えられることを特徴とする、補助立体ギャザーを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液撥水性の立体ギャザーシートと弾性部材を含む補助立体ギャザーであって、
前記立体ギャザーシートの一方の幅方向端部付近に前記弾性部材が長手方向に伸長状態で接着され、前記立体ギャザーシートの他方の幅方向端部付近には長手方向に沿って貼着手段が備えられることを特徴とする、補助立体ギャザー。
【請求項2】
前記立体ギャザーシートは、長手方向の寸法が300mm以上900mm以下であり、幅方向の寸法が20mm以上200mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の補助立体ギャザー。
【請求項3】
前記貼着手段が、メカニカルフックテープであることを特徴とする、請求項1に記載の補助立体ギャザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品用の補助立体ギャザーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、尿取りパッドや生理用ナプキン、紙おむつ等の様々なタイプの吸収性物品が販売されている。
【0003】
これらの吸収性物品は、構成部材として液透過性のトップシート、液不透過性のバックシート、フラッフパルプや高吸収性ポリマーを含む吸収体を主に含むが、他に体液の横漏れを防止するために、主にトップシートの肌側に取り付けられ、弾性部材を含む立体ギャザーも主要な構成部材として含まれることが多い。
【0004】
立体ギャザーに特徴を有する吸収性物品の先行技術文献として、例えば特許文献1には、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体と、吸収体の長手方向両側縁から外側へ延出するサイドフラップとを有する吸収性本体と、吸収性本体が接合され、着用時に着用者の腹から腰周りを囲んで吸収性本体を着用者にあてて保持する外装部材とからなり、外装部材の前身頃と後身頃の相対する両側縁部を接合してウエスト周り開口部と一対の脚周り開口部を形成し、前記各開口部に沿って伸縮弾性部材が配置されたパンツ型使いすておむつにおいて、吸収性本体は、サイドフラップがトップシート上に折り返され、サイドフラップの折り返された部分の側縁部には伸縮弾性部材が伸長状態で配置され、且つ、折り返された部分の長手方向両端部がトップシート上に接着固定されることにより、伸縮弾性部材の収縮によりサイドフラップの側縁部を自由縁とする立体ギャザーが形成されており、外装部材は、前身頃及び/又は後身頃において、おむつの腰周り方向に沿って複数本の伸縮弾性部材が配置されていることを特徴とするパンツ型使いすておむつが開示されている。
【0005】
更に特許文献1には、吸収性本体は、サイドフラップがトップシート上に折り返され、サイドフラップの折り返された部分の側縁部及び折り返し線部にはそれぞれ第1の伸縮弾性部材及び第2の伸縮弾性部材が伸長状態で配置され、且つ、折り返された部分の長手方向両端部がトップシート上に接着固定されると共に、折り返された部分の側縁部と折り返し線部との間において長手方向に沿って設けられた固定線によってトップシート上に接着固定され、更に吸収性本体は、その横幅よりも狭い幅に設けられた長手方向に沿う接着領域により外装部材に接着固定されることにより、第1の伸縮弾性部材の収縮によりサイドフラップの側縁部を自由縁とする第1の立体ギャザーと、第2の伸縮弾性部材の収縮により折り返し線部を自由縁とする第2の立体ギャザーとが形成されている実施形態も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-019121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の尿とりパッド等の吸収性物品に備えられた立体ギャザーは、吸収体の幅方向側端付近のトップシート上にホットメルト等で接着、固定されていることがほとんどであり、その場合は取り付け位置や長さ、高さを可変させることはできない。
【0008】
そのため、使用者の体勢や排泄状況によっては、十分に防漏効果を発揮することができず、吸収性物品の外側に体液が流出してしまうという課題があった。
【0009】
また、上記の特許文献1に記載された発明のように、立体ギャザーが片側に2枚ある二重立体ギャザーを備えた吸収性物品では、体液が多量に排泄された場合に、1枚のみの立体ギャザーよりは効果的に漏れを防止することができるが、外装部材に接着固定されているため、やはり取り付け位置や長さ、高さを可変させることはできない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、尿とりパッド等の吸収性物品の任意の場所に自由に取り付けられ、着用者の排泄状況に応じて漏れの発生しやすい箇所を補強できるため、効果的に漏れを防止できる補助立体ギャザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は鋭意検討を行い、液撥水性の立体ギャザーシートと弾性部材を含む補助立体ギャザーにおいて、立体ギャザーシートの一方の幅方向端部付近に弾性部材を長手方向に伸長状態で接着し、立体ギャザーシートの他方の幅方向端部付近に長手方向に沿って貼着手段を設けることで、尿とりパッド等の吸収性物品の任意の場所に自由に取り付けられ、着用者の排泄状況に応じて漏れの発生しやすい箇所を補強できるため、効果的に漏れを防止できる補助立体ギャザーとすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明の第1の態様は、液撥水性の立体ギャザーシートと弾性部材を含む補助立体ギャザーであって、前記立体ギャザーシートの一方の幅方向端部付近に前記弾性部材が長手方向に伸長状態で接着され、前記立体ギャザーシートの他方の幅方向端部付近には長手方向に沿って貼着手段が備えられることを特徴とする、補助立体ギャザーである。
【0013】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の補助立体ギャザーであって、前記立体ギャザーシートは、長手方向の寸法が300mm以上900mm以下であり、幅方向の寸法が20mm以上200mm以下であることを特徴とするものである。
【0014】
(3)本発明の第3の態様は、(1)に記載の補助立体ギャザーであって、前記貼着手段が、メカニカルフックテープであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、尿とりパッド等の吸収性物品の任意の場所に自由に取り付けられ、着用者の排泄状況に応じて漏れの発生しやすい箇所を補強できるため、効果的に漏れを防止できる補助立体ギャザーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係る補助立体ギャザーの外観を模式的に示す平面図である。
図2図1に示す補助立体ギャザーを取り付けた状態の吸収性物品を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、第一実施形態に係る補助立体ギャザー1について、図面を参照しつつ説明する。本明細書では次のように定義する。吸収性物品の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、吸収性物品を身体に装着した状態をいう。長手方向は、吸収性物品を着用したときに着用者の前後にわたる方向であり、図中のY軸に平行な方向である。幅方向は長手方向に対して直交する方向であり、図中のX軸に平行な方向である。厚さ方向とは長手方向及び幅方向を含む一平面(例えば図2に示す平面)に対して略垂直な方向である。
さらに、吸収性物品を身体に着用したときに、着用者の肌に当接するか又は該肌を臨む表面を肌側面、着用者の衣類に接触するか又は該衣類を臨む表面を非肌側面、とする。また、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。
【0018】
<補助立体ギャザー>
図1は、補助立体ギャザー1の模式的な平面図であり、図2は補助立体ギャザー1を取り付けた状態の吸収性物品20の模式的に示す平面図である。各図は、補助立体ギャザー1や吸収性物品20等の各構成部材の形状、寸法やその大小関係を規定するものではない。各構成部材の寸法は、吸収性物品20の用途、着用者の年齢や体形等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。吸収性物品20は、基本的に構成部材の各層が隙間なく積層されているが、本実施形態は、少なくとも1つの層間に少なくとも1つの隙間を有する実施形態をも包含する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の補助立体ギャザー1は、液撥水性の立体ギャザーシート10と弾性部材11を含むものである。
なお、補助立体ギャザー1は一つのみであっても、図1に示すように一対であってもよいが、後述する既存の立体ギャザーとの組み合わせによるフレキシブルな使い方を可能とするために、一対であることが好ましい。
【0020】
立体ギャザーシート10の材質は、液撥水性を有するものであれば特に限定されないが、SMS(スパンボンド、メルトブローン、スパンボンドの三層構造)不織布、スパンボンド不織布等の公知の液撥水性の不織布を使用することができる。また、強度及び加工性の点から、立体ギャザーシート10の坪量は、10g/m以上30g/m以下であることが好ましい。
【0021】
立体ギャザーシート10の各方向の寸法は特に限定されないが、長手方向の寸法が300mm以上900mm以下であることが好ましく、幅方向の寸法が20mm以上200mm以下であることが好ましい。
既存の尿とりパッド等の吸収性物品における立体ギャザーの長さは、基本的にパッドの長さと同一である。しかし、本実施形態の補助立体ギャザー1の各方向の寸法を上記の数値範囲内とすることで、吸収性物品の寸法に対して短い補助立体ギャザー1を取り付けることで漏れやすい箇所を補強したり、吸収性物品の寸法に対して長い補助立体ギャザー1を取り付けることで、幅方向端部から長手方向の端部に渡る連続立体ギャザーとして、横漏れと背中漏れ、腹漏れを同時に防止したりすることも可能となる。
【0022】
また、立体ギャザーシート10の一方の幅方向端部付近には、弾性部材11が長手方向に伸長状態で接着されている。
弾性部材11の材質は、既存の吸収性物品に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等を使用することができる。
【0023】
さらに、立体ギャザーシート10の他方の幅方向端部付近には長手方向に沿って貼着手段12が備えられている。
貼着手段12は、吸収性物品のトップシートが不織布であることが多いため、不織布に貼りつけることができる手段であれば特に限定されず、粘着剤や粘着テープ、メカニカルフックテープ等が挙げられるが、中でもメカニカルフックテープであることが好ましい。
【0024】
貼着手段12がメカニカルフックテープであることにより、不織布の表面であれば既存の吸収性物品の任意の場所(特に肌側の表面)に補助立体ギャザー1を貼りつけることができるため、着用者の排泄状況に応じて、漏れの発生しやすい箇所を補強することができる。また、既存の立体ギャザーが既に備えられている吸収性物品でも、任意の場所に補助立体ギャザー1を貼りつけて、尿や大便の漏れを効果的に防止することもできる。
【0025】
このように、補助立体ギャザー1が貼着手段12を備えることにより、自由に着脱できる補助立体ギャザー1とすることができるため、取り付け位置や長さ、高さ等を満足できるまで何度でも付け直して、調節することができる。また、着用中に尿や大便等の汚れが付着していなければ、使用後の吸収性物品から取り外した後に次の吸収性物品に取り付けて、複数回使用することも可能である。
なお、貼着手段12の各方向の寸法は特に限定されないが、長手方向の寸法が100mm以上900mm以下であることが好ましく、幅方向の寸法が10mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0026】
<吸収性物品>
図2は、図1に示す補助立体ギャザー1を取り付けた状態の吸収性物品20を模式的に示す平面図である。
【0027】
本実施形態に係る補助立体ギャザー1が取り付けられる吸収性物品20は、例えば相対的に肌側に配置された、液透過性のトップシート30と、トップシート30に対向して相対的に非肌側に配置された、液不透過性のバックシート40と、トップシート30とバックシート40との間に配置された吸収体50とを含むが、本実施形態の補助立体ギャザー1を肌側の表面に貼りつけることを妨げるものでなければ、それ以外のエンボスやセカンドシート、外装体やレッグギャザー等の、既存の吸収性物品に含まれる構成部材が含まれていてもよい。
【0028】
また、上述したように、吸収性物品20は補助立体ギャザー1とは別に、既存の立体ギャザーを肌側表面に備えていてもよい(図示しない)。その場合は、既存の立体ギャザーに貼りつけて幅を増やして高くしたり、既存の立体ギャザーの外側又は内側に一定間隔を空けて貼りつけることで二重立体ギャザーにしたり、左右の片側一方だけに取り付けたりすることもできる。
【0029】
なお、図2における補助立体ギャザー1は、それぞれが略平行となるように吸収性物品20の肌側面側に取り付けられているが、上述したように、立体ギャザーシート10の四箇所の長手方向端部をそれぞれ吸収性物品20の中央側に折り曲げて、補助立体ギャザー1が幅方向端部から長手方向の端部に渡って連続する(略楕円形を形成する)ように取り付けることもできる(図示しない)。
【0030】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0031】
1 補助立体ギャザー
10 立体ギャザーシート
11 弾性部材
12 貼着手段
20 吸収性物品
30 トップシート
40 バックシート
50 吸収体
図1
図2