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特開2024-139956味付け海苔加工食品及びその製造方法
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  • 特開-味付け海苔加工食品及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139956
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】味付け海苔加工食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
A23L17/60 103A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050915
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】523113803
【氏名又は名称】イェマッ シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Yemat Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】クヲン,ドンヒョク
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LC02
4B019LE09
4B019LK01
4B019LK04
4B019LK06
4B019LK07
4B019LK12
4B019LK18
4B019LP03
4B019LP05
4B019LP16
4B019LP17
(57)【要約】
【課題】 味付け海苔加工食品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 海苔支持層の両面に1次炒め層がそれぞれ積層され、前記1次炒め層の一側上面または両側上面に2次炒め層が積層されて、上から順に、2次炒め層、1次炒め層、海苔支持層、1次炒め層、及び任意の2次炒め層が一体に形成された構造を有し、前記海苔支持層は、岩海苔を含む。本発明によれば、特定の積層構造を有することによって海苔の生臭さが除去され、ぱりぱりとしており、鮮やかな緑色を帯び、海苔特有の風味が維持されるとともに、深い味を出す味付けがされてご飯おかずやお酒おつまみとして用いられることができる味付け海苔加工食品及びその製造方法を効果的に提供することができるという効果が得られる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔支持層の両面に1次炒め層がそれぞれ積層され、前記1次炒め層の一側上面または両側上面に2次炒め層が積層されて、上から順に、2次炒め層、1次炒め層、海苔支持層、1次炒め層、及び任意の2次炒め層が一体に形成された構造を有し、
前記海苔支持層は、岩海苔を含むことを特徴とする味付け海苔加工食品。
【請求項2】
前記1次炒め層は、コーン油と、ゴマ油またはエゴマ油とを体積比で100:20~40で配合した1次1次混合液で提供される特徴とする請求項1に記載の味付け海苔加工食品。
【請求項3】
前記2次炒め層は、塩2~10重量部、砂糖2~17重量部またはその混合物を用いて提供される特徴とする請求項1に記載の味付け海苔加工食品。
【請求項4】
前記海苔支持層は、横縦のサイズがそれぞれ5cm以下である特徴とする請求項1に記載の味付け海苔加工食品。
【請求項5】
前記味付け海苔加工食品は、前記1次炒め層および2次炒め層に、独立して、いりごま、胡麻、すりごま、梅エキス、味醤油、堅果類、干し果物、干し魚、及び干し肉類の中で選ばれた1種以上の調味成分を更に含み、焦げた味と生臭さのないジャバンまたはフレークである特徴とする請求項1に記載の味付け海苔加工食品。
【請求項6】
海苔支持層として用いる岩海苔を砕く段階と、
前記破砕物を油なしで第1温度で炒める素焼き処理段階と、
前記素焼き処理された岩海苔100重量部に、コーン油とゴマ油またはエゴマ油とを体積比で100:20~40で配合した1次混合液を投入して第2温度で炒める炒め過程を1回以上行う段階と、
前記第2温度で炒めた炒め物に100重量部に、塩2~10重量部、砂糖2~17重量部またはその混合物を配合した2次混合液を投入し、第2温度で更に炒めた後に放熱する段階と、を含む味付け海苔加工食品の製造方法。
【請求項7】
海苔支持層として用いる岩海苔を砕く段階と、
前記破砕物を油なしで第1温度で炒める素焼き処理段階と、
前記素焼き処理された岩海苔100重量部に、コーン油とゴマ油またはエゴマ油とを体積比で100:20~40で配合した1次混合液を投入して第2温度で炒める炒め過程を1回以上行う段階と、
前記第2温度で炒めた炒め物に、コーン油とゴマ油を体積比で100:20~40で配合した1次混合液100重量部に、塩2~10重量部、砂糖2~17重量部またはその混合物を配合した2次混合液を投入して、第2温度で更に炒めた後に放熱する段階と、を含む味付け海苔加工食品の製造方法。
【請求項8】
前記海苔支持層として用いる岩海苔は、破砕後、前処理に先立って異物を選別する段階を経る特徴とする請求項6または7に記載の味付け海苔加工食品の製造方法。
【請求項9】
前記第1温度は、80℃±40℃範囲内であり、前記第2温度は、290℃±30℃範囲内であることを特徴とする請求項6または7に記載の味付け海苔加工食品の製造方法。
【請求項10】
前記放熱工程前に、いりごま、胡麻、すりごま、梅エキス、味醤油、堅果類、干し果物、干し魚、及び干し肉類の中で選ばれた1種以上の調味成分を追加し、前記放熱工程を経た炒め物は密封包装する段階を含む特徴とする請求項6または7に記載の味付け海苔加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味付け海苔加工食品及びその製造方法に関し、詳しくは、特定の積層構造を有することによって海苔の生臭さが除去されてぱりぱりとしており、鮮やかな緑色を帯びながら海苔特有の風味が維持されるとともに、深い味を出す味付けがされてご飯おかずやお酒おつまみとして用いられることができる味付け海苔加工食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海苔は、栄養素が豊富で、独特の味と風味を持っているため主にご飯おかずなどに用いられており、とりわけ、海苔ジャバンは、家庭または食堂で主におかずの形態で消費される。
【0003】
干し海苔の場合、100g当たりカロリーは、200Kcal以上となる。
【0004】
生海苔に含まれた3大栄養素は、炭水化物5.1g、脂肪0.3g、タンパク質5.8gであり、特に400mgを超えるロイシンとアスパラギン酸、グルタミン酸、バリンなどが含まれているなど、我々の体内で合成できない必須アミノ酸、その他非必須アミノ酸の大部分が基準値を超えて含有されており、ビタミンの場合も、ビタミンA、その中でもベータカロチンが3.121mg程度含有されるなど、ビタミンとミネラルなどにも富んでいるものと知られている。
【0005】
従来の海苔ジャバンは、主に小さいフレーク粉状に製作されているが、細かい切りくずであるから箸などのツールを用いてつまみにくいという不具合があった。
【0006】
また、海藻類特有の生臭さによって若者に拒否感を与えることができる。
【0007】
したがって、このような不具合を解消し、栄養素が豊富であり風味の良い海苔を、若者の口にも合う味わいと香を持つように加工してご飯おかずだけではなく、お酒おつまみとしても食べられる技術開発が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0046745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の技術の問題点を解決するためになされたものであり、海苔の生臭さが除去されてぱりぱりとしており、鮮やかな緑色を帯び、海苔特有の風味が維持されるとともに、深い味を出す味付けがされてご飯おかずやお酒おつまみとして用いられることができる味付け海苔加工食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の前記目的及びその他の目的は、後述する本発明によって全て達成されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した目的を達成するために、本発明は、
海苔支持層の両面に1次炒め層がそれぞれ積層され、前記1次炒め層の一側上面または両側上面に2次炒め層が積層されて、上から順に、2次炒め層、1次炒め層、海苔支持層、1次炒め層、及び任意の2次炒め層が一体に形成された構造を有し、
前記海苔支持層は、岩海苔を含むことを特徴とする味付け海苔加工食品を提供する。
【0012】
前記海苔支持層は、横縦のサイズがそれぞれ5cm以下であることができる。
【0013】
前記1次炒め層は、コーン油(トウモロコシ胚芽油)と、ゴマ油またはエゴマ油とを配合した1次混合液で前記海苔支持層の両面にそれぞれまたは同時に提供されることができる。
【0014】
前記1次混合液は、コーン油(トウモロコシ胚芽油)と、ゴマ油またはエゴマ油とを100:20~40の体積比で配合したものであることができる。
【0015】
前記2次炒め層は、前記1次炒め層の一側上面、または両側上面に、塩2~10重量部、砂糖2~17重量部またはその混合物で提供されることができる。
【0016】
前記2次炒め層は、前記1次炒め層の一側上面、または両側上面に前記1次混合液に塩、砂糖またはその混合物を配合した2次混合液でそれぞれまたは同時に提供されることができる。
【0017】
前記2次炒め層は、前記1次炒め層の一側上面、または両側上面に前記1次混合液100重量部に、塩2~10重量部、砂糖2~17重量部またはその混合物を配合した2次混合液でそれぞれまたは同時に提供されることができる。
【0018】
前記2次炒め層は、前記1次炒め層の一側上面、または両側上面に、塩、砂糖またはその混合物を直接投入して提供されることができる。
【0019】
前記1次炒め層および2次炒め層は、必要な場合、いりごま、胡麻、すりごま、梅エキス、味醤油、堅果類、干し果物、干し魚、及び干し肉類の中で選ばれた1種以上の調味成分を更に含むことができる。
【0020】
前記調味成分は、前記1次混合液または前記2次混合液100重量部当たり5~10重量部で含まれることができる。
【0021】
前記堅果類は、例えば、ピーナッツ、ピスタチオ、カシューナッツ、くるみ、松の実、カボチャの種及びひまわりの種の中で選ばれた1種が挙げられる。
【0022】
前記干し果物は、例えば、ブルーベリー、ストロベリー、ぶどう、チェリー、マンゴー、リンゴ、梨及び柿の中で選ばれた1種以上の干し果物が挙げられる。
【0023】
前記干し魚は、イワシ、ニシン、サンマ、及び海老の中で選ばれた1種以上の干し物であることができる。
【0024】
前記干し肉類は、牛肉、豚肉、鶏肉及び鴨肉の中で選ばれた1種以上の干し物であることができる。
【0025】
前記味付け海苔加工食品は、焦げた味と生臭さのないジャバンまたはフレークであることができる。
【0026】
また、本発明は、
海苔支持層として用いる岩海苔を砕く段階と、
前記破砕物を油なしで第1温度で炒める素焼き処理段階と、
前記素焼き処理された岩海苔を、コーン油とゴマ油またはエゴマ油とを配合した1次混合液をもって第2温度で炒める過程を1回以上行う段階と、
前記第2温度で炒めた炒め物に、塩、砂糖またはこれらの混合液を加えながら第2温度で炒める段階と、を含む味付け海苔加工食品製造方法を提供する。
【0027】
前記第2温度で炒める段階を行った後、放熱する段階を含むことができる。
【0028】
前記放熱工程前に、いりごま、胡麻、すりごま、梅エキス、味醤油、堅果類、干し果物、干し魚、及び干し肉類の中で選ばれた1種以上の調味成分を追加し、前記放熱工程を経た炒め物は密封包装することができる。
【0029】
前記調味成分は、前記1次混合液または前記2次混合液100重量部当たり5~10重量部で含まれることができる。
【0030】
前記第1温度は、80℃±40℃範囲内であることができる。
【0031】
前記第2温度は、290℃±30℃範囲内であることができる。
【0032】
前記海苔支持層として用いる岩海苔は、破砕後、前処理に先立って異物を選別する段階を経ることができる。
【0033】
前記砕く岩海苔は、異物選別段階を前もって経てもよい。
【0034】
前記異物選別段階は、磁気バーを用いて金属性異物を取り除いて、自動色彩選別機によって海の浮遊物を除去した後、肉眼で異物を選別する段階を順次に行うことができる。
【0035】
前記塩、砂糖、またはその混合物は、前記1次混合液に配合されて提供されるか、あるいは1次混合液の投入と同時に若しくは順次に提供されることができる。
【0036】
前記塩の使用量は、前記1次混合液100重量部に対して2~10重量部、2~8重量部、または3~8重量部の範囲内であることができる。
【0037】
前記砂糖の使用量は、前記1次混合液100重量部に対して2~17重量部、5~17重量部、8~16重量部、または2~9重量部の範囲内であることができる。
【0038】
前記調味段階を経た炒め物は、放熱段階を経た後密封包装する後処理段階を行うことができる。
【0039】
得られた密封包装物は、X-ray検出器で更なる異物検出を行う段階と、重量選別機によって目標重量の107%以上重量である密封包装物を選別する段階と、アルミ箔・缶包材用金属検出機(いわゆる「アルスキャン」)によって金属性異物を検出する段階などの多様な後処理段階の中で必要な段階を少なくとも1つ以上更に行うことができる。
【0040】
さらに、本発明は、
海苔支持層として用いる岩海苔を砕く段階と、
前記破砕物を油なしで第1温度で炒める素焼き処理段階と、
前記素焼き処理された岩海苔100重量部に、コーン油とゴマ油またはエゴマ油とを体積比で100:20~40で配合した1次混合液を投入して第2温度で炒める炒め過程を1回以上行う段階と、
前記第2温度で炒めた炒め物に、コーン油とゴマ油を体積比で100:20~40で配合した1次混合液100重量部に、塩2~10重量部、砂糖2~17重量部またはその混合物を配合した2次混合液を投入し、第2温度で更に炒めた後に放熱する段階と、を含む味付け海苔加工食品の製造方法を提供する。
【0041】
また、本発明は、
海苔支持層として用いる岩海苔を砕く段階と、
前記破砕物を油なしで80℃±40℃で炒める素焼き処理段階と、
前記素焼き処理された岩海苔を、コーン油とゴマ油またはエゴマ油とを配合した1次混合液をもって290℃±30℃で炒める過程を1回以上行う段階と、
前記炒め物に、塩、砂糖またはこれらの混合液を加えながら290℃±30℃で炒める段階と、を含み、
前記第1混合液または第2混合液は、いりごま、胡麻、すりごま、梅エキス、味醤油、堅果類、干し果物、干し魚、及び干し肉類の中で選ばれた1種以上の調味成分を含むことを特徴とする味付け海苔加工食品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、味付け海苔加工において、特定の積層構造を有することによってぱりぱりとしており、海苔特有の風味が維持されるのみならず、深い味を出す味付けがされてご飯おかずやお酒おつまみとして用いられることができる。
【0043】
また、海苔特有の生臭さが除去されて高温で炒めても焦げた味がして風味を害しないながらも鮮やかな緑色を帯びるように加工する方法を提供することができるという効果がある。
【0044】
ひいて、適宜な2段階の炒め過程および放熱段階を経ることにより、栄養素、特に海苔に豊かなベータカロチンをはじめとするビタミンAを活性化させたという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明で用いる岩海苔(最左側図)を含めて、ありふれた5種の海苔の断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をより詳細に説明する。
【0047】
本明細書及び請求範囲で使われた用語や単語は、通常的または辞書的な意味で限定して解釈されてはならなく、本発明者は本発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという点に鑑み、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0048】
本記載の用語「炒め層」は、異なる意味で特定しない限り、炒め処理によって形成された層であって、処理対象である海苔支持層を構成する岩海苔の内外部に形成されたコーティング層を指す。
【0049】
本記載の用語「加工食品」は、異なる意味で特定しない限り、ジャバンまたはフレークを指す。
前記ジャバンは、海苔などの海草を加工しておかずやおつまみとするものをいい、様々な料理法が知られている。
【0050】
本発明者らは、味付け海苔加工において、特定の積層構造を有するように適宜な2段階の炒め過程を経る場合、ぱりぱりとしており海苔特有の生臭さは除去されながら風味が維持されるだけでなく、鮮やかな緑色を帯びており、特に海苔に豊かなベータカロチンをはじめとするビタミンAを活性化させることができることを確認し、鋭意研究を重ねた結果、本発明の完成に至った。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、海苔支持層の両面に1次炒め層がそれぞれ積層され、前記1次炒め層の一側上面または両側上面に2次炒め層が積層され、上から順に、2次炒め層、1次炒め層、海苔支持層、1次炒め層、及び任意の2次炒め層が一体に形成された構造の味付け海苔加工食品が提供される。
【0052】
次に、本発明の一実施態様による味付け海苔加工食品及びその製造方法を詳しく説明する。
【0053】
本発明の一実施態様による味付け海苔加工食品は、海苔支持層の両面に1次炒め層がそれぞれ積層され、前記1次炒め層の一側上面または両側上面に2次炒め層が積層されて一体に形成された構造で提供される。
【0054】
図1に、よく見受けられる5種の海苔の断面を示した。
【0055】
左側から岩海苔、在来海苔、青海藻、キンパ用海苔、コプチャン海苔を示しており、本発明によれば、前記海苔支持層は、岩海苔を含むことができる。
【0056】
前記岩海苔は、岩上に生える海苔で作って、組職が疎らで粗いという特徴を有し、カリッとした歯ごたえが良くて焼き物用として多く使用する。
【0057】
前記岩海苔は、生海苔または干し海苔として使用可能であり、必要によって、青海藻をさらに含むことができる。
【0058】
前記青海藻は、図1の中央(左側から三番目)に位置したものであって、海苔に青海藻を混ぜ合わせて岩海苔よりはやや明るい緑色を帯びるようになり、一例として海苔と青海藻とを約7:3の重量比で混ぜ合わせて作る。
【0059】
青海藻特有のほろ苦くかつ独特の香りが良く、無機質、カルシウム、鉄分の含量に優れているという特徴を持つ。
【0060】
残りの在来海苔、キンパ用海苔、コプチャン海苔は、図1の左側から二番目、四番目、五番目に位置したものであって、在来海苔は、紫色で且つ葉が放射状に広がる柄の海苔で作って、明るい色を帯びて柔らかい味の特徴を持つ。
【0061】
前記キンパ用海苔は、正式名称であるピョンギム(韓国語発音)とも呼ばれ、キンパを巻くとき破れることがないように、幾重にも重ねてなり、厚く強くて濃い黒い色を帯びる。
【0062】
前記コプチャン海苔は、オニアマノリで作られ、豚の小腸(これを韓国語でコプチャンと呼ぶ)に似ている模様に由来して命名されたものであって、生産可能な期間が短く、気難しい栽培法のため、少量生産される。
【0063】
前記1次炒め層は、コーン油(トウモロコシ胚芽油)とゴマ油またはエゴマ油とを配合した1次混合液を用いて前記海苔支持層の両面にそれぞれまたは同時に提供されることができる。
【0064】
この時、海苔支持層は、海苔支持層として用いる岩海苔を砕いて得られた破砕物を油なしで第1温度で炒める素焼き処理を経たものを用いることができる。
【0065】
前記コーン油(トウモロコシ胚芽油)とゴマ油またはエゴマ油とは、100:20~40の体積比(コーン油:ゴマ油またはエゴマ油)、100:25~38の体積比(コーン油:ゴマ油またはエゴマ油)、または100:27~33の体積比(コーン油:ゴマ油またはエゴマ油)で配合してもよく、この場合、海苔の風味を極大化させることができる効果が得られるとともに、海苔に含まれたビタミンA、特にベータカロチンを十分に活性化させることができるという効果が得られる。
【0066】
前記コーン油(トウモロコシ胚芽油)、ゴマ油、エゴマ油は、市販品を使用することができる。
【0067】
前記2次炒め層は、塩、砂糖またはその混合物を用いて前記1次炒め層の一側上面または両側上面にそれぞれまたは同時に提供されることができる。
【0068】
前記塩、砂糖またはその混合物は、直接提供されてもよく、若しくはコーン油(トウモロコシ胚芽油)とゴマ油またはエゴマ油とを配合した1次混合液に配合させてなる2次混合液を用いて提供されてもよい。
【0069】
前記コーン油(トウモロコシ胚芽油)とゴマ油またはエゴマ油とは、100:20~40の体積比(コーン油:ゴマ油またはエゴマ油)、100:25~38の体積比(コーン油:ゴマ油またはエゴマ油)、または100:27~33の体積比(コーン油:ゴマ油またはエゴマ油)で配合してもよく、この場合、海苔の風味を極大化させることができる効果が得られるとともに、海苔に含まれたビタミンA、特にベータカロチンを十分に活性化させることができるという効果が得られる。
【0070】
前記コーン油(トウモロコシ胚芽油)、ゴマ油、エゴマ油は、市販品を使用することができる。
【0071】
前記1次炒め層および2次炒め層は、必要な場合、いりごま、胡麻、すりごま、梅エキス、味醤油、堅果類、干し果物、干し魚、及び干し肉類の中で選ばれた1種以上の調味成分をさらに含むことができる。
【0072】
前記調味成分は、前記1次混合液または前記2次混合液100重量部に5~10重量部で含まれることができる。
【0073】
前記堅果類は、例えば、ピーナッツ、ピスタチオ、カシューナッツ、くるみ、松の実、カボチャの種、及びひまわりの種の中で選ばれた1種が挙げられる。
【0074】
前記干し果物は、例えば、ブルーベリー、ストロベリー、ぶどう、チェリー、マンゴー、リング、梨、及び柿の中で選択された1種以上の干し果物が挙げられる。
【0075】
前記干し魚は、イワシ、ニシン、サンマ、及び海老の中で選ばれた1種以上が乾燥したことであることができる。
【0076】
前記干し肉類は、牛肉、豚肉、鶏肉及び鴨肉の中で選ばれた1種以上の干し物であることができる。
【0077】
前記味付け海苔加工食品は、焦げた味と生臭さのないジャバンまたはフレークであることができる。
【0078】
ここで、フレークとは、シリアル製品でよく使用するフレークスを指すことができ、あるいは野菜と肉、海産物の切れ端などが入っているかやく形態を指称することもできる。
【0079】
前記味付け海苔加工食品は、含水量が1~2%であるものであることができる。前述した範囲を外れる場合、たとえば、海苔特有の生臭さがしたり、湿気って噛み応えが劣ったりすることができる。
【0080】
前記含水量は、本発明の属する技術分野で一般に使用する多様な方法を用いて測定することができ、具体的な例として、Karl-Fisher法や水の電気的特性を利用して水分を自動で測定するMoisture Analyzer(Dupont903)方法を利用して測定することができる(測定単位:重量%)。
【0081】
前記調味海苔加工食品100g内に含まれたベータカロチン含量は、たとえば7mg以上、具体的に7.5mg以上、または7.7mg以上であることができる。
【0082】
本発明の一実施態様による味付け海苔加工食品の製造方法は、海苔支持層として用いる岩海苔を破砕する。
【0083】
前記岩海苔は異物を選別する段階を前もって行ってもよい。
【0084】
前記異物選別段階は、例えば、金属性異物除去段階、海の浮遊物除去段階、そして肉眼選別段階の中で必要な1種以上を選択して行うことができ、食品衛生管理の次元で、前述した3種段階ともを経た方がより望ましい。
【0085】
具体的に、前記金属性異物除去段階は、例えば、磁気バーを用いることができ、金属性異物の中で鉄粉を取り除くことができる。
【0086】
前記海の浮遊物除去段階は、例えば、自動色彩選別機をはじめとして光学選別機を用いて木の葉、網などの海の浮遊物を取り除くことができる。
【0087】
前記肉眼選別段階は、手作業で念入りに異物を取り除くことができる。
【0088】
前記破砕サイズは、必要によって選定可能であり、例えば、横縦サイズ0.1cm×0.1cm~5cm×5cmになるように破砕することができ、具体的には、1cm×1cm~4cm×4cm、または2cm×2cm~2cm×3cmになるように破砕することができる。
【0089】
前記サイズに破砕すると、おかずまたはおやつ用として簡便に一口または二口で食べられる。
【0090】
前記破砕物を油なしで炒める素焼き処理段階を経る。
【0091】
このような素焼き処理は、80℃±40℃、80℃±35℃、または80℃±30℃の範囲内に行うことができ、海苔固有の風味は保ちつつ、水分だけをゆっくりと乾すように低い温度(例えば、80℃付近または110℃付近)でゆっくり素焼きすることが望ましい。
【0092】
前記温度(以下、第1温度ともいう)での素焼き時間は、最小5分以上、最大10分以下でゆっくりと行うことが、海苔の風味は保ちつつ水分だけを十分に蒸発させることができるので望ましい。
【0093】
このような素焼き処理によって海苔が持っている含水量12~14%を、2%以下、または1~2%に徐々に減らすことができるが、この程度に減らさないと、後述する2段階に亘った炒め段階で用いる油が塊になってしまって海苔固有の風味を害する問題を予防することができない。
【0094】
前述の素焼き処理された岩海苔100重量部に、ゴマ油とコーン油との混合液を重量部50~150重量部、70~130重量部、85~115重量部、または90~110重量部で投入して昇温されたン温度条件下で炒める段階を経る。
【0095】
前記炒め段階は、1回以上行うことができる。
【0096】
海苔が後述する2次炒め段階で用いる調味成分の接着力を強化し、風味を十分に発現し得るように、前記炒め段階を2回~5回繰り返すことができる。
【0097】
ここで、昇温された温度(以下、「第2温度」ともいう)は、290℃±30℃の範囲内であることができるが、当該温度が260℃未満であれば水分が乾さなくて黒い色を帯び、海苔の生臭さが加えられ、320℃超えであれば、海苔の水分が全て蒸発されてしまい、焦げた匂いがするので望ましくない。
【0098】
前記第2温度は、具体的には、290℃±20℃範囲内であってもよく、望ましくは、290℃±10℃範囲内であってもよい。
【0099】
前記第2温度での炒め時間は、15分以下、5分~15分、または10分~15分間行うことが、1次炒めの効果を極大化することができるので望ましい。
【0100】
前記コーン油(トウモロコシ胚芽油):ゴマ油またはエゴマ油、前述した体積比、すなわち100:20~40の体積比などで配合することができ、この場合、接着効果を奏する同時に海苔に含まれたビタミンA、特にベータカロチンを十分に活性化させる効果を奏することができる。
【0101】
次いで、前記第2温度で炒めた炒め物に、塩2~10重量部、砂糖1~9重量部またはその混合物を投入した後、放熱する段階を経る。該段階によって、後述する2次炒め段階で用いる調味成分の接着力を強化して海苔の風味を十分発現させることができる。
【0102】
前記塩の使用量は、前記炒め物100重量部に対して2~10重量部、2~8重量部、または3~8重量部の範囲内であることができる。
【0103】
前記砂糖の使用量は、前記炒め物100重量部に対して2~17重量部、5~17重量部、8~16重量部、または2~9重量部の範囲内であることができる。
【0104】
この時、前記塩および砂糖の使用量は、炒め物100重量部の代わりに、海苔支持層として用いた岩海苔100重量部を基準としても構わない。
【0105】
前記塩及び砂糖は、それぞれ投入してもよく、前記1次混合液に混合して投入してもよい。
【0106】
前記塩の使用量は、前記1次混合液100重量部に対して2~10重量部、2~8重量部、または3~8重量部の範囲内であることができる。
【0107】
前記砂糖の使用量は、前記1次混合液100重量部に対して2~17重量部、5~17重量部、8~16重量部、または2~9重量部の範囲内であることができる。
【0108】
前記放熱段階は、室温条件の下で行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0109】
前記放熱段階を経た炒め物は、密封包装する後処理段階を行うことができる。
【0110】
前記密封包装は、市販の密封包装機を用いて行うことができる。
【0111】
得られた密封包装物は、更なる異物検出段階、密封包装物選別段階、並びに金属性異物最終検出段階など、色々な後処理段階のうち必要な段階をさらに行うことができる。
【0112】
前記追加異物検出段階は、例えば、X-ray検出器などを用いて追加で確認される異物があるどうかか検出することができる。このとき、確認される異物としては、金属や石のような密度の高い異物が挙げられる。
【0113】
前記密封包装物選別段階は、例えば、重量選別機によって目標重量の100~110重量%である密封包装物を選別する段階にあたる。
【0114】
前記金属性異物最終検出段階は、例えば、アルミ箔・缶包材用金属検出機などを通じて追加で確認される微細な金属性異物を検出することができ、具体的な例としては、アルミニウム(SUS)または鉄(Fe)などが挙げられる。
【0115】
なお、本発明の味付け海苔加工は、回転形態の炒め機を用いて行うことが、加工の便利性と均一性などの効果が得られるので望ましい。
【0116】
本記載の味付け海苔加工食品を説明するにおいて、明示的に記載されていない他の条件や装備などは、当業界で通常実施される範囲内で適宜選択することができ、特に限定されないことを明らかにする。
【0117】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態で具現されることができ、ここで説明するこれらの実施例に限定するものではない。
【実施例0118】
実施例1
岩海苔450kgを用意して破砕機によって横2cm、縦3cmのサイズに破砕した。
【0119】
破砕された岩海苔は、磁気バーに接触させて金属性異物の中で鉄粉を取り除き、次いで、光学選別機によって木の葉、網などの海の浮遊物の異物が混入しないように自動色彩選別機を活用して自動で異物を選別した。
【0120】
前記海の浮遊物異物が除去されたジャバン用岩海苔をもう一度手作業で選別した。
【0121】
以上のような方式で異物が選別された岩海苔を炒め機に投入し、油なしで110℃で5分間加熱及び攪拌して水分を取り除いた。当該処理前の12%~14%の含水量であったものを2%内外まで低減させた。
【0122】
しかるのち、コーン油(トウモロコシ胚芽油)520リットルとゴマ油186リットルとを配合した混合液を、前記炒め機内へあらかじめ処理しておいた岩海苔に投入した。
【0123】
前記炒め機を290℃で15分間加熱及び攪拌して1次炒め処理を行い、海苔支持層(前記岩海苔にあたる)の内部および両面に1次炒め層を形成した。
【0124】
引き続き、塩34kgと砂糖68kgを、前記炒め機内へ処理しておいた岩海苔に投入した。
【0125】
前記炒め機を290℃で15分間加熱及び攪拌して2次炒め処理を行い、前記1次炒め層の上面に2次炒め層を形成した。
【0126】
前記2次炒め層を形成後、攪拌機から取り出して放熱過程を経てから一定量ずつアルミニウム包装紙に投入して密封処理し、X-ray検出器で金属や石のような密度の高い異物があるどうかを確認した上で、重量選別機によって目標重量の100~110重量%である密封包装物を選別した。
【0127】
得られた密封包装物を、アルミ箔・缶包材用金属検出機を用いてステンレス(SUS)または鉄(Fe)などの微細な金属性異物があるか否を最終的に確認した。
【0128】
実施例2
前記実施例1と同様な工程を繰り返すが、前記実施例1の1次炒め段階および2次炒め段階で胡麻をそれぞれ151kgずつ使用したことを除き、前記実施例1と同様な工程を繰り返して味付け海苔加工製品を得た。
【0129】
実施例3
前記実施例1と同様な工程を繰り返すが、前記実施例1の1次炒め段階および2次炒め段階で使用したゴマ油を、それぞれエゴマ油に代えたことを除き、前記実施例1と同様な工程を繰り返して味付け海苔加工製品を得た。
【0130】
比較例
前記実施例1と同様な工程を繰り返すが、異物が選別された岩海苔を炒め機に投入して油なしで素焼きする段階で使用した290℃±30℃の温度及び5分の処理時間条件を、340℃±30℃で15分間加熱及び攪拌して水分を除去したことを除き、前記実施例1と同様な工程を繰り返して味付け海苔加工製品を得た。
【0131】
比較例2
前記実施例1と同様な工程を繰り返すが、前記実施例1の1次炒め段階および2次炒め段階で使用したコーン油(トウモロコシ胚芽油)を、それぞれオリーブ油に代えたことを除き、前記実施例1と同様な工程を繰り返して味付け海苔加工製品を得た。
【0132】
比較例3
前記実施例1と同様な工程を繰り返すが、前記実施例1の1次炒め段階および2次炒め段階で使用したゴマ油とコーン油(トウモロコシ胚芽油)の使用量を変えて、コーン油を過量使用したことを除き、前記実施例1と同様な工程を繰り返して味付け海苔加工製品を得た。
【0133】
比較例4
前記実施例1と同様な工程を繰り返すが、1次炒め段階を行うことなく2次炒め段階だけを行ったことを除き、前記実施例1と同様な工程を繰り返して味付け海苔加工製品を得た。
【0134】
前述の実施例1~3、比較例1~比較例4でそれぞれ得た味付け海苔加工食品に対して、官能検査とともにベータカロチン含量をそれぞれ測定して、その結果値を下記表に示した。
【0135】
前記官能検査は、実施例1~2、比較例1でそれぞれ得られた味付け海苔加工食品をランダムに配列してブラインドテストで遂行した。
【0136】
官能検査要員は、総20人であり、20代の会社員10人と、30代の会社員10人とで構成した。
官能検査要員は、各評価項目に対して1~5点の間で評価等級を付与し、1等級の場合味が悪いか評価が悪いことを、そして5等級の場合、味が良いか評価が良いことを意味する。当該官能検査の結果を下記表1に示した。
【0137】
また、ベータカロチン含量(試料100g内のmg)は、SGS機関(韓国エスジエス(株)、ベータカロチン試験を依頼、分析結果の入手日:2023年2月13日)に依頼して得た結果を、下記表1に一緒に示した。
【0138】
【表1】
【0139】
前記表1に示したように、本発明の実施例1~実施例2による積層構造を有する味付け海苔加工食品は、比較例1に比べて食感に優れており、ベティカロティム含量が高く形成されて製品が改善されたものと現われた。
【0140】
特に、ベータカロチン含量の場合、比較例1対比実施例1の場合、22.p%以上改善されたことを確認することができた。
【0141】
また、コーン油をオリーブ油に代替した比較例2の場合、実施例1対比岩海苔内面の異臭がそそられて、摂取に適していないことが分かった。
【0142】
また、コーン油を適切な範囲から外れた過量使用し、ゴマ油を適切な範囲から外れた少量で使用した比較例3の場合、すなわちトウモロコシ胚芽油の含量を高くしゴマ油の含量を低くすれば、香味が足りないことが分かった。
【0143】
ひいて、1次炒め段階を行わず2次炒め段階のみを行った比較例4の場合、すなわち1次炒め段階を経ないと、パリパリ感が足りないことが分かった。
【0144】
結論的に、味付け海苔加工において特定の積層構造を有しながら遂行した2段階の炒め過程は、パリパリとしながら海苔特有の風味が維持されるのみならず、海苔特有の生臭さが除去され、高温で炒めても焦げた味がして風味を害しないことなく、かつ鮮やかな緑色を帯びるのみならず、栄養素、特に海苔に豊かなベータカロチンをはじめとするビタミンAを十分に活性化させることができるので、味付け海苔加工食品に適することを確認することができた。
図1