(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139960
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】製造支援システム、製造支援プログラム、制御方法、及び端末装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050920
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】505191168
【氏名又は名称】株式会社ミスミ
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】中尾 一翔
(72)【発明者】
【氏名】松本 康裕
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含む部品データを自動的に生成して、サプライヤが溶接箇所を決定する手間を省く。
【解決手段】製造支援システム100は、溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データD3であって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信する製造支援システムであって、前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所WAを指定する指定オブジェクトSOを含むように、前記部品データを生成するデータ生成手段22Bと、生成された前記部品データを前記サプライヤに送信する送信手段22Cとを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信する製造支援システムであって、
前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成するデータ生成手段と、
生成された前記部品データを前記サプライヤに送信する送信手段とを備える、製造支援システム。
【請求項2】
前記データ生成手段は、前記物品のモデルデータに基づいて前記部品データを生成し、
前記指定オブジェクトは、前記モデルデータには含まれておらず、且つ前記部品データによって表される前記幾何学的形状の一部として寸法が設定されている、請求項1に記載の製造支援システム。
【請求項3】
前記部品データは、前記溶接箇所の始点及び終点を示すように、前記幾何学的形状の一部として複数の前記指定オブジェクトを含み、
前記複数の前記指定オブジェクトのそれぞれは、形状及び/又は少なくとも一部の寸法が同じである、請求項1又は2に記載の製造支援システム。
【請求項4】
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信し、コンピュータを備える製造支援システムの製造支援プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成するデータ生成手段と、
生成された前記部品データを前記サプライヤに送信する送信手段として機能させる、製造支援プログラム。
【請求項5】
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信し、コンピュータを備える製造支援システムの制御方法であって、
前記コンピュータに、
前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成させ、
生成された前記部品データを前記サプライヤに送信させる、制御方法。
【請求項6】
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データを取得する取得手段と、
取得された前記部品データに基づいて前記部品の図面データを生成する図面生成手段とを備え、
前記部品データは、前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含んでいる、端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品データをサプライヤに送信する製造支援システムと、当該製造支援システムの製造支援プログラム及び制御方法と、部品データに基づいて図面データを生成する端末装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板金加工作業の見積もり作成方法が開示されている。当該作成方法においては、発注者から3次元CADで製品をモデリングした3次元CADデータを受け取る。そして、立体姿図を参照して、製品を分割して複数の部品にする。また、複数に分割された部品毎に展開図が作成される。さらに、溶接費を算出する場合、複数の部品に分割された立体姿図を読み込み、溶接面を指示して、溶接長さの算出が行われる。
【0003】
特許文献2には、板金設備商品販売システムが開示されている。当該システムにおいては、CAD図面等の設計データを受信して、立体姿図を作成する。そして、立体姿図を部品の立体姿図に分割し、部品の立体姿図を参照して、展開図が作成される。さらに、製品の部品加工が可能か否かを判断し、全ての部品加工が可能であると判断したとき、溶接箇所を抽出して加工方法の検討が行われる。
【0004】
特許文献3には、溶接ロボットを含むロボットシステムが開示されている。当該システムにおいては、ディスプレイ画面上に表示された三次元CADデータのワーク図形を基に、溶接ロボットで溶接を行う溶接線が自動的に選定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-203007号公報
【特許文献2】特開2005-157820号公報
【特許文献3】特開2010-184278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザが溶接によって接合される複数の部品を含む物品をサプライヤへ注文する場合、注文を受けたサプライヤは、図面を見て溶接箇所を決めてから製造を行う。そのため、注文を受けてから物品の製造を開始するまでに大幅な時間が必要となってしまう。そこで、迅速に溶接箇所を決定して、物品の製造を開始することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る製造支援システムは、溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信する製造支援システムであって、前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成するデータ生成手段と、生成された前記部品データを前記サプライヤに送信する送信手段とを備える。
【0008】
また、他の一態様に係る製造支援プログラムは、溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信し、コンピュータを備える製造支援システムの製造支援プログラムであって、前記コンピュータを、前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成するデータ生成手段と、生成された前記部品データを前記サプライヤに送信する送信手段として機能させる。
【0009】
また、他の一態様に係る制御方法は、溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信し、コンピュータを備える製造支援システムの制御方法であって、前記コンピュータに、前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成させ、生成された前記部品データを前記サプライヤに送信させる。
【0010】
また、他の一態様に係る端末装置は、溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データを取得する取得手段と、取得された前記部品データに基づいて前記部品の図面データを生成する図面生成手段とを備え、前記部品データは、前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含んでいる。
【発明の効果】
【0011】
これにより、溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含む部品データを自動的に生成して、サプライヤが溶接箇所を決定する手間を省き、迅速に物品の製造を開始できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置若しくは方法の構成、又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。なお、以下の説明において、識別情報は、識別対象を一意に識別する情報である。一例として、識別情報は、文字、数字、及び記号等によって構成されている。
【0014】
図1は、溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データD3(
図2)を、サプライヤに送信する製造支援システム100を示している。この部品データD3は、それぞれの部品の幾何学的形状を表す。なお、物品は、物品自体が一つのまとまった機能を有する完成品であってもよいし、完成品に組み込まれる一つの物品であってもよい。さらに、物品は、複数の部品から構成されており、ユニット、治具、装置、及び設備を含む。
【0015】
製造支援システム100は、製造支援サーバを含むサーバ20を備えたネットワークシステム、又はクライアントサーバシステムとして構成されている。サーバ20は、サーバ装置として機能し、例えば複数のコンピュータとしてのサーバユニット21が組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されている。ただし、単一のサーバユニット21によりサーバ20が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にサーバ20が構成されてもよい。
【0016】
サーバ20は、サプライヤが使用するサプライヤ端末30に対して部品データD3を送信することによって、部品データD3をサプライヤに送信する。また、サーバ20は、物品の製造に用いられる各種データを送信するような、物品の製造支援サービスを含む各種サービスを提供する。これらのサービスは、ネットワーク50を介してサプライヤ端末30に対してプログラム或いはデータを配信する配信サービスと、サプライヤ端末30から受信したデータを保管する保管サービスとを含んでいる。例えば、配信サービスは、アップデート用のデータを配信するサービスである。
【0017】
サプライヤ端末30は、ネットワーク接続が可能であるコンピュータ装置である。例えば、サプライヤ端末30は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ31、及び携帯型タブレット端末装置32等を含む。その他に、携帯電話(スマートフォンを含む)のようなモバイル端末装置が、サプライヤ端末30に含まれる。サプライヤ端末30は、各種のコンピュータソフトウェアを実装することにより、サーバ20が提供する種々のサービスをサプライヤに享受させることが可能である。また、サプライヤ端末30は、サーバ20に所定のネットワーク50を介して接続可能である。以下では、サプライヤ端末30がパーソナルコンピュータ31である場合について説明する。
【0018】
また、サーバ20は、物品を注文するユーザが使用するクライアント端末40に対して、又はクライアント端末40を使用するユーザに対して、物品の見積サービスを含む各種サービスを提供する。これらのサービスは、ネットワーク50を介してクライアント端末40に対してプログラム或いはデータを配信する配信サービスと、クライアント端末40から受信したデータを保管する保管サービスとを含んでいる。例えば、配信サービスは、アップデート用のデータを配信するサービスである。また、サーバ20は、ユーザからの要求に応じて、発注された物品の手配、配送指示、及び購入代金の請求といった処理を実行してもよい。
【0019】
クライアント端末40は、ネットワーク接続が可能であるコンピュータ装置である。例えば、クライアント端末40は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ41、及び携帯型タブレット端末装置42等を含む。その他に、携帯電話(スマートフォンを含む)のようなモバイル端末装置が、クライアント端末40に含まれる。クライアント端末40は、各種のコンピュータソフトウェアを実装することにより、サーバ20が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。また、クライアント端末40は、サーバ20に所定のネットワーク50を介して接続可能である。
【0020】
ネットワーク50は、サーバ20に対してサプライヤ端末30及びクライアント端末40をそれぞれ接続できるように構成されている。一例として、ネットワーク50は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成されている。具体的には、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network)LANが、サーバ20とインターネット51とを接続している。そして、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット51と、ローカルエリアネットワークLANとが、ルータ53を介して接続されている。また、ネットワーク50は、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、その他の通信回線、及びそれらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。サプライヤ端末30及びクライアント端末40も、インターネット51に接続されるように構成されている。代替的に、サーバ20のサーバユニット21は、ローカルエリアネットワークLANに代えて又は加えてインターネット51により、相互に接続されていてもよい。
【0021】
物品を注文するユーザは、クライアント端末40から物品のモデルデータD1(
図2)をサーバ20へ送信する。そして、サーバ20は、当該モデルデータD1をクライアント端末40から受信して記憶する。モデルデータD1は、一例として物品の形状を表す3次元CAD(Computer Aided Design)データであり、物品を構成する要素の寸法及び位置等の情報を含んでいてもよい。具体的に、モデルデータD1は、物品を構成する部品が一体であるシェルモデル、物品を構成する部品が別体である非結合モデル、又は複数の部品を含むアセンブリモデルである。また、要素は、一例として、穴、軸、段差、切り欠き、角、面、及び稜線等の物品又は部品を構成する部分のことであり、加工されることによって得られる形状を含む。
【0022】
なお、サーバ20は、部品データD3を生成する製造支援サーバの他に、サプライヤ支援サーバを備えている。例えば、サーバ20の製造支援サーバは、サプライヤ支援サーバを介してサプライヤ端末30へ部品データD3を送信する。代替的に、サーバ20の製造支援サーバは、サプライヤ支援サーバとして機能してもよい。さらに、サーバ20の製造支援サーバは、外部のサプライヤ支援サーバと協働して機能してもよい。以下の例では、サーバ20が、製造支援サーバ及びサプライヤ支援サーバを備えている例について主に説明し、両者のそれぞれの処理を単にサーバ20による処理として説明することがある。
【0023】
[制御系]
次に、
図2を参照して、製造支援システム100の制御系の概略構成について説明する。
図2に示すように、製造支援システム100は、サーバ20を備えている。さらに、製造支援システム100は、サプライヤ端末30と、クライアント端末40とを備えていてもよい。
【0024】
[クライアント端末]
クライアント端末40は、クライアント端末40を制御する制御部(不図示)と、クライアント端末40の制御プログラムを記憶した記憶部(不図示)とを備えている。当該制御部は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータである。また、クライアント端末40は、表示装置(不図示)を備えている。
【0025】
さらに、クライアント端末40は、サーバ20とデータを送受信する通信装置の一例である通信部(不図示)を備えている。また、クライアント端末40は、指令及びデータを入力するキーボード若しくは各種スイッチを含む入力装置(不図示)を備えている。なお、タッチパネルなどの表示装置が入力装置として機能してもよい。一例として、入力装置は、キーボード、テンキー及びタッチパネル等であり、ユーザは当該入力装置を用いてモデルデータD1を作成又は変更する。そして、入力装置を用いて作成されたモデルデータD1は、サーバ20に送信され且つ記憶される。
【0026】
[サーバ]
サーバ20は、制御手段としてのサーバ制御部22と、コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体としてのサーバ記憶部23とを備えている。サーバ制御部22は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、プロセッサの動作に必要な内部記憶部と、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、サーバ記憶部23に記憶された制御プログラムに基づいて、装置全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。さらに、サーバ制御部22は、サーバ記憶部23に記憶された製造支援プログラムPGに基づいて、物品の溶接条件の設定に伴う各種処理を実行する。
【0027】
サーバ記憶部23は、プロセッサが動作するためのシステムワーク記憶部であるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。ただし、サーバ記憶部23は、サーバ20の一部として設けられる例に限らず、サーバ20と協働するデータベースサーバとして設けられてもよい。
【0028】
また、サーバ記憶部23は、物品のモデルデータD1と、物品を製造するための部品データD3を含む製造データD2とを記憶している。一例として、部品データD3は、3次元CADデータであるモデルデータD1に基づいて生成されるSATファイル形式のデータである。当該部品データD3は、モデルデータD1の各要素の幾何学的形状を記述したテキストファイル形式のデータである。そして、任意の3次元CADプログラムを使用して、部品データD3から、部品の3次元CADデータ、3次元画像データ、及び2次元画像データ等を作成できる。代替的に、部品データD3は、3次元CADデータ、又は2次元CADデータ等であってもよい。
【0029】
サーバ制御部22には、所定の指令及びデータを入力するキーボード若しくは各種スイッチを含む操作部(不図示)が、有線接続又は無線接続されている。また、サーバ制御部22には、サーバ装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する表示部(不図示)が、有線接続又は無線接続されている。なお、サーバ制御部22は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CF(Compact Flash)カード、及びUSB(Universal Serial Bus)記憶部等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0030】
サーバ記憶部23が記憶する製造支援プログラムPGは、コンピュータであるサーバ制御部22を、データ取得手段の一例であるデータ取得部22A、データ生成手段の一例であるデータ生成部22B、送信手段の一例である送信部22C、及びID作成手段の一例であるID作成部22Dとして機能させる。すなわち、サーバ制御部22は、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、データ取得部22A、データ生成部22B、送信部22C、及びID作成部22Dを有している。
【0031】
なお、サーバ制御部22は、上記論理的装置以外にも、サプライヤ端末30の操作に応じてウェブページの表示の切り替え等を制御する不図示の論理的装置等を有している。さらに、サーバ制御部22は、他の論理的装置として、物品の見積情報を作成する見積部、及びモデルデータD1に基づいて生成される画像データ等をユーザに提供する提供部等を備えている。また、サーバ記憶部23は、ユーザの情報、過去の見積結果、ウェブページを表示するために用いられる画像データ、及び製品又は物品の型番、名称若しくは特徴等の情報を含むデータ等の不図示の各種のデータを記録している。
【0032】
[データ取得手段]
データ取得部22Aは、物品のモデルデータD1を取得する。一例として、ユーザは、サーバ20にモデルデータD1をアップロードする。また、サーバ制御部22は、ユーザのクライアント端末40から受け入れたモデルデータD1をサーバ記憶部23に記憶させる。そして、データ取得部22Aは、サーバ記憶部23からモデルデータD1を読み出して取得する。モデルデータD1によって表される物品は、互いに溶接される少なくとも二つの部品を含んでいる。さらに、物品は、折り曲げた後に溶接される部分として、一体の部品の一部を含んでいてもよい。
【0033】
[データ生成手段]
続いて、
図3から
図7を参照して、データ生成部22Bについて説明する。
図3は、製造される物品の全体を示す概略斜視図である。また、
図4は、物品の一つの部品の全体を示す概略斜視図であり、データに基づいて画面に表示される。また、
図5は、製造される部品の概略平面図である。また、
図6は、製造される他の物品の全体を示す概略斜視図であり、当該他の物品は
図3に示す物品とは異なる。また、
図7は、他の物品の一つの部品の全体を示す概略斜視図であり、データに基づいて画面に表示される。
【0034】
データ生成部22Bは、物品における溶接箇所WA(
図3)を指定する指定オブジェクトSO(
図4)を含むように、部品データD3を生成する。一例として、
図3に示す物品は、板状の第1部品P1と、第1部品P1に溶接される板状の第2部品P2とから構成される。そして、溶接箇所WAは、第1部品P1と第2部品P2との境界であって、第2部品P2の長手方向に延びる辺に沿った第1部品P1上の領域である。なお、溶接箇所WAは、連続した領域(例えば直線又は曲線等)であってもよく、並んでいる複数の点(又はスポット)であってもよい。
【0035】
また、データ生成部22Bは、指定オブジェクトSOを幾何学的形状の一部として含むように、部品データD3を生成する。一例として、
図4には第1部品P1上において、第2部品P2と重なる矩形状の領域を仮想的に破線で示している。ここで、溶接箇所WAは、当該領域の長手方向に延びる辺に沿った二本の線分に対応する。そして、指定オブジェクトSOは、溶接箇所WAを指定するように、当該二本の線分の両端部の近傍に配置されている。そのため、
図4の例では、四つの指定オブジェクトSOが、第1部品P1上に配置されている。この指定オブジェクトSOにより、サプライヤは、溶接箇所WAを視覚的に認識でき、溶接のミスを抑制できる。
【0036】
また、指定オブジェクトSOは、物品のモデルデータD1によって表される幾何学的形状には含まれておらず、実際に製造される物品には形成されない仮想的な要素である。そして、指定オブジェクトSOは、部品データD3によって表される幾何学的形状の一部として寸法が設定されている。すなわち、
図4に示すように、指定オブジェクトSOは、X方向、Y方向、及びZ方向に寸法を有している。一例として、X方向、Y方向、及びZ方向の寸法は、1.5mm以上且つ2.5mm以下である。また、部品の面から突出する場合、指定オブジェクトSOの突出量(例えば
図4のZ方向における高さ)は0.1mm以上且つ0.5mm以下である。これにより、サプライヤは、指定オブジェクトSOを視覚的に部品の面と区別して認識できる。代替的に、指定オブジェクトSOは、Z方向(すなわち部品の面から離れる方向)に寸法を有しない2次元形状を有する要素であってもよい。
【0037】
また、指定オブジェクトSOは、3次元空間において大きさを有しており、部品の面(例えば体裁面)から突出している要素又は部品の面に対して凹んでいる要素である。例えば、
図4に示す指定オブジェクトSOは円柱である。ただし、立体的形状であれば、指定オブジェクトSOは任意の形状を有していてもよい。一例として、指定オブジェクトSOは、球体、三角柱又は四角柱等の多角柱、突起、直線状又は曲線状のリム、及び矢印又は涙形を模した立体であってもよい。さらに、指定オブジェクトSOは、穴又は溝であってもよい。ただし、指定オブジェクトSOが、部品の面から突出していることによって、指定オブジェクトSOが部品に誤って形成されてしまうことを防止できる。すなわち、溶接の対象となる部品の寸法が指定されていれば、部品の面から突出する指定オブジェクトSOは、部品に形成されない要素であると明確に認識される。そのため、指定オブジェクトSOが部品に誤って形成されてしまうことを防止できる。
【0038】
そして、指定オブジェクトSOは、物品における溶接箇所WAを指定する。すなわち、部品データD3は、一方の部品が溶接される他方の部品における溶接箇所WAの始点及び終点を示すように、幾何学的形状の一部として複数の指定オブジェクトSOを含んでいる。具体的に、
図4に示す例では、指定オブジェクトSOが、物品における溶接箇所WAとして、第2物品P2が溶接される第1部品P1上の溶接箇所WAを指定している。例えば、
図4において矢印で示す溶接方向WDに並んだ二つの指定オブジェクトSOのいずれか一方が、溶接箇所WAの始点を示し、他方が溶接箇所WAの終点を示している。なお、複数の溶接箇所WAがある場合に、その一部が指定オブジェクトSOによって指定されていなくともよい。また、一つの溶接箇所WAの一部が指定オブジェクトSOによって指定されていなくともよい。
【0039】
また、同じ溶接箇所WAを指定する複数の指定オブジェクトSOのそれぞれは、形状及び/又は少なくとも一部の寸法が同じである。具体的に、
図4に示す例では、一つの溶接箇所WAを指定する二つの複数の指定オブジェクトSOが、同じ形状及び同じ寸法を有している。これにより、サプライヤは、部品の他の要素と視覚的に区別して指定オブジェクトSOを認識でき、溶接のミスを抑制できる。ただし、複数の指定オブジェクトSOは、類似する形状又は寸法を有していればよい。例えば、複数の指定オブジェクトSOの少なくとも一つの指定オブジェクトSOの形状又は寸法が、他の指定オブジェクトSOの形状又は寸法と異なっていてもよい。この場合であっても、サプライヤは、指定オブジェクトSOを部品の要素と視覚的に区別して認識できる。
【0040】
溶接箇所WAを認識したサプライヤは、第1部品P1に第2部品P2を重ねて、一方の指定オブジェクトSOが示す始点から他方の指定オブジェクトSOが示す終点までを溶接する。そのために、サプライヤは、
図5に示すように、実際に製造する部品にマークWPを形成する。一例として、サプライヤは、CADシステム又はCAMシステムを用いて、溶接の始点及び終点の位置に対応する指定オブジェクトSOをマークWPに変換するように、ネスティングに使用する2次元データを生成する。実際に製造される部品に対するマークWPの形成方法は、サプライヤ側のCADシステム又はCAMシステムで予め設定されている。例えば、マークWPの形成方法は、
図5のような矢印の形状をケガキで部品に加工するように設定されている。他の例では、
図5のような矢印の形状で塗料を部品に塗布するように、形成方法が設定されている。なお、マークWPの形成方法は、サプライヤ側のCADシステム又はCAMシステムにおいてサプライヤが任意に決定できるようにしてもよい。
図5においては、実際に製造される部品の概略平面図が示されており、4つの指定オブジェクトにそれぞれ対応する4つの位置の各々に矢印形状のマークWPが形成されている。なお、マークWPの形状は矢印に限らず、丸又は多角形などでもよい。また、マークWPの形状は、サプライヤ側のCADシステム又はCAMシステムにおいてサプライヤが任意に決定できるようにしてもよい。さらに、一つの指定オブジェクトSOに対応する位置に形成されるマークWPの数は、二つ以上であってもよい。
【0041】
また、指定オブジェクトSOのサイズ及び形状は任意であり、マークWPを形成する領域を確保できるように設定されていてもよい。これにより、部品データD3において指定オブジェクトSOが配置されている箇所に、マークWPを形成できなくなることを防止できる。なお、部品同士の溶接は連続して溶接する態様には限られない。サプライヤは、始点から終点まで並んだ複数の点を断続的に溶接(例えばスポット溶接)してもよい。
【0042】
また、各指定オブジェクトSOは、溶接箇所WAとは重ならない位置に配置されている。さらに、各指定オブジェクトSOの端部は、溶接箇所WAの始点若しくは終点と直線状に並ぶ位置に配置されている。
図4の例では、指定オブジェクトSOの端部SOEが、溶接箇所WAの始点若しくは終点WAEと直線状に並ぶ位置に配置されている。これにより、サプライヤは、溶接箇所WAの始点若しくは終点WAEを視覚的に認識でき、溶接のミスを抑制できる。
【0043】
なお、指定オブジェクトSOは、溶接箇所WAの始点から終点に向かう方向、及び/又は溶接箇所WAの終点から始点に向かう方向をさらに指定してもよい。一例として、指定オブジェクトSOは、楕円等の先細りする断面を有する立体、又は矢印状の立体であり、上記各方向を指すような姿勢で配置される。例えば、指定オブジェクトSOが矢印状の立体である場合、溶接箇所WAの両端のそれぞれの近傍に指定オブジェクトSOが配置される。そして、一対の指定オブジェクトSOは、互いの先細りする部分が向き合う姿勢(すなわち溶接箇所WAを横断する面を基準として面対称となる姿勢)で配置される。
【0044】
また、指定オブジェクトSOは、一方の部品が他方の部品に溶接される場合に、当該溶接される一方の部品の部品データD3において他方の部品の溶接箇所WAを指定してもよい。一例として、
図6に示す他の物品においては、一方の部品である第4部品P4が第3部品P3に溶接されるが、溶接箇所WA1では第3部品P3の辺と第4部品P4の辺とが重なっている。そのため、第3部品P3のX方向及びY方向に延びるXY平面には、指定オブジェクトSOを配置する領域がない。また、第3部品P3のY方向及びZ方向に延びるYZ平面にも、マークWPを形成するための十分な面積がない。
【0045】
そのため、第3部品P3の溶接箇所WA1を指定する指定オブジェクトSOは、他の部品である第4部品P4の部品データD3に含まれている。そして、他の部品である第4部品P4の部品データD3に含まれている指定オブジェクトSOが、第3部品P3の溶接箇所WA1を指定する。具体的には、
図7に示すように、第4部品P4の部品データD3においては、そのYZ平面に第3部品P3の溶接箇所WA1を指定する指定オブジェクトSOが配置されている。これにより、指定オブジェクトSOを配置するための十分な面積がない場合であっても、溶接箇所WA1を指定オブジェクトSOによって指定できる。
【0046】
また、溶接箇所WAを指定する場合に、それぞれの部品に配置される指定オブジェクトSOが合わさることによって一つの立体形状を構成してもよい。すなわち、同じ溶接箇所WAの同じ始点又は終点を指定する二つの指定オブジェクトSOが合わさって、大きな立体形状を構成するように配置されてもよい。例えば、
図6に示す物品では、溶接箇所WA2を指定するために、第3部品P3のXY平面に角柱状の指定オブジェクトSO(不図示)が配置される。さらに、第4部品P4のXZ平面(不図示)に、第3部品P3の指定オブジェクトSOと接する位置において、同じサイズ及び同じ形状の指定オブジェクトSO(不図示)が配置される。これにより、第3部品P3の指定オブジェクトSOと第4部品P4の指定オブジェクトSOとが合わさって、大きな角柱が構成される。そのため、サプライヤは、部品同士が接触する位置を視覚的に認識でき、溶接のミスを抑制できる。
【0047】
データ生成部22Bは、物品のモデルデータD1に基づいて、指定オブジェクトSOを含む部品データD3を生成する。一例として、データ生成部22Bは、物品のモデルデータD1から直接的に部品データD3を生成する。代替的に、データ生成部22Bは、物品のモデルデータD1から間接的に部品データD3を生成してもよい。この場合、データ生成部22Bは、物品のモデルデータD1に基づいて生成される部品の3次元モデルデータ等から部品データD3を生成する。
【0048】
具体例として、データ生成部22Bは、モデルデータD1に基づいて、物品において溶接が可能な箇所を識別する。例えば、データ生成部22Bは、モデルデータD1に対して物品の形状認識処理を実行する。そして、データ生成部22Bは、形状認識処理において、モデルデータD1に基づいて物品の各要素の形状を認識する。さらに、データ生成部22Bは、物品を構成する各部品の各要素の形状を認識する。続いて、データ生成部22Bは、トポロジ構造を有するパターンデータを作成する。例えば、トポロジ構造は、部品同士の接続関係、部品同士の隣接関係、及び線に囲まれた各部品の面認識の情報を持っている。
【0049】
そして、データ生成部22Bは、物品における溶接箇所WAを識別する。一例として、データ生成部22Bは、接触する部品同士の境界線を溶接箇所WAとして認識する。さらに、データ生成部22Bは、識別した溶接箇所WAの始点又は終点を指定するように、各部品の指定オブジェクトSOを配置する位置を決定する。このとき、データ生成部22Bは、指定オブジェクトSOを配置するための領域がないか又は配置するための十分な面積がない面を避けるように、指定オブジェクトSOの配置位置を決定する。そして、データ生成部22Bは、決定した位置に配置される指定オブジェクトSOを含むように、物品を構成する各部品の部品データD3を生成する。
【0050】
また、データ生成部22Bは、物品の画像データを生成する。例えば、データ生成部22Bは、物品の2次元又は3次元の画像データを生成する。そして、データ生成部22Bは、物品の画像データと部品データD3とを含む製造データD2を、サーバ記憶部23に記憶させる。ただし、データ生成部22Bは、部品データD3を単独で生成して、サーバ記憶部23に記憶させてもよい。
【0051】
[送信手段]
送信部22Cは、データ生成部22Bによって生成された部品データD3をサプライヤに送信する。具体的に、送信部22Cは、サーバ通信部24に部品データD3を含む製造データD2をサプライヤ端末30へ送信させる。例えば、送信部22Cは、サーバ20のサプライヤ支援サーバを介して製造データD2をサプライヤ端末30へ送信させる。また、送信部22Cは、支援サーバを介して部品データD3を単独でサプライヤ端末30へ送信させてもよい。
【0052】
さらに、送信部22Cは、製造データD2又は部品データD3をサプライヤ端末30に直接送信させてもよい。代替的に、送信部22Cは、製造データD2又は部品データD3を、サプライヤ支援サーバ又は製造支援サーバに記憶させてもよい。この場合、サプライヤは、製造データD2又は部品データD3を、サプライヤ支援サーバ又は製造支援サーバからダウンロードする。
【0053】
[ID作成手段]
ID作成部22Dは、物品を特定する識別情報(以下、物品IDともいう。)と、部品データD3のデータ名とを作成する。物品ID及びデータ名は、文字、数字、及び記号等によって構成されている。そして、物品IDは、サーバ記憶部23が記憶している各物品の製造データD2と、ユーザによる注文内容を示す注文情報とに紐付けられる。また、データ名は、サーバ記憶部23が記憶している各部品の部品データD3と紐付けられる。さらに、部品データD3又はそのデータ名が、物品IDと紐付けられる。一例として、データ名は、SATファイル形式の部品データD3のファイル名である。なお、物品IDは任意に設定でき、ID作成部22Dによって自動的に決定されるか、又はユーザ又はサーバ20の管理者が設定してもよい。
【0054】
[サプライヤ端末]
図2に戻り、サプライヤ端末30は、サプライヤ端末30を制御する端末制御部37と、制御プログラムを記憶した端末記憶部34とを備えている。当該端末制御部37は、所定のプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサと、その他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータである。また、サプライヤ端末30は、入力装置35、表示装置36、及び端末通信部38を備えている。
【0055】
一例として、端末制御部37のプロセッサは、CPU又はMPUであり、端末記憶部34に記憶された制御プログラムに基づいて、サプライヤ端末30の全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。また、端末記憶部34は、プロセッサが動作するためのシステムワーク記憶部であるRAM、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM、HDD及びSSD等の記憶装置を含む。なお、端末制御部37は、CD、DVD、CFカード、及びUSB記憶部等の可搬記録媒体、又はインターネット上のクラウドサーバ等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って制御を行うこともできる。
【0056】
端末記憶部34は、ハードディスク及び半導体記憶装置等の不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な非一時的記憶媒体)を含んだ外部記憶装置である。さらに、端末記憶部34は、制御プログラムに加えて、製造データD2に含まれる物品の画像データを表示装置36に表示させるためのビューワソフト、及びウェブブラウザ等の各種プログラムを記憶している。また、端末記憶部34が記憶するプログラムは、コンピュータである端末制御部37を、取得手段の一例である取得部37A、及び図面生成手段の一例である図面生成部37Bとして機能させる。すなわち、端末制御部37は、コンピュータハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、取得部37A及び図面生成部37Bを有している。なお、端末制御部37は、上記論理的装置以外にも、ウェブページを表示装置36に表示させる不図示の論理的装置等を有している。
【0057】
[取得手段]
取得部37Aは、溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データD3であって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データD3を取得する。一例として、取得部37Aは、サーバ20から送信された製造データD2に含まれる部品データD3を取得する。代替的に、取得部37Aは、サーバ20から送信された部品データD3のみを取得してもよい。また、取得部37Aは、定期的に又は任意のタイミングで、製造データD2又は部品データD3をサーバ20から自動的に取得してもよい。さらに、取得部37Aは、サプライヤによる操作に応じて、製造データD2又は部品データD3をサーバ20から取得してもよい。
【0058】
[図面生成手段]
図面生成部37Bは、取得部37Aが取得した部品データD3に基づいて部品の図面データを生成する。また、図面生成部37Bは、生成した図面データを端末記憶部34に記憶させる。一例として、図面データは、3次元画像データ又は3次元CADデータであり、指定オブジェクトSOに対応するマークWPを含んでいてもよい。例えば、図面生成部37Bには、取得部37Aが取得した部品データD3が入力される。そして、図面生成部37Bは、図面データを出力する。また、図面生成部37Bは、表示装置36に物品の全体を表示するための3次元画像データ及び/又は3次元CADデータをさらに生成してもよい。
【0059】
入力装置35は、キーボード、テンキー及びタッチパネル等である。また、表示装置36は、図面生成部37Bが生成した図面データ等に基づく画像を表示する。さらに、表示装置36は、設定画面、ユーザからの注文内容を確認するための確認画面等のウェブページを表示させる。また、端末通信部38は、サーバ20とデータを送受信する通信装置の一例である。例えば、端末通信部38は、サーバ20から部品データD3を含む製造データD2を受信する。また、端末通信部38は、物品の製造又は供給に関連するデータ(例えば物品の発送日を示すデータ)をサーバ20に送信する。代替的に、端末通信部38は、クライアント端末40との間でデータを直接的に送受信してもよい。
【0060】
[製造支援処理]
続いて、
図8を参照して、製造支援システム100による製造支援処理について説明する。まず、ユーザは、モデルデータD1をサーバ20にアップロードする。そして、サーバ20のサーバ制御部22は、モデルデータD1をサーバ記憶部23に記憶させる。その後、所定のタイミング(例えばユーザから注文を受け付けたタイミング)で、サーバ20のデータ取得部22Aは、サーバ記憶部23からモデルデータD1を取得する(S101)。
【0061】
次に、サーバ20のデータ生成部22Bは、指定オブジェクトSOを含むように部品データD3を生成する(S102)。さらに、データ生成部22Bは、物品の画像データを生成する(S103)。そして、データ生成部22Bは、画像データと部品データD3とを含む製造データD2を、物品IDと紐付けてサーバ記憶部23に記憶させる。なお、データ生成部22Bは、部品データD3を生成する前に画像データを生成してもよく、部品データD3と同時に画像データを生成してもよい。
【0062】
そして、サーバ20の送信部22Cは、サーバ通信部24に、製造データD2に含めた部品データD3をサプライヤ端末30へ送信させる(S104)。これにより、製造支援処理が終了する。そして、サプライヤ端末30の取得部37Aは、サーバ20から送信された製造データD2を取得する。また、サプライヤ端末30の図面生成部37Bは、部品データD3に基づいて部品の図面データを生成する。さらに、サプライヤ端末30の端末制御部37は、物品又は部品を加工するための加工装置の動作パターンを生成してもよい。なお、当該加工装置は、マークWPを部品に自動的に形成してもよい。その後、サプライヤは、物品を構成する各部品を製造すると共に、部品を溶接して物品を製造する。
【0063】
以上説明した製造支援システム100によれば、溶接箇所WAを指定する指定オブジェクトSOを含む部品データD3を自動的に生成する。これにより、サプライヤが溶接箇所WAを決定する手間を省き、迅速に物品の製造を開始できる。また、指定オブジェクトSOによって、サプライヤは、溶接箇所WAを視覚的に認識でき、溶接のミスを抑制できる。
【0064】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態、並びに各実施形態又は各変形形態に含まれる技術的手段は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0065】
例えば、データ取得部22A、データ生成部22B、及びID作成部22Dの少なくとも一部がサプライヤ端末30に設けられていてもよい。この場合、サプライヤ端末30において、モデルデータD1の取得と部品データD3の生成とが行われる。また、図面生成部37Bは、サーバ20に設けられていてもよい。この場合、サーバ20において図面データが生成され、送信部22Cが図面データをサプライヤ端末30へ送信させる。
【0066】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0067】
(付記1)
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信する製造支援システムであって、
前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成するデータ生成手段と、
生成された前記部品データを前記サプライヤに送信する送信手段とを備える、製造支援システム。
【0068】
(付記2)
前記データ生成手段は、前記物品のモデルデータに基づいて前記部品データを生成し、
前記指定オブジェクトは、前記モデルデータには含まれておらず、且つ前記部品データによって表される前記幾何学的形状の一部として寸法が設定されている、付記1に記載の製造支援システム。
【0069】
(付記3)
前記部品データは、前記溶接箇所の始点及び終点を示すように、前記幾何学的形状の一部として複数の前記指定オブジェクトを含み、
前記複数の前記指定オブジェクトのそれぞれは、形状及び/又は少なくとも一部の寸法が同じである、付記1又は2に記載の製造支援システム。
【0070】
(付記4)
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信し、コンピュータを備える製造支援システムの製造支援プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成するデータ生成手段と、
生成された前記部品データを前記サプライヤに送信する送信手段として機能させる、製造支援プログラム。
【0071】
(付記5)
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データをサプライヤに送信し、コンピュータを備える製造支援システムの制御方法であって、
前記コンピュータに、
前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含むように、前記部品データを生成させ、
生成された前記部品データを前記サプライヤに送信させる、制御方法。
【0072】
(付記6)
溶接によって接合される複数の部品を含む物品を製造するための部品データであって、それぞれの部品の幾何学的形状を表す部品データを取得する取得手段と、
取得された前記部品データに基づいて前記部品の図面データを生成する図面生成手段とを備え、
前記部品データは、前記幾何学的形状の一部として、前記物品における溶接箇所を指定する指定オブジェクトを含んでいる、端末装置。
【符号の説明】
【0073】
22 :サーバ制御部(コンピュータ)
22A :データ取得部(データ取得手段)
22B :データ生成部(データ生成手段)
22C :送信部(送信手段)
30 :サプライヤ端末(端末装置)
37A :取得部(取得手段)
37B :図面生成部(図面生成手段)
100 :製造支援システム
D1 :モデルデータ
D3 :部品データ
PG :製造支援プログラム
SO :指定オブジェクト
WA :溶接箇所
WA1 :溶接箇所
WA2 :溶接箇所