(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140045
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】アンテナ装置、車両のルーフパネル及び車両
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051031
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】松村 修太
(72)【発明者】
【氏名】荒田 穣
(72)【発明者】
【氏名】野田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩延
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA15
5J047AB16
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】車両の凹部にアンテナを設置する場合において、前記凹部に溜まる水の排出を効果的に行う。
【解決手段】車両のルーフパネルの凹部に形成されたアンテナ設置面に設置されるアンテナ装置であって、前記アンテナ設置面は、前記車両の後方側から前方側に向けて斜め上方に傾斜した前方傾斜面が前側に、前記車両の前方側から後方側に向けて斜め下方に傾斜した後方傾斜面が後側に、隣接する面であって、前記アンテナ装置は、前記前方傾斜面側を前方に、前記後方傾斜面側を後方に向けて前記アンテナ設置面に設置される、アンテナ装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルの凹部に形成されたアンテナ設置面に設置されるアンテナ装置であって、
前記アンテナ設置面は、前記車両の後方側から前方側に向けて斜め上方に傾斜した前方傾斜面が前側に、前記車両の前方側から後方側に向けて斜め下方に傾斜した後方傾斜面が後側に、隣接する面であって、
前記アンテナ装置は、前記前方傾斜面側を前方に、前記後方傾斜面側を後方に向けて前記アンテナ設置面に設置される、アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ設置面の前後端を通る仮想平面を基準としたとき、前記仮想平面に対する前記前側傾斜面の仰角よりも、前記仮想平面に対する前記後側傾斜面の俯角の方が大きい、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記前側傾斜面の仰角よりも前記後側傾斜面の俯角が略4°以上大きい、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記前側傾斜面の仰角が5°以下である、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ装置は、ベースと、前記ベースの周縁部を覆うパッドを有し、
前記アンテナ設置面は、前後方向に直交する幅方向の上面において、前記アンテナ設置面の中央部から幅方向の両側に向かって低くなる側方傾斜面が形成され、前記パッドの底面は、前記側方傾斜面に対面している、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記前側傾斜面は先端側が細幅となっている、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ装置の底面は、前記アンテナ設置面に設置される際に、前記前側傾斜面及び前記後側傾斜面のいずれか一方又は両方の一部に対面している、請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
アンテナ装置設置用の凹部を有する車両のルーフパネルであって、
前記凹部は、前記凹部の底面の一部であって前記アンテナ装置の底面に対面する領域を含むアンテナ設置面と、前記アンテナ設置面の前側に隣接する前側傾斜面と、前記アンテナ設置面の後側に隣接する後側傾斜面と、を有し、
前記アンテナ設置面は水平面に対して後方に向かって下がり、前記前側傾斜面は前記アンテナ設置面に対して前方に向かって上昇し、前記後側傾斜面は前記アンテナ設置面に対して後方に向かって下降している、車両のルーフパネル。
【請求項9】
前記アンテナ設置面の前後端を通る仮想平面を基準としたとき、前記仮想平面に対する前記前側傾斜面の仰角よりも、前記仮想平面に対する前記後側傾斜面の俯角の方が大きい、請求項8に記載の車両のルーフパネル。
【請求項10】
前記前側傾斜面の仰角よりも前記後側傾斜面の俯角が略4°以上大きい、請求項9に記載の車両のルーフパネル。
【請求項11】
前記前側傾斜面の仰角が5°以下である、請求項10に記載の車両のルーフパネル。
【請求項12】
前記アンテナ設置面の前後方向に直交する幅方向の上面において、前記アンテナ設置面の中央部から幅方向の両側に向かって低くなる側方傾斜面が形成されている、請求項8から11のいずれか一項に記載の車両のルーフパネル。
【請求項13】
前記前側傾斜面は先端側が細幅となっている、請求項8から11のいずれか一項に記載の車両のルーフパネル。
【請求項14】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置、車両のルーフパネル及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフパネルに凹部を設け、そこに車両用アンテナを設置することが提案されている。
【0003】
下記特許文献1は、ルーフパネルに凹部を設け、前記凹部に車両用アンテナを設置している。
【0004】
下記特許文献2は、ルーフパネルの凹部にアンテナユニットを設けるが、アンテナユニットのアンテナカバーが前記凹部を覆う構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-9143号公報
【特許文献2】特許第6096708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両の凹部にアンテナを設置する場合、車両が駐車されている地面の状況によって、凹部に水が溜まり、その溜まった水が抜けないときがある。水が凹部から抜けない状態であると、アンテナが水に浸かった状態になることが想定され、その場合、例えば、アンテナの性能に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
本発明の目的の一例は、車両の凹部にアンテナを設置する場合において、前記凹部に溜まる水の排出を効果的に行うことが可能なアンテナ装置、車両のルーフパネル及び車両を提供することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、車両のルーフパネルの凹部に形成されたアンテナ設置面に設置されるアンテナ装置であって、
前記アンテナ設置面は、前記車両の後方側から前方側に向けて斜め上方に傾斜した前方傾斜面が前側に、前記車両の前方側から後方側に向けて斜め下方に傾斜した後方傾斜面が後側に、隣接する面であって、
前記アンテナ装置は、前記前方傾斜面側を前方に、前記後方傾斜面側を後方に向けて前記アンテナ設置面に設置される。
【0009】
本発明の上記態様によれば、車両の凹部にアンテナを設置する場合において、前記凹部に溜まる水を効果的に排出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るアンテナ装置、車両のルーフパネル及び車両の実施形態であって、アンテナ装置及びルーフパネルの前後方向の断面を示す縦断面図である。
【
図5】実施形態で使用可能なアンテナ装置の内部構造の一例を示す分解斜視図である。
【
図6】実施形態におけるルーフパネルの凹部であって、アンテナ装置取り付け用の貫通孔を省略した斜視図である。
【
図8】前記凹部の前後方向に直交する幅方向の横断面を示す斜視図である。
【
図9】前記凹部の前後方向の縦断面において、前記アンテナ装置の底面に対面するアンテナ設置面の前側に位置する前側傾斜面の仰角と、前記アンテナ設置面の後側に位置する後側傾斜面の俯角との関係を示す説明図である。
【
図10】実施形態において水平面に車両を駐車したときの水が抜ける方向を示す説明図である。
【
図11】前記アンテナ装置の底面に対面するアンテナ設置面が水平になる状態で車両を駐車したときの水が抜ける方向を示す説明図である。
【
図12】前記アンテナ設置面の前方が低くなる状態で車両を駐車したときの水が抜ける方向を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図4を用いて本発明に係るアンテナ装置、車両のルーフパネル及び車両の実施形態を説明する。これらの図に示すように、車両のルーフパネル1には凹部10が形成されており、凹部10の後縁はルーフパネル1の後縁の一部を成している。ルーフパネル1の後側にはテールゲートやバックドア(図示省略)が開閉自在に設けられている。一個若しくは複数のアンテナエレメント等を内蔵するアンテナ装置20は凹部10の底面の一部であるアンテナ設置面12に設置される。
図1で前後方向及び上下方向を定義する。前後方向は車両の前後方向と一致し、上下方向は車両の上下方向と一致し、前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向(左右方向)とする。
【0012】
凹部10底面に設置されるアンテナ装置20の内部構造(
図1、
図3の斜線部Aに相当する部分)の一例を
図5に示す。この図に示すように、アンテナ装置20は、インナーケース21、アンテナ基板22、インナーパッド23、及びアンテナベース24(例えば金属製)を有する。インナーケース21の左右側面には、分割された容量装荷素子25が配置され、インナーケース21の内部にヘリカルコイル(図示省略)が収納される。容量装荷素子25とヘリカルコイルとは直列接続されて、アンテナ基板22の給電電極に接続されている。容量装荷素子25及びこれに直列接続されたヘリカル素子は例えばAM/FM受信用アンテナエレメントである。アンテナ基板22上には、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)用の平面アンテナ27が配置されている。
【0013】
アンテナベース24上には、防水用のインナーパッド23を介してインナーケース21及びアンテナ基板22がビス等で取り付けられる。平面アンテナ27はインナーケース21の内側に収納される。
図1等に示すようにアンテナベース24の底面24aからは筒状部24bが下方に突出している。筒状部24bの内周からAM/FM受信用アンテナエレメントや平面アンテナ27への給電ケーブル等(図示省略)が引き出される。アンテナベース24の底面24aには筒状部24bを囲む環状溝24cが形成されており、ここに防水用のシール35が配置される。
【0014】
図5では図示を省略したアウターケース31は、
図1、
図3から
図4のように、アウターパッド32を介在させた状態でアンテナベース24に取り付けられる。取り付ける方法は、ビスを利用して螺合させる、スナップフィットで嵌合させる、あるいは接着、溶着などが採用されてもよい。様々な方法で実施可能である。アウターケース31は、アンテナベース24と共に前記アンテナエレメント等を覆う。アウターパッド32はアンテナベース24の周縁部を囲うように設けられ、ルーフパネル1とアウターケース31間の隙間を小さくする。
【0015】
アンテナ装置20のルーフパネル1への取り付けは、以下の手順で行う。筒状部24bを囲む配置の防水用のシール35を、ルーフパネル1とアンテナベース24の底面24a間に介在させるとともに、筒状部24bをルーフパネル1の取付穴に貫通させる。仮止めホルダ28、ワッシャ29を筒状部24bに装着した状態でボルト30を筒状部24bの内周の雌ネジに螺着することで、アンテナベース24をルーフパネル1の凹部10底面に取り付け可能である。
【0016】
アンテナ装置20が設置される凹部10は、アンテナ装置20の底面(アンテナベース24の底面及びその周囲のアウターパッド32の底面を含む面)に対面する領域を含むアンテナ設置面12を有する。アンテナ設置面12は凹部10の底面の一部である。また、凹部10は、アンテナ設置面12の前側に位置(隣接)する前側傾斜面13と、アンテナ設置面12の後側に位置(隣接)する後側傾斜面14と、を有する。凹部10は、雨水、洗車時等の水の排出に配慮した構造である。つまり、アンテナ設置面12は全体的に水平面に対して後方に向かって僅かに下がっている。前側傾斜面13は車両の後方側から前方側に向けて斜め上方に傾斜し、後側傾斜面14は車両の前方側から後方側に向けて斜め下方に傾斜している。前側傾斜面13は先端側が細幅部13aとなっている。
【0017】
凹部10の幅方向断面の形状は、凹部10及びアンテナ装置20の幅方向断面である
図3、
図4及び凹部10の幅方向断面である
図8に示される。これらの図のように、アンテナ設置面12は、その平坦な中央部から幅方向の両側に向かって低くなる側方傾斜面12aを有し、アウターパッド32の底面は側方傾斜面12aに対面している。防水用のシール35はアンテナ設置面12の平坦な中央部に密着する配置である。側方傾斜面12aは、アウターパッド32の内側に入り込んだ水を側方に排出し易くするために形成されている。
【0018】
図9のようにアンテナ設置面12の幅方向中央部の前後端を通る仮想平面(アンテナ設置面12の幅方向中央部が平坦面であれば当該平坦面自体)を基準としたとき、前記仮想平面に対する前側傾斜面13の仰角をα、前記仮想平面に対する後側傾斜面14の俯角をβとする。
【0019】
図9の場合において、前側傾斜面13が水平になるように車両が駐車されたときに、後側傾斜面14が水平面に対して後側が下がる状態が水を排出する上で望ましいから、
α<β
になるように設定することが好ましい。
【0020】
また、
図9のように、アンテナ設置面12の幅方向中央部の前後端を通る仮想平面を基準とした前側傾斜面13の仰角αよりも後側傾斜面14の俯角βを略4°以上大きな値に設定することがより好ましい。例えば、アンテナ設置面12が水平になる状態で駐車されるときを考慮すると、前側傾斜面13の仰角αは略2°以上に設定される。前側傾斜面13の仰角αが略2°以上の条件下で、前側傾斜面13が前方に向かって略2°以上下がる傾斜となるように車両が駐車される場合、後側傾斜面14の俯角βを仰角αの設定値(略2°以上)よりも略4°以上大きい適切な設定値にすると(αとβの角度差が略4°以上)、前側傾斜面13が前方に向かって略2°以上下がる傾斜状態になったときに後側傾斜面14は水平に対して略2°以上の後方に向けて下がる傾斜を確保できる。
【0021】
図10から
図12を用いて本実施形態において、車両が駐車されている地面の状況にかかわらず、ルーフパネル1の凹部10に溜まる水が効果的に排出されることを説明する。アンテナベース24の底面24aから突出している筒状部24bの図示は省略している。
【0022】
図10はアンテナ装置20が搭載された車両が水平な地面に駐車されている場合であり、アンテナ装置20が設置された凹部10において、アンテナ装置20の底面に対面する領域を含むアンテナ設置面12は後方に向けて下がるように形成されているので、前側傾斜面13、アンテナ設置面12、及び後側傾斜面14の全ての面が後方に向かって下がっており、凹部10に溜まっていた水は車両後方に排出される。
【0023】
図11は凹部10のアンテナ設置面12が水平となるように車両が駐車されている場合であり、前側傾斜面13及び後側傾斜面14は後方に向かって下がっているので、凹部10に溜まっていた水は後方に排出される。
【0024】
図12は凹部10のアンテナ設置面12及び前側傾斜面13が前方に向かって低くなるように車両が駐車されている場合であり、前側傾斜面13の仰角αを適切な設定値にすることで、殆どの場合に前側傾斜面13の前方が下がり、凹部10に溜まっていた水を前方に排出することが可能である。また、例えば前側傾斜面13の仰角αを略2°に設定したとき、後側傾斜面14の俯角βを仰角αの設定値よりも略4°以上大きい略6°以上に設定すると、前側傾斜面13が水平面に対して略2°前方に向けて下がる傾斜状態のときに、後側傾斜面14は水平面に対して後方に向かって略2°以上下がった傾斜面となり、後側傾斜面14上の水の排出を後方に向けて行うことができる。
【0025】
なお、前側傾斜面13の仰角αは、
図12のように前側からの水の排出を行う場合を考慮すると、あまり大きい角度では前側からの水の排出の妨げとなってしまう。このため、実際上は、以下の範囲が好ましい。
α≦5゜
【0026】
本実施形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0027】
(1) 車両のルーフパネル1の凹部10にアンテナ装置20を設置することで、アンテナ装置20が小さく見えるようし、アンテナ装置20とルーフパネル1を有するボディとの一体感が増す効果が得られる。また、凹部10の形状を工夫したことで、凹部10に溜まる水の排出を車両の姿勢にかかわらず効果的に行うことが可能であり、凹部10及びアンテナ装置20が水に浸からなくなるため、凹部の無い普通のルーフパネルと同じ耐久性が得られる。具体的に言えば、凹部10に形成されたアンテナ設置面12は、前記車両の後方側から前方側に向けて斜め上方に傾斜した前方傾斜面が前側に、前記車両の前方側から後方側に向けて斜め下方に傾斜した後方傾斜面が後側に、隣接する面であって、前記アンテナ装置は、前記前方傾斜面側を前方に、前記後方傾斜面側を後方に向けて前記アンテナ設置面に設置されることで、上記効果を得ている。
【0028】
(2) 凹部10の底面の一部であって、アンテナ装置20の底面に対面する領域を含むアンテナ設置面12の前後端を通る仮想平面を基準としたとき、前記仮想平面に対する前側傾斜面13の仰角よりも、仮想平面に対する後側傾斜面14の俯角の方を大きく設定しているので、車両前方に向かって下がる地面に車両が駐車されて前側傾斜面13がほぼ水平面になったときでも、後側傾斜面14が水平面に対して後方が下がった状態となり、後側傾斜面14上の水がアンテナ設置面12に向かうのを防止できる。
【0029】
(3) 前側傾斜面13の仰角αよりも後側傾斜面14の俯角βを略4°以上大きく設定することで、例えば前側傾斜面13(例えば仰角略2°)が水平面に対して略2°前方に向けて下がる傾斜状態のときに、後側傾斜面14は水平面に対して後方に向かって略2°以上下がった傾斜面となり、後側傾斜面14上の水の排出を後方に向けて行うことができる。
【0030】
(4) アンテナ装置は、ベースと、前記ベースの周縁部を覆うパッドを有し、 アンテナ設置面12の前後方向に直交する幅方向の上面において、アンテナ設置面12の中央部から幅方向の両側に向かって低くなる側方傾斜面12aが形成され、アウターパッド32は側方傾斜面12aに対面する配置であるから、降雨時や洗車時にアウターパッド32の内側に入り込んだ水は凹部10の底面側方に向かい、さらに車両の傾きに応じて凹部10の後方若しくは前方に排出される。
【0031】
(5) 前側傾斜面13は先端側が細幅となっているから、前側傾斜面13が長い場合でも目立ちにくい。細幅部13aとルーフパネルの面は接続しているため、凹部の面積を大きくすることなく排水できる。
【0032】
(6)
図1及び
図2のように前側傾斜面13の一部がアンテナ装置20の底面に対面する配置とした場合には、アウターケース31で凹部10の一部が覆われるから、凹部10の存在を目立たなくすることが可能である。
【0033】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0034】
ルーフパネルに形成された凹部のアンテナ設置面に比較してアンテナ装置の底面が大きい場合、前記前側傾斜面と前記後側傾斜面の両方の一部に、前記アンテナ装置の底面が対面する構成であってもよい。
【0035】
上述の実施形態では、アンテナ設置面、前側傾斜面及び後側傾斜面は、それぞれ前後方向が平坦である場合を図示したが、湾曲していてもよい。アンテナ設置面と前側傾斜面との境界部、及びアンテナ設置面と後側傾斜面との境界部はそれぞれ湾曲面であってもよい。
【0036】
本明細書によれば、以下の態様のアンテナ装置、車両のルーフパネル及び車両が提供される。
【0037】
(態様1)
態様1は、車両のルーフパネルの凹部に形成されたアンテナ設置面に設置されるアンテナ装置であって、
前記アンテナ設置面は、前記車両の後方側から前方側に向けて斜め上方に傾斜した前方傾斜面が前側に、前記車両の前方側から後方側に向けて斜め下方に傾斜した後方傾斜面が後側に、隣接する面であって、
前記アンテナ装置は、前記前方傾斜面側を前方に、前記後方傾斜面側を後方に向けて前記アンテナ設置面に設置される。
【0038】
上述の態様1によれば、車両のルーフパネルの凹部にアンテナ装置を設置することで、アンテナ装置が小さく見えるようにすることが可能である。凹部形状を工夫したことで、凹部に溜まる水の排出を車両の姿勢にかかわらず効果的に行うことが可能である。
【0039】
(態様2)
態様2は、前記アンテナ設置面の前後端を通る仮想平面を基準としたとき、前記仮想平面に対する前記前側傾斜面の仰角よりも、前記仮想平面に対する前記後側傾斜面の俯角の方が大きい、アンテナ装置である。
【0040】
上述の態様2によれば、車両前方に向かって下がる地面に車両が駐車されて前側傾斜面がほぼ水平面になったときでも、後側傾斜面が水平面に対して後方が下がった状態となり、後側傾斜面上の水がアンテナ設置面に向かうのを防止できる。
【0041】
(態様3)
態様3は、前記前側傾斜面の仰角よりも前記後側傾斜面の俯角が略4°以上大きい、アンテナ装置である。
【0042】
上述の態様3によれば、前側傾斜面が水平面に対して前方に向けて下がる傾斜状態となるように駐車された場合でも、後側傾斜面は水平面に対して後方に向かって下がる傾斜となるため、水を後方に効果的に排出できる。
【0043】
(態様4)
態様4は、前記前側傾斜面の仰角を5°以下に設定した、アンテナ装置である。
【0044】
上述の態様4によれば、アンテナ設置面が水平になるように車両が駐車された場合、前側傾斜面の水を後方に効果的に排出できる。また、ルーフパネルの凹部の存在を目立たなくすることができる。
【0045】
(態様5)
態様5は、前記アンテナ装置は、ベースと、前記ベースの周縁部を覆うパッドを有し、前記アンテナ設置面は、前後方向に直交する幅方向の上面において、前記アンテナ設置面の中央部から幅方向の両側に向かって低くなる側方傾斜面が形成され、前記パッドの底面は、前記側方傾斜面に対面している、アンテナ装置である。
【0046】
上述の態様5によれば、降雨時や洗車時にパッドの内側に入り込んだ水は凹部の底面側方に向かい、さらに車両の傾きに応じて凹部の後方若しくは前方に排出される。
【0047】
(態様6)
態様6は、前記前側傾斜面の先端側が細幅となっている、アンテナ装置である。
【0048】
上述の態様6によれば、前側傾斜面の全長が長い場合でも、先端側が細幅であるため目立ちにくい。細幅部とルーフパネルの面は接続しているため、凹部の面積を大きくすることなく排水できる。
【0049】
(態様7)
態様7は、前記アンテナ装置の底面は、前記アンテナ設置面に設置される際に、前記前側傾斜面及び前記後側傾斜面のいずれか一方又は両方の一部に対面している、アンテナ装置である。
【0050】
上述の態様7によれば、ケースで凹部の一部が覆われるから、凹部の存在を目立たなくすることが可能である。
【0051】
(態様8)
態様8は、アンテナ装置設置用の凹部を有する車両のルーフパネルであって、
前記凹部は、前記凹部の底面の一部であって前記アンテナ装置の底面に対面する領域を含むアンテナ設置面と、前記アンテナ設置面の前側に隣接する前側傾斜面と、前記アンテナ設置面の後側に隣接する後側傾斜面と、を有し、
前記アンテナ設置面は水平面に対して後方に向かって下がり、前記前側傾斜面は前記アンテナ設置面に対して前方に向かって上昇し、前記後側傾斜面は前記アンテナ設置面に対して後方に向かって下降している。
【0052】
上述の態様8によれば、車両のルーフパネルに凹部を形成したことで、凹部にアンテナ装置を設置することによって、アンテナ装置が小さく見えるようにすることが可能である。凹部形状を工夫したことで、凹部に溜まる水の排出を車両の姿勢にかかわらず効果的に行うことが可能である。
【0053】
(態様9)
態様9は、前記アンテナ設置面の前後端を通る仮想平面を基準としたとき、前記仮想平面に対する前記前側傾斜面の仰角よりも、前記仮想平面に対する前記後側傾斜面の俯角の方が大きい、車両のルーフパネルである。
【0054】
上述の態様9によれば、車両前方に向かって下がる地面に車両が駐車されて前側傾斜面がほぼ水平面になったときでも、後側傾斜面が水平面に対して後方が下がった状態となり、後側傾斜面上の水がアンテナ設置面に向かうのを防止できる。
【0055】
(態様10)
態様10は、前記前側傾斜面の仰角と前記後側傾斜面の俯角との角度差が4度以上である、車両のルーフパネルである。
【0056】
上述の態様10によれば、前側傾斜面が水平面に対して前方に向けて下がる傾斜状態となるように駐車された場合でも、後側傾斜面は水平面に対して後方に向かって下がる傾斜となるため、水を後方に効果的に排出することができる。
【0057】
(態様11)
態様11は、前記前側傾斜面の仰角が5°以下である、車両のルーフパネルである。
【0058】
上述の態様11によれば、アンテナ設置面が水平になるように車両が駐車された場合でも、前側傾斜面の水を後方に効果的に排出できる。また、ルーフパネルの凹部の存在を目立たなくすることができる。
【0059】
(態様12)
態様12は、前記アンテナ設置面の前後方向に直交する幅方向の上面において、前記アンテナ設置面の中央部から幅方向の両側に向かって低くなる側方傾斜面が形成されている、車両のルーフパネルである。
【0060】
上述の態様12によれば、凹部のアンテナ設置面に浸入した水は凹部の底面側方に向かい、さらに車両の傾きに応じて凹部の後方若しくは前方に排出される。
【0061】
(態様13)
態様13は、前記前側傾斜面の先端側が細幅となっている、車両のルーフパネルである。
【0062】
上述の態様13によれば、前側傾斜面が長い場合でも目立ちにくい。細幅部とルーフパネルの面は接続しているため、凹部の面積を大きくすることなく排水できる。
【0063】
(態様14)
態様14は、前記アンテナ装置を備える、車両である。
【0064】
上述の態様14によれば、ルーフパネルの凹部底面の一部であるアンテナ設置面にアンテナ装置を備えるため、アンテナ装置を含む車両の全高を低くできる。また凹部の形状を工夫したことにより、凹部に溜まる水の排出を車両の姿勢にかかわらず効果的に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ルーフパネル
10 凹部
12 アンテナ設置面
12a 側方傾斜面
13 前側傾斜面
13a 細幅部
14 後側傾斜面
20 アンテナ装置
24 アンテナベース
25 容量装荷素子
27 平面アンテナ
31 アウターケース
32 アウターパッド
35 シール
α 仰角
β 俯角