IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テンパール工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-遮断器 図1
  • 特開-遮断器 図2
  • 特開-遮断器 図3
  • 特開-遮断器 図4
  • 特開-遮断器 図5
  • 特開-遮断器 図6
  • 特開-遮断器 図7
  • 特開-遮断器 図8
  • 特開-遮断器 図9
  • 特開-遮断器 図10
  • 特開-遮断器 図11
  • 特開-遮断器 図12
  • 特開-遮断器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139961
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/38 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01H73/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050921
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】今川 誠
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030AB01
5G030FC05
5G030XX01
(57)【要約】
【課題】遮断動作を安定させることができる遮断器の提供。
【解決手段】接離する固定接点及び可動接点を有する電路部と、電路部を開閉する開閉機構と、電路部に流れる電流に応じて開閉機構を作動させる遮断操作機構と、を備え、遮断操作機構は、前記電流により磁力を発する吸引体と、筐体内に固定されている固定体と、固定体に支持され且つ支持位置を中心に回転する可動体とを有し、可動体には、固定体を境として吸引体側に位置する一方側規定部と開閉機構側に位置する他方側規定部とが含まれ、一方側規定部が他方側規定部と対向する位置よりも吸引体側にずれた位置に配置される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に固定される固定接点、及び前記筐体内で前記固定接点に対して接離する可動接点を有する電路部と、
外力を受けて前記固定接点に対する前記可動接点の接触状態を切り替えるように構成される開閉機構と、
前記電路部に流れる電流の大きさに応じて前記開閉機構を作動させることによって、前記電路部の状態を、前記可動接点が前記固定接点に接触している閉状態から前記可動接点が前記固定接点から離間している開状態に切り替える遮断操作機構と、を備え、
前記遮断操作機構は、
前記電路部に流れる電流によって磁力を発生させる吸引体と、
前記筐体内に固定されている固定体と、
前記固定体に支持される可動体であって、前記固定体に支持されている支持位置を中心として回転可能に構成される可動体と、を有し、
前記可動体は、
前記固定体に支持される被支持部と、
前記被支持部から前記吸引体側に延出し、且つ前記吸引体に対向する被吸引部と、
前記被支持部から前記開閉機構側に延出し、且つ前記被吸引部が前記吸引体に吸引されると前記開閉機構を作動させるように構成される接離部と、
前記固定体に対する前記可動体の回転範囲を設定する回転規定部と、を有し、
前記可動体は、支持位置を中心とする回転に伴って、前記被吸引部が前記吸引体から離間し、且つ前記接離部が前記開閉機構から離間するように傾斜する待機状態と、前記被吸引部が前記吸引体に当接し、且つ前記接離部が前記開閉機構を操作する遮断状態とに切り替わるように構成され、
前記回転規定部は、
前記固定体よりも前記吸引体側に配置された状態で前記固定体に対向する一方側規定部と、
前記固定体よりも前記開閉機構側に配置されて前記固定体に対向する他方側規定部とを有し、
前記一方側規定部は、前記他方側規定部と対向する位置よりも前記吸引体側にずれた位置に配置される、
遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電路を開閉可能な遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記遮断器として、例えば特許文献1の第2図~第4図に図示されているような、動作電流値を越える過電流が流れた場合に可動接触子を固定接触子から開離させる動作をとるように構成された電磁力はずし装置を備える遮断器(回路遮断器)が知られている。
【0003】
電磁力はずし装置は、下ケースの底部に載置される継鉄と、継鉄に係合し、且つ継鉄との係合部を支点として回転するように構成される可動鉄片と、動作電流値を越える過電流が流れたときに可動鉄片を吸引する固定磁極と、を有する。
【0004】
可動鉄片は、固定磁極に吸引されると、係合部を支点として回転するように構成されている。また、可動鉄片は、回転に伴って、開閉機構を作動させることによって可動接触子を固定接触子から開離させるように構成されている。
【0005】
かかる構成により、前記回路遮断器は、電磁力はずし装置に動作電流値を越える過電流が流れたときに可動接触子を固定接触子から開離させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7-85392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の回路遮断器では、特許文献1の第3図に図示されているように、可動鉄片の両側部には凹部が形成され、継鉄の上端部には上方に突出する一対の突出部が形成されており、この可動鉄片の凹部と継鉄の突出部が互いに係合するように構成されている。
【0008】
また、可動鉄片の凹部と継鉄の突出部との間には、可動鉄片の回転のための動き代となる隙間が必要となるが、この隙間の影響により可動鉄片にガタツキが生じることがあり、
可動接触子を固定接触子から開離させる動作(遮断動作)の安定性を低下させる原因となっている。
【0009】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、遮断動作の安定性を高めることができる遮断器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の遮断器は、
筐体内に固定される固定接点、及び前記筐体内で前記固定接点に対して接離する可動接点を有する電路部と、
外力を受けて前記固定接点に対する前記可動接点の接触状態を切り替えるように構成される開閉機構と、
前記電路部に流れる電流の大きさに応じて前記開閉機構を作動させることによって、前記電路部の状態を、前記可動接点が前記固定接点に接触している閉状態から前記可動接点が前記固定接点から離間している開状態に切り替える遮断操作機構と、を備え、
前記遮断操作機構は、
前記電路部に流れる電流によって磁力を発生させる吸引体と、
前記筐体内に固定されている固定体と、
前記固定体に支持される可動体であって、前記固定体に支持されている支持位置を中心として回転可能に構成される可動体と、を有し、
前記可動体は、
前記固定体に支持される被支持部と、
前記被支持部から前記吸引体側に延出し、且つ前記吸引体に対向する被吸引部と、
前記被支持部から前記開閉機構側に延出し、且つ前記被吸引部が前記吸引体に吸引されると前記開閉機構を作動させるように構成される接離部と、
前記固定体に対する前記可動体の回転範囲を設定する回転規定部と、を有し、
前記可動体は、支持位置を中心とする回転に伴って、前記被吸引部が前記吸引体から離間し、且つ前記接離部が前記開閉機構から離間するように傾斜する待機状態と、前記被吸引部が前記吸引体に当接し、且つ前記接離部が前記開閉機構を操作する遮断状態とに切り替わるように構成され、
前記回転規定部は、
前記固定体よりも前記吸引体側に配置された状態で前記固定体に対向する一方側規定部と、
前記固定体よりも前記開閉機構側に配置されて前記固定体に対向する他方側規定部とを有し、
前記一方側規定部は、前記他方側規定部と対向する位置よりも前記吸引体側にずれた位置に配置される。
【0011】
上記構成の遮断器によれば、可動体を支持する固定体の両側に配置される一方側規定部と他方側規定部のうち、固定体に対して吸引体側に配置される一方側規定部が、他方側規定部と対向する位置(他方側規定部の正面)よりも吸引体側にずれた位置に配置されるため、可動体の回転を阻害せずに一方側規定部と他方側規定部の間隔を狭めることができる。
【0012】
そのため、上記構成の遮断器は、固定体に対する可動体のガタツキ(一方側規定部と他方側規定部が並ぶ方向でのガタツキ)を抑制でき、これにより、遮断動作の安定性を高めることができるようになっている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の遮断器は、遮断動作の安定性を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る遮断器の斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る遮断器の平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線で筐体を破断させた部分断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る遮断器の開閉機構の説明図であって、電路部が閉状態に切り替わっている状態の説明図である。
図5図5は、同実施形態に係る遮断器の内部構造の説明図であって、電路部が閉状態から開状態に切り替えられている最中の状態の説明図である。
図6図6は、同実施形態に係る遮断器の内部構造の説明図であって、電路部が開状態に切り替わった状態の説明図である。
図7図7は、同実施形態に係る遮断器における遮断操作機構を吸引体側から見た斜視図である。
図8図8は、同実施形態に係る遮断器における遮断操作機構を付勢部材側から見た斜視図である。
図9図9は、同実施形態に係る遮断器における遮断操作機構の分解斜視図である。
図10図10は、同実施形態に係る遮断器の可動体の側面図である。
図11図11は、同実施形態に係る遮断器の可動体の平面図である。
図12図12は、同実施形態に係る遮断器における回転規定部と固定体との間の隙間の説明図である。
図13図13は、同実施形態に係る遮断器における回転規定部と固定体との間の隙間の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる遮断器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態に係る遮断器1は、図1図2に示すように、筐体2と、図3に示すように、筐体2内に固定される固定接点301、及び筐体2内で固定接点301に対して接離する可動接点311を有する電路部3と、外力を受けて固定接点301に対する可動接点311の接触状態を切り替えるように構成される開閉機構4と、電路部3に流れる電流の大きさに応じて開閉機構4を作動させることによって、電路部3の状態を、可動接点311が固定接点301に接触している閉状態から可動接点311が固定接点301から離間している開状態に切り替える遮断操作機構5と、を備える。
【0017】
筐体2は、電路部3と、開閉機構4と、遮断操作機構5が取り付けられる収容部20と、収容部20に重ねて取り付けられる蓋部21と、を有する(図1参照)。
【0018】
本実施形態に係る遮断器1の説明では、収容部20の底部200と蓋部21が並ぶ方向を高さ方向と称する。
【0019】
電路部3は、前記固定接点301を有する固定接点部30と、前記可動接点311を有する可動接点部31と、固定接点301に電気的に接続されている固定側外部端子32と、可動接点311に電気的に接続されている可動側外部端子33と、可動側外部端子33と可動接点部31とに電気的に接続されているコイル34と、を有する。
【0020】
固定接点部30は、固定側導電板300と、固定側導電板300に取り付けられている固定接点301と、を有する。
【0021】
固定側導電板300は、筐体2内に固定されている。そのため、固定側導電板300に取り付けられている固定接点301は、筐体2内での配置位置が変わらないようになっている。
【0022】
可動接点部31は、可動側導電板310と、可動側導電板310に取り付けられている可動接点311と、を有する。
【0023】
可動側導電板310の先端部は、固定側導電板300の先端部と対向している。また、可動側導電板310の先端部は、接点用付勢部Sによって、固定側導電板300から離れる方向に付勢されている。
【0024】
そのため、可動側導電板310は、固定側導電板300に向けて押操作されると固定側導電板300に接近する方向に移動し、押操作が解除されると接点用付勢部Sの付勢力によって固定側導電板300から離れる方向に移動する。このようにして、可動側導電板310は、筐体2内で往復動するように構成されている。
【0025】
可動接点311は、固定接点301に対して対向する位置に配置されている。可動接点311は、可動側導電板310とともに筐体2内で往復動し、これにより、固定接点301に対して接離するように構成されている。
【0026】
本実施形態に係る遮断器1の説明では、可動接点311と固定接点301とが対向する方向を対向方向と称する。また、対向方向のうち、可動接点311が固定接点301に接近する方向を接近方向と称し、可動接点311が固定接点301から離間する方向を離間方向と称する。なお、本実施形態に係る遮断器1では、対向方向が高さ方向と同じ方向に設定されている。
【0027】
固定側外部端子32は、筐体2の外部に露出した状態で配置される外端部と、筐体2の内部に配置される内端部と、を有する。
【0028】
固定側外部端子32の内端部は、固定側導電板300に対して電気的に接続されている。本実施形態の固定側外部端子32は、固定側導電板300と一体的に形成されており、これにより、固定側導電板300に対して電気的に接続された状態になっている。
【0029】
可動側外部端子33は、筐体2の外部に露出した状態で配置される外端部と、筐体2の内部に配置される内端部と、を有する。
【0030】
可動側外部端子33の内端部は、可動側導電板310に対して電気的に接続されている。本実施形態の可動側外部端子33は、可動側導電板310とは別体であり、コイル34を介して可動側導電板310に対して電気的に接続されている。
【0031】
コイル34は、螺旋状に形成されるコイル本体部340と、コイル本体部340の一方の端部から延出する第1接続部であって、可動側外部端子33が電気的に接続される第1接続部341と、コイル本体部340の他方の端部から延出する第2接続部であって、可動側導電板310が電気的に接続される第2接続部342と、を有する。
【0032】
第2接続部342と可動側導電板310は、例えば、リード線によって電気的に接続されていればよい。このようにすれば、可動側導電板310は、第2接続部342に対して電気的に接続され、且つ筐体2内で移動できる状態にもなる。
【0033】
開閉機構4は、図4に示すように、可動接点部31を保持する接点保持部40と、接点保持部40を対向方向に移動させる移動機構41と、移動機構41の動きを規制可能なロック機構42とを有する。
【0034】
本実施形態の接点保持部40は、可動接点部31の可動側導電板310を保持するように構成されている。
【0035】
移動機構41は、筐体2に対して回転可能に取り付けられているハンドル部410と、ハンドル部410に連結される連結部411と、筐体2に固定されるベース部であって、連結部411が取り付けられるベース部412と、を有する。
【0036】
ハンドル部410は、筐体2内で高さ方向に対して直交する一方向に沿って延びるハンドル用回転軸400を中心とする周方向(以下、操作周方向と称する)で回転可能に構成されている。また、ハンドル部410は、操作周方向における一方向(図4に記載の矢印Aの方向)に向けて付勢されている。
【0037】
本実施形態のハンドル部410は、手動で回転させるように構成されているが、人手を使わずに回転させるように構成されていてもよい。
【0038】
連結部411は、ハンドルに回転可能に取り付けられる回転取付部4110と、接点保持部40に対して接近方向で当接する当部4111と、を有する。
【0039】
連結部411では、ハンドル部410が操作周方向における一方向に回転すると、回転取付部4110も操作周方向における一方向に沿って移動する。このとき、回転取付部4110は対向方向においては離間方向に移動するため、当部4111も対向方向においては離間方向に移動し、接点保持部40も離間方向に移動する(図5参照)。
【0040】
一方で、ハンドル部410が操作周方向における他方向(図4に記載の矢印Bの方向)に回転すると、回転取付部4110も操作周方向における他方向に沿って移動する。このとき、回転取付部4110は対向方向においては接近方向に移動するため、当部4111も対向方向においては接近方向に移動し、接点保持部40も接近方向に移動する。
【0041】
このように、本実施形態の移動機構41は、ハンドル部410が操作周方向における一方向に回転すると移動機構41が接点保持部40を離間方向に移動させる開動作をとり、ハンドル部410が操作周方向における他方向に回転すると移動機構41が接点保持部40を接近方向に移動させる閉動作をとるように構成されている。
【0042】
ベース部412は、連結部411とハンドル部410の回転範囲を決定するように構成されている。本実施形態のベース部412は、ハンドル用回転軸400を中心とする周方向に沿って形成される円弧状の案内溝4120が形成されている。
【0043】
この案内溝4120に連結部411に形成されている被案内部が配置されることによって、被案内部の回転範囲が定められ、また、被案内部が連結されているハンドル部410の回転範囲も定められるようになっている。
【0044】
ロック機構42は、接点保持部40を接近方向に移動させている状態の移動機構41の動き(開動作)を規制可能であり、遮断操作機構5(後述する、可動体52の接離部)から外力を受けると移動機構41の動き(開動作)に対する規制を解除するように構成される。
【0045】
本実施形態のロック機構42は、接近方向に移動した当部4111に当接する当壁部420と、遮断操作機構5の動作に応じて当壁部420の当部4111から離れる方向への動きを規制する状態と、当壁部420の動きに対する規制を解除する状態とに切替可能な作動板421と、を有する。
【0046】
作動板421は、筐体2内で回転可能に保持されている被保持部4210と、被保持部4210から延出し、先端部が当部4111に当接可能な第1延出部4211と、被保持部4210から延出し、先端部が遮断操作機構5(後述する、可動体52の接離部)に当接可能な第2延出部4212と、を有する。
【0047】
また、作動板421は、被保持部4210を中心とする周方向における一方向に付勢されている。これにより、第2延出部4212が遮断操作機構5からの操作を受けていない状態においては、第1延出部4211の先端部が当部4111に当接可能な位置に配置され、第2延出部4212が遮断操作機構5からの操作を受けると、第1延出部4211の先端部が当部4111に当接可能な位置から離れるように構成されている。
【0048】
遮断操作機構5は、電路部3に流れる電流によって磁力を発生させる吸引体50と、筐体2内に固定されている固定体51と、固定体51に支持される可動体であって、固定体51に支持されている支持位置を中心として回転可能に構成される可動体52と、付勢部材53と、を有する。
【0049】
吸引体50は、軸状に形成されている。また、吸引体50は、軸線方向を高さ方向に合わせた状態で筐体2内に立設されている。
【0050】
さらに、吸引体50は、金属製であり、コイル34本体の内側に挿通されている。そのため、吸引体50は、コイル34に流れる電流に応じて磁力を発生させるように構成されている。
【0051】
固定体51は、図7図8に示すように、筐体2内に固定される基部510と、基部510から延出し且つ先端部で可動体52を受けるように構成される受部511と、を有する。
【0052】
基部510は、筐体2内の底部200側に固定されている。そして、受部511は、基部510から蓋部21側に向かって延出している。
【0053】
受部511の先端部には、図9に示すように、先端から基端側に向かって凹状になっている凹部が形成されている。
【0054】
そのため、受部511は、基部510から延出する方向と同方向に向く一面(載置面)511aと、載置面511aに立設されている一対の立部511bと、を有する。
【0055】
一対の立部511bは、ハンドル用回転軸400の軸線方向と同じ方向で互いの間に間隔を空けた状態で並ぶように形成されている。以下、ハンドル用回転軸400の軸線方向を第1方向と称し、高さ方向(対向方向)と第1方向とに直交する方向を第2方向と称する。
【0056】
本実施形態の遮断器1では、吸引体50と開閉機構4が第2方向で並んでおり、受部511が吸引体50と開閉機構4の間に配置されている。
【0057】
可動体52は、図8に示すように、受部511によって支持される被支持部520と、被支持部520から吸引体50側に延出し、且つ吸引体50に吸引される被吸引部521と、被支持部520から開閉機構4側に延出し、付勢部材53を介して固定体51に連結される被付勢部522と、被支持部520に対する可動体52の回転範囲を規定する回転規定部523と、被支持部520から開閉機構4側に延出し、且つ可動体52の回転に伴って固定体51に対して接離する接離部524と、を有する。
【0058】
被支持部520は、平板状であり、受部511の載置面511a上に載置される。また、被支持部520は、受部511の載置面511a上に載置されている状態で、受部511から吸引体50側にずれた位置に配置される一端部と、受部511から開閉機構4側にずれた位置に配置される他端部と、を有する。
【0059】
可動体52は、被支持部520が受部511に支持されている位置を中心とする周方向で回転可能である。可動体52の回転に伴って、被吸引部521は吸引体50に対して接離し、接離部524は受部511に対して接離する。
【0060】
可動体52が固定体51(受部511)に支持されている支持位置を中心とする周方向における一方の方向に回転すると、被吸引部521が吸引体50に接近し且つ接離部524が固定体51から離間する。また、可動体52が前記支持位置を中心とする周方向における他方の方向に回転すると、被吸引部521が吸引体50から離間し且つ接離部524が固定体51に接近する。
【0061】
以下の説明において、前記支持位置を中心とする周方向における一方の方向側を遮断周方向と称し、前記支持位置を中心とする周方向における他方側を復帰周方向と称する。
【0062】
被吸引部521は、吸引体50の一端面(軸線方向において蓋部21側に向けて配置される一端面)に対向配置されている。また、被吸引部521は、可動体52の回転に伴って、吸引体50の一端面に当接した状態と、吸引体50の一端面から離間した状態とが切り替わるように構成されている(図4図5参照)。
【0063】
被付勢部522は、可動体52が復帰周方向で回転するように付勢部材53によって付勢されている。
【0064】
可動体52が付勢部材53の付勢力以外の外力を受けていない場合、被支持部520は傾斜した状態になる。このとき、被支持部520の一端部は被支持部520の他端部よりも蓋部側に配置され、被吸引部521は吸引体50の一端面と対向した状態のまま吸引体50の一端面から離れた位置に配置される。
【0065】
一方で、可動体52が付勢部材53の付勢力を上回る大きさの磁力(吸引力)を吸引体50が受けると、可動体52が遮断周方向で回転し、被支持部520の一端部と被支持部520の他端部が第2方向で並んだ状態になる。このとき、被吸引部521は吸引体50の一端面に当接する。
【0066】
そして、吸引体50が受けている磁力(吸引力)が付勢部材53の付勢力よりも小さくなると、被支持部520は傾斜した状態に戻る、被支持部520の一端部が被支持部520の他端部よりも蓋部側に配置される。また、被吸引部521は、吸引体50の一端面と対向した状態のまま吸引体50の一端面から離間した状態に戻る。
【0067】
本実施形態に係る遮断器1の説明では、被吸引部521が吸引体50から離間している可動体52の状態を待機状態と称し、被吸引部521が吸引体50に当接している可動体52の状態を遮断状態と称する。
【0068】
回転規定部523は、固定体51よりも吸引体50側に配置された状態で固定体51に面する(対向する)一方側規定部5230と、固定体51よりも開閉機構4側に配置されて固定体51に面する(対向する)他方側規定部5231とを有する。
【0069】
一方側規定部5230と他方側規定部5231は、被支持部520に形成されている。より具体的に説明すると、被支持部520の第1方向における一端には一方側規定部5230と他方側規定部5231が1つずつ形成され被支持部520の第1方向における他端にも一方側規定部5230と他方側規定部5231が1つずつ形成されている(図11参照)。
【0070】
一方側規定部5230は、固定体51から吸引体50側に向かって延出する延出部5230aと、他方側規定部5231と対向する位置(他方側規定部5231の正面)よりも吸引体50側にずれた位置で延出部5230aから他方側規定部5231側に向かって延出する当接規定部5230bと、を有する。
【0071】
当接規定部5230bは、一方側規定部5230の正面の位置よりも底部200側に位置している(図9参照)。
【0072】
可動体52は、上述のように、固定体51に支持されている支持位置を中心として回転可能に構成されており(図4図5図6参照)、一方側規定部5230と固定体51の間と、他方側規定部5231と固定体51の間には、この回転を許容するための隙間が必要になる。可動体52が回転できるだけの隙間が必要になる。
【0073】
図12図13に示すように、一方側規定部5230と他方側規定部5231が横並びになっていると、一方側規定部5230は、可動体52が待機状態に切り替わっている状態で受部511に当接する位置(図12図13において符号「P1」を付している位置)までしか他方側規定部5231側に形成位置をずらすことができない。
【0074】
本実施形態の一方側規定部5230は、他方側規定部5231から吸引体50側にずれた位置に配置されるため、他方側規定部5231と横並びになっている場合よりも、さらに他方側規定部5231側に形成位置をずらすことができる。
【0075】
このように、可動体52の第2方向での可動範囲を制限する一方側規定部5230と他方側規定部5231のうち、固定体51よりも吸引体50側に配置される一方側規定部5230が、他方側規定部5231と対向する位置(他方側規定部5231の正面)よりも吸引体50側にずれた位置に配置されるため、本実施形態の遮断器1は、可動体52の復帰周方向への回転を阻害せずに一方側規定部5230と他方側規定部5231の間隔を狭めやすくなっている。
【0076】
接離部524は、可動体52の状態が待機状態から遮断状態に切り替わると、固定体51から離間する方向に移動する。このとき、接離部524は、固定体51から離間する方向への移動に伴って第2延出部4212を押操作するように構成されている。
【0077】
これにより、接離部524は、第2延出部4212に外力を与えることによって、移動機構41に開動作を取らせることができるように構成されている。
【0078】
付勢部材53は、被吸引部521が吸引体50に吸引されていない状態においては可動体52を待機状態で保つように構成され、被吸引部521が吸引体50に吸引された後は、可動体52を遮断状態から待機状態に復帰させるように構成されている。
【0079】
本実施形態の付勢部材53は、可動体52の被付勢部522を固定体51の基部510側に向けて付勢するように構成されている。より具体的に説明すると、付勢部材53は、引張ばねによって構成されており、一端部が被付勢部522に取り付けられ、他端部が固定体51の基部510側に取り付けられている。
【0080】
本実施形態に係る遮断器の構成は、以上の通りである。本実施形態の遮断器1では、上述のように、可動体52を支持する固定体51の両側(第2方向における両側)に配置される一方側規定部5230と他方側規定部5231のうち、一方側規定部5230が他方側規定部5231の正面の位置から吸引体50側にずれた位置に配置されるため、一方側規定部5230と他方側規定部5231とが横並びになっている場合よりも、さらに他方側規定部5231側に形成位置をずらすことができる。
【0081】
これにより、遮断器1は、可動体52の復帰周方向への回転が阻害されずに一方側規定部5230と他方側規定部5231の間隔を狭めることができるため、固定体51に対する可動体52のガタツキ(一方規側制部5230と他方側規定部5231が並ぶ方向(本実施形態では第2方向)でのガタツキ)を抑制することによって、遮断動作の安定性を高めることができるようになっている。
【0082】
なお、本発明に係る遮断機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0083】
上記実施形態の遮断器1の説明において、特に言及しなかったが、電路部3と遮断操作機構5とを一組みにしたユニットを複数(具体的には3つ)備えており、各ユニットを1つの開閉機構4によって一括して操作することができるように構成されている。
【符号の説明】
【0084】
1…遮断器、2…筐体、3…電路部、4…開閉機構、5…遮断操作機構、20…収容部、21…蓋部、30…固定接点部、31…可動接点部、32…固定側外部端子、33…可動側外部端子、34…コイル、40…接点保持部、41…移動機構、42…ロック機構、50…吸引体、51…固定体、52…可動体、53…付勢部材、200…底部、300…固定側導電板、301…固定接点、310…可動側導電板、311…可動接点、340…コイル本体部、342…第2接続部、400…ハンドル用回転軸、410…ハンドル部、411…連結部、412…ベース部、420…当壁部、421…作動板、510…基部、511…受部、511a…載置面、511b…立部、520…被支持部、521…被吸引部、522…被付勢部、523…回転規定部、524…接離部、4110…回転取付部、4111…当部、4120…案内溝、4210…被保持部、4211…第1延出部、4212…第2延出部、5230…一方側規定部、5230a…延出部、5230b…当接規定部、5231…他方側規定部、S…接点用付勢部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13