(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139915
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】カッタユニット、およびカッタユニットを有するプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 11/70 20060101AFI20241003BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20241003BHJP
B65H 29/56 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J11/70
B65H35/04
B65H29/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050862
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小口 達也
【テーマコード(参考)】
2C058
3F053
【Fターム(参考)】
2C058AB04
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AE14
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA36
2C058LA37
3F053AA15
3F053AA31
3F053LA07
(57)【要約】
【課題】可動刃に対する記録紙の貼り付きを防止できるカッタユニット、およびカッタユニットを有するプリンタを提供する。
【解決手段】カッタユニット50は、搬送される記録紙Lを切断する。カッタユニット50は、記録紙Lに向かって進退可能であり、進出時に記録紙Lを切断する可動刃81を有する。また、カッタユニット50は、可動刃81の進退方向とは逆方向に移動し、記録紙Lと接触する接触部95を有する剥離機構90を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録紙を切断するカッタユニットであって、
前記記録紙に対して進退可能であり、進出時に前記記録紙を切断する可動刃と、
前記可動刃の進退方向とは逆方向に移動し前記記録紙と接触する接触部を有する剥離機構と、を備える、
カッタユニット。
【請求項2】
前記剥離機構は、前記可動刃の進退方向とは逆方向に移動可能な剥離アームを備え、
前記剥離アームは、
前記記録紙に接触する剥離位置と、前記剥離位置よりも前記記録紙から離れる方向に退避した退避位置との間を変位する、
請求項1に記載のカッタユニット。
【請求項3】
前記剥離アームは、前記可動刃の進出に伴って前記剥離位置から前記退避位置に変位する一方で、前記可動刃の後退に伴って前記退避位置から前記剥離位置に変位する、
請求項2に記載のカッタユニット。
【請求項4】
前記剥離アームは、前記剥離位置と前記退避位置との間の変位において、前記記録紙の送出方向と直交する方向の面に沿って回動する、
請求項2に記載のカッタユニット。
【請求項5】
前記可動刃を保持する保持部材を備え、
前記剥離アームは、前記剥離位置に位置する状態で前記保持部材が接触することにより当該剥離位置を維持しており、接触箇所から離れる方向に前記保持部材が移動することに基づいて前記退避位置に変位可能となる、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載のカッタユニット。
【請求項6】
前記接触部は、前記剥離位置において前記可動刃よりも前記記録紙に近い位置にあり、前記退避位置において前記可動刃よりも前記記録紙から離れた位置にある、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載のカッタユニット。
【請求項7】
前記接触部は、前記剥離位置において、前記可動刃を保持する保持部材の上縁と前記保持部材を支持する支持体の上縁との間にあり、
前記可動刃は、前記接触部の前記剥離位置において、前記記録紙を送出するプラテンおよび前記接触部よりも前記記録紙から離れた位置にある、
請求項6に記載のカッタユニット。
【請求項8】
前記剥離機構は、
同一平面上に前記剥離アームを一対備え、
前記剥離位置は、一対の前記剥離アームが相互に最も近づいた位置であり、
前記退避位置は、一対の前記剥離アームが相互に最も離れた位置である、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載のカッタユニット。
【請求項9】
前記可動刃を移動可能かつ前記剥離機構を移動可能に支持する支持体を有し、
一対の前記剥離アームの下端部は、相互に隣接する位置にあり、
一対の前記剥離アームは、前記下端部から上方向に向かって相互に離れる方向に延在し、上端部において前記記録紙を前記可動刃から剥離する、
請求項8に記載のカッタユニット。
【請求項10】
記録紙を切断するカッタユニットと、前記カッタユニットを動作させる動作部と、を有し、前記記録紙を送出しながら印刷を行うプリンタであって、
前記カッタユニットは、
前記記録紙に対して進退可能であり、進出時に前記記録紙を切断する可動刃と、
前記可動刃の進退方向とは逆方向に移動し前記記録紙と接触する接触部を有する剥離機構と、を備える、
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録紙を切断するカッタユニット、およびカッタユニットを有するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙には接着層を有さない普通紙や粘着層を有するラベルがある。ラベルには台紙を備えるものと台紙を備えないものがあるが、台紙を備えないライナレスラベルを送出して当該ライナレスラベルに印刷を行う場合、カッタユニットによりライナレスラベルを切断する際に、カッタ刃からライナレスラベルが剥がれないことで、ジャム(詰まり)になる場合がある。
【0003】
そのため、特許文献1に開示のプリンタは、固定刃と相対的にロータリ刃を回転させてライナレスラベルを切断し、ロータリ刃を固定している排紙部に切断後のライナレスラベルを軽く貼り付ける構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のプリンタは、ロータリ刃と排出部が一体化していることで、ライナレスラベルがロータリ刃と排出部の両方に付着する場合がある。ライナレスラベルがロータリ刃に付着すると、やはりジャムになるおそれがある。
【0006】
本開示は、可動刃に対する記録紙の付着を防止できるカッタユニット、およびカッタユニットを有するプリンタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、搬送される記録紙を切断するカッタユニットであって、前記記録紙に対して進退可能であり、進出時に前記記録紙を切断する可動刃と、前記可動刃の進退方向とは逆方向に移動し前記記録紙と接触する接触部を有する剥離機構と、を備える、カッタユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、可動刃に対する記録紙の付着を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るプリンタのプリンタユニットと、カッタユニットとを示す分解斜視図
【
図2】カッタユニットおよび記録紙をX軸正方向側から見た斜視図
【
図3】カッタユニットをX軸負方向側から見た斜視図
【
図4】ユニット組立体に構成されたカッタ用ギア機構を示す部分断面斜視図
【
図5】メインフレームおよびカッタ構造体を示す斜視図
【
図6】カッタユニットをX軸正方向側から見た斜視図
【
図8】カッタ構造体および剥離機構の動作を示す正面図
【
図9】カッタ構造体および剥離機構の動作を示す正面図
【
図12】カッタユニットの各構成の高さの関係を示す側面断面図
【
図13】変形例に係る剥離アームの接触部を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係るプリンタ1のプリンタユニット10と、カッタユニット50とを示す分解斜視図である。なお、
図1および以降の図に示すX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は、互いに垂直な方向である。X軸方向は、プリンタユニット10とカッタユニット50とが接続する方向であり、X軸正方向側の面を正面、X軸負方向側の面を背面と表現する場合がある。Y軸方向は、プラテン60の軸方向であり、各ユニットの幅方向と表現する場合がある。Z軸方向は、後述する可動刃81の移動方向であり各ユニットの上下方向、高さ方向または鉛直方向と表現する場合がある。
【0012】
図1に示すプリンタ1は、Z軸負方向の面(下面)側に記録紙L(
図2参照)をX軸正方向に送出しながら、この記録紙LのZ軸正方向の面(上面)側に印刷を行う装置である。記録紙Lは、特に限定されるものではないが、例えば、物品に貼り付けられるシールタイプのラベル、チケット等があげられる。
【0013】
プリンタ1は、プリンタユニット10と、カッタユニット50と、を含み、両ユニットは、X軸方向に組み付けることにより一体化されたユニット組立体を構成する。記録紙Lは、このユニット組立体の上面に沿ってX軸正方向に向かって繰り出される(
図2も参照)。
【0014】
また、プリンタ1は、プリンタユニット10およびカッタユニット50を接続した箇所の上方に、図示しないサーマルヘッドユニットを備える。例えばサーマルヘッドユニットは、送出される記録紙Lの上面に接触した状態で、ヘッド内の発熱体が印刷内容に対応して発熱する。サーマルヘッドユニットの発熱に基づき、記録紙Lが加熱されることで、その箇所のコーティングが発色して印刷がなされる。
【0015】
プリンタユニット10は、ロール状に巻回した記録紙Lを保持すると共に、記録紙Lを送出する各種の構造部を有する。具体的には、プリンタユニット10は、プラテン用モータ11と、カッタ用モータ12と、フレーム20と、プラテン用ギア機構30と、カッタ用ギア機構40と、を有する。
【0016】
フレーム20は、Z軸正方向側から見た上面視で、略凹形状に形成され、Y軸方向に延在する幅方向フレーム21と、幅方向フレーム21の両端部においてX軸負方向に延出する一対のギアボックス22と、を有している。また、一対のギアボックス22は、幅方向フレーム21からZ軸負方向に向かって短く突出している。幅方向フレーム21の下側において、一対のギアボックス22の間に挟まれる空間には、後述するカッタユニット50のプラテン60が部分的に配置される。
【0017】
プラテン用モータ11およびプラテン用ギア機構30は、一対のギアボックス22のうち
図1のY軸正方向側のプラテン用ギア側のギアボックス22Rに設置されている。プラテン用モータ11の本体部は、ギアボックス22RのY軸負方向側の面に固定されている。プラテン用モータ11の回転軸は、本体部からY軸正方向側に突出しており、ギアボックス22RのY軸負方向側の面を貫通している。プラテン用ギア機構30は、ギアボックス22RのY軸正方向側に設けられている。プラテン用モータ11は、回転軸を正転および逆転可能なものが適用されてもよい。
【0018】
プラテン用ギア機構30は、ギアボックス22Rおよびギアカバー31に収納されており、複数のギア32によってプラテン用モータ11の回転軸の回転駆動力を伝達する。プラテン用ギア機構30の各ギア32は、プラテン用モータ11の回転速度を減速する減速機能を有してもよい。
【0019】
一方、カッタ用モータ12およびカッタ用ギア機構40は、一対のギアボックス22のうち
図1のY軸負方向側のカッタ用ギア側のギアボックス22Lに設置されている。カッタ用モータ12の本体部は、ギアボックス22LのY軸正方向側の面に固定されている。カッタ用モータ12の回転軸は、本体部からY軸負方向側に突出しており、ギアボックス22LのY軸正方向側の面を貫通している。カッタ用ギア機構40は、ギアボックス22LのY軸負方向側に設けられている。本実施形態に係るカッタ用モータ12は、回転軸を正転および逆転可能なものである。
【0020】
カッタ用ギア機構40は、ギアボックス22Lおよびギアカバー41に収納されており、複数のギア42(
図4参照)によってカッタ用モータ12の回転軸の回転駆動力を伝達する。カッタ用ギア機構40の各ギア42は、カッタ用モータ12の回転速度を減速する減速機能を有してもよい。
【0021】
カッタユニット50は、以上のプリンタユニット10に組付けられる。カッタユニット50は、カッタ用モータ12およびカッタ用ギア機構40から回転駆動力が伝達され、この回転駆動力を利用して記録紙Lを切断する。すなわち、カッタ用モータ12およびカッタ用ギア機構40は、カッタユニット50を動作させる動作部を構成する。また、カッタユニット50は、プラテン用モータ11およびプラテン用ギア機構30から回転駆動力が伝達され、この回転駆動力を利用してプラテン60を回転させる。なお、プリンタ1は、カッタユニット50にプラテン60を備えずに、プリンタユニット10にプラテン60を備えてもよい。
【0022】
図2は、カッタユニット50および記録紙LをX軸正方向側から見た斜視図である。
図2に示すように、記録紙Lは、カッタユニット50の上方向を通過する。カッタユニット50は、記録紙Lを切断するために、上下方向に可動刃81を昇降させる。具体的には、カッタユニット50は、メインフレーム51と、プラテン60と、カッタ駆動伝達機構70と、上記の可動刃81を有するカッタ構造体80と、剥離機構90と、を備える。
【0023】
図3は、カッタユニット50をX軸負方向側から見た斜視図である。
図2および
図3に示すように、メインフレーム51は、プラテン60、カッタ駆動伝達機構70、カッタ構造体80および剥離機構90を支持する支持体である。メインフレーム51は、X軸方向に沿った断面視で上部が開放された略凹形状に形成され、プラテン60の正面側、背面側および下部側を部分的に覆っている。メインフレーム51は、この略凹形状を有してY軸方向に延在するベース52と、プラテン60を回転自在に支持する一対のサイド板53と、を備えている。
【0024】
詳細には、ベース52は、X軸正方向側に配置されるカッタガイド壁52aと、Z軸負方向側に配置される底部52bと、X軸負方向側に配置される後部構造52cと、を有する。カッタガイド壁52aは、Y軸方向およびZ軸方向に延在すると共に、X軸方向に厚みを有する板状に形成されている。このカッタガイド壁52aは、カッタ構造体80の上下方向のスライドをガイドする機能を有している。
【0025】
また、メインフレーム51は、カッタガイド壁52aにおけるプラテン60側の反対面に、内側補強板金55および外側補強板金56(
図1も参照)を備える。内側補強板金55は、カッタガイド壁52aよりもY軸方向およびZ軸方向の外側に突出し、X軸正方向側からカッタガイド壁52a、プラテン側ギア61、カッタ駆動伝達機構70およびカッタ構造体80を覆っている。外側補強板金56は、内側補強板金55よりも外側(X軸正方向側)に配置され、内側補強板金55の大部分を覆っている。
【0026】
ベース52の底部52bは、カッタガイド壁52aの下部および一対のサイド板53の下部に連なっており、プラテン60の直径よりも長い寸法でX軸方向に延在している。後部構造52cは、底部52bの後側に連なるフィン構造を構成している。後部構造52cは、例えば、Y軸方向から見た側面視で三角形状に形成され、Z軸正方向に短く突出している。後部構造52cは、プリンタユニット10とカッタユニット50との組立状態で、幅方向フレーム21および一対のギアボックス22で囲われた空間に配置される。
【0027】
一対のサイド板53のうちY軸正方向側のサイド板53Rには、プラテン60の一端側の軸が軸支される。また、一対のサイド板53のうちY軸負方向側のサイド板53Lには、プラテン60の他端側の軸が軸支される。
【0028】
サイド板53Rには、プラテン60の軸に固定されたプラテン側ギア61が設けられている。このプラテン側ギア61は、プリンタユニット10にカッタユニット50を装着した状態で、上記したプラテン用ギア機構30の所定のギア32に噛み合う。プラテン60は、各ギア32およびプラテン側ギア61を介してプラテン用モータ11の回転駆動力が伝達されることで、メインフレーム51の内側で回転する。
【0029】
プラテン60は、Y軸方向に沿って延在する円筒状に形成されている。プラテン60は、サーマルヘッドユニットによる印刷時に、記録紙Lの下面を支持する。プラテン60の表面には、記録紙Lがライナレスラベルの場合に記録紙Lの下面に設けられた接着層との接着を弱める、あるいは接着不能にする適宜のコーティングが施されるとよい。プラテン60は、プラテン用ギア機構30の回転駆動力によって回転することで、記録紙LをX軸方向に送出する。
【0030】
カッタ駆動伝達機構70は、サイド板53Lの外側(Y軸負方向側)に設けられている。カッタ駆動伝達機構70は、プリンタユニット10にカッタユニット50を装着した状態で、上記したカッタ用ギア機構40のモータギア12aから離れた末端側のギア42に噛み合う第1ギア71を有する。
【0031】
図4は、ユニット組立体に構成されたカッタ用ギア機構40を示す部分断面斜視図である。
図4に示すように、カッタ用ギア機構40は、カッタ用モータ12の回転軸に連結されるモータギア12aからカッタユニット50の第1ギア71までの間に、複数のギア42を備えている。
【0032】
第1ギア71は、メインフレーム51のサイド板53Lと内側補強板金55のサイド部(不図示)とに軸支されている(
図3も参照)。第1ギア71は、末端側のギア42に噛み合うことで、カッタ用モータ12の回転駆動力が伝達されて回転する。カッタ用モータ12が正転および逆転可能となっていることで、第1ギア71も正転および逆転できる。
【0033】
図5は、メインフレーム51およびカッタ構造体80を示す斜視図であり、(A)は、メインフレーム51をX軸正方向側から見た図、(B)は、カッタガイド壁52aに対向する側(X軸負方向側)からカッタ構造体80を見た図である。
図5(A)に示すように、カッタ駆動伝達機構70は、第1ギア71に加えて、当該第1ギア71に噛み合う第2ギア72をカッタガイド壁52aに備える。カッタガイド壁52aは、幅方向中央部および下部側に、X軸負方向に窪む段差52a1を有し、第2ギア72は、この段差52a1の幅方向外側に一対で設けられている。以下、Y軸負方向側の第2ギア72についてLを付し、Y軸正方向側の第2ギア72についてRを付して説明する。
【0034】
第2ギア72L、72Rは、Y軸方向に延在するシャフト73の両端部にそれぞれ固定されている。シャフト73は、段差52a1に直交するX-Z平面の壁に設けられた一対の孔(不図示)により回転自在に軸支されている。Y軸負方向側の第1ギア71に対して第2ギア72Lが噛み合っている。カッタ用ギア機構40からの回転駆動力に基づいて第1ギア71が回転すると、第2ギア72Lが回転する。この第2ギア72Lの回転がシャフト73を介して第2ギア72Rに伝達されることで、第2ギア72Rも第2ギア72Lと一体的に回転する。
【0035】
カッタ構造体80は、以上のように構成されたカッタ駆動伝達機構70により、メインフレーム51のカッタガイド壁52aと内側補強板金55との間でZ軸方向に昇降するように構成された部品である。このカッタ構造体80は、
図5(B)に示すように、可動刃81と、この可動刃81を保持する保持部材82と、含む。
【0036】
可動刃81は、金属材料により構成され、Y軸方向(幅方向)に長く延在する一方で、Z軸方向(高さ方向)に短く延在している。可動刃81は、最上端に記録紙Lを切断可能な刃先81eを有する。
【0037】
刃先81eは、幅方向外側から幅方向中央部に向かって高さが徐々に低くなるように傾斜しており、X軸正方向から見た正面視で、全体的にV字状の谷部を呈している。プリンタ1は、記録紙Lを挟んだ可動刃81と反対側のサーマルヘッドユニットにおいて固定刃(不図示)を備える。刃先81eがV字状に形成されていることで、可動刃81は、記録紙Lに向かって上昇する際に固定刃と挟み込むことで、記録紙Lの幅方向外側の外縁から当該記録紙Lを切断することが可能となる。
【0038】
保持部材82は、可動刃81の下側および背面側において、当該可動刃81を保持する部材であり、例えば、樹脂材料により形成されている。保持部材82は、可動刃81の幅方向中央部を保持する中間保持部83と、可動刃81の幅方向外側を支持する一対のラック部84と、を有する。
【0039】
中間保持部83は、可動刃81の下部側のエッジを支持する下端支持部83aと、可動刃81の背面を支持する面支持部83bと、を有する。中間保持部83の面支持部83bは、可動刃81の刃先81eよりも若干低い位置に上端が配置されるように、下端支持部83aから上方向に延在している。面支持部83bの上端は、刃先81eと略平行なV字状に形成されており、刃先81eは面支持部83bの上端から僅かに突出している。
【0040】
一対のラック部84は、上部において可動刃81の幅方向外側の面を保持すると共に、下部において第2ギア72に噛み合う複数の歯84tをそれぞれ有する。複数の歯84tは、上下方向に並ぶことで、
図5(A)の各第2ギア72と噛み合い可能な歯群を形成している。すなわち、各第2ギア72の回転駆動力が各ラック部84の歯群に伝達されることで、カッタ構造体80は、Z軸方向に沿って昇降することができる。例えば、カッタ構造体80は、カッタ用ギア機構40およびカッタ駆動伝達機構70介して、カッタ用モータ12の正転の回転駆動力が伝達されることで上昇し、カッタ用モータ12の逆転の回転駆動力が伝達されることで下降する。
【0041】
図6は、カッタユニットをX軸正方向側から見た斜視図であり、(A)は、カッタユニット50をX軸正方向側から見た図、(B)は、外側補強板金56を外した状態のカッタユニット50をX軸正方向側から見た図である。
図6(A)および
図6(B)に示すように、カッタ構造体80は、メインフレーム51のカッタガイド壁52aと内側補強板金55の間に配置されている。
【0042】
内側補強板金55は、X軸方向に沿った断面視でL字状に形成され、その底部がメインフレーム51の底部52bに固定されている(
図4も参照)。内側補強板金55は、カッタガイド壁52aに対してX軸方向に隙間をあけた状態で支持されている。カッタ構造体80は、このカッタガイド壁52aと内側補強板金55の隙間に配置されることで、上下方向のみにスライド可能となっている。
【0043】
また、内側補強板金55は、メインフレーム51の幅方向外側に設けられる一方で、幅方向中央部において切り欠かれている。カッタユニット50は、この一対の内側補強板金55の間に剥離機構90を備えている。なお、一対の内側補強板金55の間には、一対のバネ部材57が配置されている。一対のバネ部材57は、カッタガイド壁52aの段差52a1に設けられた一対の筒状52a2(
図5(A)も参照)に支持されてX軸方向に短く突出している。一対のバネ部材57は、内側補強板金55の外側に装着される外側補強板金56に弾発力を付与する。外側補強板金56は、プリンタ1の図示しない筐体にカッタユニット50を搭載する際に、筐体に対して弾性的に接することで、ユニット組立体のガタツキを防止する。
【0044】
剥離機構90は、一対のバネ部材57の内側および上側に配置された一対の剥離アーム91を有する。一対の剥離アーム91は、一対のバネ部材57の内側においてカッタガイド壁52aに設けられた一対の支持ピン58に支持されており、記録紙Lの送出方向と直交する方向の面であるY-Z平面に沿って回動可能となっている。以下、Y軸負方向側の剥離アーム91についてLを付し、Y軸正方向側の剥離アーム91についてRを付して説明する。
【0045】
図7は、剥離アームを示す図であり、(A)は、剥離アーム91Lの正面図、(B)は、剥離アーム91Lの側面図、(C)は、剥離アーム91Lの上部拡大斜視図、(D)は、剥離アーム91L、91Rの設置状態の下部側を示す正面図である。なお、以下では、一対の剥離アーム91のうちY軸負方向側の剥離アーム91Lについて具体的に説明し、これと対称形状に形成される剥離アーム91Rの説明については省略する。
【0046】
図7(A)および
図7(B)に示すように、剥離アーム91Lは、受板部92と、延在部93と、連結部94と、接触部95と、を有する。受板部92、延在部93、連結部94および接触部95は一体成形され、相互に連続している。
【0047】
受板部92は、X-Y軸方向に延在し、Z軸方向に厚みを有する矩形状に形成されている。受板部92は、延在部93に対してX軸負方向に突出していることで、保持部材82の下側において、下端支持部83aに対向配置される(
図6(B)も参照)。受板部92には、カッタ構造体80が下側に配置された待機状態で、下端支持部83aが接触することで、下方向に押圧される。これにより、剥離アーム91は、待機状態における姿勢が維持される。
【0048】
また、受板部92は、凸部92aを受板部92下面の剥離アーム91Lの端部寄りに備え、
図7(D)に示すように、この下面において弾性部材97の押圧力を受ける構成としている。凸部92aは、弾性部材97の孔に挿入される。弾性部材97の下端は、カッタガイド壁52aの下端からX軸正方向に突出する突出片52dによって支持されている。
【0049】
弾性部材97は、剥離アーム91が中間保持部83により押圧された待機状態となっている場合に、受板部92により軸方向に圧縮され受板部92を弾性的に付勢している。弾性部材97は、中間保持部83が待機状態から上昇した場合に、弾性的に伸びることで受板部92を押し上げる。これにより、剥離アーム91は、中間保持部83が上昇した際に、スムーズに回動することができる。なお、剥離機構90は、弾性部材97を備えずに、例えば、延在部93の上側、連結部94および接触部95等の自重により、剥離アーム91が回動するように設計されてもよい。
【0050】
図7(A)および
図7(B)に示すように、延在部93の下端は、受板部92の凸部92aとは反対側の端部に連結されている。延在部93は、受板部92から上方向かつY軸負方向に向かって延びている。延在部93は、上記のバネ部材57を回り込むために湾曲している。延在部93は、受板部92との連結箇所の近傍に軸支筒96を有する。軸支筒96は、延在部93から背面側に突出し、その内側の孔に上記の支持ピン58が挿入される。
【0051】
連結部94は、延在部93の上端に連結され、この延在部93から上方向に短く延びている。連結部94の幅は、延在部93の幅よりも幅広に設定されている。そして、連結部94の上端に接触部95が連結されている。
【0052】
図7(C)に示すように、接触部95は、連結部94に対してX軸正方向に延在しており、上面視で長方形状を呈している。接触部95は、Y軸方向に沿って複数(図示例では5つ)の突起95aを最上端に有する。各突起95aは、正面視で略三角形状に形成され、その頂部が充分に幅狭に形成されている。各突起95aの頂部は、記録紙Lの下面に接触可能であり、記録紙Lがライナレスラベルの場合は接着層に直接接触する。
【0053】
すなわち、接触部95が記録紙Lの下面に接触して支持することで、記録紙Lがライナレスラベルの場合、剥離アーム91Lは、可動刃81に付着する記録紙Lを剥離する。以下、記録紙Lがライナレスラベルの場合の一対の剥離アーム91L、91Rの動作について、
図8(A)~
図9(B)を参照しながら説明する。
【0054】
図8は、カッタ構造体80および剥離機構90の動作を示す正面図であり、(A)は第1動作図、(B)は第2動作図、(C)は第3動作図である。
図9は、カッタ構造体80および剥離機構90の動作を示す正面図であり、(A)は第4動作図、(B)は第5動作図である。
図8(A)に示すように、カッタ構造体80がZ軸負方向側の待機位置に位置する状態において、一対の剥離アーム91L、91Rは、受板部92が中間保持部83に押されて剥離位置に位置する。一対の剥離アーム91L、91Rは、剥離位置において記録紙Lを可動刃81から離間させる剥離姿勢となる。すなわち、剥離位置において、接触部95の上面は、可動刃81よりも高い位置に位置している。また、一対の剥離アーム91L、91Rが剥離位置に位置する形態では、接触部95は、カッタガイド壁52aの上端と平行になっている。
【0055】
図8(B)に示すように、カッタ構造体80が上昇を開始すると、この上昇に伴って一対の剥離アーム91L、91Rが幅方向外側への往動を開始する。すなわち、剥離アーム91L、91Rは、幅方向内側の受板部92が弾性部材97により上方向に付勢される。このため、延在部93、連結部94および接触部95が、支持ピン58を基点に幅方向外側に開く方向に変位する。
【0056】
図8(C)に示すように、カッタ構造体80の可動刃81は、記録紙L(
図2参照)を切断する切断位置まで上昇する。この際、可動刃81は、一対の剥離アーム91L、91Rの接触部95よりも高い位置に移動している。一方、一対の剥離アーム91L、91Rは、接触部95が最も幅方向外側に開いた退避位置に移動する。この退避位置は、延在部93の側面が内側補強板金55に接触する位置であり、これにより、一対の剥離アーム91の回動が規制される。換言すれば、可動刃81が待機位置から切断位置に移動する際に、一対の剥離アーム91L、91Rは、剥離位置から退避位置までの間を変位する。
【0057】
図9(A)に示すように、カッタ構造体80は、切断位置に到達した後に下降を開始する。この下降に伴い中間保持部83が一対の剥離アーム91L、91Rの受板部92を下方に押すことで、一対の剥離アーム91L、91Rは退避位置から内側への復動を開始する。そして、可動刃81がある程度下降した段階で、回動中の一対の剥離アーム91L、91Rの接触部95が、可動刃81の刃先81eよりも高くなる。これにより、接触部95は、可動刃81に付着した記録紙Lに接触して、可動刃81から記録紙Lを剥離できる。
【0058】
図9(B)に示すように、カッタ構造体80がさらに下降を続けて待機位置に復帰することで、中間保持部83により受板部92が押圧された一対の剥離アーム91L、91Rも剥離位置に復帰する。換言すれば、可動刃81が切断位置から待機位置に移動する際に、一対の剥離アーム91L、91Rは、退避位置から剥離位置までの間を変位する。
【0059】
この際、接触部95は、カッタガイド壁52aの上端と平行な状態となり、また剥離した記録紙Lを各突起95aの頂部において簡単に剥がれる程度に軽く支持した状態となる。したがって、プリンタ1は、切断した記録紙Lを弱い力で引き出すことで、一対の剥離アーム91L、91Rから記録紙Lを簡単に取り出すことができる。その結果、プリンタ1は、カッタユニット50における記録紙Lのジャムを良好に抑制することが可能となる。
【0060】
本実施形態に係るカッタユニット50、およびプリンタ1は、基本的には以上のように構成され、以下、記録紙Lがライナレスラベルの場合の動作について
図10(A)~
図11(B)を参照しながら説明する。
図10は、カッタユニット50の動作を示す図であり、(A)は第1斜視図、(B)は、カッタ構造体80および剥離機構90の動作を示す第1正面図である。
図11は、カッタユニット50の動作を示す図であり、(A)は第2斜視図、(B)は、カッタ構造体80および剥離機構90の動作を示す第2正面図である。
【0061】
図10(A)に示すように、プリンタ1は、記録紙Lを所定の長さ送出した後に当該記録紙LのX軸正方向側を取り出すために、カッタユニット50の切断動作を行う。この際、プリンタ1は、上記したカッタ用モータ12(
図1参照)の正転の回転駆動力をカッタ用ギア機構40およびカッタ駆動伝達機構70を介してカッタ構造体80に伝達する(
図4、
図5(A)および
図5(B)も参照)。これにより、カッタ構造体80の保持部材82がZ軸正方向に沿って上昇し、保持部材82に保持された可動刃81もこれに連れて上昇する。
【0062】
カッタ構造体80は、待機位置から切断位置に上昇することで、可動刃81の上方において対向する記録紙Lを切断する。可動刃81の刃先81eは、上記したようにV字状を呈していることで、記録紙Lの外縁側から当該記録紙Lを切断していく。これにより、切断後の記録紙Lの下面の接着層が可動刃81に付着する。なお、
図10(A)および
図10(B)では、可動刃81の付着によってV字状に変形した記録紙Lを図示している。
【0063】
また、剥離機構90の一対の剥離アーム91L、91Rは、上記したように、カッタ構造体80の上昇に伴って、剥離姿勢から幅方向外側に向かってそれぞれ回動する。これにより、
図10(B)に示すように、一対の接触部95は、退避位置で相互に傾斜した姿勢となり、一対の接触部95が相互に最も離れた状態に位置することになる。
【0064】
記録紙Lの切断後、プリンタ1は、上記したカッタ用モータ12(
図1参照)の逆転の回転駆動力をカッタ用ギア機構40およびカッタ駆動伝達機構70を介してカッタ構造体80に伝達する(
図4、
図5(A)および
図5(B)も参照)。これにより、
図11(A)に示すように、カッタ構造体80の保持部材82が下降し、保持部材82に保持された可動刃81もこれに連れて下降する。すなわち、カッタ構造体80は、切断位置から待機位置に下降する。
【0065】
そして、このカッタ構造体80の下降時に、下端支持部83aが一対の剥離アーム91L、91Rの受板部92を下方に押圧する。一対の剥離アーム91L、91Rは、受板部92の下方への移動に伴って回動し、相互の接触部95を幅方向内側に移動させる。この各接触部95の幅方向内側への移動時に、可動刃81に付着した記録紙Lの下面に各接触部95が接触する。すなわち
図11(B)に示すように、各接触部95が刃先81eよりも高い位置に移動することで、可動刃81に付着した記録紙Lが各接触部95に受け渡される。
【0066】
一対の接触部95は、相互に幅方向内側および上方に移動することで、記録紙Lを上方に引き剥がすことができる。そして、各接触部95は、幅方向中央部に近づくと、下降した可動刃81から上方に大きく離れた位置に配置されることになる。したがって、一対の剥離アーム91L、91Rが剥離姿勢に復帰した状態で、記録紙Lを可動刃81から確実に剥離することができる。
【0067】
また、剥離姿勢となった一対の剥離アーム91L、91Rは、切断後のX軸正方向側の記録紙Lを接触部95において軽く保持した状態となる。このように剥離アーム91L、91Rにより記録紙Lを保持した状態とすることで、記録紙Lの切断端部が自由状態となることを防ぐことができる。よって、プリンタ1は、自由状態となった記録紙Lがプリンタ1の他の構成に付着することを回避できる。
【0068】
図12は、カッタユニット50の各構成(プラテン60、カッタガイド壁52a、可動刃81、剥離アーム91)の高さの関係を示す側面断面図である。なお、
図12に示す符号Poは、記録紙Lを搬送する際における筐体(不図示)の搬送口の上縁の高さ位置である。例えば、プリンタ1は、搬送口の上縁の高さ位置Poを、カッタユニット50のカッタガイド壁52aの上端の位置と一致させていることで、記録紙Lが上方向に縒れることを抑制する。
【0069】
一方、剥離位置の各剥離アーム91L、91Rは、接触部95の高さ位置Peについて、搬送口の上縁の高さ位置Poよりも低い位置、かつ搬送口の下縁の高さ位置よりも高い位置に配置する。ただし、接触部95の高さ位置Peは、可動刃81の待機位置における刃先81eの高さ位置Pcよりも高く設定されている。なお、可動刃81は、上記したようにV字状に形成されており、この刃先81eの高さ位置Pcとは、幅方向全体において最も高い幅方向外側の刃先81eの位置を指している。したがって、可動刃81の幅方向中央部では、接触部95と刃先81eの距離がさらに開いている。
【0070】
接触部95の高さ位置Peが刃先81eの高さ位置Pcよりも高いことで、ライナレスラベルにおいてもプリンタ1は、記録紙Lを可動刃81から確実に剥がすことが可能となる。すなわち、記録紙Lは、各接触部95に支持されることで、接触部95よりも背面側の部分が斜めに浮くように支持される。この記録紙Lに対して可動刃81全体が充分に離れた位置に配置されるため、支持された記録紙Lが可動刃81に接触することが回避される。
【0071】
以上のように、本実施形態に係るカッタユニット50、およびプリンタ1は、可動刃81の移動方向とは逆方向に移動する剥離機構90を備えることで、可動刃81に付着した記録紙Lを安定的に剥離することができる。すなわち、カッタユニット50は、可動刃81に対す記録紙Lの貼り付きを良好に防止できるため、記録紙Lのジャムが生じることを大幅に低減することが可能となる。
【0072】
なお、本実施形態に係るカッタユニット50、およびプリンタ1は、上記の実施形態に限定されず種々の変形例をとり得る。例えば、上記の実施形態では、台紙を備えないライナレスラベルを切断する例を説明したが、本開示の技術は、ラベルと台紙が一体化した記録紙Lを切断するカッタユニット50、およびプリンタ1に適用してよい。ラベルと台紙が一体化した記録紙Lも、可動刃81にて切断された際に、その切断箇所が可動刃81に付着する可能性がある。上記のように構成された剥離機構90は、可動刃81に付着した切断箇所を剥離できる。
【0073】
また例えば、剥離機構90は、剥離アーム91を一対備える構成に限定されず、1つ備えた構成でもよく、3つ以上備えた構成でもよい。さらに、剥離アーム91の接触部95の形状も、特に限定されず、例えば受板部92のY軸方向の長さより長くてもよい。
【0074】
図13は、変形例に係る剥離アーム91の接触部95A、95Bを示す側面図であり、(A)は、第1変形例に係る接触部95Aの図、(B)は、第2変形例に係る接触部95Bの図である。
図13(A)に示す第1変形例のように、剥離アーム91の接触部95Aは、複数の突起95a(
図7(C)参照)に変えて、ローラ951を適用した点で、上記の実施形態に係る接触部95と異なる。ローラ951は、例えば、接触部95Aに設けられた軸部952により回転自在に支持されている。これにより、剥離アーム91は、可動刃81から剥離した記録紙Lをローラ951により保持することができる。ローラ951は、切断した記録紙Lを引き出す際に回転することで、接触部95Aからの記録紙Lの剥がれをより円滑に実施させることができる。
【0075】
図13(B)に示す第2変形例のように、剥離アーム91の接触部95Bは、接触部95B自体を表面処理した表面処理部953を有してもよい。この表面処理部953としては、例えば、接触部95Bの表面粗さを調整する、低摩擦材料のコーティングを施す等があげられる。このように接触部95Bは、表面処理部953を有することにより、記録紙Lの付着力を低下させた状態で、記録紙Lを保持することが可能となる。なお、表面処理部953は、複数の突起95aを備える構成に設けられてもよく、複数の突起95aを備えずに、Y軸方向に一連に連なる端面に設けられてもよい。
【0076】
図14は、変形例に係る付勢部材85を示す図であり、(A)は付勢部材85の設置箇所を示す拡大斜視図、(B)は付勢部材85の動作を示す正面図である。
図14(A)および
図14(B)に示すように、カッタユニット50は、カッタ構造体80を下側に弾性的に付勢する付勢部材85を備えてもよい。付勢部材85は、例えば、コイル部851と、コイル部851から突出する棒部852とを有するトーションバネを適用することができる。この場合、コイル部851は、カッタガイド壁52aに設けられた保持突起86に装着されて、棒部852により保持部材82を下側に押圧する。付勢部材85が保持部材82を下側に押圧することで、各剥離アーム91の受板部92を押圧することができ、各剥離アーム91が剥離位置に戻る際の回動を補助することが可能となる。これにより、カッタユニット50は、各剥離アーム91の回動をより安定的に実施させることができる。
【0077】
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0078】
本開示の第1の態様は、搬送される記録紙Lを切断するカッタユニット50であって、記録紙Lに対して進退可能であり、進出時に記録紙Lを切断する可動刃81と、可動刃81の進退方向とは逆方向に移動し記録紙Lと接触する接触部95を有する剥離機構90と、を備える。
【0079】
上記によれば、カッタユニット50は、剥離機構90により、可動刃81の後退時に可動刃81の進出方向に接触部95が移動する。これにより、可動刃81にライナレスラベルが付着していても、移動する剥離機構90によってライナレスラベルに外力を付与することができる。したがって、カッタユニット50は、可動刃81に対するライナレスラベルの貼り付きを安定的に防止できる。
【0080】
また、剥離機構90は、可動刃81の進退方向とは逆方向に移動可能な剥離アーム91を備え、剥離アーム91は、記録紙Lに接触する剥離位置と、剥離位置よりも記録紙Lから離れる方向に退避した退避位置との間を変位する。これにより、カッタユニット50は、剥離位置に配置した剥離アーム91によってライナレスラベルの付着を防止できる。
【0081】
また、剥離アーム91は、可動刃81の進出に伴って剥離位置から退避位置に変位する一方で、可動刃81の後退に伴って退避位置から剥離位置に変位する。これにより、カッタユニット50は、剥離アーム91の退避位置から剥離位置への変位時に、当該剥離アーム91によって可動刃81からライナレスラベルを良好に剥離することができる。
【0082】
また、剥離アーム91は、剥離位置と退避位置との間の変位において、記録紙Lの送出方向と直交する方向の面に沿って回動する。このように剥離アーム91が記録紙Lの送出方向と直交する方向に回動することで、カッタユニット50は、記録紙Lの送出方向のスペースを可及的に小さくすることができる。
【0083】
また、可動刃81を保持する保持部材82を備え、剥離アーム91は、剥離位置に位置する状態で保持部材82が接触することにより当該剥離位置を維持しており、接触箇所から離れる方向に保持部材82が移動することに基づいて退避位置に変位可能となる。これにより、カッタユニット50は、剥離アーム91の剥離位置での姿勢を簡単に維持することができる。
【0084】
また、剥離位置から退避位置への変位時に、剥離アーム91を押圧する弾性部材97を有する。これにより、カッタユニット50は、保持部材82がメインフレーム51の下端から離れる方向に移動した際に、剥離アーム91を剥離位置から退避位置に積極的に移動させることができる。
【0085】
また、剥離アーム91は、保持部材82との接触箇所に近づく方向に保持部材82が移動して剥離アーム91の接触箇所を押すことにより、退避位置から剥離位置に変位し、退避位置から剥離位置への変位時に、接触箇所に近づく方向に保持部材82を押圧する付勢部材85を有する。この付勢部材85によって、カッタユニット50は、保持部材82による剥離アーム91の接触箇所に近づく方向の移動をより安定的に行うことができる。
【0086】
また、接触部95は、剥離位置において可動刃81よりも記録紙Lに近い位置にあり、退避位置において可動刃81よりも記録紙Lから離れた位置にある。これにより、カッタユニット50は、可動刃81よりもライナレスラベルに近い剥離アーム91の接触部95によって、ライナレスラベルを良好に剥離できる。
【0087】
また、接触部95は、剥離位置において、可動刃81を保持する保持部材82の上縁と保持部材82を支持する支持体の上縁との間にあり、可動刃81は、接触部95の剥離位置において、記録紙Lを送出するプラテン60および接触部95よりも記録紙Lから離れた位置にある。これにより、カッタユニット50は、ライナレスラベルをスムーズに搬送可能としながら、可動刃81からライナレスラベルを剥離させることができる。
【0088】
また、接触部95は、記録紙Lに対向する箇所に複数の突起95aを備える。これにより、接触部95は、ライナレスラベルを剥離しながら、剥離した後のライナレスラベルを弱い力で付着させることができる。
【0089】
また、接触部95Aは、回転自在に設けられ、記録紙Lに接触可能なローラ951を備える。これにより、接触部95Aは、ローラ951を回転させることで付着したライナレスラベルを容易に引き出すことが可能となる。
【0090】
また、接触部95Bは、記録紙Lの付着力を低下させる表面処理部953を備える。この場合でも、接触部95Bは、剥離後のライナレスラベルを適切な付着力で付着させることができ、記録紙Lを容易に引き出すことが可能となる。
【0091】
また、剥離機構90は、同一平面上に剥離アーム91を一対備え、剥離位置は、一対の剥離アーム91が相互に最も近づいた位置であり、退避位置は、一対の剥離アーム91が相互に最も離れた位置である。これにより、剥離機構90は、一対の剥離アーム91によってライナレスラベルをより安定的に剥離することができる。
【0092】
また、可動刃81を移動可能かつ剥離機構90を移動可能に支持する支持体(メインフレーム51)を有し、一対の剥離アーム91の下端部は、相互に隣接する位置にあり、一対の剥離アーム91は、下端部から上方向に向かって相互に離れる方向に延在し、上端部においてライナレスラベルを可動刃81から剥離する。これにより、一対の剥離アーム91は、ライナレスラベルの両方の外縁側から簡単に剥離することができる。
【0093】
また、可動刃81において記録紙Lを切断する刃先81eは、記録紙Lの送出方向と直交する方向に沿ってV字状に形成されている。V字状の可動刃81により記録紙Lを確実に切断でき、また一対の剥離アーム91Lによってライナレスラベルを容易に剥離できる。
【0094】
また、本開示の第2の態様は、記録紙Lを切断するカッタユニット50と、カッタユニット50を動作させる動作部(カッタ用モータ12、カッタ用ギア機構40)と、を有し、記録紙Lを送出しながら印刷を行うプリンタ1であって、カッタユニット50は、記録紙Lに対して進退可能であり、進出時に記録紙Lを切断する可動刃81と、可動刃81の進退方向とは逆方向に移動し記録紙Lと接触する接触部95を有する剥離機構90と、を備える。この場合でも、プリンタ1は、可動刃81に対するライナレスラベルの貼り付きを防止できる。
【0095】
今回開示された実施形態に係るカッタユニット50、およびプリンタ1は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 プリンタ、10 プリンタユニット、12 カッタ用モータ、
40 カッタ用ギア機構、50 カッタユニット、51 メインフレーム、
60 プラテン、80 カッタ構造体、81 可動刃、90 剥離機構、
91 剥離アーム、92 受板部、95 接触部、L 記録紙