(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139920
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】回転角度センサ及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01D5/245 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050869
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】挽地 友生
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA43
2F077CC02
2F077NN17
2F077PP12
2F077QQ03
2F077TT21
2F077TT31
(57)【要約】
【課題】比較的簡易な構成を有する回転角度センサ及び半導体装置を提供する。
【解決手段】回転角度センサは、第1方向の磁束密度を検出する第1磁気センサ素子(11)と、第1方向と交わる第2方向の磁束密度を検出する第2磁気センサ素子(12)と、第1磁気センサ素子に電源を供給する第1電流源(81)と、第2磁気センサ素子に電源を供給する第2電流源(82)と、第1磁気センサ素子の出力に応じた信号と第2磁気センサ素子の出力に応じた信号とを加算又は減算し信号を生成する信号生成回路(25)と、信号生成回路により生成された信号と、所定の電圧とを比較する比較器(40)と、比較器により比較された結果を保持するシフトレジスタ回路(50)と、シフトレジスタ回路により保持された値に応じて、第1磁気センサ素子の出力に応じた信号の値と、第2磁気センサ素子の出力に応じた信号の値とを制御する制御回路(60)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の磁束密度を検出する第1磁気センサ素子と、
前記第1方向と交わる第2方向の磁束密度を検出する第2磁気センサ素子と、
前記第1磁気センサ素子に電源を供給する第1電流源と、
前記第2磁気センサ素子に電源を供給する第2電流源と、
前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号と、前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号とを加算又は減算し、信号を生成する信号生成回路と、
前記信号生成回路により生成された信号と、所定の電圧とを比較する比較器と、
前記比較器により比較された結果を保持するシフトレジスタと、
前記シフトレジスタにより保持された値に応じて、前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号の値と、前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号の値とを制御する制御回路と
を備える回転角度センサ。
【請求項2】
前記信号生成回路は、
前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号を電流信号に変換し、前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号を電流信号に変換する電圧電流変換部と、
前記第1磁気センサ素子の出力に基づく電流信号と、前記第2磁気センサ素子の出力に基づく電流信号とを加算又は減算する加減算部とを備える
請求項1に記載の回転角度センサ。
【請求項3】
前記制御回路は、前記シフトレジスタにより保持された値に応じて、前記電圧電流変換部が出力する電流値を制御するための係数を算出し、前記電圧電流変換部に出力する
請求項2に記載の回転角度センサ。
【請求項4】
前記制御回路は、前記シフトレジスタにより保持された値に応じて、前記第1電流源による出力電流及び前記第2電流源による出力電流を制御するための係数を算出し、それぞれ前記第1電流源及び前記第2電流源に出力することにより、前記第1磁気センサ素子及び前記第2磁気センサ素子から前記信号生成回路への出力を制御する
請求項1に記載の回転角度センサ。
【請求項5】
前記信号生成回路は、前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号、又は前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号のいずれかを、第1判定のために用いられる信号として生成し、前記第1判定のために用いられる信号を出力した後、
前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号と、前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号とを加算又は減算し、第2判定のために用いられる信号として生成する
請求項1に記載の回転角度センサ。
【請求項6】
前記制御回路は、前記シフトレジスタにより保持された値に応じて、前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号の値を決定するための係数と前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号の値を決定するための係数とを算出し、
前記制御回路により算出される係数のビット数は、前記シフトレジスタのビット数より大きい
請求項1に記載の回転角度センサ。
【請求項7】
前記制御回路により算出される係数のビット数は、前記シフトレジスタのビット数より1ビット大きく、
前記制御回路は、前記シフトレジスタにより保持された値が特定の値である場合に当該1ビットを用いて係数を算出する
請求項6に記載の回転角度センサ。
【請求項8】
半導体基板に、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の回転角度センサが形成された
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角度センサ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁石が作る磁界内に、2つの磁気センサを互いに直交する角度位置に配置し、2つの磁気センサから得られるホール起電力に基づき、磁石の回転角度を求める技術があった。このような技術を用いた装置として、例えば、特許文献1に例示するような回転角度センサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術による回転角度センサは、乗算を含む非線形なベクトル回転演算処理を行うベクトル回転演算回路と、複雑なディジタル演算処理を行う角度計算ディジタル回路とを備えていた。そのため、従来技術による回転角度センサによれば、回路規模が大きくなってしまい、省面積化が困難であるといった課題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、線形アナログ回路を用いた比較的簡易な構成を有する回転角度センサ及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る回転角度センサは、第1方向の磁束密度を検出する第1磁気センサ素子と、前記第1方向と交わる第2方向の磁束密度を検出する第2磁気センサ素子と、前記第1磁気センサ素子に電源を供給する第1電流源と、前記第2磁気センサ素子に電源を供給する第2電流源と、前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号と、前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号とを加算又は減算し、信号を生成する信号生成回路と、前記信号生成回路により生成された信号と、所定の電圧とを比較する比較器と、前記比較器により比較された結果を保持するシフトレジスタと、前記シフトレジスタにより保持された値に応じて、前記第1磁気センサ素子の出力に応じた信号の値と、前記第2磁気センサ素子の出力に応じた信号の値とを制御する制御回路とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、線形アナログ回路を用いた比較的簡易な構成を有する回転角度センサ及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る電圧電流変換部の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図3】第1の実施形態に係る加減算部の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図4】第1の実施形態に係る制御回路の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図5】第1の実施形態に係る角度判定処理を説明するための図である。
【
図6】第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第3のフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第4のフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理のタイミングを示す第1のタイミングチャートである。
【
図11】第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理のタイミングを示す第2のタイミングチャートである。
【
図12】第1の実施形態に係る回転角度センサが用いる係数の一例を示す図である。
【
図13】第1の実施形態に係るデコーダ回路の出力値の一例を示す図である。
【
図14】第1の実施形態の変形例に係る電圧電流変換部の変形例を示す図である。
【
図15】第2の実施形態に係る半導体装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
【
図16】第2の実施形態に係る電圧電流変換部の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図17】第2の実施形態に係る電流源の回路構成の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
本発明の態様に係る回転角度センサ及び半導体装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0010】
[第1の実施形態]
まず、
図1から
図14を参照しながら、第1の実施形態について説明する。
【0011】
[機能構成]
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、半導体装置1の機能構成の一例について説明する。半導体装置1は、半導体基板2に形成される。半導体装置1は、回転角度センサとしての機能を有する半導体装置に包含されている。半導体装置1は、第1磁気センサ素子11と、第2磁気センサ素子12と、第1電流源81と、第2電流源82と、電圧電流変換部20と、加減算部30と、比較器40と、シフトレジスタ回路50と、制御回路60と、デコーダ回路70とを備える。以下の説明において、電圧電流変換部20と加減算部30とを備える構成を、信号生成回路26と記載する場合がある。また、同図を参照しながら行う説明において、磁束密度の方向等を、X軸、Y軸及びZ軸の三次元直交座標系によって説明する場合がある。
【0012】
半導体装置1が測定する対象は、磁束密度Bである。半導体装置1は、検知軸が互いに直交する第1磁気センサ素子11と、第2磁気センサ素子12とを有することにより、二次元の磁束密度Bを測定する。具体的には、半導体装置1は、磁束密度Bの方向角θを求める。磁束密度Bの方向角θとは、基準方向ベクトル(0度)に対する角度である。第1磁気センサ素子11と第2磁気センサ素子12との検知軸は、互いに直交、又は略直交していることが好適である。しかしながら、本実施形態はこの一例に限定されない。半導体装置1は、更にベクトル演算を行うことにより、平行でない任意の角度に配置された第1磁気センサ素子11、及び第2磁気センサ素子12に基づき、磁束密度Bの方向角θを求めることができる。なお、略直交の範囲とは、磁気センサ素子が互いに直交又は略直交していないことに起因するベクトル演算を要しない範囲であってもよい。
【0013】
また、以下の説明において、半導体装置1は、X-Y平面上における二次元の磁束密度Bを測定することを前提とする。しかしながら、本実施形態はこの一例に限定されず、半導体装置1は、Y-Z平面上又はZ-X平面上における2次元の磁束密度Bを測定することも可能である。Y-Z平面上又はZ-X平面上における2次元の磁束密度Bを測定する場合、異種構造のセンサを用いることが好適である。しかしながら異種構造のセンサを用いる場合、軸間の感度を揃え難いといった課題がある。X-Y平面上における二次元の磁束密度Bを測定する場合、2つの磁気センサ素子は、いずれも例えば縦型ホール素子や磁気抵抗素子とすることが可能であり、すなわち同じ構造のセンサを用いることが可能である。したがって、半導体装置1は、X-Y平面上における二次元の磁束密度Bを測定することが好適である。
【0014】
第1磁気センサ素子11は、第1の方向(X方向)の磁束密度Bxを検出する。磁束密度Bxとは、磁束密度BのX方向成分であり、第1の方向の磁束密度ということもできる。第1電流源81は、第1磁気センサ素子11に電流を供給する。第1磁気センサ素子11は、検出した磁束密度Bxと、第1電流源81から供給される電流の積に比例した信号である第1の磁気センサ素子出力信号Vx1を電圧電流変換部20に出力する。第1磁気センサ素子11及び第1電流源81は、VDD端子3とVSS端子4との間に配置される。
【0015】
第2磁気センサ素子12は、第1の方向とは異なる方向である第2の方向(Y方向)の磁束密度Byを検出する。磁束密度Byとは、磁束密度BのY方向成分であり、第2の方向の磁束密度ということもできる。第2電流源82は、第2磁気センサ素子12に電流を供給する。第2磁気センサ素子12は、検出した磁束密度Byと、第2電流源82から供給される電流の積に比例した信号である第2の磁気センサ素子出力信号Vy1を電圧電流変換部20に出力する。第2磁気センサ素子12及び第2電流源82は、VDD端子3とVSS端子4との間に配置される。
【0016】
ここで、第1の方向(X方向)及び第2の方向(Y方向)は、互いに交わる方向であり、いずれも半導体基板2の表面と平行な方向である。互いに交わる方向とは、具体的には、直交又は略直交する方向であることが好適である。
【0017】
電圧電流変換部20は、第1磁気センサ素子11から第1の磁気センサ素子出力信号Vx1を取得し、第2磁気センサ素子12から第2の方向の第2の磁気センサ素子出力信号Vy1を取得する。また、電圧電流変換部20は、制御回路60から第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbを取得する。ここで、第1磁気センサ素子11の出力である第1の磁気センサ素子出力信号Vx1、及び第2磁気センサ素子12の出力である第2の磁気センサ素子出力信号Vy1は、いずれも差動信号である。電圧電流変換部20は、受け取った差動信号を、差動電流に変換するものである。第1の制御信号Saとは、差動信号である第1の方向の磁束密度Bxを差動電流に変換する際に用いられる係数aを含む信号である。また、第2の制御信号Sbとは、差動信号である第2の方向の磁束密度Byを差動電流に変換する際に用いられる係数bを含む信号である。電圧電流変換部20は、第1磁気センサ素子11の出力及び第1の制御信号Saに応じた電流信号であるIx2と、第2磁気センサ素子12の出力及び第2の制御信号Sbに応じた電流信号であるIy2とを加減算部30に出力する。
【0018】
加減算部30は、電圧電流変換部20から第1磁気センサ素子11の出力に応じた電流信号であるIx2と、第2磁気センサ素子12の出力に応じた電流信号であるIy2とを取得する。また、加減算部30は、制御回路60から極性切替制御信号Dcrsを取得する。加減算部30は、取得したIx2とIy2とに基づき、加算又は減算を行う。加算及び減算のいずれを行うかについての情報は、極性切替制御信号Dcrsに含まれている。極性切替制御信号Dcrsは、例えば、加算又は減算のいずれかを示す1ビットのバイナリ信号であってもよい。加減算部30は、加減算をした結果として生成された信号を加減算信号Vsとして比較器40に出力する。
【0019】
比較器40は、加減算部30から加減算信号Vsを取得する。比較器40は、加減算信号Vsの電圧と、所定の電圧とを比較する。ここで、所定の電圧とは、単電源の場合は電源電圧の中間電圧であってもよいし、両電源の場合は0[V(ボルト)]であってもよい。すなわち、比較器40は、加減算信号Vsが中間値より大きいか否かを判定する。比較器40は、比較した結果を、比較器出力信号Dsとしてシフトレジスタ回路50に出力する。比較器出力信号Dsは、1ビットのバイナリ信号であってもよい。なお、以下の説明においては、一例として、VDD=5[V]の単電源を用い、所定の電圧が2.5[V]である場合について説明する。
【0020】
シフトレジスタ回路50は、直列入力並列出力形(Serial-In,Parallel-Out、SIPO)のシフトレジスタである。シフトレジスタ回路50は、比較器40による比較結果である比較器出力信号Dsを保持する。シフトレジスタ回路50のビット数は、半導体装置1が検出可能な角度の分解能に基づくものであってもよい。半導体装置1が検出可能な角度の分解能とは、例えば5ビット(2の5乗=32階調、1階調は360度/32階調=11.25度)であってもよい。シフトレジスタ回路50は、基準クロック信号CLKに基づき動作する。基準クロック信号CLKが入力されると、シフトレジスタ回路50が保持するデータは、1ビットシフトする。なお、基準クロック信号CLKは、シフトレジスタ回路50に加え、制御回路60及びデコーダ回路70にも供給される。シフトレジスタ回路50、制御回路60、及びデコーダ回路70は、基準クロック信号CLKに同期して動作する。シフトレジスタ回路50は、基準クロック信号CLKに同期したラッチ信号(不図示)に応じて、保持するデータをデコーダ回路70に出力する。図示する一例では、5ビットのデータ5bがデコーダ回路70に出力されている。また、シフトレジスタ回路50は、基準クロック信号CLKに同期して、保持するデータをシフトレジスタ保持値Scとして制御回路60に出力する。シフトレジスタ回路50、制御回路60、及びデコーダ回路70の接続点をノードN1と図示する。
【0021】
制御回路60は、シフトレジスタ回路50からシフトレジスタ保持値Scを取得する。制御回路60は、取得したシフトレジスタ保持値Scに基づき、第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを決定し、出力する。ここで、第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsは、第1の方向の磁束密度Bx及び第2の方向の磁束密度Byに対し、好適な重み付け係数を与えるものである。ここで、本実施形態は、重み付けが行われた磁束密度を加減算処理することにより移相処理を行い、移相処理した角度ベクトル信号に対し逐次符号判定することにより、2分探索をして絶対角度情報を得ようとするものである。制御回路60は、シフトレジスタ保持値Scに基づき、第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを決定する。第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsは、例えば、次の(1)式を満たすものであってもよい。
【0022】
Acosθ+Bsinθ=√(A+B)^2×cos(θ+Φ)、Φ=arctan(B/A)、係数A=√tanΦ/(√tanΦ+1/√tanΦ)、係数B=(1/√tanΦ)/(√tanΦ+1/√tanΦ)、A+B=1・・・(1)
【0023】
制御回路60は、係数A及びBの組合せによって、絶対角θからの移相角Φを任意に設定する。すなわち、制御回路60は、シフトレジスタ回路50により保持された値に応じて、第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号の値と、第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号の値とを制御するということもできる。具体的には、制御回路60は、シフトレジスタ回路50により保持された値に応じて、電圧電流変換部20が出力する電流値を制御するための係数を算出し、算出した係数を電圧電流変換部20に出力する。電圧電流変換部20は、制御回路60から取得した係数に応じて電圧電流変換を行うことにより、第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号の値と、第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号の値とを出力する。
【0024】
デコーダ回路70は、シフトレジスタ回路50に保持された値を出力する。デコーダ回路70は、磁束密度ベクトルのなす角に応じた信号を出力するということもできる。以下の説明において、デコーダ回路70による出力信号を絶対角出力信号Doと記載する場合がある。絶対角出力信号Doは、アナログ信号であってもよいし、多ビットの2値符号信号であってもよい。デコーダ回路70による出力端子を出力端子Toとして図示する。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る電圧電流変換部の回路構成の一例を示す回路図である。同図を参照しながら、電圧電流変換部20の詳細な回路構成の一例について説明する。電圧電流変換部20は、第1差動対21と、第2差動対22とを備える。電圧電流変換部20は、第1差動対21を備えることにより第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号を電流信号に変換し、第2差動対22を備えることにより第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号を電流信号に変換する。第1差動対21及び第2差動対22は、電圧信号を電流信号に変換するトランスコンダクタ段であるということができる。
【0026】
第1差動対21は、トランジスタ211と、トランジスタ212と、電流源213とを備える。第1差動対21は、端子201を介して磁束密度Bxに比例した差動信号である第1の磁気センサ素子出力信号Vx1を取得し、取得した差動信号を差動電流であるIx2に変換する。第1差動対21は、端子205を介して第1の制御信号Saを取得し、取得した第1の制御信号Saに基づき、テール電流を変化させる。図示する一例では、第1の制御信号Saに基づきテール電流がaIrefに制御されている。第1差動対21は、テール電流を制御することにより、電圧信号から電流信号への変換係数を制御する。変換された差動電流は、端子203を介して加減算部30に出力される。
【0027】
第2差動対22は、トランジスタ221と、トランジスタ222と、電流源223とを備える。第2差動対22は、端子202を介して磁束密度Byに比例した差動信号である第2の磁気センサ素子出力信号Vy1を取得し、取得した差動信号を差動電流であるIy2に変換する。第2差動対22は、端子202を介して第2の制御信号Sbを取得し、取得した第2の制御信号Sbに基づき、テール電流を変化させる。図示する一例では、第2の制御信号Sbに基づきテール電流がbIrefに制御されている。第2差動対22は、テール電流を制御することにより、電圧信号から電流信号への変換係数を制御する。変換された差動電流は、端子204を介して加減算部30に出力される。
【0028】
図3は、第1の実施形態に係る加減算部の回路構成の一例を示す回路図である。同図を参照しながら、加減算部30の詳細な回路構成の一例について説明する。加減算部30は、帰還差動対31と、電流-電圧変換器32と、スイッチ回路33と、抵抗91と、抵抗92とを備える。加減算部30は、帰還差動対31、電流-電圧変換器32、スイッチ回路33、抵抗91、及び抵抗92を備えることにより、第1磁気センサ素子11の出力に基づく電流信号と、第2磁気センサ素子12の出力に基づく電流信号とを、加算又は減算する。
【0029】
帰還差動対31は、電流源311と、電流源312と、トランジスタ313と、トランジスタ314と、電流源315とを備える。帰還差動対31は、帰還信号を受ける帰還差動対であるということができる。また、帰還差動対31は、出力電圧Vsを、抵抗91及び抵抗92により分圧した帰還電圧VFBを帰還電流信号に変換する帰還差動対トランスコンダクタ段であるということもできる。
【0030】
スイッチ回路33は、端子301と帰還差動対31との間、又は端子302と帰還差動対31との間のいずれか一方に備えられる。スイッチ回路33は、電圧Vy2又は電圧Vx2の極性を切り替える。加減算部30は、スイッチ回路33を備えることにより、加算又は減算を切り替えて実行する。加算又は減算のいずれを実行するかは、制御回路60により出力される極性切替制御信号Dcrsに基づく。図示する一例では、スイッチ回路33は、端子302と帰還差動対31との間に備えられている。すなわち、図示する一例においてスイッチ回路33は、電圧Vy2の極性を切り替える。
【0031】
なお、図示する一例では、スイッチ回路33が加減算部30に備えられる場合の一例について説明した。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、スイッチ回路33は、電圧電流変換部20に備えられていてもよい。この場合、スイッチ回路33は、第1差動対21と端子203との間、又は第2差動対22と端子204との間のいずれか一方に備えられる。
【0032】
電流-電圧変換器32は、トランジスタ321と、トランジスタ322と、トランジスタ323と、トランジスタ324とを備える。電流-電圧変換器32は、Ix2及びIy2の和と、帰還信号電流Ifbの差を受けるカレントミラー回路であるということもできる。電流-電圧変換器32は、電流信号を電圧信号に変換し、出力する。電流-電圧変換器32による出力信号は、加減算信号Vsとして次段の比較器40に入力される。
【0033】
抵抗91、及び抵抗92は、同相基準電圧VCMを基準として、出力電圧Vsを分圧し、帰還信号VFBを生成する。抵抗91、及び抵抗92は、閉ループゲインを決定する。ゲインは、抵抗91及び抵抗92の抵抗値と、電流源213及び電流源223と、電流源315との比により決定される。
【0034】
ここで、抵抗91及び抵抗92の抵抗値は、少なくとも一方が可変抵抗であってもよい。いずれかの抵抗の抵抗値を制御することにより、分圧比の調整が行われてもよい。しかしながら本実施形態はこの一例に限定されず、分圧比の調整が行われなくてもよい。例えば、入力磁束密度が既知かつ一定である場合、抵抗91及び抵抗92の抵抗値は、固定値であってもよい。
【0035】
図4は、第1の実施形態に係る制御回路の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、制御回路60の詳細な機能構成の一例について説明する。制御回路60は、カウンタ回路61と、制御信号デコーダ回路62とを備える。
【0036】
カウンタ回路61は、基準クロック信号CLKに応じたカウント動作を行う。カウンタ回路61は、カウント動作を行った結果をカウント信号Sdとして制御信号デコーダ回路62に出力する。カウンタ回路61は、例えば半導体装置1が5ビットの分解能で回転角度を算出する場合、5ビット分のクロック(例えば5クロック)がカウントされた時点においてカウント信号Sdを出力してもよい。カウント信号Sdは、例えばデコーダ回路70に出力される。デコーダ回路70は、カウント信号Sdに基づきラッチ処理を行ってもよい。
【0037】
制御信号デコーダ回路62は、カウンタ回路61から得られたカウント信号Sdと、シフトレジスタ保持値Scとに応じて、第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsの値を算出し、算出した値を出力する。制御信号デコーダ回路62は、シフトレジスタ保持値Scに基づき、第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsの値を制御することにより、これまで絞り込んだ角度に応じた係数に制御する。
【0038】
なお、上述した一例において、極性切替制御信号Dcrsは1ビットのバイナリ信号であると説明した。しかしながら極性切替制御信号Dcrsは1ビットのバイナリ信号である場合の一例に限定されず、図示するような6ビットの信号であってもよい。極性切替制御信号Dcrsが2ビット以上の情報を持つ場合とは、例えば、X軸信号及びY軸信号に重み付けをして加算又は減算する場合である。この場合、極性切替制御信号Dcrsは、各重み付け係数回路部分に対して正負符号の制御をかけるための情報を保持する。X軸信号及びY軸信号に重み付けをして加算又は減算する処理については、後述する。
【0039】
[角度判定処理動作]
図5は、第1の実施形態に係る角度判定処理を説明するための図である。同図を参照しながら、検出対象となる磁場の角度ベクトルが62度である場合、角度情報がどのように逐次的に絞り込まれていくかについて説明する。図示する一例では、分解能が5ビット(すなわち、11.25度)である場合について説明する。
【0040】
半導体装置1は、まず、磁場の角度ベクトルが第1象限乃至第4象限のいずれであるかを判定する。以下の説明において、このような判定を象限判定、又は第1判定と記載する場合がある。磁場の角度ベクトルが第1象限乃至第4象限のいずれであるか判定された後、半導体装置1は、象限内における詳細な角度について逐次的に判定していく。以下の説明において、このような判定を象限内判定、又は第2判定と記載する場合がある。
【0041】
検出対象となる磁場の角度ベクトルが62度である場合、まずは象限判定により第1象限であることが判定される。象限判定のためには、具体的には2回の判定が行われる。例えば、第1回目の判定により、第1象限及び第4象限、又は第2象限及び第3象限のいずれに存在するかが絞り込まれる。また、第2回目の判定により、第1象限乃至第4象限のいずれに存在するかが絞り込まれる。
【0042】
なお、象限判定において制御回路60から出力される第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsは、検出結果いかんを問わず同様であってもよいが、象限内判定において制御回路60から出力される第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsは、それ以前の判定結果、すなわちシフトレジスタ回路50に保持された値に応じて決定される。
【0043】
次に、第1象限内における象限内判定が行われる。具体的には、検出対象となる磁場の角度ベクトルが45度より大きいか小さいかが判定される。62度は45度より大きいため、90度から45度の間であることが判定される。次に、検出対象となる磁場の角度ベクトルが67.5度より大きいか小さいかが判定される。62度は67.5度より小さいため、67.5度から45度の間であることが判定される。次に、検出対象となる磁場の角度ベクトルが56.25度より大きいか小さいかが判定される。62度は56.25度より大きいため、67.5度から56.25度の間であることが判定される。このように、半導体装置1は、逐次的に加減算信号Vsが中間値より大きいか小さいかの比較を繰り返すことにより、角度ベクトルの範囲を絞り込んでいく。図示する一例では、分解能が5ビットであり、2ビットを象限判定に用い、3ビットを象限内判定に用いている。
【0044】
次に、
図6から
図9を参照しながら、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例について説明する。まず、
図6を参照しながら象限判定の具体的な一例について説明する。次に、
図6から
図9を参照しながら、各象限における象限内判定の具体的な一例について説明する。
【0045】
図6は、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第1のフローチャートである。同図を参照しながら、象限判定の具体的な一例について説明する。
【0046】
(ステップS101)まず、半導体装置1は、第1磁気センサ素子11から出力されたX方向の磁束密度Bxに応じた電圧Vx=Cosθが、正であるか負であるかを判定する。具体的には、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが電圧Vx=Cosθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、Vx=Cosθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、第1象限又は第4象限であると判定し、処理をステップS102に進める(ステップS101;TRUE)。また、半導体装置1は、Vx=Cosθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、第2象限又は第3象限であると判定し、処理をステップS103に進める(ステップS101;FALSE)。
【0047】
(ステップS102)次に、半導体装置1は、第2磁気センサ素子12から出力されたY方向の磁束密度Byに応じた電圧Vy=Sinθが、正であるか負であるかを判定する。具体的には、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが電圧Vy=Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、Vy=Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、第1象限であると判定し、処理をステップS111に進める(ステップS102;TRUE)。また、半導体装置1は、Vy=Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、第4象限であると判定し、処理を
図9におけるステップS141に進める(ステップS102;FALSE)。
【0048】
(ステップS103)同様に、半導体装置1は、第2磁気センサ素子12から出力されたY方向の磁束密度Byに応じた電圧Vy=Sinθが、正であるか負であるかを判定する。具体的には、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが電圧Vy=Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、Vy=Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、第2象限であると判定し、処理を
図7におけるステップS121に進める(ステップS103;TRUE)。また、半導体装置1は、Vy=Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、第3象限であると判定し、処理を
図8におけるステップS131に進める(ステップS103;FALSE)。
【0049】
次に、象限内判定の具体的な一例について説明する。引き続き、
図6を参照しながら、検出対象となる磁場の角度ベクトルが第1象限内に存在する場合における判定処理の一連の動作について説明する。
【0050】
(ステップS111)当該ステップは、全体として第3回目の判定であり、象限内判定における第1回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.5Cosθ-0.5Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.5Cosθ-0.5Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ<45度であると判定し、処理をステップS113に進める(ステップS111;TRUE)。また、半導体装置1は、0.5Cosθ-0.5Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ>45度であると判定し、処理をステップS112に進める(ステップS111;FALSE)。
【0051】
(ステップS112)当該ステップ及びステップS113は、全体として第4回目の判定であり、象限内判定における第2回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.707Cosθ-0.293Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.707Cosθ-0.293Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ<67.5度であると判定し、処理をステップS115に進める(ステップS112;TRUE)。また、半導体装置1は、0.707Cosθ-0.293Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ>67.5度であると判定し、処理をステップS114に進める(ステップS112;FALSE)。
【0052】
(ステップS113)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.293Cosθ-0.707Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.293Cosθ-0.707Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ<22.5度であると判定し、処理をステップS117に進める(ステップS113;TRUE)。また、半導体装置1は、0.293Cosθ-0.707Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ>22.5度であると判定し、処理をステップS116に進める(ステップS113;FALSE)。
【0053】
(ステップS114)当該ステップ及びステップS115乃至ステップS117は、全体として第5回目の判定であり、象限内判定における第3回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.834Cosθ-0.166Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.834Cosθ-0.166Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、67.5度<θ<78.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS114;TRUE)。また、半導体装置1は、0.834Cosθ-0.166Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、78.75度<θ<90度であると判定し、処理を終了する(ステップS114;FALSE)。
【0054】
(ステップS115)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.598Cosθ-0.402Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.598Cosθ-0.402Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、45度<θ<56.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS115;TRUE)。また、半導体装置1は、0.598Cosθ-0.402Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、56.25度<θ<67.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS115;FALSE)。
【0055】
(ステップS116)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.402Cosθ-0.598Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.402Cosθ-0.598Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、22.5度<θ<33.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS116;TRUE)。また、半導体装置1は、0.402Cosθ-0.598Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、33.75度<θ<45度であると判定し、処理を終了する(ステップS116;FALSE)。
【0056】
(ステップS117)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.166Cosθ-0.834Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.166Cosθ-0.834Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、0度<θ<11.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS117;TRUE)。また、半導体装置1は、0.166Cosθ-0.834Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、11.25度<θ<22.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS117;FALSE)。
【0057】
なお、
図6には、具体的なフローの一例として、磁束密度Bの方向角θが62度(すなわち、56.25度<θ<67.5度)である場合におけるフローを、分岐先に円を付すことにより示している。
【0058】
図7は、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第2のフローチャートである。同図を参照しながら、検出対象となる磁場の角度ベクトルが第2象限内に存在する場合における判定処理の一連の動作について説明する。図示する一例において、象限判定(ステップS101乃至ステップS103)については、
図6を参照しながら既に説明したため、説明を省略する。
【0059】
(ステップS121)当該ステップは、全体として第3回目の判定であり、象限内判定における第1回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.5Cosθ+0.5Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.5Cosθ+0.5Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ<135度であると判定し、処理をステップS122に進める(ステップS121;TRUE)。また、半導体装置1は、0.5Cosθ+0.5Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ>135度であると判定し、処理をステップS123に進める(ステップS121;FALSE)。
【0060】
(ステップS122)当該ステップ及びステップS123は、全体として第4回目の判定であり、象限内判定における第2回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.707Cosθ+0.293Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.707Cosθ+0.293Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ>112.5度であると判定し、処理をステップS124に進める(ステップS122;TRUE)。また、半導体装置1は、0.707Cosθ+0.293Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ<112.5度であると判定し、処理をステップS125に進める(ステップS122;FALSE)。
【0061】
(ステップS123)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.293Cosθ+0.707Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.293Cosθ+0.707Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ<157.5度であると判定し、処理をステップS126に進める(ステップS123;TRUE)。また、半導体装置1は、0.293Cosθ+0.707Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ>157.5度であると判定し、処理をステップS127に進める(ステップS123;FALSE)。
【0062】
(ステップS124)当該ステップ及びステップS125乃至ステップS127は、全体として第5回目の判定であり、象限内判定における第3回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.598Cosθ+0.402Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.598Cosθ+0.402Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、123.75度<θ<135度であると判定し、処理を終了する(ステップS124;TRUE)。また、半導体装置1は、0.598Cosθ+0.402Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、112.5度<θ<123.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS124;FALSE)。
【0063】
(ステップS125)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.834Cosθ+0.166Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.834Cosθ+0.166Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、101.25度<θ<112.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS125;TRUE)。また、半導体装置1は、0.834Cosθ+0.166Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、90度<θ<101.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS125;FALSE)。
【0064】
(ステップS126)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.166Cosθ+0.834Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.166Cosθ+0.834Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、168.75度<θ<180度であると判定し、処理を終了する(ステップS126;TRUE)。また、半導体装置1は、0.166Cosθ+0.834Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、157.5度<θ<168.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS126;FALSE)。
【0065】
(ステップS127)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.402Cosθ+0.598Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.402Cosθ+0.598Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、146.25度<θ<157.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS127;TRUE)。また、半導体装置1は、0.402Cosθ+0.598Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、135度<θ<146.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS127;FALSE)。
【0066】
なお、
図7には、具体的なフローの一例として、磁束密度Bの方向角θが117度(すなわち、112.5度<θ<123.75度)である場合におけるフローを、分岐先に円を付すことにより示している。
【0067】
図8は、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第3のフローチャートである。同図を参照しながら、検出対象となる磁場の角度ベクトルが第3象限内に存在する場合における判定処理の一連の動作について説明する。図示する一例において、象限判定(ステップS101乃至ステップS103)については、
図6を参照しながら既に説明したため、説明を省略する。
【0068】
(ステップS131)当該ステップは、全体として第3回目の判定であり、象限内判定における第1回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.5Cosθ-0.5Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.5Cosθ-0.5Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ>225度であると判定し、処理をステップS133に進める(ステップS131;TRUE)。また、半導体装置1は、0.5Cosθ-0.5Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ<225度であると判定し、処理をステップS132に進める(ステップS131;FALSE)。
【0069】
(ステップS132)当該ステップ及びステップS133は、全体として第4回目の判定であり、象限内判定における第2回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.293Cosθ-0.707Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.293Cosθ-0.707Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ>202.5度であると判定し、処理をステップS134に進める(ステップS132;TRUE)。また、半導体装置1は、0.293Cosθ-0.707Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ<202.5度であると判定し、処理をステップS135に進める(ステップS132;FALSE)。
【0070】
(ステップS133)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.707Cosθ-0.293Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.707Cosθ-0.293Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ>247.5度であると判定し、処理をステップS137に進める(ステップS133;TRUE)。また、半導体装置1は、0.707Cosθ-0.293Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ<247.5度であると判定し、処理をステップS136に進める(ステップS133;FALSE)。
【0071】
(ステップS134)当該ステップ及びステップS135乃至ステップS137は、全体として第5回目の判定であり、象限内判定における第3回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.402Cosθ-0.598Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.402Cosθ-0.598Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、213.75度<θ<225度であると判定し、処理を終了する(ステップS134;TRUE)。また、半導体装置1は、0.402Cosθ-0.598Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、202.5度<θ<213.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS134;FALSE)。
【0072】
(ステップS135)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.166Cosθ-0.834Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.166Cosθ-0.834Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、191.25度<θ<202.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS135;TRUE)。また、半導体装置1は、0.166Cosθ-0.834Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、180度<θ<191.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS135;FALSE)。
【0073】
(ステップS136)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.834Cosθ-0.166Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.834Cosθ-0.166Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、247.5度<θ<258.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS136;TRUE)。また、半導体装置1は、0.834Cosθ-0.166Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、258.75度<θ<270度であると判定し、処理を終了する(ステップS136;FALSE)。
【0074】
(ステップS137)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.598Cosθ-0.402Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.598Cosθ-0.402Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、225度<θ<236.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS137;TRUE)。また、半導体装置1は、0.598Cosθ-0.402Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、236.25度<θ<247.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS137;FALSE)。
【0075】
なお、
図8には、具体的なフローの一例として、磁束密度Bの方向角θが192度(すなわち、191.25度<θ<202.5度)である場合におけるフローを、分岐先に円を付すことにより示している。
【0076】
図9は、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理の一例を示す第4のフローチャートである。同図を参照しながら、検出対象となる磁場の角度ベクトルが第4象限内に存在する場合における判定処理の一連の動作について説明する。図示する一例において、象限判定(ステップS101乃至ステップS103)については、
図6を参照しながら既に説明したため、説明を省略する。
【0077】
(ステップS141)当該ステップは、全体として第3回目の判定であり、象限内判定における第1回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.5Cosθ+0.5Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.5Cosθ+0.5Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ>315度であると判定し、処理をステップS142に進める(ステップS141;TRUE)。また、半導体装置1は、0.5Cosθ+0.5Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ<315度であると判定し、処理をステップS143に進める(ステップS141;FALSE)。
【0078】
(ステップS142)当該ステップ及びステップS143は、全体として第4回目の判定であり、象限内判定における第2回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.293Cosθ+0.707Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.293Cosθ+0.707Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ>337.5度であると判定し、処理をステップS144に進める(ステップS142;TRUE)。また、半導体装置1は、0.293Cosθ+0.707Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ<337.5度であると判定し、処理をステップS145に進める(ステップS142;FALSE)。
【0079】
(ステップS143)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.707Cosθ+0.293Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.707Cosθ+0.293Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、θ>292.5度であると判定し、処理をステップS146に進める(ステップS143;TRUE)。また、半導体装置1は、0.707Cosθ+0.293Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、θ<292.5度であると判定し、処理をステップS147に進める(ステップS143;FALSE)。
【0080】
(ステップS144)当該ステップ及びステップS145乃至ステップS147は、全体として第5回目の判定であり、象限内判定における第3回目の判定である。まず、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.166Cosθ+0.834Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.166Cosθ+0.834Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、348.75度<θ<360度であると判定し、処理を終了する(ステップS144;TRUE)。また、半導体装置1は、0.166Cosθ+0.834Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、337.5度<θ<348.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS144;FALSE)。
【0081】
(ステップS145)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.402Cosθ+0.598Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.402Cosθ+0.598Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、326.25度<θ<337.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS145;TRUE)。また、半導体装置1は、0.402Cosθ+0.598Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、315度<θ<326.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS145;FALSE)。
【0082】
(ステップS146)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.598Cosθ+0.402Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.598Cosθ+0.402Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、292.5度<θ<303.75度であると判定し、処理を終了する(ステップS146;TRUE)。また、半導体装置1は、0.598Cosθ+0.402Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、303.75度<θ<315度であると判定し、処理を終了する(ステップS146;FALSE)。
【0083】
(ステップS147)次に、制御回路60は、加減算部30により出力される出力電圧Vsが0.834Cosθ+0.166Sinθとなるよう第1の制御信号Sa、第2の制御信号Sb、及び極性切替制御信号Dcrsを制御し、比較器40による判定を行う。半導体装置1は、0.834Cosθ+0.166Sinθ>0の場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“H”である場合、281.25度<θ<292.5度であると判定し、処理を終了する(ステップS147;TRUE)。また、半導体装置1は、0.834Cosθ+0.166Sinθ>0でない場合、すなわち比較器40による比較器出力信号Dsが“L”である場合、270度<θ<281.25度であると判定し、処理を終了する(ステップS147;FALSE)。
【0084】
なお、
図9には、具体的なフローの一例として、磁束密度Bの方向角θが331度(すなわち、326.25度<θ<337.5度)である場合におけるフローを、分岐先に円を付すことにより示している。
【0085】
次に、
図10及び
図11を参照しながら、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理のタイミングについて説明する。
図10は、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理のタイミングを示す第1のタイミングチャートである。
図11は、第1の実施形態に係る回転角度センサによる判定処理のタイミングを示す第2のタイミングチャートである。
図10及び
図11には、磁束密度Bの方向角θに応じた値であって、第1磁気センサ素子11の出力である第1の磁気センサ素子出力信号Vx1、第2磁気センサ素子12の出力である第2の磁気センサ素子出力信号Vy1、加減算部30の出力である加減算信号Vs、基準クロック信号CLK、比較器40の出力である比較器出力信号Ds、デコーダ回路70の出力である絶対角出力信号Do、第1の制御信号Saに含まれる係数aの値、第2の制御信号Sbに含まれる係数bの値、及び制御回路60により制御される極性切替制御信号Dcrsについて、時間ごとの変化がそれぞれ示されている。
【0086】
図10及び
図11には、
図6乃至
図9を参照しながら具体的な磁束密度Bの方向角θの角度の一例として示した62度、331度、192度、117度である場合の一例が示されている。より具体的には、時刻t10から時刻t15にかけて、磁束密度Bの方向角θの角度が62度である場合についての象限判定及び象限内判定が示され、時刻t15から時刻t25にかけて、磁束密度Bの方向角θの角度が331度である場合についての象限判定及び象限内判定が示され、時刻t25から時刻t35にかけて、磁束密度Bの方向角θの角度が192度である場合についての象限判定及び象限内判定が示され、時刻t35から時刻t42にかけて、磁束密度Bの方向角θの角度が117度である場合についての象限判定が示されている。
【0087】
図示するように、第1磁気センサ素子11の出力であるVx1、第2磁気センサ素子12の出力であるVy1は、磁束密度Bの方向角θに応じて変化する。また、制御回路60により第1の制御信号Saに含まれる係数aと、第2の制御信号Sbに含まれる係数bと、極性切替制御信号Dcrsが制御された結果として、加減算部30の出力である加減算信号Vsが変化している。
【0088】
ここで、象限判定の期間、第1の制御信号Saに含まれる係数a、及び第2の制御信号Sbに含まれる係数bは、1又は0となる。すなわち、象限判定では、第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号、又は第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号のいずれかが加減算部30に出力されることとなる。すなわち信号生成回路26は、第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号、又は第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号のいずれかを、象限判定のために用いられる信号として生成するということができる。また、象限内判定においては、第1の制御信号Saに含まれる係数a、及び第2の制御信号Sbに含まれる係数bに応じた値を用いた加減算が行われる。すなわち信号生成回路26は、象限内判定に用いられる信号を出力した後、第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号と、第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号とを加算又は減算し、象限内判定のために用いられる信号として生成するということができる。
【0089】
極性切替制御信号Dcrsは、象限判定の区間“L”に固定される。象限内判定においては、それまでの判定結果(具体的には、象限判定の結果)に応じて、適宜設定される。Cosθ及びSinθが互いに同じ符号となる第1象限及び第3象限は、極性切替制御信号Dcrs=1となる。また、Cosθ及びSinθが互いに異なる符号となる第2象限及び第4象限は、極性切替制御信号Dcrs=0となる。
【0090】
加減算信号Vsの変化に応じて、比較器出力信号Dsが切り替えられる。具体的には、加減算信号Vsが中間値より大きい場合には比較器出力信号Dsは“H”となり、加減算信号Vsが中間値より小さい場合には比較器出力信号Dsは“L”となる。比較器出力信号Dsが、すなわち象限判定及び象限内判定における判定結果となる。
【0091】
また、図示するように、逐次的に判定が行われた結果、段々と絶対角度が特定されていくことが分かる。シフトレジスタ回路50は、逐次的に行われる結果を保持し、最終クロック(図示する一例は5ビットの一例であるため5クロック目)と同期して保持した値を出力する。
【0092】
図12は、第1の実施形態に係る回転角度センサが用いる係数の一例を示す図である。同図を参照しながら、第1の実施形態に係る回転角度センサが用いる係数の一例について説明する。同図には、5ビットの分解能で角度判定をしようとする場合における角度ごとに、係数aの値及び係数bの値を示している。
【0093】
係数aの値及び係数bの値は、acrtan(b’/a’)=θth、a’^2+b’^2=1となるように決定されている。なお、係数1をコード1、係数0をコード0とし、1コードあたり1/31=0.03226とする。
【0094】
本実施形態においては、半導体装置1が回転角度を検出する分解能を示すビット数より1ビット多いビット数により量子化を行うことが好適である。例えば分解能が5ビットである場合、5+1=6ビットにより量子化を行うことが好適である。これは、分解能と同様のビット数により量子化を行う場合、係数0.5を表すことが容易でないためである。例えば係数0.5を5ビットにより表現する場合、一方を1/2とし、他方を1/4+1/8+1/16+1/32とする。すなわち、他方の合計を0.5とすることができない。そこで更に1/32を表現する冗長ビットを用意することにより、他方の合計を0.5とすることができ、係数0.5を表すことが可能となる。NビットにLSBと同じ重み付けの冗長ビットを1ビット追加したものをN.1ビットと呼称するならば、図示するように、本実施形態では、冗長ビットを含む5.1ビットとすることにより、45度、135度、225度及び315度のような係数0.5が必要な場合であっても、係数量子化閾値誤差が生じていない。
【0095】
半導体装置1が回転角度を検出する分解能とはすなわちシフトレジスタ回路50のビット数である。したがって、制御回路60により算出される係数のビット数は、シフトレジスタ回路50のビット数より大きいということができる。さらに、制御回路60により算出される係数のビット数は、シフトレジスタ回路50のビット数より1ビット大きいことが好適であるということもできる。制御回路60は、シフトレジスタ回路50により保持された値が特定の値である場合(例えば、45度、135度、225度及び315度のような係数0.5を必要とする角度の場合)、当該1ビットを用いて係数を算出することにより、量子化閾値誤差を小さくする。なお、冗長ビットは、45度、135度、225度及び315度のような係数0.5を必要とする角度の場合以外は、無効化されていてもよい。
【0096】
図示するように、量子化された係数a’及びb’と、理論値との差異は僅かであり、計算上閾値角度誤差は±1.5度以内となる。この閾値角度誤差は、分解能に対して約13[%]であり、アプリケーションによっては実用上問題ないと考えられる。また、カレントミラーで構成されるDAC比精度は、一般には閾値角度誤差である約13[%]よりも良好であり、角度精度の律速要因(ボトルネック)とはならない。
【0097】
図13は、第1の実施形態に係るデコーダ回路の出力値の一例を示す図である。同図を参照しながら、デコーダ回路70により出力される絶対角出力信号Doの一例について説明する。
図13(A)は、デコーダ回路70により出力される絶対角出力信号Doが多ビットの2値符号信号である場合の一例である。この場合、デコーダ回路70は、シフトレジスタ回路50により保持された5ビットの2値符号信号を出力するラッチ回路であってもよい。また、
図13(B)は、デコーダ回路70により出力される絶対角出力信号Doがアナログ電圧出力である場合の一例である。この場合、デコーダ回路70は、上述したラッチ回路の後段に、DAC回路(デジタルアナログコンバータ回路)を備えていてもよい。
【0098】
[第1の実施形態の変形例]
図14は、第1の実施形態の変形例に係る電圧電流変換部の変形例を示す図である。同図を参照しながら、第1の実施形態の変形例に係る電圧電流変換部20Aの機能構成について説明する。第1の実施形態の変形例に係る半導体装置1Aは、電圧電流変換部20に代えて電圧電流変換部20Aを備える。電圧電流変換部20Aは、切替回路23と、差動対回路24と、スイッチ回路25とを備える。第1の実施形態の変形例において、制御回路60は、電圧電流変換部20に出力する第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbを、冗長ビットを含む6ビットの制御信号により制御する。第1の実施形態の変形例においては、冗長ビットを含む6ビットの制御信号である第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbを用いて、差動対に対する入力信号を排他的に切り替えることにより、X軸信号及びY軸信号のトランスコンダクタを排他共有する。
【0099】
切替回路23は、第1磁気センサ素子11の出力であり差動信号であるVx1、第2磁気センサ素子12の出力であり差動信号であるVy1、又はVssのうちいずれかを排他的に差動対回路24に供給するよう切り替える。切替回路23は、6ビットの制御信号である第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbに基づいて切り替える。Vssが選択される場合とは、例えば45度、135度、225度及び315度のような係数0.5を必要とする角度以外の場合に、冗長ビットを無効化するような場合である。
【0100】
差動対回路24は、トランジスタ241Aと、トランジスタ241Bと、電流源241Cとを備えることにより第1の差動対を構成し、トランジスタ242Aと、トランジスタ242Bと、電流源242Cとを備えることにより第2の差動対を構成し、トランジスタ243Aと、トランジスタ243Bと、電流源243Cとを備えることにより第3の差動対を構成し、トランジスタ244Aと、トランジスタ244Bと、電流源244Cとを備えることにより第4の差動対を構成し、トランジスタ245Aと、トランジスタ245Bと、電流源245Cとを備えることにより第5の差動対を構成し、トランジスタ246Aと、トランジスタ246Bと、電流源246Cとを備えることにより第6の差動対を構成する。
【0101】
第1の差動対のトランスコンダクタンス係数はK/2であり、テール電流はIref/2である。第2の差動対のトランスコンダクタンス係数はK/4であり、テール電流はIref/4である。第3の差動対のトランスコンダクタンス係数はK/8であり、テール電流はIref/8である。第4の差動対のトランスコンダクタンス係数はK/16であり、テール電流はIref/16である。第5の差動対のトランスコンダクタンス係数はK/32であり、テール電流はIref/32である。第6の差動対のトランスコンダクタンス係数はK/32であり、テール電流はIref/32である。
【0102】
ここで、第1の差動対乃至第6の差動対(各差動対を区別しない場合は、単にビット差動対とも記載する)は、45度、135度、215度、及び315度を判定する際(すなわち係数a=b=0.5)、全ビットが有効となる。その他の角度を判定する際(すなわち係数a≠b)、Iref/32の2つ目(すなわち第6の差動対)が無効化され、その他ビット差動対が、X軸及びY軸で排他的に選択される。Iref/32の2つ目(すなわち第6の差動対)は、全ビット選択時にしか使用されない冗長ビットを表現するための差動対であるということもできる。図示する一例では、X軸にIref/2、及びIref/8が選択され、Y軸にIref/4、Iref/16、Iref/32が選択されている。
【0103】
なお、図示する一例では5ビットの分解能(すなわち、11.25度)の場合が示されている。他の一例として、8ビットの分解能(すなわち、1.41度)の回転角度センサを構成しようとする場合、更に3個の差動対を追加し、Iref/2乃至Iref/256+冗長ビットIref/256の構成とすることが好適となる。この場合、LSB(least significant bit)はMSB(Most significant bit)に対し0.78%となるので、電流比精度で律速される領域となる。
【0104】
スイッチ回路25は、制御回路60により制御される6ビットの極性切替制御信号Dcrsにより、差動対回路24からの出力信号の極性を切り替える。スイッチ回路25は、極性を切り替えた結果得られるVsumを加減算部30に出力する。なお、電圧電流変換部20Aがスイッチ回路25を備える場合は既に制御回路60により極性が設定されているため、加減算部30は、
図3を参照しながら説明したスイッチ回路33を備えることを要しない。
【0105】
[実施形態1のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、回転角度センサは、第1磁気センサ素子11を備えることにより第1方向の磁束密度を検出し、第2磁気センサ素子12を備えることにより第1方向と交わる第2方向の磁束密度を検出し、第1電流源81を備えることにより第1磁気センサ素子11に電流を供給し、第2電流源82を備えることにより第2磁気センサ素子12に電流を供給し、信号生成回路26を備えることにより第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号と第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号とを加算又は減算することにより信号を生成し、比較器40を備えることにより信号生成回路26により生成された信号と所定の電圧とを比較し、シフトレジスタ回路50を備えることにより比較器40により比較された結果を保持し、制御回路60を備えることによりシフトレジスタ回路50により保持された値に応じて第1磁気センサ素子11の出力に応じた信号の値と第2磁気センサ素子12の出力に応じた信号の値とを制御する。回転角度センサは、このような構成を採用することにより、第1方向の第1磁気センサ素子11の出力電圧及び第2方向の磁気センサ素子の出力電圧を、適切な重み付け係数の組み合わせで加減算処理することにより、移相処理した角度ベクトル信号に対し逐次符号判定を行う。すなわち本実施形態に係る回転角度センサは、逐次的に2分探索を繰り返すことにより絶対角度情報を得る。回転角度センサは、このような構成を採用することにより、逐次比較型A/D変換器として動作し、純粋に各軸センサ出力信号の振幅情報をディジタルコードに変換する所謂A/D変換器や、後段のディジタル逆正接(arctan)演算処理回路が不要となる。したがって、回転角度センサは、非線形のベクトル演算処理を実行する代わりに、比較的簡易な線形アナログ回路により構成されることができる。よって、本実施形態によれば、回路規模を小さくすることができ、省面積化を達成することができる。
【0106】
また、本実施形態によれば、
図14を参照しながら説明したように、重み付け用の電流DAC(すなわち電圧電流変換部20A)の構成を分解能を表すNビット+冗長ビットとして最下位ビットを更に有する構成にすることが好適である。例えば、5ビットの場合、冗長1LSBを用いることによって、2軸分に必要な係数をIref/2+Iref/4+Iref/8+Iref/16+Iref/32×2で網羅することができるようになる。したがって、本実施形態によれば、冗長ビットを用いることによって、少ない電流源で必要な重み付け係数の近似値を得ることができる。
【0107】
なお、本実施形態に係る回転角度センサは、最大で6から7ビット程度までの低分解能仕様に好適である。分解能が6乃至7ビット以下であれば、電流DAC(電圧電流変換部20A)の回路規模が小規模であり、DAC比精度を確保することも容易である。したがって、分解能が6乃至7ビット以下であれば、比較的簡易な線形アナログ回路により構成されることができるという本実施形態による効果を更に得ることができるためである。
【0108】
[第2の実施形態]
次に、
図15から
図17を参照しながら、第2の実施形態に係る半導体装置1Bについて説明する。第2の実施形態においては、電圧電流変換部20に対して第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbを出力することに代えて、第1磁気センサ素子11及び第2磁気センサ素子12に電流を供給する電流源に対して第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbを出力する点において、第1の実施形態とは異なる。
【0109】
図15は、第2の実施形態に係る半導体装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、半導体装置1Bの機能構成の一例について説明する。半導体装置1Bは、電圧電流変換部20に代えて電圧電流変換部20Bを備え、第1電流源81に代えて第1電流源83を備え、第2電流源82に代えて第2電流源84を備える点において、第1の実施形態とは異なる。電圧電流変換部20Bと加減算部30とを備える構成を、信号生成回路26Bと記載する場合がある。半導体装置1Bの説明において、半導体装置1と同様の構成については同様の符号を付すことにより説明を省略する場合がある。
【0110】
第1電流源83は、制御回路60から第1の制御信号Saを取得する。第1電流源83は、取得した第1の制御信号Saに応じた電流を第1磁気センサ素子11に供給する。第1磁気センサ素子11は、供給された電流と、第1の方向の磁束密度Bxに応じた電圧を、第1の磁気センサ素子出力信号Vx1として出力する。
【0111】
第2電流源84は、制御回路60から第2の制御信号Sbを取得する。第2電流源84は、取得した第2の制御信号Sbに応じた電流を第2磁気センサ素子12に供給する。第2磁気センサ素子12は、供給された電流と、第2の方向の磁束密度Byに応じた電圧を、第2の磁気センサ素子出力信号Vy1として出力する。なお、第1電流源83及び第2電流源84は、互いに同様の構成を有していてもよい。
【0112】
第2の実施形態において、制御回路60は、シフトレジスタ回路50により保持された値に応じて、第1電流源83による出力電流を制御するための係数aを算出し、第2電流源84による出力電流を制御するための係数bを算出する。制御回路60は、係数aが含まれる第1の制御信号Saを第1電流源83に出力し、係数bが含まれる第2の制御信号Sbを第2電流源84に出力することにより、第1磁気センサ素子11及び第2磁気センサ素子12から信号生成回路26への出力を制御する。
【0113】
図16は、第2の実施形態に係る電圧電流変換部の回路構成の一例を示す回路図である。同図を参照しながら、電圧電流変換部20Bの回路構成の一例について説明する。電圧電流変換部20Bは、第1差動対21Bと、第2差動対22Bとを備える。第1差動対21B及び第2差動対22Bは、制御回路60によりテール電流が制御されない点において第1差動対21及び第2差動対22とは異なる。
【0114】
電圧電流変換部20Bは、第1磁気センサ素子11から第1の方向の磁束密度Bxを取得し、第2磁気センサ素子12から第2の方向の磁束密度Byを取得する。電圧電流変換部20Bが取得する第1の方向の磁束密度Bx及び第2の方向の磁束密度Byは、制御回路60から第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbに応じた値である。第1差動対21B及び第2差動対22Bは、受け取った差動信号を、差動電流に変換するものである。
【0115】
図17は、第2の実施形態に係る電流源の回路構成の変形例を示す回路図である。同図を参照しながら、第1電流源83及び第2電流源84の変形例である電流源85の回路構成の一例について説明する。当該変形例においては、第1電流源83及び第2電流源84に代えて、電流源85を備える点において半導体装置1Bと異なる。当該変形例においては、第1磁気センサ素子11及び第2磁気センサ素子12は、駆動電流源を排他的に共有する。
【0116】
電流源85は、第1ビット電流源851と、第2ビット電流源852と、第3ビット電流源853と、第4ビット電流源854と、第5ビット電流源855と、第6ビット電流源856と、切替回路857とを備える。第1ビット電流源851乃至第6ビット電流源856は、第1の制御信号Sa及び第2の制御信号Sbに応じて、第1磁気センサ素子11及び第2磁気センサ素子12に出力される電流値を切り替える。第1ビット電流源851はIdrv/2を供給する電流源であり、第2ビット電流源852はIdrv/4を供給する電流源であり、第3ビット電流源853はIdrv/8を供給する電流源であり、第4ビット電流源854はIdrv/16を供給する電流源であり、第5ビット電流源855はIdrv/32を供給する電流源であり、第6ビット電流源856はIdrv/32を供給する電流源である。
【0117】
ここで、第1ビット電流源851乃至第6ビット電流源856(それぞれ区別しない場合は単にビット電流源とも記載する)は、45度、135度、215度、及び315度を判定する際(すなわち係数a=b=0.5)、全ビットが有効となり第1磁気センサ素子11及び第2磁気センサ素子12にそれぞれ均等にIdrv/2ずつ配分する。その他の角度を判定する際(すなわち係数a≠b)、一方のIdrv/32(第5ビット電流源855又は第6ビット電流源856)が無効化され、その他ビット電流源からの出力が、X軸及びY軸で排他的に選択される。一方のIdrv/32(すなわち第5ビット電流源855又は第6ビット電流源856)は、全ビット選択時にしか使用されない冗長ビットであるということもできる。図示する一例では、X軸にIdrv/2、及びIdrv/8が選択された結果として、Idrvx=0.625Idrvとなる。また、図示する一例では、Y軸にIdrv/4、Idrv/16、Idrv/32が選択された結果として、Idrvy=0.34375Idrvとなる。
【0118】
[実施形態2のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、制御回路60は、シフトレジスタ回路50により保持された値に応じて、第1電流源83による出力電流及び第2電流源84による出力電流を制御するための係数を算出し、それぞれ第1電流源83及び第2電流源84に出力することにより、第1磁気センサ素子11及び第2磁気センサ素子12から信号生成回路26への出力を制御する。すなわち、本実施形態によれば、電圧電流変換部20に対する制御を行う代わりに、磁気センサ素子の駆動電流源を制御することにより、演算に用いられる係数を適用する。本実施形態に係る回転角度センサは、係数が適用された信号を用いた演算を繰り返すことにより絶対角度情報を得る。回転角度センサは、このような構成を採用することにより、逐次比較型A/D変換器として動作し、純粋に各軸センサ出力信号の振幅情報をディジタルコードに変換する所謂A/D変換器や、後段のディジタル逆正接(arctan)演算処理回路が不要となる。したがって、回転角度センサは、非線形のベクトル演算処理を実行する代わりに、比較的簡易な線形アナログ回路により構成されることができる。よって、本実施形態によれば、回路規模を小さくすることができ、省面積化を達成することができる。なお、第2の実施形態のような構成を採用することにより、第1の実施形態の構成と比較し、回路規模を比較的小さくすることが可能となる。
【0119】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0120】
1…半導体装置
2…半導体基板
3…VDD端子
4…VSS端子
10…回転角度センサ
11…第1磁気センサ素子
12…第2磁気センサ素子
20…電圧電流変換部
26…信号生成回路
30…加減算部
40…比較器
50…シフトレジスタ回路
60…制御回路
70…デコーダ回路
81…第1電流源
82…第2電流源
Sa…第1の制御信号
Sb…第2の制御信号
Dcrs…極性切替制御信号
Ds…比較器出力信号
Do…絶対角出力信号
Vs…加減算信号
Sc…シフトレジスタ保持値
CLK…基準クロック信号
21…第1差動対
22…第2差動対
31…帰還差動対
32…電流-電圧変換器
33…スイッチ回路
91、92…抵抗
61…カウンタ回路
62…制御信号デコーダ回路