(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139851
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】警報器
(51)【国際特許分類】
G10K 9/12 20060101AFI20241003BHJP
G10K 9/15 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G10K9/12 C
G10K9/15 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050772
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000157485
【氏名又は名称】丸子警報器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 智博
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 史夫
(57)【要約】
【課題】振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との直接接触を防止することにより、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との接触によるビビリ音や音割れの発生が防止可能な警報器を提供すること。
【解決手段】電磁石10と、電磁石10により振動する振動板20と、電磁石10および振動板20の少なくとも一部を収容する筐体30と、を具備し、振動板20の外周縁部分28と筐体30のフランジ部38は、いずれか一方がカシメ加工されることによって固定されていて、振動板20の外周縁部分28と筐体30のフランジ部38の間には、振動板20と筐体30との直接接触を防止する介在体40が配設されていることを特徴とする警報器100である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石と、前記電磁石により振動する振動板と、前記電磁石および前記振動板の少なくとも一部を収容する筐体と、を具備し、
前記振動板の外周縁部分と前記筐体の開口側外周縁部分は、いずれか一方がカシメ加工されることによって固定されていて、
前記振動板の外周縁部分と前記筐体の開口側外周縁部分の間には、前記振動板と前記筐体との直接接触を防止する介在体が配設されていることを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記介在体は、前記振動板の外周縁部分または前記筐体の開口側外周縁部分を板厚方向に挟持する断面凹状をなすリング体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の警報器。
【請求項3】
前記介在体は、緩衝性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の警報器。
【請求項4】
前記介在体は、シール性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の警報器。
【請求項5】
前記介在体は、シール性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項3記載の警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲に対して注意喚起を促すために用いられる車両用保安部品の一つに警報器がある。このような警報器としては例えば、特許文献1(特開2009-168844号公報)や特許文献2(特開2010-39295号公報)に開示されているような構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-168844号公報(請求項1、段落0011、
図1等)
【特許文献2】特開2010-39295号公報(段落0012、
図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2で開示されている警報器は、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分がカシメ加工によって固定された構成である。このため、振動板の振動により振動板の外周縁部分と筐体が接触することにより、いわゆるビビリ音や音割れが発生するといった課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち本発明は、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との直接接触を防止することにより、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との接触によるビビリ音や音割れの発生が防止可能な警報器の提供を目的とするものである。
【0006】
発明者が上記警報器の構成を実現すべく鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、電磁石と、前記電磁石により振動する振動板と、前記電磁石および前記振動板の少なくとも一部を収容する筐体と、を具備し、前記振動板の外周縁部分と前記筐体の開口側外周縁部分は、いずれか一方がカシメ加工されることによって固定されていて、前記振動板の外周縁部分と前記筐体の開口側外周縁部分の間には、前記振動板と前記筐体との直接接触を防止する介在体が配設されていることを特徴とする警報器である。
【0007】
これにより、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との直接接触を防止することにより、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との接触によるビビリ音や音割れの発生が防止される。
【0008】
また、前記介在体は、前記振動板の外周縁部分または前記筐体の開口側外周縁部分を板厚方向に挟持する断面凹状をなすリング体に形成されていることが好ましい。
【0009】
これにより、振動板の外周縁部分または筐体の開口側外周縁部分への介在体の取り付けが容易になる。また、介在体を1つの部品にすることができ、製造コストの削減が可能になる。
【0010】
また、前記介在体は、緩衝性を有する材料により形成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との接触をより確実に防止することによりビビリ音や音割れの発生がさらに防止される。
【0012】
また、前記介在体は、シール性を有する材料により形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分におけるシール性が高まり、筐体への水等の侵入が防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明における警報器の構成によれば、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との直接接触が防止され、振動板の外周縁部分と筐体の開口側外周縁部分との接触によるビビリ音や音割れの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態における警報器の正面側組立斜視図である。
【
図2】第1実施形態における警報器の背面側組立斜視図である。
【
図3】第1実施形態における警報器の正面図である。
【
図4】
図3中のIV―IV線における断面図である。
【
図5】第2実施形態における警報器の正面側組立斜視図である。
【
図6】第2実施形態における警報器の背面側組立斜視図である。
【
図7】第2実施形態における警報器の正面図である。
【
図8】
図7中のVIII―VIII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態における警報器100について説明する。なお、本明細書中における正面とは、警報器100からの警報音が放出される放音側のことである。
【0017】
(第1実施形態)
本実施形態における警報器100は、自動車や船舶等に代表される移動体に装着して用いられ、移動体に搭載されたバッテリ等の電源装置から供給される電力により作動する。
図1~
図4に示すように、本実施形態における警報器100は、電磁石10、振動板20、筐体30および介在体40を有している。
【0018】
電磁石10は固定鉄芯12とコイル14を有している。電磁石10への電流の供給は、図示されていない作動用スイッチ(自動車のホーンボタン等)により行われる。使用者等により作動用スイッチが操作(自動車のホーンボタンが押下)されると、電源装置からの電流が端子を介して接点部(いずれも図示はせず)に供給され、固定鉄芯12が挿入されたコイル14への通電・非通電の切り替えが行われる。これにより、固定鉄芯12に生じる磁極の変化に応じて振動板20に固定された可動磁石26が固定鉄芯12に接離動することにより振動板20を振動させている。このような電磁石10および接点部の構成は公知であるため、これら各構成についての詳細な説明は省略する。
【0019】
振動板20は、扁平な円錐台状に形成された薄板体に形成されている。振動板20に正対した際における振動板20の中央部分には貫通孔22が穿設されている。振動板20の背面には貫通孔22の位置に位置合わせした状態で可動磁石26が取り付けられている。可動磁石26は円筒状に形成されており、振動板20の正面側から貫通孔22に差し込まれたリベット24を挿通させることにより振動板20の背面に固定されている。
【0020】
本実施形態における警報音生成部である電磁石10と振動板20は、二重底を有する有底円筒体をなす筐体30に収容されている。具体的には、筐体30の正面に正対した際における筐体30の中央部分に貫通孔32が形成された内側内底部34にコイル14が収容されている。内側内底部34に収容されたコイル14のボビンには、筐体30の背面側から貫通孔32に挿通させた固定鉄芯12が挿入されている。本実施形態における固定鉄芯12、コイル14および筐体30は、図示しない接着剤により固定されている。振動板20と可動磁石26は外側内底部36に収容されており、筐体30の開口面が振動板20によって覆われた状態になっている。このように、固定鉄芯12の背面側と振動板20の正面側は、筐体30の外部に露出した状態になっており、筐体30の内部空間には電磁石10および振動板20の少なくとも一部が収容されている。
【0021】
本実施形態における介在体40は、シリコーンゴムに代表されるシール性および緩衝性を有する合成ゴム製の円形リング体に形成されているが、他の合成ゴムや合成樹脂の他、天然ゴム等の公知の素材により形成することもできる。
図4に示すように、介在体40は、円形リング体に形成された介在体40の径方向における切断面形状が凹状に形成(断面凹状に形成)されている。介在体40は、その一部を径外方向に弾性変形させながら筐体30の開口側外周縁に沿って形成されたフランジ部38に凹状部分を縁取りするようにして差し込むことができる。このように本実施形態における介在体40は、きわめて容易にフランジ部38を板厚方向に挟持させた状態に装着することができるため、警報器100の製造コストが低減できる。
【0022】
このように電磁石10の一部が収容された筐体30のフランジ部38に対し、振動板20の外周縁部分28の径方向所要範囲が筐体30の側(背面側)に折り曲げられる。さらに、振動板20の外周縁部分28の折り曲げ部分によってフランジ部38および介在体40が挟持されるようにカシメ加工が行われ、筐体30の正面側の開口面が振動板20によって封止される。このようにカシメ加工により一体化された振動板20と筐体30の間には緩衝性を有する材料からなる介在体40が存在しているので、振動板20が振動しても振動板20と筐体30との直接接触が防止され、いわゆるビビリ音や音割れの発生が防止される。また、本実施形態における介在体40はシール性も有しているため、振動板20と筐体30とが水密および気密にシールされた状態にもなり、筐体30内部への異物の侵入が防止されている。
【0023】
(第2実施形態)
図5~
図8は、第2実施形態における警報器100の説明図である。本実施形態においては、第1実施形態における警報器100と共通する構成については、
図5~
図8において第1実施形態で用いた符号と同符号を付すことにより、ここでの繰り返しの説明は省略する。以下、本実施形態における警報器100の特徴的部分について説明する。
【0024】
本実施形態における警報器100は、介在体40が振動板20の外周縁部分28を縁取りするようにして凹部に振動板20を差し込むようにして(振動板20の外周縁部分28を介在体40によって板厚方向に挟持させた状態に)取り付けられている。そして、筐体30の開口側外周縁部分39の所要高さ範囲を振動板20の正面側に折り曲げてカシメ加工することで、筐体30の正面側の開口面が振動板20によって封止されている点が最大の特徴点である。このように筐体30の開口側外周縁部分39の所要高さ範囲を振動板20の正面側に折り曲げる際は、折り曲げ部分の先端部を振動板20の正面側全周にわたって径方向内側に向けた状態にすれば、異物の侵入をさらに防止することができ好適である。
【0025】
以上に本実施形態に基づいて本発明に係る警報器100について詳細に説明したが、本発明は以上に示した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態における介在体40は径方向における切断面形状が凹状をなす円形リング体に形成されているがこの形態に限定されるものではない。介在体40は、複数の薄板円形リング体によって構成することもできる。この場合、組立者は、筐体30のフランジ部38または振動板20の外周縁部分28における正面、側面および背面に、薄板円形リング体からなる介在体40をそれぞれ貼付すればよい。また、筐体30のフランジ部38または振動板20の外周縁部分28における正面、側面および背面にジェル状の介在体40が所要厚さで塗布された形態を採用することもできる。このように介在体40は、振動板20または筐体30のいずれか一方をカシメ加工した際において、振動板20と筐体30が直接接触することを防止することができればよく、具体的形態は特に限定されるものではない。
【0026】
そして以上の実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
10:電磁石
12:固定鉄芯,14:コイル
20:振動板
22:貫通孔,24:リベット,26:可動磁石,28:外周縁部分
30:筐体
32:貫通孔,34:内側内底部,36:外側内底部,38:フランジ部,
39:開口側外周縁部分
40:介在体
100:警報器