(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139919
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】軟質部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
B43L 19/00 20060101AFI20241003BHJP
B43K 23/08 20060101ALI20241003BHJP
B43K 29/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B43L19/00 C
B43K23/08 130
B43K29/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050867
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅也
(72)【発明者】
【氏名】井戸 幹也
(72)【発明者】
【氏名】奥原 有人
(57)【要約】
【課題】取付作業が容易であり、且つ軟質部材が筒体から外れ難い軟質部材の取付構造を提供する。
【解決手段】筆記具を構成する筒体1が前後方向に貫通する内孔11を備える。内孔11は径方向内方に突出する内向突起13を備える。内孔11は内面に内側嵌合部12を備える。内孔11の内面には、後方に係止面22を備える内筒体2が設けられる。内筒体2は外面に外側嵌合部21を備える。軟質部材3は径方向外方に突出する鍔部32を備える。
内孔11の後端から軟質部材3の後端が後方に突出し、内孔11の内側嵌合部12と内筒体2の外側嵌合部21とが嵌合することにより、鍔部32が内向突起13と係止面22とによって前後方向に挟持され、筒体1に軟質部材3が取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具の軸筒又はキャップを構成する筒体の後端に軟質部材を取り付ける軟質部材の取付構造であって、
前記筒体は前後方向に貫通する内孔を備え、
前記内孔は径方向内方に突出する内向突起を備え、
前記内孔は内面に内側嵌合部を備え、
前記内孔の内面には、後方に係止面を備える内筒体が設けられ、
前記内筒体は外面に外側嵌合部を備え、
前記軟質部材は、弾性材料により一体に形成され、熱変色性の筆跡の表面を擦って該筆跡を熱変色させる摩擦変色部材であり、
前記軟質部材は径方向外方に突出する鍔部を備え、
前記内孔の後端から前記軟質部材の後端が後方に突出し、前記内孔の前記内側嵌合部と前記内筒体の前記外側嵌合部とが嵌合することにより、前記鍔部が前記内向突起と前記係止面とによって前後方向に挟持され、前記筒体に前記軟質部材が取り付けられることを特徴とする軟質部材の取付構造。
【請求項2】
前記内側嵌合部の内径は前記外側嵌合部の外径より小さく、且つ前記軟質部材の前記鍔部の外径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の軟質部材の取付構造。
【請求項3】
前記鍔部と前記内筒体の係止面とが、軸方向に垂直な平面上で当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の軟質部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質部材の取付構造に関する。詳細には、筆記具の軸筒又はキャップを構成する筒体の上端部に軟質部材を取り付ける軟質部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、筆記具本体を構成する筒体の後端に突出部材が後方より前方に挿入嵌着され、筒体の内面と気密嵌合する栓体が、筒体の内面に前方より後方に挿入嵌着される筆記具が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、キャップ本体の後端にヘッド部材が後方より前方に挿入嵌着され、キャップ本体の内面に、ペン先を密封する内キャップが前方より後方に挿入嵌着される筆記具用キャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2009-106070号公報
【特許文献2】特願2008-143367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2の筆記具において、突出部材(ヘッド部材)の外向突起が筒体(キャップ本体)の内向突起を前後方向に乗り越えることで突出部材が筒体に取り付けられている。外向突起が内向突起を乗り越えるため、外向突起のサイズには限度があり、軟質部材の嵌合力をさらに高めることは困難となるおそれがあった。
【0006】
また、特許文献1及び特許文献2の筆記具において、突出部材は筒体の後方から装着し、栓体(内キャップ)は筒体の前方から装着する必要があるため、組立工程が増加し、筆記具の組立に時間がかかるおそれがあった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、取付作業が容易であり、且つ軟質部材が筒体から外れ難い軟質部材の取付構造を提供しようとするものである。本発明において、筒体が筆記具の軸筒である場合は、「前」とはペン先側を指し、「後」とはその反対側を指す。筒体がキャップである場合は、「前」とはキャップの開口側(即ちペン先挿入側)を指し、「後」とはその反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の発明は、筆記具の軸筒又はキャップを構成する筒体の後端に軟質部材を取り付ける軟質部材の取付構造であって、
前記筒体は前後方向に貫通する内孔を備え、
前記内孔は径方向内方に突出する内向突起を備え、
前記内孔は内面に内側嵌合部を備え、
前記内孔の内面には、後方に係止面を備える内筒体が設けられ、
前記内筒体は外面に外側嵌合部を備え、
前記軟質部材は、弾性材料により一体に形成され、熱変色性の筆跡の表面を擦って該筆跡を熱変色させる摩擦変色部材であり、
前記軟質部材は径方向外方に突出する鍔部を備え、
前記内孔の後端から前記軟質部材の後端が後方に突出し、前記内孔の前記内側嵌合部と前記内筒体の前記外側嵌合部とが嵌合することにより、前記鍔部が前記内向突起と前記内筒体の係止面とによって前後方向に挟持され、前記筒体に前記軟質部材が取り付けられることを特徴とする。
【0009】
前記第1の発明の軟質部材の取付構造は、前記構成により、筒体の内向突起によって軟質部材の鍔部が抜け止めされるため、軟質部材が筒体から外れ難い。また、鍔部が内向突起を乗り越えないため、鍔部の外径を内向突起の内径に対して比較的大きく設定することができ、軟質部材がさらに筒体から外れ難くなる。さらに、筆記具の組立において、軟質部材及び内筒体を両方とも筒体の前方から挿入することができるため、軟質部材の取付作業が容易となる。
【0010】
本願の第2の発明は、前記第1の発明の軟質部材の取付構造において、前記内側嵌合部の内径は前記外側嵌合部の外径より小さく、且つ前記軟質部材の前記鍔部の外径より大きいことが好ましい。
【0011】
前記第2の発明の軟質部材の取付構造は、前記構成により、内側嵌合部と外側嵌合部とを抜け止め係止することができる。また、軟質部材の取付作業において、鍔部が内側嵌合部に引っかからず、スムーズな組立を行うことができる。
【0012】
本願の第3の発明は、前記第1又は第2の発明の軟質部材の取付構造において、前記鍔部と前記内筒体の係止面とが、軸方向に垂直な平面上で当接することが好ましい。
【0013】
前記第3の発明の軟質部材の取付構造は、前記構成により、鍔部と内筒体とが確実に当接し、軟質部材3の摩擦使用時におけるがたつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の軟質部材の取付構造によれば、取付作業が容易であり、且つ軟質部材が筒体から外れ難い軟質部材の取付構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の軟質部材の取付構造を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の軟質部材の取付途中を示す縦断面図である。
【
図3】本発明の軟質部材の取付構造を用いた筆記具の軸筒を示す正面図である。
【
図5】本発明の軟質部材の取付構造を用いた筆記具のキャップを示す正面図である。
【
図7】
図5の筆記具からキャップを取り外した状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至
図7に本発明の実施の形態を示す。本実施の形態の軟質部材の取付構造は、筒体1と、該筒体1の後端に装着される軟質部材3と、該軟質部材3前方の筒体1の内面に固着される内筒体2とからなる。
【0017】
・筒体
筒体1は、合成樹脂の射出成形より得られる円筒体からなる。筒体1は、内孔11が軸方向に貫通される。後述する
図3乃至
図7に示すように、筒体1は筆記具の軸筒1a又はキャップのキャップ筒1bを構成する。
【0018】
図1に示すように、筒体1の内孔11の内面には、内側嵌合部12が形成される。内側嵌合部12は、環状平滑面又は径方向内方に突出する環状突起からなる。本実施形態では内側嵌合部12は環状突起である。内側嵌合部12の内径は内孔11の内径より小さく設定される。また、内側嵌合部12の内径は後述する軟質部材3の鍔部32の外径より大きく設定される。
【0019】
筒体1の内孔11の内面には、径方向内方に突出する内向突起13が一体に形成される。内向突起13は環状突起又は複数個の分散状突起からなる。本実施形態では内向突起13は環状突起である。内向突起13の前端面は、軸方向に対して垂直な平面からなる。
【0020】
・内筒体
内筒体2は、前端が開口され且つ後端が閉鎖された、合成樹脂の射出成形により得られる有底円筒体である。
【0021】
図1に示すように、内筒体2の外面には、環状の外側嵌合部21が一体に形成される。外側嵌合部21は、径方向外方に突出する環状突起又は環状平滑面よりなる。本実施形態では、外側嵌合部21は環状突起からなる。
【0022】
内筒体2の外径は内側嵌合部12の内径より僅かに大きく設定される。それにより、内筒体2と内側嵌合部12との確実な気密嵌合が得られる。また、外側嵌合部21の外径は内筒体2の外径より僅かに大きく、且つ内側嵌合部12の内径より大きく設定される。それにより、外側嵌合部21が内側嵌合部12を乗り越えることで、確実に内筒体2を筒体1内に嵌合させることができる。
【0023】
内筒体2には、後方に面する係止面22が設けられている。係止面22は、軸方向に対して垂直な平面からなる。本実施形態では、係止面22は内筒体2の後端に設けられる。
【0024】
・軟質部材
軟質部材3は後端が閉鎖された有底状の円筒体である。軟質部材3は、突出部31と、突出部31の前端から径方向外方に突出する鍔部32とからなる。軟質部材3は、合成ゴムやエラストマー等の弾性材料により形成される。本実施の形態では、軟質部材3は、熱変色性の筆跡の表面を擦って該筆跡を熱変色させる摩擦変色部材が採用される。
【0025】
突出部31の後面は凸曲面状を有する。突出部31の最大外径は筒体1の内向突起13の内径と同じ、又は僅かに小さく設定される。それにより、軟質部材3の筒体1に対する径方向のがたつきを抑えることができる。
【0026】
鍔部32の外径は突出部31の最大外径より大きく設定される。さらに、鍔部32の外径は内向突起13の内径より大きく設定される。鍔部32の前端面及び後端面は、軸方向に対して垂直な平面を有する。
【0027】
本願の軟質部材3は突出部31と鍔部32とのみから構成されているため、使用する材料の量が最小限に抑えられ、製造に係るコストを削減することができる。
【0028】
・軟質部材の取り付け
軟質部材の取付手順を説明する。
図2に示すように、筒体1の内孔11の前端から軟質部材3、内筒体2の順で挿着する。軟質部材3を定位置まで挿着すると、内向突起13の前端面と鍔部32の後端面とが当接し、突出部31が内孔11の後端より外方に突出する。内側嵌合部12の内径が鍔部32の外径より大きいことにより、軟質部材3を筒体1に挿着する際、鍔部32が内側嵌合部12に引っかかることを防ぐことができる。鍔部32の外径が内向突起13の内径より大きいことにより、軟質部材3を筒体1に対して確実に抜け止め係止させることができる。
【0029】
続いて、内筒体2の外側嵌合部21と内側嵌合部12とが嵌合することで筒体1と内筒体2とが嵌合する。
図1に示すように、内向突起13の下端から内側嵌合部12までの距離Aは、内向突起13の下端から外側嵌合部21までの距離Bより僅かに大きく設定される。これにより、筒体1と内筒体2とが嵌合した際、係止面22と軟質部材3の前端面とが圧接する。軟質部材3と内筒体2とが圧接することにより、軟質部材3が内向突起13と係止面22とによって挟持され、軟質部材3が筒体1に取り付けられる。係止面22と軟質部材3の前端面とが圧接するため、軟質部材3が筒体1に対して軸方向にがたつくことを防ぐことができる。
【0030】
係止面22及び軟質部材3の前端面(即ち鍔部32の前端面)が軸方向に垂直な平面からなることにより、内筒体2と軟質部材3とを平面上にて確実に当接させ、内筒体2及び軟質部材3が軸心に対して傾くことを防ぐことができる。また、弾性材料からなる軟質部材3と内筒体2とが当接することにより、内筒体2を強く圧入したとしても軟質部材3により圧力が吸収され、内筒体2及び筒体1の損傷を防ぐことができる。
【0031】
内側嵌合部12及び外側嵌合部21がどちらも環状突起であることにより、内筒体2の外側嵌合部21が筒体1の内側嵌合部12を乗り越えて嵌合するため、軟質部材3の摩擦使用時において軟質部材3が軸方向前方に押圧された場合でも、軟質部材3の取り付けが外れることを防ぐことができる。尚、内筒体2は筒体1内に嵌合できればよく、環状突起同士の嵌合以外にも、環状平滑面と環状突起との嵌合や、環状平滑面同士の嵌合であってもよい。また、筒体1と内筒体2とが接着されていてもよい。
【0032】
・筆記具
本実施形態の軟質部材の取付構造を利用した筆記具4を
図3乃至
図7に示す。軟質部材3が筆記具4の軸筒に設けられている実施形態を
図3及び
図4に示す。
図3及び
図4において筒体1は筆記具4を構成する軸筒1aである。軟質部材3が筆記具4のキャップ5に設けられている実施形態を
図5乃至
図7に示す。
図5乃至
図7において筒体1はキャップ5を構成するキャップ筒1bである。筆記具4は軸筒1aの前方に接続されるペン先保持筒6と、ペン先保持筒6の前端に固着されるペン先7と、軸筒1a内部及びペン先保持筒6内部に収容されるインキ吸蔵体8と、を備える。キャップ5は筆記具4のペン先7側に着脱可能である。
【0033】
・ペン先保持筒
ペン先保持筒6は、合成樹脂の射出成形により得られる。ペン先保持筒6は、先細形状の前端部にペン先7が圧入固着され、先細形状の前端部より前方にペン先7の前端が突出される。ペン先保持筒6の内部に、インキ吸蔵体8の前部が収容され、インキ吸蔵体8の前端にペン先7の後端が突き刺し接続される。ペン先保持筒6の後端は、筒体1の内孔11の前端と気密嵌合により接続される。ペン先7外面とペン先保持筒6内面との間には、ペン先保持筒6内部と外気との連通が可能な通気路(図示せず)が形成される。
【0034】
・ペン先
ペン先7は、繊維の樹脂加工体からなる。ペン先7は、これ以外にも、例えば、ボールペンチップ、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、パイプ状ペン体、先端にスリットを有する万年筆型板状ペン体、毛筆ペン体、合成樹脂の多孔質気泡体、軸方向のインキ誘導路を有する合成樹脂の押出成形体等が挙げられる。
【0035】
・インキ吸蔵体
インキ吸蔵体8は、インキを含浸可能な連続気孔を有する部材(即ち多孔質材料)からなるものであればよく、例えば、繊維束の熱融着加工体、繊維束の樹脂加工体、フェルトの樹脂加工体、フェルトのニードルパンチ加工体、合成樹脂の連続気泡体等が挙げられる。また、インキ吸蔵体8は、その外周面に合成樹脂フィルム等よりなる外皮を備える構成でもよい。インキ吸蔵体8の前面には、ペン先7の後端部が突き刺し接続される。
【0036】
組み立て後の筆記具4において、内筒体2が軟質部材3の前端とインキ吸蔵体8の後端とによって挟持されることにより、内筒体2の前方及び後方への移動が阻止される。内筒体2の軸方向の移動がインキ吸蔵体8によって阻止されるため、軟質部材3の摩擦使用時において軟質部材3が軸方向前方に押圧された場合でも、軟質部材3の取付が外れることをよりいっそう防ぐことができる。
【0037】
筆記具4が落下した際など、筆記具4に衝撃が加わった場合、内筒体2及びインキ吸蔵体8が後方移動しようとする力は軟質部材3によって吸収され、内筒体2及び筒体1の損傷を防ぐことができる。
【0038】
尚、本実施形態において、軸筒1aは、少なくとも筆記具4の後端部を構成するものであればよく、軸筒1aが筆記具4の略全体を構成するものでもよいし、軸筒1aが筆記具4の後端部のみを構成するものでもよい。また、本発明において、筒体1にペン先7を固定する構成は、例えば、筒体1にペン先7を直接固定する構成、又は筒体1にペン先保持筒6等の他の部材を介してペン先7を固定する構成が挙げられる。
【0039】
・キャップ
キャップ5は合成樹脂の射出成形により得られる円筒体である。キャップ5は筆記具4のペン先7側に着脱自在に装着可能である。
【0040】
図5乃至
図7に示すように、軟質部材3がキャップ5に設けられている場合、筒体1はキャップ5を構成するキャップ筒1bである。内筒体2の前端の内面には、環状シール部23が形成される。
図6及び
図7に示すように、環状シール部23はペン先保持筒6の外面と気密嵌合する。環状シール部23は、環状突起又は環状平滑面よりなる。本実施形態では、環状シール部23は環状平滑面からなる。
【0041】
本実施形態の軟質部材の取付構造は、筆記具4の軸筒又はキャップ5を構成する筒体1の後端に軟質部材3を取り付ける軟質部材の取付構造であって、
筒体1は前後方向に貫通する内孔11を備え、
内孔11は径方向内方に突出する内向突起13を備え、
内孔11は内面に内側嵌合部12を備え、
内孔11の内面には、後方に係止面22を備える内筒体2が設けられ、
内筒体2は外面に外側嵌合部21を備え、
軟質部材3は、弾性材料により一体に形成され、熱変色性の筆跡の表面を擦って該筆跡を熱変色させる摩擦変色部材であり、
軟質部材3は径方向外方に突出する鍔部32を備え、
内孔11の後端から軟質部材3の後端が後方に突出し、内孔11の内側嵌合部12と内筒体2の外側嵌合部21とが嵌合することにより、鍔部32が内向突起13と係止面22とによって前後方向に挟持され、筒体1に軟質部材3が取り付けられることにより、筒体1の内向突起13によって軟質部材3の鍔部32が抜け止めされるため、軟質部材3が筒体1から外れ難い。また、鍔部32が内向突起13を乗り越えないため、鍔部32の外径を内向突起13の内径に対して比較的大きく設定することができ、軟質部材3がさらに筒体1から外れ難くなる。さらに、筆記具4の組立において、軟質部材3及び内筒体2を両方とも筒体1の前方から挿入することができるため、軟質部材の取付作業が容易となる。
【0042】
本実施形態の軟質部材の取付構造は、内側嵌合部12の内径は外側嵌合部21の外径より小さく、且つ軟質部材3の鍔部32の外径より大きいことにより、内側嵌合部12と外側嵌合部21とを抜け止め係止することができる。また、軟質部材3の取付作業において、鍔部32が内側嵌合部12に引っかからず、スムーズな組立を行うことができる。
【0043】
本実施形態の軟質部材の取付構造は、鍔部32と内筒体2の係止面22とが、軸方向に垂直な平面上で当接することにより、鍔部32と内筒体2の係止面22とが確実に当接し、軟質部材3の摩擦使用時におけるがたつきを抑えることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 筒体
1a 軸筒
1b キャップ筒
11 内孔
12 内側嵌合部
13 内向突起
2 内筒体
21 外側嵌合部
22 係止面
23 シール部
3 軟質部材
31 突出部
32 鍔部
4 筆記具
5 キャップ
6 ペン先保持筒
7 ペン先
8 インキ吸蔵体