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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140054
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】濃度計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01N21/27 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051041
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 良一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 優子
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059EE01
2G059EE11
2G059GG02
2G059JJ01
2G059MM01
2G059MM14
(57)【要約】
【課題】光源の交換作業における利便性の向上を図ること。
【解決手段】濃度計測装置10は、変換部100と、検出部200と、投光部110と、光源特性取得部121と、データ補正部122とを備える。変換部100は、計測対象の濃度を演算する。検出部200は、計測対象に投光された光を伝達する投光器210と、変換部100に測定対象を透過した光を伝達する受光器220とを備える。投光部110は、変換部100に搭載され、変換部100と検出部200とを繋ぐ伝送路を介して計測対象に投光し、変換部100にモジュールとして搭載されることで交換可能とする。光源特性取得部121は、投光部110の稼働時特性を取得する。データ補正部122は、光源特性取得部121によって取得された特性に基づき、計測データを補正演算する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象の濃度を演算する変換部と、
前記計測対象に投光された光を伝達する投光器と、前記変換部に前記計測対象を透過した光を伝達する受光器とを備える検出部と、
前記変換部に搭載され、前記変換部と前記検出部とを繋ぐ伝送路を介して前記計測対象に投光し、前記変換部にモジュールとして搭載されることで交換可能とする投光部と、
前記投光部の稼働時特性を取得する光源特性取得部と、
前記光源特性取得部によって取得された特性に基づき、計測データを補正演算するデータ補正部と、
を備えることを特徴とする濃度計測装置。
【請求項2】
前記光源特性取得部は、前記投光部の稼働時特性として、前記投光部の順電圧値、順電流値、および、前記投光部の周囲温度のうち、いずれか一つまたは複数を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の濃度計測装置。
【請求項3】
前記投光部の固有の特性を予め記憶する固有特性記憶部をさらに備え、
前記データ補正部は、前記光源特性取得部によって取得された特性と、前記固有特性記憶部に記憶された特性とに基づき、計測データを補正演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の濃度計測装置。
【請求項4】
前記投光部を空冷する空冷部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の濃度計測装置。
【請求項5】
前記投光部は、投光部の固有の特性を予め記憶する固有特性記憶部をさらに備え、
前記変換部は、前記投光部が交換された場合に、前記投光部に備えられた固有特性記憶部に記憶された情報を、前記変換部に備えられた固有特性記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項3に記載の濃度計測装置。
【請求項6】
前記投光部は、前記計測対象に応じて交換可能であるモジュールとして、前記変換部に搭載される
ことを特徴とする請求項1に記載の濃度計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体のエッチング液や洗浄液といった水溶液に対して光を照射し、発光強度と水溶液を介して受光した光の強度とから水溶液の濃度を測定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-124385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では、光源の交換作業における利便性の向上を図るうえでさらなる改善の余地があった。例えば、従来のハロゲンランプを光源として使用した濃度計は、寿命が短いため、短期間で交換作業を行わなければならないという課題があった。他方で、長寿命のLED(Light Emitting Diode)を使用した濃度計が提案されているが、検出部にLEDが搭載されているため、光源交換時に調整作業が必要になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の濃度計測装置は、計測対象の濃度を演算する変換部と、計測対象に投光された光を伝達する投光器と、変換部に計測対象を透過した光を伝達する受光器とを備える検出部と、変換部に搭載され、変換部と前記検出部とを繋ぐ伝送路を介して計測対象に投光し、変換部にモジュールとして搭載されることで交換可能とする投光部と、投光部の稼働時特性を取得する光源特性取得部と、光源特性取得部によって取得された特性に基づき、計測データを補正演算するデータ補正部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光源の交換作業における利便性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る濃度計測装置の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る濃度計測装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る投光部の具体例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る濃度計測装置処理の具体例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る濃度計測装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本願に係る濃度計測装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る濃度計測装置が限定されるものではない。
【0009】
〔1.はじめに〕
図1は、本実施形態に係る濃度計測装置の概要を示す図である。図1の例では、本実施形態に係る濃度計測装置が備える機能の概要を示している。例えば、濃度計測装置10は、変換部100と検出部200とから構成され、投光部110から投光された光を、配管20を流れる計測対象の薬液に通過させ、通過した光を分光・受光し、解析することにより、薬液の濃度を演算する。そして、濃度計測装置10は、演算した濃度を外部の端末装置30に出力する。
【0010】
また、変換部100は、計測対象の薬液へ光を投光する処理や投光する光の制御を行う処理、透過した光を分析することにより計測対象の薬液の濃度を演算する処理を行う構成部分であり、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の情報処理装置により構成される。そして、検出部200は、投光部110から投光された光を、配管20を流れる薬液に伝える投光器210と、薬液を透過した光を分光部140に伝える受光器220とを有し、投光器210及び受光器220は、例えば、レンズにより構成される。
【0011】
濃度計測装置10は、変換部100と検出部200とを有し、変換部100に搭載され、変換部100と検出部200とを繋ぐ伝送路を介して計測対象に投光する。そして、濃度計測装置10は、投光部110の稼働時特性を取得し、取得された特性に基づき計測データを補正演算する。
【0012】
濃度計測装置10は、まず、変換部100と検出部200とを有し、変換部100に搭載され、変換部100と検出部200とを繋ぐ伝送路を介して計測対象に投光する。例えば、濃度計測装置10は、前述の変換部100と検出部200とを有し、変換部100に交換可能な投光モジュールとして搭載された投光部110が有するLED(Light Emitting Diode)により、伝送路である光ファイバー等を介して、配管20を流れる計測対象の薬液に投光する。
【0013】
そして、濃度計測装置10は、投光部110の稼働時特性を取得する。例えば、濃度計測装置10の光源特性取得部121は、投光部110が有するLEDの稼働時特性である、順電圧値、順電流値、周囲温度を取得する。その後、濃度計測装置10は、取得された特性に基づき計測データを補正演算する。例えば、濃度計測装置10は、前述のLEDの稼働時特性の値により、受光部124によって受光された特定の波長における光のスペクトル強度のデータを補正演算する。
【0014】
なお、変換部100は、例えば、計測対象を透過した光を、検出部200の受光器220を介して受光し、分光器により波長ごとに分光する分光部140を有してもよく、補正されたデータに基づき、計測対象の濃度を演算する処理部125を有してもよい。また、変換部100は、外部の端末装置30と通信の送受信を行う通信部150を有し、外部に計測した濃度の値を出力したり、光源の制御を行う光源制御部127の制御値の変更及び分光の制御を行う分光制御部128の制御値の変更について外部から受信したりしてもよい。
【0015】
さらに、変換部100は、例えば、光源についての制御状況や分光についての制御状況を表示部160により表示してもよく、操作部170に備えられたボタン等の操作により、光源等の制御値の変更について受付けてもよい。また、変換部100は、前述の通信部150により受信した制御値の変更や、操作部170により受付けられた制御値の変更について設定を行う設定部126を有してもよい。
【0016】
配管20は、計測対象の薬液が流れており、例えば、濃度計測装置10が配管20の一部に光を投光することで、計測対象の薬液の濃度が計測される。また、配管内を流れる薬液は複数であってもよい。
【0017】
端末装置30は、濃度計測装置10によって計測された濃度が出力される外部の端末であり、例えば、PCやPLC(Programmable Logic Controller)等の情報処理装置により構成される。また、端末装置30は、例えば、濃度計測装置10と通信可能に接続され、端末装置30への入力操作により、濃度計測装置10について各種設定を行ってもよい。
【0018】
なお、図1における濃度計測装置10は一例であり、各構成部分は図1に示す配置に限られない。例えば、変換部100に、光源であるLEDと、光源特性取得部121と、空冷部123と、光源制御部127と、固有特性記憶部131とを有する交換式の投光モジュールである投光部110が組み込まれてもよく、計測対象の薬液の種類等に応じて、投光部110が交換されてもよい。
【0019】
〔2.濃度計測装置10の構成〕
次に、図2を参照し、図1に示した濃度計測装置10の構成を説明する。図2は、実施形態に係る濃度計測装置の構成例を示す図である。図2に示すように、実施形態に係る濃度計測装置10は、変換部100と、検出部200とを有する。変換部100は、投光部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。
【0020】
検出部200は、計測対象に投光された光を伝達する投光器210と、計測対象を透過した光を調整する受光器220とを備える。例えば、検出部200は、投光部110から投光された光を、計測対象の薬液に投光する投光器210と、薬液を透過した光を変換部100が有する分光部140に伝える受光器220とを備える。なお、例えば、投光器210及び受光器220はレンズ等により構成される。
【0021】
変換部100は、計測対象の濃度を演算する。例えば、変換部100は、計測対象に光を投光し、計測対象を通過した光を分光・受光し、解析することにより、薬液の濃度を演算する。
【0022】
また、変換部100は、投光部110が交換された場合に、投光部110に備えられた固有特性記憶部131に記憶された情報を、変換部100に備えられた固有特性記憶部131に格納してもよい。例えば、変換部100は、後述する投光部110が固有特性記憶部131を備える場合において、投光部110が交換された際に、投光部110に備えられた固有特性記憶部131に記憶されている情報を読み取り、変換部100に備えられた固有特性記憶部131に格納する。なお、前述の変換部100による読み取り・格納処理は、投光部110の交換時の他に、電源の投入ごとに行われてもよい。
【0023】
そして、変換部100は、図1に示す濃度計測装置10の一例のように、様々な構成部分を有するが、以下では、本発明に密接に関わる構成部分である、投光部110と、光源特性取得部121と、データ補正部122と、空冷部123と、固有特性記憶部131と、補正後データ記憶部132とについて説明する。
【0024】
投光部110は、変換部100に搭載され、変換部100と検出部200とを繋ぐ伝送路を介して計測対象に投光し、変換部100にモジュールとして搭載されることで交換可能とする。例えば、投光部110は、変換部100に交換可能なモジュールとして搭載され、変換部100と検出部200の投光器210とを接続する伝送路である光ファイバー等を介して、光源であるLEDから出力された光を、配管20を流れる計測対象の薬液に投光する。
【0025】
また、投光部110は、例えば、光源であるLEDと、LEDをパルス点灯制御する駆動部とからなり、前述の光源制御部127は、駆動部を介してLEDのパルス点灯制御を行ってもよい。
【0026】
さらに、投光部110は、投光部110の固有の特性を予め記憶する固有特性記憶部131をさらに備えてもよい。例えば、投光部110は、後述する固有特性記憶部131に記憶される情報を、投光部110の出荷前に予め記憶した固有特性記憶部131を備える。
【0027】
ここで、投光部110が備える固有特性記憶部131は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)といった記憶素子で構成され、また、変換部100が備える固有特性記憶部131とは別の構成部分であるが、記憶される情報は同一であってもよい。
【0028】
また、投光部110は、計測対象に応じて交換可能であるモジュールとして、変換部100に搭載されてもよい。例えば、投光部110は、変換部100から取り外しが可能である投光モジュールとして搭載され、計測対象の薬液の種類に応じて交換されてもよい。
【0029】
ここで、図3を参照し、交換可能であるモジュールとして搭載される投光部110について説明する。図3は、実施形態に係る投光部の具体例を示す図である。図3の例において、投光部110は、光源であるLEDと、前述した固有特性記憶部131の他に、投光部110と密接に関連する、光源特性取得部121と、空冷部123と、光源制御部127とを備える。なお、投光部110が光源特性取得部121と、空冷部123と、光源制御部127とを備える場合には、変換部100は当該構成部分を備えなくてもよい。
【0030】
そして、投光部110は、計測対象の薬液の種類に応じて複数存在し、薬液種に対応したLEDを有する投光部110が、投光部110-1~110-nの中から選択され、変換部100に搭載される。また、変換部100は、投光部110が交換された際、または、電源が投入された際に、投光部110が備える固有特性記憶部131に記憶された情報を読み取り、変換部100が備える固有特性記憶部131に格納する。
【0031】
図3の例では、計測対象の薬液種に対応するとして、投光部110-1が選択され、変換部100に搭載される。そして、投光部110-1の搭載の際に、投光部110-1が備える固有特性記憶部131-1に記憶された、出荷前に取得したLEDの固有特性、使用可能薬液、薬液特性データ、製造Noなどのデータを読み取り、変換部100が備える固有特性記憶部131に格納する。
【0032】
記憶部130は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ等の記憶装置によって実現され、制御部120による各種処理に必要なデータ及びプログラムを格納する。また、記憶部130は、固有特性記憶部131と、補正後データ記憶部132とを有する。
【0033】
固有特性記憶部131は、投光部110固有の特性を予め記憶する。例えば、固有特性記憶部131は、投光部110が有するLEDについて、光強度と順電圧値との相関である補正係数や、補正係数の基準電圧値、順電圧値と周囲温度との相関である変換係数、LEDの製品番号、LEDの対応薬液種、対応薬液ごとの濃度演算用係数等の、LED固有の特性を予め記憶する。
【0034】
補正後データ記憶部132は、例えば、後述するデータ補正部122により補正された、計測値である光のデータを記憶する。なお、図1における処理部125は、例えば、補正後データ記憶部132に記憶された補正後のデータを使用して、計測対象の薬液の濃度を演算してもよい。
【0035】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、変換部100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部120は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。制御部120は、本発明に密接に関わる構成部分として、光源特性取得部121と、データ補正部122とを有し、必要に応じて、空冷部123を有してもよい。
【0036】
光源特性取得部121は、投光部110の稼働時特性を取得する。また、光源特性取得部121は、投光部110の稼働時特性として、投光部110の順電圧値、順電流値、または、投光部110の周囲温度を取得してもよい。
【0037】
例えば、光源特性取得部121は、パルス点灯中であるLEDの順電圧値、順電流値、または、投光部110の周囲温度といった、投光部110の稼働時特性を取得し、取得した特性を送信可能な形式へと変換した後、後述するデータ補正部122に送信する。
【0038】
データ補正部122は、光源特性取得部121によって取得された特性に基づき、計測データを補正演算する。例えば、データ補正部122は、前述の光源特性取得部121から送信された稼働時特性を取得し、受光部124から通知された計測データを補正演算する。その後、データ補正部122は、補正後のデータを補正後データ記憶部132に格納する。
【0039】
また、データ補正部122は、光源特性取得部121によって取得された特性と、固有特性記憶部131に記憶された特性とに基づき、計測データを補正演算してもよい。例えば、データ補正部122は、前述の稼働時特性に加え、前述した固有特性記憶部131に記憶されたLED固有の特性を取得し、両特性により計測データを補正演算する。
【0040】
空冷部123は、投光部110を空冷する。例えば、空冷部123は、投光部110が有する光源であるLEDの発熱による周囲への熱影響を低減するために、空冷ファンを駆動させ投光部110を空冷する。
【0041】
〔3.実施例〕
ここで、図3を参照し、本実施形態における濃度計測装置10における計測データの補正処理から濃度演算処理までの処理について説明する。図3は、実施形態に係る濃度計測装置の処理の具体例を示す図である。
【0042】
図3の例では、データ補正部122が、光源特性取得部121及び固有特性記憶部131からそれぞれの特性値を取得し、その特性値を使用して、受光部124で受光された各波長における光強度の計測値の補正を行う。そして、データ補正部122によって補正されたデータが補正後データ記憶部132に記憶された後、処理部125が補正後のデータから濃度を計測する。
【0043】
図3に示す通り、固有特性記憶部131は、投光部110が有するLEDについての光強度と順電圧値との相関である補正係数や、補正係数の基準電圧値、順電圧値と周囲温度との相関である変換係数、LEDの製品番号、LEDの対応薬液種、対応薬液ごとの濃度演算用係数等のLED固有の特性を記憶する。そして、データ補正部122は、固有特性記憶部131に記憶された特性を適宜取得する。
【0044】
また、図3の例では、光源特性取得部121は、光源制御部127によってLEDを流れる電流が、例えば100mAに調整されている際の順電流値、順電圧値、周囲温度を取得し、取得した稼働時特性を送信可能な形式へと変換した後、データ補正部122に送信する。
【0045】
これにより、濃度計測装置10は、LED固有の特性や、LEDの稼働時の特性から生じる計測値の誤差を補正することができるため、計測対象の薬液に対してより精度の高い濃度計測を行うことができる。
【0046】
〔4.濃度計による処理の一例〕
次に、図4を用いて、濃度計測装置10よる処理について説明する。図4は、実施形態に係る濃度計測装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。濃度計測装置10の投光部110は、計測対象の薬液に光を投光する(ステップS101)。そして、光源特性取得部121は、投光部110の稼働時特性を取得する(ステップS102)。
【0047】
その後、データ補正部122は、投光部110が有するLEDの稼働時特性と、LED固有の特性とに基づき、計測データを補正演算する(ステップS103)。そして、濃度計測装置10は、計測対象の濃度を演算して、工程を終了する(ステップS104)。
【0048】
〔5.実施形態の効果〕
前述してきたように、本実施形態に係る濃度計測装置10は、変換部100と、検出部200と、投光部110と、光源特性取得部121と、データ補正部122とを備える。変換部100は、計測対象の濃度を演算する。検出部200は、計測対象に投光された光を伝達する投光器210と、変換部100に計測対象を透過した光を伝達する受光器220とを備える。
【0049】
投光部110は、変換部100に搭載され、変換部100と検出部200とを繋ぐ伝送路を介して計測対象に投光し、変換部100にモジュールとして搭載されることで交換可能とする。光源特性取得部121は、投光部110の稼働時特性を取得する。データ補正部122は、光源特性取得部121によって取得された特性に基づき、計測データを補正演算する。
【0050】
これにより、濃度計測装置10は、変換部100と検出部200とを繋ぐ伝送路を介して計測対象に光を投光することにより、変換部100に投光部110を搭載することができるため、光源の交換を容易に行うことができるという効果を奏する。また、濃度計測装置10は、光源の稼働時特性により計測データの補正を行うため、より精度の高い濃度計測を行うことができるという効果も奏する。
【0051】
また、濃度計測装置10の光源特性取得部121は、投光部110の稼働時特性として、投光部110の順電圧値、順電流値、または、投光部110の周囲温度を取得する。これにより、濃度計測装置10は、投光部110が有する光源であるLEDが稼働している状態における順電圧値や順電流値、周囲温度といった、計測データに誤差を生じさせる要因の情報を取得し、計測データの補正を行うため、より精度の高い濃度計測を行うことができるという効果を奏する。
【0052】
さらに、濃度計測装置10は、固有特性記憶部131を備える。固有特性記憶部131は、前記投光部固有の特性を予め記憶する。また、データ補正部122は、光源特性取得部121によって取得された特性と、固有特性記憶部131に記憶された特性とに基づき、計測データを補正演算する。
【0053】
これにより、濃度計測装置10は、前述の稼働時特性に加え、投光部110が有するLED固有の特性の情報も使用して計測データの補正を行うため、より精度の高い濃度計測を行うことができるという効果を奏する。
【0054】
また、濃度計測装置10は、空冷部123を備える。空冷部123は、投光部110を空冷する。これにより、濃度計測装置10は、光源であるLEDを有する投光部110を、ファン等により空冷することで、LEDの発熱による周囲への熱影響を低減することができるという効果を奏する。
【0055】
さらに、濃度計測装置10の投光部110は、投光部110の固有の特性を予め記憶する固有特性記憶部131をさらに備え、変換部100は、投光部110が交換された場合に、投光部110に備えられた固有特性記憶部131に記憶された情報を、変換部100に備えられた固有特性記憶部131に格納する。これにより、濃度計測装置10は、ユーザに投光モジュール固有の設定や、薬液の種類が変更された際の設定を意識させずに、容易に濃度計測を行わせることができるという効果を奏する。
【0056】
また、濃度計測装置10の投光部110は、計測対象に応じて交換可能であるモジュールとして、変換部100に搭載される。これにより、濃度計測装置10は、計測対象の薬液種に応じて、対応する光源に容易に変換することができるという効果を奏する。
【0057】
[6.その他]
前述の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0058】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の通り構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0059】
前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0060】
また、前述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 濃度計測装置
20 配管
30 端末装置
100 変換部
110、110-1~110-n 投光部
120 制御部
121、121-1~121-n 光源特性取得部
122 データ補正部
123、123-1~123-n 空冷部
124 受光部
125 処理部
126 設定部
127、127-1~127-n 光源制御部
128 分光制御部
130 記憶部
131、131-1~131-n 固有特性記憶部
132 補正後データ記憶部
140 分光部
150 通信部
160 表示部
170 操作部
200 検出部
210 投光器
220 受光器
図1
図2
図3
図4
図5