(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140011
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】圧縮機及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20241003BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F04B39/00 102U
F04B39/00 101Z
F04B39/12 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050995
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】惠良 修二
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003BA00
3H003BB08
3H003CD01
3H003CD05
3H003CE02
(57)【要約】
【課題】アキュムレータの固有振動数がばらつくのを低減して、振動や騒音が発生するのを抑える。
【解決手段】支持台(30)は、台座部(31)と、一対の腕部(32)と、固定部(33)と、を有する。台座部(31)は、アキュムレータ(20)の側面に固定された板状の部材で構成される。一対の腕部(32)は、台座部(31)の周方向の両端部がそれぞれ折り曲げられて形成され、圧縮機本体(11)の側面に向かって延びる。固定部(33)は、腕部(32)の先端部に設けられ、圧縮機本体(11)の側面に固定される。固定部(33)の曲げ剛性は、腕部(32)の曲げ剛性よりも高い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機本体(11)と、アキュムレータ(20)と、前記アキュムレータ(20)を前記圧縮機本体(11)に支持する支持台(30)と、を備えた圧縮機であって、
前記支持台(30)は、
前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の一方の側面に固定された板状の台座部(31)と、
前記台座部(31)の周方向の両端部がそれぞれ折り曲げられて形成され、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に向かって延びる一対の腕部(32)と、
前記腕部(32)の先端部に設けられ、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に固定された固定部(33)と、を有し、
前記固定部(33)の曲げ剛性は、前記腕部(32)の曲げ剛性よりも高い
圧縮機。
【請求項2】
請求項1の圧縮機において、
前記固定部(33)は、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に面接触している
圧縮機。
【請求項3】
請求項1又は2の圧縮機において、
前記固定部(33)の上下方向の長さは、前記腕部(32)の上下方向の長さよりも長い
圧縮機。
【請求項4】
請求項1又は2の圧縮機において、
前記固定部(33)の板厚は、前記腕部(32)の板厚よりも厚い
圧縮機。
【請求項5】
請求項1又は2の圧縮機において、
前記固定部(33)の水平方向の長さLt、前記固定部(33)を含む前記腕部(32)全体の水平方向の長さLsが、
Lt≦Ls/3
という条件を満たす
圧縮機。
【請求項6】
請求項3の圧縮機において、
前記固定部(33)は、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に溶接され、
前記固定部(33)における溶接ビード(35)の長さLb、前記固定部(33)の上下方向の長さHwが、
Lb≧Hw/2
という条件を満たす
圧縮機。
【請求項7】
請求項1又は2の圧縮機(10)と、
前記圧縮機(10)で圧縮された冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機及び冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮機本体(密閉容器)と、冷媒吸入管を介して圧縮機本体に連結されたアキュムレータ(吸入マフラ)と、圧縮機本体に吸入マフラを固定するマフラホルダと、を備えた密閉型回転圧縮機が開示されている。マフラホルダは、圧縮機本体の外壁に溶接された容器側固定部と、アキュムレータの外壁に溶接されたマフラ側固定部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の発明では、圧縮機本体とアキュムレータとを、マフラホルダを介して溶接しており、マフラホルダを溶接する際の溶接条件がばらついた場合、アキュムレータの固有振動数がばらつくおそれがある。その結果、圧縮機本体の加振周波数と、アキュムレータの固有振動数と、が一致してしまい、共振現象によって振動や騒音レベルが増大するという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、アキュムレータの固有振動数がばらつくのを低減して、振動や騒音が発生するのを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、圧縮機本体(11)と、アキュムレータ(20)と、前記アキュムレータ(20)を前記圧縮機本体(11)に支持する支持台(30)と、を備えた圧縮機であって、前記支持台(30)は、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の一方の側面に固定された板状の台座部(31)と、前記台座部(31)の周方向の両端部がそれぞれ折り曲げられて形成され、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に向かって延びる一対の腕部(32)と、前記腕部(32)の先端部に設けられ、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に固定された固定部(33)と、を有し、前記固定部(33)の曲げ剛性は、前記腕部(32)の曲げ剛性よりも高い。
【0007】
第1の態様では、固定部(33)の曲げ剛性を腕部(32)の曲げ剛性よりも高くすることで、アキュムレータ(20)の固有振動数がばらつくのを低減して、振動や騒音が発生するのを抑えることができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様の圧縮機において、前記固定部(33)は、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に面接触している。
【0009】
第2の態様では、固定部(33)を圧縮機本体(11)又はアキュムレータ(20)の他方の側面に面接触させた状態とすることで、固定部(33)の曲げ剛性を高めることができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1又は2の態様の圧縮機において、前記固定部(33)の上下方向の長さは、前記腕部(32)の上下方向の長さよりも長い。
【0011】
第3の態様では、固定部(33)の上下方向の長さを腕部(32)の上下方向の長さよりも長くすることで、固定部(33)の曲げ剛性を高めることができる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第1又は2の態様の圧縮機において、前記固定部(33)の板厚は、前記腕部(32)の板厚よりも厚い。
【0013】
第4の態様では、固定部(33)の板厚を腕部(32)の板厚よりも厚くすることで、固定部(33)の曲げ剛性を高めることができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1又は2の態様の圧縮機において、前記固定部(33)の水平方向の長さLt、前記固定部(33)を含む前記腕部(32)全体の水平方向の長さLsが、Lt≦Ls/3という条件を満たす。
【0015】
第5の態様では、固定部(33)の水平方向の長さを適切に設定することで、固定部(33)の剛性を高めることができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第3の態様の圧縮機において、前記固定部(33)は、前記圧縮機本体(11)又は前記アキュムレータ(20)の他方の側面に溶接され、前記固定部(33)における溶接ビード(35)の長さLb、前記固定部(33)の上下方向の長さHwが、Lb≧Hw/2という条件を満たす。
【0017】
第6の態様では、固定部(33)における溶接ビード(35)の長さを適切に設定することで、固定部(33)の剛性を高めることができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1又は2の態様の圧縮機(10)と、前記圧縮機(10)で圧縮された冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える冷凍装置である。
【0019】
第7の態様では、圧縮機(10)を備えた冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施形態1の冷凍装置の構成を示す冷媒回路図である。
【
図5】
図5は、固定部の水平方向の長さと、固定部を含む腕部全体の水平方向の長さと、の関係を説明するための平面図である。
【
図6】
図6は、第1溶接仕様の溶接ビードの長さを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2溶接仕様の溶接ビードの長さを示す斜視図である。比較例としての支持台の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、比較例の支持台の構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、比較例の支持台における第1溶接仕様の溶接ビードの長さを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、比較例の支持台における第2溶接仕様の溶接ビードの長さを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、比較例の支持台を用いた場合におけるアキュムレータの固有振動数のばらつきを示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の支持台を用いた場合におけるアキュムレータの固有振動数のばらつきを示す図である。
【
図13】
図13は、固定部の上下方向の長さと固有振動数のばらつきとの関係を示すグラフ図である。
【
図14】
図14は、本実施形態2の支持台の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《実施形態1》
図1に示すように、圧縮機(10)は、冷凍装置(1)に設けられる。冷凍装置(1)は、冷媒が充填された冷媒回路(1a)を有する。冷媒回路(1a)は、圧縮機(10)、放熱器(3)、減圧機構(4)、及び蒸発器(5)を有する。減圧機構(4)は、例えば、膨張弁である。冷媒回路(1a)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0022】
冷凍装置(1)は、空気調和装置である。空気調和装置は、冷房専用機、暖房専用機、あるいは冷房と暖房とを切り換える空気調和装置であってもよい。この場合、空気調和装置は、冷媒の循環方向を切り換える切換機構(例えば四方切換弁)を有する。冷凍装置(1)は、給湯器、チラーユニット、庫内の空気を冷却する冷却装置などであってもよい。冷却装置は、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナなどの内部の空気を冷却する。
【0023】
〈圧縮機本体〉
図2及び
図3に示すように、圧縮機(10)は、圧縮機本体(11)と、アキュムレータ(20)と、支持台(30)と、を備える。支持台(30)は、アキュムレータ(20)を圧縮機本体(11)に支持する。支持台(30)は、圧縮機本体(11)及びアキュムレータ(20)に溶接される。なお、支持台(30)の構成については後述する。
【0024】
圧縮機本体(11)は、ケーシング(12)と、駆動機構(50)と、圧縮機構(55)と、を備える。駆動機構(50)及び圧縮機構(55)は、ケーシング(12)の内部に収容される。
【0025】
ケーシング(12)は、縦長の円筒状の密閉容器で構成される。ケーシング(12)の胴部には、第1吸入管(13)及び第2吸入管(14)が貫通して固定される。ケーシング(12)の上部には、吐出管(15)が貫通して固定される。
【0026】
駆動機構(50)は、モータ(51)と、駆動軸(54)と、を有する。モータ(51)は、ステータ(52)と、ロータ(53)と、を有する。ロータ(53)の軸心内部には、駆動軸(54)が固定される。モータ(51)が通電されると、ロータ(53)とともに駆動軸(54)が回転駆動される。
【0027】
圧縮機構(55)は、例えば、二気筒のロータリ式流体機械である。圧縮機構(55)は、モータ(51)の下方に配置される。圧縮機構(55)は、駆動軸(54)に連結される。駆動軸(54)の回転駆動により、圧縮機構(55)で冷媒が圧縮される。
【0028】
〈アキュムレータ〉
圧縮機本体(11)の上流側には、アキュムレータ(20)が接続される。アキュムレータ(20)は、圧縮機本体(11)に吸入される前の冷媒を一時的に貯留するとともに、ガス冷媒に含まれる液冷媒や油を気液分離する。
【0029】
アキュムレータ(20)は、密閉容器(21)と、入口管(22)と、第1出口管(23)と、第2出口管(24)と、を有する。入口管(22)は、密閉容器(21)に冷媒を流入させる。第1出口管(23)及び第2出口管(24)は、密閉容器(21)から冷媒を流出させる。
【0030】
密閉容器(21)は、縦長の円筒状の部材で構成される。密閉容器(21)の上部には、入口管(22)が接続される。入口管(22)の下端部は、密閉容器(21)の内部空間における上部寄りの位置に開口している。
【0031】
密閉容器(21)の下部には、第1出口管(23)及び第2出口管(24)が接続される。第1出口管(23)及び第2出口管(24)の上端部は、密閉容器(21)内を上方向に延びて密閉容器(21)の内部空間における上部寄りの位置に開口している。
【0032】
第1出口管(23)の下端部は、密閉容器(21)の下端から下方に延びた後に、圧縮機本体(11)の第1吸入管(13)に向かって屈曲して第1吸入管(13)に接続される。第2出口管(24)の下端部は、密閉容器(21)の下端から下方に延びた後に、圧縮機本体(11)の第2吸入管(14)に向かって屈曲して第2吸入管(14)に接続される。
【0033】
〈支持台〉
ところで、圧縮機本体(11)とアキュムレータ(20)とは、支持台(30)を介して溶接されている。そのため、支持台(30)を溶接する際の溶接条件(例えば、溶接ビードの長さ)がばらついた場合、アキュムレータ(20)の固有振動数がばらつくおそれがある。その結果、圧縮機本体(11)の加振周波数と、アキュムレータ(20)の固有振動数と、が一致してしまい、共振現象によって振動や騒音レベルが増大するおそれがある。
【0034】
そこで、本実施形態では、アキュムレータ(20)の固有振動数がばらつくのを低減できるようにした。
【0035】
具体的に、
図4に示すように、支持台(30)は、台座部(31)と、一対の腕部(32)と、固定部(33)と、を有する。台座部(31)は、板状の部材で構成される。台座部(31)は、アキュムレータ(20)の側面に固定される。
【0036】
一対の腕部(32)は、台座部(31)の周方向の両端部がそれぞれ折り曲げられて形成される。腕部(32)は、圧縮機本体(11)の側面に向かって延びる。
【0037】
固定部(33)は、腕部(32)の先端部に設けられ、圧縮機本体(11)の側面に固定される。固定部(33)は、圧縮機本体(11)の側面に面接触している。固定部(33)の上下方向の長さは、腕部(32)の上下方向の長さよりも長い。
【0038】
具体的に、固定部(33)は、腕部(32)の端部において上下方向にそれぞれ突出することで形成される。ここで、台座部(31)及び腕部(32)の上下方向の長さをHとすると、固定部(33)の上下方向の長さHwは、Hw>Hとなる。これにより、固定部(33)の曲げ剛性は、腕部(32)の曲げ剛性よりも高くなる。
【0039】
なお、本実施形態では、台座部(31)をアキュムレータ(20)の側面に固定する一方、固定部(33)を圧縮機本体(11)の側面に固定するようにしたが、この形態に限定するものではない。例えば、台座部(31)を圧縮機本体(11)の側面に固定する一方、固定部(33)をアキュムレータ(20)の側面に固定するようにしてもよい。
【0040】
また、固定部(33)の剛性を高めるために、固定部(33)の水平方向の長さを適切に設定するのが好ましい。具体的に、
図5に示すように、固定部(33)の水平方向の長さLt、固定部(33)を含む腕部(32)全体の水平方向の長さLsが、Lt≦Ls/3という条件を満たすように設定するのが好ましい。
【0041】
また、固定部(33)の剛性を高めるために、固定部(33)における溶接ビード(35)の長さを適切に設定するのが好ましい。具体的に、固定部(33)は、固定部(33)の上下方向に沿って溶接ビード(35)を設けることで、圧縮機本体(11)に溶接される(
図3参照)。
【0042】
図6に示すように、固定部(33)の上下方向の長さHwよりも溶接ビード(35)の長さLbが短い溶接条件で溶接した状態を、第1溶接仕様と呼ぶ。また、
図7に示すように、固定部(33)の上下方向の長さHwよりも溶接ビード(35)の長さLbが長い溶接条件で溶接した状態を、第2溶接仕様と呼ぶ。第2溶接仕様における溶接ビード(35)の肉盛り幅は、第1溶接仕様における溶接ビード(35)の肉盛り幅よりも大きい。
【0043】
ここで、固定部(33)における溶接ビード(35)の長さLb、固定部(33)の上下方向の長さHwが、Lb≧Hw/2という条件を満たすように設定するのが好ましい。そのため、
図6に示す第1溶接仕様で溶接する際には、上述した条件を満たすように溶接ビード(35)の長さLbを設定すればよい。なお、
図7に示す第2溶接仕様では、溶接ビード(35)の長さLbが固定部(33)の上下方向の長さHwよりも長いため、上述した条件を満たす。
【0044】
このように、固定部(33)の曲げ剛性を腕部(32)の曲げ剛性よりも高くすることで、アキュムレータ(20)の固有振動数がばらつくのを低減して、振動や騒音が発生するのを抑えることができる。
【0045】
以下、
図8に示す比較例としての支持台(30)と、本実施形態の支持台(30)と、について、支持台(30)の溶接条件によってアキュムレータ(20)の固有振動数がどの程度ばらつくのかについて検討した。
【0046】
図8に示すように、比較例としての支持台(30)は、台座部(31)及び腕部(32)の上下方向の長さH、固定部(33)の上下方向の長さHwが、Hw=Hとなる。また、
図9に示すように、固定部(33)の上下方向の長さHwよりも溶接ビード(35)の長さLbが短い溶接条件で溶接した状態を、第1溶接仕様と呼ぶ。また、
図10に示すように、固定部(33)の上下方向の長さHwよりも溶接ビード(35)の長さLbが長い溶接条件で溶接した状態を、第2溶接仕様と呼ぶ。第2溶接仕様における溶接ビード(35)の肉盛り幅は、第1溶接仕様における溶接ビード(35)の肉盛り幅よりも大きい。
【0047】
図8に示す例では、腕部(32)の上下方向の長さをH=10mmとする。H=Hwであるため、固定部(33)の上下方向の長さがHw=10mmとなる。
【0048】
図11は、比較例の支持台(30)を用いた場合におけるアキュムレータ(20)の固有振動数のばらつきを示す図である。
図11では、比較例の支持台(30)を第1溶接仕様で溶接した場合に生じるアキュムレータ(20)の振動と、第2溶接仕様で溶接した場合に生じるアキュムレータ(20)の生じる振動と、をシミュレーションしている。
【0049】
図11において、1次振動モードは、
図2のZ軸を中心にアキュムレータ(20)が回転する方向に生じる振動を示す。2次振動モードは、
図2のX軸を中心にアキュムレータ(20)が回転する方向に生じる振動を示す。3次振動モードは、上半径方向、つまり、
図2のY軸を中心にアキュムレータ(20)が回転する方向に生じる振動を示す。4次振動モードは、アキュムレータ(20)が上下方向に往復移動する振動を示す。5次振動モードは、下回転方向、つまり、アキュムレータ(20)が
図2でY軸方向に往復移動する振動を示す。
【0050】
そして、各振動モードにおいて生じるアキュムレータ(20)の固有振動数のばらつきのうち、最大ばらつきと、平均ばらつきと、を算出した。
【0051】
図12では、本実施形態の支持台(30)を第1溶接仕様で溶接した場合に生じるアキュムレータ(20)の振動と、第2溶接仕様で溶接した場合に生じるアキュムレータ(20)の生じる振動と、をシミュレーションしている。
【0052】
図12に示す例では、腕部(32)の上下方向の長さをH=10mm、固定部(33)の上下方向の長さをHw=15mmとしている。そして、
図12に示すように、各振動モードにおいて生じるアキュムレータ(20)の固有振動数のばらつきのうち、最大ばらつきと、平均ばらつきと、を算出する。
【0053】
また、図示は省略するが、腕部(32)の上下方向の長さがH=10mmのときに、固定部(33)の上下方向の長さがHw=20mmの場合と、Hw=25mmの場合と、についても同様に、各振動モードにおいて生じるアキュムレータ(20)の固有振動数のばらつきのうち、最大ばらつきと、平均ばらつきと、を算出した。
【0054】
図13に示すように、比較例の支持台(30)(Hw=10mm)と、本実施形態の支持台(30)(Hw=15mm、20mm、25mm)と、を比較すると、固定部(33)の上下方向の長さHwを長くするほど、アキュムレータ(20)の固有振動数の最大ばらつき及び平均ばらつきが低減する傾向にあることが分かる。
【0055】
-実施形態1の効果-
本実施形態の特徴によれば、固定部(33)の曲げ剛性を腕部(32)の曲げ剛性よりも高くすることで、アキュムレータ(20)の固有振動数がばらつくのを低減して、振動や騒音が発生するのを抑えることができる。
【0056】
本実施形態の特徴によれば、固定部(33)を圧縮機本体(11)又はアキュムレータ(20)の他方の側面に面接触させた状態とすることで、固定部(33)の曲げ剛性を高めることができる。また、固定部(33)を面接触させることで、固定部(33)に対する圧縮機本体(11)又はアキュムレータ(20)の位置がばらつくのを抑えることができる。
【0057】
本実施形態の特徴によれば、固定部(33)の上下方向の長さを腕部(32)の上下方向の長さよりも長くすることで、固定部(33)の曲げ剛性を高めることができる。
【0058】
本実施形態の特徴によれば、固定部(33)の水平方向の長さを適切に設定することで、固定部(33)の剛性を高めることができる。
【0059】
本実施形態の特徴によれば、固定部(33)における溶接ビード(35)の長さを適切に設定することで、固定部(33)の剛性を高めることができる。
【0060】
本実施形態の特徴によれば、圧縮機(10)と、圧縮機(10)で圧縮された冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える。これにより、圧縮機(10)を備えた冷凍装置(1)を提供できる。
【0061】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0062】
図14に示すように、支持台(30)は、台座部(31)と、一対の腕部(32)と、固定部(33)と、を有する。台座部(31)は、板状の部材で構成される。台座部(31)は、アキュムレータ(20)の側面に固定される。
【0063】
一対の腕部(32)は、台座部(31)の周方向の両端部がそれぞれ折り曲げられて形成される。腕部(32)は、圧縮機本体(11)の側面に向かって延びる。
【0064】
固定部(33)は、腕部(32)の先端部に設けられ、圧縮機本体(11)の側面に固定される。固定部(33)は、圧縮機本体(11)の側面に面接触している。固定部(33)の上下方向の長さは、腕部(32)の上下方向の長さと略同じである。一方、固定部(33)の板厚t2は、腕部(32)の板厚t1よりも厚い(t2>t1)。これにより、固定部(33)の曲げ剛性は、腕部(32)の曲げ剛性よりも高くなる。
【0065】
-実施形態2の効果-
本実施形態の特徴によれば、固定部(33)の板厚を腕部(32)の板厚よりも厚くすることで、固定部(33)の曲げ剛性を高めることができる。
【0066】
《その他の実施形態》
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本開示は、圧縮機及び冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 冷凍装置
1a 冷媒回路
10 圧縮機
11 圧縮機本体
20 アキュムレータ
30 支持台
31 台座部
32 腕部
33 固定部
35 溶接ビード