(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139856
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/50 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B66B1/50 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050781
(22)【出願日】2023-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井上 元太
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502JA52
3F502JA53
3F502MA01
3F502MA02
3F502MA03
3F502MA16
3F502MA25
(57)【要約】
【課題】利用者が行先階を登録する際に、操作が受け付けられたことが理解できるとともに、他の利用者にこの登録に対応した情報を知られることを防ぐことができるエレベータシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられる行先階登録装置を備え、前記行先階登録装置は、行先階の入力操作を受け付ける入力部と、行先階の入力操作の前後において、利用者に必要な情報を表示する表示部と、を備え、前記表示部は、前記行先階の入力操作の結果に対応する対応情報の少なくとも一部を含む第一情報を第一の視認度で表示し、前記第一情報以外の第二情報を前記第一の視認度よりも視認度が高い第二の視認度で表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられる行先階登録装置を備え、
前記行先階登録装置は、
行先階の入力操作を受け付ける入力部と、
行先階の入力操作の前後において、利用者に必要な情報を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、前記行先階の入力操作の結果に対応する対応情報の少なくとも一部を含む第一情報を第一の視認度で表示し、前記第一情報以外の第二情報を前記第一の視認度よりも視認度が高い第二の視認度で表示する、
エレベータシステム。
【請求項2】
前記対応情報は、前記行先階の入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報及び前記行先階に関する行先階情報の少なくともいずれか一方を含み、
前記第一情報は、前記号機情報及び行先階情報の前記少なくともいずれか一方である、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗場やかごで行先階を登録したときに、行先階や割当号機の表示が行われるエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、行先階を乗場で登録することによって、運行効率を向上させるエレベータシステムが知られている(特許文献1)。このエレベータシステムは、乗場に設けられた行先階登録装置と、行先階登録装置からの行先階登録信号を取り込んで号機割当を行う群管理制御装置と、を備える。また、エレベータシステムは、利用者が所持しているIDカードの読み取り結果に応じて、シークレット運転と通常運転とを切り替えて行う。
【0003】
行先階登録装置は、表示された数字ボタン等により行先階を入力するタッチパネルと、利用者に対して行先階や割当号機情報等を表示して伝達する情報表示部と、を備える。この行先階登録装置は、通常運転時、行先階が登録されるとタッチパネルの表示(数字ボタンの輝度や色)を変化させるとともに、乗場に行先階を表示する。一方、シークレット運転時、行先階が登録されてもタッチパネルの表示を変化させず、乗場に行先階を表示しない。これにより、シークレット運転時に、利用者が行先階を登録する際に、乗場に滞在する他の利用者に行先階を知られることを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、行先階を登録する利用者にとっては、行先階が登録されてもタッチパネルの表示が変化しないと、登録の操作が受け付けられたことが分かりにくい。
【0006】
そこで、本発明は、利用者が行先階を登録する際に、操作が受け付けられたことが理解できるとともに、他の利用者にこの登録に対応した情報を知られることを防ぐことができるエレベータシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータシステムは、
エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられる行先階登録装置を備え、
前記行先階登録装置は、
行先階の入力操作を受け付ける入力部と、
行先階の入力操作の前後において、利用者に必要な情報を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、前記行先階の入力操作の結果に対応する対応情報の少なくとも一部を含む第一情報を第一の視認度で表示し、前記第一情報以外の第二情報を前記第一の視認度よりも視認度が高い第二の視認度で表示する。
【0008】
かかる構成によれば、利用者が行先階を登録したときに、操作が受け付けられたことが理解できるとともに、第一の視認度による表示により他の利用者にこの登録に対応した情報を知られることを防ぐことができる。
【0009】
本発明のエレベータシステムでは、
前記対応情報は、前記行先階の入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報及び前記行先階に関する行先階情報の少なくともいずれか一方を含み、
前記第一情報は、前記号機情報及び行先階情報の前記少なくともいずれか一方であってもよい。
【0010】
かかる構成によれば、第一の視認度による表示により他の利用者に号機情報や行先階情報を知られることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上より、本発明によれば、利用者が行先階を登録する際に、操作が受け付けられたことが理解できるとともに、他の利用者にこの登録に対応した情報を知られることを防ぐことができるエレベータシステムの提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータシステムの外観図である。
【
図2】
図2は、前記エレベータシステムの行先階登録装置における行先階の入力操作を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、前記行先階登録装置の表示部における入力操作後の表示を説明するための模式図であり、(a)は対応情報の表示を示し、(b)は入力失敗情報の表示を示す。
【
図4】
図4は、本発明の変形例に係るエレベータシステムの行先階登録装置における行先階の入力操作を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の変形例に係る行先階登録装置における行先階の入力操作を説明するための模式図であり、(a)はテンキータイプの表示を示し、(b)は行先階を選択するタイプの表示を示す。
【
図6】
図6は、本発明の変形例に係る行先階登録装置の表示部における入力操作後の表示を説明するための模式図であり、(a)は対応情報の表示を示し、(b)は入力失敗情報の表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るエレベータシステムについて
図1~
図3を用いて説明する。本実施形態に係るエレベータシステムは、
図1に示すように、複数のエレベータ1を備え、具体的には、A号機、B号機、C号機の三基のエレベータ1を備える。また、エレベータシステムは、かごの移動等を制御可能な制御部を備える。
【0014】
さらに、エレベータシステムは、エレベータ1の乗場に設けられる行先階登録装置2を備える。このエレベータシステムには、一階床当たり一台の行先階登録装置が設けられているが、一階床当たり複数の行先階登録装置が設けられてもよい。例えば、各エレベータ1に一台の行先階登録装置が設けられていてもよい。
【0015】
このエレベータシステムでは、エレベータシステムが設けられた建物入館用のIDカード(ビル入館用のセキュリティ認証カード)を所持する利用者により、行先階の入力操作が可能である。このIDカードは、例えばICタグを内蔵したICカードにより構成されている。なお、本実施形態において、この建物の入居テナントの社員、管理者、エレベータシステムのメンテナンス員には、それぞれ専用のIDカードが常時貸与される。一方、入居テナントなどへの訪問者にはロビー階などに設けられたビル受付などにおいてIDカードが一時的に貸与される。また、IDカードは情報記録媒体の一例であり、ICタグの代わりに、利用者のスマートフォンに記録されたQRコード(登録商標)等の情報を用いてもよい。
【0016】
さらに、エレベータシステムは、乗場の行先階登録装置2の近傍に設けられるカードリーダ(図示しない)も備える。カードリーダにIDカードがかざされると、その旨を示す信号がエレベータシステムの制御部を介して行先階登録装置2に出力される。なお、カードリーダは、乗場に設けられる他に、エレベータシステムが設けられた建物の入口のセキュリティゲート等に設けられてもよい。また、ICタグの代わりにQRコード(登録商標)等の情報を用いる場合、カードリーダの代わりにこの情報を読み取る情報読取装置を用いればよい。
【0017】
各エレベータ1は、建物内を複数の階床に跨って上下方向に延びる昇降路と、昇降路内に一つ配置されるかごと、を備える。本実施形態では、各エレベータ1は、乗場の乗場ドア3付近に設けられた乗場表示部4を備える。
【0018】
エレベータシステムの制御部は、各エレベータ1に対して乗場呼びの割当等の群管理制御を行う。この群管理では、制御部は、所定の階床の乗場において行先階登録装置2により乗場呼びが入ったときに、利用者等の輸送効率が高くなるように、複数の号機のかごから前記乗場呼びに対応するかごを選択し、この選択されたかごを該乗場呼びの入った乗場に向かわせる。
【0019】
行先階登録装置2は、
図2に示すように、行先階の入力操作を受け付ける入力部20と、行先階の入力操作の前後において、利用者に必要な情報を表示する表示部21と、を備える。本実施形態では、行先階登録装置2は、表示部21の一部が入力部20を兼ねるタッチパネルディスプレイである。
【0020】
入力部20は、タッチパネルディスプレイのうちテンキーが表示される部分である。本実施形態では、例えば、行先階として「8階」を入力したい場合には、利用者が指等により「8」のキーを触ればよく、行先階として「10階」を入力したい場合には、利用者が指等により「1」「0」のキーを順に触ればよい。
【0021】
表示部21は、行先階の入力操作の結果に対応する対応情報を含む情報を表示する部分である。本実施形態では、表示部21は、タッチパネルディスプレイ全体である。対応情報は、例えば、
図3(a)に示すように、行先階の入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報(例えば、「A」)及び行先階に関する行先階情報(例えば、「Floor 8」)の少なくともいずれか一方を含み、本実施形態では、号機情報及び行先階情報の両方を含む。
【0022】
本実施形態では、表示部21は、対応情報に加えて、利用者による行先階の入力操作を受けて行先階が登録できない場合(例えば、滞在している階床を行先階として入力した場合、建物に存在しない階床を行先階として入力した場合等)、入力失敗情報(例えば、
図3(b)の打ち消し線が付された「10」)を表示する。また、表示部21は、対応情報に加えて、
図2の「入力前」に示すように、利用者に行先階の入力操作を促す入力補助情報(例えば、「Please enter destination」といったメッセージ)と、入力部20を構成する入力部情報(例えば、テンキー)と、を表示する。さらに、表示部21は、
図2の「入力後」に示すように、行先階の入力操作に対応する入力情報(例えば、「8」)を表示する。さらに、表示部21は、利用者にIDカード等の情報記録媒体の利用を促す記録媒体利用補助情報(例えば、「IDカードをかざしてください」といったメッセージ)を表示する。
【0023】
具体的に、表示部21は、入力操作の前後において利用者に必要な情報を、第一の視認度と、該第一の視認度よりも視認度が高い第二の視認度とで切り替えて表示する。表示部21は、対応情報の少なくとも一部を含む第一情報を第一の視認度で表示する。また、表示部21は、第一情報以外の第二情報を第一の視認度よりも視認度が高い第二の視認度で表示する。例えば、第一情報は、号機情報及び行先階情報の少なくともいずれか一方を含み、本実施形態では、号機情報及び行先階情報の両方を含む。この場合、表示部21は、号機情報及び行先階情報の両方を、第一の視認度で表示する。
【0024】
また、第一情報は、対応情報の少なくとも一部に加えて、入力失敗情報、入力補助情報、入力部情報、及び、入力情報の少なくとも一つを含み、本実施形態では、これらの全てを含む。この場合、表示部21は、入力失敗情報、入力補助情報、入力部情報、及び、入力情報を第一の視認度で表示する。
【0025】
第二情報は、例えば、記録媒体利用補助情報である。この場合、表示部21は、記録媒体利用補助情報を第二の視認度で表示する。
【0026】
表示部21は、例えば、デジタルフィルタの表示をオンとすることで第一の視認度とし、デジタルフィルタの表示をオフとすることで第二の視認度とする。このデジタルフィルタは、例えば、四角形状の模様、格子模様の表示、ドット模様等の幾何学模様の表示である。なお、デジタルフィルタは、幾何学模様の表示以外に、表示部21の明度を上げる又は下げるものであってもよいし、視野角を狭めるものであってもよい。具体的に、表示部21は、デジタルフィルタのオンオフ切り替えにより、タッチパネルディスプレイの法線方向を含む狭い視野角の範囲から観察できる第一の表示モードと、前記狭い視野角の範囲を含む広い視野角の範囲から観察できる第二の表示モードと、を切り替え可能であってもよい。なお、表示部21は、デジタルフィルタの代わりに、物理的なフィルタ(視野角制御フィルムのような光学フィルタ等)により、第一の視認度と第二の視認度とを切り替えてもよい。
【0027】
表示部21による表示の第一の視認度と第二の視認度との切り替えのタイミングや、デジタルフィルタの種類(第一の視認度の程度)等は、エレベータシステムのメンテナンス員等により予め設定されている。行先階登録装置2での一連の行先階の入力操作及び表示は、例えば、以下のように行われる。
【0028】
まず、表示部21は、スタンバイ状態において、第二情報として、記録媒体利用補助情報(例えば、「IDカードをかざしてください」といったメッセージ)を、第二の視認度で表示する。このように、スタンバイ状態では、表示部21の何れの部位にもフィルタが重ならない。
【0029】
スタンバイ状態において、利用者によりIDカード等が利用されると、表示部21は、
図2の「入力前」に示すように、第一情報として、利用者に行先階の入力操作を促す入力補助情報(「Please enter destination」といったメッセージ)と、入力部20を構成する入力部情報(テンキー)と、を、第一の視認度で表示する。利用者により、行先階の入力操作が行われると、
図2の「入力後」に示すように、表示部21は、第一情報として、行先階の入力操作に対応する入力情報(「8」)を第一の視認度で表示する。このとき、表示部21は、第一情報として、入力情報に加えて、入力部情報を第一の視認度で表示したままとする。このように、利用者による行先階の入力前後の状態では、表示部21の全体にフィルタが重なる。
【0030】
この行先階登録装置2による行先階の入力操作に応じて、エレベータシステムの制御部が号機を割り当てることで、行先階の登録が行われる。行先階の登録が行われると、表示部21は、
図3(a)に示すように、第一情報として、対応情報の少なくとも一部、本実施形態では、号機情報(「A」)及び行先階情報(「Floor 8」)の両方を、第一の視認度で表示する。このように、行先階の登録が行われた状態では、表示部21の全体にフィルタが重なることになる。表示部21は、号機情報や行先階情報を表示した後、所定期間(例えば、5~10秒)が経過すると、スタンバイ状態に戻る。なお、利用者による行先階の入力操作を受けて行先階が登録できない場合、表示部21は、
図3(b)に示すように、第一情報として、入力失敗情報を、第一の視認度で表示する。
【0031】
本実施形態では、表示部21は、いずれの利用者に対しても、第一の視認度と第二の視認度との切り替え表示を行う。また、表示部21は、全ての利用者に対して、同じタイミングで第一の視認度と第二の視認度との切り替え表示を行う。
【0032】
なお、表示部21は、利用者の一部に対して、第一の視認度と第二の視認度との切り替え表示を行ってもよい。例えば、VIP利用者が所持するIDカードがカードリーダにかざされたとき、VIP利用者を識別する信号が行先階登録装置2に出力される構成において、表示部21は、この信号が出力された場合のみ、対応情報の少なくとも一部を含む第一情報と、第一情報以外の第二情報とを、第一の視認度と第二の視認度とで切り替えて表示してもよい。この場合、他の利用者が所持するIDカードがカードリーダにかざされた旨の信号がエレベータシステムの制御部を介して行先階登録装置2に出力された場合には、表示部21は、切り替え表示を行わず、全ての情報を第二の視認度で表示してもよい。
【0033】
乗場表示部4は、各エレベータ1に関する情報を表示し、本実施形態では、各エレベータ1の号機名及び行先予定階情報を表示する(
図1参照)。また、乗場表示部4は、各エレベータ1の乗場ドア3の上方に配置されている。
【0034】
乗場表示部4は、号機名及び行先予定階情報を表示する。本実施形態では、乗場表示部4は、常時、号機名を表示するとともに、行先階登録装置2の表示部21が第一情報を第一の視認度で表示する場合に、「行先階登録装置2による行先階の入力操作に応じて制御部により号機が割り当てられるタイミング」から後ろにずれたタイミングで、行先予定階情報を表示する。また、乗場表示部4は、行先予定階情報の表示を、「割り当てられた号機のかごの戸開閉が完了するタイミング」までの間継続する。
【0035】
「行先階登録装置2による行先階の入力操作に応じて制御部により号機が割り当てられるタイミングから後ろにずれたタイミング」は、例えば、号機が割り当てられるタイミングから所定期間後(5秒後~30秒後)であってもよい。また、「行先階登録装置2による行先階の入力操作に応じて制御部により号機が割り当てられるタイミングから後ろにずれたタイミング」は、割り当てられた号機のかごが到着して戸開したタイミングであってもよい。この場合、乗場表示部4は、割り当てられた号機のかごが到着して戸開したタイミングで、この号機に対応する全ての行先階情報を表示することとなる。
【0036】
さらに、「行先階登録装置2による行先階の入力操作に応じて制御部により号機が割り当てられるタイミングから後ろにずれたタイミング」は、同じ号機に他の人が割り当てられたタイミングや、複数人(例えば、二人)に対して号機の割り当てが完了したタイミングであってもよい。また、「行先階登録装置2による行先階の入力操作に応じて制御部により号機が割り当てられるタイミングから後ろにずれたタイミング」は、次の利用者の行先階の登録のタイミングであってもよい。このような場合、割り当てられた号機のかごが到着した時点で、登録された行先階に対応する行先予定階情報のうち、乗場表示部4で表示されていない行先予定階情報があるときには、割り当てられた号機のかごが戸開するタイミングで、乗場表示部4がこの行先予定階情報を表示してもよい。
【0037】
なお、乗場表示部4は、常時、号機名を表示するとともに、行先階登録装置2の表示部21が対応情報を第一の視認度で表示する際に、行先予定階情報の表示を停止してもよい。
【0038】
このような構成では、乗場表示部4が、利用者の行先階が登録された直後に、行先階情報が表示されなくなるため、利用者の行先階が他の利用者に知られにくい。
【0039】
以上のエレベータシステムでは、利用者が行先階を登録したときに、行先階登録装置2の表示部21による対応情報の少なくとも一部(本実施形態では、対応情報の全部)の表示が第一の視認度で行われるため、利用者本人は操作が受け付けられたことが理解できるとともに、他の利用者にこの登録に対応した情報を知られることを防ぐことができる。
【0040】
本実施形態のエレベータシステムでは、表示部21における第一の視認度による表示により他の利用者に号機情報や行先階情報を知られることを防ぐことができる。
【0041】
なお、本発明のエレベータシステムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0042】
上記実施形態では、入力部20は、テンキータイプであったが、
図4に示すように、登録可能な行先階が表示され、利用者がこれを選択することで行先階を入力可能なタイプであってもよい。
【0043】
上記実施形態では、行先階登録装置2は、表示部21の一部が入力部20を兼ねるタッチパネルディスプレイであったが、入力部20と表示部21とが別体であってもよい。例えば、行先階登録装置2は、押下により入力可能な階床ボタンや赤外線センサ等により非接触での入力が可能な階床ボタンである入力部20と、液晶ディスプレイ等の表示部21との組み合わせであってもよい。なお、このような構成では、表示部21の第一の視認度での表示にあわせて、入力操作の結果行われる階床ボタンの点灯や点滅を停止してもよい。また、入力部20は、利用者がIDカード等の情報記録媒体をかざすことにより、行先階が入力される情報読取装置(例えば、カードリーダ)であってもよい。
【0044】
上記実施形態では、表示部21が第一情報を第一の視認度で表示する際に、表示部21の全体が第一の視認度で表示されていた、即ち、表示部21の全体にフィルタが重なっていたが、
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、及び
図6(b)に示すように、表示部21の一部(例えば、入力失敗情報、入力部情報、号機情報、行先階情報)のみにフィルタが重なってもよい。このとき、第一情報は、入力失敗情報、入力部情報、号機情報、及び、行先階情報で構成されている。また、上記実施形態では、行先階情報の全体(「Floor 8」の全体)のフィルタが重なっていたが、行先階情報の一部、具体的には
図6(a)に示す階床を示す数字のみ(「8」のみ)にフィルタが重なっていてもよい。
【0045】
また、表示部21の号機情報及び行先階情報のみにフィルタが重なってもよい。即ち、第一情報は、号機情報及び行先階情報で構成されてもよい。この場合、表示部21は、入力部情報及び入力補助情報にはフィルタが重ならなくなる。この構成では、周囲の人が、表示部21による第二の視認度での号機情報及び行先階情報以外の表示(具体的には、入力補助情報及び入力補助情報)を確認することで、入力部20が有効であることを確認することができる。
【0046】
上記実施形態では、表示部21は、号機情報及び行先階情報の両方を、第一の視認度で表示していたが、号機情報又は行先階情報のいずれか一方のみ(例えば、号機情報のみ)を第一の視認度で表示し、号機情報又は行先階情報の他方(例えば、行先階情報)を第二の視認度で表示してもよい。即ち、第一情報が、号機情報又は行先階情報のいずれか一方のみであってもよい。なお、第一情報は、少なくとも号機情報を含むことが好ましい。
【0047】
また、一部の利用者とその他の利用者とで、表示部21が第一の視認度で表示する項目を異ならせてもよい。例えば、一部の利用者(例えば、VIP利用者)が利用するときのみ、号機情報及び行先階情報を第一の視認度で表示し、他の利用者(例えば、一般利用者)が利用するときには、号機情報のみを第一の視認度で表示し且つ行先階情報を第二の視認度で表示してもよい。
【0048】
上記実施形態では、第一の視認度と第二の視認度との切り替えタイミングやフィルタの種類は、事前に設定されていたが、メンテナンス員により変更可能であってもよい。また、各利用者の利用毎(例えば、各利用者の入力操作毎)にフィルタがリセットされ、各利用者のIDカードに応じてフィルタが変更可能であってもよい。このフィルタのリセットとは、フィルタがデフォルトのフィルタに戻ること、又は、フィルタが無効になることである。この場合、各利用者に応じて第一の視認度の程度を変更可能であってもよく、例えば、利用者にとって、便利な視認度でフィルタをかけたりフィルタを除去したりすることができる。
【0049】
なお、特定の利用者が利用する際に、表示部21にフィルタを重ねる場合、フィルタが有効な状態で行先階が登録されたとき、エレベータシステムの制御部は、号機を専用運転(乗車時に無人となるかごが、行先階まで他の乗場呼びに応答しない運転)として割り当ててもよい。この場合、専用運転が行われるかごでは、他の利用者の乗り合わせを回避できるため、かご内で行先階を他の利用者に知られることを防ぐことができる。
【0050】
さらに、表示部21による第一の視認度での表示は、時間帯や日付によって、実施及び非実施を切り替えてもよい。例えば、夜間から早朝にかけて(19時~5時)のみ、表示部21が対応情報を第一の視認度で表示し、それ以外の時間帯では、表示部21が対応情報を第二の視認度で表示してもよい。第一の視認度での表示の実施及び非実施の切り替えは、特定のイベントが行われるか否か、平日か否か、出退勤時間帯か否か等に応じて行ってもよい。
【0051】
上記実施形態では、表示部21は、対応情報に加えて、入力失敗情報、入力補助情報、入力部情報、入力情報、記録媒体利用補助情報を表示していたが、少なくとも対応情報を表示すればよい。
【0052】
上記実施形態では、行先階登録装置2は、エレベータの乗場に設けられていたが、乗場の代わり、又は、乗場に加えて、かごに設けられてもよい。例えば、行先階登録装置2は、かご室の袖壁や側壁に設けられた操作盤に配置されていてもよい。
【0053】
上記実施形態では、エレベータシステムは、複数のエレベータ1を備えていたが、一つのエレベータ1で構成されていてもよい。この場合、対応情報は、行先階情報のみで構成され、表示部21は、この行先階情報を第一の視認度で表示することが考えられる。なお、エレベータシステムは、乗場表示部4を備えなくてもよい。
【0054】
上記実施形態では、エレベータシステムが設けられた建物入館用のIDカードを所持する利用者により、行先階の入力操作が可能であったが、全ての利用者が、行先階の入力操作が可能であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…エレベータ、2…行先階登録装置、3…乗場ドア、4…乗場表示部、20…入力部、21…表示部
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられる行先階登録装置を備え、
前記行先階登録装置は、
行先階の入力操作を受け付ける入力部と、
行先階の入力操作の前後において、利用者に必要な情報を表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、前記行先階の入力操作の結果に対応する対応情報の少なくとも一部を含む第一情報を第一の視認度で表示し、前記第一情報以外の第二情報を前記第一の視認度よりも視認度が高い第二の視認度で表示し、
前記対応情報は、前記行先階の入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報及び前記行先階に関する行先階情報の少なくともいずれか一方を含み、
前記第一情報は、前記号機情報及び行先階情報の前記少なくともいずれか一方である、
エレベータシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
そこで、本発明は、利用者が行先階を登録する際に、操作が受け付けられたことが理解できるとともに、他の利用者にこの登録に対応した情報、具体的には、行先階の入力操作により割り当てられる割当号機に関する号機情報及び行先階に関する行先階情報の少なくとも一方を知られることを防ぐことができるエレベータシステムの提供を課題とする。