(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139983
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】保持具およびコンクリート基礎の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04G 17/14 20060101AFI20241003BHJP
E02D 27/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E04G17/14 B
E02D27/01 C
E02D27/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050957
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000128038
【氏名又は名称】株式会社エヌ・エス・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 欣也
【テーマコード(参考)】
2D046
2E150
【Fターム(参考)】
2D046BA11
2E150AA40
2E150EB16
2E150FA05
2E150HC02
2E150HC15
2E150MA01X
(57)【要約】
【課題】型枠に装着できる保持具を提供する。
【解決手段】保持具100は、少なくとも一部が一方の型枠の側面に対向して配置される第1本体部10と、第1本体部10に結合された第2本体部20と、第2本体部20に結合され、他方の型枠を配置するための型枠設置部30と、保持具100を一方の型枠に装着するための装着部40と、を備える。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート基礎の立ち上がり部を形成するための対向する型枠間の間隔を保持する保持具であって、
少なくとも一部が一方の型枠の側面に対向して配置される第1本体部と、
前記第1本体部に結合された第2本体部と、
前記第2本体部に結合され、他方の型枠が配置される型枠設置部と、
前記保持具を前記一方の型枠に装着するための装着部と、
を備える保持具。
【請求項2】
前記装着部の少なくとも一部は弾性変形可能であり、少なくとも前記装着部の弾性力を利用して前記装着部によって前記一方の型枠を挟み込むことにより、前記保持具は前記一方の型枠に装着される、
請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記装着部は、
前記一方の型枠の外面に接触する外側挟持部と、
前記一方の型枠の内面に接触すると共に、前記外側挟持部との間で前記一方の型枠を挟み込む内側挟持部と、
を含む請求項1または2に記載の保持具。
【請求項4】
前記外側挟持部および前記内側挟持部の少なくとも一方は、弾性変形可能であり、
少なくとも弾性力を利用して前記外側挟持部および前記内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記外側挟持部および前記内側挟持部の少なくとも一方は、塑性変形可能であり、
前記保持具を前記一方の型枠に装着する際に、塑性変形可能な前記外側挟持部および前記内側挟持部の少なくとも一方を塑性変形させて前記一方の型枠に接触させ、前記外側挟持部および前記内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
請求項3に記載の保持具。
【請求項6】
前記装着部は、
前記一方の型枠の長さ方向における第1端部に前記保持具を装着する際に使用される第1装着部と、
前記第1端部とは反対側の第2端部に前記保持具を装着する際に使用される第2装着部と、
を含む請求項1または2に記載の保持具。
【請求項7】
前記第1装着部は、
前記一方の型枠の外面に接触する第1外側挟持部と、
前記一方の型枠の内面に接触すると共に、前記第1外側挟持部との間で前記一方の型枠を挟み込む第1内側挟持部と、
を含み、
前記第2装着部は、
前記一方の型枠の外面に接触する第2外側挟持部と、
前記一方の型枠の内面に接触すると共に、前記第2外側挟持部との間で前記一方の型枠を挟み込む第2内側挟持部と、
を含む請求項6に記載の保持具。
【請求項8】
前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部の少なくとも一方は、弾性変形可能であり、少なくとも弾性力を利用して前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
または、
前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部の少なくとも一方は、塑性変形可能であり、前記保持具を前記一方の型枠に装着する際に、塑性変形可能な前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部の少なくとも一方を塑性変形させて前記一方の型枠に接触させ、前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
請求項7に記載の保持具。
【請求項9】
前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部の少なくとも一方は、弾性変形可能であり、少なくとも弾性力を利用して前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
または、
前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部の少なくとも一方は、塑性変形可能であり、前記保持具を前記一方の型枠に装着する際に、塑性変形可能な前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部の少なくとも一方を塑性変形させて前記一方の型枠に接触させ、前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
請求項7に記載の保持具。
【請求項10】
請求項1または2に記載の保持具を使用して、外周の立ち上がり部を有するコンクリートベタ基礎を一回打ち工法により製造する方法であって、
前記保持具を外側型枠に装着する工程と、
前記型枠設置部に、前記外側型枠よりも屋内側に位置する内側型枠を載せる工程と、
を含む製造方法。
【請求項11】
請求項1または2に記載の保持具を使用して、外周の立ち上がり部を有するコンクリートベタ基礎を二回打ち工法により製造する方法であって、
前記保持具を外側型枠に装着する工程と、
ベース部を形成するためのコンクリートを打設する工程と、
前記ベース部が硬化した後、前記型枠設置部に、前記外側型枠よりも屋内側に位置する内側型枠を載せる工程と、
を含む製造方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の保持具を使用して、立ち上がり部を有するコンクリート基礎を製造する方法であって、
対向する型枠のうち、天端面の高い方の型枠に前記保持具を装着する工程と、
対向する型枠のうち、天端面の低い方の型枠の上部に前記型枠設置部を取り付ける工程と、
を含む製造方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載の保持具を使用して、立ち上がり部を有するコンクリート布基礎を製造する方法であって、
前記保持具を一方の型枠に装着する工程と、
前記型枠設置部に、他方の型枠を載せる工程と、
を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート基礎を製造する際に使用される型枠間の間隔を保持する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物用のコンクリート基礎を製造する際には、立ち上がり部を形成するために、型枠を対向して設置すると共に、対向する型枠間の間隔を保持する保持具を型枠に取り付ける必要がある。このような保持具は、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1は、金具本体と、この金具本体の端部に設けられて隣接する一方の型枠間に挟着され該金具本体を所定の高さに位置させる挟着部と、この挟着部に対して金具本体の反対側の端部に設けられ他方の型枠の下端を支持する第2本体部とを備える段付き中間巾止め金具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の中間巾止め金具は、中間巾止め金具を型枠の側面に配置し、中間巾止め金具の貫通穴を型枠の貫通穴と整合させ、それらの貫通穴にピンを通すと共に、隣接する2つの型枠によって中間巾止め金具を挟み込むことで型枠に固定される。
【0006】
従来の中間巾止め金具では、中間巾止め金具を型枠の側面に配置した後、中間巾止め金具および型枠の貫通穴にピンを通すまでの間、中間巾止め金具が落下しないように使用者が中間巾止め金具を手で持つなどしなければならず、中間巾止め金具の取り付けに手間が掛かっていた。
【0007】
本発明は、新規な構造を有する保持具を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、上記保持具を使用したコンクリート基礎の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項1)
コンクリート基礎の立ち上がり部を形成するための対向する型枠間の間隔を保持する保持具であって、
少なくとも一部が一方の型枠の側面に対向して配置される第1本体部と、
前記第1本体部に結合された第2本体部と、
前記第2本体部に結合され、他方の型枠が配置される型枠設置部と、
前記保持具を前記一方の型枠に装着するための装着部と、
を備える保持具。
【0010】
(項2)
前記装着部の少なくとも一部は弾性変形可能であり、少なくとも前記装着部の弾性力を利用して前記装着部によって前記一方の型枠を挟み込むことにより、前記保持具は前記一方の型枠に装着される、
項1に記載の保持具。
【0011】
(項3)
前記装着部は、
前記一方の型枠の外面に接触する外側挟持部と、
前記一方の型枠の内面に接触すると共に、前記外側挟持部との間で前記一方の型枠を挟み込む内側挟持部と、
を含む項1または2に記載の保持具。
【0012】
(項4)
前記外側挟持部および前記内側挟持部の少なくとも一方は、弾性変形可能であり、
少なくとも弾性力を利用して前記外側挟持部および前記内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
項3に記載の保持具。
【0013】
(項5)
前記外側挟持部および前記内側挟持部の少なくとも一方は、塑性変形可能であり、
前記保持具を前記一方の型枠に装着する際に、塑性変形可能な前記外側挟持部および前記内側挟持部の少なくとも一方を塑性変形させて前記一方の型枠に接触させ、前記外側挟持部および前記内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
項3に記載の保持具。
【0014】
(項6)
前記装着部は、
前記一方の型枠の長さ方向における第1端部に前記保持具を装着する際に使用される第1装着部と、
前記第1端部とは反対側の第2端部に前記保持具を装着する際に使用される第2装着部と、
を含む項1または2に記載の保持具。
【0015】
(項7)
前記第1装着部は、
前記一方の型枠の外面に接触する第1外側挟持部と、
前記一方の型枠の内面に接触すると共に、前記第1外側挟持部との間で前記一方の型枠を挟み込む第1内側挟持部と、
を含み、
前記第2装着部は、
前記一方の型枠の外面に接触する第2外側挟持部と、
前記一方の型枠の内面に接触すると共に、前記第2外側挟持部との間で前記一方の型枠を挟み込む第2内側挟持部と、
を含む項6に記載の保持具。
【0016】
(項8)
前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部の少なくとも一方は、弾性変形可能であり、少なくとも弾性力を利用して前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
または、
前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部の少なくとも一方は、塑性変形可能であり、前記保持具を前記一方の型枠に装着する際に、塑性変形可能な前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部の少なくとも一方を塑性変形させて前記一方の型枠に接触させ、前記第1外側挟持部および前記第1内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
項7に記載の保持具。
【0017】
(項9)
前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部の少なくとも一方は、弾性変形可能であり、少なくとも弾性力を利用して前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
または、
前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部の少なくとも一方は、塑性変形可能であり、前記保持具を前記一方の型枠に装着する際に、塑性変形可能な前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部の少なくとも一方を塑性変形させて前記一方の型枠に接触させ、前記第2外側挟持部および前記第2内側挟持部によって前記一方の型枠を挟み込む、
項7に記載の保持具。
【0018】
(項10)
項1から9のいずれか1項に記載の保持具を使用して、外周の立ち上がり部を有するコンクリートベタ基礎を一回打ち工法により製造する方法であって、
前記保持具を外側型枠に装着する工程と、
前記型枠設置部に、前記外側型枠よりも屋内側に位置する内側型枠を載せる工程と、
を含む製造方法。
【0019】
(項11)
項1から9のいずれか1項に記載の保持具を使用して、外周の立ち上がり部を有するコンクリートベタ基礎を二回打ち工法により製造する方法であって、
前記保持具を外側型枠に装着する工程と、
ベース部を形成するためのコンクリートを打設する工程と、
前記ベース部が硬化した後、前記型枠設置部に、前記外側型枠よりも屋内側に位置する内側型枠を載せる工程と、
を含む製造方法。
【0020】
(項12)
項1から9のいずれか1項に記載の保持具を使用して、立ち上がり部を有するコンクリート基礎を製造する方法であって、
対向する型枠のうち、天端面の高い方の型枠に前記保持具を装着する工程と、
対向する型枠のうち、天端面の低い方の型枠の上部に前記型枠設置部を取り付ける工程と、
を含む製造方法。
【0021】
項12において、天端面の高い方の型枠に保持具を装着する工程と、天端面の低い方の型枠の上部に型枠設置部を取り付ける工程との順序は問わない。すなわち、天端面の高い方の型枠に保持具を装着した後、天端面の低い方の型枠の上部に型枠設置部を取り付けてもよく、または、その逆であってもよい。
【0022】
(項13)
項1から9のいずれか1項に記載の保持具を使用して、立ち上がり部を有するコンクリート布基礎を製造する方法であって、
前記保持具を一方の型枠に装着する工程と、
前記型枠設置部に、他方の型枠を載せる工程と、
を含む製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の保持具は装着部を備えているため、保持具を型枠に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図5A】型枠の長さ方向における第1端部に装着された保持具の斜視図である。
【
図5B】
図5Aとは別の方向から見た、型枠に装着された保持具の斜視図である。
【
図5C】型枠の長さ方向における第1端部に装着された保持具の平面図である。
【
図6A】型枠の長さ方向における第2端部に装着された保持具の斜視図である。
【
図6B】
図6Aとは別の方向から見た、型枠に装着された保持具の斜視図である。
【
図6C】型枠の長さ方向における第2端部に装着された保持具の平面図である。
【
図9B】ガレージ用の間仕切り布基礎の断面図である。
【
図10B】変形例に係る保持具の第1装着部の平面図である。
【
図10C】型枠に装着された変形例に係る保持具の第1装着部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の保持具100は、コンクリート基礎の立ち上がり部を形成するための対向する2つの型枠200間の間隔を保持する。コンクリート基礎は、例えば住宅またはガレージといった建物用の基礎である。コンクリート基礎は、ベタ基礎であっても布基礎であってもよい。また、コンクリート基礎の製造方法は、一回打ち工法であっても二回打ち工法であってもよい。
【0026】
まず、外周の立ち上がり部(以下、「外周基礎」と表記する。)を有するベタ基礎を一回打ち工法によって製造する際に保持具100を使用する場合を例に挙げ、保持具100の構造および機能について説明する。
【0027】
図1に示すように、2つの型枠200は、外側型枠200Aと、外側型枠200Aよりも屋内側に配置される内側型枠200Bと、から成る。内側型枠200Bの上下方向長さは、外側型枠200Aの上下方向長さよりも短い。ベタ基礎を一回打ち工法で製造する際には、まず、巾止金具300を地盤(捨てコンクリート)に固定し、巾止金具300上に外側型枠200Aを載せる。保持具100を外側型枠200Aに装着し固定する。鉄筋400を配置する。保持具100上に内側型枠200Bを載せる。内側型枠200Bは、保持具100によって地盤から浮いた状態で支持される。巾止金具500を、外側型枠200Aおよび内側型枠200Bの天端面に設置する。外側型枠200Aと内側型枠200Bとの間にコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後、外側型枠200Aおよび内側型枠200Bを脱枠する。こうして、ベタ基礎が製造される。保持具100のうち、外側型枠200Aと内側型枠200Bとの間の部分は、コンクリート内に埋設される。
【0028】
<1.型枠>
保持具100の詳細な構造を説明する前に、
図2を参照して、一般的な型枠200(200A,200B)の構造について説明する。
【0029】
型枠200は、コンクリート側となる内面210、および内面210とは反対側に設けられた複数の縦リブ220を有する。型枠200の長さ方向両端に設けられた縦リブ220a,220bは、外面221、外側の側面222および内側の側面223を有する。縦リブ220a,220bは、複数の貫通穴224(
図2では3つの貫通穴224)を有している。最上方および最下方の貫通穴224には、長さ方向に隣接する2つの型枠200を連結するための連結ピン225が挿入される。後述するように、真ん中の貫通穴224には、本発明の保持具100を型枠200に固定するためのピン600(
図5B参照)が挿入される。
【0030】
なお、縦リブ220a,220bの外面221は、型枠200の外面でもあるため、以下では、縦リブ220a,220bの外面221を、型枠200の外面221と表記することがある。また、縦リブ220a,220bの外側の側面222は、型枠200の側面でもあるため、以下では、縦リブ220a,220bの側面222を、型枠200の側面222と表記することがある。
【0031】
<2.保持具>
次に、
図3Aから
図6Cを参照して、保持具100の構造について説明する。
【0032】
説明の便宜上、
図3Aに示す「上下方向」、「左右方向」および「前後方向」をそれぞれ、保持具100の「上下方向」、「左右方向」および「前後方向」として説明する。なお、
図3Aに示す「上下方向」、「左右方向」および「前後方向」はそれぞれ、
図2に示す型枠200の「上下方向」、「長さ方向」および「厚さ方向」と平行である。
【0033】
図3Aおよび
図3Bに示すように、保持具100は、第1本体部10と、第2本体部20と、型枠設置部30と、第1装着部40と、第1傾倒防止部50と、第2装着部60と、第2傾倒防止部70と、を備える。保持具100は、例えば、金属材料から作製される。保持具100は、高耐食溶融めっき鋼板(例えば、ZAM(登録商標)鋼板)製であることが好ましい。
【0034】
第1本体部10の一部は、縦リブ220a,220bの側面222に接触する(
図5Bおよび
図6A参照)。また、第1本体部10の一部は、長さ方向に隣接する2つの外側型枠200Aの側面222の間に挟まれる。隣接する2つの外側型枠200Aの間の隙間を小さくするために、第1本体部10は薄板から成る。
【0035】
第1本体部10は、少なくとも1つの貫通穴11(好ましくは、複数の貫通穴11)を有する。貫通穴11には、保持具100を外側型枠200Aに固定するピン600(
図5B参照)が挿入される。
【0036】
図3Bに示すように、第1本体部10は、除去容易部12を有する。除去容易部12は、コンクリート基礎の施工後に、第1本体部10のうちコンクリート基礎からはみ出た部分を除去しやすくするための部分である。除去容易部12は、例えば、除去容易部12の位置で、そのはみ出た部分を折り取ることができるようにするための折取部である。このような折取部の構造としては、例えば、上下方向に延びる溝または上下方向に延びるミシン目が挙げられる。なお、除去容易部12は、第1本体部10の左側面に限定されず、第1本体部10の右側面に設けられていてもよく、第1本体部10の左側面および右側面の両方に設けられていてもよい。
【0037】
第2本体部20は、例えば溶接によって、第1本体部10に結合されている。第2本体部20は、第1本体部10から前方に延びている。第2本体部20は、型枠設置部30に内側型枠200Bを載せたときに、内側型枠200Bの重量に耐えることができる強度を有する。これにより、地盤から所定の高さに内側型枠200Bを保持できる。
【0038】
型枠設置部30は、第2本体部20の、第1本体部10とは反対側の端部に、例えば溶接によって結合されている。型枠設置部30には、内側型枠200Bが配置される(
図1参照)。
【0039】
図3Aに示すように、型枠設置部30は、配置部31と、外側規制部32と、内側規制部33と、を備える。配置部31の少なくとも上面、外側規制部32および内側規制部33は、第2本体部20よりも上方に位置している。
【0040】
配置部31は、外側規制部32と内側規制部33との間の部分であり、かつ、内側型枠200Bが載置される部分である。
【0041】
外側規制部32は、配置部31から上方に延びており、内側型枠200Bが外方(
図1の右方向)に移動することを規制する。外側規制部32の一部は、折り曲げ可能となっている。外側規制部32の一部を折り曲げ、内側型枠200Bに引っ掛けることにより、内側型枠200Bの浮き上がりおよび外方への移動を防止できる。
【0042】
内側規制部33は、内側型枠200Bが内方(
図1の左方向)に移動することを規制する。内側規制部33は、配置部31から上方に延びており、後から前に向けて切り起こされている。
【0043】
型枠設置部30は、除去容易部34を有する。除去容易部34は、型枠設置部30のうち、コンクリート基礎からはみ出た部分(すなわち、配置部31、外側規制部32および内側規制部33)を除去しやすくするための部分である。除去容易部34は、例えば、除去容易部34の位置で、そのはみ出た部分を折り取ることができるようにするための折取部である。このような折取部の構造としては、例えば、左右方向に延びる溝または左右方向に延びるミシン目が挙げられる。
【0044】
第1装着部40および第2装着部60は、保持具100が自重で落下しないように保持具100を外側型枠200Aに装着するための部分である。
【0045】
図3Aに示すように、第1装着部40は、第1外側挟持部41と、第1内側挟持部42と、を備える。第1外側挟持部41および第1内側挟持部42はいずれも、第1本体部10に対して同じ側(第1本体部10の右側)に設けられている。
【0046】
本実施形態において、第1装着部40は、保持具100を、外側型枠200Aの左側の端部に装着する場合に使用できる(
図5Aおよび
図5B参照)。保持具100は、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42によって外側型枠200Aを厚さ方向から挟み込むことによって、外側型枠200Aに装着される。
【0047】
図3Aに示すように、第1外側挟持部41は、第1本体部10から右方向に延出すると共に、上下方向に延びている。第1外側挟持部41は、第1内側挟持部42に向けて屈曲または湾曲していることが好ましい(
図4B参照)。
【0048】
第1外側挟持部41のうち、第1内側挟持部42に最も近い部分は、縦リブ220aの外面221に接触する。また、第1外側挟持部41のうち、少なくとも第1本体部10との結合部分は弾性変形可能である。したがって、第1外側挟持部41が、第1内側挟持部42から離隔するように弾性変形した場合、第1外側挟持部41には元の位置に戻ろうとする復元力が生じる。
【0049】
図3Aに示すように、第1内側挟持部42は、前後方向に長い板状であり、第2本体部20から右方向に延出している。第1内側挟持部42のうち、最も第1外側挟持部41に近い部分は、外側型枠200Aの内面210に接触する。
図4Aに示すように、第1内側挟持部42は、第1外側挟持部41と対向している。すなわち、第1内側挟持部42は、上下方向において、第1外側挟持部41の下端から上端の間の範囲に位置している。
【0050】
図4Bに示すように、第1外側挟持部41のうち外側型枠200Aの外面221に接触する部分と、第1内側挟持部42のうち外側型枠200Aの内面210に接触する部分との間の間隔D1は、外側型枠200Aの厚さ(外面221と内面210との間の距離)よりも小さい。
【0051】
図5Aから
図5Cに示すように、保持具100は、第1本体部10の右側面が縦リブ220aの側面222に対向し、外側型枠200Aが第1外側挟持部41と第1内側挟持部42との間に挿入されるように、外側型枠200Aに装着される。第1本体部10の右側面は側面222に接触し、第1外側挟持部41は外面221に接触し、第1内側挟持部42は内面210に接触する。既に述べたように、間隔D1(
図4B参照)は外側型枠200Aの厚さよりも小さいため、保持具100を外側型枠200Aに装着すると、第1外側挟持部41のうち、第1本体部10との結合部分が弾性変形し、第1外側挟持部41が第1内側挟持部42から離れる方向に移動する。この状態の第1外側挟持部41には弾性力(復元力)が生じるため、少なくとも第1外側挟持部41の弾性力を利用して、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42によって外側型枠200Aを挟み込むことができる。また、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42と外側型枠200Aとの間に生じる摩擦力も、保持具100が外側型枠200Aから落下しないための力として働いている。
【0052】
第1本体部10の貫通穴11を外側型枠200Aの貫通穴224と整合させた後、貫通穴11および貫通穴224にピン600を挿入する。別の外側型枠200Aの側面222を第1本体部10の左側面に接触させると共にピン600を別の外側型枠200Aにも通し、2つの外側型枠200Aで保持具100の第1本体部10を挟み込む。別の外側型枠200Aは、後述する第2外側挟持部61と第2内側挟持部62との間に挿入される。こうして、保持具100は2つの外側型枠200Aに固定される。
【0053】
第1傾倒防止部50は、第1装着部40を使用して保持具100を外側型枠200Aに装着すると共に型枠設置部30に内側型枠200Bを載せたときに、内側型枠200Bの質量によって型枠設置部30側が第1本体部10側よりも下がり、保持具100全体が傾いてしまうことを防止する。
【0054】
図3Aに示すように、第1傾倒防止部50は、上下方向に長い板状である。第1傾倒防止部50は、第1外側挟持部41よりも上方に設けられている。また、第1傾倒防止部50は、第1本体部10よりも右方向に配置されている。本実施形態では、板材80が、第1本体部10の後端に配置されており、板材80は、スリット81を有している。スリット81は、板材80の下端から板材80の上下方向長さの途中まで延びている。そして、板材80のうち、第1本体部10に対して右方向に延出している部分が、第1傾倒防止部50を構成している。第1傾倒防止部50の後端面には、スリット81を通って、右方向に折り曲げられた第1本体部10の一部が結合されている。
【0055】
図5Aおよび
図5Bに示すように、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42によって外側型枠200Aを挟み込んだときに、第1傾倒防止部50は、外側型枠200Aの外面221に対向する。型枠設置部30に内側型枠200Bを載せたときに、第1傾倒防止部50は、外側型枠200Aの外面221に接触することで、保持具100の傾倒を防止する。
【0056】
図3Bに示すように、第2装着部60は、第2外側挟持部61と、第2内側挟持部62と、を備える。第2外側挟持部61および第2内側挟持部62はいずれも、第1本体部10に対して同じ側(第1本体部10の左側)で、かつ、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42とは反対側に設けられている。本実施形態において、第2装着部60は、保持具100を、外側型枠200Aの右側の端部に装着する場合に使用できる(
図6Aおよび
図6B参照)。保持具100は、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって外側型枠200Aを厚さ方向から挟み込むことによって、外側型枠200Aに装着される。
【0057】
図3Bに示すように、第2外側挟持部61は、上下方向に長い板状であり、第1本体部10よりも左方向に延出している。本実施形態では、板材80のうち、第1本体部10よりも左側に位置しており、かつ、スリット81によって第1傾倒防止部50から分離された部分が、第2外側挟持部61を構成している。第2外側挟持部61は、第1傾倒防止部50および第1本体部10と分離されているため、前後方向に容易に塑性変形可能である。第2外側挟持部61を折り曲げることにより、第2外側挟持部61を縦リブ220bの外面221に接触させることができる。
【0058】
図3Bに示すように、第2内側挟持部62は、第2本体部20に一体形成されており、第2本体部20から左方向に延出する板状である。第2内側挟持部62のうち、第2外側挟持部61に最も近い部分が外側型枠200Aの内面210に接触する。第2内側挟持部62は、第2外側挟持部61と対向している。第2内側挟持部62は、第2外側挟持部61の下端近傍と対向していることが好ましい。
【0059】
図4Bに示すように、保持具100を外側型枠200Aに装着する前の状態(すなわち、第2外側挟持部61を折り曲げる前の状態)において、第2外側挟持部61と、第2内側挟持部62のうち外側型枠200Aの内面210に接触する部分との間の間隔D2は、外側型枠200Aの厚さよりも大きくてもよい。
【0060】
図6Aから
図6Cに示すように、第1本体部10の左側面を縦リブ220bの側面222に対向させ、外側型枠200Aが第2外側挟持部61と第2内側挟持部62との間に挿入されるように、保持具100を外側型枠200Aに配置し、第2外側挟持部61を折り曲げて外側型枠200Aの外面221に接触させる。こうして、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって外側型枠200Aを挟み込むことで、保持具100を外側型枠200Aに装着できる。また、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62と外側型枠200Aとの間に生じる摩擦力は、保持具100が外側型枠200Aから落下しないための力として働いている。
【0061】
第1本体部10の貫通穴11を外側型枠200Aの貫通穴224と整合させた後、貫通穴11および貫通穴224にピン600を挿入する。別の外側型枠200Aの側面222を第1本体部10の右側面に接触させると共にピン600を別の外側型枠200Aにも通し、2つの外側型枠200Aで保持具100の第1本体部10を挟み込む。別の外側型枠200Aは、第1外側挟持部41と第1内側挟持部42との間に挿入される。こうして、保持具100は2つの外側型枠200Aに固定される。
【0062】
第2傾倒防止部70は、第2装着部60を使用して保持具100を外側型枠200Aに装着すると共に型枠設置部30に内側型枠200Bを載せたときに、内側型枠200Bの質量によって型枠設置部30側が第1本体部10側よりも下がり、保持具100全体が傾いてしまうことを防止する。
【0063】
図3Bに示すように、第2傾倒防止部70は、上下方向に長い板状である。第2傾倒防止部70は、第2外側挟持部61よりも上方に設けられている。また、第2傾倒防止部70は、第1本体部10よりも左方向に延出している。本実施形態において、板材80のうち、第1本体部10よりも左方向に位置しており、かつ、第2外側挟持部61よりも上方に位置する部分(すなわち、スリット81が設けられていない部分)が、第2傾倒防止部70を構成している。
【0064】
図6Aおよび
図6Bに示すように、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって外側型枠200Aを挟み込んだときに、第2傾倒防止部70は、外側型枠200Aの外面221に対向する。型枠設置部30に内側型枠200Bを載せたときに、第2傾倒防止部70は、外側型枠200Aの外面221に接触することで、保持具100の傾倒を防止する。
【0065】
<3.効果>
第1本体部10を外側型枠200Aに固定し、型枠設置部30に内側型枠200Bを配置することにより、内側型枠200Bを地盤から浮いた状態で支持できる。外側型枠200Aと内側型枠200Bとの間にコンクリートが打設されたときに、保持具100によって外側型枠200Aおよび内側型枠200Bの外方への開きを防止できるため、外側型枠200Aと内側型枠200Bとの間の間隔を保持できる。
【0066】
保持具100が第1装着部40または第2装着部60を備えていることにより、保持具100が自重で落下しないように、保持具100を、外側型枠200Aの所定の高さ位置に装着できる。これにより、保持具100を外側型枠200Aの側面222に配置してから、保持具100および外側型枠200Aにピン600を挿入するまでの間、使用者が保持具100を手で持っている必要がないため、保持具100の取付作業が簡単になる。
【0067】
外側型枠200A(型枠200)の厚さは、製造誤差により外側型枠200Aごとに異なっていたり、あるいは、製造メーカごとに異なっていたりする。第1外側挟持部41が弾性変形可能であることにより、第1外側挟持部41と第1内側挟持部42との間の間隔を変更できる。これにより、種々の厚さを有する外側型枠200Aに保持具100を装着できる。また、第1外側挟持部41の弾性力により、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42によって外側型枠200Aを強固に挟み込むことができる。
【0068】
第2外側挟持部61が塑性変形可能であることにより、第2外側挟持部61の変形量を変えることで、第2外側挟持部61と第2内側挟持部62との間の間隔を変更できる。これにより、種々の厚さを有する外側型枠200Aに保持具100を装着できる。
【0069】
保持具100が第1装着部40および第2装着部60の両方を備えていることにより、外側型枠200Aの左端部または右端部のどちらにでも保持具100を装着できる。
【0070】
第1外側挟持部41が第1内側挟持部42に向けて屈曲または湾曲していることにより、第1外側挟持部41と第1内側挟持部42との間に外側型枠200Aが挿入されるように保持具100を外側型枠200Aの側方から装着する際に、第1外側挟持部41が外側型枠200Aに引っかかり難くなる。
【0071】
第2外側挟持部61の下端は、第2外側挟持部61が折り曲げられたとき、第2外側挟持部61の中で第2内側挟持部62に最も近接する部分である。したがって、第2内側挟持部62が、第2外側挟持部61の下端近傍と対向していることにより、第2外側挟持部61が折り曲げられたとき、第2外側挟持部61と第2内側挟持部62との間の間隔を最も小さくできるため、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって外側型枠200Aを強固に挟むことができる。
【0072】
<4.その他の使用例>
以下では、保持具100のその他の使用例について説明する。
【0073】
[4-1.その他の使用例1]
保持具100は、ベタ基礎を二回打ち工法で製造する際にも使用できる。ベタ基礎を二回打ち工法で製造する際には、
図7Aに示すように、まず、巾止金具300を地盤に固定し、外側型枠200Aを巾止金具300上に載せる。上記と同様の方法により、保持具100を外側型枠200Aに装着し固定する。鉄筋400を配置する。ベース部のコンクリートを打設する。保持具100の一部(第1本体部10の一部および第2本体部20の一部)は、ベース部内に埋設される。一方、配置部31の上面、外側規制部32および内側規制部33は、ベース部内に埋設されない。ベース部が硬化した後、
図7Bに示すように、型枠設置部30に内側型枠200Bを載置し、外側型枠200Aおよび内側型枠200Bの天端面に巾止金具500を設置する。そして、外周基礎のコンクリートを打設する。
【0074】
従来のベタ基礎の二回打ち工法では、硬化したベース部に巾止金具を釘で固定し、その後、巾止金具上に内側型枠200Bを載せている。ベース部は硬いため、巾止金具を釘で固定する作業には手間が掛かる。これに対し、本発明の保持具100は型枠設置部30を備えているため、ベース部が硬化した後に、型枠設置部30に内側型枠200Bを載せるだけでよい。したがって、本発明の保持具100を、ベタ基礎の二回打ち工法で使用すれば、内側型枠200B用の巾止金具をベース部上に固定する作業が不要になる。
【0075】
また、保持具100をベタ基礎の二回打ち工法で使用すると、
図7Aに示すように、保持具100の一部がベース部内に埋設されるため、外側型枠200Aの内面210がベース部の外面に密着した状態を維持できる。これにより、外周基礎のコンクリートを打設したときに、外周基礎のコンクリートの圧力によって外側型枠200Aが外側に傾くことを防止できる。その結果、外側型枠200Aの内面210とベース部の外面との間に隙間ができることを防止できる。したがって、外周基礎のコンクリートのノロが、外側型枠200Aの内面210とベース部の外面との間に隙間に流れることを防止でき、ベース部の外面がノロで汚れてしまうことを防止できる。
【0076】
[4-2.その他の使用例2]
保持具100は、対向する2つの型枠200の天端面の高さが揃っていない場合に、
図1に示すタイプの巾止金具500の代わりに、2つの型枠200の上部に取り付けられ、対向する2つの型枠200間の間隔を保持するために使用され得る。
【0077】
例えば、
図8に示すように、二回打ち工法でベタ基礎を製造する際に、ベース部が想定よりも高くなってしまった場合、ベース部上に設置される内側型枠200Bの天端面が外側型枠200Aの天端面よりも高くなってしまう。この場合、外側型枠200Aおよび内側型枠200Bの天端面上に巾止金具500を設置することはできない。そこで、巾止金具500の代わりに、保持具100を利用できる。
【0078】
図8に示すように、保持具100を上下および前後反転させ、保持具100を、外側型枠200Aに固定したのと同様の方法により、内側型枠200Bに固定する。
【0079】
型枠設置部30は、天端面の低い方の型枠である外側型枠200Aに、外側型枠200Aの上方から取り付けられる。すなわち、配置部31は外側型枠200Aの天端面に接触する。外側規制部32は、外側型枠200Aの外方(
図8の左方向)への移動を規制する。内側規制部33は、外側型枠200Aの内方(
図8の右方向)への移動を規制する。
【0080】
このようにして、保持具100を2つの型枠200の上部に取り付けることができ、保持具100によって2つの型枠200間の間隔を保持できる。
【0081】
なお、一回打ち工法によってコンクリート基礎を製造する場合にも、天端面の高さが揃っていない2つの型枠200に対して保持具100を使用して、2つの型枠200間の間隔を保持できる。
【0082】
[4-3.その他の使用例3]
保持具100は、間仕切り基礎を形成するための対向する2つの型枠間の間隔を保持する保持具としても使用できる。間仕切り基礎は、例えば、ガレージ用の間仕切り布基礎である。
図9Aは、ガレージ用の間仕切り布基礎を製造するためのベースプレート700、第1型枠200C、第2型枠200Dおよび第3型枠200Eなどを組み付けた状態を示す。
図9Bは、完成したガレージ用の間仕切り布基礎の断面図である。
【0083】
地盤上には、ベースプレート700が配置されている。第2型枠200Dは、第1型枠200Cと間隔をあけて対向している。第3型枠200Eは、第2型枠200Dと間隔をあけて対向している。第1型枠200C、第2型枠200Dおよび第3型枠200Eは、
図2を参照して説明した型枠200と同一の構造を有する。保持具100は、外側型枠200Aに固定する場合と同様の方法によって、第1型枠200Cに固定されている。第2型枠200Dは、型枠設置部30上に載置されており、保持具100によって浮いた状態で支持されている。コンクリートが打設されたとき、保持具100によって第1型枠200Cおよび第2型枠200Dの外方への開きを防止できるため、第1型枠200Cと第2型枠200Dとの間の間隔を保持できる。
【0084】
<5.変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、本発明の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、単独で、または、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて、上記実施形態に適用できる。
【0085】
(5-1)第1装着部40または第2装着部60はいずれか一方のみであってもよい。
【0086】
(5-2)第1装着部40および第2装着部60は、第1本体部10に対して逆の配置であってもよく、第1装着部40が保持具100を型枠200の右端部に装着するために使用され、第2装着部60が保持具100を型枠200の左端部に装着するために使用されてもよい。
【0087】
(5-3)第2外側挟持部61と同様に、第1外側挟持部41は塑性変形可能であり、第1外側挟持部41を塑性変形させて型枠200の外面221に接触させることにより、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42によって型枠200を挟み込むようにしてもよい。
【0088】
(5-4)第2外側挟持部61と同様に、第1内側挟持部42は塑性変形可能であり、第1内側挟持部42を塑性変形させて型枠200の内面210に接触させることにより、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42によって型枠200を挟み込むようにしてもよい。
【0089】
(5-5)第1外側挟持部41に加えてまたは代えて、第1内側挟持部42は弾性変形可能であってもよく、少なくとも第1内側挟持部42の弾性力を利用して、第1外側挟持部41および第1内側挟持部42によって型枠200を挟み込んでもよい。第1内側挟持部42は、第1外側挟持部41と同一の構造を有していてもよく、第1外側挟持部41に向けて屈曲または湾曲していてもよい。
【0090】
(5-6)第1外側挟持部41と同様に、第2外側挟持部61は弾性変形可能であってもよい。そして、第2外側挟持部61のうち型枠200の外面221に接触する部分と、第2内側挟持部62のうち型枠200の内面210に接触する部分との間の間隔は、型枠200の厚みよりも小さくなっており、少なくとも第2外側挟持部61の弾性力を利用して、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって型枠200を挟み込んでもよい。第2外側挟持部61は、第2内側挟持部62に向けて屈曲または湾曲していてもよい。
【0091】
(5-7)第1外側挟持部41と同様に、第2内側挟持部62は弾性変形可能であってもよい。そして、第2外側挟持部61のうち型枠200の外面221に接触する部分と、第2内側挟持部62のうち型枠200の内面210に接触する部分との間の間隔は、型枠200の厚みよりも小さくなっており、少なくとも第2内側挟持部62の弾性力を利用して、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって型枠200を挟み込んでもよい。第2内側挟持部62は、第2外側挟持部61に向けて屈曲または湾曲していてもよい。
【0092】
(5-8)第2外側挟持部61に加えてまたは代えて、第2内側挟持部62の少なくとも一部は塑性変形可能であり、第2内側挟持部62を塑性変形させて型枠200の内面210に接触させることにより、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって型枠200を挟み込むようにしてもよい。
【0093】
(5-9)第2外側挟持部61を金属材料から作製すると共に、保持具100を型枠200に装着する前に、第2外側挟持部61と第2内側挟持部62との間の間隔が型枠200の厚さよりも小さくなるように、第2外側挟持部61をあらかじめ折り曲げておいてもよい。そして、保持具100を型枠200に装着するときに、第2外側挟持部61を第2内側挟持部62から離隔するように変形させると共に、第2外側挟持部61を型枠200の外面221に接触させてもよい。第2外側挟持部61が金属材料製であれば、第2外側挟持部61には弾性力が生じるため、少なくとも第2外側挟持部61の弾性力を利用して、第2外側挟持部61および第2内側挟持部62によって型枠200を挟み込むことができる。
【0094】
(5-10)第1装着部40および第2装着部60の少なくとも一方は、第1装着部40または第2装着部60と第1本体部10との間で型枠200の縦リブ220a,220bを挟み込む構造であってもよい。
図10Aに示すように、第1装着部40は、第1本体部10から右方向に延出する突出部43と、突出部43から前方に延びると共に、第1本体部10に向けて屈曲または湾曲した押さえ部44と、を備える。突出部43および押さえ部44は弾性変形可能である。
図10Bに示すように、押さえ部44のうち第1本体部10に最も近い部分と、第1本体部10との間の間隔D3は、縦リブ220aの厚さ(外側の側面222と内側の側面223との間の距離)よりも小さい。
図10Cに示すように、第1本体部10が縦リブ220aの外側の側面222に接触し、押さえ部44が縦リブ220aの内側の側面223に接触し、第1本体部10および押さえ部44によって縦リブ220aを挟み込むことで、保持具100を型枠200に装着できる。本変形例における第1装着部40は弾性変形可能であるため、種々の厚さを有する縦リブ220aに保持具100を装着できる。本変形例では、第1内側挟持部42は必ずしも必要ではない。なお、上記では、第1装着部40が突出部43および押さえ部44から構成されている場合について説明したが、第2装着部60が、突出部43および押さえ部44から構成されていてもよく、この場合、第2内側挟持部62は必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0095】
100 保持具
10 第1本体部
20 第2本体部
30 型枠設置部
40 第1装着部
41 第1外側挟持部
42 第1内側挟持部
60 第2装着部
61 第2外側挟持部
62 第2内側挟持部
200 型枠
200A 外側型枠
200B 内側型枠
200C 第1型枠
200D 第2型枠
200E 第3型枠
210 内面
221 外面
222 側面