(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140056
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20241003BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051043
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 直久
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA13
2H199DA28
2H199DA33
2H199DA46
2H199DA48
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】太陽光により液晶表示素子の温度が上昇することを適正に検出することができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両用表示装置1は、車両100に設けられる筐体2と、筐体2に収容されたTFT31と、中間ミラー41と、赤外光吸収部材5と、サーミスタ6とを備える。中間ミラー41は、筐体2に収容され、TFT31から出力される表示光Ltが車両100の運転者の目視位置EPに至るように表示光Ltを反射面41aで反射し、かつ、太陽光Lsに含まれる赤外光Liを反射面41aで反射せずに透過させる。赤外光吸収部材5は、中間ミラー41の反射面41aとは反対側の背面41b側に設けられ、中間ミラー41を透過した赤外光Liを吸収する。サーミスタ6は、赤外光吸収部材5に設けられ、当該赤外光吸収部材5の温度を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる筐体と、
前記筐体に収容された液晶表示素子と、
前記筐体に収容され、前記液晶表示素子から出力される表示光が前記車両の運転者の目視位置に至るように前記表示光を反射面で反射し、かつ、太陽光に含まれる赤外光を前記反射面で反射せずに透過させるミラーと、
前記ミラーの前記反射面とは反対側の背面側に設けられ、前記ミラーを透過した前記赤外光を吸収する赤外光吸収部材と、
前記赤外光吸収部材に設けられ、当該赤外光吸収部材の温度を検出する温度検出部と、を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記ミラー及び前記赤外光吸収部材を保持する保持部材をさらに備え、
前記赤外光吸収部材は、前記保持部材に保持された状態で前記ミラーの前記背面側に間隔をあけて設けられ、
前記温度検出部は、前記赤外光吸収部材の前記ミラー側とは反対側の裏面に設けられる請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記赤外光吸収部材は、前記ミラーの前記背面に密着して設けられ、
前記温度検出部は、前記赤外光吸収部材の前記ミラー側とは反対側の裏面に設けられる請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記赤外光吸収部材は、前記ミラーの前記背面に対向して配置される前記筐体の内面に設けられ、
前記温度検出部は、前記赤外光吸収部材の前記ミラー側の前面に設けられる請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記液晶表示素子の温度上昇を抑制する処理を実行可能な処理部をさらに備える請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置として、例えば、特許文献1には、ウインドシールドの表示領域へ映像を投影することで、映像が重畳された風景を車両の運転者に視認させるヘッドアップディスプレイ装置が記載されている。このヘッドアップディスプレイ装置は、表示領域へ投影するための映像を表示する映像表示装置と、映像表示装置に照射される太陽光の強さを検出する光センサと、遮断命令に応じて映像表示装置へ入射する太陽光を遮断する遮断機構と、光センサによって検出された太陽光の強さが予め定めた閾値を超えた場合に、遮断機構へ遮断命令を発行して映像表示装置の温度上昇を抑制する保護処理部とを有する。また、特許文献2~5には、太陽光によって表示装置の温度が上昇することを抑制する車両用表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-52070号公報
【特許文献2】特開2013-228442号公報
【特許文献3】特開2022-137325号公報
【特許文献4】特開2017-3836号公報
【特許文献5】特開2019-206232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、光センサを用いて映像表示装置に照射される太陽光の強さを検出しているが、例えば、赤外線センサを用いて太陽光の強さを検出する車両用表示装置が考えられる。この車両用表示装置は、例えば、液晶表示素子と、液晶表示素子の背面に光を照射するバックライトと、液晶表示素子から出力される表示光を反射し且つ太陽光に含まれる赤外光を透過するコールドミラーと、このコールドミラーに背面側に設けられコールドミラーを透過した赤外光を検出する赤外線センサとを備える。
【0005】
上述のように構成される車両用表示装置は、赤外線センサによりコールドミラーを透過した赤外光を検出する場合、コールドミラーの背面から距離をあけて赤外光が集光する部分に赤外線センサを配置する必要があり、これにより装置の体格が大型化するおそれがある。一方で、車両用表示装置は、コールドミラーの背面に赤外線センサを近づけて配置する場合、赤外線センサを複数配置する必要があり、これにより赤外線センサの個数が増加するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、太陽光により液晶表示素子の温度が上昇することを適正に検出することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、車両に設けられる筐体と、前記筐体に収容された液晶表示素子と、前記筐体に収容され、前記液晶表示素子から出力される表示光が前記車両の運転者の目視位置に至るように前記表示光を反射面で反射し、かつ、太陽光に含まれる赤外光を前記反射面で反射せずに透過させるミラーと、前記ミラーの前記反射面とは反対側の背面側に設けられ、前記ミラーを透過した前記赤外光を吸収する赤外光吸収部材と、前記赤外光吸収部材に設けられ、当該赤外光吸収部材の温度を検出する温度検出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用表示装置は、温度検出部により赤外光吸収部材の温度を検出するので、装置の大型化を抑制できると共に、温度検出部の個数が増加することを抑制できる。これにより、車両用表示装置は、太陽光により液晶表示素子の温度が上昇することを適正に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両用表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両用表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態の第1変形例に係る車両用表示装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の第2変形例に係る車両用表示装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
図1に示すように、実施形態の車両用表示装置1は、自動車等の車両100に搭載され、光を透過するウインドシールド110に向けて出力した表示光Ltを当該ウインドシールド110で目視位置EP側に向けて反射させることで虚像を表示するヘッドアップディスプレイである。車両用表示装置1は、筐体2、表示器3、光学系4、赤外光吸収部材5、温度検出部としてのサーミスタ6、保持部材7、透明カバー8、及び、制御部9を有する。
【0012】
筐体2は、車両100のダッシュボードの下方に収容されている。筐体2は、遮光性の材料で箱状に形成され、表示器3、光学系4、赤外光吸収部材5、及び、サーミスタ6を収容し、これらの部品が固定されている。筐体2は、鉛直方向の上方に向けて開口した開口部を有する。この開口部は、光を透過する透明カバー8により閉塞されている。
【0013】
表示器3は、画像を含む表示光Ltを出力するものである。表示器3は、筐体2の底部21側に設けられ、TFT31及びバックライト32を有する。
【0014】
TFT31は、画像を表示する液晶を有する表示素子である。TFT31は、例えば、TFT-LCD(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display)である。TFT31は、液晶層、ガラス電極、偏光板等を含むフィルム状の部材である。TFT31は、バックライト32により当該TFT31の背面に光が照射されることで、表示光Ltを光学系4に出力する。
【0015】
バックライト32は、光を照射するものである。バックライト32は、例えば、LED等から成る複数の発光素子を含んで構成される。バックライト32は、TFT31の背面に対向して設けられ、TFT31の背面に対して光を照射する。バックライト32は、制御部9に接続され、当該制御部9から出力される指令信号に基づいて光を照射する。
【0016】
光学系4は、表示器3から出力された表示光Ltをウインドシールド110に向けて反射するものである。光学系4は、ミラーとしての中間ミラー41、最終ミラー42、及び、ミラー駆動部43を有する。
【0017】
中間ミラー41は、例えば、反射面41aが平面状かつ矩形状に形成された平面ミラーである。中間ミラー41は、他のミラー(最終ミラー42)よりもTFT31に近い位置に設けられている。すなわち、中間ミラー41は、TFT31から出力される表示光Ltが、他のミラーを介さずに直接入射される。中間ミラー41は、TFT31から出力される表示光Ltが車両100の運転者の目視位置EPに至るように表示光Ltを反射面41aで反射する。この例では、中間ミラー41は、TFT31から出力される表示光Ltを最終ミラー42に向けて全反射する。
【0018】
最終ミラー42は、例えば、表示光Ltを拡大する拡大ミラーであり、反射する前の表示光Ltが表す像と比較して反射した後の表示光Ltが表す像が相対的に大きくなるように当該像を拡大して反射する。最終ミラー42は、表示器3から出力され中間ミラー41で反射された表示光Ltをウインドシールド110に向けて全反射し、当該ウインドシールド110で当該表示光Ltを目視位置EP側に反射させる。車両100の運転者は、ウインドシールド110によって反射された表示光Ltにより虚像を視認する。
【0019】
ミラー駆動部43は、最終ミラー42を回動させるものである。ミラー駆動部43は、制御部9に接続され、当該制御部9から出力される指令信号に基づいて最終ミラー42を回動させて、表示光Ltを反射する反射面の向きを変更する。これにより、制御部9は、アイポイントEPの位置に合わせて虚像を表示させることができる。
【0020】
本実施形態では、上述の中間ミラー41は、可視光を反射しかつ赤外光(赤外線)を透過するコールドミラーであり、例えば、ガラス基板に誘電体多層膜を蒸着させて形成される。ここで、車両用表示装置1は、
図1に示すように、筐体2の透明カバー8を介して太陽光Lsが筐体2の内側に入射する場合がある。この場合に、筐体2の透明カバー8を介して入射した太陽光Lsは、最終ミラー42で反射し、最終ミラー42で反射した太陽光Lsは、中間ミラー41に入射する。このとき、中間ミラー41は、コールドミラーであるので、太陽光Lsに含まれる赤外光Liを反射面41aで反射せずに透過させる。中間ミラー41を透過した赤外光Liは、後述の赤外光吸収部材5によって吸収される。
【0021】
赤外光吸収部材5は、赤外光吸収機能を有する部材である。赤外光吸収部材5は、例えば、赤外光吸収機能を有するグラファイトシートやサーマルシート等により形成することができるが、これに限定されず、その他の赤外光吸収機能を有する部材により形成してもよい。赤外光吸収部材5は、熱伝導に優れたグラファイトシートやサーマルシートにより形成することで、吸収した赤外光Liの熱を赤外光吸収部材5の全体に素早く伝導させることができる。これにより、赤外光吸収部材5は、後述のサーミスタ6を設ける個数を少なくすることができ、部品点数の増加及びコストの増加を抑制できる。赤外光吸収部材5は、矩形状に形成され、中間ミラー41の大きさと同等の大きさに形成されている。赤外光吸収部材5は、中間ミラー41の反射面41aとは反対側の背面41b側に設けられ、中間ミラー41を透過した赤外光Liを吸収する。赤外光吸収部材5は、中間ミラー41に設けるので、最終ミラー42に設ける場合と比較して、太陽光Lsに含まれる赤外光Liがより集光した状態で当該赤外光Liを吸収することができる。これにより、車両用表示装置1は、より集光した赤外光Liを吸収する赤外光吸収部材5の温度を検出することで、TFT31の温度上昇を適正に検出できるようになる。
【0022】
サーミスタ6は、温度を検出する温度センサである。サーミスタ6は、赤外光吸収部材5に設けられ、この例では、赤外光吸収部材5の中間ミラー41側とは反対側の裏面5bに接触した状態で設けられる。ここでは、サーミスタ6は、矩形状に形成された赤外光吸収部材5の裏面5bにおいて、その中央に1つ設けられている。上述のように赤外光吸収部材5には熱伝導に優れたグラファイトシート等により形成されることで、サーミスタ6は、赤外光吸収部材5の中央に1つだけ設けても赤外光吸収部材5の温度を適正に検出することができる。サーミスタ6は、制御部9に接続され、検出した温度を制御部9に出力する。
【0023】
保持部材7は、中間ミラー41及び赤外光吸収部材5を保持するものである。保持部材7は、中間ミラー41を表示器3及び最終ミラー42に対向させた状態で当該中間ミラー41を保持する。さらに、保持部材7は、中間ミラー41を保持した状態で、当該中間ミラー41の背面41b側に赤外光吸収部材5を位置させた状態で当該赤外光吸収部材5を保持する。保持部材7は、中間ミラー41と赤外光吸収部材5との間に間隔をあけてそれぞれを保持している。言い換えれば、赤外光吸収部材5は、保持部材7に保持された状態で中間ミラー41の背面41b側に間隔をあけて設けられている。保持部材7は、太陽光Lsが中間ミラー41に入射する方向に対して、中間ミラー41と赤外光吸収部材5とが重なるように、中間ミラー41及び赤外光吸収部材5を保持する。
【0024】
制御部9は、表示器3及びミラー駆動部43を制御するものである。制御部9は、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御部9は、サーミスタ6により検出された検出温度に基づいて、TFT31の温度上昇を抑制する制御を行う。制御部9は、例えば、サーミスタ6から出力された検出温度が予め定められた基準温度以上である場合、バックライト32を制御し、当該バックライト32から照射される光量を相対的に減少させる。そして、制御部9は、バックライト32から照射される光量を減少させても、サーミスタ6から出力された検出温度が基準温度以上である場合、バックライト32を消灯する。さらに、制御部9は、バックライト32を消灯しても、サーミスタ6から出力された検出温度が基準温度以上である場合、ミラー駆動部43を制御し、最終ミラー42を回動させて、太陽光LsがTFT31に入射しないように制御する。一方で、制御部9は、サーミスタ6から出力された検出温度が基準温度未満である場合、バックライト32から照射される光量を維持する。なお、制御部9、ミラー駆動部43、及び、バックライト32は、サーミスタ6により検出された温度に基づいて、TFT31の温度上昇を抑制する処理を実行可能な処理部を構成する。
【0025】
次に、車両用表示装置1の動作例について説明する。
図2は、実施形態に係る車両用表示装置1の動作例を示すフローチャートである。車両用表示装置1は、
図2に示すように、サーミスタ6により赤外光吸収部材5の温度を検出する(ステップS1)。サーミスタ6は、検出した温度を制御部9に出力する。次に、車両用表示装置1は、制御部9により、サーミスタ6から出力された検出温度が基準温度以上であるか否かを判定する(ステップS2)。制御部9は、サーミスタ6から出力された検出温度が基準温度以上である場合(ステップS2:Yes)、TFT31の温度上昇を抑制する処理を実行する(ステップS3)。制御部9は、例えば、バックライト32から照射される光量を相対的に減少させる処理等を実行する。上述のステップS2で、制御部9は、サーミスタ6から出力された検出温度が基準温度未満である場合(ステップS2:No)、バックライト32から照射される光量を維持し、終了する。
【0026】
以上のように、実施形態に係る車両用表示装置1は、車両100に設けられる筐体2と、筐体2に収容されたTFT31と、中間ミラー41と、赤外光吸収部材5と、サーミスタ6とを備える。中間ミラー41は、筐体2に収容され、TFT31から出力される表示光Ltが車両100の運転者の目視位置EPに至るように表示光Ltを反射面41aで反射し、かつ、太陽光Lsに含まれる赤外光Liを反射面41aで反射せずに透過させる。赤外光吸収部材5は、中間ミラー41の反射面41aとは反対側の背面41b側に設けられ、中間ミラー41を透過した赤外光Liを吸収する。サーミスタ6は、赤外光吸収部材5に設けられ、当該赤外光吸収部材5の温度を検出する。
【0027】
ここで、比較例としての車両用表示装置は、例えば、赤外線センサによりコールドミラーを透過した赤外光を検出する場合があるが、この場合、コールドミラーの背面から距離をあけて赤外光が集光する部分に赤外線センサを配置する必要があり、これにより装置の体格が大型化するおそれがある。一方で、比較例としての車両用表示装置は、コールドミラーの背面に赤外線センサを近づけて配置する場合、赤外線センサを複数配置する必要があり、これにより赤外線センサの個数が増加するおそれがある。
【0028】
これに対して、実施形態に係る車両用表示装置1は、サーミスタ6により赤外光吸収部材5の温度を検出するので、赤外線センサを用いる場合と比較して、中間ミラー41とサーミスタ6との距離を短くすることができるので、装置の大型化を抑制できる。また、車両用表示装置1は、赤外線センサを用いる場合と比較して、サーミスタ6の個数が増加することを抑制できる。これにより、車両用表示装置1は、太陽光LsによりTFT31の温度が上昇することを適正に検出することができる。
【0029】
車両用表示装置1は、中間ミラー41及び赤外光吸収部材5を保持する保持部材7を備える。赤外光吸収部材5は、保持部材7に保持された状態で中間ミラー41の背面41b側に間隔をあけて設けられる。サーミスタ6は、赤外光吸収部材5の中間ミラー41側とは反対側の裏面5bに設けられる。これにより、車両用表示装置1は、赤外光吸収部材5を中間ミラー41の背面41b側に適正に配置できる。
【0030】
車両用表示装置1は、サーミスタ6により検出された温度に基づいて、TFT31の温度上昇を抑制する処理を実行可能な処理部を備える。この例では、処理部は、制御部9、ミラー駆動部43、及び、バックライト32によって構成される。車両用表示装置1は、例えば、サーミスタ6から出力された検出温度が基準温度以上である場合、バックライト32から照射される光量を相対的に減少させることで、TFT31の温度上昇を抑制することができる。
【0031】
次に、実施形態の変形例について説明する。なお、変形例では、実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0032】
図3は、実施形態の第1変形例に係る車両用表示装置1Aの構成例を示す図である。第1変形例に係る車両用表示装置1Aは、赤外光吸収部材5が中間ミラー41の背面41bに密着して設けられる点で実施形態に係る車両用表示装置1とは異なる。
【0033】
赤外光吸収部材5は、例えば、中間ミラー41の背面41bに接着剤を介して貼り合わせて設けられる。サーミスタ6は、赤外光吸収部材5の中間ミラー41側とは反対側の裏面5bに接触した状態で中央に1つ設けられる。この構成により、第1変形例に係る車両用表示装置1Aは、実施形態に係る車両用表示装置1と比較して、部品点数の増加を抑制できると共に小型化することができる。
【0034】
図4は、実施形態の第2変形例に係る車両用表示装置1Bの構成例を示す図である。第2変形例に係る車両用表示装置1Bは、赤外光吸収部材5が筐体2の内面22に設けられる点で実施形態に係る車両用表示装置1とは異なる。
【0035】
赤外光吸収部材5は、例えば、中間ミラー41の背面41bに対向して配置される筐体2の内面22に設けられる。具体的には、赤外光吸収部材5は、太陽光Lsが中間ミラー41に入射する方向に対して、中間ミラー41と赤外光吸収部材5とが重なるように、筐体2の内面22に設けられる。サーミスタ6は、赤外光吸収部材5の中間ミラー41側の前面5aに接触した状態で中央に1つ設けられる。この構成により、第2変形例に係る車両用表示装置1Bは、実施形態に係る車両用表示装置1と比較して、部品点数の増加を抑制できると共に小型化することができる。なお、車両用表示装置1Bは、筐体2を金属等の熱伝導性が高い材料で形成した場合、熱伝導に優れたグラファイトシート等で赤外光吸収部材5を形成しなくてもよく、熱伝導を考慮せずに赤外光吸収機能を有する部材で形成することができる。
【0036】
上記説明では、赤外光吸収部材5を中間ミラー41に設ける例について説明したが、これに限定されず、例えば、最終ミラー42等のその他のミラー設けてもよい。
【0037】
中間ミラー41は、平面ミラーである例について説明したが、これに限定されず、例えば、拡大ミラー、自由曲面ミラー等であってもよい。
【0038】
最終ミラー42は、拡大ミラーである例について説明したが、これに限定されず、例えば、自由曲面ミラー、平面ミラー等であってもよい。
【0039】
サーミスタ6は、赤外光吸収部材5の中央に1つ設けられる例について説明したが、これに限定されず、例えば、互いの間隔をあけて赤外光吸収部材5に複数設けてもよい。
【0040】
TFT31の温度上昇を抑制する処理を実行可能な処理部を有する例について説明したが、これに限定されず、当該処理部を有さない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、1A、1B:車両用表示装置
2:筐体、 3:表示器、 4:光学系、 5:赤外光吸収部材
6:サーミスタ(温度検出部)、 7:保持部材
8:透明カバー、 9:制御部
21:底部、 22:内面
31:TFT(液晶表示素子)、 32:バックライト
41:中間ミラー、 41a:反射面、 背面:41b、 42:最終ミラー、 43:ミラー駆動部
5a:前面、 5b:裏面
100:車両、 110:ウインドシールド
EP:目視位置、 Lt:表示光、 Ls:太陽光、 Li赤外光