(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013995
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】洗浄機及び濯ぎ水供給装置
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A47L15/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116509
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】栂 圭一
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DB02
(57)【要約】
【課題】圧力式の水位検知部を用いて濯ぎタンクの水位を検知する場合であっても、安定的に水位検知ができる、洗浄機及び濯ぎ水供給装置を提供する。
【解決手段】食器洗浄機100は、洗浄タンク20と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、給水弁80と、連通孔6aを介して濯ぎタンク6に連通すると共に濯ぎタンク6から浸入する水によって圧力を受ける被検知空間における圧力値を検知することで、濯ぎタンク6に貯留される水の水位を検知する水位検知部62と、水位検知部62の検知結果に基づいて、濯ぎタンク6に貯留される水が、連通孔6aよりも上方の所定水位範囲に維持されるように給水弁80を制御する給水制御を実行するコントローラ10と、を備える。コントローラは、連通孔6aの少なくとも一部が水中から露出するまで濯ぎタンクの水位を低下させる水位低下制御を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄工程と濯ぎ工程とを含む洗浄運転を実行する洗浄機であって、
前記洗浄工程における被洗浄物の洗浄に用いられる水を貯留する洗浄タンクと、
前記濯ぎ工程における前記被洗浄物の濯ぎに用いられる水を貯留する濯ぎタンクと、
前記濯ぎタンクに貯留された水を前記被洗浄物が収容された洗浄室に供給する濯ぎポンプと、
前記濯ぎタンクへの水の供給の有無を切り替える給水弁と、
連通孔を介して前記濯ぎタンクに連通すると共に前記濯ぎタンクから浸入する水によって圧力を受ける被検知空間における圧力値を検知することで、前記濯ぎタンクに貯留される水の水位を検知する圧力式の水位検知部と、
前記水位検知部の検知結果に基づいて、前記濯ぎタンクに貯留される水が、前記連通孔よりも上方の所定水位範囲に維持されるように前記給水弁を制御する給水制御を実行するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで前記濯ぎタンクの水位を低下させる水位低下制御を実行する、洗浄機。
【請求項2】
前記洗浄タンクに水が貯留されていない場合に前記濯ぎタンクから前記洗浄タンクに水を供給する初期給湯工程を含み、
前記コントローラは、前記初期給湯工程において前記水位低下制御を実行した後に、前記給水制御を実行する、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記コントローラは、前記連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで前記濯ぎポンプを作動させる、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項4】
前記コントローラは、前記連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで、前記濯ぎポンプを作動させると共に前記給水弁を閉弁させる、請求項2記載の洗浄機。
【請求項5】
被洗浄物の洗浄に用いられる水を貯留する洗浄タンクを備える洗浄機に水を供給する濯ぎ水供給装置であって、
前記被洗浄物の濯ぎに用いられる水を貯留する濯ぎタンクと、
前記濯ぎタンクに貯留された水を前記被洗浄物が収容された洗浄室に供給する濯ぎポンプと、
前記濯ぎタンクへの水の供給の有無を切り替える給水弁と、
連通孔を介して前記濯ぎタンクに連通すると共に前記濯ぎタンクから浸入する水によって圧力を受ける被検知空間における圧力値を検知することで、前記濯ぎタンクに貯留される水の水位を検知する圧力式の水位検知部と、
前記水位検知部の検知結果に基づいて、前記濯ぎタンクに貯留される水が、前記連通孔よりも上方の所定水位範囲に維持されるように前記給水弁を制御する給水制御を実行するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで前記濯ぎタンクの水位を低下させる水位低下制御を実行する、濯ぎ水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機及び濯ぎ水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄タンクに貯留された水を利用して洗浄室に収容された被洗浄物の洗浄を実行すると共に、濯ぎタンクに貯留された水を利用して洗浄タンクへの初期給湯と被洗浄物の濯ぎとを実行する洗浄機が知られている。このような洗浄機では、定水位と異常な高水位(以下、単に「高水位」と称する。)とを検知する水位検知装置が濯ぎタンクに設けられており、水位検知装置の検知結果に基づいて、濯ぎタンクへの水の供給の有無を切り替える給水弁、濯ぎタンクに貯留された水を洗浄室に供給する濯ぎポンプ、濯ぎタンクに貯留された水を加熱するヒータ等が制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、圧力式の水位検知装置を用いた洗浄機が開示されている。圧力式の水位検知装置が用いられる場合、硬度が高い水質環境においては、スケール付着等の影響を受け難く、フロートスイッチや電極を用いた直接検知式の水位検知装置よりも信頼性が高い。一方、このような圧力式の水位検知装置では、直接検知式の水位検知装置とは異なり、水位に応じて圧力値が変化する被検知空間の圧力値を検知することで間接的に水位を検知しているので、被検知空間が周囲温度の変化による環境要因の影響を受け、水位検知が不安定となる場合がある。
【0005】
水位検知精度が不安定になると、洗浄機において下記のような問題が発生する可能性がある。例えば、周囲温度が高い場合、被検知空間内の空気が影響を受けて空間内の圧力が高圧側へ変化するため、実際には高水位になっていなくても高水位を検知してしまい、給水弁異常を報知する警報が発せられたり、洗浄機の運転が停止されたりして、洗浄機の使い勝手が悪くなる。また、この場合、本来の定水位よりも低い水位を定水位として誤って検知するので、濯ぎポンプが空気を吸い込むといった不具合が生じる。また、上記とは逆に周囲温度が低く圧力が低圧側へ変化した場合、本来の定水位よりも高い水位を定水位として誤って検知するので、濯ぎタンクに貯留される水量が多くなり、ヒータによる昇温に時間がかかる(濯ぎ工程を開始するのに時間がかかる)。また、この場合、濯ぎタンクに貯留される水が高水位に達していたとしても、そのことが検知されないので、オーバーフロー状態が続きオーバーフローパイプから水が廃棄され続ける。このように、水位検知装置における水位検知精度が不安定となり、洗浄機において種々の不具合が生じることとなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、圧力式の水位検知部を用いて濯ぎタンクの水位を検知する場合であっても、安定的に水位検知ができる、洗浄機及び濯ぎ水供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の洗浄機は、洗浄工程と濯ぎ工程とを含む洗浄運転を実行する洗浄機であって、洗浄工程における被洗浄物の洗浄に用いられる水を貯留する洗浄タンクと、濯ぎ工程における被洗浄物の濯ぎに用いられる水を貯留する濯ぎタンクと、濯ぎタンクに貯留された水を前記被洗浄物が収容された洗浄室に供給する濯ぎポンプと、濯ぎタンクへの水の供給の有無を切り替える給水弁と、連通孔を介して濯ぎタンクに連通すると共に濯ぎタンクから浸入する水によって圧力を受ける被検知空間における圧力値を検知することで、濯ぎタンクに貯留される水の水位を検知する圧力式の水位検知部と、水位検知部の検知結果に基づいて、濯ぎタンクに貯留される水が、連通孔よりも上方の所定水位範囲に維持されるように給水弁を制御する給水制御を実行するコントローラと、を備え、コントローラは、連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで濯ぎタンクの水位を低下させる水位低下制御を実行する。
【0008】
本発明の濯ぎ水供給装置は、被洗浄物の洗浄に用いられる水を貯留する洗浄タンクを備える洗浄機に水を供給する濯ぎ水供給装置であって、被洗浄物の濯ぎに用いられる水を貯留する濯ぎタンクと、濯ぎタンクに貯留された水を被洗浄物が収容された洗浄室に供給する濯ぎポンプと、濯ぎタンクへの水の供給の有無を切り替える給水弁と、連通孔を介して濯ぎタンクに連通すると共に濯ぎタンクから浸入する水によって圧力を受ける被検知空間における圧力値を検知することで、濯ぎタンクに貯留される水の水位を検知する圧力式の水位検知部と、水位検知部の検知結果に基づいて、濯ぎタンクに貯留される水が、連通孔よりも上方の所定水位範囲に維持されるように給水弁を制御する給水制御を実行するコントローラと、を備え、コントローラは、連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで濯ぎタンクの水位を低下させる水位低下制御を実行する。
【0009】
この構成の洗浄機及び濯ぎ水供給装置では、水位低下制御によって連通孔の少なくとも一部が水中から露出するので、圧力が検知される被検知空間が大気圧に開放される。これにより、被検知空間の圧力が高水位となったときに検知されるような圧力値に異常に上昇していたとしても大気圧値に戻り、その後、連通孔が水に満たされると、被検知空間の圧力は濯ぎタンクの水位に対応した正常な圧力値となる。すなわち、圧力式の水位検知部を用いて濯ぎタンクの水位を検知する場合であっても、安定的に水位検知ができる。
【0010】
本発明の洗浄機では、洗浄タンクに水が貯留されていない場合に濯ぎタンクから洗浄タンクに水を供給する初期給湯工程を含み、コントローラは、初期給湯工程において水位低下制御を実行した後に、給水制御を実行してもよい。この構成では、電源を投入後すぐに被検知空間内の圧力を正常化することができる。また、濯ぎ工程において水位低下制御を実行すると、洗浄タンクに供給された水は洗浄タンクのオーバーフローパイプから排出されるところ、初期給湯工程は洗浄タンクに水を貯留する過程であるので、オーバーフローパイプから排出されることはない。言い替えれば、初期給湯工程において、濯ぎタンクにおける水位を連通孔が露出するまで低下させたとしても、供給された水は洗浄タンクから排出されることなく、そのまま洗浄タンクに貯留される。したがって、濯ぎ工程において水位低下制御を実行することに比べ、初期給湯時において水位低下制御を実行する場合には、必要以上に濯ぎ水を消費させることがなくなる。
【0011】
本発明の洗浄機では、コントローラは、連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで濯ぎポンプを作動させてもよい。この構成では、簡易な制御によって、連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで濯ぎタンクに貯留される水の水位を下げることができる。
【0012】
本発明の洗浄機では、コントローラは、連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで、濯ぎポンプを作動させると共に給水弁を閉弁させてもよい。この構成では、連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで効率的かつ短時間に濯ぎタンクに貯留される水の水位を下げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、濯ぎタンクの水位を検知する水位検知部として圧力式の水位検知装置を用いる場合であっても、外部環境を起因とする水位の誤検知を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の食器洗浄機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)100について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、説明の便宜のため、
図1において、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ設定した。なお、
図2に示される形状、寸法比率、水位位置は、説明する製品のものと必ずしも一致していない。
【0016】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機100は、洗浄室1Bの前面にドア部15が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。
図1~
図3に示されるように、食器洗浄機100は、本体部1と、ドア部15と、洗浄タンク20と、上側ノズル3と、下側ノズル4と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、コントローラ10と、を備えている。
【0017】
本体部1は、図示しないフレームと、ステンレス鋼製の外装パネル11と、内装パネル2と、を含んで形成されている。外装パネル11は、左右方向における側面を形成する一対の側部パネル11A,11Aと、上部パネル11Bと、上側前部パネル11Cと、下側前部パネル11Dと、後部パネル11Eと、を有している。少なくとも、下側前部パネル11Dは、フレームに対して容易に着脱可能に設けられている。本体部1の下部の四隅には、脚部12が取り付けられている。上側前部パネル11Cには、食器洗浄機100の各種動作を操作でき、食器洗浄機100の状態を表示する操作表示部13が設けられている。
【0018】
操作表示部13は、運転モードや各種設定の入力操作を行う部分である。本実施形態の操作表示部13は、液晶画面とこれを覆う強化ガラス(静電スイッチ)とによって構成されている。作業者は、液晶画面を覆う強化ガラスに触れることによって各種操作が可能となっている。なお、操作表示部13は、各種ボタンやタッチパネルによって構成されてもよいし、本体部1とは別体のリモコン、操作端末等によって構成されてもよい。
【0019】
本体部1の下部領域には、洗浄タンク20と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、を収容する機械室1Aが形成されている。本体部1の上部領域には、食器(被洗浄物)D等がセットされたラックを収容する洗浄室1Bが形成されている。洗浄室1Bは、洗浄タンク20の上方の空間であって、内装パネル2によって構成されている。内装パネル2は、主に、一対の側部パネル2A,2Aと、上部パネル2Bと、後部パネル(図示せず)と、を有している。一対の側部パネル2A,2Aの内面には、ラックを支持するラックレール23が形成されている。本体部1には、食器D等がセットされたラックを洗浄室1Bに出し入れする開口部1Cが形成されている。
【0020】
ドア部15は、開口部1Cの外側に配置されている。ドア部15は、開口部1Cを開閉可能に設けられており、ドア部15が開けられると、開口部1Cの内側の洗浄室1Bが本体部1の外部に開放される。ドア部15は、ドア部15の下端において左右方向に延在する軸を回転軸として回動可能に設けられている。作業者は、ドア部15の上端に設けられた取っ手15Aを手前に倒すことで、洗浄室1Bを開放することができる。
【0021】
洗浄タンク20は、洗浄室1Bの下方に設けられている。洗浄タンク20は、洗浄室1Bに収容された食器D等の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する貯留部22を有する。貯留部22は、側部20cと底部20aとから形成されている。洗浄タンク20には、洗浄水検知部24と、洗浄水ヒータ25Aと、洗浄水温度センサ25Bと、が設けられている。
【0022】
洗浄水検知部24は、貯留部22に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水検知部24は、例えば、貯留部22内の水位が定水位H1を超えている場合にONとなり、定水位H1以下の場合にOFFとなるスイッチである。洗浄水検知部24による検知結果は、コントローラ10によって取得される。後段にて詳述する洗浄ポンプ5は、駆動中に空気を吸い込むと、いわゆるエア噛みを起こして上側ノズル3及び下側ノズル4から洗浄水を噴射できなくなる。一実施形態では、洗浄水検知部24が運転中にOFFになったときに洗浄ポンプ5の稼働を停止することで、洗浄ポンプ5による空気の吸い込みを防止する。
【0023】
洗浄水ヒータ25Aは、殺菌能力及び洗浄能力を向上させるために貯留部22に貯留された洗浄水を加熱する。洗浄水温度センサ25Bは、貯留部22に貯留された洗浄水の温度を検知する。洗浄水温度センサ25Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。洗浄水ヒータ25AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。例えば、洗浄水ヒータ25Aは、洗浄水温度センサ25Bが検知する水温に基づいて洗浄水を所定温度に維持するように、コントローラ10によって制御される。
【0024】
貯留部22の底部20aには、円形状の貫通孔20bが形成されている。貫通孔20bは、ポンプガード26によって覆われている。ポンプガード26は、厚み方向に貫通する複数の長孔が形成された円形の板状部材であって、異物の侵入を防止する。貫通孔20bは、接続部50を介して洗浄ポンプ5に接続されている。接続部50には、貫通孔20bに接続される第一接続孔50aと、本体部1の外部に水を排出する排水管28に接続される排水孔50bと、洗浄ポンプ5に接続される第二接続孔50cと、が形成されている。なお、接続部50は、洗浄ポンプ5を構成するケーシングの一部として洗浄ポンプ5と一体的に構成されてもよいし、洗浄タンク20の貯留部22と洗浄ポンプ5と接続する部材として洗浄ポンプ5とは別に設けられてもよい。
【0025】
洗浄タンク20には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ27が設けられている。オーバーフローパイプ27は、貯留部22において所定水位を超えた水をその上端から流入させて洗浄タンク20の外部に排水し、貯留部22に貯留される洗浄水の水位を規定する。オーバーフローパイプ27の下端は貫通孔20bを覆うバーリング加工されたポンプガード26を通って接続部50に形成された排水孔50bに着脱可能に差し込まれている。オーバーフローパイプ27は、その下端が排水孔50bから抜き取られることで、貯留部22に貯留された洗浄水を、貫通孔20b及び排水孔50bを介して排出することができる。
【0026】
上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられている。上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられた上部支持部21Aに回転自在に設けられている。上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部30を有している。ノズル本体部30には、洗浄タンク20の貯留部22に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔31と、回転中心から洗浄噴射孔31まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔33と、回転中心から濯ぎ噴射孔33まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。上側ノズル3は、洗浄流路32に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路34に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル3には、洗浄流路32に洗浄水を供給する上側洗浄配管58及び濯ぎ流路34に濯ぎ水を供給する上側濯ぎ配管78が接続されている。
【0027】
下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられている。下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられた下部支持部21Bに回転自在に設けられている。下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部40を有している。ノズル本体部40には、洗浄タンク20の貯留部22に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔41と、回転中心から洗浄噴射孔41まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔43と、回転中心から濯ぎ噴射孔43まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。下側ノズル4は、洗浄流路42に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路44に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル4には、洗浄流路42に洗浄水を供給する下側洗浄配管59及び濯ぎ流路44に濯ぎ水を供給する下側濯ぎ配管79が接続されている。
【0028】
食器ラックに並べられた食器Dは、洗浄工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって濯ぎ水が噴射される。
【0029】
洗浄ポンプ5は、機械室1Aに配置されている。洗浄ポンプ5は、食器D等を収容する洗浄室1Bに洗浄タンク20の貯留部22に貯留された洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5は、接続部50を介して貯留部22の洗浄水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5の第一吐出口5aには、上側洗浄配管58が接続されている。上側洗浄配管58は、上側ノズル3に接続されている。洗浄ポンプ5の第二吐出口5bには、下側洗浄配管59が接続されている。下側洗浄配管59は、下側ノズル4に接続されている。
【0030】
濯ぎタンク6は、機械室1Aに配置されている。濯ぎタンク6は、食器D等の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する。濯ぎタンク6には、外部の水源から給水管60を介して水が供給される。給水管60には、ストレーナ60Aが設けられている。給水管60におけるストレーナ60Aの下流側には、給水弁80が設けられている。給水弁80は、給水管60の開閉を行う弁部81と弁部81を駆動する駆動部82とを有し、濯ぎタンク6への水の供給の有無を切り替える。駆動部82の例には、ソレノイドが含まれる。駆動部82は、コントローラ10によって制御される。
【0031】
濯ぎタンク6には、水位検知部62と、オーバーフロー部63と、濯ぎ水ヒータ64Aと、濯ぎ水温度センサ64Bと、が設けられている。
【0032】
水位検知部62は、濯ぎタンク6に貯留された水から受ける圧力に基づいて間接的に濯ぎタンク6に貯留された水の水位を検知する、圧力式の水位検知装置である。水位検知部62は、空気室62Aと、ホース62Bと、圧力検知部62Cと、判定部62Dと、を有している。空気室62Aは、水及び/又は空気を収容可能な空間が形成されたケーシング部材によって構成される。空気室62Aは、定水位H2よりも下方において濯ぎタンク6の側面に形成された連通孔6aを介して濯ぎタンク6に連通可能に設けられる。空気室62Aは、ホース62Bは、内部に空気を収容可能な空間が形成された中空状の長尺部材である。ホース62Bは、空気室62Aを介して濯ぎタンク6に連通可能に設けられる。
【0033】
空気室62Aの水位は、濯ぎタンク6に貯留された水の水位に応じて上下に変動する。本実施形態では、空気室62Aの一部に水が浸入するように構成されており、空気室62Aの全部に水が浸入することはない。そして、濯ぎタンク6に水が貯留されて連通孔6aが塞がれると、空気室62Aにおいて水が浸入していない空間62Aaは、これに連通するホース62Bの内部空間と共に、空気が閉じ込められる密閉空間となる。この密閉空間は、連通孔6aを介して浸入する水の量(濯ぎタンク6の水位)に応じた圧力が作用する空間であり、水位検知部62によって圧力値が検知される被検知空間となる。
【0034】
圧力検知部62Cは、上記密閉空間として形成されるホース62Bの内部空間の圧力値を検知する。より詳細には、連通孔6aを介して空気室62Aに浸入した水から受ける圧力によって変動する空気室62Aに連通するホース62Bの内部空間の圧力値を検知する。判定部62Dは、圧力検知部62Cによる検知結果に基づいて、少なくとも、濯ぎタンク6の水位が定水位H2よりも低い水位である第一水位帯と、高水位H3よりも低く、定水位H2以上の水位である第二水位帯と、高水位H3以上の水位である第三水位帯と、を区別して判定する。判定部62Dによる判定結果は、コントローラ10によって取得される。なお、判定部62Dは、後段にて詳述されるコントローラ10の一部として構成されてもよい。
【0035】
オーバーフロー部63は、濯ぎタンク6において定水位H2よりも高い水位である高水位H3を超えた水を排出する。濯ぎタンク6では、例えば、給水弁80が閉弁異常となったときに、高水位H3を超えて供給された水が排出される。濯ぎタンク6に貯留される水の水位が高水位H3以下の場合には、オーバーフロー部63の開口部は水中から露出しており、外部空間と連通する。したがって、濯ぎタンク6の内部において水がない空間は、大気圧の状態となっていることが通常である。
【0036】
濯ぎ水ヒータ64Aは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ64Bは、濯ぎ水の温度を検知する。濯ぎ水温度センサ64Bの例は、温度の小さな変化に比例して抵抗値が大きく変化する焼結半導体から形成されるサーミスタである。濯ぎ水温度センサ64Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。濯ぎ水ヒータ64AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。
【0037】
上述した濯ぎタンク6、給水弁80、水位検知部62、オーバーフロー部63、濯ぎ水ヒータ64A、濯ぎ水温度センサ64B及びコントローラ10は、洗浄室1Bに濯ぎ水を供給する濯ぎ水供給装置90を構成している。
【0038】
濯ぎポンプ7は、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を取込管77Aを介して取り込み、食器D等を収容する洗浄室1Bに送り出す。より詳細には、濯ぎポンプ7は、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して、洗浄室1Bに濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7の吐出口には、濯ぎ配管77を介して上側濯ぎ配管78と下側濯ぎ配管79とが接続されている。上側濯ぎ配管78は、上側ノズル3に接続されている。下側濯ぎ配管79は、下側ノズル4に接続されている。
【0039】
洗剤供給ポンプ8は、機械室1Aに配置されている。洗剤供給ポンプ8は、洗剤タンク8A内に貯留された洗剤を配管8Bを介して洗浄室1Bに供給する。洗浄室1B内に吐出された洗剤は、貯留部22内に流れ込み、洗浄水と混じり合う。リンス剤供給ポンプ9は、機械室1Aに配置されている。リンス剤供給ポンプ9は、リンス剤タンク9Aに貯留されたリンス剤を配管9Bを介して濯ぎ配管77に供給する。濯ぎ配管77に供給されたリンス剤は、濯ぎ水と混じり合い、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して洗浄室1Bに供給される。
【0040】
コントローラ10は、本体部1における上部パネル11Bと洗浄室1Bを構成する上部パネル2Bとの間に配置されている。コントローラ10は、例えば、濯ぎ水ヒータ64Aや給水弁80の駆動部82等、食器洗浄機100における動作全般を制御する。コントローラ10は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
【0041】
上述した構成の食器洗浄機100では、濯ぎタンク6に貯留された水を洗浄室1Bに供給して、洗浄タンク20に洗浄水を貯留する初期給湯工程を完了した後、洗浄タンク20に貯留された水を上側ノズル3及び下側ノズル4から噴射させることによって被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、濯ぎタンク6に貯留された水を上側ノズル3及び下側ノズル4から噴射させることによって被洗浄物を濯ぐ濯ぎ工程とを一サイクルとする洗浄運転を繰り返す。
【0042】
初期給湯工程は、洗浄タンク20に水が貯留されていない場合に濯ぎタンク6から洗浄タンク20に水を供給する工程である。作業者によって電源が投入され、洗浄タンク20に貯留される水が定水位H1に満たないことが検知されると、コントローラ10は、濯ぎポンプ7を作動させることによって、濯ぎタンク6に貯留された水を洗浄タンク20(洗浄室1B)に供給する。より詳細には、初期給湯工程では、濯ぎポンプ7を駆動させて洗浄タンク20へ水を供給すると、濯ぎタンク6に貯留される水が定水位H2以下となる。濯ぎタンク6に貯留される水が定水位H2以下になると、給水弁80の弁部81が開かれて濯ぎタンク6への給水が開始される。濯ぎポンプ7が所定時間(例えば6秒)駆動すると、その駆動を一旦止める。そして、濯ぎタンク6に貯留された水が定水位H2に到達したことが水位検知部62によって検知されると、再度濯ぎポンプ7を上記の所定時間駆動させる。
【0043】
このような濯ぎポンプ7による駆動を、洗浄タンク20の洗浄水検知部24がONになるまで、又は、予め設定された濯ぎポンプ7の駆動回数に達するまで繰り返す。そして、このような初期給湯工程における濯ぎポンプ7の駆動時間は、濯ぎタンク6から洗浄タンク20に水が供給されたとしても連通孔6aの少なくとも一部が露出する水位まで低下しないような時間(例えば6秒)に設定されている。そのため、初期給湯工程中の濯ぎタンク6内の水位変動は、連通孔6aが露出しない範囲内に収まるようになっている。本実施形態のコントローラ10は、連通孔6aの少なくとも一部が水中から露出するまで濯ぎタンク6の水位を低下させる水位低下制御を実行する。すなわち、コントローラ10は、上述した濯ぎポンプ7の駆動時間を、上記の繰り返し駆動において一度だけ、上記の6秒から連通孔6aの一部が露出するまで水位が低下する長さ(例えば12秒)にまで伸ばしている。
【0044】
コントローラ10は、濯ぎポンプ7を12秒間作動させて、濯ぎタンク6に貯留された水を洗浄室1Bに供給する。濯ぎポンプ7を12秒間作動させたときに濯ぎタンク6から洗浄タンク20に供給される水量は、濯ぎタンク6に貯留される水の水位が、定水位H2から連通孔6aの一部が露出するまで低下させたときの必要低下量以上となるように調整されている。したがって、初期給湯工程において上記の水位低下制御が実行されると、連通孔6aの少なくとも一部が必ず水中から露出するようになる。本実施形態では、水位低下制御が実行されている間は、濯ぎタンク6に水を供給しないように給水弁80を制御する。
【0045】
本実施形態のコントローラ10は、初期給湯工程において上記の水位低下制御を実行した後に、水位検知部62の検知結果(判定部62Dの判定結果)に基づいて濯ぎタンク6に貯留される水が、連通孔6aよりも上方の所定水位範囲に維持されるように給水弁80を制御する給水制御を実行する。例えば、コントローラ10は、水位検知部62の判定部62Dによって、濯ぎタンク6に貯留される水が第一水位帯になった(定水位H2より低くなった)と判定されると、駆動部82を制御して弁部81を開けることにより濯ぎタンク6に水を供給する。コントローラ10は、水位検知部62の判定部62Dによって、濯ぎタンク6に貯留される水が第二水位帯になった(定水位H2以上になった)と判定されると、駆動部82を制御して弁部81を閉じることにより濯ぎタンク6への水の供給を停止する。
【0046】
また、コントローラ10は、水位検知部62の検知結果(判定部62Dの判定結果)に基づいて、濯ぎタンク6の水位(給水弁80)に異常があることを報知する報知制御を実行する。より詳細には、コントローラ10は、水位検知部62の判定部62Dによって、濯ぎタンク6に貯留される水が第三水位帯になった(高水位H3以上になった)と判定されると、操作表示部13を制御して異常警報を発報させる。異常警報の発報の例には、異常があることを示す警告表示を操作表示部13に表示させたり、操作表示部13に警告音を出力させたりすることが含まれる。
【0047】
また、コントローラ10は、濯ぎ水温度センサ64Bが検知する水温に基づいて濯ぎ水を一定範囲(例えば、80℃~85℃)に維持するように濯ぎ水ヒータ64Aを制御する保温制御を実行する。より詳細には、コントローラ10は、濯ぎ水温度センサ64Bが検知する温度が所定温度(例えば、85℃)に到達すると濯ぎ水ヒータ64Aの作動を停止し、また、その後に濯ぎ水温度センサ64Bが検知する温度が所定温度(例えば、80℃)に低下すると再び濯ぎ水ヒータ64Aを作動させる。コントローラ10は、このような保温制御によって、濯ぎタンク6に貯留された水の温度を一定範囲(例えば、80℃~85℃)に維持する。
【0048】
コントローラ10は、上記の初期給湯工程が完了すると、又は初期給湯工程が完了した後で作業者によって洗浄開始ボタンが押下されると、洗浄運転を開始するように各部を制御する。なお、コントローラ10は、上述した水位低下制御、給水制御、報知制御及び保温制御を実行すると共に、下記に示す洗浄運転を実行するための制御を実行する。
【0049】
コントローラ10は、一回の洗浄工程につき、洗浄ポンプ5を40秒間作動させて、洗浄タンク20に貯留された水を洗浄室1Bに供給する。これにより、ノズル本体部30,40が回転して、洗浄噴射孔31,41から食器D全体へまんべんなく噴射されることで、洗浄室1Bに収容された食器D等を洗浄する。次に、コントローラ10は、一回の濯ぎ工程につき、濯ぎポンプ7を6秒間作動させて、濯ぎタンク6に貯留された水を洗浄室1Bに供給する。これにより、ノズル本体部30,40が回転して、濯ぎ噴射孔33,43から食器D全体へまんべんなく噴射されることで、洗浄室1Bに収容された食器D等を濯ぐ。コントローラ10は、濯ぎタンク6に貯留された水の水位が第二水位帯にあるとき、濯ぎポンプ7の作動を開始させる。
【0050】
なお、濯ぎ工程において作動する濯ぎポンプ7の作動時間(6秒)は、水位低下制御における濯ぎポンプ7の作動時間(12秒)よりも短い。したがって、水位低下制御では、定水位H2から連通孔6aの一部が露出するまで水位が下がるところ、濯ぎ工程では、定水位H2から連通孔6aの一部が露出するまで水位が下がることはない。また、初期洗浄において水位低下制御が実行されているときとは異なり、濯ぎ工程では、濯ぎタンク6の貯留量が定水位H2よりも下がれば、濯ぎタンク6に水が供給される。このため、濯ぎポンプ7による供給量が濯ぎタンク6への供給量を上回っていることが条件となるが、初期給湯工程の水位低下制御が実行されたときに比べて濯ぎ工程では、濯ぎポンプ7が作動したときの濯ぎタンク6における水位低下の速度が遅くなる。
【0051】
次に、上記実施形態の食器洗浄機100の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機100の水位検知部62は、通常の大気圧値(すなわち、連通孔6aが露出して被検知空間に水圧がかかってない状態)を基準として、定水位H2、高水位H3等の水位を検知する際の圧力値が決められている。これにより、外的要因の影響を受けて被検知空間の圧力が高くなったり低くなったり変化すると、その基準自体が変化することとなり、決められた圧力値と実際の水位との間にずれが生じることとなる。
【0052】
この点、本実施形態の食器洗浄機100では、水位低下制御によって連通孔6aの少なくとも一部が水中から露出するので、空気室62Aひいては空気室62Aに連通するホース62Bの内部空間(被検知空間)が大気圧に開放される。これにより、ホース62Bの内部空間の圧力が、環境要因の影響を受けて、異常値になっていたとしても大気圧値にリセットされることになる。その後、連通孔6aが水に満たされ、空気室62Aにおいて水が浸入していない空間62Aaとホース62Bの内部空間とからなる被検知空間が再び密閉空間となるが、その被検知空間は、大気圧値を基準とする濯ぎタンク6の水位に対応した正常な圧力値となる。
【0053】
より詳細には、環境要因の影響を受けて、ホース62Bの内部空間が高圧側の異常値となっている場合、高水位H3を検知する頻度が高くなるので、給水弁異常を報知する警報が発せられたり、食器洗浄機100の運転が停止されたりして、食器洗浄機100の使い勝手が悪くなる。また、この場合、本来の定水位H2よりも低い水位を定水位H2として誤って検知するので、濯ぎポンプ7が空気を吸い込むといった不具合が生じる。この点、本実施形態の食器洗浄機100では、上記の水位低下制御によってホース62Bの内部空間の圧力は濯ぎタンク6の水位に対応した正常な圧力値となるので、上述したような不具合が生じることを低減できる。
【0054】
また、環境要因の影響を受けて、ホース62Bの内部空間が低圧側の異常値となっている場合、本来の定水位H2よりも高い水位を定水位H2として誤って検知するので、濯ぎタンク6に貯留される水量が多くなり、濯ぎ水ヒータ64Aによる昇温に時間がかかる(濯ぎ工程を開始するのに時間がかかる)。また、この場合、濯ぎタンク6に貯留される水が高水位H3に達していたとしても、そのことが検知されないので、オーバーフロー状態が続きオーバーフロー部63から水が廃棄され続ける。この点、本実施形態の食器洗浄機100では、上記の水位低下制御によってホース62Bの内部空間の圧力は濯ぎタンク6の水位に対応した正常な圧力値となるので、上述したような不具合が生じることも低減できる。
【0055】
上記実施形態の食器洗浄機100は、業務終了時に洗浄タンク20の水が全て排出されることはあっても、濯ぎタンク6の水が全て排出されるとは限らない、洗浄タンク20と濯ぎタンク6とが別個に存在し、食器Dを濯いだ後の水を洗浄タンク20に回収して、次サイクルの洗浄工程の洗浄水として再利用する業務用の食器洗浄機に多く見られる構成となっている。すなわち、上記実施形態の食器洗浄機100では、家庭用の食器洗浄機に多く見られるように、一回の洗浄運転ごとに給水と排水とを行うことで洗浄と濯ぎとが一つのタンクで行われ、洗浄運転の終了時に貯留されている水が全て排出される構成では生じない課題が、上述した水位低下制御によって解決される。
【0056】
上記実施形態の食器洗浄機100では、初期給湯工程において水位低下制御を実行した後に、給水制御を実行している。この構成では、電源を投入後すぐにホース62Bの内部空間の圧力を正常化することができる。また、濯ぎ工程において水位低下制御を実行すると、洗浄タンク20に供給された水は洗浄タンク20のオーバーフローパイプ27から排出されるところ、初期給湯工程は洗浄タンク20に水を貯留する過程であるので、オーバーフローパイプ27から排出されることはない。言い替えれば、初期給湯工程において、濯ぎタンク6における水位を連通孔6aが露出するまで低下させたとしても、供給された水は洗浄タンク20から排出されることなく、そのまま洗浄タンク20に貯留される。したがって、濯ぎ工程において水位低下制御を実行することに比べ、初期給湯工程において水位低下制御を実行する場合には、必要以上に水を消費(外部に排出)させることがなくなる。
【0057】
上記実施形態の食器洗浄機100では、初期給湯工程の水位低下制御において、連通孔6aの少なくとも一部が水中から露出するまで、濯ぎポンプ7を作動させると共に給水弁を閉弁させてもよい。この構成では、連通孔の少なくとも一部が水中から露出するまで効率的かつ短時間に濯ぎタンク6に貯留される水の水位を下げることができる。
【0058】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0059】
上記実施形態の食器洗浄機100では、連通孔6aの少なくとも一部が露出する水位まで低下しないような時間(例えば6秒)で濯ぎポンプ7の駆動を繰り返す初期給湯工程において、一度だけ、上記の6秒から連通孔6aの一部が露出するまで水位が低下する長さ(例えば12秒)にまで伸ばす水位低下制御が実施される例を挙げて説明したが、濯ぎ工程において、上記の水位低下制御を実施してもよい。この場合は、例えば、電源投入後の最初の濯ぎ工程において水位低下制御を実施してもよいし、濯ぎ工程を所定回数繰り返した後に水位低下制御を実施してもよい。また、変形例として、初期給湯工程において水位低下制御を実行した後に、濯ぎ工程において定期的に水位低下制御を実施してもよい。この場合、例えば、所定回数の濯ぎ工程ごと(例えば濯ぎ工程が100回実行されるごと)に水位低下制御が一回実行されるように設定したり、所定時間ごと(例えば24時間ごと)に水位低下制御が一回実行されるよう設定してもよい。これにより、定期的にホース62Bの内部空間の圧力が大気圧値にリセットされるので、その後のホース62Bの内部空間の圧力を正常化することができる。
【0060】
上記実施形態及び上記変形例の食器洗浄機100では、水位低下制御時には、濯ぎタンク6への水の供給を停止するように給水弁80を制御する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、給水弁80による濯ぎタンク6への水の供給量が、濯ぎポンプ7による洗浄タンク20への水の供給量を上回らないようにすれば、濯ぎタンク6へ水を供給しつつ、水位低下制御を実行することができる。
【0061】
上記実施形態及び上記変形例の食器洗浄機100では、濯ぎタンク6の外側に空気室62Aが配置され、濯ぎタンク6の側面に形成された連通孔6aを介して濯ぎタンク6の水が空気室62Aに浸入する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、空気室62Aを構成すると共に連通孔が形成されたケーシング部材が濯ぎタンク6の内部(水の貯留空間)に配置される構成であっても、連通孔を介して濯ぎタンク6に貯留された水が浸入可能となるので、上記実施形態と同様の水位低下制御によって、ホース62Bの内部空間の圧力が大気圧値にリセットされるので、その後のホース62Bの内部空間の圧力を正常化することができる。
【0062】
上記実施形態及び変形例の濯ぎタンク6の構成に加え、濯ぎタンク6に貯留された水を強制的に排出する排水バルブ又は排水経路を設けてもよい。この場合、上記の水位低下制御を実行するにあたり、上記の排水バルブを用い、連通孔6aが露出するのに十分な時間、バルブを開くようにする。また、空気室62Aにおいて水が浸入していない空間62Aaとホース62Bの内部空間とからなる上述した密閉空間(被検知空間)の圧力値をリセットするために、終業時に排水バルブを開いて連通孔6aを露出させるように構成してもよい。なお、排水バルブの制御は、電源OFF時等に自動で実行されてもよいし、作業者による操作によって実行されてもよい。
【0063】
上記実施形態及び変形例の水位検知部62では、空気室62Aにホース62Bが連通可能に構成されており、圧力検知部62Cがホース62Bの内部空間の圧力値を検知する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、水位検知部62は、空気室62Aに連通されるホース62Bが設けられず、圧力検知部62Cは空気室62Aにおいて水が浸入しないように構成される空間(被検知空間)62Aaの圧力値を検知する構成としてもよい。
【0064】
上記実施形態及び変形例の水位検知部62は、定水位H2と高水位H3との二つの水位を検知することができ、これによって、コントローラ10が、第一水位帯、第二水位帯、第三水位帯を区別して、これらの区別に基づいて各種制御を実行する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、濯ぎタンク6の下から第一定水位と第二定水位と高水位H3との三つの水位を検知する水位検知部62を用いてもよい。この場合、コントローラ10は、第一定水位を検知すると給水弁80の弁部81を開き、第二定水位を検知すると給水弁80の弁部81を閉じるような給水制御を実行してもよい。
【0065】
上記実施形態及び変形例は、本体部1の前面側にドア部15が設けられたタイプの食器洗浄機100に適用するだけでなく、例えば、ドア部が上下に開閉するタイプの食器洗浄機、コンベア等の搬送装置によって一方向に食器等を搬送しながら食器等を洗浄するコンベアタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0066】
上記実施形態及び変形例では、本発明の濯ぎ水供給装置90は、食器洗浄機100に搭載される例を挙げて説明したが、例えば、食器洗浄機100とは別体として構成されるガスブースタに搭載されてもよい。
【0067】
本願発明は、上記実施形態及びその他の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1B…洗浄室、6…濯ぎタンク、6a…連通孔、7…濯ぎポンプ、10…コントローラ、13…操作表示部、20…洗浄タンク、62…水位検知部、62A…空気室、62B…ホース、62C…圧力検知部、62D…判定部、80…給水弁、81…弁部、82…駆動部、90…濯ぎ水供給装置、100…食器洗浄機(洗浄機)、D…食器、H2…定水位、H3…高水位。