(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139937
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】修理検索システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050890
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】石橋 隆之
(72)【発明者】
【氏名】吉井 崇博
(72)【発明者】
【氏名】柴原 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】岡部 勇大
(72)【発明者】
【氏名】藪 博文
(72)【発明者】
【氏名】向原 康平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】故障に対して適切な複数の修理方法を得ること。
【解決手段】故障コードに対応する修理方法を提示する修理検索システム100は、故障コードと過去に行われた修理方法とが紐づけ保存されたデータベース110と、データベース110に対して、故障車両の故障コードを基準に作成された複数の異なる検索条件Lookを用いることにより、検索条件Look毎に、故障コードに対応する複数の修理方法を検索する検索部120と、検索部120で検索された検索条件Look毎の複数の修理方法を採点する採点部130と、検索部120で検索された検索条件Look毎の複数の修理方法のうち、採点部130で採点された点数が最も高い検索条件Lookで検索された複数の修理方法を出力する出力部150と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障コードに対応する修理方法を提示する修理検索システムであって、
前記故障コードと過去に行われた修理方法とが紐づけ保存されたデータベースと、
前記データベースに対して、故障車両の故障コードを基準に作成された複数の異なる検索条件を用いることにより、前記検索条件毎に、前記故障コードに対応する複数の修理方法を検索する検索部と、
前記検索部で検索された前記検索条件毎の複数の修理方法を採点する採点部と、
前記検索部で検索された前記検索条件毎の複数の修理方法のうち、前記採点部で採点された点数が最も高い前記検索条件で検索された複数の修理方法を出力する出力部と、を備えることを特徴とする修理検索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の修理検索システムにおいて、
前記出力部は、前記複数の修理方法を、修理が成功した件数順に出力することを特徴とする修理検索システム。
【請求項3】
請求項1に記載の修理検索システムにおいて、
前記出力部は、前記複数の修理方法を、修理対象の部品情報として出力することを特徴とする修理検索システム。
【請求項4】
請求項1に記載の修理検索システムにおいて、
前記採点部は、前記検索部で検索された修理方法で修理された修理件数に占める修理成功の件数の割合が高いほど、高く採点することを特徴とする修理検索システム。
【請求項5】
請求項1に記載の修理検索システムにおいて、
前記採点部は、前記検索部で検索された修理方法で修理された修理件数が多いほど、高く採点することを特徴とする修理検索システム。
【請求項6】
請求項1に記載の修理検索システムにおいて、
前記採点部は、前記検索部で検索された修理方法で修理された修理件数のうち、修理件数が上位所定比率を占める修理方法が少ないほど、高く採点することを特徴とする修理検索システム。
【請求項7】
請求項1に記載の修理検索システムにおいて、
前記データベースは、前記故障コードと前記修理方法とが1:1で紐づけされたものが複数保存されることを特徴とする修理検索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な修理方法を検索する修理検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検索する技術として、記事データを複数の異なる検索条件式で同時並行的に全文検索し、検索条件式に合致した結果を提供する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、検索条件に合致した記事の件数が多い場合は、例えば検索条件式を変更する等により、利用者が件数の絞り込みを行う必要があった。また、従来の技術は、修理方法を検索する技術ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、故障コードに対応する修理方法を提示する修理検索システムであって、故障コードと過去に行われた修理方法とが紐づけ保存されたデータベースと、データベースに対して、故障車両の故障コードを基準に作成された複数の異なる検索条件を用いることにより、検索条件毎に、故障コードに対応する複数の修理方法を検索する検索部と、検索部で検索された検索条件毎の複数の修理方法を採点する採点部と、検索部で検索された検索条件毎の複数の修理方法のうち、採点部で採点された点数が最も高い検索条件で検索された複数の修理方法を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、故障に対して適切な複数の修理方法を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】修理検索システムで得られる修理方法一覧の一例を示す図。
【
図3】
図2の修理検索システムで実行される、
図1の修理方法の一覧を作成する処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】他の修理方法の一覧を作成する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して発明の実施の形態について説明する。
<修理検索システムの概要>
発明の実施の形態に係る修理検索システムは、修理対象の車両を1回の修理で直せるように、適切な修理方法を提案する。例えば、車両に対する過去の修理実績が保存されたデータベースを用いて、修理対象の車両で得られたDTC(Diagnostic Trouble Code)に基づいて検索した複数の修理方法をユーザ(車両を整備する整備工場等の整備士)の端末へ出力する。修理検索システムは、ユーザに対してより適切な修理方法を提案するため、検索結果を採点した採点結果に基づいたデータベースの検索条件を採用する。このように構成することにより、データベースに保存されている膨大な修理実績の中から、修理対象の車両のDTCに合致する修理方法を検索するとともに、修理成功率が高い複数の修理方法に絞り込んでユーザに提案する。
【0009】
図1は、修理検索システムから提案される修理方法一覧の一例を示す図である。修理方法一覧は、例えば、交換または調整すべき部品(以後、対象部品と呼ぶ)の部品情報としてリスト化され、ユーザが使用する端末の表示部に表示される。修理方法一覧には、少なくとも対象部品の部品番号(Parts number)欄、名称(Parts Name)欄、処置(Treatment)欄、および修理成功率(Repair Success)欄が設けられている。
【0010】
表示部には、修理方法一覧とともに、車両の情報(Vehicle Information)と、検索条件(Search Condition)とが表示される。車両の情報の一例として、車両識別番号(Vehicle Identification Number:VINと呼ばれる)と、モデル(Model)名と、年式(Model Year)と、生産工場(Factory)とが表示されている。なお、一般にVINには生産国、メーカ、型式、年式、原動機、グレード等を示す情報が含まれている。モデル名を型式と呼んでもよい。
【0011】
また、検索情報の一例として、DTCと検索条件(Lookと呼んでもよい)とが表示される。実施の形態では、データベースの検索条件を、例えば5段階に変更することが可能に構成される。修理検索システムは、上記5段階の検索条件を設定することにより並行して修理方法の検索を行う。5段階の検索条件は、絞り込みの範囲が段々と広がる様に設定するものとし、絞り込みの範囲を一番狭くしたものから順に「Look_1」、「Look_2」、「Look_3」、「Look_4」、「Look_5」と呼ぶ。
図1の例では、検索条件が「Look_1」である場合に検索された複数の修理方法を載せた修理方法一覧が表示されている。
ユーザは、「Look_+」ボタンをタップ操作する毎に、検索条件を「Look_2」、「Look_3」、…に変更した場合の修理方法一覧を切り替え表示させることができる。また、「Look_-」ボタンをタップ操作する毎に、検索条件を「Look_5」、「Look_4」、…に変更した場合の修理方法一覧を切り替え表示させることもできる。
以上のような修理方法一覧をユーザに提供する修理検索システムについて、さらに詳細に説明する。
【0012】
<修理検索システムの構成>
図2は、修理検索システムの要部構成を示すブロック図である。修理検索システム100は、例えば1台または複数台のサーバ装置によって構成され、修理データベース(Data Base;以降DBとする)110と、検索部120と、採点部130と、出力部150とを含む。サーバ装置は、例えば、車両の整備サービスを提供する事業体等で管理される。サーバ装置は、クラウド上の仮想サーバ機能を利用して構成しても、複数の端末に分散して構成してもよい。一例として、所定の管理区域毎、あるいは所定の車種毎に分散して配置してもよい。
【0013】
修理DB110は、車両の修理方法を保存する。例えば、過去に行われた部品交換および部品の調整等の作業方法が、対応するDTC毎、型式毎、年式毎、故障の症例毎等に分類され、故障を直す修理方法として参照しやすくなるように記録されている。また、DTCと修理方法とは1:1で紐づけされ、このように紐づけされた事例が多数記録される。1:1に限定するのは、実施の形態における検索(修理対象の車両を1回の修理で直す修理方法を探す)の精度を担保するためである。DTCと修理方法との紐づけは、DTCの受付から所定期間(例えば30日)経過後に当該車両に対する修理が終わった時点で行われ、修理DB110に記録される。
検索部120は、端末20から送信された修理対象車両の情報に基づいて、修理DB110に対して上述した5つの検索条件(「Look_1」~「Look_5」)を設定することにより並行して修理方法の検索を行う。
【0014】
採点部130は、検索部120で検索条件(「Look_1」~「Look_5」)毎に検索された複数の修理方法を採点する。採点は、例えば3つの観点に基づいて行う。1つ目の観点では、その修理方法を採用した修理により車両の修理が成功する修理成功率が、所定確率a(例えば70%)以上であるか否かに基づいて評価点を算出する。
2つ目の観点では、上記第1観点を満たす修理方法を採用した修理件数(WTY件数と呼ぶ)が所定件数(例えば5件)以上であるか否かに基づいて評価点を算出する。
3つ目の観点では、検索条件毎に検索された複数の修理方法のうち、WTY件数が上位所定数(例えば5つ)の修理方法が、その検索条件で検索された全修理方法のWTY件数に対して所定のシェア率(例えば60%)以上であるか否かに基づいて評価点を算出する。
採点部130による採点結果は、検索条件毎に検索された複数の修理方法に対する評価値であるとともに、それらの修理方法を検索した各検索条件に対する評価値ともいえる。
【0015】
出力部150は、
図1に例示した修理方法一覧の表示信号をユーザが使用する端末20へ出力する。より詳しくは、各検索条件でそれぞれ検索された複数の修理方法のうち、採点部130による採点値が最も高い検索条件で検索された複数の修理方法を載せた修理方法一覧の表示信号を端末20へ出力する。
【0016】
修理検索システム100は、修理DB110に記録する情報を故障診断機データベース50から取得する。故障診断機データベース50には、整備工場等において修理対象車両に接続した故障診断機10で収集された修理対象車両の車両情報が集められる。故障診断機データベース50に車両情報がアップロード(Upload)されるのは、上述したように、修理対象車両に対する修理が終わった時点である。修理検索システム100は、故障診断機データベース50からDTCを含む車両情報を取得し、修理DB110にてDTCと修理方法とを紐づけて記録する。
整備工場等に配備されている車両の故障診断機10と、故障診断機データベース50とは、不図示の通信網を介して通信可能に構成される。通信網には、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域毎に設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)等も含まれる。
また、ユーザが使用する端末20と修理検索システム100との間も、上記通信網を介して互いに通信可能に構成される。
図2では、1台の故障診断機10および1台の端末20のみを示しているが、故障診断機10および端末20はそれぞれ複数台が存在してもよい。端末20は、例えばタブレット型コンピュータで構成される。端末20は、修理検索システム100から提供された修理方法一覧等を表示する表示部21と、一例として、表示部21の表示面に設けられたタッチ操作部材としての操作部22とを含む。
【0017】
<フローチャートの説明>
図3は、修理検索システム100のサーバ装置で行われる修理方法の一覧を作成する処理の流れを説明するフローチャートである。修理検索システム100は、
図3に例示する処理を繰り返し実行する。
ステップS10において、修理検索システム100は、端末20から送信された修理対象の車両の事象情報を入力し、ステップS20へ進む。事象情報は、一例として、VIN、DTC、および故障の症状等を含む。
【0018】
ステップS20において、修理検索システム100は、修理DB110に対する検索条件としてのLookを導出してステップS30へ進む。より詳しくは、ステップS10で入力したDTCに基づいて所定数のLookを導出する。実施の形態では、所定数を例えば5と定めて、5つの「Look_1」~「Look_5」を導出する。
図4は、検索条件としてのLookを例示する図である。修理DB110に保存されている膨大な修理実績の中から、修理対象の車両のDTCに合致する複数の修理方法に絞り込むためのLookが、DTCと型式等を組み合わせることにより導出される。実施の形態では、「Look_1」による絞り込みの範囲を一番狭くし、「Look_2」、「Look_3」、…と絞り込みの範囲が段々と広がるようなLookを導出する。
【0019】
ステップS30において、修理検索システム100は、DTCに対応する修理方法を探索してステップS40へ進む。探索は、検索部120により行う。検索部120は、修理DB110を参照し、5つの「Look_1」~「Look_5」をそれぞれ用いて、DTCに対応する複数の修理方法を並行して探索する。探索を検索と呼んでもよい。ステップS30の探索により、複数の修理方法の組が5通り得られる。
【0020】
ステップS40において、修理検索システム100は、Look毎に得られた複数の修理方法の組について、修理方法において修理対象となっている部品毎のWTY件数に基づいて並び替えてステップS50へ進む。例えば、修理方法の組にバッテリの交換と、発電機の交換と、接続ケーブルの交換等が含まれる場合に、部品としてのバッテリ、発電機および接続ケーブル等をWTY件数に基づいて降順に並べ替える。このような並び替えをLook毎に行う。
【0021】
ステップS50において、修理検索システム100は、並び替えを行ったLook毎の複数の修理方法の組について、所定条件を満たすか否かを判定する。所定条件は、一例として、上述した採点時の3つの観点に対応させた3つの条件とする。
第1条件は、その修理方法を採用した修理により車両の修理が成功する修理成功率が、所定確率aよりも高いこととする。
第2条件は、上記第1条件を満たす修理方法を採用した修理件数(WTY件数と呼ぶ)が所定件数(例えば5件)以上であることとする。
第3条件は、検索条件毎に検索された複数の修理方法のうちの上位所定数(例えば5つ)の修理方法を採用したWTY件数が、その検索条件で検索された全修理方法のWTY件数に対して所定のシェア率(例えば60%)以上であることとする。換言すると、検索部120で検索された修理方法で修理された修理件数WTYのうち、WTY件数が上位所定比率(60%)を占める修理方法が少ない(5つ以下)ことである。
【0022】
修理検索システム100は、Look毎の複数の修理方法の組について、上記第1条件~第3条件を満たすLookがある場合にステップS50を肯定判定してステップS60へ進む。修理検索システム100は、上記第1条件~第3条件を満たすLookがない場合にはステップS50を否定判定してステップS80へ進む。
【0023】
ステップS60において、修理検索システム100は、所定の採点を行ってステップS70へ進む。採点は、採点部130により行う。
【0024】
ステップS70において、修理検索システム100は、複数の修理方法を載せた修理方法一覧(
図1)の表示信号を端末20へ出力して
図3による処理を終了する。出力は、出力部150により行う。出力部150は、検索条件としての「Look_1」~「Look_5」でそれぞれ検索され、所定条件を満たす複数の修理方法のうち、採点部130による採点値が最も高いLookで検索された複数の修理方法を載せた修理方法一覧の表示信号を端末20へ出力する。なお、上述した通り、修理方法一覧は交換または調整すべき対象部品群のリストとして作成される。
【0025】
修理検索システム100は、上記所定条件を満たすLookがなかった場合にステップS50を否定判定して進むステップS80において、ステップS50の判定処理を所定回数繰り返したか否かを判定する。修理検索システム100は、判定処理の繰り返し回数が所定回(例えば7回)に達している場合に、ステップS80を肯定判定してステップS90へ進む。
【0026】
ステップS90において、修理検索システム100は、DTCに対応する修理方法が見つからない旨のメッセージを表示する表示信号を端末20へ出力して
図3による処理を終了する。実施の形態においてDTCに対応する修理方法が見つからない場合は、推奨される交換部品をユーザに提示できない。
【0027】
一方、修理検索システム100は、判定処理の繰り返し回数が所定回に達していない場合には、ステップS80を否定判定してステップS100へ進む。ステップS100において、修理検索システム100は、所定条件を緩和してステップS50へ戻り、並び替えを行ったLook毎の複数の修理方法の組について、緩和した所定条件を用いて所定条件を満たすか否かを判定する。
【0028】
図5は、所定条件(第1条件~第3条件)の緩和を例示する図である。修理検索システム100は、判定処理の繰り返し回数が増えると、第1条件における所定確率を緩和する。また、修理検索システム100は、判定処理の繰り返し回数が増えると、第2条件における所定件数を緩和する。さらにまた、修理検索システム100は、判定処理の繰り返し回数が増えると、第3条件におけるシェア率を緩和したり、第3条件そのものを外したりする。
なお、
図5に示す繰り返し回数と第1条件~第3条件の緩和との関係は一例であり、適宜変更して構わない。
【0029】
上述したステップS70において、修理検索システム100は、他のLookで検索された複数の修理方法を載せた修理方法一覧の表示信号を端末20へ出力することが可能に構成される。例えば、端末20の表示部21の表示画面でユーザが「Look +」ボタンをタップ操作したことを示す信号がユーザの端末20から送信されると、「Look_1」~「Look_5」のうち現在表示中のLookの番号を1つ進め、そのLookで検索された複数の修理方法を載せた修理方法一覧の表示信号を端末20へ出力する。また、端末20の表示部21の表示画面でユーザが「Look -」ボタンをタップ操作したことを示す信号がユーザの端末20から送信されると、「Look_1」~「Look_5」のうち現在表示中のLookの番号を1つ戻し、そのLookで検索された複数の修理方法を載せた修理方法一覧の表示信号を端末20へ出力する。これにより、ユーザは、修理検索システム100がステップS60の採点結果に基づくLookとは別のLookで検索した修理方法を確認することが可能になる。
【0030】
また、上述したステップS70において、修理検索システム100は、修理成功率が所定確率b(例えば50%)以下の修理方法の組(低成功確率グループと呼んでもよい)の修理方法を載せた修理方法一覧の表示信号を端末20へ出力してもよい。これにより、ユーザは、高成功確率グループの修理方法とは異なる低成功確率のグループの修理方法を確認することが可能になる。
【0031】
図6は、修理検索システム100のサーバ装置で行われる低成功確率の修理方法の一覧を作成する処理の流れを説明するフローチャートである。修理検索システム100は、例えば、上記ステップS60の採点処理と並行して
図6に例示する処理を実行する。
【0032】
ステップS501において、修理検索システム100は、ステップS40による並び替えの処理の結果を入力してステップS503へ進む。これにより、Look毎に得られた複数の修理方法が、部品毎のWTY件数に基づいて並び替えた順番で入力される。
【0033】
ステップS503において、修理検索システム100は、修理成功率が所定確率b%以下の修理方法の組を抽出してステップS505へ進む。
ステップS505において、修理検索システム100は、複数の修理方法を、修理成功率が低い順(昇順)に並び替えてステップS507へ進む。
ステップS507において、修理検索システム100は、並び替え後の複数の修理方法から、WTY件数が所定数c(例えば10)件未満の修理件数を除外してステップS509へ進む。
【0034】
ステップS509において、修理検索システム100は、低成功確率の複数の修理方法を載せた修理方法一覧の表示信号を端末20へ出力して
図6による処理を終了する。出力は、出力部150により行う。なお、上述した通り、修理方法一覧は交換または調整すべき対象部品群のリストとして作成される。
【0035】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)故障コードとしてのDTCに対応する修理方法を提示する修理検索システム100は、DTCと過去に行われた修理方法とが紐づけ保存された修理DB110と、修理DB110に対して、故障車両のDTCを基準に作成された複数の異なる検索条件Lookを用いることにより、検索条件Look毎に、DTCに対応する複数の修理方法を検索する検索部120と、検索部120で検索された検索条件Look毎の複数の修理方法を採点する採点部130と、検索部120で検索された検索条件Look毎の複数の修理方法のうち、採点部130で採点された点数が最も高い検索条件Lookで検索された複数の修理方法を出力する出力部150と、を備える。
このように構成したので、ユーザは、複数の検索条件Lookでそれぞれ検索された複数の修理方法の中で採点値が最も高い検索条件Lookにより検索された複数の修理方法を、端末20の表示部21を介して得ることが可能になる。つまり、故障に対して適切な複数の修理方法を得ることが可能になる。
【0036】
(2)上記(1)の修理検索システム100において、出力部150は、複数の修理方法を、修理が成功した件数順に出力する。
このように構成したので、修理DB110に保存されている膨大な修理実績の中から、修理対象の車両のDTCに合致する修理方法を、修理成功件数が多いものからユーザに提示することが可能になる。
【0037】
(3)上記(1)の修理検索システム100において、出力部150は、複数の修理方法を、修理対象の部品情報として出力する。
このように構成したので、ユーザは、修理方法の中で修理対象となる部品を認識することが可能になる。
【0038】
(4)上記(1)の修理検索システム100において、採点部130は、検索部120で検索された修理方法で修理された修理件数WTYに占める修理成功の件数の割合が高いほど、高く採点する。
このように構成したので、修理DB110に保存されている膨大な修理実績の中から、修理対象の車両のDTCに合致する修理方法の中で修理成功率が高いものをユーザに提示することが可能になる。
【0039】
(5)上記(1)の修理検索システム100において、採点部130は、検索部120で検索された修理方法で修理された修理件数WTYが多いほど、高く採点する。
このように構成したので、修理DB110に保存されている膨大な修理実績の中から、修理対象の車両のDTCに合致する修理方法の中で修理件数WTYが多いものをユーザに提示することが可能になる。
【0040】
(6)上記(1)の修理検索システム100において、採点部130は、検索部120で検索された修理方法で修理された修理件数WTYのうち、WTY件数が上位所定比率(例えば60%)を占める修理方法が少ないほど、換言すると、同じ修理方法が採用されたことにより修理件数WTYに対応する修理方法の数が少ないほど、高く採点する。
このように構成したので、修理DB110に保存されている膨大な修理実績の中から、修理対象の車両のDTCに合致する修理方法の中で修理件数WTYの上位占有率が高いものをユーザに提示することが可能になる。
【0041】
(7)上記(1)の修理検索システム100において、修理DB110は、DTCと修理方法とが1:1で紐づけされたものが複数保存される。
このように構成したので、DTCと修理方法とが1:多で紐づけされた場合と比べて、実施の形態における検索の精度を高めることが可能になる。
【0042】
上記実施の形態は、種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
(変形例1)
上述した実施の形態では、修理対象の車両の事象情報が端末20を介して修理検索システム100へ送信される例を示したが、車両から無線通信により不図示の通信網にアクセスし、車両に搭載されている診断装置から修理検索システム100へ事象情報を直接送信するように構成してもよい。
【0043】
(変形例2)
上述した実施の形態では、故障診断機10および端末20を別個に構成する例を示したが、故障診断機10および端末20間をデータ通信可能に接続してもよい。また、故障診断機10および端末20を一体に構成してもよい。
【0044】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施の形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施の形態と変形例の一つあるいは複数を任意に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 故障診断機、20 端末、21 表示部、22 操作部、50 故障診断機データベース、100 修理検索システム、110 修理DB、120 検索部、130 採点部、150 出力部