(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000014
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】色予測モデル管理方法、管理装置および色予測モデル生成システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20231225BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20231225BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231225BHJP
B41J 2/525 20060101ALN20231225BHJP
【FI】
H04N1/60 300
H04N1/60 830
H04N1/60 970
G06T1/00 510
H04N1/00 127B
H04N1/00 C
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098513
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 充裕
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 崇廣
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐子
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓也
【テーマコード(参考)】
2C262
5B057
5C062
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262EA11
2C262GA52
2C262GA59
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH07
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5B057DC40
5C062AA05
5C062AA25
5C062AA35
5C062AC04
5C062AF01
5C062AF08
5C062AF12
5C062AF14
5C079HB03
5C079HB08
5C079HB12
5C079JA25
5C079KA15
5C079KA18
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA04
5C079MA10
5C079MA13
5C079MA19
5C079NA13
5C079NA29
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】色予測モデルの管理を行ない、色予測モデルの利用を促進する。
【解決手段】画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶部に記憶しておき、学習済色予測モデルの利用者を特定し、利用者が、記憶部に記憶された学習済色予測モデルを利用する際、学習済色予測モデルに紐付けられた利用条件と照合することで、予め定めた範囲で利用者に学習済色予測モデルを利用させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターを用いて、色予測モデルを管理する方法であって、
画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶部に記憶しておき、
前記学習済色予測モデルの利用者を特定し、
前記利用者が、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用する際、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、予め定めた範囲で前記利用者に前記学習済色予測モデルを利用させる、
色予測モデル管理方法。
【請求項2】
前記利用者の特定は、
[1]前記コンピューターを前記利用者がネットワークを介して利用する際のネットワーク上のアドレス、
[2]前記学習済色予測モデルの作成者と前記利用者との組織上の関係、
[3]前記学習済色予測モデルを利用する利用者に設定された会員種別、
のうちの少なくとも一つにより行なう、
請求項1に記載の色予測モデル管理方法。
【請求項3】
前記学習済色予測モデルの前記設定される利用条件は、誰でも自由に利用できる自由利用、条件付きで利用を認める条件付き利用、前記学習済色予測モデルの作成者以外の利用を認めない利用禁止、のいずれかを含む、請求項1または請求項2に記載の色予測モデル管理方法。
【請求項4】
前記条件付き利用は、
前記学習済色予測モデルを照合する範囲の制限を含む複数の設定、
前記学習済色予測モデルを利用する範囲の制限を含む複数の設定、
前記学習済色予測モデルを利用する場合の課金額の複数の設定、
前記学習済色予測モデルを利用する場合の利用期間および利用回数の少なくとも一方を含む複数の設定、
前記学習済色予測モデルを利用する場合の利用方法の制限を含む複数の設定、
のうちの少なくとも一つを含み、
更に、前記複数の設定の中から、前記利用者に応じた設定を、前記利用者に提示する、
請求項3に記載の色予測モデル管理方法。
【請求項5】
前記利用者への提示の際に、前記提示された設定における前記学習済色予測モデルの利用に要する費用を併せて提示する、請求項4に記載の色予測モデル管理方法。
【請求項6】
前記利用者への提示の際に、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルのいずれも利用できない場合には、新たな色予測モデルを生成する場合の見積もりを提示する、請求項4に記載の色予測モデル管理方法。
【請求項7】
前記利用者が、前記学習済色予測モデルを利用する場合に、予め定めた利用料を受け取り、
前記受け取った利用料の少なくとも一部を、前記学習済色予測モデルの所有者に支払う、
請求項1に記載の色予測モデル管理方法。
【請求項8】
画像を形成するために用いられたインク量と前記画像から得られた測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶する記憶部と、
前記学習済色予測モデルの利用者を特定する利用者特定部と、
前記利用者が、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用する際、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、予め定めた範囲で前記利用者に前記学習済色予測モデルを利用させる利用設定部と、
を備えた色予測モデル管理装置。
【請求項9】
既存の色予測モデルを管理する色予測モデル管理装置と、新たな色予測モデルを作成する色予測モデル作成装置と、を備えた色予測モデル生成システムであって、
前記色予測モデル管理装置は、
画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶する記憶部と、
を備え、
前記色予測モデル作成装置は、
利用者を特定する利用者特定部と、
前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、前記利用者の指示に従い、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用した新たな色予測モデルの作成を行なう作成部と、
を備える、
色予測モデル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、色予測モデルの作成と管理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターなどの印刷装置では、所望の色を印刷媒体上に再現することが求められる。ここで印刷装置における色の再現には、フルカラーのみならず、色数の少ない限定的なカラー印刷や単色での印刷も含まれる。このため、実際の印刷に先立って、印刷媒体上に再現される色を予測する技術が求められる。近年、この分野では機械学習を用いて、色予測モデルを生成することが行なわれているが、新たな印刷媒体やインクセットに対して、一から機械学習を行なって新たな色予測モデルを生成するには、再現する色ごとに教師データを用意せねばならず、また色予測モデルの演算に相当の時間がかかってしまう。そこで、特許文献1に記載されているように、予め作成された色予測モデルを参照して、転移学習やファインチューニングを行なうことで、新たな色予測モデルを効率的に作成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術は、色予測モデルの生成を容易にする優れたものであるが、こうした技術を用いて色予測モデルが多数生成されると、その管理が煩雑になってしまう虞があった。また、色予測モデルの生成には、相応の技術や時間を要するので、新たな色予測モデルの生成の際に参照する既存の色予測モデルの扱いをどのようにすべきかという課題も生じ得る。もとよりこうした色予測モデルの管理や扱いという課題は、特許文献1以外の手法で新たな色予測モデルが生成される場合でも同様である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一つの実施態様は、コンピューターを用いて、色予測モデルを管理する方法である。この色予測モデル管理方法は、画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶部に記憶しておき、前記学習済色予測モデルの利用者を特定し、前記利用者が、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用する際、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、予め定めた範囲で前記利用者に前記学習済色予測モデルを利用させる。
(2)また本開示の他の実施態様は、色予測モデル管理装置としての態様である。この色予測モデル管理装置は、画像を形成するために用いられたインク量と前記画像から得られた測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶する記憶部と、前記学習済色予測モデルの利用者を特定する利用者特定部と、前記利用者が、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用する際、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、予め定めた範囲で前記利用者に前記学習済色予測モデルを利用させる利用設定部とを備える。
(3)本開示の更に他の実施態様は、既存の色予測モデルを管理する色予測モデル管理装置と、新たな色予測モデルを作成する色予測モデル作成装置と、を備えた色予測モデル生成システムとしての態様である。この色予測モデル生成システムでは、前記色予測モデル管理装置は、画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶する記憶部、を備え、前記色予測モデル作成装置は、利用者を特定する利用者特定部と、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、前記利用者の指示に従い、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用した新たな色予測モデルの作成を行なう作成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】色予測モデルを管理する装置の概念的な構成を示す概略構成図。
【
図2A】色予測モデル管理装置において管理されるデータの相関を示す説明図。
【
図2B】色予測モデルと紐付けられた所有者や利用条件情報との関係を示す説明図。
【
図3】色予測モデルに紐付けられデータの一例を示す色予測モデルテーブルの説明図。
【
図4】色予測モデルの登録までの処理の一例を示すフローチャート。
【
図8A】ひとまとまりの教師データの構成を例示する説明図。
【
図8B】教師データの詳細な構成を例示する説明図。
【
図9A】色予測モデルの許諾条件の一例および他の例を併せて示する説明図。
【
図9B】色予測モデルの利用プランの複数の例を示す説明図。
【
図10】色予測モデルの利用システムの概略構成図。
【
図11】色予測モデルの利用処理の一例を示すフローチャート。
【
図12】色予測モデル利用フォームの一例を示す説明図。
【
図13】色予測モデルによる再現性の程度を評価する評価方法を例示する説明図。
【
図14】色予測モデルの検索結果の他の例を示す説明図。
【
図15】新たな色予測モデルを作成する場合の色予測モデル利用フォームの一例を示す説明図。
【
図16】色予測モデルの登録状態を例示する説明図。
【
図17】色予測モデルの利用の実績を例示する説明図。
【
図19】利用条件による利用料の一例を示す説明図。
【
図20】色予測モデルの利用者、所有者、利用条件による費用算出について例示する説明図。
【
図21】色予測モデルの所有者に提供され利用実績の表示画面を例示する説明図。
【
図22】色予測モデルの利用者に提供され利用実績の表示画面を例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
(A1)色予測モデルの作成と管理の概要:
実施形態の色予測モデル管理方法や色予測モデル管理装置について説明する前に、その前提となる色予測モデルの作成や登録などの概要について説明する。
図1は、色予測モデルの生成と登録について説明するための概略構成図である。この色予測モデル管理装置50は、印刷機であるブリンター20に接続された色予測モデル作成装置40と検索装置70とを備える。これらの装置は、図ではデータを直接やり取りできる接続関係にあるように示したが、実際には、有線・無線等によるネットワークを介して接続されていてもよい。また、メモリーカード等にデータを保存して、物理的にメモリーカードを移動することで、データをやり取りするようにしてもよい。
【0009】
色予測モデル作成装置40は、関与情報入力部41と測色値入力部43と色予測モデル機械学習器45等を備える。関与情報入力部41は、ブリンター20に接続されており、ブリンター20から、関与情報として、印刷機情報、インク情報、メディア情報などが入力される。なお、これらの情報の一部または全部は、色予測モデル作成装置40に設けられた図示しない入出力機器を用いて、利用者が手動で入力するようにしてもよい。
【0010】
ブリンター20は、本体21にインクカートリッジを含む印刷部22および印刷媒体24であるメディアを搬送する図示しない印刷媒体搬送部などが設けられており、外部から入力された画像データに従い、印刷媒体24上に画像を形成する。印刷媒体24は、一般的な印刷用紙のみならず、ビニールなどのシート状の合成樹脂やシルク、綿などの布なども含まれる。これのメディアは、専用のカートリッジ等に収容して、ブリンター20にセットされるものとしてもよい。ブリンター20には、印刷媒体24上に形成された画像の実際の色を測色するセンサー26も設けられている。センサー26は、具体的には、可視光の波長範囲程度(例えば380~730nm)の光を印刷媒体24に照射し、その反射光の強度を分解能10nm程度で検出して、各波長範囲での光の反射率(以下、分光反射率という)を検出する。もとより、こうした検出する波長範囲は更に狭くても広くてもよい。また、分光反射率に代えて、反射光の波長毎の強度を検出してもよい。
【0011】
このブリンター20に予め用意した色予測モデル作成用の色予測モデル作成パターンCCを印刷させ、その色予測モデル作成パターンCCの各色の分光反射率をセンサー26を用いて読み取り、これを教師データの一部として機械学習することにより学習済色予測モデルを作成できる。詳しい説明は省略するが、色予測モデル作成装置40の色予測モデル機械学習器45は、畳み込み演算を行なう多層のニューラルネットワークを備え、いわゆるディープラーニングに行なうことにより、色予測モデル作成パターンCCの印刷に用いたインク量と測色値との対応関係を学習し、任意のインク量が与えられた際の発色を予測する学習済色予測モデルを作成する。図において符号CIとして示したのは、ブリンター20が印刷し測色した色予測モデル作成パターンCCに対応するインク量のデータであるインク量チャートである。なお、色予測モデル機械学習器45は、訓練用の学習モデルを用意し、これに対して、一から機械学習を行なって、学習済みの色予測モデルである学習済色予測モデルを作成するだけでなく、既存の学習済色予測モデルを利用して、転移学習などにより、新たな学習済色予測モデルを作成することも可能である。これらの処理の違いについては、後述する。また、本実施形態では、色予測モデルの機械学習は、CNN(Convolutional Neural Network)を用いた深層学習を用いたが、カプセルネットワーク型やベクトルニューラルネットワーク型などの各種ニューラルネットワークなど、他のタイプのネットワークや学習のアルゴリズムを利用することも差し支えない。
【0012】
同じインク量であっても、印刷媒体24上に形成された画像の色(発色)は、印刷に用いたインクの種類、印刷媒体24の種類、印刷機自体の違いなどにより異なる。インク量と測色値との対応関係に影響を与えるこれらの情報を関与情報と呼び、機械学習された学習済色予測モデルには、これらの関与情報を紐付ける。
【0013】
図2Aは、色予測モデルを中心に、これら関与情報との関係を示す。色予測モデルには、色予測モデルデータセットCLR-MDLとして、色予測モデルを他の色予測モデルから識別するユニークな色予測モデルID、印刷の対象となるメディアを区別するメディアID、学習に用いた教師データを識別する教師データID、印刷機を特定する印刷機ID、印刷機において用いられたインクセットを特定するインクセットIDなどが含まれる。また、この色予測モデルがコンピューターがアクセするファイルとしてどの位置に保存されているかを示すバイナリーデータのファイルバスと、そのファイルの登録日も含まれる。
【0014】
この色予測モデルには、教師データTDと印刷機情報PRN-INF、メデイア情報MED-INFが直接紐付けられている。また、インク情報INK-INFが、インクが収容されたインクカートリッジが装着される印刷機の印刷機情報PRN-INFを介して、紐付けられている。
【0015】
教師データTDには、インクセットID、印刷機情報ID、教師データ数が含まれる。ここでいう教師データTDは、色予測モデルの機械学習に用いられた複数の教師データの集合をまとめて呼称するものである。教師データTDには、複数の学習用データが含まれる。これを、詳細教師データTDDとして示した。詳細教師データTDDには、教師データIDごとに、色予測モデルの作成に用いるインク量チャートCI上の色番号と、その色の印刷に用いられた各インク1~3のインク量とが含まれる。
【0016】
詳細教師データTDDは、色予測モデル作成パターンCCを印刷した印刷機であるブリンター20で用いられたインク量のデータなので、図示するように、教師データTDは、印刷機情報PRN-INFとも間接的に紐付けられている。その印刷機情報PRN-INFには、印刷機であるブリンター20を識別する印刷機情報ID、色予測モデル作成パターンCCの印刷に用いられたインクセットIDが含まれ、印刷機情報IDには、印刷機型番と印刷機シリアルナンバー(No)も含まれる。同じ印刷機でも、型番やシリアルNoが異なれば、印刷された色予測モデル作成パターンCCにおける発色は異なるからである。
【0017】
この印刷機情報PRN-INFに紐付けられたインク情報INK-INFには、インクセットを特定するインクセットID毎に、インクセットに含まれインクの色数と、インクセットに含まれるインク1、インク2、インク3・・・・の情報とが含まれる。印刷機情報PRN-INFには、この他、双方向印刷の有無やパス数、あるいはインク滴の大きさや種類、記録方法といった情報が含まれるものとしてもよい。印刷された色予測モデル作成パターンCCの発色には、このインクセットと共に、インクが吐出されたメディア(印刷媒体)の種類が大きな影響を与える。このため色予測モデルには、メディア情報MED-INFが紐付けられている。メディア情報MED-INFには、メディアを特定するメディアID毎に、メディアが紙なのかビニールなどの樹脂シートなのかといったメディア種別、そのメディアを製造したメーカー、メディアの型番、メディアが受け入れられるインク量の上限であるインクデューティ(Duty)が含まれる。
【0018】
色予測モデル管理装置50は、登録部51と、問合部52と、色予測モデルデータベース55とを備える。登録部51は、色予測モデル作成装置40から、学習された学習済色予測モデルとこの学習済色予測モデルの学習に用いられた教師データTDを含む関与情報とを受け取り、これを色予測モデルデータベース55に登録する。登録部51は、学習済色予測モデルの登録に際して、学習済色予測モデルと関与情報とを紐付け、かつこれらを検索可能にインデクスを作成して、色予測モデルデータベース55に登録し、将来の利用者による照合に備える。
【0019】
この学習済色予測モデルには、画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係に影響を与える関与情報の他に、学習済色予測モデルの利用に関する情報である利用情報も紐付けられる。学習済色予測モデルとこの利用情報との紐付けの一例を、
図2Bに示す。図示するように、色予測モデルの情報CLR-MDLには、その学習済色予測モデルの所有者の情報である所有者情報OWN-INFと、その学習済色予測モデルを利用する際の条件などの情報である利用条件情報USR-INFとが紐付けられている。
【0020】
所有者情報OWN-INFには、その色予測モデルの所有者(通常は作成者)を示すユニークな所有者IDと所有者が受け取る利用情報の範囲を示す利用情報IDとが含まれる。所有者IDは、所有者をユニークに区別できれば、例えば所有者名を用いてもよい。利用情報IDは、所有者が、その学習済色予測モデルの他者による利用に関してどのような情報を受け取るかを示す。学習済色予測モデルの所有者は、この利用情報IDを指定することで、受け取る情報が、利用により得られる利用料の総額だけか、詳細な内訳を含む情報か、どのような利用者がいつ利用したかといった情報まで含むか、などを指定することができる。
【0021】
利用条件情報USR-INFには、許諾条件などを含む利用の許諾条件IDと利用プランIDとが含まれる。許諾条件IDは、学習済色予測モデル毎に定められた利用の許諾条件を識別するものである。学習済色予測モデル毎に細かく許諾範囲や区分を定めてもよいが、多くの利用者の利用を想定すると、学習済色予測モデルに対して、一定の基準で許諾条件が定められていた方が、利用しやすい。このため、本実施形態では、利用する際の許諾条件を予め複数定め、そのうちのいずれの許諾条件を、学習済色予測モデルに適用するかを許諾条件IDにより示す。他方、利用プランIDは、許諾条件に対応する料金などの利用プランの内容を示す。これらの許諾条件や利用プランの内容については、学習済色予測モデルの利用に関する説明に合わせて、後で詳しく説明する。
【0022】
登録されたデータベースの一例を
図3に示した。図示するように、色予測モデルデータベース55に登録されている学習済色予測モデルは、学習済色予測モデルを識別するための色予測モデルID、この学習済色予測モデルを作成した際に用いられた印刷機を識別する印刷機情報ID、その印刷機で用いられたインクセットを識別するインクセットID、印刷が行なわれた印刷媒体であるメディアを識別するメディアID、学習済色予測モデルを機械学習するのに用いられた教師データを識別する教師データID、学習済色予測モデルのバイナリーデータが保存された場所を示すファイルパス、学習済色予測モデルの作成に利用した学習済色予測モデルを識別する利用色予測モデルID、学習済色予測モデルが登録された日付を示す登録日、などのデータとして、保存されている。利用色予測モデルIDにおいて、「NULL」とされているのは、学習済色予測モデルの作成に利用した既存の色予測モデルがないことを示している。
【0023】
こうした色予測モデルデータベース55にアクセスして、所望の学習済色予測モデルを検索するために、モデル管理装置50には、問合部52が備えられている。この問合部52は、外部の検索装置70に接続されており、検索装置70からの問合せ言語(SQL)により、色予測モデルデータベース55内の該当する学習済色予測モデルを検索する。登録の際にインデクスが作成されているので、利用者が、検索装置70の入力部71を操作して、検索に必要な関与情報、例えば印刷機情報などを入力すると、検索装置70内部でこれをSQLに変換して色予測モデル管理装置50の問合部52に送り、色予測モデルデータベース55内を検索する。検索装置70は、その検索結果を、問合部52を介して受け取り、表示部72に表示する。検索は、関与情報を用いて行なう。つまり、特定のプリンターの特定のインクセットを用いた学習済色予測モデルが、色予測モデルデータベース55に登録されているかを検索するといった使い方が可能である。検索は、
図2に示した関与情報の組合わせであれば、どのようなものでも行なうことができる。なお、利用者が直接SQLを入力して検索を行なわせてもよい。
【0024】
図1に示した色予測モデル作成装置40による学習済色予測モデルの作成と、色予測モデル管理装置50による学習済色予測モデルの登録処理について
図4を用いて説明する。なお、以下の処理では、既存の学習済色予測モデルを利用して新たな色予測モデルを作成する場合を含まない。既存の学習済色予測モデルを利用して新たな色予測モデルを作成する場合を含む処理については、後述する。
図4には、二つの処理フローが記載されている。色予測モデル作成処理は、ブリンター20が接続された色予測モデル作成装置40が行なう処理を示し、色予測モデル作成装置40からの要請を受けて行なわれる登録処理は、色予測モデル管理装置50が行なう処理を示している。
【0025】
図1に示した色予測モデル作成処理が開始されると、色予測モデル作成装置40は、作成しようとする色予測モデルにおける画像を形成するために用いられるインク量と実際に印刷された画像から得られる測色値との対応関係に影響を与える関与情報を取得する(ステップS110)。ここで、関与情報とは、具体的には、
図2に示した印刷機情報PRN-INF、インク情報INK-INF、メディア情報MED-INF、である。印刷機情報PRN-INFの一例を、
図5に示した。印刷機情報PRN-INFは、プリンター1、プリンター2などの印刷機を区別するための印刷機情報IDと、その印刷機情報IDに対応付けられたインクセットID、印刷機型番、印刷機のシリアル番号とを含む。印刷機型番や印刷機シリアル番号などを含むのは、同一のインクセットIDと紐付けられた印刷機でも、型番が異なり、シリアル番号が異なれば、印刷される色が微妙に異なり、色予測モデルが異なるからである。同じ型番の印刷機における印刷機個々の違い、つまりシリアル番号の異なる印刷機間の発色の違いが十分に小さければ、こうした情報は、印刷機情報PRN-INFに含めず、管理しなくてもよい。
【0026】
同様に、インク情報INK-INFには、
図6に一例を示したように、インクセットを識別するインクセットID、そのインクセットに含まれる色数M、インク1~Mまでのインク名が含まれる。インクセットIDが、例えばインク1であれば、図示するように、色数は8であり、「Cyan01」から「LightMagenta01」までの8種類のインク名が登録されている。
【0027】
メディア情報MED-INFには、
図7に例示するように、メディアを識別するメディアID、メディアの種別、つまり塩ビや布、あるいはシルクAなどの種別、メディアを製造したメーカー、型番、ロット番号、一次色に対するインク量の制限値を示すインクデューティ(Duty)、同じく二次色に対するインクデューティなどの情報が含まれる。この例では、メディアのロット番号まで管理しているが、ロット毎の相違が十分に小さければ、ロット番号は管理の対象としなくてもよい。
【0028】
色予測モデルの作成処理(
図4)では、ステップS110において、上述した関与情報を取得する。つまり、色予測モデル作成パターンCCの印刷を行なう印刷機の情報、用いるインクセットの情報、印刷を行なうメディアの情報、などを取得する。印刷機の情報、インクセットの情報、メディアの情報などは、利用者が入力してもよいし、ブリンター20に問い合わせて、ブリンター20から取得してもよい。
【0029】
続いて、色予測モデル作成パターン(以下、単に作成パターンと呼ぶことがある)CCの印刷を行なう(ステップS120)。この処理は、まず色予測モデル作成するための作成パターンCIを取得する処理と(ステップS125)、取得した作成パターンCIを印刷する処理(ステップS135)とを含む。色予測モデル作成装置40は、ステップS110で取得した関与情報から、色予測モデルの作成に必要な色画像の数やインク量の組み合わせなどを、予め定めた規則に従って求め、作成パターンCIを構成する各部のインクデータを生成し(ステップS125)、このインクデータをブリンター20に送って、これを所定のメディア上に印刷する処理を行なう(ステップS135)。
【0030】
ブリンター20は、特定のメディア上に、色予測モデル作成装置40から受け取ったインクデータに従って、作成パターンCCを印刷する。色予測モデル作成装置40は、ブリンター20による印刷が完了すると、印刷されたメディアから色情報を取得して、教師データを生成する処理(ステップS140)を行なう。この教師データの生成処理(ステップS140)には、印刷されたメディア上の作成パターンCCをセンサー26を用いて測色させる処理(ステップS145)と、得られた測色データを用いて教師データTDDを準備する処理(ステップS155)とが含まれる。このステップS145の測色処理では、センサー26を用いて、印刷された各色の領域の分光反射率を取得する。作成パターンCCの各領域は、
図8Bに示したように、各色インクのインク量として規定されているので、各領域に形成された画像の色を分光反射率として取得すれば、インク量データと分光反射率データとを対応付けた教師データTDDを作成できる。この処理がステップS155の教師データの準備処理である。
【0031】
教師データTDには、
図8Aに示すように、教師データを識別するための教師データID、色予測モデル作成パターンCCの作成に用いられたインクセットを示すインクセットID、色予測モデル作成パターンCCの印刷に用いられた印刷機を識別する印刷機情報ID、教師データの数を示す教師データ数などが含まれる。教師データ数は、色予測モデル作成パターンCCにおける色数に対応している。また、教師データTDの中身、つまり詳細教師データTDDは、
図8Bに例示するように、一つの教師データIDに含まれる色予測モデル作成パターンCCの色番号、その色番号の色の印刷に用いられたインク種毎のインク量、その色番号の色をセンサー26等により読み取った色情報、具体的には、分光反射率のデータを含む。
【0032】
こうして教師データを準備すると、次にこの教師データを用いた機械学習を行なって、学習済色予測モデルを作成する(ステップS160)。作成パターンCCには、複数の色の領域があり、その領域の画像を形成するために用いられたインク量とその領域の画像毎に得られる測色値との対応関係を、機械学習させることで、学習済色予測モデルが作成される。その上で、作成された学習済色予測モデルに関与情報を紐付ける(ステップS170)。
【0033】
次に、作成した学習済色予測モデルの許諾条件の選択(ステップS180)と、利用プランの選択(ステップS185)とを行なう。許諾条件とは、作成した学習済色予測モデルをどのような条件でどこまでの利用を認めるかという設定である。また、利用プランとは、学習済色予測モデルの利用を認める場合、区分毎の利用料金などの条件である。選択する許諾条件等である学習済色予測モデルの許諾条件の一例を
図9Aに、利用プランの一例を
図9Bに、それぞれ示した。
【0034】
図9Aに示した許諾条件は、大きくは、全ての利用者に自由な利用を認めるという取り扱いに対応する許諾条件1(以下、これを「自由利用」という)と、条件付きで利用を認めるという取り扱いであり、区分毎に異なる条件で利用を認める許諾条件2(以下、これを「条件付き利用」という)と、本人以外の利用者の利用を認めない利用禁止の取り扱いである許諾条件3(以下、これを「非公開」という)との3つに分かれる。このうち許諾条件2の区分1~区分4は、利用者と所有者との関係に基づく区分を例示したが、他の条件例として、図下段に示したように、接続環境による区分や、会員種別による区分、なども可能である。こうした許諾条件2の条件例1~3は、学習済色予測モデルの利用の形態の例示であり、一つの色予測モデル利用システム10では、いずれか一つのみに固定されていてもよいし、学習済色予測モデル毎に2つ以上の条件例を選択できるものとしてもよい。また、条件例1~3は、3つ以下の区分でもよいし、5つ以上の区分としてもよく、またその区分の数や区分する手法も、これらの例示に限られない。
【0035】
他方、利用プランは、条件付き利用の場合の各区分毎の料金や利用回数の制限などを定める。学習済色予測モデルの作成者は、完成し登録する学習済色予測モデルの所有者として、利用者にどのような条件で利用を認めるかを選択する。
図9Bに例示したプラン1~5のうち、プラン1、2は、利用に際して課金や還付(ライセンス料の支払い)がある場合を含む例である。プラン3は、使用回数の制限が区分毎に異なる例、プラン4は、利用する場合に広告が付随するか否か、また広告収入の分配の有無などを含む例である。プラン5は、検索対象となる色予測モデルの公開からの期間の制限を設ける例である。プラン5の例では、区分1では全ての色予測モデルが検索および利用の対象となるのに対して、区分2~4では、登録されている全色予測モデルのうち、最近公開された色予測モデルが除外される設定とされている。利用プランの設定は、プラン1~5のいずれかを選択するものとしたが、複数のプランを組み合わせるものとしてもよい。もとより、プランの内容は、自由に設定可能である。なお、許諾条件や区分の設定、また利用ブランの選択などは、色予測モデルの所有者が設定するものとしたが、利用システムで一律の設定としてもよい。
【0036】
許諾条件や利用プランの選択などを行なった後、作成された学習済色予測モデルと、この学習済色予測モデルに付随する関与情報と、選択した許諾条件や利用プランとを、色予測モデル管理装置50の色予測モデルデータベース55に登録するよう、色予測モデル管理装置50に要請する(ステップS190)。
【0037】
この要請を受けたモデル管理装置50は、学習済色予測モデル毎にユニークな識別子を発行し(ステップS191)、学習済色予測モデルと関与情報とを紐付けて、色予測モデルデータベース55に登録し(ステップS192)、登録完了を、色予測モデル作成装置40に返信する(ステップS193)。この完了通知を受けて、色予測モデル作成装置40は、処理を終了する。ここで、許諾条件や利用プランは、検索の対象とはならないので、色予測モデルデータベース55においてはインデックスの作成は行なわれないが、検索によって学習済色予測モデルが特定されると、その学習済色予測モデルの許諾条件や利用プランとして、併せて読み出される。
【0038】
(A2)色予測モデル利用システムについて:
以上、学習済色予測モデルの作成と登録の概要を説明した。次に、実際の色予測モデル利用システム10の構成と、学習済色予測モデルの管理について詳しく説明する。
図10は実施形態における色予測モデル利用システム10の概略構成図である。この色予測モデル利用システム10は、学習済色予測モデルを利用しようとするコンピューター100,110,120,130と、色予測モデル作成サーバー600と色予測モデル管理サーバー500とを、相互に接続した構成を備える。コンピューター100,110,120,130は、学習済色予測モデルを入手しようとする利用者が用いるものであり、学習済色予測モデルを入手するためのアプリケーションプログラムをダウンロードして動作させる。コンピューター100,110,120,130は、広域ネットワークNWを介して、色予測モデル管理サーバー500や色予測モデル作成サーバー600とやり取りして、学習済色予測モデルの入手を受注する受注システムとして機能する。なお、学習済色予測モデルを入手するためのプログラムは、サーバ側で動作するWebアプケリーションとして用意してもよいし、WebAPIを通じてサーバ側のプログラムを利用するという形で利用者に提供してもよい。
【0039】
コンピューター100は、色予測モデル管理サーバー500や色予測モデル作成サーバー600と共に、同一のサブネットマスクを有するイントラネットLANに接続されている。コンピューター110は専用回線LCを介して、イントラネットLANに接続されている。コンピューター120,130は、インターネットなどの広域ネットワークWANを介して、イントラネットLANに接続されている。このうち、コンピューター120はVPN接続であり、コンピューター130は、VPN接続でない通常の接続である。イントラネットLANは、後述するEP社という企業の内部のネットワークであり、コンピューター110,120は、EP社と何らか関係を有する企業、例えば子会社や提携企業である。コンピューター130は、EP社とは何ら関係を有しない一般企業である。
【0040】
コンピューター100は、キーボード101などの入力手段を用いてデータや指示を入力可能であり、また色予測モデル作成サーバー600等とのやり取りに火四通な情報を表示するディスプレイ102を備える。他のコンピューター110,120,130も同様である。また、コンピューター100は、
図1に示したように、ブリンター20やセンサー26を備えるものとしてもよい。
【0041】
色予測モデル管理サーバー500の構成は、色予測モデルデータベース55を備えるといった点で、
図1に示した色予測モデル管理装置50と基本的に同様である。
図1に示した登録部51や問合部52は、
図10では、イントラネットLANを介して外部とやり取りする機能を含めて、管理制御部56として示した。また管理制御部56は、外部からアクセスする利用者を特定する利用者特定部57や学習済色予測モデルに設定された利用条件と照合して利用の可否を判断する利用設定部58を備える。この管理制御部56は、CPUを備え、上記の機能を含めて、色予測モデル管理サーバー500全体の機能を制御する。
【0042】
色予測モデル作成サーバー600は、
図1に示した色予測モデル作成装置40と同様に、教師データTDにより、色予測モデルを機械学習するものであり内部に機械学習器DLEを備える。また、教師データTDを整えたり、教師データTDを構成するために、色予測モデル作成パターンCCに対応したインク量チャートCIを生成したりする生成制御部66を備える。この生成制御部66は、内部にCPUを備え、イントラネットLANを介してコンピューター100や色予測モデル管理サーバー500とやり取りする機能を含めて、色予測モデル作成サーバー600全体の機能を制御する。なお、新たな学習済色予測モデルの作成を行なわず、単に既存の学習済色予測モデルを利用するだけであれば、色予測モデル作成サーバー600はなくてもよい。
【0043】
色予測モデル利用システム10では、学習済色予測モデルの作成や登録を行なえるのは、イントラネットLANに接続されたコンピューター100の利用者だけであり、この点で、コンピューター100を利用する利用者を便宜的に所有者と呼ぶ場合がある。また、イントラネットLANに専用回線LCで接続したコンピューター110の利用者やVPNで広域ネットワークWAN経由で接続したコンピューター120の利用者は、所有者とは何らかの関係を持つことから、関係者と呼ぶ場合がある。更に、広域ネットワークWAN経由で単に接続しているコンピューター130の利用者を一般利用者と呼ぶ場合がある。
【0044】
図10に示した色予測モデル利用システム10での処理の様子を、
図11に示したフローチャートに沿って説明する。なお、図の処理は、コンピューター100から130、色予測モデル管理サーバー500、および色予測モデル作成サーバー600の三者の処理を統合したものである。どの装置による処理かは、逐次説明する。便宜的に、コンピューター100を受注システムとして行なう利用処理を中心に、以下説明する。
【0045】
図11に示した色予測モデルの生成処理が開始されると、まず色予測モデル利用フォームを、利用者が利用するコンピューター100のディスプレイ102に表示する処理を行なう(ステップS210)。表示される色予測モデル利用フォームの一例を
図12に示した。このフォームの上段は、関与情報の入力用の入力欄等を表示し、中段は、入力者情報等を入力する入力欄を表示し、下段は、色予測モデルの利用に関わる情報を提示する表示欄や指示を行なうボタンなどを表示している。次に、このフォームの上段と中段の入力欄を用いて、学習済色予測モデルの検索条件を入力する処理を行なう(ステップS220)。具体的には、関与情報の入力や取得を行なう。
【0046】
関与情報については、学習済色予測モデルを利用したいと考えている印刷機の機種名を印刷機入力欄81に、メディアの種別をメディア種入力欄82に、印刷機における印刷モードを印刷モード入力欄83に、インクセット名をインクセット入力欄84に、また、入力したメディアのデューティ制限値の一次色,二次色,合計値をデューティ制限値入力欄86に、それぞれ入力する。このうち、印刷機の機種名と印刷モードとインクセットとは、印刷機情報取得ボタン75をポインティングデバイス等でクリックすることで、コンピューター100に接続されたブリンターから取得してもよい。同様に、メディア種別とそのメディアに対するインクデューティとは、メディア情報取得ボタン76をクリックすることで、ブリンターから、あるいはブリンターを介して印刷媒体を収容したメディアカートリッジから取得するようにしてもよい。
【0047】
これらの情報を印刷機側から取得する場合、印刷機に予めこれらの情報を記憶しておき、コンピューター100からの問合せに応じて、記憶しておいた情報を出力するようにしてもよいし、問合せを受けた際には、メディアやインクの分光反射率などのデータを取得し、予め機械学習した学習済みモデルを用いて、メディアやインクの種別を判別して、コンピューター100側に出力するものとしてもよい。メディアやインクは、種別に応じて、それぞれ異なる分光反射率などの光学的特性が異なるので、機械学習済みモデルを用いてこれを判別することは可能である。
【0048】
検索条件の入力(ステップS220)に引き続き、利用者の情報の入力を行なう(ステップS230)。利用者の情報は、
図12に示した中段の利用者名を入力する利用者名入力欄78やパスワードを入力するパスワード入力欄79を用いて入力する。図では、利用者名とパスワードを例示したが、予め利用者を会員として登録しておく場合は、会員番号や会員IDにより利用者名の入力に変えてもよい。パスワードは、利用者を確認するために入力するが、利用者による区分を、
図9Aに示した一例のように、接続環境によって行なう場合には、色予測モデル管理サーバー500側から接続環境の情報を受け取って自動的に表示するようにしてもよい。この場合、利用区分の確定のためだけであれば、利用者を個別に特定する必要はないが、課金などを行なう場合には、利用者名などの入力を求め、利用者を個別に特定する。
【0049】
これらの情報を入力した後、色予測モデル利用フォームの上段に設けられた色予測モデル検索ボタン77を操作して、既存の学習済色予測モデルの検索を指示する(ステップS240)。検索の結果は、色予測モデル利用フォーム下段の色予測モデル名表示欄91、利用条件表示欄94などに表示される。なお、このフォームの下段には、検索された学習済色予測モデルが複数あった場合に、他の学習済色予測モデルに切り換える上下の三角マーク(▲▼)92や、その後の操作を選択して指示する利用指示ボタン95,色予測モデルを新たに作成することを指示する新規作成ボタン96、色予測モデル利用システム10の利用を終了するキャンセルボタン97、検索された学習済色予測モデルの評価を指示する評価ボタン98、評価結果を表示する評価値表示欄99、なども表示されている。
【0050】
色予測モデル検索ボタン77については、利用者は、少なくとも上段の各入力欄に印刷機情報などの必要な情報を入力すれば、色予測モデル検索ボタン77を操作して、色予測モデルの検索処理を、色予測モデル管理サーバー500に行なわせることができる。検索の結果は、色予測モデル利用フォームの下段に表示されるが、利用者情報が入力されていないと、検索された学習済色予測モデルの名称は表示されるが、利用に要する費用などの欄は表示されず、空欄となる。
【0051】
色予測モデル作成フォームの上段の入力欄に関与情報を入力した後、検索ボタン77をクリックすると、入力された関与情報に基づき、色予測モデルデータベース55に登録された学習済色予測モデルを検索する。
図12に示した例では、印刷機はプリンターModelXであり、印刷されるメディアはシルクAであり、インクセットはCMYKRGrLcLmであり、印刷モードが16passである条件で、既に作成された学習済色予測モデルが、色予測モデルデータベース55に登録されているか検索する。なお、CMYKRGrLcLmのインクセットとは、
図6に示したインク1である。
【0052】
入力した検索条件などを用いて検索処理が実行され、条件に一致する学習済色予測モデル、つまり入力された関与情報と同じ条件で作成された学習済色予測モデルが色予測モデルデータベース55に登録されていたとしてこれがヒットすると(ステップS245:「YES」)、次に検索された学習済色予測モデルを評価するかを確認し(ステップS255)、評価ボタン98が操作されて学習済色予測モデルの評価を指示された場合には評価処理を行なう(ステップS260)。
【0053】
学習済色予測モデルの評価は、以下のようにして行なう。まず、受注システムであるコンピューター100は、評価用のカラーチャートに対応するインク量チャートCIを色予測モデル管理サーバー500からダウンロードし、これを印刷しようとしているブリンター20で印刷し、センサー26を用いて、チャートの各色の分光反射率を測定する。その上で、検索してヒットした学習済色予測モデルに、評価用のカラーチャートを印刷する際に用いた各色のインク量を与えて、対応する発色を予測させ、この予測した色と測色結果とを比較することにより行なう。比較の一例を、
図13に示した。メディアに印刷された画像の発色は、光源の色温度によっても異なる。このため、図示する例では、以下の二つの比較方法のいずれかで、両者を比較し、検索した学習済色予測モデルを評価する。
【0054】
第1の比較方法では、
(1)D50光源下のLab色空間での発色、
(2)D65光源下のLab色空間での発色、
(3)F12光源下のLab色空間での発色、
(4)A光源下のLab色空間での発色、
を用いて比較する。この場合、比較元は、予め用意した所定数の色画像を含むパターンAが印刷されたメディアから得られた測色値、つまり分光反射率に光源の分光分布を加味し、更に2度視野等色関数を用い、特定の色の画像のXYZ色空間での値を求め、ここからLab色空間の値を求めたものである。比較先は、パターンAの対応するインク量から、検索して得られた学習済色予測モデルを用いた推論した発色の予測値、つまりその分光反射率に光源の分光分布を加味し、同様に2度視野等色関数を用い、XYZ色空間での値を求め、ここからLab色空間の値を求めたものである。なお、ここでLab色空間やXYZ色空間と略記した色空間は、正確には、それぞれ、国際照明委員会(CIE)が定めたCIE L*a*b*色空間、CIE XYZ色空間である。
【0055】
比較元と比較先とを比較して両者の隔たりΔEを求め、以下のように判断する
[1]両者の隔たりの平均値であるΔEave が値1.0未満で、かつ最大の隔たりΔEmax が値2.0未満であれば、検索して得られた学習済色予測モデルは、そのまま使用可能と判断する。また、予測精度をA~Eの5段階で評価するのであれば、最も精度が高いAと判定する。
[2]隔たりの平均値であるΔEave が値3.0未満で、かつ最大の隔たりΔEmax が値10.0未満であれば、検索して得られた学習済色予測モデルは、若干の差異は生じるものの使用を推奨できる程度であると判断する。また、予測精度をA~Eの5段階で評価するのであれば、最も精度が高いAよりは低いBまたはCと判定する。
なお、閾値は例示であり、隔たりの平均ΔEave のみで判断してもよいし、最大の隔たりΔEmax で判断してもよい。また、判断をせず、隔たりの平均値であるΔEave と最大の隔たりΔEmax とを計算するに留めてもよい。なお、4つの光源全てでの測色値を用いて、比較を行なってもよいし、少なくともD50光源下で比較してもよい。通常は、(1)と(3)とが用いられる。
【0056】
もう一つの比較方法である第2の比較方法は、
(5)インク単色のインク量と分光反射率の2次元相関関数を用いる方法
である。この場合、比較元として、波長をX軸、インク量をY軸、画素値を印刷パターンAの測色分光反射率とした画像a1を構成し、比較先として、波長をX軸、インク量をY軸、インク量を学習済色予測モデルで推論して得られる分光反射率を画素値とした画像a2を構成し、画像a1と画像a2の正規化相互相関係数を算出し、以下のように判断する。
[1]正規化相互相関関数が値0.9以上であれば、その学習済色予測モデルはそのまま使用可能であると判断する。予測精度は、最も精度が高いAと判定する。
[2]正規化相互相関関数が値0.75以上であれば、その学習済色予測モデルは、差異は生じるものの使用を推奨できる程度であると判断する。予測精度は、最も精度が高いAよりは低いBまたはCと判定する。
もとより、これらの閾値も例示であり、判断の閾値は実験的、経験的に定めればよい。評価はA~Eの5段階で行なったが、段階数は任意であり、あいは隔たりの平均値や相互相関関数の数値をそのまま評価値としてもよい。
【0057】
このように、評価用のカラーチャートを用いた測色結果によって、検索された学習済色予測モデルの評価(
図11、ステップS260)を行なった後、評価結果と共に、利用条件を表示部72に表示する(ステップS270)。この例では、評価ボタン98が操作されて、評価結果として、ΔEの値と共に、「使用可能」であることが、評価値表示欄99に表示される。一方、利用条件は、利用条件表示欄94に表示される。この表示の内容は、検索された学習済色予測モデルに設定された許諾条件(
図9A)と利用プラン(
図9B)とにより決定されたものである。
図12に示した例では、検索された学習済色予測モデルの許諾条件として制限付き条件3が指定されており、色予測モデル利用システム10を利用したコンピューター120を受注システムとする利用者は、一般会員であり、プラン2と3が組み合わされた利用プランが設定されていることや、学習済色予測モデルの利用料は、料金Cであること、今月の利用回数が1回であり、今月はあとN-1回の利用が可能であること、等が示されている。
【0058】
複数の学習済色予測モデルが検索されていた場合は、
図12に示したように、一つずつ、色予測モデル名表示欄91に色予測モデル名を表示してもよいが、例えば
図14に例示するように、検索した学習済色予測モデルを一覧的に表示してもよい。図では、検索された学習済色予測モデルについて、作成日やその作成日から検索を行なった日までの経過時間、インクデューティの制限、予測精度(A~Eまで5段階)、利用料、学習済色予測モデルの所有者名といった項目を一覧的に表示した例を示している。もとより、一覧的に表示する場合の表示項目は任意である。
【0059】
この表示を確認した利用者は、利用指示ボタン95、新規作成ボタン96、キャンセルボタン97のいずれかを操作することで、以下の処理を色予測モデル利用システム10に行なわせる。キャンセルボタン97が操作された場合は、学習済色予測モデルの利用や作成は行なわず、終了に抜けて、本ルーチンを終了する。一方、新規作成ボタン96が操作された場合には、処理はステップS370に移行して、新しい色予測モデルの作成条件を提示する。なお、ステップS370以下は、ステップS245の判断において、検索した学習済色予測モデルがヒットしなかった場合にも、実行されるので、併せて説明する。
【0060】
色予測モデルの作成を行なう場合の表示の一例を、
図15に示す。この場合、表示部72の最下段の新規作成情報表示欄93には、新たに色予測モデルを作成する場合に要する費用と時間が表示される。新たな色予測モデルの作成は、機械学習器DLEを用いてもかなりの時間がかかることから、予測される作成時間と、性能の高い学習器を利用するタイムチャージ分の予想請求金額とが表示される。なお、一から色予測モデルを作成するのではなく、検索によって見い出された既存の学習済色予測モデルを転用して、所望の学習済色予測モデルを作成することも可能である。既存の学習済色予測モデルの転用は、転移学習により実現できる。
【0061】
この表示を確認して、利用者が、既存の学習済色予測モデルを利用して色予測モデルを作成するとして新規作成ボタン96を操作したと判断した場合(ステップS375:「利用する」)の新規色予測モデルの作成処理(ステップS380)について、まず説明する。既存の学習済色予測モデルを転用して新たな色予測モデルを作成する場合には、以下の処理を行なう。
(A)コンピューター100から色予測モデル作成用パターン1を色予測モデル作成サーバー600に対して要求し、色予測モデル作成サーバー600がこのパターン1に対応するインク量データを作成し、これを受注システム100に送信する。
(B)パターン1のインク量データを受け取った受注システム100が、このパターン1を、印刷に用いようとしているブリンター20で印刷し、印刷された画像をセンサー26を用いて測色する。
(C)測色したデータを、色予測モデル管理サーバー500を介して色予測モデル作成サーバー600に送り、色予測モデル作成サーバー600は、転用する既存の学習済色予測モデルを色予測モデル管理サーバー500から取得する。
(D)既存の学習済色予測モデルを利用し、色予測モデル作成サーバー600は、機械学習器DLEを用いて、転移学習により、新たな色予測モデルを作成する。
【0062】
他方、既存の学習済色予測モデルを用いず、一から色予測モデルを作成として新規作成ボタン96を操作したと判断した場合(ステップS375:「利用しない」)の処理は、以下の通りである。
(a)コンピューター100から色予測モデル作成用パターン2を色予測モデル作成サーバー600に対して要求し、色予測モデル作成サーバー600がこのパターン2に対応するインク量データを作成し、これを受注システム100に送信する。色予測モデル作成用パターン2は、学習済色予測モデルを転用する場合のパターン1と比べて、色数が多い。
(b)パターン2のインク量データを受け取った受注システム100が、このパターン2を、印刷に用いようとしているブリンター20で印刷し、印刷された画像をセンサー26を用いて測色する。
(c)測色したデータを、色予測モデル管理サーバー500を介して色予測モデル作成サーバー600に送る。
(d)色予測モデル作成用パターン2の測色データを用いて、色予測モデル作成サーバー600は、機械学習器DLEを用いて、機械学習により、新たな色予測モデルを作成する。
【0063】
上記いずれかの手法で新規色予測モデルを作成した後(ステップS380)、これ登録する処理(ステップS390)を行なう。登録は、学習済色予測モデルを新たに作成した人(所有者)や、その学習済色予測モデルの許諾条件、利用プランなどを、色予測モデルデータベース55に登録する処理である。
図16に、こうした登録の一例を示す。図示する例では、二つの学習済色予測モデルが登録された様子を示す。
【0064】
図の例では、モデル1は、作成した所有者がEP社であり、許諾条件は「条件1」で料金は「プラン2」である。色予測モデルデータベース55に登録される情報は、他に、関与情報や、その後の利用により生じる実績データなどがある。モデル2は、作成した所有者はMM社であり、許諾条件は「非公開」である。他の関与情報や実績データも同様に登録されるが、許諾条件が「非公開」なので、料金プランは存在しない。登録処理が完了すれば、本ルーチンを終了する。
【0065】
以上、転用により学習済色予測モデルを作成する場合、または一から新規に色予測モデルを作成する場合の処理について説明した。これに対して、学習済色予測モデルを検索し、既存の学習済色予測モデルがヒットして、評価も行なった状態、つまり
図12が表示された状態で、利用指示ボタン95が操作された場合について説明する。以下の処理が、学習済色予測モデルを利用する場合の処理である。この場合には、色予測モデル名表示欄91に表示された色予測モデルを利用して色予測を行なわせる(ステップS280)。利用者は、色予測モデル管理サーバー500側で色予測を行なわせ、その結果だけ取得する。色予測を行なった後、実績登録処理(ステップS290)、課金処理(ステップS295)を行ない、その後、本ルーチンを終了する。この例では、色予測自体は、色予測モデル管理サーバー500側で行なうものとしたが、既存の学習済色予測モデルがヒットした場合、利用者がこれを自らの受注システム100にダウロードして色予測を行なってもよい。こうしたダウンロードによる利用を認める場合には、色予測モデル管理サーバー500に接続した状態でなければ色予測の処理が動作しないようにし、色予測を行なう度に課金するようにしておくなどの処置を施しておけばよい。あるいは、買い取り料金といった別の課金モデルを用意し、ダウンロードした後は自由に利用できるものとしてもよい。実績登録処理は、色予測モデルデータベース55に登録されている学習済色予測モデルが利用された場合の実績を登録する処理である。実績は、色予測モデルデータベース55に登録される。登録の一例を、
図17に示す。利用の実績は、色予測モデルID毎に、その色予測モデルを作成した所有者名、利用した利用者名、利用日時、色予測モデルの学習に用いられた色数、印刷機情報等を含む。
【0066】
一つの学習済色予測モデルが利用されると、既に説明した様に、利用者は所有者との関係で所定の料金を支払うことがある。利用料金は、許諾条件と利用プランとに従うが、仮に許諾条件が、
図9Aに例示した条件1、つまりクライアントの関係による場合には、
図18に示すようなクライアントのリレーションテーブルを参照し、所有者に対する利用者の関係を取得し、その関係に応じて、
図9Bに例示した利用プランに従って、利用者に課金する課金処理を行なう(ステップS295)。課金による決済は、学習済色予測モデルを利用する度(ステップS280)に行なってもよいし、一定の単位、例えば1か月毎にまとめて請求し、決済するようにしてもよい。あるいは予め利用を前提とした前払い利用料の支払いを受け、利用の度にその前払い利用料から引き落とすようにしてもよい。以上の処理の後、本ルーチンを終了する。
【0067】
以上説明した実施形態の色予測モデル利用システム10によれば、既存の学習済色予測モデルを容易に検索でき、利用者ごとの利用条件が定められているから、その範囲で、検索した学習済色予測モデルを利用できる。色予測モデルを必要とする利用者は、いちいち色予測モデルを機械学習によって作成する必要がなく、既存の学習済色予測モデルを利用できる。この結果、色予測モデルを用いた色予測が行ない易くなり、印刷物の品質向上や印刷ミスによる廃棄物の発生を抑制できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、既存の学習済色予測モデルを利用しようとする利用者に、所有者との関係に従って、課金することができ、その課金の一部を所有者に還元している。このため、色予測モデルの作成と公開をしようとするモチベーションが働き、多種多様な学習済色予測モデルが作成され公開され易くなる。このため、利用者、所有者の双方に取って有益なシステムとして運用可能となる。利用者を特定するとき、予め所有者との組織上の関係を定めた関係テーブルを用意して、これに基づいて利用者を特定しても良いが、ネットワーク上の接続環境などを利用して、関係テーブルなしで利用者を特定してもよい。
【0069】
こうした学習済色予測モデルを利用者の求めに応じて提供する場合、利用条件を定めることで、特定の関係者だけに利用を許諾したり、利用料金を設定したり、あるいは一切の利用をさせないようにしたり、自由に設定できる。このため、学習済色予測モデルの重要性などに応じて、利用条件を設定でき、学習済色予測モデルの所有者、利用者の両者にとって適切な利用状態を現出できる。
【0070】
B.第2実施形態:
次に、色予測モデル利用システム10の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と同様のハードウェア構成を備え、許諾条件や利用プランの扱いのみ異なる。第2実施形態では、
図19に例示するように、許諾条件と料金プランとが一つにまとめられており、許諾条件は4つに区分されている。登録される学習済色予測モデルについて、「Private」が指定されると学習済色予測モデルは所有者以外非公開となる。「Limited」が指定されると、学習済色予測モデルは、所有者は自由に利用でき、関連会社は1か月の利用が10回までは無料となり、それ以上の利用は、1回当たり1000円の利用料が発生する。更に、所有者でも関連会社でもなければ利用できない。「Public」が指定されると、学習済色予測モデルは、誰でも利用できるが、所有者以外は1回当たり2000円の利用料が発生する。「Free」が指定されると、誰でも自由に、無料で使用可能となる。また、利用料金が発生する場合には、利用料金の50%が、所有者にライセンス料として支払われる。もとより、こうした区分は更に細かく設定することも可能であり、ライセンス料の割合も高低いずれに設定することも可能である。
【0071】
上記の条件で、EP社が、ある学習済色予測モデルの所有者である場合に、関連会社であるEP販売と、所有者でも関連会社でもないMM社が、その学習済色予測モデルを使用した場合の、許諾条件の指定と、学習済色予測モデルの利用の可否、および利用可能な場合の課金について、まとめたのが、
図20である。図において、「対象」とは、利用許諾の対象者であることを示し、「非対象」とは、利用許諾の対象者でないことを示す。
【0072】
この第2実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を奏する上、許諾条件と利用プラントとを一体に運用しているので、許諾条件と利用プランとが簡略化でき、運用が更に容易となる。なお、第1実施形態も含めて、この色予測モデル利用システム10を利用する者のうち、学習済色予測モデルを所有している所有者には
図21に例示した所有者用利用実績ビュワーが提供され、利用する利用者には
図22に例示した利用者実績ビュワーが提供される。従って、色予測モデル利用システム10を利用しながらいつでも利用実績(支払われる予定のライセンス料や支払う必要があるライセンス料)を知ることができる。なお、
図21と
図22に例示したように、同じ利用者が、学習済色予測モデルの所有者になってライセンス料の配分を受ける場合もあれば、他人の学習済み色予測モデルを利用する利用者になってライセンス料を支払う場合もある。
【0073】
上記実施形態では、受注システム100のコンビューターには、印刷機であるブリンター20が直接接続されているものとして説明したが、受注システム100のコンピューターとが直接接続されておらず、両者の間にRIP(Raster Image Processer)が設けられている場合には、上述した印刷しようとする画像のインク量データと実際に印刷された画像の発色との関係に、画像のインク量データを実インク量に変換するRIPによる処理を介装し、この関係を予測する学習済色予測モデルを作成して対応すればよい。この場合、介装されたRIP用のアプリケーションソフトは、既存の学習済色予測モデルが見つかると、特定の色の画像のインク量のデータを色予測モデル作成サーバー600に送り、インク量をL※a※b※ のデータに変換したものを受け取り、これをRIPアプリケーションソフトがRGBデータに変換して、利用者側に送ればよい。こうすれば、RIPによる色変換を含めた発色の状況をプレビューすることができる。
【0074】
C.他の実施形態:
その他の実施形態について以下説明する。
(1)その他の実施形態の一つは、色予測モデル管理方法としての形態である。この色予測モデル管理方法は、コンピューターを用いて、色予測モデルを管理する方法であって、画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶部に記憶しておき、前記学習済色予測モデルの利用者を特定し、前記利用者が、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用する際、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、予め定めた範囲で前記利用者に前記学習済色予測モデルを利用させる。こうすれば、記憶部に記憶されている学習済色予測モデルを利用しようとする利用者は、予め定めた範囲で学習済色予測モデルを利用することができる。色予測モデルを必要とする利用者は、いちいち色予測モデルを機械学習によって作成する必要がなく、既存の学習済色予測モデルを利用できる。この結果、色予測モデルを用いた色予測が行ない易くなり、印刷物の品質向上や印刷ミスによる廃棄物の発生を抑制できる。
【0075】
学習済色予測モデルの利用とは、利用者が使用する環境と同一または近似の環境での色予測のために作成された色予測モデルがあれば、これを用いて、利用者が使用する環境での色の再現性を予測する場合の他、利用者が使用する環境と近似の環境での色予測のために作成された色予測モデルを用い、例えば転移学習などにより、利用者が使用する環境に即した新たな色予測モデルを学習させる場合も含む。
【0076】
また、利用者にとって利用可能な学習済色予測モデルが複数記憶されている場合には、それらの学習済色予測モデルの違いや、利用可能性に関する情報を併せて提示するものとしてもよい。色予測モデルとしては、カラー画像のインク量と測色値との関係として規定してもよいし、モノクロ画像のインク量と測色値との関係として規定してもよい。対応関係は、画像の形成に用いられるインク量とそのインクにより表現された画像の測色値との対応関係であってもよいし、RIPなどにより画像の形成に用いられるインク量に変換される画像の形成を指示するインク量と測色値との関係であってもよい。
【0077】
色予測モデルの機械学習は、CNN(Convolutional Neural Network)を用いた深層学習を用いることができるが、カプセルネットワーク型やベクトルニューラルネットワーク型などの各種ニューラルネットワークなど、他のモデルを利用することも差し支えない。
【0078】
記憶部に記憶された学習済色予測モデルを利用する際には、利用者にとって有用な学習済色予測モデルが分かっていれば、ダイレクトに指定して用いることができるが、有用な学習済色予測モデルを検索する必要がある場合も生じる。こうした場合には、予め学習済色予測モデルにこれを特定するための関与情報を付与しておけばよい。関与情報としては、インクを用いて画像を形成する印刷装置を特定する印刷装置情報、前インクを特定するインク情報、前記インクにより前記画像が形成される印刷媒体を特定する印刷媒体情報、を含むものとしてよい。こうすれば、画像の発色に影響を与える要素を考慮して、利用可能な色予測モデルの検索を行なうことができる。関与情報としては、これら以外の情報、例えば画像の発色に影響を与える光源の色温度などであってもよく、更にこれらの組み合わせ等であってもよい。また印刷装置情報としては、印刷装置のタイプのみならず、同じタイプであっても型番や、製造ロットなどの情報を含んでもよい。同様に、インク情報は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、淡色としてのライトシアン、ライトマゼンタ、特色としてのレッド、グリーン、オレンジなどから少なくとも一つの以上のインクを選択したインクセットなどであってもよく、同じインクセットであっても、インクの型番、ロットの違いなどの情報を含んでもよい。あるいは、インクの製造からの経過時間などの違いを、インク情報に含ませてもよい。インク、特に染料系のインクは、製造からの経過時間によって、色が変化する場合があるからである。印刷媒体情報は、用いる素材、例えば紙、合成樹脂、シルクなどの布素材などの違い、更には厚みやインクの吸収率などの情報を含んでよい。同じ材質の紙であっても、繊維の太さ、密度、撚りなどの違い、表面のコーティングの有無やコーティング剤の違いなどを、印刷媒体情報に含めてもよい。
【0079】
色予測モデルにおける対応関係の学習に用いられた測色値は、前記インク情報により特定されたインクを用いて、前記印刷媒体情報により特定された印刷媒体上に、前記印刷装置情報により特定された印刷装置によって形成されたカラーチャートの分光反射率であるものとしてよい。こうすれば、色予測モデルにおける対応関係の学習に用いられた測色値を、実際の条件に合わせることができ、関与情報との対応も確実なものとなる。また、分光反射率は、測定するセンサーなどが容易に入力し利用できるという点でメリットがある。もとより、測色値は、分光透過率により取得してもよく、カメラなどで撮像した画像から取得してもよい。
【0080】
(2)こうした構成において 前記利用者の特定は、[1]前記コンピューターを前記利用者がネットワークを介して利用する際のネットワーク上のアドレス、[2]前記学習済色予測モデルの作成者と前記利用者との組織上の関係、[3]前記学習済色予測モデルを利用する利用者に設定された会員種別、のうちの少なくとも一つにより行なうものとしてよい。こうすれば、利用者の特定を容易に行なうことができる。[1]の場合、ネットワーク上で同じサブネットマスクを用いているコンピューターの利用者は、同じ職場や同じフロアなど、緊密な関係性を有する利用者だと推定できる。同様に、専用回線を介して接続している利用者や、VPNなどを利用して接続している利用者は、特定の関係性を有する利用者だと推定できる。インターネットなどの一般的なネットワークを解して接続している利用者は、一般ユーザーだと推定できる。あるいは、利用者を、学習済色予測モデルの作成者と組織上どのよう関係があるか、という点で特定しても良い。例えば利用者がネットワークに参加する場合、所属する組織名やIDを入力することで、本人、関連会社、許諾会社、ゲストといった区別を行なうようにしても良い。また組織上の関係とは無関係な会員制度を創出し、利用者には予めいずれの種類の会員として登録するかを求め、例えば「学習済色予測モデルの広範な利用が可能なプレミアム会員」「学習済色予測モデルの一般的な利用が可能な一般会員」「学習済色予測モデルの限定的な利用が可能な制限会員」などを作り、登録に要する費用や登録時に提供する情報(氏名、所属会社、所属部署など)などに差を付けるようにしてもよい。
【0081】
(3)こうした上記(1)(2)などの構成において、前記学習済色予測モデルの前記設定される利用条件は、誰でも自由に利用できる自由利用、条件付きで利用を認める条件付き利用、前記学習済色予測モデルの作成者以外の利用を認めない利用禁止ものとしてよい。こうすれば、記憶部に記憶される学習済色予測モデル毎に、これを利用する範囲を、だれでも自由に利用できるというものから、一律に禁止するものまでの範囲で、広汎に設定できる。また、条件付き利用についても、利用者に応じた利用条件を種々設定できる。例えば利用者の違いによる利用料金や、月ごとなど所定期間における利用回数の上限、など自由に設定できる。
【0082】
(4)こうした(1)~(3)などの構成において、前記条件付き利用は、前記学習済色予測モデルを照合する範囲の制限を含む複数の設定、前記学習済色予測モデルを利用する範囲の制限を含む複数の設定、前記学習済色予測モデルを利用する場合の課金額の複数の設定、前記学習済色予測モデルを利用する場合の利用期間および利用回数の少なくとも一方を含む複数の設定、前記学習済色予測モデルを利用する場合の利用方法の制限を含む複数の設定、のうちの少なくとも一つを含み、更に、前記複数の設定の中から、前記利用者に応じた設定を、前記利用者に提示するものとしてよい。こうすれば、利用者は、自らの利用条件を容易に知ることができる。その一方で、他者の利用条件などを利用者から秘匿することも可能となる。「前記学習済色予測モデルを照合する範囲の制限を含む複数の設定」には、利用者により照合される学習済色予測モデルの範囲を変えるといった態様が含まれ、例えば評価の高い学習済色予測モデルはプレミアム会員のみ照合できるといった制限や、公開されてから一定期間は非公開にしたり、利用者によって一定期間非公開としたりする態様が含まれる。学習済色予測モデルを利用する場合の利用方法の制限としては、例えば利用期間の制限、色予測モデルを用いた色予測の回数の制限、色予測モデルを用いた色予測を行なう際のハードウェアの制限、色予測を行なう際の色数の制限など、種々の制限が想定可能である。
【0083】
(5)こうした(1)~(4)などの構成において、前記利用者への提示の際に、前記提示された設定における前記学習済色予測モデルの利用に要する費用を併せて提示するものとしてよい。こうすれば、利用する場合の金銭的な負担を予め知ることができる。
【0084】
(6)こうした(1)~(5)などの構成において、前記利用者への提示の際に、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルのいずれも利用できない場合には、新たな色予測モデルを生成する場合の見積もりを提示するものとしてよい。こうすれば、新たな色予測モデルの生成に要する費用が分かり、新たな色予測モデルを生成するか否かの判断がしやすい。また、利用可能な学習済色予測モデルがあっても色予測の精度が十分に高くない場合などに、既存の学習済色予測モデルを使うか、費用を掛けても新たな色予測モデルを生成するかの判断が容易となる。
【0085】
(7)こうした(1)~(6)などの構成において、前記利用者が、前記学習済色予測モデルを利用する場合に、予め定めた利用料を受け取り、前記受け取った利用料の少なくとも一部を、前記学習済色予測モデルの所有者に支払うものとしてよい。こうすれば、費用を掛けて学習済色予測モデルを生成した者が、これを公開することで対価を得ることができる。この結果、費用と時間を要する学習済色予測モデルの生成が促進され、利用者から見て、利用できる学習済色予測モデルの種類や数が増えるので、色予測モデルの利用自体が促進される。結果的に印刷物の印刷品質の向上につながる。
【0086】
(8)こうした色予測モデル管理方法以外の実施態様としては、色予測モデル管理装置としての態様がある。この色予測モデル管理装置は、画像を形成するために用いられたインク量と前記画像から得られた測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶する記憶部と、前記学習済色予測モデルの利用者を特定する利用者特定部と、前記利用者が、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用する際、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、予め定めた範囲で前記利用者に前記学習済色予測モデルを利用させる利用設定部とを備える。こうすれば、記憶部に記憶されている学習済色予測モデルを利用しようとする利用者は、予め定めた範囲で学習済色予測モデルを利用することができる。色予測モデルを必要とする利用者は、いちいち色予測モデルを機械学習によって作成する必要がなく、既存の学習済色予測モデルを利用できる。この結果、色予測モデルを用いた色予測が行ない易くなり、印刷物の品質向上や印刷ミスによる廃棄物の発生を抑制できる。
【0087】
(9)こうした色予測モデル管理方法や管理装置以外の実施態様としては、既存の色予測モデルを管理する色予測モデル管理装置と、新たな色予測モデルを作成する色予測モデル作成装置と、を備えた色予測モデル生成システムとしての態様があり得る。この色予測モデル生成システムでは、前記色予測モデル管理装置は、画像を形成するために用いられるインク量と前記画像から得られる測色値との対応関係を機械学習させた学習済色予測モデルを、前記学習済色予測モデルの利用条件に紐付けて記憶する記憶部、を備える。他方、前記色予測モデル作成装置は、利用者を特定する利用者特定部と、前記学習済色予測モデルに紐付けられた前記利用条件と照合することで、前記利用者の指示に従い、前記記憶部に記憶された前記学習済色予測モデルを利用した新たな色予測モデルの作成を行なう作成部と、を備える。こうすれば、既存の学習済色予測モデルを必要に応じて利用して色予測を行ない、こうした利用可能な学習済色予測モデルが見つからない場合など、必要があれば、学習済色予測モデルを作成し、これを用いて色予測を行なうことができる。この結果、色予測モデルを用いた色予測が行ない易くなり、印刷物の品質向上や印刷ミスによる廃棄物の発生を抑制できる。
【0088】
こうした色予測モデル管理装置や色予測モデル生成システムは、一つのコンピューター上に記憶部や利用者特定部などの各部を実現し、一つの装置で完結して動作する様にしてもよいし、各部あるいはそれらの一つ以上の組合わせを複数の装置上で実現し、各装置間を、種々の手法で接続して、一つの管理装置や一つの色予測モデル生成システムとして構成してもよい。接続の手法は、有線・無線を問わず、また直接的な接続やネットワークを介した接続などであってもよい。もとより、データなどを可搬型のメモリーにいれて装置間を移動させるようにしてもよい。メモリーは半導体や磁気記憶媒体などであってもよく、またQRコード(登録商標)などを用いた印刷媒体であってもよい。
【0089】
(10)上記各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよい。ソフトウェアによって実現されていた構成の少なくとも一部は、ディスクリートな回路構成により実現することも可能である。また、本開示の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、データパケットを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【0090】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
10…色予測モデル生成システム、20…ブリンター、21…本体、22…印刷部、24…印刷媒体、26…センサー、40…色予測モデル作成装置、50…色予測モデル管理装置、55…色予測モデルデータベース、56…管理制御部、57…利用者特定部、58…利用設定部、66…生成制御部、70…検索装置、75…印刷機情報取得ボタン、76…メディア情報取得ボタン、77…色予測モデル検索ボタン、78…入力者名入力欄、79…パスワード入力欄、81…印刷機入力欄、82…メディア種入力欄、83…印刷モード入力欄、100,110,120,130…コンピューター(受注システム)、101…キーボード、102…ディスプレイ、500…色予測モデル管理サーバー、600…色予測モデル作成サーバー