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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140055
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20241003BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20241003BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B27/01
B60J1/02 M
B60K35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051042
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 直久
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA15
2H199DA19
2H199DA32
2H199DA34
2H199DA42
2H199DA48
3D344AA08
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】外光による表示器の温度上昇を適切に抑制することができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置1は、筐体11内に設けられ表示光Lを出射する表示部2と、表示光Lを反射させて表示部材103に投影させる反射部3と、筐体11に設けられ、表示光Lが通る光路上に配置され、外部から筐体11内へ入射する外光Dを第一偏光軸41に沿って偏光する第一偏光部4と、筐体11に設けられ、光路上に配置され、光路に沿った軸線を中心として回転可能に設けられ、外光Dを第二偏光軸51に沿って偏光する第二偏光部5と、表示部2の集光情報に基づいて第二偏光部5を回転させ第一偏光部4の第一偏光軸に対する第二偏光部5の第二偏光軸の方向を変えて光路における外光Dの透過量を調整する調整部6と、を備えて構成されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられ、表示光を出射する表示部と、
前記筐体内に設けられ、前記表示光を反射させて表示部材に投影させる反射部と、
前記筐体に設けられ、前記表示光が通る光路上に配置され、外部から前記筐体内へ入射する外光を第一偏光軸に沿って偏光する第一偏光部と、
前記筐体に設けられ、前記光路上に配置され、前記光路に沿った軸線を中心として回転可能に設けられ、前記外光を第二偏光軸に沿って偏光する第二偏光部と、
前記表示部への前記外光の集光に関する集光情報に基づいて前記第二偏光部を回転させ、前記第一偏光部の前記第一偏光軸に対する前記第二偏光部の前記第二偏光軸の方向を変えて前記光路における前記外光の透過量を調整する調整部と、を備える、
画像表示装置。
【請求項2】
前記表示部の前記集光情報に基づいて前記表示部に前記外光が集光しているか否かを判定する集光判定部を更に備え、
前記調整部は、
前記集光判定部により前記表示部に前記外光が集光していないと判定された場合に、前記第一偏光軸に対し前記第二偏光軸の方向を合わせるように前記第二偏光部を回転させ、
前記集光判定部により前記表示部に前記外光が集光していると判定された場合に、前記第一偏光軸に対し前記第二偏光軸が交差する方向となるように前記第二偏光部を回転させて、前記第一偏光軸に対し前記第二偏光軸の方向を合わせた場合と比べて前記外光の透過量を低減させる、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記調整部は、作動を終了する場合に、前記第一偏光軸に対し前記第二偏光軸が直交する方向となるように前記第二偏光部を回転させる、
請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第一偏光部は、前記筐体に形成され前記表示光を外部へ出射させる開口を覆うように設けられ、
前記第二偏光部は、前記表示部と前記反射部の間であって、前記反射部と比べ前記表示部に近い位置に配置されている、
請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示装置に関するものとして、例えば、特許文献1~3に記載されるように、車両に搭載され、表示器から表示光を出射し、反射ミラー等を介してウインドシールドなどに表示光を投影して、ドライバに虚像として視認させるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-139157号公報
【特許文献2】特開2020-052070号公報
【特許文献3】特開2022-137325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このヘッドアップディスプレイ装置において、太陽光などの外光が装置の開口を通じて内部に入射し、反射ミラー等を介して表示器に到達すると、反射ミラー等の集光作用により表示器の温度が上昇するおそれがある。この対策として、表示光の光路上に光の透過率を調整する調光装置や調光部材を設置したりすることが考えられるが、熱対策が不十分となる点で改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、外光による表示器の温度上昇を適切に抑制することができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る画像表示装置は、筐体内に設けられ、表示光を出射する表示部と、前記筐体内に設けられ、前記表示光を反射させて表示部材に投影させる反射部と、前記筐体に設けられ、前記表示光が通る光路上に配置され、外部から前記筐体内へ入射する外光を第一偏光軸に沿って偏光する第一偏光部と、前記筐体に設けられ、前記光路上に配置され、前記光路に沿った軸線を中心として回転可能に設けられ、前記外光を第二偏光軸に沿って偏光する第二偏光部と、前記表示部への前記外光の集光に関する集光情報に基づいて前記第二偏光部を回転させ、前記第一偏光部の前記第一偏光軸に対する前記第二偏光部の前記第二偏光軸の方向を変えて前記光路における前記外光の透過量を調整する調整部と、を備えるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る画像表示装置によれば、外光による表示器の温度上昇を適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る画像表示装置の構成概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る画像表示装置における偏光ユニットの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る画像表示装置における偏光ユニットの分解斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る画像表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る画像表示装置の偏光軸制御処理を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る画像表示装置における表示部、第一偏光部及び第二偏光部における偏光軸の方向を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態は、画像表示装置に関する。なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「前後方向X」といい、第2方向を「車幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、前後方向Xと車幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。前後方向Xは、画像表示装置が搭載される車両の前後方向に相当する。車幅方向Yは、画像表示装置が搭載される車両の車幅方向に相当する。車幅方向Yと高さ方向Zとは、前後方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が車両に搭載された状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
【0011】
図1に示すように、画像表示装置1は、車両に設置され、車両において画像を表示する装置であり、例えば、車両の表示部材103に画像を表示させるヘッドアップディスプレイ装置である。画像表示装置1は、車両100において、表示部材103に表示画像を投影して、車両のドライバのアイポイントEPの前方に虚像Sを表示させる。表示部材103は、例えば、ウインドシールドである。画像表示装置1は、表示部材103の下方に配置されている。アイポイントEPは、ドライバの視点位置として予め想定される。
【0012】
画像表示装置1は、表示部2、反射部3、第一偏光部4、第二偏光部5、調整部6及び制御ユニット7を備えて構成されている。表示部2は、表示画像を表示光Lとして出射する機器であり、例えば、筐体11内に設けられ、液晶表示ユニット21及びバックライトユニット22を含んで構成される。筐体11は、画像表示装置1の構成部品を収容する箱型の収容体である。筐体11には、表示光Lを外部へ出射させるための開口111が形成されている。液晶表示ユニット21は、いわゆる液晶パネルであり、例えば光透過型または光半透過型のTFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal)を含んで構成される。液晶表示ユニット21は、裏面側から照明されることで表面側の表示面が発光する。液晶表示ユニット21は、バックライトユニット22から出射された光の光路上に配置され、裏面側から照明されることで表面側の表示面が発光する。バックライトユニット22は、液晶表示ユニット21を裏面側から照明する照明機器である。表示部2は、偏光軸23(図6参照)を有している。例えば、表示部2の偏光軸23は、液晶表示ユニット21に設けられる偏光板の光の透過軸の向きとなる。
【0013】
図1において、反射部3は、表示部2から出射される表示光Lを反射させる部材であり、例えば、筐体11内に設けられ、表示部材103に向けて表示光Lを反射させる。反射部3は、例えば、平面ミラー31及び反射ミラー32を備えている。平面ミラー31は、表示部2から出射される表示光Lを反射ミラー32へ反射させる反射体であり、例えば、平面状の反射面を有し、表示部2から出射された表示光Lを反射面で反射ミラー32に向けて全反射させる。平面ミラー31は、例えば、表示部2の上方の位置に配置される。
【0014】
反射ミラー32は、平面ミラー31で反射される表示光Lを表示部材103へ反射させる反射体であり、例えば、凹面状の反射面を有する。反射ミラー32は、凹面状の反射面を有することで、拡大ミラーとして機能する。すなわち、反射ミラー32は、表示光Lの表示画像を拡大して反射する。つまり、反射ミラー32により反射させた表示光Lの表示画像は、反射ミラー32により反射される前の表示光Lの表示画像と比べて相対的に大きくなる。
【0015】
このような反射ミラー32は、外部から筐体11内へ入射する外光Dを集光させる。すなわち、太陽光などの外光Dが外部から筐体11内へ入射する場合、反射ミラー32により反射されて集光される。この集光された外光Dがそのまま表示部2に入射されると表示部2の温度が上昇することとなる。
【0016】
第一偏光部4は、筐体11に設けられ、表示光Lが通る光路上に配置され、画像表示装置1の外部から筐体11内へ入射する外光Dを第一偏光軸41(図6参照)に沿って偏光する板状の部材であり、例えば、筐体11の開口111を覆うように取り付けられる防塵カバーが用いられる。すなわち、第一偏光部4は、偏光機能を有する偏光板を防塵カバーとして構成したものである。第一偏光軸41は、第一偏光部4に入射する光に対し交差する方向に沿って形成される軸であり、同じ方向に振動する光を透過させる透過軸である。つまり、第一偏光部4は、第一偏光軸41と平行に振動する光を透過する一方、第一偏光軸41と直交する方向に振動する光を反射する。第一偏光部4の第一偏光軸41は、表示部2の偏光軸23と同じ向きとされる。例えば、表示部2の偏光軸23が車幅方向Yに向いている場合、第一偏光部4の第一偏光軸41も車幅方向Yとなるように形成される。
【0017】
図1において、第二偏光部5は、筐体11内に設けられ、表示光Lの光路上に配置され、光路に沿った軸線を中心として回転可能に設けられている。第二偏光部5は、外光Dを第二偏光軸51(図6参照)に沿って偏光する板状の部材であり、例えば、表示部2と平面ミラー31の間の光路上に設けられる。第二偏光軸51は、第二偏光部5に入射する光に対し交差する方向に沿って形成される軸であり、同じ方向に振動する光を透過させる透過軸である。つまり、第二偏光部5は、第二偏光軸51と平行に振動する光を透過する一方、第二偏光軸51と直交する方向に振動する光を反射する。第二偏光部5の第二偏光軸51は、第二偏光部5の回転により、光路の軸線を中心として回転可能とされる。調整部6は、表示部2の集光情報に基づき第二偏光部5を回転させる回転機構であり、第一偏光部4の第一偏光軸41に対し第二偏光部5の第二偏光軸51の方向を変えて外光Dの透過量を調整する。
【0018】
第二偏光部5は、例えば、表示部2と平面ミラー31との間であって、平面ミラー31と比べて表示部2に近い位置に配置される。この場合、表示部2に近い位置に配置されることで、第二偏光部5を小さく構成することができる。また、第二偏光部5を小型化することにより、第二偏光部5を回転させるモータ63(図2参照)を小型化することができる。従って、画像表示装置1の小型化を図ることができる。また、画像表示装置1は、第二偏光部5を小型化することにより、第二偏光部5の回転に要する時間を短くすることができ、第二偏光部5の第二偏光軸51の調整制御が迅速に行える。画像表示装置1の起動時に第二偏光部5を回転させる場合、画像表示装置1の起動時間を短くすることができる。
【0019】
図2、3に示すように、第二偏光部5は及び調整部6は、例えば、偏光ユニット60に組み込まれて設けられる。偏光ユニット60は、第二偏光部5は及び調整部6を含んで構成され、調整部6により第二偏光部5を回転可能に保持している。
【0020】
調整部6は、例えば、本体61、保持枠62及びモータ63を有している。保持枠62は、第二偏光部5を保持し、第二偏光部5と共に回転する枠体である。保持枠62は、例えば、環状を呈する枠本体621及び支持部622により構成される。第二偏光部5は、枠本体621に嵌め付けられ、支持部622により枠本体621に対し固定される。本体61は、中央に開口を形成する本体部611及び蓋部612を有している。本体61は、第二偏光部5を保持した保持枠62を本体部611と蓋部612の間に挟み込んで回転可能に保持する。例えば、本体部611及び蓋部612には円弧状のスリット613が複数形成され、枠本体621にはピン623が複数突設されている。ピン623がスリット613内に挿入されることにより、第二偏光部5及び保持枠62がスリット613の延在方向を周方向として回転可能となっている。
【0021】
枠本体621の外周には、複数の歯を有するラック624が形成されている。ラック624は、本体部611に対し回転可能に取り付けられる歯車614と噛み合っている。歯車614は、蓋部612に取り付けられるモータ63の回転軸に取り付けられている。このため、モータ63の回転駆動により、歯車614が回転し、ラック624を介して第二偏光部5及び保持枠62が回転する。モータ63は、制御ユニット7の制御信号に基づいて駆動する。なお、第二偏光部5及び調整部6は、上述した偏光ユニット60以外の機構によって、第二偏光部5を回転可能に構成されてもよい。
【0022】
図4に示すように、画像表示装置1は、電気的な構成要素として、始動情報取得部81、表示情報取得部82、集光情報取得部83、制御ユニット7、表示部2及び調整部6を備えている。始動判定部71、表示制御部72、偏光軸制御部73及び集光判定部74は、制御ユニット7に導入されるプログラム又はソフトウエアにより構成されてよいし、制御処理を行う個別のユニットとして設置されてもよい。
【0023】
始動情報取得部81は、画像表示装置1の始動情報を取得するものであり、例えば、エンジン始動のためのイグニッションスイッチ、車両の始動スイッチ又は電源スイッチなどが用いられる。また、画像表示装置1の電源オンオフを行う電源スイッチが設けられる場合には、その電源スイッチであってもよい。始動情報は、画像表示装置1の作動開始の情報のほか、画像表示装置1の作動終了の情報を含む。始動情報取得部81は、制御ユニット7に接続され、制御ユニット7に始動情報を入力する。
【0024】
表示情報取得部82は、画像表示装置1において表示すべき表示画像の情報又はデータを取得するものであり、例えば、制御ユニット7の外部に設置される画像表示制御ユニットなどが該当する。表示情報取得部82は、制御ユニット7に接続され、制御ユニット7に表示情報を入力する。なお、表示情報取得部82は、制御ユニット7の内部に設けられていてもよい。例えば、制御ユニット7は、予め表示すべき表示画像データを記録し、表示指令信号を受けて対応する表示画像データを出力してもよい。
【0025】
集光情報取得部83は、表示部2の集光情報を取得部するものであり、例えば、表示部2に外光Dが集光していることを検知するセンサなどが用いられる。外光Dは、画像表示装置1の外部から筐体11内へ入射する光であり、例えば、太陽光である。集光情報は、表示部2への外光Dの集光に関する情報であり、例えば、表示部2への光の照度、表示部2の温度など外光Dの集光の検知情報、外光Dの集光を推定可能な情報などが該当する。外光Dは、第一偏光部4を透過し反射ミラー32及び平面ミラー31に反射されて表示部2に照射される場合、表示部2に集光して照射される。外光Dが表示部2に集光することにより、表示部2の温度が上昇する。集光情報取得部83として、例えば、表示部2の温度を検知する温度センサ、表示部2に照射される光を検知する赤外線センサ及び光学センサなどが用いられる。集光情報取得部83は、制御ユニット7に接続され、制御ユニット7に集光情報を入力する。
【0026】
制御ユニット7は、画像表示装置1の装置全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えば、制御処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、その制御に必要なプログラムやデータを記録するROM(Read Only Memory)、CPUでの演算結果などを一時的に記録するRAM(Random Access Memory)、制御ユニット7との外部との間で信号を入出力するための入出力ポートを含んだコンピュータなどで構成される。
【0027】
制御ユニット7は、始動判定部71、表示制御部72、偏光軸制御部73、集光判定部74及び記録部75を含んで構成される。始動判定部71は、例えば、始動情報取得部81の始動情報に基づいて画像表示装置1において始動すべきか否か判定すると共に、画像表示装置1の作動時において作動を終了するか否かを判定する。表示制御部72は、例えば、表示情報取得部82の表示情報に基づいて画像信号を表示部2へ出力する。
【0028】
集光判定部74は、表示部2に外光Dが集光しているか否かを判定するものであり、例えば、集光情報取得部83の集光情報に基づいて外光Dの集光状態を判定する。偏光軸制御部73は、第二偏光部5の第二偏光軸51の方向を制御するものであり、例えば、集光判定部74の判定情報及び始動情報取得部81の始動情報に基づいて調整部6に制御信号を出力する。
【0029】
具体的には、図6に示すように、偏光軸制御部73は、集光判定部74により表示部2に外光Dが集光していないと判定された場合に第一偏光部4の第一偏光軸41に対し第二偏光部5の第二偏光軸51の方向を合わせるように、調整部6に制御信号を出力する。なお、図6に示すように、第一偏光部4の第一偏光軸41は、表示部2の偏光軸23と同じ方向となっており、回転せずに固定の方向となっている。調整部6は、制御信号を受けて、モータ63を駆動させ、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41と同じ方向となるように第二偏光部5を回転させる。これにより、第二偏光部5は、外光Dの透過量を高透過状態とする。なお、同じ方向には、ほぼ同じ方向も含む。
【0030】
偏光軸制御部73は、集光判定部74により表示部2に外光Dが集光していると判定された場合に第一偏光部4の第一偏光軸41に対し第二偏光部5の第二偏光軸51を交差する方向へ向けるように、調整部6に制御信号を出力する。この場合、交差する方向は、第一偏光軸41と第二偏光軸51のなす角が0度より大きく90度より小さく角度となる方向とされる。また、外光Dの集光度合が大きいほど第一偏光軸41と第二偏光軸51のなす角を大きくするように、制御されてもよい。調整部6は、制御信号を受けて、モータ63を駆動させ、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41に対し交差する方向となるように第二偏光部5を回転させる。これにより、第二偏光部5は、外光Dの透過量を低透過状態とする。
【0031】
偏光軸制御部73は、始動判定部71により画像表示装置1の作動を終了すると判定された場合に第一偏光部4の第一偏光軸41に対し第二偏光部5の第二偏光軸51を直交する方向へ向けるように、調整部6に制御信号を出力する。この場合、直交する方向には、ほぼ直交する方向を含む。調整部6は、制御信号を受けて、モータ63を駆動させ、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41に対し直交する方向となるように第二偏光部5を回転させる。これにより、第二偏光部5は、外光Dの透過量を遮断状態とする。
【0032】
図4において、記録部75は、画像表示装置1の制御データなどを記録するメモリであり、例えば、図6の第二偏光部5の第二偏光軸51の角度に対応したモータ63の作動量などが記録される。表示部2は、表示制御部72の制御信号に基づいて表示光Lを出射する。調整部6は、偏光軸制御部73の制御信号に基づいて作動し、モータ63を駆動させて第二偏光部5を回転させる。
【0033】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の動作について説明する。
【0034】
まず、画像表示装置1の基本動作を説明する。図1において、制御ユニット7から出力される画像信号に基づいて表示部2が表示光Lを出射する。表示光Lは、平面ミラー31及び反射ミラー32で反射され、表示部材103に投影される。車両のドライバは、アイポイントEPにおいて投影された表示光Lの画像を虚像Sとして視認することができる。
【0035】
一方、画像表示装置1には、外光Dが入射される場合、外光Dが表示部2に集光することを抑制する必要がある。外光Dの集光により表示部2の温度が上昇してしまうからである。画像表示装置1は、表示光Lの光路上に第一偏光部4及び第二偏光部5を設置し、偏光軸制御処理を行うことにより、表示部2の温度上昇を抑制している。
【0036】
図5は、画像表示装置1の偏光軸制御処理を示すフローチャートである。図5の偏光軸制御処理は、例えば、車両が始動された場合に開始され、制御ユニット7により実行される。
【0037】
まず、ステップS10(以下、単に「S10」という。ステップS10以降のステップについても同様とする)に示すように、表示部2に外光Dが集光しているか否かが判定される。この判定処理は、集光情報取得部83の集光情報に基づいて表示部2に外光Dが集光しているか否かを判定する処理であり、例えば、集光判定部74により行われる。
【0038】
S10において表示部2に外光Dが集光していないと判定された場合、高透過調整処理が行われる(S14)。高透過調整処理は、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41と同じ方向となるように、第二偏光部5を回転させる処理であり、例えば、偏光軸制御部73により行われる。例えば、図4において、偏光軸制御部73から調整部6へ制御信号が出力される。これにより、図2において、モータ63が作動し、第二偏光部5が表示光Lの光路に沿った軸線を中心として回転する。そして、図6において、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41と同じ方向とされ、表示光Lの光路において表示光L及び外光Dの透過量が高透過状態となる。このため、表示光Lは、第二偏光部5によってほとんど反射又は減衰させずに表示部材103に投影される。このため、表示光Lによる表示画像に輝度減少がほとんどなく、良好に画像表示が行われる。
【0039】
一方、図5のS10において表示部2に外光Dが集光していると判定された場合、低透過調整処理が行われる(S12)。低透過調整処理は、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41に対し交差する方向となるように、第二偏光部5を回転させる処理であり、例えば、偏光軸制御部73により行われる。例えば、図4において、偏光軸制御部73から調整部6へ制御信号が出力される。これにより、図2において、モータ63が作動し、第二偏光部5が表示光Lの光路に沿った軸線を中心として回転する。そして、図6において、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41と交差する方向とされ、表示光Lの光路において表示光L及び外光Dの透過量が低透過状態となる。このため、外光Dは、第一偏光部4において偏光状態とされ、第二偏光部5によって異なる方向に偏光されることでほとんど減衰し、表示部2に対しほとんど到達されない。従って、表示部2において外光Dの集光が抑制され、表示部2の外光Dによる温度上昇が適切に抑制される。なお、この低透過調整処理は、予め設定された時間の経過後に解除されてもよいし、車両の進行方向の変化、天候の変化などに応じて解除されてもよい。
【0040】
そして、S12の低透過調整処理及びS14の高透過調整処理を終えたら、画像表示装置1の作動を終了するか否かが判定される(S16)。この判定処理は、始動情報取得部81の始動情報に基づいて画像表示装置1の作動を終了するか否かが判定する処理であり、例えば、始動判定部71により行われる。すなわち、始動情報としてイグニッションオフ又は始動スイッチオフなどの情報が含まれる場合、始動判定部71は、画像表示装置1の作動を終了すると判定する。一方、始動情報としてイグニッションオフ又は始動スイッチオフなどの情報が含まれない場合、始動判定部71は、画像表示装置1の作動を終了しないと判定する。
【0041】
S16において画像表示装置1の作動を終了しないと判定された場合、S10に制御処理が戻る。一方、S16において画像表示装置1の作動を終了すると判定された場合、S10に制御処理が移行し、遮断調整処理が行われる。遮断調整処理は、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41に対し直交する方向となるように、第二偏光部5を回転させる処理であり、例えば、偏光軸制御部73により行われる。例えば、図4において、偏光軸制御部73から調整部6へ制御信号が出力される。これにより、図2において、モータ63が作動し、第二偏光部5が表示光Lの光路に沿った軸線を中心として回転する。そして、図6において、第二偏光部5の第二偏光軸51が第一偏光部4の第一偏光軸41と直交する方向とされ、表示光Lの光路において表示光L及び外光Dの透過量が遮断状態となる。このため、外光Dは、第一偏光部4及び第二偏光部5によって表示光Lの光路に沿ってほとんど透過されない。従って、画像表示装置1の非作動時において、表示部2において外光Dの集光が抑制され、表示部2の外光Dによる温度上昇が適切に抑制される。S18の処理を終えたら、図5の一連の制御処理を終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る画像表示装置1は、第一偏光部4の第一偏光軸41に対し第二偏光部5の第二偏光軸51の方向を変えて表示部2の光路における外光Dの透過量を調整することにより、外光Dが表示部2へ集光することを的確に抑制することができる。従って、本実施形態に係る画像表示装置1は、表示部2の温度上昇を適切に抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る画像表示装置1は、表示部2に外光Dが集光している場合に、第一偏光軸41に対し第二偏光軸51が交差する方向となるように第二偏光部5を回転させる。これにより、表示光Lの光路において外光Dの透過量を低減させることができ、表示部2の温度上昇を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る画像表示装置1は、作動終了時に第一偏光軸41に対し第二偏光軸51が直交する方向となるように第二偏光部5を回転させる。これにより、画像表示装置1が作動していない場合において表示光Lの光路において外光Dの透過量を低減させることができ、表示部2の温度上昇を抑制することができる。
【0045】
さらに、本実施形態に係る画像表示装置1は、第二偏光部5が表示部2と反射部3の間であって反射部3と比べ表示部2に近い位置に配置されることにより、第二偏光部5の小型化及びモータ63の小型化を図ることができる。このため、画像表示装置1全体の小型化を図ることができる。また、本実施形態に係る画像表示装置1は、第二偏光部5を小型化することにより、第二偏光部5の第二偏光軸51の調整制御を迅速に行うことができ、表示部2の温度上昇を的確に抑制することができる。
【0046】
なお、本発明に係る画像表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る画像表示装置は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、反射部3として平面ミラー31及び反射ミラー32を備える場合について説明したが、反射部3において平面ミラー31の設置を省略し反射ミラー32のみ備える場合であってもよい。また、反射部3として平面ミラー31及び反射ミラー32以外のミラーを備える場合であってもよい。このような画像表示装置であっても、上述した実施形態に係る画像表示装置1と同様な作用効果を得ることができる。すなわち、画像表示装置は、第一偏光部4及び第二偏光部5を備えることにより、外光Dが表示部2へ集光することを的確に抑制することができ、表示部2の温度上昇を適切に抑制することができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、表示部材103としてウインドシールドに表示光Lを投影する場合について説明したが、表示部材103としてコンバイナなどウインドシールド以外のものに投影する場合であってもよい。このような画像表示装置であっても、上述した実施形態に係る画像表示装置1と同様に、第一偏光部4及び第二偏光部5を備えることにより、外光Dが表示部2へ集光することを的確に抑制することができ、表示部2の温度上昇を適切に抑制することができる。
【0049】
また、上述した実施形態では、第一偏光部4が筐体11の開口111の位置に設けられ、第二偏光部5が反射部3と表示部2の間に設けられる場合について説明したが、第一偏光部4及び第二偏光部5はこれ以外の位置に設けられていてもよい。このような画像表示装置であっても、上述した実施形態に係る画像表示装置1と同様に、第一偏光部4及び第二偏光部5を備えることにより、外光Dが表示部2へ集光することを的確に抑制することができ、表示部2の温度上昇を適切に抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:画像表示装置
2:表示部
3:反射部
4:第一偏光部
5:第二偏光部
6:調整部
11:筐体
41:第一偏光軸
51:第二偏光軸
74:集光判定部
103:表示部材
111:開口
D:外光
L:表示光
図1
図2
図3
図4
図5
図6