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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139865
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】天井扇
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241003BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20241003BHJP
   F04D 27/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F7/007 101
F24F11/79
F04D27/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050795
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】重森 正宏
(72)【発明者】
【氏名】平松 友
(72)【発明者】
【氏名】岸本 如水
(72)【発明者】
【氏名】住永 健志
【テーマコード(参考)】
3H021
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3H021BA13
3H021CA06
3H021CA09
3H021DA13
3H021EA05
3L056BG03
3L260BA08
3L260CB63
3L260EA07
3L260EA08
3L260FC05
(57)【要約】
【課題】システム全体の消費電力を抑制可能な天井扇を提供することを目的とする。
【解決手段】天井扇10は、平面視において、被空調空間3を空調する第1空調機1と第2空調機2との間に配置される天井扇であって、被空調空間3は、第1空調機1を挟んで第2空調機2とは反対側に配置された側壁42に接し、第1空調機1の第1設定温度と、第2空調機2の第2設定温度と、を取得する取得部と、取得部で取得された第1設定温度と第2設定温度との温度差に応じて本天井扇10の送風方向を下向きと上向きとで切り替える制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において、被空調空間を空調する第1空調機と第2空調機との間に配置される天井扇であって、
前記被空調空間は、前記第1空調機を挟んで前記第2空調機とは反対側に配置された側壁に接し、
前記第1空調機の第1設定温度と、前記第2空調機の第2設定温度と、を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記第1設定温度と前記第2設定温度との温度差に応じて本天井扇の送風方向を下向きと上向きとで切り替える制御部と、
を備える天井扇。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度差が閾値未満の場合、前記送風方向を下向きにし、前記温度差が前記閾値以上の場合、前記送風方向を上向きにする、請求項1に記載の天井扇。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度差が前記閾値以上である場合に、前記温度差の増加に応じて本天井扇の送風量を増加させる、請求項2に記載の天井扇。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2空調機が作動し、前記第1空調機が作動していない場合、前記送風方向を上向きにする、請求項2に記載の天井扇。
【請求項5】
前記取得部は、前記第1設定温度及び前記第2設定温度を所定の頻度で取得する、請求項1に記載の天井扇。
【請求項6】
前記制御部は、前記温度差が前記閾値未満と前記閾値以上との間で変化した場合、当該変化後の温度差が所定の期間維持されたときに、前記送風方向を下向きと上向とで切り替える、請求項2に記載の天井扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、天井扇に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の天井に設けられ、室内空間に送風する天井扇が知られている。例えば、特許文献1には、室内の天井に設けられる天井扇と、当該室内を空調する空調装置と、これらの運転を制御する制御部とを備える空気調和システムが記載されている。このシステムでは、制御部は、天井扇による送風動作を空調装置の空調動作に連動するように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-174028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、天井扇について以下の認識を得た。オフィスなどの広い被空調空間では、複数の空調装置に加えて天井扇を設置する場合がある。複数の空調装置と天井扇とを連動して空調を制御するシステムでは、全体の空調負荷を低減してシステム全体の消費電力を抑制することが重要である。
これらのことから、発明者らは、特許文献1に記載の装置には、システム全体の消費電力を抑制する観点から改善すべき課題があることを認識した。
【0005】
本開示の目的は、システム全体の消費電力を抑制可能な天井扇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の天井扇は、平面視において、被空調空間を空調する第1空調機と第2空調機との間に配置される天井扇であって、被空調空間は、第1空調機を挟んで第2空調機とは反対側に配置された側壁に接し、第1空調機の第1設定温度と、第2空調機の第2設定温度と、を取得する取得部と、取得部で取得された第1設定温度と第2設定温度との温度差に応じて本天井扇の送風方向を下向きと上向きとで切り替える制御部と、を備える。
【0007】
なお、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、システム全体の消費電力を抑制可能な天井扇を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例に係る天井扇を含む空調システムを模式的に示す側面図である。
図2図2は、図1の空調システムを模式的に示す平面図である。
図3図3は、図1の天井扇を示すブロック図である。
図4図4は、図1の天井扇の第1運転モード時の空気の流れを模式的に示す側面図である。
図5図5は、図1の天井扇の第2運転モード時の空気の流れを模式的に示す側面図である。
図6図6は、比較例の空調システムの空気の流れを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。実施例及び変形例では、同一又は同等の構成要素及び部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施例を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
また、第1あるいは第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0012】
[実施例]
図1図3を参照して実施例に係る天井扇10を説明する。図1は、実施例に係る天井扇10を含む空調システム100を模式的に示す側面図である。図2は、空調システム100を模式的に示す平面図である。図3は、天井扇10を示すブロック図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、空調システム100は、第1空調機1と、第2空調機2と、天井扇10とを有して構成され、被空調空間3の空調を行うシステムである。実施例の第1空調機1と第2空調機2は、被空調空間3の冷房と暖房とを行うことが可能なエアコン(エアコンディショナ)であり、公知の空気調和技術を用いて構成できる。実施例の天井扇10は後述する。
【0014】
被空調空間3は、天井41と床45との間の空間であって、側壁42を含む4面の壁43によって囲まれる直方体空間である。被空調空間3は、主に第1空調機1によって空調される第1領域31と、主に第2空調機2よって空調される第2領域32とを含む。図1において、符号Laは、便宜的に設定された第1領域31と第2領域32の境界面Bにおいて鉛直に延びる鉛直線を示す。第1領域31は、境界面Bと側壁42との間の空間である。第2領域32は、境界面Bを挟んで第1領域31とは反対側の空間であり、側壁42に対向する対向側面(不図示)と境界面Bとの間の空間である。したがって、第1空調機1は、第2空調機2よりも側壁42に近い位置に配置されている。換言すると、被空調空間3は、第1空調機1を挟んで第2空調機2とは反対側に配置された側壁42に接する。
【0015】
第2領域32は、例えば、座席ゾーンなどであり、複数のユーザが連続的に使用することが想定された領域である。したがって、第2領域32では、空調は継続的に使用される。第1領域31は、例えば、休憩ゾーンあるいは会議ゾーン(非座席ゾーン)であり、比較的少数のユーザが、断続的に使用することが想定された領域である。したがって、第1領域31では、空調は断続的に使用され、空調が使用されない時間が長くある。なお、座席ゾーンと非座席ゾーンとは、第2領域32と第1領域31と多少ずれていてもよい。
【0016】
天井扇10は、天井41に取り付けられ、被空調空間3に下向き気流Fdあるいは上向き気流Fuを提供する。天井扇10は、平面視において、建物4の被空調空間3を空調する第1空調機1と第2空調機2との間に配置される。鉛直線Laは、天井扇10から鉛直下方に延びる直線である。
【0017】
天井扇10は、モータ12と、羽根14と、情報処理部5とを含む。情報処理部5は、図3に示すように、取得部52と、制御部56と、データバス51とを含む。データバス51は、取得部52と、制御部56との間で情報を伝達する。情報処理部5の各機能ブロックは、CPU(Central Processing Unit)等のハードウエア及びコンピュータプログラム等のソフトウエアにより実現できる。取得部52は、第1空調機1の第1設定温度T1と、第2空調機2の第2設定温度T2とを取得する。取得部52は、有線あるいは無線の情報伝達路を通じて、第1空調機1から送信された第1設定温度T1と、第2空調機2から送信された第2設定温度T2とを受信する通信手段として機能する。制御部56は、取得部52で取得された第1設定温度T1と第2設定温度T2との温度差Tdに応じて天井扇10の送風方向を下向きと上向きとで切り替える。
【0018】
天井扇10は、制御部56に制御されるモータ12によって羽根14を回転させる扇風機として機能する。天井扇10は、羽根14を正方向に回転させることにより、天井41から床45に向かう下向きの気流Fdを生じさせる。天井扇10は、羽根14を逆方向に回転させることにより、床45から天井41に向かう上向きの気流Fuを生じさせる。
【0019】
先に、図6を参照して、天井扇を有しない比較例の空調システム500の空気の流れを説明する。図6は、比較例の空調システム500の空気の流れを模式的に示す図である。一つの被空調空間3が複数の領域に区分されており、上述のように、それぞれの領域の空調ニーズが異なる場合がある。例えば、第2領域32には冷房のニーズがあり、第1領域31には冷房のニーズがない時間帯があるときに、この時間帯には第2空調機2のみを冷房運転する場合がある。
【0020】
この場合、第2空調機2からの冷気により、第2領域32の気温が下がり、第1領域31の気温は第2領域32の気温よりも相対的に高くなる。このとき、両者の温度差により、矢印で示すような対流が生じ、両者の空気が混ざり合うことで、第1領域31の気温は下がり、第2領域32の気温は上がり、やがてこれらはほぼ同じになる。第2領域32の気温が上がるため、第2空調機2は、第2領域32の冷房ニーズに対応して設定された第2設定温度T2になるように、冷房力を高めるように動作する。この結果、第2空調機2は、空調ニーズのない第1領域31の分まで含む大きな空調負荷を負担することとなり、消費電力が増加する。この現象は暖房運転時にも生じ得る。
【0021】
比較例の説明を踏まえて、実施例を説明する。上述したように、天井扇10の取得部52は、第1空調機1の第1設定温度T1と、第2空調機2の第2設定温度T2とを取得する。第1設定温度T1及び第2設定温度T2は、ユーザによるリモコン等(不図示)の操作によって設定される。制御部56は、取得部52で取得された第1設定温度T1と第2設定温度T2との温度差Tdに応じて天井扇10の送風方向を下向きと上向きとで切り替える。
【0022】
取得部52が第1設定温度T1及び第2設定温度T2を常時監視する構成では、取得部52の処理負担が大きく、コスト的に不利である。そこで、実施例では、取得部52は、第1設定温度T1及び第2設定温度T2を所定の頻度で取得する。設定温度の取得頻度は、取得部52の処理負担と、送風方向を切り替えることの効果とのバランスに応じて実験あるいはシミュレーションにより設定できる。一例として、この取得頻度は、1分毎、10分毎、あるいは1時間毎等であってもよい。
【0023】
図4を参照して、送風方向が下向きの第1運転モードを説明する。図4は、第1運転モード時の空気の流れを模式的に示す図である。天井扇10は、温度差Tdが閾値Th未満の場合、送風方向を下向きにした第1運転モードで動作する。一例として、閾値Thは「2℃」であってもよい。
【0024】
例えば、温度差Tdが「1℃以下」の場合、閾値Th未満であるため、天井扇10は下向きの気流Fdを生じさせる。気流Fdが勢いよく吹き降ろすと、誘引気流Fhが生じ、気流が攪拌されて渦Fgが発生するため熱交換が促進される。天井41付近から吹き降ろした気流Fdは床45に当たり、床45に沿って気流Fsを発生させる。気流Fsは、まだ温度が高いのでまた上昇し、上昇気流Fjとなる。この結果、第1運転モードでは、これらの気流により空気が攪拌され、第1領域31は、短時間で第2領域32と同じ温度水準になり、第1領域31の快適性が向上する。
【0025】
図5を参照して、送風方向が上向きの第2運転モードを説明する。図5は、第2運転モード時の空気の流れを模式的に示す図である。天井扇10は、温度差Tdが閾値Th以上の場合、送風方向を上向きにした第2運転モードで動作する。
【0026】
例えば、温度差Tdが閾値Th以上である場合、天井扇10は上向きの気流Fuを生じさせる。気流Fuは、天井41に当たり、天井41に沿った気流Fkを発生させる。気流Fkは、第1領域31の側壁42に衝突し、方向を変えて側壁42に沿って天井41から床45の方向に降下する気流Fmを発生させる。気流Fmは、やがて床45に衝突し、また方向を変えて床45に沿った気流Fnを発生させる。床45を流れる気流Fnは、天井扇10に吸引され、上昇気流Fpを発生させる。
【0027】
この結果、第2運転モードでは、天井扇10は、第1領域31全体を緩やかに循環する域内循環気流を発生させる。この域内循環気流により第1領域31の空気が第1領域31に留まる。また、第1領域31と第2領域32の境界で上向きの緩やかな気流Fpが形成される。これにより、第1設定温度T1と第2設定温度T2との差異である温度差Tdが存在する第1領域31と第2領域32との間での対流である領域間対流が抑制される。領域間対流が抑制されることにより、第2領域32の快適性が向上し、第2空調機2の空調負荷が低減され、消費電力も低減される。
【0028】
第2運転モードにおいて、温度差Tdが大きい場合には、温度差Tdが小さい場合よりも、第1領域31と第2領域32との間の領域間対流を強く抑制することが望ましい。そこで、実施例では、制御部56は、温度差Tdが閾値Th以上である場合に、温度差Tdの増加に応じて天井扇10の送風量を増加させる。例えば、制御部56は、温度差Tdの大きさに応じて、徐々に送風量を増加させてもよいし、段階的(例えば、2段階あるいは3段階等)に送風量を増加させてもよい。この場合、温度差Tdが大きい場合に領域間対流を強く抑制することができる。
【0029】
天井扇10が第2運転モードで運転される別例を説明する。第1空調機1が作動していない場合、非作動の第1空調機1の設定温度は不明な場合がある。そこで、実施例では、天井扇10は、第2空調機2が作動し、第1空調機1が作動していない場合には、温度差Tdが閾値Th以上であると見なして、送風方向を上向きにする第2運転モードで運転される。具体的には、第2空調機2がオンで作動しており、第1空調機1がオフで作動していない場合には、天井扇10は、図5に示すように第1領域31全体を緩やかに循環する域内循環気流を発生させ、2つの領域での領域間対流を抑制し、快適性向上と、空調負荷低減による消費電力低減とを図れる。
【0030】
例えば、ユーザが様々な温度設定を試みるときに、温度差Tdが閾値Th未満と閾値Th以上との間で頻繁に変化する場合がある。この場合に、運転モードが頻繁に変化し、その度に送風方向が変化すると、他のユーザに大きな違和感を与え、集中力を低下させるおそれがある。そこで、実施例では、制御部56は、温度差Tdが閾値Th未満と閾値Th以上との間で変化した場合、当該変化後の温度差Tdが所定の待機期間維持されたときに、送風方向を下向きと上向とで切り替える。この待機期間は、ユーザが様々な温度設定を試みる期間を想定し、その想定結果に応じて設定できる。一例として、この待機期間は、5分あるいは10分等であってもよい。
【0031】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示の天井扇(10)は、平面視において、被空調空間(3)を空調する第1空調機(1)と第2空調機(2)との間に配置される天井扇であって、被空調空間(3)は、第1空調機(1)を挟んで第2空調機(2)とは反対側に配置された側壁(42)に接し、第1空調機(1)の第1設定温度(T1)と、第2空調機(2)の第2設定温度(T2)と、を取得する取得部(52)と、取得部(52)で取得された第1設定温度(T1)と第2設定温度(T2)との温度差(Td)に応じて本天井扇(10)の送風方向を下向きと上向きとで切り替える制御部(56)と、を備える。
【0032】
この構成によれば、下向き送風の場合に、気流により空気が攪拌され、第1領域31は、短時間で第2領域32と同じ温度水準になり、快適性が向上する。上向き送風の場合に、第1領域31と第2領域32との間の領域間対流が抑制され、空調機の空調負荷が低減され、引いては消費電力を抑制できる。
【0033】
一例として、実施例では、制御部(56)は、温度差(Td)が閾値Th未満の場合、送風方向を下向きにし、温度差(Td)が閾値Th以上の場合、送風方向を上向きにする。この場合、温度差が小さいときは下向き送風になり、空気が攪拌され、両方の領域は同じ温度水準になり、快適性が向上し、温度差が大きいときは上向き送風になり、両方の領域間の領域間対流が抑制され、空調機の空調負荷が低減される。
【0034】
一例として、実施例では、制御部(56)は、温度差(Td)が閾値(Th)以上である場合に、温度差(Td)の増加に応じて天井扇(10)の送風量を増加させる。この場合、温度差が大きいほど、送風量が増えて両方の領域間の領域間対流が一層抑制され、空調機の空調負荷が一層低減される。
【0035】
一例として、実施例では、制御部(56)は、第2空調機(2)が作動し、第1空調機(1)が作動していない場合、送風方向を上向きにする。この場合、第1空調機(1)が作動していない場合に上向き送風になり、両方の領域間の領域間対流が抑制され、作動している第2空調機(2)の空調負荷が低減される。
【0036】
一例として、実施例では、取得部(52)は、第1設定温度(T1)及び第2設定温度(T2)を所定の頻度で取得する。この場合、設定温度を常時監視する構成と比べて、取得部52の処理負担を軽減でき、コスト的に有利になる。
【0037】
一例として、実施例では、制御部(56)は、温度差(Td)が閾値(Th)未満と閾値(Th)以上との間で変化した場合、当該変化後の温度差(Td)が所定の期間維持されたときに、送風方向を下向きと上向とで切り替える。この場合、送風方向の切り替え頻度を低くできる。
【0038】
本開示の第2の態様は、空調システム(100)である。本開示の空調システム(100)は、第1空調機(1)と、第2空調機(2)と、天井扇(10)とを有して構成され、被空調空間(3)の空調を行うシステムであって、天井扇(10)は、平面視において、被空調空間(3)を空調する第1空調機(1)と第2空調機(2)との間に配置され、被空調空間(3)は、第1空調機(1)を挟んで第2空調機(2)とは反対側に配置された側壁(42)に接し、第1空調機(1)の第1設定温度(T1)と、第2空調機(2)の第2設定温度(T2)と、を取得する取得部(52)と、取得部(52)で取得された第1設定温度(T1)と第2設定温度(T2)との温度差(Td)に応じて天井扇(10)の送風方向を下向きと上向きとで切り替える制御部(56)と、を備える。
【0039】
この構成によれば、下向き送風の場合に、気流により空気が攪拌され、第1領域31は、短時間で第2領域32と同じ温度水準になり、快適性が向上する。上向き送風の場合に、第1領域31と第2領域32との間の領域間対流が抑制され、空調機の空調負荷が低減され、引いては消費電力を抑制できる。
【0040】
以上、本開示を、実施例をもとに詳細に説明した。上述した実施例は、いずれも本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施例の内容は、請求の範囲に規定された思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。上述の説明では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施例の」「実施例では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容される。
【0041】
実施例では、平面視で、被空調空間3が四角形である例を示したが、これに限られない。例えば、被空調空間は、平面視で円形、楕円形あるいはこれらと四角形とを組み合わせた形状等であってもよい。
【0042】
実施例では、平面視で、天井扇10が第1空調機1と第2空調機2とを通る直線上に配置される例を示したが、これに限られない。天井扇は、第1空調機と第2空調機とを通る直線外の位置に配置されてもよい。
【0043】
実施例では、第1空調機1と第2空調機2とが、天井41に設けられる例を示したが、これに限られない。例えば、第1空調機と第2空調機の一方又は双方は、側壁(側壁42を除く)に設けられてもよい。
【0044】
実施例では、第1空調機1と第2空調機2との間に1基の天井扇10を配置したが、これに限られない。第1空調機1と第2空調機2との間に、境界面Bに沿って複数(例えば2基)の天井扇10を配置してもよい。
【0045】
実施例では、情報処理部5を天井扇10に設けたが、これに限られない。空調システム100において、第1空調機1、第2空調機2、及び天井扇10の各制御部を統合して制御する統合制御部に情報処理部5の機能を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示の天井扇は、屋内空間を空調するシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 第1空調機、 2 第2空調機、 3 被空調空間、 4 建物、 5 情報処理部、 10 天井扇、 12 モータ、 14 羽根、 31 第1領域、 32 第2領域、 41 天井、 42 側壁、 43 壁、 45 床、 51 データバス、 52 取得部、 56 制御部、 100 空調システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6