(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139927
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型、ダイヤフラムバルブのライニング層成型方法、および、ダイヤフラムバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 27/02 20060101AFI20241003BHJP
F16K 7/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16K27/02
F16K7/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050878
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】山口 智也
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕進
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC02
3H051CC11
3H051DD07
3H051DD08
3H051EE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ダイヤフラムを挟持固定するためのボルト孔周りのライニング層の収縮を抑制してダイヤフラム周辺のシール性の低下を防ぐことができるダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型、ダイヤフラムバルブのライニング層成型方法、および、ダイヤフラムバルブを提供すること。
【解決手段】ダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型1は、ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するフランジ部を有するボデー110のボルト孔を設けたフランジ面にライニング層を形成するために用い、フランジ面のライニング層がフランジ面に設けたボルト孔周りでフランジ面の内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔に対してフランジ面の外縁側となるボルト孔の近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部20を設けた。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するフランジ部を有するボデーのボルト孔を設けたフランジ面にライニング層を形成するために用いるダイヤフラムバルブのライニング層成形用金型において、
前記フランジ面のライニング層が前記フランジ面に設けた前記ボルト孔周りで前記フランジ面の内方に向けて収縮することを抑制するように前記ボルト孔に対して前記フランジ面の外縁側となる該ボルト孔の近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部を設けたことを特徴とするダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型。
【請求項2】
前記ライニング層収縮抑制壁部は、前記ボデーのフランジ面に当接した状態で横断面形状が前記フランジ面の中心と前記ボルト孔の中心を結ぶ線に対して線対称をなし、かつ、内方側を開いて前記ボルト孔の縁周りを囲うように設けられた請求項1に記載のダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型。
【請求項3】
前記ライニング層収縮抑制壁部は、横断面形状がひづめ形状又は三日月形状をなす請求項2に記載のダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型。
【請求項4】
ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するボデーのフランジ面にライニング層を形成するダイヤフラムバルブのライニング層成型方法において、
前記ボデーのフランジ面に設けたボルト孔にライニング材が流れ込むことを阻止するため、前記ボルト孔にボルトを螺合するボルト螺合工程と、
前記フランジ面のライニング層が前記ボルト孔周りで前記フランジ面の内方に向けて収縮することを抑制するように前記ボルト孔に対して前記フランジ面の外縁側となる該ボルト孔の近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部を設けた金型を用いてライニング層を成型するライニング層成型工程と、
を含むことを特徴とするダイヤフラムバルブのライニング層成型方法。
【請求項5】
ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するボデーのフランジ面にライニング層を形成したダイヤフラムバルブにおいて、
前記フランジ面に成型されたライニング層には、前記フランジ面に設けたボルト孔に対して前記フランジ面の外縁側となる前記ボルト孔の近傍領域にライニング層分断孔部が設けられていることを特徴とするダイヤフラムバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型、ダイヤフラムバルブのライニング層成型方法、および、ダイヤフラムバルブに関し、特に、ダイヤフラムを挟持固定するフランジ部を有するボデーのフランジ面にライニング層を形成するダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型、ダイヤフラムバルブのライニング層成型方法、および、ダイヤフラムバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイヤフラムバルブは、例えば、ボデー内に形成した流路の表面等のボデーの表面にゴム或いは樹脂からなるライニング層を形成することが知られている。
このようにボデーの表面にライニング層を形成するのは、例えば、金属材料からなるボデーの表面に流体が接触して溶け出した金属イオンが流体の品質に悪影響を及ぼすことを防止するため、或いは、強酸性や強塩基性といった反応性の高い流体がボデーの表面に接触してボデーが劣化することを防止するためである。
このようなことから、ボデーの表面にライニング層を形成する方法としてさまざまな方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、鋳型部材がライニング材で満たされたときに所望のライニングを画成するライニング部分と、ライニング部分と連続し、かつライニング部分から外方に延びた延長部分とを、空所が持つような形状に作られ、ライニング材料は、延長部分を経て空所に充填される、弁体上に射出成形ライニングを形成する方法が記載されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、ボンネットを取り付けるボデーのフランジ面に、内張り(ライニング層)の樹脂を引っかけて固定することによって樹脂の収縮による変形を抑制するくぼみが形成された改良プラスチック内張り仕切りバルブが記載されている。
【0005】
ところで、ボンネットを取り付けるボデーのフランジ面に金型を用いてライニング層を形成する場合、ボンネットとボデーとの間にダイヤフラムを挟持固定するためにフランジ面に設けたボルト孔にライニング材が流れ込むおそれがある。このようにボルト孔にライニング材が流れ込むことを阻止するため、ボルト孔にボルトを螺合した状態で金型内にライニング材を充填する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭46-17462号公報
【特許文献2】特公昭62-41479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フランジ面に設けたボルト孔にボルトを螺合した状態でフランジ面にライニング層を形成すると、ボルト孔に螺合したボルトの外形形状に形成されたライニング層の孔が、ライニング層の収縮によってボルトに一部の移動を抑制されながらフランジ面の内方に引っ張られて楕円状に伸び、内方に伸びた孔の一部がダイヤフラムのシール部分に干渉して、ダイヤフラム周辺のシール性が低下するおそれがあった。
特に、ライニング材として、耐透過性の高い材料を適用した場合、ライニング層の収縮率が大きくなること、さらには、ダイヤフラムバルブの小型化により、フランジ面のボルト孔とダイヤフラムのシール部分との距離がより短くなることによって、この問題がより顕在化してしまう。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、ダイヤフラムを挟持固定するためのボルト孔周りのライニング層の収縮を抑制してダイヤフラム周辺のシール性の低下を防ぐことができるダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型、ダイヤフラムバルブのライニング層成型方法、および、ダイヤフラムバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するフランジ部を有するボデーのボルト孔を設けたフランジ面にライニング層を形成するために用いるダイヤフラムバルブのライニング層成形用金型において、フランジ面のライニング層がフランジ面に設けたボルト孔周りでフランジ面の内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔に対してフランジ面の外縁側となるこのボルト孔の近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部を設けたダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型である。
【0010】
請求項2に係る発明は、ライニング層収縮抑制壁部が、ボデーのフランジ面に当接した状態で横断面形状がフランジ面の中心とボルト孔の中心を結ぶ線に対して線対称をなし、かつ、内方側を開いてボルト孔の縁周りを囲うように設けられたダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型である。
【0011】
請求項3に係る発明は、ライニング層収縮抑制壁部が、横断面形状がひづめ形状又は三日月形状をなすように設けられたダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型である。
【0012】
請求項4に係る発明は、ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するボデーのフランジ面にライニング層を形成するダイヤフラムバルブのライニング層成型方法において、ボデーのフランジ面に設けたボルト孔にライニング材が流れ込むことを阻止するため、ボルト孔にボルトを螺合するボルト螺合工程と、フランジ面のライニング層がボルト孔周りでフランジ面の内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔に対してフランジ面の外縁側となるこのボルト孔の近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部を設けた金型を用いてライニング層を成型するライニング層成型工程と、を含むダイヤフラムバルブのライニング層成型方法である。
【0013】
請求項5に係る発明は、ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するボデーのフランジ面にライニング層を形成したダイヤフラムバルブにおいて、フランジ面に成型されたライニング層には、フランジ面に設けたボルト孔に対してフランジ面の外縁側となるボルト孔の近傍領域にライニング層分断孔部が設けられているダイヤフラムバルブである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によると、ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するフランジ部を有するボデーのボルト孔を設けたフランジ面にライニング層を形成するために用いるダイヤフラムバルブのライニング層成形用金型において、フランジ面のライニング層がフランジ面に設けたボルト孔周りでフランジ面の内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔に対してフランジ面の外縁側となるこのボルト孔の近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部を設けている。
これにより、ボルト孔を設けたフランジ面にライニング層を形成する際、金型のライニング層収縮抑制壁部がボルト孔に対してフランジ面の外縁側のボルト孔の近傍領域に当接した状態、すなわち、ボルト孔周り外縁側でライニング材が、金型のライニング層収縮抑制壁部によって内方への移動をせき止められ、かつ、周囲から一部を分断された状態で充填され、そして冷却固化されることによって、ボルト孔周りのライニング層のフランジ面の内方に向けた収縮が抑制される。
しかも、ライニング層が冷却固化されると、ボルトの外形形状に形成されたライニング層の孔の周辺領域にはライニング層収縮抑制壁部によってライニング層分断孔部が形成され、このライニング層分断孔部の周りではライニング層分断孔部を縮小する方向にライニング層の収縮が起こるため、ライニング層のフランジ面の内方に向けた成形収縮が抑制される。
このため、ライニング層に形成されたボルト形状の孔がダイヤフラムのシール部分に干渉することを防止することができ、結果的に、ダイヤフラムを挟持固定するためのボルト孔周りのライニング層の収縮を抑制してダイヤフラム周辺のシール性の低下を防ぐことができる。
【0015】
請求項2に係る発明によると、ライニング層収縮抑制壁部が、横断面形状がフランジ面の中心とボルト孔の中心を結ぶ線に対して線対称をなし、かつ、内方側を開いてボルト孔を縁周りに沿って囲うように設けられたことにより、ボルト孔周りをライニング層収縮抑制壁部で囲って、周辺のライニング層から一部を分断することによってボルト孔周りの収縮を効果的に抑制することができる。
しかも、ライニング層収縮抑制壁部が、ボルト孔に対してフランジ面の外縁側を囲うようになっているため、フランジ面の外縁側からボルト孔にライニング材が流れ込むことを効果的に阻止することができる。
さらに、ライニング層収縮抑制壁部が、内方側を開いてボルト孔を縁周りに沿って囲うように設けられているため、ライニング層収縮抑制壁部によってライニング層に形成されたライニング層分断孔部がフランジ面の内方側のダイヤフラム周辺のシール部分に干渉しない。
【0016】
請求項3に係る発明によると、ライニング層収縮抑制壁部は、横断面形状がひづめ形状又は三日月形状をなすように設けられていることにより、簡易な壁形状でボルト孔周りを囲って周辺のライニング層から一部を分断した領域にすることによって、ボルト孔周りのライニング層がフランジ面の内方へ収縮することを効果的に抑制することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によると、ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するボデーのフランジ面にライニング層を形成するダイヤフラムバルブのライニング層成型方法において、ボデーのフランジ面に設けたボルト孔にライニング材が流れ込むことを阻止するため、ボルト孔にボルトを螺合するボルト螺合工程と、フランジ面のライニング層がボルト孔周りでフランジ面の内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔に対してフランジ面の外縁側となるこのボルト孔の近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部を設けた金型を用いてライニング層を成型するライニング層成型工程と、を含む。
これにより、金型内にライニング材を充填した際に、ボルト孔に螺合したボルトによってボルト孔にライニング材が流れ込むことが阻止されると共に、ボルト孔を設けたフランジ面にライニング層を形成する際、金型のライニング層収縮抑制壁部がボルト孔に対してフランジ面の外縁側のボルト孔の近傍領域に当接した状態、すなわち、ボルト孔周り外縁側でライニング材が、金型のライニング層収縮抑制壁部によって内方への移動をせき止められ、かつ、周囲から一部分断された状態で充填され、そして冷却固化されることによって、ボルト孔周りのライニング層のフランジ面の内方に向けた収縮が抑制される。
しかも、ライニング層が冷却固化されると、ボルトの外形形状に形成されたライニング層の孔の周辺領域にはライニング層収縮抑制壁部によって形成されたライニング層分断孔部が形成され、このライニング層分断孔の周りではライニング層分断孔を縮小する方向にライニング層の収縮が起こるため、ライニング層のフランジ面の内方に向けた成形収縮が抑制される。
このため、ライニング層に形成されたボルト形状の孔がダイヤフラムのシール部分に干渉することを防止することができ、結果的に、ダイヤフラムを挟持固定するためのボルト孔周りのライニング層の収縮を抑制してダイヤフラム周辺のシール性の低下を防ぐことができる。
【0018】
請求項5に係る発明によると、ダイヤフラムをボンネットとの間で挟持固定するボデーのフランジ面にライニング層を形成したダイヤフラムバルブにおいて、フランジ面に成型されたライニング層には、フランジ面に設けたボルト孔に対してフランジ面の外縁側となるこのボルト孔の近傍領域にライニング層分断孔部が設けられている。
これにより、ライニング層分断孔部の周りではライニング層分断孔部を縮小する方向にライニング層の収縮が起こるため、ライニング層のフランジ面の内方に向けた成形収縮が抑制される。
このため、ライニング層に形成されたボルト形状の孔がダイヤフラムのシール部分に干渉することを防止することができ、結果的に、ダイヤフラムを挟持固定するためのボルト孔周りのライニング層の収縮を抑制してダイヤフラム周辺のシール性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るダイヤフラムバルブの分解斜視図である。
【
図3】(a)が
図1に示すダイヤフラムバルブのボデーの上面図であり、(b)がボデーの断面図である。
【
図6】バルブボデーとボデーに合わせ面を向けたライニング層成型用金型を示す斜視図である。
【
図7】ライニング層成型用金型を用いてボデーのフランジ面にライニング層を成型する手順を説明するための図である。
【
図8】ライニング層成型用金型を用いてボデーのフランジ面にライニング層を成型する手順を説明するための図である。
【
図9】変形例のライニング層成型用金型の正面図である。
【
図10】変形例のライニング層成型用金型を用いてライニング層を形成したバルブボデーの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型1、ダイヤフラムバルブのライニング層成型方法、および、ダイヤフラムバルブ100の実施形態を
図1~
図6に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
図1は、実施形態に係るダイヤフラムバルブ100の分解斜視図である。
図2は、ダイヤフラムバルブ100の断面図である。
図3は、(a)が
図1に示すダイヤフラムバルブ100のボデー110の上面図であり、(b)がボデー110の断面図である。
図4は、ライニング層成型用金型1の斜視図である。
図5は、ライニング層成型用金型1の平面図である。
図6はボデー110とボデー110に合わせ面10aを向けたライニング層成型用金型1を示す斜視図である。
なお、
図3(a)には、フランジ面112aにダイヤフラム120のシール部分Sの最外周の位置を仮想線で示している。
【0021】
本発明の実施形態に係るダイヤフラムバルブ100は、
図1に示すように、内部に流体の入口側となる1次側の流路110aと流体の出口側となる2次側の流路110bが形成されたボデー110と、1次側と2次側の流路110a、110bを接続または遮断するように流路を開閉する弁であるダイヤフラム120と、コンプレッサ130と、ボンネット140と、上端部に操作ハンドル160を連結したステム150と、を有する。
【0022】
ボデー110は、流体の入口側となる1次側の流路110aと流体の出口側となる2次側の流路110bとを隔てる堰部111が略中央位置に設けられている。この堰部111の上面は、ダイヤフラム120が弁閉時に当接される弁座111aになっている。
そして、ボデー110の堰部111の上方には、ダイヤフラム120を間に挟持してボンネット140と連結されるフランジ面112aが上面に形成されたフランジ部112が設けられている。
また、ボデー110の1次側の流路110aの入口および2次側流路110bの出口には、配管に接続されるフランジ部113、114が設けられている。
【0023】
ダイヤフラム120は、中央部の円錐台状のボス部121と、ボス部121から径外方向に延びたフランジ部122とを有し、上部にクッションゴム123が重ねて配置されている。
ダイヤフラム120は、ボス部121が堰部111の上面に設けた弁座111aに当接した弁閉状態または弁座111aから離れた弁開状態に弁座111aに対して出没自在に弾性変形されるようにフランジ部122を挟持固定されている。
【0024】
また、ダイヤフラム120のフランジ部122の各角部には、ボルト挿通孔122bが形成されている。
そして、ダイヤフラム120は、フランジ部122をボデー110のフランジ面112aとボンネット140のフランジ面143aとの間にクッションゴム123と重ねて挟持された状態でボンネット140からボデー110までボルト挿通孔122bを通したボルトBによって固定される。
ダイヤフラム120は、ボルト挿通孔122bを通してボンネット140のボルト挿通孔143bからボデー110のボルト孔112bに螺合したボルトBによって位置決め固定されている。
【0025】
このようなダイヤフラム120は、クッションゴム123を間に介して連結部材170によってコンプレッサ130に連結され、コンプレッサ130を介してステム150の下降動作による押圧力が伝達されるようになっている。
より具体的には、ステム150の先端とコンプレッサ130の間にはスラストベアリング180が配置され、ステム150の下降動作による押圧力がこのスラストベアリング180を介してコンプレッサ130に伝達されるようになっている。
【0026】
ボンネット140は、全体として略円筒状をなし、上部がステム150を螺合してガイドするステムガイド筒部141であり、下部がステムガイド筒部141に比べて内径を拡大してコンプレッサ130を収容する収容空間が形成された収容筒部142である。
この収容筒部142の下端部には、径外方向に延びたフランジ部143が設けられ、フランジ部143のフランジ面143aとボデー110のフランジ面112aとの間にダイヤフラム120がクッションゴム123を重ねた状態で挟持固定される。
なお、本実施形態では、ボデー110のフランジ面112aが矩形状をなし、各角部にボルト孔112bが形成されている。
このため、ボンネット140およびダイヤフラム120のフランジ面143a、122aもボデー110のフランジ面112aに対応した矩形状をなして各角部にボルト挿通孔143b、122bが形成されている。
【0027】
ステム150は、外周に雄ネジが切られてネジ部150aが形成され、そのネジ部150aをボンネット140のステムガイド筒部141の内周に切られた雌ネジからなるネジ部141aと螺合させてボンネット140に昇降自在に支持されている。
このステム150は、上端部に連結された操作ハンドル160が回転操作されることによって昇降動作される。
【0028】
<ダイヤフラムバルブ100の弁開閉動作について>
ここで、
図2を参照して、ダイヤフラムバルブ100の弁開閉動作について説明する。
操作者によって操作ハンドル160が回転操作されてステム150が下方に移動されると、ステム150の下端部がスラストベアリング180を介してコンプレッサ130を下方に押圧する。
コンプレッサ130を下方に押圧する押圧力は、クッションゴム123を介してダイヤフラム120のボス部121に伝達され、弁開状態で上方に膨出していたボス部121が、
図2の仮想線で示すように、下方に向けた押圧力によって弾性的に変形して下方に向けて膨出される。
このようにして下方に向けて膨出したダイヤフラム120のボス部121が、ボデー110の堰部111に設けた弁座111aに当接して、1次側および2次側のそれぞれの流路開口110aa、110bbを塞ぐことによって、1次側の流路と2次側の流路110a、110bが遮断された弁閉状態になる。
【0029】
一方、この弁閉状態から、操作者によって上述した回転方向とは逆方向に操作ハンドル160が回転操作されてステム150が上方に移動されると、ステム150の下端部に係合したコンプレッサ130がステム150に引っ張られて上方に移動し、このコンプレッサ130と連結部材170を介して連結されたダイヤフラム120のボス部121が上方に引っ張られることによって、ボス部121が上方に膨出した状態に弾性変形される。
このようにしてダイヤフラム120のボス部121が上方に向けて膨出すると、
図2の実線で示すように、ダイヤフラム120がボデー110の堰部111に設けた弁座111aから離れて沈み込み、1次側および2次側のそれぞれの流路開口110aa、110bbが開くことによって、1次側の流路110aと2次側の流路110bが接続された弁開状態になる。
【0030】
<ボデー110のライニング層115について>
ボデー110の表面には、ライニング層115が形成されている。
本実施形態では、ライニング層115に用いるライニング材として耐透過性に優れたPFA(Perfluoro alkoxy alkane)を用いている。
なお、ライニング材としては、PFA以外のその他の樹脂、或いは、ゴム材を用いても構わない。
このライニング層115は、ボデー110内に設けた流路110a、110bに加えてボデー110が他部材と連結されるフランジ部112、113、114のフランジ面112a、113a、114aについても形成されている。
つまり、ダイヤフラム120をボンネット140との間で挟持固定するボデー110のボルト孔112bを設けたフランジ面112aについてもライニング層115が形成されている。
そして、このフランジ面112aについては、本発明の実施形態に係るダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型1を用いてライニング層115が形成される。
【0031】
<ダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型1について>
ダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型1(以下、単に、ライニング層成型用金型1という。)は、ダイヤフラム120をボンネット140との間で挟持固定するボデー110のボルト孔112bを設けたフランジ面112aにボルトBによって固定した状態で用いられるものであり、横断面矩形状のブロック状をなして、各角部にボルト挿通孔10bが形成された型本体10を有する。
【0032】
ボルト挿通孔10bはボデー110のフランジ面112aに設けたボルト孔112bに螺合させるボルトBを通す孔である。このボルト挿通孔10bに通したボルトBをボデー110のボルト孔112bに螺合させることによって、ライニング層115を成型する際、ボルト孔112b内にライニング材が流れ込むことを阻止することができる。
【0033】
型本体10のボデー110のフランジ面112aに合わさる合わせ面10aには、枠部11と、流路挿入突部12と、ライニング層収縮抑制壁部20とが設けられている。
【0034】
枠部11は、合わせ面10aの外縁に沿ってライニング層115の厚さに対応した高さに突設した壁である。
流路挿入突部12は、1次側の流路110aおよび2次側の流路110bに繋がるように堰部111に設けた流路開口110aa、110bbに差し込まれて流路110a、110b内に組み込まれる別の金型51、52と合わせて流路110a、110bの表面にライニング層115を成型する部分である。
【0035】
ライニング層収縮抑制壁部20は、ボデー110のフランジ面112aのライニング層115がボルト孔112b周りでフランジ面112aの内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側となるボルト孔112bの近傍領域に当接するように突設している。
この実施形態では、ライニング層収縮抑制壁部20は、ボデー110の各ボルト孔112bに対応してライニング層成型用金型1に設けたボルト挿通孔10bに対して合わせ面10aの外縁側となるボルト挿通孔10bの近傍領域に合わせ面10aに突設して設けられている。
【0036】
各ライニング層収縮抑制壁部20はボデー110のフランジ面112aに当接した状態で横断面形状がボデー110のフランジ面112aの中心とボルト孔112bの中心を結ぶ線に対して線対称をなし、かつ、内方側を開いてボルト孔112bの縁周りを囲うように設けられている。
つまり、各ライニング層収縮抑制壁部20は、
図5に示すように、横断面形状が合わせ面10aの中心とボルト挿通孔10bの中心を結ぶ線Cに対して線対称をなし、かつ、内方側を開いてボルト挿通孔10bの縁周りを囲うように設けられている。
この線対称の形状により、ライニング層収縮抑制壁部20の横断面形状が互いに同一形状となることにより、各ライニング層収縮抑制壁部20の周囲の樹脂の量を概ね一定とすることができ、収縮量のバラツキを抑え、シール領域を確保することができる。
なお、前述の実施例では、線対称についての例を説明したが、フランジ面112aの中心を基準とした点対称によりライニング層収縮抑制壁部の位置を設定し、シール領域を確保するようにしてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、各ライニング層収縮抑制壁部20は、横断面形状がひづめ形状をなしている。
そして、このひづめ形状のライニング層収縮抑制壁部20は、
図5に示すように、その肉厚が内方側よりも外縁側で厚くなるように設けられている。
【0038】
<ライニング層成型用金型1を用いたライニング層115の成型手順について>
以下に、
図7および
図8を参照して、ライニング層成型用金型1を用いたライニング層115の成型手順について説明する。
図7および
図8は、ボデー110のフランジ面112aにライニング層成型用金型1を用いてライニング層115を成型する手順を説明するための図である。
まず、作業者はボデー110を不図示の成型装置の上下に予めセットされた金型61、62の間に固定する。
なお、成型装置によって同時に複数のボデー110に対してライニング層115の成型を行う場合、例えば、成型装置にセットされた上下の金型61、62に複数の複数のボデー110が固定されるようになっている。
なお、ボデー110は、ライニング層成型用金型1および流路110a、110bの内部を成型するための別の金型51、52を組付けた状態にして、成型装置にセットされた上下の金型61、62の間に固定される。
より具体的には、ライニング層成型用金型1が流路挿入突部12をボデー110の堰部111に設けた流路開口110aa、110bbに差し込みつつ、ボルト挿通孔10bを通したボルトBをボデー110のボルト孔112bに螺合することによってボデー110に固定される。
そして、ボデー110は、ライニング層成型用金型1を固定しつつ、上述の別の金型51、52をボデー110の流路110a、110b内に差し込んで流路110a、110b内でライニング層成型用金型1と組み合わせた状態で上下の金型61、62の間に固定される(
図7(a)、(b)および
図8(c)参照)。
【0039】
その後、上側の金型61のゲート61aを通してライニング材がライニング層成型用金型1を含む金型1、51、52およびボデー110によって形成された空間内に充填される(
図8(d)参照)。
ライニング材が空間内に充填されてボンネット140と連結されるボデー110のフランジ面112a上にライニング材が流れ込む際、フランジ面112aのボルト孔112bにはボルトBが螺合されてボルト孔112bがボルトBによって塞がれているため、ボルト孔112b内にライニング材が流れ込むことが阻止される。
また、各ライニング層収縮抑制壁部20がボデー110のボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側となるボルト孔112bの近傍領域に当接しているため、その領域においてライニング材がライニング層収縮抑制壁部20によってせき止められ、周辺のライニング層115から分断される。
【0040】
その後、金型を冷却してライニング層115を固化させて、ボデー110から金型を離脱してライニング層成型用金型1を用いたライニング層115の成型処理が完了される。
なお、ボデー110は、冷却後、成形収縮が始まる前にライニング層成型用金型1を離脱して取り出すとよい。
ボデー110の冷却固化したフランジ面112aのライニング層115にはボデー110のボルト孔112bに螺合されていたボルトBの外形形状の孔115a(以下、ボルト形状孔という。)が形成されると共に、そのボルト形状孔115aに対してフランジ面112aの外縁側となるこのボルト形状孔115aの近傍領域にライニング層分断孔部115bがライニング層収縮抑制壁部20によって形成されている。
これにより、冷却固化後の成形収縮によってライニング層115がフランジ面112aの内方に向かって収縮する際、ライニング層分断孔部115bの周辺でライニング層分断孔部115bを小さくするようにライニング層分断孔部115bに向けた収縮が生じる。
このため、ボルト形状孔115aの外縁側でフランジ面112aの外方に向けたライニング層115の収縮が生じるため、ボルトの外形形状の孔115aがフランジ面112aの内方に向かって移動することが抑制される。
特に、ライニング層収縮抑制壁部20の肉厚が内方側より外縁側で厚くなっているため、ライニング層収縮抑制壁部20がフランジ面112aに当接して形成されたライニング層分断孔部115bが内方側より外縁側でその孔の幅を拡大したものになっている。
つまり、ライニング層分断孔部115bは、ダイヤフラム120のシール部分Sからより離れた位置の幅を拡大してダイヤフラム120のシール部分Sに干渉し難い位置でボルト孔112b周りのライニング層115の内方への収縮をより効果的に抑制するようになっている。
【0041】
<実施形態の効果>
以上のように、本発明の実施形態に係るライニング層成型用金型1によると、フランジ面112aのライニング層115がボルト孔112b周りでフランジ面112aの内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側となるボルト孔112bの近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部20を設けている。
これにより、ボルト孔112bを設けたフランジ面112aにライニング層を形成する際、ライニング層成型用金型1のライニング層収縮抑制壁部20がボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側のボルト孔112bの近傍領域に当接した状態、すなわち、ボルト孔112b周り外縁側でライニング材が、ライニング層成型用金型1のライニング層収縮抑制壁部20によって内方への移動をせき止められ、かつ、周囲から一部分断された状態で充填され、そして冷却固化されることによって、ボルト孔112b周りのライニング層115のフランジ面112aの内方に向けた収縮が抑制される。
しかも、ライニング層115が冷却固化されると、ボルトBの外形形状に形成されたライニング層115のボルト形状孔115aの周辺領域にはライニング層収縮抑制壁部20によってライニング層分断孔部115bが形成され、このライニング層分断孔部115bの周りではライニング層分断孔部115bを縮小する方向にライニング層115の収縮が起こるため、ライニング層115のフランジ面112aの内方に向けた成形収縮が抑制される。
このため、ライニング層115に形成されたボルト形状孔115aがダイヤフラム120のシール部分Sに干渉することを防止することができ、結果的に、ダイヤフラム120を挟持固定するためのボルト孔112b周りのライニング層115の収縮を抑制してダイヤフラム120周辺のシール性の低下を防ぐことができる。
【0042】
また、本発明の実施形態に係るライニング層成型用金型1によると、ライニング層収縮抑制壁部20がボデー110のフランジ面112aに当接した状態で横断面形状がフランジ面112aの中心とボルト孔112bの中心を結ぶ線に対して線対称をなし、かつ、内方側を開いてボルト孔112bの縁周りを囲うように設けられたことにより、ボルト孔112b周りをライニング層収縮抑制壁部20で囲って、周辺のライニング層115から一部を分断することによってボルト孔112b周りの収縮を効果的に抑制することができる。
しかも、ライニング層収縮抑制壁部20が、ボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側を囲うようになっているため、フランジ面112aの外縁側からのボルト孔112bにライニング材が流れ込むことを効果的に阻止することができる。
さらに、ライニング層収縮抑制壁部20が、内方側を開いてボルト孔112bを縁周りに沿って囲うように設けられているため、ライニング層収縮抑制壁部20によってライニング層115に形成されたライニング層分断孔部115bがフランジ面112aの内方側のダイヤフラム120周辺のシール部分Sに干渉しない。
【0043】
また、本発明の実施形態に係るライニング層成型用金型1によると、ライニング層収縮抑制壁部20が、横断面形状が三日月形状又はひづめ形状をなすことにより、簡易な壁形状でボルト孔112b周りを囲って周辺のライニング層115から一部を分断した領域にすることによって、ボルト孔112b周りのライニング層115がフランジ面112aの内方に収縮することを効果的に抑制することができる。
すなわち、ボルト孔112bの内方側に壁部を形成しない簡易な壁形状で、ボルト孔112bの内方とダイヤフラム120のシール部分Sの間の距離を長く確保することができ、シール部分Sを確保して、そのシール性の低下を防ぐことができる。
【0044】
また、本発明の実施形態に係るダイヤフラムバルブのライニング層成型方法によると、ボデー110のボルト孔112bにライニング材が流れ込むことを阻止するため、ボルト孔112bにボルトBを螺合するボルト螺合工程と、フランジ面112aのライニング層115がボルト孔112b周りでフランジ面112aの内方に向けて収縮することを抑制するようにボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側となるこのボルト孔112bの近傍領域に当接するように突設したライニング層収縮抑制壁部20を設けたライニング層成型用金型1を用いてライニング層115を成型するライニング層成型工程と、を含む。
これにより、ライニング層成型用金型1内にライニング材を充填した際に、ボルト孔に螺合したボルトBによってボルト孔112bにライニング材が流れ込むことが阻止されると共に、ボルト孔112bを設けたフランジ面112aにライニング層115を形成する際、ライニング層成型用金型1のライニング層収縮抑制壁部20がボルト孔112bに対してフランジ面の外縁側のボルト孔の近傍領域に当接した状態、すなわち、ボルト孔周り外縁側でライニング材が、ライニング層収縮抑制壁部20によって内方への移動をせき止められ、かつ、周囲から一部分断された状態で充填され、そして冷却固化されることによって、ボルト孔112b周りのライニング層115のフランジ面112aの内方に向けた収縮が抑制される。
しかも、ライニング層115が冷却固化されると、ボルトBの外形形状に形成されたライニング層115の孔115aの周辺領域にはライニング層収縮抑制壁部20によって形成されたライニング層分断孔部115bが形成され、このライニング層分断孔部115bの周りではライニング層分断孔部115bを縮小する方向にライニング層115の収縮が起こるため、ライニング層115のフランジ面112aの内方に向けた成形収縮が抑制される。
このため、ライニング層115に形成されたボルト形状の孔115aがダイヤフラム120のシール部分Sに干渉することを防止することができ、結果的に、ダイヤフラム120を挟持固定するためのボルト孔112b周りのライニング層115の収縮を抑制してダイヤフラム120周辺のシール性の低下を防ぐことができる。
【0045】
また、本発明の実施形態に係るダイヤフラムバルブ100によると、ダイヤフラム120をボンネット140との間で挟持固定するボデー110のボルト孔112bを設けたフランジ面112aにライニング層115を形成し、フランジ面112aに成型されたライニング層115には、ボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側となるこのボルト孔112bの近傍領域にライニング層分断孔部115bが設けられている。
これにより、ライニング層分断孔部115bの周りではライニング層分断孔部115bを縮小する方向にライニング層115の収縮が起こるため、ライニング層115のフランジ面112aの内方に向けた成形収縮が抑制される。
このため、ライニング層115に形成されたボルト形状の孔115aがダイヤフラム120のシール部分Sに干渉することを防止することができ、結果的に、ダイヤフラム120を挟持固定するためのボルト孔112b周りのライニング層115の収縮を抑制してダイヤフラム120周辺のシール性の低下を防ぐことができる。
【0046】
<変形例>
ここで、実施形態に係るライニング層成型用金型1の変形例について、
図9および
図10を参照しながら説明する。
図9は、変形例のライニング層成型用金型2の平面図である。
図10は、変形例のライニング層成型用金型2を用いてライニング層115が成型されたボデー110の上面図である。
なお、
図10には、フランジ面112aにダイヤフラム120のシール部分Sの最外周の位置を仮想線で示している。
この変形例では、実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
変形例のライニング層成型用金型2は、ライニング層収縮抑制壁部30が三日月形状をなす点で実施形態のライニング層成型用金型1と異なる。
なお、
図10において、符号115cは、ライニング層成型用金型2を用いてライニング層115に形成されたライニング層分断孔部である。
【0047】
このライニング層収縮抑制壁部20は、ひづめ形状に比べてボルト孔112bの周方向で囲う壁部分が小さいため、ライニング層115のフランジ面112a内方への収縮を抑制する効果はやや劣るものの、略同様の効果を奏することができる。
【0048】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記の実施形態および変形例では、ライニング層収縮抑制壁部20、30が、ひづめ形状又は三日月形状をなすものを例示したが、これに限らず、ライニング層収縮抑制壁部が、ボデー110のボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側となるボルト孔112bの近傍領域に当接するように突設されていればよい。例えば、ライニング層収縮抑制壁部が横断面形状を円環状に構成し、ボルト孔112bを全周にわたって囲い、ライニング層115に形成されたボルト形状孔115aを円環状に囲うライニング層分断孔部が形成されるようにしても構わない。
【0050】
例えば、上記の実施形態では、ボデー110のフランジ面112aにボルト孔112bが形成された状態で、フランジ面112aにライニング層115を形成していたが、ボルト孔112bを形成する前のフランジ面112aに対してライニング層115を形成し、そのライニング層115が形成されたフランジ面112aに対してボルト孔112bを形成することもできる。この場合、金型1、2のライニング層収縮抑制壁部20、30は、後にフランジ面112aに形成されるボルト孔112bに対してフランジ面112aの外縁側となるボルト孔112bの近傍領域に当接し、それによって、ライニング層115にはライニング層分断孔部115b、115cが形成される。
【符号の説明】
【0051】
1、2 ダイヤフラムバルブのライニング層成型用金型
10 型本体
10a 合わせ面
10b ボルト挿通孔
11 枠部
12 流路挿入突部
20、30 ライニング層収縮抑制壁部
51、52 別の金型
61、62 金型
61a ゲート
100 ダイヤフラムバルブ
110 ボデー
110a 1次側の流路
110aa 流路開口
110b 2次側の流路
110bb 流路開口
111 堰部
111a 弁座
112 フランジ部
112a フランジ面
112b ボルト孔
113、114 フランジ部
113a、114a フランジ面
115 ライニング層
115a ボルト形状孔
115b、115c ライニング層分断孔部
120 ダイヤフラム
121 ボス部
122 フランジ部
122a フランジ面
122b ボルト挿通孔
123 クッションゴム
130 コンプレッサ
140 ボンネット
141 ステムガイド筒部
141a ネジ部
142 収容筒部
143 フランジ部
143a フランジ面
143b ボルト挿通孔
150 ステム
150a ネジ部
160 操作ハンドル
170 連結部材
180 スラストベアリング
B ボルト
S シール部分