(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139939
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20241003BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050892
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺田 勝美
(72)【発明者】
【氏名】奈良場 聰
【テーマコード(参考)】
5E353
5F047
【Fターム(参考)】
5E353EE02
5E353EE22
5E353GG21
5E353JJ02
5E353JJ25
5E353JJ29
5E353KK01
5E353QQ12
5F047AA17
5F047FA12
5F047FA31
5F047FA73
5F047FA83
(57)【要約】
【課題】 位置調整時の回転中心座標を正確に把握し、配線基板等の基板にチップ部品を実装する際の高精度位置合せが可能となる実装装置を提供すること。
【解決手段】 前記チップ部品を保持するアタッチメントツールと、アタッチメントツールの位置をXYθ方向に調整するヘッド側ステージを有した実装ヘッドと、前記アタッチメントツールの面に垂直な方向から画像を取得する認識手段と、前記実装ヘッドおよび前記認識手段に接続された制御部を備え、前記アタッチメントツールと連動する部位に中心特定マークを設け、前記制御部が、前記ヘッド側ステージの回転角度を複数回変化させて前記中心特定マークの画像を前記認識手段により取得し、複数の前記中心特定マークの位置情報から前記ヘッド側ステージの回転中心座標を算出する機能を有した実装装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品を基板に実装する実装装置であって、
前記チップ部品を保持するアタッチメントツールと、アタッチメントツールの位置をXYθ方向に調整するヘッド側ステージを有した実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを前記基板に対して垂直なZ方向に昇降させる昇降手段と、
前記基板を保持する基板ステージと、
前記アタッチメントツールの面に垂直な方向から画像を取得する認識手段と、
前記実装ヘッド、前記昇降手段、前記基板ステージおよび前記認識手段に接続された制御部を備え、
前記アタッチメントツールと連動する部位に中心特定マークを設け、
前記制御部が、前記ヘッド側ステージの回転角度を複数回変化させて前記中心特定マークの画像を前記認識手段により取得し、
複数の前記中心特定マークの位置情報から前記ヘッド側ステージの回転中心座標を算出する機能を有した実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の実装装置であって、
前記アタッチメントツールに前記中心特定マークを記した実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドから外れた前記アタッチメントツールを保持するツール保持手段を備えた実装装置。
【請求項4】
請求項3に記載の実装装置であって、
前記中心特定マークと前記回転中心座標との相対位置を算出後、
前記実装ヘッドから前記アタッチメントツールを外した状態で、
前記ヘッド側ステージにより前記回転中心座標を前記中心特定マークの位置に合わせてから、
前記実装ヘッドが前記アタッチメントツールを保持する実装装置。
【請求項5】
請求項1に記載の実装装置であって、
前記アタッチメントツールにダミーチップを保持させ、前記ダミーチップに前記中心特定マークを記した実装装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の実装装置であって、
前記アタッチメントマークにX方向とY方向の少なくとも一方の方向を示す線を記した実装装置。
【請求項7】
請求項2から請求項4のいずれかに記載の実装装置であって、
前記アタッチメントツールの前記チップ部品を保持する面の中心に前記中心特定マークを記した実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ部品を基板に実装する実装装置に関する。特に、基板の所定位置にチップ部品を高精度に位置合わせする実装装置に係る。
【背景技術】
【0002】
実装装置が、配線基板等の基板に半導体チップ等のチップ部品を実装するとき、
図16に示すように複数の実装箇所SCを有する基板Sの個々の実装箇所SCにチップ部品Cを位置合わせして実装する。位置合わせに際しては、個々の実装箇所SCに付されている基板認識マークAS(対角線上に配置された基板認識第1マークAS1および基板認識第2マークAS2)を基準として用いている。
【0003】
チップ部品Cを基板Sの実装箇所SCに位置合わせするのは、基板Sの電極に対するチップ部品Cの電極位置を合わせて確実な導通を確保するためであり、チップ部品Cの位置合わせに用いるチップ認識マークは電極位置を高精度に認識できるよう電極面に付されている。
【0004】
このため、基板Sの電極とチップ部品Cの電極が同方向を向くフェイスアップ実装では、
図17(a)に示すように、基板認識マークASとチップ認識マークAC(チップ認識第1マークAC1およびチップ認識第2マークAC2)が同方向を向く。また、基板Sの電極とチップ部品Cの電極が対向するフェイスダウン実装では、
図17(b)に示すように、基板認識マークASとチップ認識マークAC(チップ認識第1マークAC1およびチップ認識第2マークAC2)が対向する。
【0005】
フェイスアップ実装とフェイスダウン実装において、基板認識マークASとチップ認識マークACを認識する手法は異なるが(例えばフェイスアップ実装で特許文献1、フェイスダウン実装で特許文献2)、両位置関係を認識した後の位置合わせ動作は共通している。すなわち、
図18(a)のような基板認識第1マークAS1と基板認識マークAS2の付された基板Sに対して、チップ部品第1マークAC1とチップ部品AC2の付されたチップ部品Cの位置合わせを行う。すなわち、
図18(b)のように、基板認識第1マークAS1に対してチップ認識マークAC1の相対位置と、基板認識第2マークAS2に対してチップ認識第2マークAC2の相対位置を合わせて、実装箇所SCにチップ部品Cが配置される。
【0006】
具体的な位置合わせ方法については
図19を用いて説明する。まず、
図19(a)は
図17において、アタッチメントツール42がチップ部品Cを保持した状態であり、
図17(a)のフェイスアップ実装と
図17(b)のフェイスダウン方法では認識方法に違いがあるものの、基板認識第1マークAS1、基板認識第2マークAS2、チップ認識第1マークAC1およびチップ認識第2マークAC2を認識して、各位置情報を得る。ここで得た各認識マークの位置情報から、基板Sに対するチップ部品Cの回転角θと、実装箇所SC中心SCCに対するチップ部品中心CCの水平方向(X方向、Y方向)位置ズレが求まる。
【0007】
そこで、原理的にはチップ部品中心CCを中心にチップ部品Cを回転させて角度θ分の補正を行ってから、実装箇所中心SCCに対するチップ部品中心CCの位置ズレを補正すれば、位置合わせが完了となる。しかし、アタッチメントツール42の回転軸とチップ部品中心CCは必ずしも一致していない。そこで、
図19(b)のように、まずアタッチメントツール42の回転軸が通る回転中心の位置を予測して仮想中心VCとし、仮想中心VCを中心にチップ部品Cが角度θ分の補正が行われることを前提に、回転角修正後の水平方向補正(X方向のΔX、Y方向のΔY)が算出され、
図19(C)のようにΔX、ΔYの補正により、チップ部品Cは所定の実装箇所SCに位置合わせされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-208522号公報
【特許文献2】特開2018-190958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図19における仮想中心VCは回転方向の補正における回転軸の中心座標の基準であり、アタッチメントツール42を回転角10°程度を回転させたときのチップ認識マークAC等を認識手段で撮像して画像処理した軌跡から演算して推定している。しかし、この仮想中心VCの位置の算出に際しては種々の誤差要因を含んでいて、実際の回転中心とは一致し難い。そこで、仮想中心が回転中心と一致しない影響について
図20を用いて説明する。
【0010】
図20(a)はアタッチメントツール42がチップ部品Cを保持した状態であり、基板認識第1マークAS1、基板認識第2マークAS2、チップ認識第1マークAC1およびチップ認識第2マークAC2を認識して、各位置情報を得る。その後、アタッチメントツール42の仮想中心VCを回転中心としてチップ部品Cが角度θ分の補正が行われることを前提に、回転角修正後の水平方向補正(X方向のΔX、Y方向のΔY)が算出される。しかし、この段階で、仮想中心VCの位置は回転中心RCに対してX方向にdx1、Y方向にdy1の誤差を含んでいる(
図20(b))。
【0011】
このため、
図20(b)に至る段階で、チップ部品Cは回転軸RCを中心に回転角θの補正が行われているが、
図20(c)において行なう水平方向の補正は(回転中心RCに対してX方向でΔX、Y方向でΔYの誤差を含む)仮想中心VCを中心に回転させることを前提とした算出されたものである。このため、最終的には
図20(c)に示すようなX方向でdx2、Y方向でdy2の誤差が生じてしまう。
【0012】
例えば、回転中心RCに対する仮想中心VCの誤差が0.1mm程度だとすると、回転角θの補正が1°程度の場合で、数μm程度の誤差が生じることがある。この数μmの誤差というのは電極ピッチが100μmを超えるような実装においては許容できたものの、実装精度1μm未満が要求されるような昨今において許容できるものではなく、高精度な位置合わせを実現するためには、仮想中心VCを回転中心RCに更に近づける必要がある。
【0013】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、位置調整時の回転中心座標を正確に把握し、配線基板等の基板に半導体チップ等のチップ部品を実装する際の高精度位置合せが可能となる実装装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
前記チップ部品を保持するアタッチメントツールと、アタッチメントツールの位置をXYθ方向に調整するヘッド側ステージを有した実装ヘッドと、前記実装ヘッドを前記基板に対して垂直なZ方向に昇降させる昇降手段と、前記基板を保持する基板ステージと、
前記アタッチメントツールの面に垂直な方向から画像を取得する認識手段と、前記実装ヘッド、前記昇降手段、前記基板ステージおよび前記認識手段に接続された制御部を備え、
前記アタッチメントツールと連動する部位に中心特定マークを設け、
前記制御部が、前記ヘッド側ステージの回転角度を複数回変化させて前記中心特定マークの画像を前記認識手段により取得し、複数の前記中心特定マークの位置情報から前記ヘッド側ステージの回転中心座標を算出する機能を有した実装装置である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の実装装置であって、
前記アタッチメントツールに前記中心特定マークを記した実装装置である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の実装装置であって、
前記実装ヘッドから外れた前記アタッチメントツールを保持するツール保持手段を備えた実装装置である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の実装装置であって、
前記中心特定マークと前記回転中心座標との相対位置を算出後、前記実装ヘッドから前記アタッチメントツールを外した状態で、前記ヘッド側ステージにより前記回転中心座標を前記中心特定マークの位置に合わせてから、前記実装ヘッドが前記アタッチメントツールを保持する実装装置である。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の実装装置であって、
前記アタッチメントツールにダミーチップを保持させ、前記ダミーチップに前記中心特定マークを記した実装装置である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5の何れかに記載の実装装置であって、
前記アタッチメントマークにX方向とY方向の少なくとも一方の方向を示す線を記した実装装置である。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項2から請求項4のいずれかに記載の実装装置であって、
前記アタッチメントツールの前記チップ部品を保持する面の中心に前記中心特定マークを記した実装装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、配線基板等の基板に半導体チップ等のチップ部品を実装する際の高精度位置合せが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態1に係る実装装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る制御系を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るアタッチメントツールを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る実装装置でアタッチメントツールに設けた中心特定マークを回転中心座標に合わせる過程を説明するもので、(a)中心特定マークに対する回転中心座標の相対位置を取得している状態、(b)アタッチメントツールを降下させてツール保持手段に接触させた状態、(c)アタッチメントツールを外した実装ヘッドが上昇した状態、(d)ヘッド側ステージの中心座標を中心特定マークに合わせた状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る実装装置でアタッチメントツールに設けた中心特定マークを回転中心座標に合わせる過程を説明するもので、(a)中心特定マークを回転中心に合わせて実装ヘッドがアタッチメントツールを保持する状態で、(b)ツール保持手段がアタッチメントツールを解除した状態、(c)認識手段の視野中心を回転中心に合わせた状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る実装装置でアタッチメントツールに設けた中心特定マークを回転中心座標に合わせる原理を説明するもので、(a)ヘッド側ステージで回転角度を変化させたときの中心特定マークの位置変化から回転中心を算出する状態、(b)算出された回転中心に中心特定マークを接近させてから、ヘッド側ステージで回転角度を変化させたときの中心特定マークの位置変化から再度回転中心を算出する状態、(c)中心特定マークの重心を用いて回転中心座標を算出する状態、(d)回転中心座標の算出精度が条件を満たした状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態1に用いるアタッチメントツールの角度補正に関して説明するもので、(a)X方向とY方向を示す線が記されたアタッチメントツールを示し、(b)同アタッチメントツールが傾いた状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態2に用いるダミーチップについて説明する図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係るダミーチップの中心特定マークについて説明するもので、(a)回転中心を求めるときの状態、(b)中心特定マークを回転中心に合わせた状態の例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る実装装置でダミーチップに設けた中心特定マークを回転中心座標に合わせる過程を説明するもので、(a)中心特定マークに対する回転中心座標の相対位置を取得している状態、(b)ダミーチップを降下させてチップ保持手段に接触させた状態、(c)ダミーチップを外した実装ヘッドが上昇した状態、(d)ヘッド側ステージの回転中心座標を中心特定マークに合わせた状態を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る実装装置でダミーチップに設けた中心特定マークを回転中心座標に合わせる過程を説明するもので、(a)中心特定マークを回転中心に合わせて実装ヘッドがダミーチップを保持する状態で、(b)チップ保持手段がダミーチップを解除した状態、(c)認識手段の視野中心を回転中心に合わせた状態、(d)アタッチメントツールがダミーチップを外した状態を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態の変形例である実装装置の概略図である。
【
図13】本発明の実施形態の変形例である実装装置で中心特定マークを回転中心座標に合わせる過程を示すもので、(a)中心特定マークに対する回転中心座標の相対位置を取得している状態、(b)中心特定マークの位置を調整して回転中心座標に合わせた状態を示す図である。
【
図14】実施形態とは異なる装置構成で本発明を適用する例を示す図である。
【
図15】実施形態とは異なる装置構成で本発明を適用する例2を示す図である。
【
図16】複数のチップ部品を実装する基板の個々のチップ部品を実装する実装箇所と個々の基板認識マークについて説明する図である。
【
図17】チップ部品を基板に実装する際の、(a)チップ認識マークと基板認識マークが同方向の状態、(b)チップ認識マークと基板認識マークが対向した状態を示す図である。
【
図18】実装箇所と基板認識マークについて説明するもので、(a)基板認識マークの配置を示し、(b)実装箇所にチップ部品が配置された状態を示す。
【
図19】基板の実装箇所にチップ部品を位置合わせする過程を説明するもので、(a)位置合わせ前のチップ部品の位置、(b)回転角調整を行なった状態、(c)位置合わせを行った後の状態を示す図である。
【
図20】アタッチメントツールの仮想中心の位置が回転中心に対して誤差を含む状態で、基板の実装箇所にチップ部品を位置合わせする過程を説明するもので、(a)位置合わせ前のチップ部品の位置、(b)回転角調整を行なった状態、(c)位置合わせを行った後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態1における実装装置1の概略図である。また、
図2は実装装置1の制御系を示すブロック図である。
【0024】
実装装置1はチップ部品Cを基板Sに実装する装置であり、基板Sの基板認識マークASとチップ部品Cのチップ認識マークASを認識して位置合わせする構成となっている。
【0025】
実装装置1は、基板ステージ2、昇降ヘッド3、実装ヘッド4、認識手段5、チップ搬送手段6、ツール保持手段7および制御部10を構成要素としている。
【0026】
図1の実装装置1において、基板ステージ2は、ステージ移動制御手段20と吸着テーブル23によって構成される。吸着テーブル23は表面上に配置した基板を吸着保持するものであり、吸着テーブル23は、ステージ移動制御手段20により、基板を保持した状態で、基板面の面内方向に移動することが可能である。
【0027】
ステージ移動制御手段20は、吸着テーブル23をY方向に直線移動可能なY方向ステージ移動制御手段22と、Y方向ステージ移動制御手段22をX方向に直線移動可能で基台200上に設けられたX方向ステージ移動制御手段21によって構成されている。Y方向移動制御手段22はスライドレール上に配置した可動部に吸着テーブル23を搭載しており、可動部はY方向サーボ221により移動および位置制御される。また、X方向移動制御手段21はスライドレール上に配置した可動部にY方向移動制御手段22を搭載しており、可動部はX方向サーボ211により移動および位置制御される。
【0028】
昇降手段3は図示していない門型フレームに固定されており、上下駆動軸が吸着テーブル23に対して垂直方向に設けられており、上下駆動軸に実装ヘッド4を連結している。昇降手段3は実装ヘッド4を上下駆動するとともに、設定に応じた加圧力を印加する機能を有している。更に、上下駆動軸を中心に実装ヘッド4を回転させる機能を有していることが望ましい。
【0029】
実装装置1では、昇降手段3を(図示しない門型フレームにより)2方向から支持するとともに、実装ヘッド4に直線的に連結しているため、加圧時に実装ヘッド4への横方向の力は加わり難くなっているので実装時の横ズレが無く高精度な実装が可能となる。
【0030】
実装ヘッド4は、チップ部品Cを保持して(基板ステージ2の吸着テーブル23に保持された)基板と平行な状態で圧着するものである。実装ヘッド4は、ヘッド本体40、ヒーター部41、アタッチメントツール42およびヘッド側ステージ43を構成要素としている。ヘッド本体40はヘッド側ステージ43を介して昇降手段3と連結しており、下側にヒーター部41を固定配置している。ヒーター部41は発熱機能を有し、アタッチメントツール42を介してチップ部品Cを加熱するものである。また、ヒーター部41は減圧流路を用いてアタッチメントツール42を吸着保持する機能を有している。アタッチメントツール42はチップ部品Cを吸着保持するものであり、チップ部品Cの形状に応じて交換される。ヘッド側ステージ43はアタッチメントツール42を(チップ部品Cを吸着する面内の)X方向、Y方向および回転角θ方向に調整するものであるが、本実施形態の実装装置1ではヘッド側ステージ43と直結したヘッド本体およびヒーター部41を介してアタッチメントツール42の位置は調整される。
【0031】
ヘッド側ステージ43は、θ角度調整手段430、X方向調整手段431、Y方向調整手段432によって構成されている。なお、実装装置1の構成において、アタッチメントツール42に最も近いのがθ角度調整手段430であるため、θ角度調整手段430の回転中心は、X方向調整手段431とY方向調整手段432によって、XY平面内を移動可能となっている。また、実装ヘッド4がアタッチメントツール42を保持している状態において、(XY座標系の)θ角度調整手段430の回転中心がアタッチメントツール42の回転中心となる。
【0032】
本実施形態1の実装装置1では、基板面を実装ヘッド4越しに観察することが可能な構成となっており、アタッチメントツール42を透明部材で形成したり、貫通孔を設けたりしている。また、ヒーター部41についても透明部材を用いるか開口部を設けている。また、実装ヘッド4は、置認識手段5の画像取込部50が移動できる空間を有している。すなわち、ヘッド本体40は、ヒーター41上で連結した側板、両側板を連結する天板に囲まれたヘッド空間40Vを有する構造となっている。
【0033】
認識手段5は、(アタッチメントツール42およびヒーター部41を透過して)実装ヘッド4越しに、アタッチメントツール42がチップ部品Cを保持する面と垂直な方向から、対象物に焦点を合わせて撮像する。実施形態1において、認識手段5は、画像取込部50、光路52、ならびに光路52に連結する(図示しない)撮像手段53を構成要素としている。
【0034】
画像取込部50は、撮像手段53が画像を取得する認識対象に対向するよう(上部に)配置され、認識対象を視野内に納めるものである。
【0035】
また、認識手段5は図示していない駆動機構により、ヘッド空間内で、基板S(およびチップ部品C)の面内方向で移動することが可能な構成となっている。更に、焦点位置が調整できるように、基板Sの垂直方向(Z方向)に移動する機能も有していることが望ましい。
【0036】
実装ヘッド4は昇降手段3により基板Sと垂直方向に移動するが、この動作は置認識手段5の動作と独立して行うことが可能である。このため、実装ヘッド4が垂直方向に移動しても、ヘッド空間に進入した認識手段5が干渉しない寸法にヘッド空間40Vを設計する必要がある。
【0037】
なお、認識手段5の画像取込部50の可動範囲は、ヘッド空間内に限られたものではなく、ヘッド空間から外れて基板S上を移動して基板認識マークAS等の位置情報を取得することも可能である。
【0038】
また、画像取込部50の可動範囲内での位置情報を取得できる構成としておけば、撮像した画像内各点の位置情報を算出することも可能である。
【0039】
チップ搬送手段6は、搬送レール60とチップスライダ61によって構成されており、図示しないチップ供給部から供給されたチップ部品Cをチップスライダ61が保持してアタッチメントツール42の直下までスライドして搬送するものである。
【0040】
ここで、図示しないチップ供給部は、チップスライダ61上の定まった位置にチップ部品Cを配置する。必要に応じて、チップスライダ61に配置されたチップ部品Cは図示しない認識機構で配置位置を認識してもよい。また、チップスライダ61に搭載されたチップ部品Cを面内方向(XY方向)に位置調整する位置調整手段をチップ搬送手段6が有していてもよい。このように、チップスライダ61およびチップスライダ61に配置するチップ部品Cの位置を制御することで、アタッチメントツール42の所定範囲内にチップ部品Cを受け渡すことが可能である。アタッチメントツール42がチップ部品Cを保持した後に、チップ部品Cの保持を解除したチップスライダ61は退避位置に移動する。
【0041】
フェイスダウン実装の場合は、図示しないチップ反転手段でチップ部品Cの接合面を下向きにしてチップスライダ61上に受け渡した後アタッチメントツール42の所定の位置に受け渡すが、チップ反転手段で反転されたチップ部品Cを直接アタッチメントツール42に受け渡しても良い。
【0042】
ツール保持手段7は、実装ヘッド4の直下に配置した状態で、アタッチメントツール42を実装ヘッド4側から受け取り、XYθ方向に位置変動がないように保持するものである。アタッチメントツール42の保持と解除の操作は真空吸着のオンオフが適しているがこれに限定されるものではない。ツール保持手段7は、実装ヘッド4の直下から離れた退避位置に待機しており、アタッチメントツール42を保持するときに実装ヘッド4直下に配置される。
図1において、ツール保持手段7は搬送レール60に沿って移動する構成となっているが、これに限定されるものではなく、他の駆動手段等で移動する構成としてもよい。
実装装置1は
図2のブロック図で示すように、基板ステージ2、昇降手段3、実装ヘッド4、認識手段5、搬送手段6および保持手段7と接続する制御部10を備えている。
【0043】
制御部10は、実体的にはCPUと記憶装置を主要な構成要素とし、必要に応じてインターフェイスを各装置との通信に介在させている。また、制御部10はプログラムを内蔵することにより、取得データを用いた演算を行い、演算結果に応じた出力を行うこともできる。更に、取得データや演算結果を記録して新たな演算用のデータとして用いる機能も備えていることが望ましい。
【0044】
制御部10は、基板ステージ2と接続し、X方向ステージ移動制御手段21とY方向ステージ移動制御手段22の動作制御を行って吸着テーブル23の面内移動制御を行う。また、制御部10は、吸着テーブル23を制御して、基板Sの吸着保持および解除の制御を行う。
【0045】
制御部10は、昇降手段3と接続し、実装ヘッド4の上下方向(Z方向)の位置制御を行うとともに、チップ部品Cを基板Sに圧着する際の加圧力を制御する機能を有している。
【0046】
制御部10は実装ヘッド4と接続し、アタッチメントツール42によるチップ部品Cの吸着保持および解除、ヒーター部41の加熱温度を制御する機能を有している。また、制御部10は実装ヘッド4のヘッド側ステージ43と接続し、アタッチメントツール42(およびヘッド本体40とヒーター部41)のXYの位置および回転角度θを制御する機能を有している。
【0047】
制御部10は基板位置認識手段5と接続し、画像取込部50の水平(XY面内)方向および垂直方向(Z方向)の位置制御を行なうとともに、撮像手段53を制御して画像データを取得する機能を有している。更に制御部10は画像処理機能を有しており、撮像手段画像各点の位置情報を算出する機能を有している。また、回転によって移動した点の軌跡から回転方向の補正計算の基準となる回転中心座標を算出する機能を有している。
【0048】
制御部10はチップ搬送手段6と接続し、搬送レール60に沿って移動するチップスライダ61の位置を制御する機能を有している。
【0049】
制御部10はツール保持手段7と接続し、アタッチメントツール42の保持および解除の制御を行う機能を有している。
【0050】
以下、実装装置1において、ヘッド側ステージ43の回転中心座標を求める過程を説明する。
【0051】
図3は、本発明の実施形態1に用いるアタッチメントツール42について説明するものである。
図3のアタッチメントツール42の特徴は、中心付近に中心特定マークTMを設けていることである。ここで、中心付近というのは中心が好ましいが、中心から数mm程度離れていても良いという意味である。
【0052】
図4および
図5は、ヘッド側ステージ43によるθ角調整を行なう際の、アタチメントツール42の回転中心を求める過程と、更に、中心特定マークTMを回転中心の座標に合わせる過程を示している。
【0053】
図4(a)は、実装ヘッド4(のヒーター部41)が
図3に示したアタッチメントツール42を保持した状態である。ここで、アタッチメントツール42の(XY平面内における)回転中心座標は、θ角度調整手段430の回転中心RCの座標と一致している。
【0054】
図4(a)の状態で、中心特定マークTMは回転中心RCと一致していない。そこで、θ角度調整手段430によってアタッチメントツール42の回転角を変化させると、中心特定マークTMの位置は変化し、その例を示したのが
図6(a)である。
図6(a)において、当初の中心特定マークTMに対して、θ角度をプラス方向に変化させたときの中心特定マークTM(TMPとしている)とθ角度をマイナスに変化させたときの中心特定マークTM(TMNとしている)の位置を示している。そこで各中心特定マークの中心位置(重心位置)であるTMC、TMPC、TMNCの座標位置が描く円弧形状から演算により仮想中心VCを算出することができる。ここで、θ角度の変化量は正負各10度前後が望ましく、5度から15度の範囲にすることが好ましい。角度が小さすぎると中心特定マークTMの位置変化が僅かとなり、角度が大きすぎると、観察に必要な視野が広くなる分だけ画像分解能が下がり好ましくない。
【0055】
こうして得られた認識手段5の視野中心FCと回転中心RCが一致する、図示しない認識手段5の駆動機構の座標を仮想中心VCの座標として決定し、制御手段10に記憶する。仮想中心VCは、回転方向の補正計算の基準となる回転中心RC位置として使用される。
【0056】
図4(a)において、中心特定マークTMと仮想中心VCの位置関係を算出できることから、仮想中心VCの位置に中心特定マークTMを移動させる過程を示したのが、
図4(b)から
図5(b)である。
【0057】
図4(b)は、アタッチメントツール42の下にツール保持手段7を配置した後に実装ヘッド4を降下してアタッチメントツール42をツール保持手段7に接触、密着させた状態である。この状態において、ツール保持手段7はアタッチメントツール42を吸着等により保持する。その後、実装ヘッド4(のヒーター部41)はアタッチメントツール42の保持を解除して上昇する(
図4(c))。
【0058】
この後、仮想中心VCと中心特定マークTM(の中心TMC)の相対位置をゼロにするようヘッド側ステージ43のX方向調整手段431とY方向調整手段432を駆動してヘッド本体40およびヒーター部41の位置を調整して、中心特定マークTMを仮想中心VCに合わせる(
図4(d))。それから、
図5(a)のように実装ヘッド4を降下して、ヒーター部41をアタッチメントツール42に密着して吸着してから、ツール保持手段7によるアタッチメントツール42の保持を解除して、実装ヘッド4を上昇して
図5(b)の状態となる。
【0059】
ところで、
図4(a)の状態で求めた仮想中心VCが回転中心RCに一致していて、その後の位置調整が高精度に行われるのであれば、中心特定マークTMの位置は回転中心RCに一致する。しかし、仮想中心VCと回転中心RCが一致しないことも多く、
図5(b)の状態から再度、
図4(a)以降の動作を進めることが望ましい。すなわち、
図6(a)の状態で求めた仮想中心VCに中心特定マークTMを合わせてから、θ角度調整手段430によってアタッチメントツール42の回転角を変化させたとき、
図6(b)のように中心特定マークTMの位置が変化するのであれば、この状態から新たな仮想中心VCを求めることになる。この後、同様な過程を繰り返し、特定マークTMの位置変化が小さくなり(
図6(c))、中心特定マークTMの中心点TMCの位置変化が
図6(d)のように許容範囲RCA内に収まった段階で、仮想中心VCは回転中心RCに一致したと判断すればよい。
【0060】
この後、
図5(c)のように、認識手段5が取得する画像で設定した画像中心に回転中心RCが配置されるよう、中心特定マークTMを観察して画像取込部50の位置を調整してもよい。
【0061】
回転中心調整工程は、毎実装前に行う必要はなく、温度影響などによる変化が極めて小さい場合には初期調整の1回のみ実施すれば良い。実際のところ、一定数のチップ部品Cを実装する毎や、認識手段近傍の温度変化量や、実装後の位置ずれの変化量や、基板Sを入れ替える度に回転中心調整工程を行なうのが好ましい。
【0062】
中心特定マークTMはアタッチメントツール42に付けるのが望ましいが、アタッチメントツール42と連動して仮想中心VCと回転中心RCを一致させる調整が出来れば、アタッチメントツール42以外の場所に付けても良い。
【0063】
なお、
図3に示した中心特定マークTMに加えて、
図7(a)のようにアタッチメントツール42にX方向とY方向の少なくとも一方の線を記しておいてもよい。このようにすることで、
図7(b)のようにXY座標系に対して傾いた状態でヒーター部41に保持されているアタッチメントツール42に対して、回転中心RCに中心特定マークTMを合わせることに加えて、傾きの矯正も行うことができる。傾き矯正も行う際は、
図4(c)から
図4(d)の間で、 X方向調整手段431とY方向調整手段432に加えて、θ角度調整手段430も駆動させる。
以上、実施形態1においてアタッチメントツール42に設けた中心特定マークTMを用いてヘッド側ステージ43による回転中心RCを求めたが、別の手法で回転中心RCの位置を求める方法として実施形態2について説明する。
【0064】
実施形態2では、
図8のような、中心特定マークCMを設けたダミーチップTCを用いる。
図8において、アタッチメントツール42に中心特定マークTMを設けた例となっているが、ダミーチップTCを用いる場合、中心特定マークTMはなくてもよい。ただし、ダミーチップTCを用いて求めた回転中心RCのアタッチメントツール42における位置を確認する際の基準として中心特定マークTMを用いてもよい。
【0065】
図9(a)はアタッチメントツール42が中心特定マークCMを設けたダミーチップTCを保持している状態を示し、
図9(b)はダミーチップTCを移動して回転中心RCに中心特定マークCMを合わせた状態を示している。
図9では、アタッチメントツール42の中心特定マークTMが回転中心RCに一致している場合の例を示している。
図9(a)でダミーチップTCがアタッチメントツール42に保持されていれば、ダミーチップTCの中心特定マークCMはアタッチメントツール42と連動する。
【0066】
実施形態2において実装装置1の構成でツール保持手段7をチップ保持手段として用いても良いが、チップ搬送手段6のチップスライダ61をチップ保持手段として用いれば
図1におけるツール保持手段7は不要である。以下の説明においてチップスライダ61を用いる例を示す。
【0067】
図10および
図11は、ヘッド側ステージ43によるθ角調整を行なう際の、回転中心RCを求める過程と、更に、ダミーチップTCの中心特定マークCMを回転中心RCの座標に合わせる過程を示している。
【0068】
図10(a)は、アタッチメントツール42が
図8に示したダミーチップTCを保持した状態である。ここで、アタッチメントツール42の(XY平面内における)回転中心座標は、θ角度調整手段430の回転中心RCの座標と一致している。
【0069】
図10(a)の状態で、ダミーチップTCの中心特定マークCMは回転中心RCと一致していない。そこで、θ角度調整手段430によってアタッチメントツール42の回転角を変化させることで、演算により仮想中心VCを算出することができる。ここで、θ角度の変化量は、中心特定マークTMを用いる場合と同様、正負各10度前後が望ましく、5度から15度の範囲にすることが好ましい。
【0070】
図10(a)において、中心特定マークCMと仮想中心VCの位置関係が求まったことから、仮想中心VCの位置に中心特定マークCMを移動させる過程を示したのが、
図10(b)から
図11(b)である。
【0071】
図10(b)は、ダミーチップTCの下にチップスライダ61を配置した後に実装ヘッド4を降下してダミーチップTCをチップスライダ61に接触、密着させた状態である。この状態において、チップスライダ61はダミーチップTCを吸着等により保持する。その後、
図10(c)のように、アタッチメントツール42はダミーチップTCの保持を解除して上昇する。
【0072】
この後、仮想中心VCと中心特定マークCM(の中心CMC)の相対位置をゼロにするようヘッド側ステージ43のX方向調整手段431とY方向調整手段432を駆動してヘッド本体40、ヒーター部41およびアタッチメントツール42の位置を調整して、中心特定マークCMを仮想中心VCに合わせる(
図10(d))。それから、
図11(a)のように実装ヘッド4を降下して、アタッチメントツール42をダミーチップTCに密着して吸着してから、チップスライダ61によるダミーチップTCの保持を解除して、実装ヘッド4を上昇して
図11(b)の状態となる。
【0073】
ところで、
図10(a)の状態で求めた仮想中心VCが回転中心RCに一致していて、その後の位置調整が高精度に行われるのであれば、中心特定マークCMの位置は回転中心RCに一致する。しかし、仮想中心VCと回転中心RCが一致しないことも多く、
図11(b)の状態から再度、
図10(a)以降の動作を進めることが望ましい。これは、
図6を用いて説明した中心特定マークTMを用いた手法と同じである。
【0074】
この後、
図11(c)のように、認識手段5が取得する画像で設定した画像中心FCに回転中心RCが配置されるよう、中心特定マークCMを観察して画像取込部50の位置を調整してもよく、その後にダミーチップTCの保持を解除する。ダミーチップTCの解除に際しては、チップスライダ61に受け渡すのが好ましい。
【0075】
以上の説明において、アタッチメントツール42に最も近いのがθ角度調整手段430であるため、θ角度調整手段430に対してアタッチメントツール42を相対移動させるためには、実装ヘッド4からアタッチメントツール42を一旦外す必要があった。これに対して、本発明の実施形態の変形例である、
図12に示す実装装置101においては、θ角度調整手段430とアタッチメントツール42の間に、X方向調整手段431とY方向調整手段432が存在する。このため、X方向調整手段431とY方向調整手段432を用いて、実装ヘッド4から外すことなく回転中心RCに中心特定特定マークTMを合わせることができる。その様子を示したのが
図13であり、
図13(a)のように回転中心RCから中心特定マークTMが離れた状態で、
図6に示したように仮想中心VCの精度を上げていく過程を、アタッチメントツール42を外すことなく行え、
図13(b)のように回転中心RCに中心特定マークTMを合わせることができる。
ただし、
図12の実装装置101の構成において、
図20(a)から
図20(b)に示すような角度調整を行なう際に、X方向調整手段431とY方向調整手段432によるXY座標系全体が傾くため、X方向、Y方向の補正量の計算が複雑になる。
【0076】
以上説明したように、本発明はチップ部品を回転角調整において、チップ部品を保持するアタッチメントツールの回転中心の座標を高精度に得ることができる。このため、チップ部品を基板に実装する際の位置補正の誤差を抑制でき、高精度な実装を実現することが可能となる。
【0077】
ところで、本願発明は、これまで説明した実施形態に限らず知用することが可能である。例えば、
図14のように、中心特定マークTMを下側から観察する認識手段8を用いて行っても良いし、
図15に示すような形態で分解能が高い認識手段5を用いた場合には、画像取込部50を移動させることなく、取込視野内で回転中心の座標を求めて設定すればよい。認識手段の移動時の誤差を含まない高精度な調整が可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1、101 実装装置
2 基板ステージ
3 昇降手段
4 実装ヘッド
5 認識手段
6 チップ搬送手段
7 ツール保持手段
10 制御部
20 ステージ移動制御手段
21 X方向ステージ移動制御手段
22 Y方向ステージ移動制御手段
23 吸着テーブル
40 ヘッド本体
41 ヒーター部
42 アタッチメントツール
43 ヘッド側ステージ
50 画像取込部
52 光路
60 搬送レール
61 チップスライダ
430 θ角度調整手段
431 X方向調整手段
432 Y方向調整手段
AC、AC1、AC2 チップ認識マーク
AS、AS1、AS2 基板認識マーク
AT、AT1、AT2 ツール認識マーク
C チップ部品
CC チップ部品中心
FC 視野中心
RC 回転中心
S 基板
SC (チップ部品)実装箇所
SCC 実装箇所中心
TC ダミーチップ
TM 中心特定マーク
VC 仮想回転中心