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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139863
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】空間浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/03 20060101AFI20241003BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61L9/03
A61L9/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050793
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】白井 伊久真
(72)【発明者】
【氏名】山口 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】和田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA03
4C180EA58X
4C180GG01
4C180GG16
4C180GG19
4C180HH01
4C180HH05
4C180KK05
4C180LL00
4C180LL01
(57)【要約】
【課題】対象空間に放出する空気に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部への給水回数の増加を抑制できる空間浄化装置を提供する。
【解決手段】空間浄化装置11は、貯留部13と、加熱部103と、空気導入部15と、空気放出部16と、冷却部100と、を備える。貯留部13は、筐体11aの内部に次亜塩素酸水溶液13bを貯留する。加熱部103は、貯留部13に貯留される次亜塩素酸水溶液13bを加熱する。空気導入部15は、筐体11aの外部から、筐体11aの内部に形成される貯留部13の上方空間23に空気を導入する。空気放出部16は、上方空間23の空気を筐体11aの外部に放出する。冷却部100は、空気放出部16を流通する放出空気7に含まれる水分を冷却し、貯留部13に結露水として還流させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に次亜塩素酸を含む水溶液を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留される前記次亜塩素酸を含む水溶液を加熱する加熱部と、
前記筐体の外部から、前記筐体の内部に形成される前記貯留部の上方空間に空気を導入する空気導入部と、
前記上方空間の空気を前記筐体の外部に放出する空気放出部と、
前記空気放出部を流通する空気に含まれる水分を冷却し、前記貯留部に結露水として還流させる冷却部と、
を備える、空間浄化装置。
【請求項2】
前記加熱部と前記冷却部とに接続され、前記冷却部にて前記空気放出部を流通する空気より吸収した熱を前記加熱部に搬送する熱搬送部を備え、
前記加熱部は、前記冷却部で吸収した熱を放出する、請求項1に記載の空間浄化装置。
【請求項3】
前記加熱部は、前記貯留部の下部に位置する、請求項1又は2に記載の空間浄化装置。
【請求項4】
前記貯留部は、前記次亜塩素酸を含む水溶液を対流させる循環部を有しており、
前記循環部は、前記加熱部に向けて前記次亜塩素酸を含む水溶液の対流を引き起こす、請求項1又は2に記載の空間浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、居住空間などの除菌に用いられる空間浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、居住空間などを除菌し、感染症のリスクを低減させる装置として、次亜塩素酸ガスを含む空気を対象空間に放出する空間浄化装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の空間浄化装置は、次亜塩素酸水溶液中に空気をバブリングして気泡を発生させ、浮上した気泡に含まれる次亜塩素酸ガスを空気とともに対象空間に放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-305100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の空間浄化装置において、対象空間に放出する空気に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させるために、貯留部に貯留する次亜塩素酸水溶液を加熱する方法が考えられる。しかしながら、次亜塩素酸水溶液を加熱すると、放出する空気に含まれる水分量も増加する。これにより、貯留部の貯留される次亜塩素酸水溶液の水分の減少が早まるため、貯留部への給水を行う頻度が増加してしまうという課題があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、対象空間に放出する空気に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部への給水回数の増加を抑制できる空間浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本開示のある態様の空間浄化装置は、貯留部と、加熱部と、空気導入部と、空気放出部と、冷却部と、を備える。貯留部は、筐体の内部に次亜塩素酸を含む水溶液を貯留する。加熱部は、貯留部に貯留される次亜塩素酸を含む水溶液を加熱する。空気導入部は、筐体の外部から、筐体の内部に形成される貯留部の上方空間に空気を導入する。空気放出部は、上方空間の空気を筐体の外部に放出する。冷却部は、空気放出部を流通する空気に含まれる水分を冷却し、貯留部に結露水として還流させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の空間浄化装置によれば、対象空間に放出する空気に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部への給水回数の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第一実施の形態に係る空間浄化装置を備えた空間浄化機器の、室内における使用状態を示す斜視図である。
図2図2は、同空間浄化機器の構成を示す概略構成図である。
図3図3は、同空間浄化装置の外観を示す外観斜視図である。
図4図4は、同空間浄化装置の構成を示す透過斜視図である。
図5図5は、同空間浄化装置における貯留部内の水溶液の流れ及び空気の流れを示す透過側面図である。
図6図6は、本発明の第二実施の形態に係る空間浄化機器の構成を示す概略構成図である。
図7図7は、本発明の第三実施の形態に係る空間浄化機器の構成を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、及び構成要素、並びに、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0010】
(第一実施の形態)
まず、図1を参照して、本発明の第一実施の形態に係る空間浄化装置11を備えた空間浄化機器2の室内1における使用時の状態について説明する。図1は、その空間浄化装置11を備えた空間浄化機器2の、室内1における使用状態を示す斜視図である。
【0011】
図1に示す通り、空間浄化装置11を備えた空間浄化機器2は、室内1に設置されて用いられる。空間浄化機器2が置かれる室内1は、利用者が日常生活で使用する空間であり、室内1の床あるいは室内1に設置された台上に空間浄化機器2を置くことを想定している。空間浄化機器2は、室内1の空気を吸込空気3として吸い込んで除塵し、除塵された空気に次亜塩素酸ガスを含ませた上で吹出空気4として室内1に吹き出す。
【0012】
次亜塩素酸ガスは、細菌、真菌、ウイルス、及び臭い等の除去を行うことが知られている。除塵した空気に、このような次亜塩素酸ガスを含ませて室内1に吹き出すことで、空間浄化機器2は、室内1の浄化を行う。
【0013】
次いで、図2を参照して、第一実施の形態に係る空間浄化装置11を備えた空間浄化機器2の構成について説明する。図2は、空間浄化機器2の構成を示す概略構成図である。
【0014】
空間浄化機器2は、内部に空間浄化装置11を備える。より詳細には、図2に示す通り、空間浄化機器2は、吸込口8、集塵フィルタ9、送風機10、空間浄化装置11、及び吹出口12を有して構成される。
【0015】
空間浄化機器2は、上記した通り、吸込口8から吸込空気3を吸い込んで除塵し、次亜塩素酸ガスを含ませた空気を吹出空気4として吹出口12から室内1に吹き出す。空間浄化機器2は、吹出口12から吹出空気4を吹き出す際に、空間浄化装置11によって吹出空気4に次亜塩素酸ガスを含ませている。
【0016】
吸込口8は、空間浄化機器2の正面下部右側に設けられており、室内1から空間浄化機器2の内部に吸込空気3を取り入れる。
【0017】
集塵フィルタ9は、通過する空気を浄化する部材である。集塵フィルタ9は、吸込口8から吸い込んだ吸込空気3が通過するように設けられている。集塵フィルタ9を通過した吸込空気3は、集塵フィルタ9によって微粒子が取り除かれることにより除塵される。集塵フィルタ9には、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)が用いられる。
【0018】
送風機10は、吸込口8から吸込空気3を吸い込み、吹出口12から吹出空気4として室内1に吹き出すための圧力を生じさせる部材である。送風機10は、吸込口8と吹出口12とを連通する内部風路において集塵フィルタ9の下流側に設置される。
【0019】
送風機10の動作によって、集塵フィルタ9を通過して送風機10に吸い込まれた吸込空気3は、送風機10を通して除塵空気5となる。そして、除塵空気5は、内部風路を流通する過程で、空間浄化装置11から放出される放出空気7(次亜塩素酸ガスを含む空気)と混合されて、吹出空気4として吹き出される。
【0020】
送風機10は、モータ部と、モータ部により回転するファン部と、それらを囲むスクロール形状のケーシング部とを有して構成されるが、一般的な送風ファンが用いられればよいので、詳細な説明は省略する。
【0021】
空間浄化装置11は、除塵空気5の一部を導入空気6として内部に取り込み、空間浄化装置11の筐体11a(図4参照)の内部(図4を参照して後述する貯留部13の上方空間23)で、導入空気6に次亜塩素酸ガスを含ませる。そして、空間浄化装置11は、次亜塩素酸ガスを含ませた空気を放出空気7として除塵空気5に合流させる。これにより、除塵空気5は、次亜塩素酸ガスを含む空気となる。
【0022】
なお、導入空気6を吸い込み、放出空気7として放出されるための空気の駆動力には、送風機10の風圧が利用できる。例えば、空間浄化装置11は、送風機10によって作られた除塵空気5の流れ方向と対向するように導入空気6の導入口を設け、送風機10によって作られた除塵空気5の流れ方向と直交する向きに放出空気7の放出口を設ける。これにより、空間浄化装置11は、送風機10の風圧によって導入空気6を筐体11aの内部に導入し、放出空気7を筐体11aの内部から放出することができる。
【0023】
空間浄化装置11の詳細については、図2図4を参照して後述する。
【0024】
吹出口12は、空間浄化機器2の上面に設けられており、次亜塩素酸ガスを含んだ除塵空気5を、吹出空気4として室内1に吹き出す。
【0025】
以上の構成により、空間浄化機器2は、室内1の空気を吸込空気3として吸い込んで除塵し、次亜塩素酸ガスを含ませた吹出空気4として室内1に吹き出すことができる。
【0026】
次いで、図2図4を用いて、空間浄化機器2に組み込まれる空間浄化装置11の構成について説明する。図3は、空間浄化装置11の外観を示す外観斜視図である。図4は、空間浄化装置11の構成を示す透過斜視図である。
【0027】
空間浄化装置11は、図2に示す通り、空間浄化機器2の内部に着脱可能に組み込まれるユニットである。そして、図3に示す通り、空間浄化装置11は、空気導入部15から空間浄化機器2の除塵空気5の一部を導入空気6として筐体11aの内部に取り込む。また、空間浄化装置11は、取り込んだ導入空気6に対して次亜塩素酸ガスを含ませ、それを放出空気7として、空気放出部16から筐体11aの外部、具体的には空間浄化機器2の内部風路に放出する。
【0028】
より詳細には、図4に示す通り、空間浄化装置11は、その筐体11aの外部表面に空気導入部15及び空気放出部16が形成される。また、空間浄化装置11は、筐体11aの内部に貯留部13、電解部14、加熱部103、循環ポンプ20、沈殿物フィルタ19、及び温度センサ110を有して構成される。更に、空間浄化装置11は、図2に示す通り、空気放出部16に冷却部100を有して構成される。
【0029】
空気導入部15は、空間浄化機器2の内部風路と、筐体11aの内部において貯留部13の上部に形成される上方空間23とをつなぐ管状の部材であり、上方空間23に導入空気6を導入する。具体的には、空気導入部15は、内部風路側に位置する導入口と、上方空間23側に位置する導出口とを有する。
【0030】
空気導入部15の内部風路側の導入口は、除塵空気5を導入空気6として取り込むための管口であり、導入口の向きが、送風機10によって作られる除塵空気5の流れ方向と対向するように設置されている(図2参照)。空気導入部15の上方空間23側の導出口は、導入空気6を上方空間23に導入する管口であり、筐体11aの内部の上面に設置されている。これにより、空気導入部15は、導入口から取り込んだ導入空気6を、導出口から上方空間23に供給する。
【0031】
空気放出部16は、貯留部13の上部の上方空間23と、空間浄化機器2の内部風路とをつなぐ管状の部材であり、上方空間23の空気を放出空気7として、筐体11aの外部に放出する。具体的には、空気放出部16は、上方空間23側に位置する導入口と、空間浄化機器2の内部風路側に位置する放出口とを有する。
【0032】
空気放出部16の上方空間23側の導入口は、筐体11aの内部の上面に設置されている。空気放出部16の内部風路側の放出口は、次亜塩素酸ガスを含む放出空気7を放出するための管口であり、放出口の向きが、送風機10によって作られる除塵空気5の流れ方向と直交するように設置されている(図2参照)。
【0033】
つまり、空気放出部16は、空気導入部15から空間浄化装置11の筐体11aの内部に取り入れた導入空気6に対して次亜塩素酸ガスを含ませ、それを放出空気7として空間浄化機器2の内部風路に吹き出す。
【0034】
なお、空気放出部16の放出口は、空気導入部15の導入口よりも内部風路の下流側に設置されている。導入空気6が次亜塩素酸ガスを含む過程については後述する。
【0035】
また、空気放出部16は、導入口側において鉛直方向に配管される鉛直方向配管と、放出口側において水平方向に配管される水平方向配管とにより構成される。水平方向配管は、導入口と近い側の一端において鉛直方向配管と接続され、導入口と連通する。この水平方向配管は、空気放出部16の内部で結露により発生した水(以下、「結露水」と言う。)が、貯留部13に向けて還流される程度にわずかながら傾斜が設けられる。
【0036】
空気放出部16は、図2に示す通り、空気放出部16の導入口と放出口とを連通する連通路(放出空気7の通風路)の途中において、冷却部100を有している。冷却部100は、空気放出部16を流通する放出空気7に含まれる水分を冷却するための部材であり、ペルチェ素子100aと冷却ヒートシンク100bとを有して構成される。
【0037】
ペルチェ素子100aは、2種類の金属の接合面に電流を流すことで、一方の金属から他方の金属に熱が移動するペルチェ効果を利用した熱電素子である。冷却ヒートシンク100bは、平板状の金属から垂直方向に板状の金属が複数枚平行に突出されるようにして成形された部材である。冷却ヒートシンク100bの平板状の金属は、ペルチェ素子100aの一方の金属と直接又は互いに伝熱可能な範囲で間接的に接続される。
【0038】
冷却部100は、ペルチェ素子100aの冷却ヒートシンク100bと接続される金属側が冷却(吸熱)されるようにペルチェ素子100aに電流を流すと、ペルチェ素子100aの当該金属の温度が下がる。これにより、冷却部100は、冷却ヒートシンク100bの熱も奪われるので、冷却ヒートシンク100bによってその周辺の空気に含まれる水分を冷却できる。
【0039】
また、冷却部100は、貯留部13に貯留された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度に基づいて、ペルチェ素子100aに流す電流の大きさを制御する。電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度とペルチェ素子100aに流す電流の大きさとの関係は、後述する。
【0040】
このように構成された冷却部100は、ペルチェ素子100a及び冷却ヒートシンク100bがいずれも空気放出部16の上記連通路(放出空気7の通風路)の中に設けられてもよい。この場合、冷却ヒートシンク100bの複数枚平行に突出された板状の金属は、その板面が連通路を流通する放出空気7の風向と平行になるように、冷却ヒートシンク100bが設けられる。これにより、冷却ヒートシンク100bが、空気放出部16を流通する放出空気7の風の流れを妨げることなく、ペルチェ素子100aによって直接冷却される冷却ヒートシンク100bによって、放出空気7に含まれる水分を効率よく冷却できる。
【0041】
また、ペルチェ素子100aは空気放出部16の連通路と接するようにしてその連通路の外に設けられ、冷却ヒートシンク100bは、連通路を区画する壁を挟んでペルチェ素子100aと接続されつつ、その連通路の中に設けられてもよい。
【0042】
この場合、連通路を区画する壁(管)は、金属により構成される。これにより、冷却ヒートシンク100bは、ペルチェ素子100aと壁を挟んで接続されても、ペルチェ素子100aによって効率よく冷却される。
【0043】
また、この場合も、冷却ヒートシンク100bの複数枚平行に突出された板状の金属は、その板面が連通路を流通する放出空気7の風向と平行になるように、冷却ヒートシンク100bが設けられる。これにより、空気放出部16を流通する放出空気7の風の流れが冷却ヒートシンク100bによって妨げられないように構成される。
【0044】
このように、冷却部100は、ペルチェ素子100aを連通路の外に設けることで、空気放出部16を流通する放出空気7の流れがペルチェ素子100aにより妨げられることも抑制できる。そして、冷却部100は、ペルチェ素子100aにより冷却された冷却ヒートシンク100bによって、放出空気7に含まれる水分を冷却できる。
【0045】
なお、冷却部100は、ペルチェ素子100aのみで構成されてもよい。この場合、ペルチェ素子100aが、空気放出部16の連通路の中に設けられてもよいし、ペルチェ素子100aの冷却(吸熱)される側の金属が当該連通路と接するようにして当該連通路の外に設けられてもよい。
【0046】
ペルチェ素子100aが連通路の外に設けられる場合は、ペルチェ素子100aと連通路との接触面積が大きくなるように、その連通路の形状にあわせてペルチェ素子100aが成形されてもよい。また、ペルチェ素子100aが連通路の外に設けられる場合は、ペルチェ素子100aと接する連通路の壁(管)が金属により構成されるとよい。
【0047】
冷却部100は、空気放出部16を流通する放出空気7に含まれる水分を冷却することで、その水分を結露させる。上記した通り、空気放出部16は、導入口側の鉛直方向配管と、放出口側の水平方向配管とにより構成され、水平方向配管は、空気放出部16の内部で生成された結露水を貯留部13に還流される程度にわずかながら傾斜が設けられている。よって、冷却部100による放出空気7に含まれる水分の冷却により発生する結露水は、水平方向配管及び鉛直方向配管を通って貯留部13に還流される。
【0048】
冷却部100は、熱搬送部101の一端と接続される。熱搬送部101の他端は、加熱部103に接続されている。熱搬送部101は、その一端と他端との間で熱を移動させるヒートパイプにより構成される。ヒートパイプは、金属で作られた棒状のパイプの中に作動液が封入されており、一端側(冷却側)で作動液が熱を吸収して蒸発すると、その蒸気がパイプ内の空洞を通って他端側に移動し、他端側(加熱側)でその蒸気から熱を放出する。放熱された蒸気は凝縮されて液体に戻り、液体に戻った作動液はヒートパイプの内壁のウィックに吸収されて、一端側(冷却側)に戻される。
【0049】
熱搬送部101は、ヒートパイプにより、冷却部100にて空気放出部16を流通する放出空気7より吸収した熱を、加熱部103に搬送する。加熱部103の詳細については後述する。
【0050】
貯留部13は、図4に示す通り、空気導入部15及び空気放出部16を取り付けた状態で、筐体11aの内部にて密閉された内部空間を構成し、内部に電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを貯留する部材である。また、貯留部13は、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの液面の上方に上方空間23を有する。
【0051】
ここで、貯留部13は、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの混合液を貯留している。ただし、以下の説明では、両者を区別し、電気分解による次亜塩素酸水溶液13bの生成の際には電解液13aと称し、次亜塩素酸ガスを放出する浄化運転の際には次亜塩素酸水溶液13bと称して説明する。
【0052】
電解液13aは、電気分解することで次亜塩素酸水溶液13bを生成するための水溶液であり、例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウムのうち少なくとも1種類の塩と、リン酸塩とを含む水溶液である。電解液13aは、塩化ナトリウム又は塩化カリウムのうち少なくとも1種類からなる電解質13cが完全に溶解することなく、電解質13cが沈殿した状態で、貯留部13内に貯留されている。なお、リン酸塩には、例えば、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素カリウムとの混合リン酸塩が用いられる。
【0053】
沈殿する電解質13cは、塩化ナトリウム又は塩化カリウムのうち少なくとも1種類の塩を含む沈殿物であり、電気分解によって電解液13aから消費された塩化物イオンを再度電解液13aに供給するためのものである。
【0054】
なお、本実施の形態では、電解質13cとして、塩化ナトリウム又は塩化カリウムのうち少なくとも1種類の塩が用いられるが、それに限られるわけではない。後述するが、次亜塩素酸水溶液13bを生成するためには塩化物イオンが存在していればよいため、他に塩化カルシウム又は塩化リチウム等の塩化物を用いることも考えられる。
【0055】
次亜塩素酸水溶液13bは、電解液13a中に電解質13cが沈殿している状態で、電解液13aの電気分解を行って生成された溶液であり、いわゆる次亜塩素酸を含む水溶液である。次亜塩素酸水溶液13bの水素イオン濃度(pH)は、5~13がよく、特に5~7が好適である。次亜塩素酸水溶液13bは、pHが5を下回ると塩素ガスとして気化する危険性があり、また、pHが5以上であれば、pHが低いほど次亜塩素酸ガスとして気化しやすいためである。
【0056】
貯留部13は、上記した通り、電解液13a中に電解質13cが沈殿している状態で、電解液13aを貯留するとともに、電解液13aの液面の上方に上方空間23を有している。貯留部13は、電解質13cが沈殿する溶質領域17と、後述する電解部14、循環ポンプ20及び加熱部103が設置された溶液領域18とに区画されている。
【0057】
溶質領域17は、貯留部13の底部側に位置しており、電解質13cの沈殿物を含む電解液13aを保持する領域である。溶質領域17の上方部(溶液領域18側)には、温度センサ110が設けられている。温度センサ110については、後述する。
【0058】
溶液領域18は、溶質領域17の上方に位置しており、電解質13cの沈殿物を含まない電解液13aを保持する領域である。溶液領域18には、電解部14、循環ポンプ20及び加熱部103がそれぞれ浸漬した状態で設置されている。
【0059】
また、溶質領域17と溶液領域18との間には、沈殿物フィルタ19が設けられている。具体的には、溶液領域18の底部側(溶質領域17側)において、互いに区画された溶質領域17と溶液領域18とを連通する開口部を塞ぐように沈殿物フィルタ19が設けられている。沈殿物フィルタ19については後述する。
【0060】
なお、上記した溶質領域17及び溶液領域18における電解液13aは、次亜塩素酸水溶液13bと読み替えてもよいし、電解液13aと次亜塩素酸水溶液13bの混合液と読み替えてもよい。
【0061】
上方空間23は、貯留部13の内部において、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの液面の上方に生じる空気領域である。上方空間23は、空気導入部15と空気放出部16とによって空間浄化機器2の内部風路と連通接続されている。そして、上方空間23には、送風機10の動作時に、空間浄化機器2の内部風路から導入空気6が空気導入部15を通じて導入される。また、導入空気6が上方空間23に導入されることで、上方空間23内の空気(次亜塩素酸ガスを含む空気)が放出空気7として空気放出部16から内部風路に押し出される。
【0062】
電解部14は、貯留部13に貯留された電解液13aを電気分解して次亜塩素酸水溶液13bを生成する部材である。電解部14は、溶液領域18の底部側において、溶液領域18の電解液13aに浸漬されて設置されている。電解部14は、例えば、導電性基体の表面に触媒被膜を有して構成される陽極と陰極との一対の電極である。電解部14は、一対の電極に通電することで電解液13aの電気分解を行う。これにより、電解液13aに含まれる塩化物イオンが電解部14において電気分解され、次亜塩素酸が生成される。
【0063】
加熱部103は、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱するものであり、貯留部13の下部、より具体的には溶液領域18の底部側であって、鉛直方向において電解部14と略同一の高さに位置して設けられる。加熱部103は、平板状の金属から垂直方向に棒状の金属が複数本突出されるようにして成形された放熱ヒートシンクにより構成される。加熱部103は、放熱ヒートシンクによって構成されることで、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bと接触する表面積を大きくできるので、効率よくこの混合液を加熱できる。
【0064】
空間浄化装置11は、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱部103により加熱することで、次亜塩素酸水溶液13bから次亜塩素酸ガスを揮発させ易くできる。これにより、空間浄化装置11は、上方空間23に対して放出される次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。よって、空間浄化装置11は、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。
【0065】
加熱部103は、放熱ヒートシンクの平板状の金属部分が、上記したヒートパイプにより構成される熱搬送部101の他端に接続される。そして、熱搬送部101の一端に接続された冷却部100にて空気放出部16を流通する放出空気7より吸収した熱が、熱搬送部101によって加熱部103に搬送される。
【0066】
加熱部103は、この冷却部100で吸収した熱を放出することで、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱する。これにより、空間浄化装置11は、加熱部103により電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの加熱量と、その混合液の加熱により当該混合液より蒸発した水分(水蒸気)を含む放出空気7に対する冷却部100による吸熱量とを、対応させることができる。よって、空間浄化装置11は、加熱部103による混合液の加熱によって蒸発した水分量に応じた量の結露水を、冷却部100の冷却によって得ることができる。そして、その結露水が貯留部13に還流されるので、混合液より蒸発した水分(水蒸気)を含む放出空気7をそのまま放出する場合と比べて、貯留部13への給水回数の増加を抑制できる。
【0067】
また、加熱部103は、貯留部13の下部(溶液領域18の底部側)に設けられるので、貯留部13の下部(溶液領域18の底部側)にて加熱された、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bに、対流を発生させることができる。これにより、空間浄化装置11は、加熱された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bが加熱部103付近に滞留することを抑制し、温度の低い電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱部103に供給し続けることができる。
【0068】
よって、空間浄化装置11は、加熱部103における熱交換効率を高めることができるので、加熱による次亜塩素酸ガスの増加と、放出空気7の冷却による結露水の発生(即ち、結露水の貯留部13への還流)と、を効率よく行うことができる。
【0069】
循環ポンプ20は、貯留部13に貯留された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを、貯留部13内で対流させ、攪拌する部材である。循環ポンプ20が、本発明の循環部に該当する。循環ポンプ20は、その主要部が、電解部14及び加熱部103の鉛直方向上方において、溶液領域18の電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bに浸漬されて設置される。
【0070】
循環ポンプ20は、水溶液吸込口20a、水溶液吹出口20b、及び駆動部20cを有する。循環ポンプ20は、駆動部20cが作動することによって水溶液吸込口20aから電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを吸い込み、その吸い込んだ電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを水溶液吹出口20bから吹き出す。
【0071】
水溶液吸込口20aは、貯留部13の電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを吸い込む円筒状の口である。水溶液吸込口20aは、貯留部13の底部に対して略水平状態で、貯留部13の側面を向いて設置される。
【0072】
水溶液吹出口20bは、水溶液吸込口20aから吸い込んだ電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを放出する吐出口である。水溶液吹出口20bは、鉛直方向上方の電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの液面を向いて設置される。そして、水溶液吹出口20bは、空気導入部15と空気放出部16との間における上方空間23に向けて電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを吹き出すことで、図5に示す水流21を生じさせる。
【0073】
駆動部20cは、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを対流させ、攪拌するための水流21を生じさせるモータ部材である。より詳細には、駆動部20cは、回転駆動されることにより、水溶液吸込口20aから電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを吸い込み、水溶液吹出口20bから電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを吹き出す流れを生じさせる。駆動部20cは、主要部(水溶液吸込口20a及び水溶液吹出口20b)とは異なり、貯留部13の外側に設置される。
【0074】
循環ポンプ20は、第一に電解液13aの電気分解を加速させる役割と、第二に次亜塩素酸ガスの発生を加速させる役割と、を有する。また、循環ポンプ20は、第三に加熱部103における電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bとの熱交換効率を高める役割を有する。
【0075】
循環ポンプ20は、電気分解によって次亜塩素酸の生成量を増加させる機能として、循環ポンプ20の稼働によって後述する攪拌水流21bが発生することで、電解部14において発生する気泡の電解部14への付着を抑制することができる。また、循環ポンプ20は、次亜塩素酸ガスの供給量を増加させる機能として、次亜塩素酸水溶液13bを上方空間23に向けて吹き出すことにより、空気導入部15より導入した導入空気6に含ませる次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。
【0076】
また、循環ポンプ20は、加熱部103における熱交換効率を高める機能として、加熱部103に向けて電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの対流を引き起こす。これにより、空間浄化装置11は、加熱部103からの電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bへの熱の放出を効率よく行うことができる。
【0077】
即ち、循環ポンプ20は、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの対流を引き起こすことで、加熱された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bが加熱部103付近に滞留することを抑制できる。そして、循環ポンプ20は、温度の低い電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱部103に供給し続けることができる。よって、循環ポンプ20は、加熱部103からの電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bへの熱の放出を効率よく行うことができる。
【0078】
沈殿物フィルタ19は、循環ポンプ20で生じさせた水流21により、溶質領域17において沈殿している電解質13cが浮遊し、電解部14に到達することを抑制するためのフィルタである。沈殿物フィルタ19は、溶質領域17と溶液領域18の間に設けられる。これにより、沈殿物フィルタ19は、電解質13cが沈殿する溶質領域17から、電解部14が設置された溶液領域18に、電解質13cの沈殿物が浮上して流れ込むことを抑制する。
【0079】
温度センサ110は、次亜塩素酸水溶液13b(電解液13a)の温度を検知するセンサであり、溶質領域17の上方部(溶液領域18側)であって、沈殿物フィルタ19から離れた位置に設けられる。温度センサ110は、溶質領域17であって、沈殿物フィルタ19から離れた位置に設けられることにより、対流する次亜塩素酸水溶液13bを避けて、溶質領域17に滞留する次亜塩素酸水溶液13bの温度を検知する。
【0080】
また、温度センサ110は、溶質領域17の上方部に設けられることで、溶質領域17に沈殿する電解質13cを避けて次亜塩素酸水溶液13bの温度を検知する。これにより、温度センサ110は、貯留部13の次亜塩素酸水溶液13bの温度を精度よく検知できる。
【0081】
空間浄化装置11は、温度センサ110により検知された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度に基づいて、冷却部100のペルチェ素子100aに流す電流の大きさを制御する。具体的な制御内容については、後述する。
【0082】
次いで、以上説明した空間浄化装置11の動作について、図2及び図5を参照して説明する。図5は、空間浄化装置11における貯留部13内の水溶液の流れ及び空気の流れを示す透過側面図である。
【0083】
使用者により、空間浄化機器2に設けられた動作スイッチがオンされると、空間浄化機器2は送風機10の運転を開始するとともに、空間浄化装置11に対して、循環ポンプ20の運転の開始と、冷却部100のペルチェ素子100aへの通電の開始を指示する。
【0084】
空間浄化機器2の送風機10の運転中、上記した通り、貯留部13の上方空間23には、導入空気6が空気導入部15を通じて導入され、空気放出部16から放出空気7として放出されるまでの流れである、図5に示すような空気流22が生じる。空気流22は、空気導入部15を通じて導入される導入空気6によって上方空間23内の空気を放出空気7として押し出す流れとも言える。
【0085】
空気流22は、空気導入部15の導出口から空気放出部16の導入口までの上方空間23内を流通する過程で、次亜塩素酸水溶液13bと気液接触して次亜塩素酸水溶液13bから次亜塩素酸ガスを取り込む。このため、空気流22は、空気放出部16の放出口から放出される際には、次亜塩素酸ガスを含む放出空気7となる。このように、空間浄化装置11は、空間浄化機器2の内部風路から除塵空気5を導入空気6として取り込み、次亜塩素酸ガスを含ませた放出空気7として内部風路に放出することができる。
【0086】
ここで、空間浄化装置11は、空間浄化機器2からのペルチェ素子100aへの通電開始指示により、ペルチェ素子100aに対して電流を流すと、ペルチェ素子100aの冷却ヒートシンク100bと接続される側の金属が冷却される。冷却ヒートシンク100bは、このペルチェ素子100aにより熱が奪われ、冷却される。この冷却された冷却ヒートシンク100bが、空気放出部16を流通する放出空気7から吸熱し、その放出空気7に含まれる水分を冷却する。
【0087】
冷却部100の冷却ヒートシンク100bにより放出空気7から吸収された熱は、熱搬送部101により加熱部103に搬送される。加熱部103は、この冷却部100にて吸収した熱を、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bに放出する。これにより、貯留部13の電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bが加熱される。
【0088】
空間浄化装置11は、次亜塩素酸水溶液13bを加熱することによって、次亜塩素酸水溶液13bから次亜塩素酸ガスを揮発させ易くでき、上方空間23に対して放出される次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。よって、空間浄化装置11は、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。
【0089】
一方、次亜塩素酸水溶液13b(及び電解液13a)が加熱されると、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bから上方空間23に対して水分が蒸発し易くなる。これにより、上方空間23から導入口を介して空気放出部16に取り込まれる放出空気7に含まれる水分量が増加する一方、貯留部13の水分の減少量も増加する。
【0090】
これに対し、空間浄化装置11は、冷却部100によって空気放出部16の放出空気7に含まれる水分を冷却する。これにより、冷却部100は、放出空気7に含まれる水分を結露させた結露水を空気放出部16の内部に発生させる。空気放出部16は、上記した通り、発生した結露水が貯留部13に向けて還流される程度の傾斜が設けられた水平方向配管と、水平方向配管の導入口と近い側の一端と接続された鉛直方向配管とにより構成される。冷却部100によって空気放出部16の内部に発生した結露水は、この傾斜が設けられた水平方向配管と鉛直方向配管とを通って、貯留部13に還流される。
【0091】
これにより、空間浄化装置11は、加熱部103の加熱によって貯留部13に貯留される次亜塩素酸水溶液13b及び電解液13aの水分減少を抑制できる。よって、空間浄化装置11は、加熱部103による次亜塩素酸水溶液13bの加熱により放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部13の給水回数の増加を抑制できる。
【0092】
また、加熱部103は、熱搬送部101を介して冷却部100より搬送された熱、即ち、冷却部100により放出空気7から吸収した熱を用いて貯留部13に貯留された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱する。これにより、空間浄化装置11は、加熱部103により電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの加熱量と、その混合液の加熱により当該混合液より蒸発した水分(水蒸気)を含む放出空気7に対する冷却部100による吸熱量とが、対応したものとなる。
【0093】
よって、空間浄化装置11は、加熱部103による電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの加熱によって蒸発した水分量に応じた量の結露水を、冷却部100の冷却によって得ることができる。そして、その結露水が貯留部13に還流されるので、貯留部13への給水回数の増加を抑制できる。
【0094】
また、加熱部103は、貯留部13の下部(溶液領域18の底部側)に設けられている。これにより、加熱部103は、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bに対流を発生させることができる。
【0095】
この対流によって、上記した通り、空間浄化装置11は、加熱部103における熱交換効率を高めることができる。よって、空間浄化装置11は、加熱による次亜塩素酸ガスの増加と、放出空気7の冷却による結露水の発生(即ち、結露水の貯留部13への還流)と、を効率よく行うことができる。
【0096】
また、空間浄化装置11は、温度センサ110により電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度を検知し、その温度に基づいて冷却部100のペルチェ素子100aに流す電流の大きさを制御する。
【0097】
例えば、空間浄化装置11は、温度センサ110により検知された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度が第一温度以上であった場合に、ペルチェ素子100aに流す電流の大きさをその温度が第一温度未満であった場合と比して小さくする。また、空間浄化装置11は、温度センサ110により検知された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度が第一温度よりも高い第二温度以上であった場合に、ペルチェ素子100aに流す電流をゼロとし、通電を停止する。
【0098】
ペルチェ素子100aに流す電流を小さくし、又は、通電を停止することで、冷却ヒートシンク100bによる放出空気7からの吸熱が少なくなる又はゼロとなる。これにより、冷却ヒートシンク100bによって放出空気7から吸収された熱を利用して加熱を行う加熱部103は、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの加熱を弱めるか、又は、加熱を停止する。よって、空間浄化装置11は、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度が過剰に高くなることを抑制でき、放出空気7に次亜塩素酸ガスが過剰に含まれることを抑制できる。
【0099】
また、空間浄化装置11は、空間浄化機器2の指示により循環ポンプ20を運転すると、循環ポンプ20は、空気導入部15と空気放出部16との間における上方空間23に向けて電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを吹き出して水流21を生じさせる。より詳細には、循環ポンプ20は、水流21として、吹出水流21a及び攪拌水流21bを生じさせる。
【0100】
吹出水流21aは、循環ポンプ20の水溶液吹出口20bから上方空間23に吹き出される水の流れである。上方空間23に向けて吹き出された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bは、吹出水流21aの勢いによって液面が盛り上がり水柱となる、又は、飛散して水滴となり、上方空間23に存在することができる。
【0101】
ここで、次亜塩素酸水溶液13bの吹出水流21aは、水柱又は水滴などの形状で上方空間23に存在することにより、水柱又は水滴などがない場合と比較して、空気流22と広い面積で気液接触させることができる。このため、同じ次亜塩素酸水溶液13bの次亜塩素酸濃度であっても、空気流22に含ませられる次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。
【0102】
攪拌水流21bは、吹出水流21aが液面に着水した後に、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの内部に作る水の流れである。攪拌水流21bは、液面から溶液領域18の底部に向けて流れた後、溶質領域17に水の流れを生じさせないための沈殿物フィルタ19及び壁面に到達して方向転換し、循環ポンプ20の水溶液吸込口20aから循環ポンプ20に吸い込まれる。
【0103】
ここで、電解液13aの攪拌水流21bは、電解部14を通過するように流れるため、この際に電解部14表面に生じた酸素ガス及び水素ガスの気泡がそのまま電解部14に付着している状態となることを抑制することができる。
【0104】
また、循環ポンプ20は、攪拌水流21bにより、加熱部103に向けて電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの対流が引き起こされる。これにより、循環ポンプ20は、加熱された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bが加熱部103付近に滞留することを抑制し、温度の低い電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱部103に供給し続けることができる。よって、空間浄化装置11は、加熱部103における熱交換効率を高めることができるので、加熱による次亜塩素酸ガスの増加と、放出空気7の冷却による結露水の発生(即ち、結露水の貯留部13への還流)と、を効率よく行うことができる。
【0105】
ここで、空間浄化装置11は、例えば、次亜塩素酸ガスの供給を連続的に行いつつ、所定時間(例えば、10分)ごとに電気分解による次亜塩素酸の生成を4分程度行う制御が行われる。このため、次亜塩素酸ガスの供給と電気分解とが同時に行われている期間には、循環ポンプ20の稼働によって発生する吹出水流21a及び攪拌水流21bによる効果が同時に得られるものである。
【0106】
以上説明した第一実施の形態に係る空間浄化装置11によれば、以下の効果を享受することができる。
【0107】
(1)空間浄化装置11は、貯留部13によって、筐体11aの内部に次亜塩素酸水溶液13bが貯留される。また、筐体11aの内部に形成される貯留部13の上方空間23には、筐体11a外部から導入空気6が空気導入部15により導入される。そして、貯留部13より次亜塩素酸ガスを取り込んだ上方空間23の空気は、放出空気7として空気放出部16により筐体11aの外部に放出される。このとき、貯留部13に貯留される次亜塩素酸水溶液13bは、加熱部103により加熱されるので、次亜塩素酸水溶液13bから上方空間23に対して放出される次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。よって、空間浄化装置11は、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させることができる。一方、次亜塩素酸水溶液13bが加熱されると、次亜塩素酸水溶液13bから上方空間23に対して水分が蒸発し易くなる。これにより、上方空間23から導入口を介して空気放出部16に取り込まれる放出空気7の水分量が増加する一方、貯留部13の水分の減少量も増加する。これに対し、空間浄化装置11は、冷却部100によって空気放出部16の放出空気7に含まれる水分を冷却し、貯留部13に結露水として還流する。これにより、空間浄化装置11は、加熱部103の加熱によって貯留部13に貯留される次亜塩素酸水溶液13b及び電解液13aの水分減少を抑制できる。よって、空間浄化装置11は、加熱部103による次亜塩素酸水溶液13bの加熱により放出空気7含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部13の給水回数の増加を抑制できる。
【0108】
(2)空間浄化装置11は、加熱部103と冷却部100とが熱搬送部101によって接続され、冷却部100にて空気放出部16を流通する放出空気7より吸収した熱が、熱搬送部101により加熱部103に搬送される。これにより、空間浄化装置11は、加熱部103による電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの加熱によって蒸発した水分量に応じた量の結露水を、冷却部100の冷却によって得ることができる。そして、その結露水が貯留部13に還流されるので、貯留部13への給水回数の増加を抑制できる。
【0109】
(3)空間浄化装置11は、貯留部13の下部(溶液領域18の底部側)に設けられた加熱部103によって、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bが加熱される。これにより、空間浄化装置11は、貯留部13に貯留される電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bに対流を発生させることができる。よって、空間浄化装置11は、加熱部103における熱交換効率を高めることができるので、加熱による次亜塩素酸ガスの増加と、放出空気7の冷却による結露水の発生(即ち、結露水の貯留部13への還流)と、を効率よく行うことができる。
【0110】
(4)空間浄化装置11は、貯留部13に設けられた循環ポンプ20により、加熱部103に向けて電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの対流を引き起こす。これにより、空間浄化装置11は、加熱部103における熱交換効率を高めることができるので、加熱による次亜塩素酸ガスの増加と、放出空気7の冷却による結露水の発生(即ち、結露水の貯留部13への還流)と、を効率よく行うことができる。
【0111】
その他、空間浄化装置11は、上記説明の中で記載した通り、各々の構成に対し、その構成に対応した効果を享受できる。
【0112】
(第二実施の形態)
次いで、図6を参照して、第二実施の形態に係る空間浄化装置11の概略構成について説明する。図6は、その空間浄化装置11を備えた空間浄化機器2の構成を示す概略構成図である。以下、第二実施の形態に係る空間浄化装置11の説明において、第一実施の形態に係る空間浄化装置11と相違する点を中心に説明し、第一実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0113】
第二実施の形態に係る空間浄化装置11は、第一実施の形態に係る空間浄化装置11に対して、更に第二放熱ヒートシンク105が接続される点で第一実施の形態と異なっている。
【0114】
第一実施の形態に係る空間浄化装置11は、冷却部100で放出空気7に含まれる水分から吸収した熱を、熱搬送部101によって加熱部103に搬送する。そして、加熱部103は、この熱を利用して貯留部13に貯留された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱する。ただし、第一実施の形態に係る空間浄化装置11のように、冷却部100で放出空気7に含まれる水分から吸収した熱をそのまま加熱部103に搬送して加熱を行うと、場合によっては電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱し過ぎてしまう場合も生じ得る。
【0115】
電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱し過ぎた場合は、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスが過剰になる恐れがある。また、冷却部100による放出空気7からの結露水の生成と貯留部13への還流を行ったとしても、貯留部13の水分の減少が多くなり、貯留部13への給水回数が増加する恐れがある。
【0116】
第二実施の形態に係る空間浄化装置11に設けた第二放熱ヒートシンク105は、空間浄化装置11の筐体11aの外部(例えば、空間浄化機器2の内部風路内、又は、空間浄化機器2の外部)に設けられ、第二熱搬送部104を介して、冷却部100と接続される。第二熱搬送部104は、熱搬送部101と同様の構成を有するヒートパイプである。冷却部100で放出空気7より吸収した熱の一部は、熱搬送部101により加熱部103に搬送され、また、冷却部100で放出空気7より吸収した熱の残りの一部は、第二熱搬送部104により第二放熱ヒートシンク105に搬送される。
【0117】
第二放熱ヒートシンク105は、平板状の金属から垂直方向に棒状の金属が複数本突出されるようにして成形されて構成される。また、第二放熱ヒートシンク105は、平板状の金属から垂直方向に板状の金属が複数枚平行に突出されるようにして成形されたものであってもよいし、その他の一般的なヒートシンク形状を有するものであってもよい。これにより、第二放熱ヒートシンク105は、冷却部100より搬送された熱を効率よく放熱できる。
【0118】
特に、第二放熱ヒートシンク105を、図6に示すように空間浄化機器2の内部風路内に設けた場合には、除塵空気5が内部風路を流通する過程で第二放熱ヒートシンク105のフィン(上記した棒状又は板状の金属)を冷却する。これにより、空間浄化装置11は、第二放熱ヒートシンク105の放熱効率を高めることができる。
【0119】
このように、第二実施の形態に係る空間浄化装置11は、冷却部100で放出空気7より吸収した熱を、加熱部103と第二放熱ヒートシンク105とに分散して搬送できる。よって、加熱部103によって電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bが過剰に加熱されることを抑制できる。
【0120】
その他、第二実施の形態に係る空間浄化装置11は、第一実施の形態に係る空間浄化装置11と同様の構成によって、同様の作用効果を奏する。
【0121】
(第三実施の形態)
次いで、図7を参照して、第三実施の形態に係る空間浄化装置11の概略構成について説明する。図7は、その空間浄化装置11を備えた空間浄化機器2の構成を示す概略構成図である。以下、第三実施の形態に係る空間浄化装置11の説明において、第一実施の形態に係る空間浄化装置11と相違する点を中心に説明し、第一実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0122】
第一実施の形態に係る空間浄化装置11は、冷却部100と加熱部103とを熱搬送部101で接続し、加熱部103として放熱ヒートシンクを用いて、冷却部100で放出空気7より吸収した熱を利用して、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱した。
【0123】
これに対し、第三実施の形態に係る空間浄化装置11は、熱搬送部101を用いずに、加熱部103として電熱ヒータ103aを用いて、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bを加熱する。冷却部100で放出空気7より吸収した熱は、加熱部103へ搬送せず、冷却部100において放出する。
【0124】
この場合、空間浄化装置11は、温度センサ110により検知された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度に基づいて、電熱ヒータ103aによる加熱強度を調整する。これにより、空間浄化装置11は、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bが過剰に加熱されることを抑制できる。なお、加熱部103は、電熱ヒータ103aの他、通電することによって熱を発生するものが用いられてもよい。
【0125】
また、第三実施の形態に係る空間浄化装置11は、冷却部100において、ペルチェ素子100aに代えて、冷媒配管100cを用意し、その冷媒配管100cを冷凍サイクルの蒸発器として機能させるように構成されている。冷却部100は、蒸発器として機能する冷媒配管100cによって、冷却ヒートシンク100bを介して放出空気7より熱を吸収し、放出空気7に含まれる水分を冷却する。
【0126】
この場合、冷却部100は、温度センサ110により検知された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度に基づいて、冷凍サイクルにおける冷媒の膨張の度合いを制御する。これにより、空間浄化装置11は、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bから放出(蒸発)される水分量に応じた水分が冷却部100によって結露されるように、冷却部100を制御できる。
【0127】
このように、第三実施の形態に係る空間浄化装置11は、熱搬送部101を用いることなく、加熱部103による次亜塩素酸水溶液13bの加熱と、冷却部100による放出空気7に含まれる水分の冷却とを行える。よって、空間浄化装置11は、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部13への給水回数の増加を抑制できる。
【0128】
また、第三実施の形態に係る空間浄化装置11は、加熱部103による次亜塩素酸水溶液13bの加熱と、冷却部100による放出空気7に含まれる水分の冷却とを独立して制御できる。よって、空間浄化装置11は、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量と、貯留部13に還流させる結露水の量とを独立して制御できる。従って、空間浄化装置11は、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量の増加と、貯留部13への給水回数の増加の抑制との両立を、容易に図ることができる。
【0129】
その他、第三実施の形態に係る空間浄化装置11は、第一実施の形態に係る空間浄化装置11と同様の構成によって、同様の作用効果を奏する。
【0130】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、以下に説明する変形例も含む各実施の形態は、それぞれ、他の実施の形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施の形態に追加し又はその実施の形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施の形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0131】
上記第一実施の形態に係る空間浄化装置11は、冷却部100をペルチェ素子100aと冷却ヒートシンク100bとで構成し、加熱部103を放熱ヒートシンクで構成して、冷却部100と加熱部103とをヒートパイプで構成される熱搬送部101にて接続した。これに対し、冷却部100と加熱部103とが、1つの冷凍サイクルを構成する冷媒配管によって構成されてもよい。即ち、冷却部100は、冷凍サイクルの蒸発器により構成され、蒸発器によって放出空気7に含まれる水分を冷却する。また、加熱部103は、冷凍サイクルの凝縮器により構成され、貯留部13に貯留された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bに熱を放出することで加熱する。これによっても、空間浄化装置11は、第一実施の形態と同様に、放出空気7に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部13への給水回数の増加を抑制できる。
【0132】
上記第二実施の形態では、冷却部100が、熱搬送部101を介して加熱部103と接続され、また、第二熱搬送部104を介して第二放熱ヒートシンク105と接続される場合について説明した。これに対し、冷却部100から加熱部103に搬送する熱量と、冷却部100から第二放熱ヒートシンク105に搬送する熱量との比率を変化させる機構が空間浄化装置11に設けられてもよい。そして、この熱量の比率が、温度センサ110により検知された電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度に基づいて制御されてもよい。例えば、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度が第三温度以上の場合、その温度が第三温度未満の場合と比して、冷却部100から加熱部103に搬送される熱量が少なくなるように、上記熱量の比率が制御されてもよい。また、電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度が第三温度よりも高い第四温度以上の場合、冷却部100で放出空気7より吸収した熱が全て第二放熱ヒートシンク105に搬送されるように、上記熱量の比率が制御されてもよい。これにより、貯留部13の電解液13a及び次亜塩素酸水溶液13bの温度が過剰に高くなることを抑制できる。
【0133】
上記第三実施の形態では、冷却部100に冷媒配管100cが用いられ、その冷媒配管100cを冷凍サイクルの蒸発器として機能させる場合について説明したが、第一実施の形態と同様に、冷却部100としてペルチェ素子100aが用いられてもよい。この場合も、第三実施の形態に係る空間浄化装置11と同様の効果を奏する。
【0134】
上記各実施の形態に係る空間浄化装置11は、循環ポンプ20として、水溶液吸込口20aと、水溶液吸込口20aから吸い込んだ電解液13aを貯留部13内に吹き出す水溶液吹出口20bとを有する部材を用いたが、これに限られない。例えば、空間浄化装置11は、循環部として、循環ポンプ20に代えて、回転するフィン又はスクリューなどによって水流21を生じさせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本開示に係る空間浄化装置は、放出空気に含まれる次亜塩素酸ガスの量を増加させつつ、貯留部への給水回数の増加を抑制できるので、有用である。
【符号の説明】
【0136】
1 室内
2 空間浄化機器
3 吸込空気
4 吹出空気
5 除塵空気
6 導入空気
7 放出空気
8 吸込口
9 集塵フィルタ
10 送風機
11 空間浄化装置
11a 筐体
12 吹出口
13 貯留部
13a 電解液
13b 次亜塩素酸水溶液
13c 電解質
14 電解部
15 空気導入部
16 空気放出部
17 溶質領域
18 溶液領域
19 沈殿物フィルタ
20 循環ポンプ
20a 水溶液吸込口
20b 水溶液吹出口
20c 駆動部
21 水流
21a 吹出水流
21b 攪拌水流
22 空気流
23 上方空間
100 冷却部
100a ペルチェ素子
100b 冷却ヒートシンク
100c 冷媒配管
101 熱搬送部
103 加熱部
103a 電熱ヒータ
104 第二熱搬送部
105 第二放熱ヒートシンク
110 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7