(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140063
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】充電コネクタ挿抜装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241003BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051050
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智己
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD03
5H125DD04
5H125FF12
(57)【要約】
【課題】電動車両の充電インレットに充電コネクタを挿抜する充電コネクタ挿抜装置の低コスト化およびコンパクト化を図る。
【解決手段】本開示の充電コネクタ挿抜装置は、電動車両の充電インレットに充電コネクタを挿入すると共に、充電インレットから充電コネクタを抜去する挿抜機構を有するものであって、挿抜機構による充電コネクタの挿入および抜去をアシストとするアシスト機構を含む。これにより、充電コネクタ挿抜装置の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の充電インレットに充電コネクタを挿入すると共に前記充電インレットから前記充電コネクタを抜去する挿抜機構を有する充電コネクタ挿抜装置であって、
前記挿抜機構による前記充電コネクタの挿入および抜去をアシストとするアシスト機構を備える充電コネクタ挿抜装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充電コネクタ挿抜装置において、
前記アシスト機構は、前記挿抜機構により前記充電コネクタが前記充電インレットに挿入されるとき、および前記挿抜機構により前記充電コネクタが前記充電インレットから抜去されるときに、前記充電コネクタに作用する摩擦力が低減するように前記挿抜機構により保持された前記充電コネクタに振動を付与する充電コネクタ挿抜装置。
【請求項3】
請求項2に記載の充電コネクタ挿抜装置において、
前記挿抜機構は、前記充電コネクタを保持するコネクタ保持部を含み、
前記アシスト機構は、前記コネクタ保持部に対して移動して前記充電コネクタに挿抜方向における振動を付与する移動部材を含む充電コネクタ挿抜装置。
【請求項4】
請求項1に記載の充電コネクタ挿抜装置において、
前記アシスト機構は、前記挿抜機構により前記充電コネクタが前記充電インレットに挿入されるときに、前記挿抜機構により保持された前記充電コネクタに挿入方向のアシスト力を付与し、前記挿抜機構により前記充電コネクタが前記充電インレットから抜去されるときに、前記挿抜機構により保持された前記充電コネクタに抜去方向のアシスト力を付与する充電コネクタ挿抜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車両の充電インレットに充電コネクタを挿入すると共に、充電インレットから充電コネクタを抜去する充電コネクタ挿抜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも1本の充電ケーブルを有する充電装置と、充電ケーブルの充電コネクタを把持して、充電スペースに停車した電動車両の充電インレットに当該充電コネクタを挿抜するアーム機構とを含む電動車両の充電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、近年では、車両の乗員の乗降場所と駐車スパースとの間で車両を自動走行させて自動的な入出庫を実現する自動バレー駐車システムが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。かかる自動バレー駐車システムによれば、駐車場内での運転や歩行に要する時間を削減すると共に、駐車場内における安全性を良好に確保することが可能になる。また、自動バレー駐車システムの採用により、乗員の乗降スペースを削減することができるので、車両の駐車間隔を狭めて駐車場におけるスペース効率をより向上させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】時間効率と空間効率に着目した自動バレーシステムの導入効果の分析(第57回土木計画学研究発表会講演集)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、自動バレー駐車システムを採用した駐車場に特許文献1に記載されたアーム機構が装備されれば、隣り合う車両間の狭隘なスペースで当該アーム機構によって充電コネクタを充電インレットに挿抜して、駐車中の電動車両のバッテリを自動的に充電することができるであろう。ただし、電動車両の充電インレットに充電コネクタを挿抜するにはある程度大きな力が要求され、アーム機構には、充電コネクタを充電インレットに対して挿抜するのに応じて大きなモーメントが作用する。このため、特にアーム機構の基端側のアクチュエータを高出力化することが必要になり、アーム機構のコストアップや大型化を招いてしまう。
【0006】
そこで、本開示は、電動車両の充電インレットに充電コネクタを挿抜する充電コネクタ挿抜装置の低コスト化およびコンパクト化を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の充電コネクタ挿抜装置は、電動車両の充電インレットに充電コネクタを挿入すると共に前記充電インレットから前記充電コネクタを抜去する挿抜機構を有する充電コネクタ挿抜装置であって、前記挿抜機構による前記充電コネクタの挿入および抜去をアシストとするアシスト機構を含むものである。
【0008】
本開示の充電コネクタ挿抜装置は、挿抜機構による充電コネクタの挿入および抜去をアシストとするアシスト機構を含む。これにより、充電インレットに対して充電コネクタを挿抜するときに挿抜機構から充電コネクタに付与されるべき力を低下させ、充電インレットに対する充電コネクタの挿入または抜去に応じて挿抜機構に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、挿抜機構の駆動源に要求される出力を低下させて、充電コネクタ挿抜装置の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の充電コネクタ挿抜装置が適用される駐車設備を示す概略構成図である。
【
図2】本開示の充電コネクタ挿抜装置を示す概略構成図である。
【
図3】本開示の充電コネクタ挿抜装置のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図4】本開示の充電コネクタ挿抜装置に適用可能な他のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図5】本開示の充電コネクタ挿抜装置に適用可能な他のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図6】本開示の充電コネクタ挿抜装置に適用可能な更に他のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図7】
図6のアシスト機構の動作を説明するための概略構成図である。
【
図8】
図6のアシスト機構の動作を説明するための概略構成図である。
【
図9】本開示の充電コネクタ挿抜装置に適用可能な他のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図10】
図9のアシスト機構の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図11】本開示の充電コネクタ挿抜装置に適用可能な更に他のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図12】本開示の充電コネクタ挿抜装置に適用可能な他のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図13】本開示の充電コネクタ挿抜装置に適用可能な更に他のアシスト機構を示す概略構成図である。
【
図14】
図13のアシスト機構の動作を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
図1は、本開示の充電コネクタ挿抜装置1が適用される駐車設備100を示す概略構成図である。同図に示す駐車設備100は、自動バレー駐車システムが適用されたものであり、車両の乗員の乗降場所(図示省略)と複数の駐車スパースとの間で車両Vを自動走行させて自動的な入出庫を実現する。かかる駐車設備100において、充電コネクタ挿抜装置1は、駐車設備100に駐車中の複数の車両Vに含まれる電動車両(バッテリ電気自動車あるいはプラグインハイブリッド車両)の図示しないバッテリを自動的に充電するために、隣り合う車両V間の狭隘なスペースで対象となる車両(電動車両)Vの充電インレット(充電口)CIに充電コネクタ200を挿抜するのに用いられる。充電コネクタ200は、ケーブルを介して、交流電力を出力するか、あるいは商用電源等の交流電源からの交流電力を直流電力に変換して当該直流電力を出力する充電装置300に接続される。
【0012】
図1および
図2に示すように、充電コネクタ挿抜装置1は、搬送台車(移動体)2と、充電コネクタ200を保持すると共に搬送台車2により支持される挿抜機構としてのロボットアーム3とを含む。搬送台車2は、駐車設備100内を自走可能な、いわゆる無人搬送車(AGV)または自律走行搬送ロボット(AMR)である。ロボットアーム3は、本実施形態において、複数のリンク31、複数のアクチュエータ(電動アクチュエータ)32、およびコネクタ保持部(エンドエフェクタ)33を含む6軸ロボットである。本実施形態において、コネクタ保持部33は、充電コネクタ200を着脱自在に把持することができる。ただし、コネクタ保持部33は、充電コネクタ200が固定される固定部であってもよい。
【0013】
駐車設備100内の車両Vのバッテリを充電する際には、充電コネクタ挿抜装置1の搬送台車2を対象となる車両(電動車両)Vの近傍まで走行させてロボットアーム3を隣り合う車両V間の狭隘なスペース内に進入させる。これにより、当該ロボットアーム3によって、車両Vの充電インレットCIに充電コネクタ200を挿入すると共に、当該充電インレットCIから充電コネクタ200を抜去することができる。なお、充電コネクタ挿抜装置1は、搬送台車2の代わりに、ロボットアーム3を支持すると共に駐車設備100内に敷設されたレール上を走行する移動体を含むものであってもよい。
【0014】
更に、充電コネクタ挿抜装置1は、
図2および
図3に示すように、ロボットアーム3による充電コネクタ200の挿入および抜去をアシストとするアシスト機構5を含む。アシスト機構5は、
図3に示すように、筐体50と、可動子(移動部材)51と、コイル52と、2つのスプリング(弾性体)53とを含む。筐体50は、両端が閉鎖された筒体であり、充電コネクタ200の背後に位置するように、コネクタ保持部33を支持するアクチュエータ32に固定される。また、筐体50は、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜方向(
図3における一点鎖線参照)と平行(本実施形態では、挿抜方向と同軸)に延在するように支持ロッド54を支持する。
【0015】
可動子51は、中空に形成されており、N極およびS極が交互に現れるように並設された複数の永久磁石55を有する。可動子51は、支持ロッド54の周囲に配置され、当該支持ロッド54により軸方向に移動自在に支持される。コイル52は、径方向に間隔をおいて可動子51を包囲するように筐体50の内周面に固定され、可動子51と共にリニアモータを構成する。2つのスプリング53の一方は、可動子51の一端と筐体50の一方の側壁との間に配置され、2つのスプリング53の他方は、可動子51の他端と筐体50の他方の側壁との間に配置される。
【0016】
かかるアシスト機構5を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIに挿入するときには、一例として充電コネクタ200が充電インレットCIに接触したタイミングで、アシスト機構5のコイル52に電流が印加されると共に、電流の向きが周期的に切り替えられる。また、充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIから抜去するときには、ロボットアーム3の動作開始に応じて、アシスト機構5のコイル52に電流が印加されると共に、電流の向きが周期的に切り替えられる。そして、コイル52への電流の印加により、可動子51が2つのスプリング53の間で支持ロッド54に沿って筐体50に対して往復移動する。
【0017】
筐体50に対する可動子51の往復移動に伴い、支持ロッド54の軸方向、すなわち充電コネクタ200の挿抜方向における振動が2つのスプリング53を介して筐体50に伝達される。そして、筐体50に伝達された振動は、アクチュエータ32およびコネクタ保持部33を介して充電コネクタ200に伝達され、充電コネクタ200に作用する摩擦力、より詳細には、充電コネクタ200の端子と充電インレットCIの端子との間で発生する摩擦力や、充電コネクタ200と充電インレットCIに設けられたシール部材との間で発生する摩擦力を、いわゆるディザ効果により低減する。すなわち、アシスト機構5の可動子51は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIに挿入されるとき、およびロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIから抜去されるときに、筐体50、コネクタ保持部33および充電コネクタ200に対して往復移動し、充電コネクタ200に作用する摩擦力が低減するようにコネクタ保持部33により保持された充電コネクタ200に振動を付与する。
【0018】
これにより、充電インレットCIに対して充電コネクタ200を挿抜するときにロボットアーム3から充電コネクタ200に付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。従って、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜に応じてロボットアーム3、特にロボットアーム3の最も基端側に配置されたアクチュエータ32に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、ロボットアーム3のアクチュエータ32、特に最も基端側のアクチュエータ32に要求される出力を低下させることが可能になり、ロボットアーム3を安定に作動させるために搬送台車2の重量を増加させる必要がなくなるので、充電コネクタ挿抜装置1の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。更に、アシスト機構5では、筐体50と可動子51の両端との間にスプリング53が配置されるので、可動子51の往復移動に応じて筐体50を共振させることができる。これにより、コイル52に印加される電流を小さくしても、大きな振動を充電コネクタ200に付与することが可能になる。
【0019】
図4は、充電コネクタ挿抜装置1に適用可能な他のアシスト機構6を示す概略構成図である。
【0020】
図4および
図5に示すように、アシスト機構6も、ロボットアーム3による充電コネクタ200の挿入および抜去をアシスト可能なものであり、フレーム60と、モータ61(
図5参照)と、2つの平歯車63と、2つの偏心部材(移動部材)65を含む。フレーム60は、コネクタ保持部33を支持するアクチュエータ32に固定される。また、フレーム60は、モータ61の回転軸62が充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜方向(
図4におけるX軸方向、図中一点鎖線参照)と直交して図中Y軸方向に延在するように当該モータ61を支持すると共に、回転軸62を回転自在に支持する。
【0021】
2つの平歯車63は、互いの同一の諸元を有する。2つの平歯車63の一方は、フレーム60から突出するモータ61の回転軸62の先端に固定される。また、2つの平歯車63の他方は、モータ61の回転軸62と平行に延在するようにフレーム60により回転自在に支持される従動軸64の一端に固定され、2つの平歯車63の一方に噛合する。また、モータ61の回転軸62の軸心と、従動軸64の軸心とは、
図4におけるZY平面と平行な平面に含まれる。
【0022】
2つの偏心部材65は、互いの同一の平面形状(
図4における例では、楕円形)および厚みを有する。2つの偏心部材65の一方は、モータ61と一方の平歯車63との軸方向における間で回転軸62に偏心した状態で固定される。また、2つの偏心部材65の他方は、Z軸方向からみて一方の偏心部材65に重なり合うように従動軸64に偏心した状態で固定される。アシスト機構6の取付状態(初期状態)において、2つの偏心部材65は、
図4からわかるように、Y軸方向からみて回転軸62の軸心と従動軸64の軸心とを結ぶ線分の中心を通るXY平面と平行な平面に関して対称に位置する。
【0023】
かかるアシスト機構6を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIに挿入するときには、一例として充電コネクタ200が充電インレットCIに接触したタイミングで、アシスト機構6のモータ61が作動させられる。また、充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両Vの充電インレットCIから抜去するときには、ロボットアーム3の動作開始に応じて、アシスト機構6のモータ61が作動させられる。そして、モータ61が作動されて回転軸62が回転することで、2つの偏心部材65が互いに逆方向に回転する。
【0024】
2つの偏心部材65の回転に伴い、
図4におけるX軸方向、すなわち充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜方向における振動がフレーム60に伝達される。また、
図4におけるZ軸方向における振動は、2つの偏心部材65が互いに逆方向に回転することで相殺される。そして、フレーム60に伝達された振動は、アクチュエータ32およびコネクタ保持部33を介して充電コネクタ200に伝達され、充電コネクタ200に作用する摩擦力、より詳細には、充電コネクタ200の端子と充電インレットCIの端子との間で発生する摩擦力や、充電コネクタ200と充電インレットCIに設けられたシール部材との間で発生する摩擦力をディザ効果に低減する。すなわち、アシスト機構6の2つの偏心部材65は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIに挿入されるとき、およびロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIから抜去されるときに、フレーム60、コネクタ保持部33および充電コネクタ200に対して互いに逆方向に偏心回転し、充電コネクタ200に作用する摩擦力が低減するようにコネクタ保持部33により保持された充電コネクタ200に振動を付与する。
【0025】
これにより、アシスト機構6によっても、充電インレットCIに対して充電コネクタ200を挿抜するときにロボットアーム3から充電コネクタ200に付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。従って、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜に応じてロボットアーム3、特にロボットアーム3の最も基端側に配置されたアクチュエータ32に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、ロボットアーム3のアクチュエータ32、特に最も基端側のアクチュエータ32に要求される出力を低下させることが可能になり、ロボットアーム3を安定に作動させるために搬送台車2の重量を増加させる必要がなくなるので、アシスト機構6を含む充電コネクタ挿抜装置1の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。なお、アシスト機構6は、2つの平歯車63および従動軸64の代わりに、2つの偏心部材65の上記他方を上記一方とは逆方向に回転駆動する第2のモータを含むものであってもよい。
【0026】
図6は、充電コネクタ挿抜装置1に適用可能な更に他のアシスト機構5Bを示す概略構成図である。なお、アシスト機構5Bの構成要素のうち、上述のアシスト機構5と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図6に示すアシスト機構5Bは、筐体50と、可動子51と、コイル52と、支持ロッド54とを含む。筐体50は、充電コネクタ200の背後に位置するように、コネクタ保持部33を支持するアクチュエータ32に固定される。可動子51は、複数の永久磁石55を有し、支持ロッド54により軸方向に移動自在に支持される。また、アシスト機構5Bは、それぞれ可動子51の一端または他端と間隔をおいて対向するように筐体50の一方または他方の側壁に固定された2つの緩衝部材56を含む。緩衝部材56は、例えばウレタン等により形成される。
【0028】
かかるアシスト機構5Bを含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIに挿入するときには、一例として充電コネクタ200が充電インレットCIに接触したタイミングで、
図7に示すように、可動子51が充電コネクタ200から離間した緩衝部材56に衝突することなく、充電コネクタ200に近接した緩衝部材56に繰り返し衝突するように、アシスト機構5のコイル52に電流が印加されると共に、電流の向きが周期的に切り替えられる。また、充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両Vの充電インレットCIから抜去するときには、ロボットアーム3の動作開始に応じて、
図8に示すように、可動子51が充電コネクタ200に近接した緩衝部材56に衝突することなく、充電コネクタ200から離間した緩衝部材56に繰り返し衝突するように、アシスト機構5のコイル52に電流が印加されると共に、電流の向きが周期的に切り替えられる。
【0029】
可動子51が充電コネクタ200に近接した緩衝部材56に衝突すると、慣性により充電コネクタ200側に移動しようとする可動子51から、衝撃力、すなわち筐体50を充電コネクタ200側に押し込む方向のアシスト力(推進力)が当該筐体50に付与される。そして、筐体50に伝達されたアシスト力は、アクチュエータ32およびコネクタ保持部33を介して充電コネクタ200に伝達される。すなわち、アシスト機構5の可動子(移動部材)51は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIに挿入されるときに、充電コネクタ200に慣性による挿入方向のアシスト力を周期的に付与する。
【0030】
また、可動子51が充電コネクタ200から離間した緩衝部材56に衝突すると、慣性により充電コネクタ200から離間する方向に移動しようとする可動子51から、衝撃力、すなわち筐体50を充電コネクタ200から離間させる方向のアシスト力(推進力)が当該筐体50に付与される。そして、筐体50に伝達されたアシスト力は、アクチュエータ32およびコネクタ保持部33を介して充電コネクタ200に伝達される。すなわち、アシスト機構5の可動子(移動部材)51は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIから抜去されるときに、充電コネクタ200に慣性による抜去方向のアシスト力を周期的に付与する。
【0031】
これにより、アシスト機構5Bによっても、充電インレットCIに対して充電コネクタ200を挿抜するときにロボットアーム3から充電コネクタ200に付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。従って、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜に応じてロボットアーム3、特にロボットアーム3の最も基端側に配置されたアクチュエータ32に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、ロボットアーム3のアクチュエータ32、特に最も基端側のアクチュエータ32に要求される出力を低下させることが可能になり、ロボットアーム3を安定に作動させるために搬送台車2の重量を増加させる必要がなくなるので、アシスト機構5Bを含む充電コネクタ挿抜装置1の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。
【0032】
図9は、充電コネクタ挿抜装置1に適用可能な他のアシスト機構7を示す概略構成図である。
【0033】
図9に示すアシスト機構7は、第1回転子71と、第2回転子72と、第1リンク73と、第2リンク74と、第3リンク75と、スプリング(弾性体)76とを含む。第1および第2回転子71,72は、電気モータ70を構成するものであり、電磁力により互いに逆方向に回転することができる。第2回転子72は、環状に形成され、第1回転子71の周囲に同軸に配置されてフライホイールとして機能する。第1リンク73の一端は、第1回転子71の軸心から
図9中上側に離間した位置で当該第1回転子71により回転自在に支持され、第1リンク73の他端は、第3リンク75により回転自在に支持される。第1リンク73は、第1回転子71に対して
図9におけるY軸方向に延在する連結軸の周りに回転可能であり、第3リンク75に対して
図9におけるY軸方向に延在する連結軸の周りに回転可能である。
【0034】
第2リンク74の一端は、第1リンク73の支持部とは異なる、第1回転子71の軸心から
図9中下側に離間した位置で当該第1回転子71により回転自在に支持され、第2リンク74の他端は、第3リンク75により摺動自在に支持される。第2リンク74も、第1回転子71に対して
図9におけるY軸方向に延在する連結軸の周りに回転可能である。第3リンク75は、第2リンク74が
図9におけるX軸方向に摺動自在になるように、コネクタ保持部33を支持するアクチュエータ32に固定され、充電コネクタ200の背後に位置する。スプリング76は、第2リンク74の先端と第3リンク75のとの間に配置される。スプリング76は、第2リンク74が外力の作用により
図9中左側に移動したときに当該第2リンク74により引っ張られ、第2リンク74に作用する外力の低下に応じて当該第2リンク74を充電コネクタ200側に引き寄せる。
【0035】
かかるアシスト機構7を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIに挿入するときには、一例として充電コネクタ200が充電インレットCIに接触したタイミングで、
図10に示すように、第2回転子72に対して比較的大きい
図9における反時計方向の回転トルクが周期的に印加されるように電気モータ70への電流の供給が開始される。また、電気モータ70に供給される電流は、
図10に示すように、第2回転子72の反時計方における角速度が比較的大きい勾配で増加した後、比較的小さい勾配でゼロに戻るように制御される。一方、アシスト機構7を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両Vの充電インレットCIから抜去するときには、ロボットアーム3の動作開始に応じて、第2回転子72に対して比較的大きい
図9における時計方向の回転トルクが周期的に印加されるように電気モータ70への電流の供給が開始される。また、電気モータ70に供給される電流は、第2回転子72の時計方向における角速度が比較的大きい勾配で増加した後、比較的小さい勾配でゼロに戻るように制御される。
【0036】
第2回転子72に比較的大きい反時計方向の回転トルクが印加されると、第1回転子71には、反作用により
図9における時計方向の比較的大きいトルクが印加される。これにより、第1リンク73が
図9における右側に移動し、第3リンク75を充電コネクタ200側に押し込む方向のアシスト力(推進力)を当該第3リンク75に付与する。そして、第3リンク75に伝達されたアシスト力は、アクチュエータ32およびコネクタ保持部33を介して充電コネクタ200に伝達される。すなわち、アシスト機構7の第1および第2回転子(移動部材)71,72は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIに挿入されるときに、充電コネクタ200に慣性による挿入方向のアシスト力を周期的に付与する。
【0037】
これに対して、第2回転子72に比較的大きい時計方向の回転トルクが印加されると、第1回転子71には、反作用により
図9における反時計方向の比較的大きいトルクが印加される。これにより、第1リンク73が
図9における左側に移動し、第3リンク75を充電コネクタ200側から離間させる方向のアシスト力(推進力)を当該第3リンク75に付与する。そして、第3リンク75に伝達されたアシスト力は、アクチュエータ32およびコネクタ保持部33を介して充電コネクタ200に伝達される。すなわち、アシスト機構7の第1および第2回転子71,72は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIから抜去されるときに、充電コネクタ200に慣性による抜去方向のアシスト力を周期的に付与する。
【0038】
なお、第2リンク74は、第1リンク73の
図9における右側への移動に応じて、スプリング76を引っ張りながら
図9における左側に移動する。また、第2回転子72に印加される反時計方向の回転トルクの減少に応じて、第2リンク74は、スプリング76によって充電コネクタ200側に引き寄せられる。更に、第2リンク74は、第1リンク73の
図9における左側への移動に応じて、スプリング76を圧縮しながら
図9における右側に移動する。また、第2回転子72に印加される反時計方向の回転トルクの減少に応じて、第2リンク74は、スプリング76により充電コネクタ200側から離間するように押圧される。そして、スプリング76のはね定数は、第1回転子71の時計方向への回転が停止した後に第2回転子72を時計方向に回転させず、かつ第1回転子71の反時計方向への回転が停止した後に第2回転子72を反時計方向に回転させないように定められる。
【0039】
これにより、アシスト機構7によっても、充電インレットCIに対して充電コネクタ200を挿抜するときにロボットアーム3から充電コネクタ200に付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。従って、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜に応じてロボットアーム3、特にロボットアーム3の最も基端側に配置されたアクチュエータ32に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、ロボットアーム3のアクチュエータ32、特に最も基端側のアクチュエータ32に要求される出力を低下させることが可能になり、ロボットアーム3を安定に作動させるために搬送台車2の重量を増加させる必要がなくなるので、アシスト機構7を含む充電コネクタ挿抜装置1の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。なお、アシスト機構7の第1および第2回転子71,72は、揺動モータを構成するものであってもよい。
【0040】
図11は、充電コネクタ挿抜装置1に適用可能な更に他のアシスト機構8を示す概略構成図である。
【0041】
図11に示すアシスト機構8は、切換弁80と、真空ポンプ等の真空発生装置81と、高圧の圧縮空気を吐出する空気圧縮機82と、充電コネクタ200のプラグ部201に形成された空気通路202とを含む。切換弁80は、例えば常閉型の3ポート電磁弁であり真空発生装置81に接続される第1ポート80aと、空気圧縮機82の吐出口に連通する第2ポート80bと、空気通路202に連通する第3ポート80cとを含む。切換弁80は、電磁部の通電時に第1ポート80aと第3ポート80cとを連通させる第1状態を形成し、電磁部の非通電時に第2ポート80bと第3ポート80cとを連通させる第2状態を形成する。また、充電コネクタ200の空気通路202は、プラグ部201と、当該プラグ部201が嵌合される充電インレットCIのレセプタクルRとの隙間に連通する。
【0042】
かかるアシスト機構8を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIに挿入するときには、一例として充電コネクタ200が充電インレットCIに接触したタイミングで、図示しない制御装置により、上記第1状態を形成するように切換弁80が制御されると共に真空発生装置81が作動させられる。これにより、切換弁80の第1および第3ポート80a,80c、充電コネクタ200の空気通路202を介して、充電コネクタ200のプラグ部201と充電インレットCIのレセプタクルRとの隙間内の空気が真空発生装置81により吸引され、当該隙間内の空気の圧力が低下する。この結果、充電コネクタ200には、周囲の空気の圧力の作用により、プラグ部201をレセプタクルR側に押し込む方向のアシスト力(推進力)が付与される。すなわち、アシスト機構8は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIに挿入されるときに、充電コネクタ200に空気による挿入方向のアシスト力を付与する。
【0043】
また、アシスト機構8を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両Vの充電インレットCIから抜去するときには、ロボットアーム3の動作開始に応じて、図示しない制御装置により、第2状態を形成するように切換弁80が制御されると共に空気圧縮機82が作動させられる。これにより、切換弁80の第2および第3ポート80b,80c、充電コネクタ200の空気通路202を介して、充電コネクタ200のプラグ部201と充電インレットCIのレセプタクルRとの隙間内に高圧の圧縮空気が供給され、当該隙間内の空気の圧力が高まる。この結果、充電コネクタ200には、隙間内の空気からプラグ部201をレセプタクルRから離間させる方向のアシスト力(推進力)が付与される。すなわち、アシスト機構8は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIから抜去されるときに、充電コネクタ200に空気による抜去方向のアシスト力を付与する。
【0044】
これにより、アシスト機構8によっても、充電インレットCIに対して充電コネクタ200を挿抜するときにロボットアーム3から充電コネクタ200に付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。従って、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜に応じてロボットアーム3、特にロボットアーム3の最も基端側に配置されたアクチュエータ32に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、ロボットアーム3のアクチュエータ32、特に最も基端側のアクチュエータ32に要求される出力を低下させることが可能になり、ロボットアーム3を安定に作動させるために搬送台車2の重量を増加させる必要がなくなるので、アシスト機構8を含む充電コネクタ挿抜装置1の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。
【0045】
図12は、充電コネクタ挿抜装置1に適用可能な他のアシスト機構9を示す概略構成図である。
【0046】
図12に示すアシスト機構9は、複数(
図12の例では、4つ)のプロペラファン90を含む。各プロペラファン90は、プロペラ91と、当該プロペラ91を正逆方向に回転駆動するモータ92とを含む。複数のプロペラファン90は、各プロペラ91の軸心が充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜方向と平行に延在するように、コネクタ保持部33を支持するアクチュエータ32に間隔をおいて取り付けられる。
【0047】
かかるアシスト機構9を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIに挿入するときには、一例として充電コネクタ200が充電インレットCIに接触したタイミングで、各プロペラ91が充電コネクタ200を充電インレットCIに押し込む方向のアシスト力(推進力)を発生するように、各プロペラファン90のモータ92が作動(正転)させられる。すなわち、アシスト機構9は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIに挿入されるときに、充電コネクタ200に空気による挿入方向のアシスト力を付与する。
【0048】
また、アシスト機構9を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両Vの充電インレットCIから抜去するときには、ロボットアーム3の動作開始に応じて、各プロペラ91が充電コネクタ200を充電インレットCIから離間させる方向のアシスト力(推進力)を発生するように、各プロペラファン90のモータ92が作動(逆転)させられる。すなわち、アシスト機構9は、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIから抜去されるときに、充電コネクタ200に空気による抜去方向のアシスト力を付与する。
【0049】
これにより、アシスト機構9によっても、充電インレットCIに対して充電コネクタ200を挿抜するときにロボットアーム3から充電コネクタ200に付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。従って、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜に応じてロボットアーム3、特にロボットアーム3の最も基端側に配置されたアクチュエータ32に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、ロボットアーム3のアクチュエータ32、特に最も基端側のアクチュエータ32に要求される出力を低下させることが可能になり、ロボットアーム3を安定に作動させるために搬送台車2の重量を増加させる必要がなくなるので、アシスト機構9を含む充電コネクタ挿抜装置1の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。なお、アシスト機構9は、単一のプロペラファン90を含むものであってもよい。また、アシスト機構9は、プロペラファン90の代わりに、ダクテッドファンを含むものであってもよい。この場合、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿入時と抜去時とで、ダクテッドファンを反転させればよい。
【0050】
図13は、充電コネクタ挿抜装置1に適用可能な他のアシスト機構9Bを示す概略構成図である。
【0051】
図13に示すアシスト機構9Bは、ラバールノズル(収縮拡大ノズル)95と、ノズル反転機構96と、空気圧縮機97とを含む。ラバールノズル95は、開口端と閉鎖端との間に絞り部を有するものである。ラバールノズル95は、コネクタ保持部33を支持するアクチュエータ32により、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜方向と直交する方向に延在する支軸の周りに回転自在に支持される。ノズル反転機構96は、当該支軸の周りにラバールノズル95を回転させ、ラバールノズル95を開口端が充電コネクタ200とは反対側を向く状態(
図13参照)と、
図14に示すように開口端が充電コネクタ200側を向く状態との何れかにすることができる。空気圧縮機97は、ラバールノズル95の絞り部よりも閉鎖端側の空間内に高圧の圧縮空気を供給する。
【0052】
かかるアシスト機構9Bを含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両(電動車両)Vの充電インレットCIに挿入するときには、一例として充電コネクタ200が充電インレットCIに接触したタイミングで、図示しない制御装置により、ラバールノズル95を開口端が充電コネクタ200とは反対側を向く状態にするようにノズル反転機構96が制御されると共に、空気圧縮機97が作動させられる。これにより、ラバールノズル95の開口端から空気を超音速で流出させて、当該ラバールノズル95に充電コネクタ200を充電インレットCIに押し込む方向の大きなアシスト力(推進力)を発生させることができる。すなわち、アシスト機構9Bは、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIに挿入されるときに、充電コネクタ200に空気による挿入方向のアシスト力を付与する。
【0053】
また、アシスト機構9を含む充電コネクタ挿抜装置1により充電コネクタ200を車両Vの充電インレットCIから抜去するときには、ロボットアーム3の動作開始に応じて、図示しない制御装置により、ラバールノズル95を開口端が充電コネクタ200側を向く状態にするようにノズル反転機構96が制御されると共に、空気圧縮機97が作動させられる。これにより、ラバールノズル95の開口端から空気を超音速で流出させて、当該ラバールノズル95に充電コネクタ200を充電インレットCIから離間させる方向の大きなアシスト力(推進力)を発生させることができる。すなわち、アシスト機構9Bは、ロボットアーム3により充電コネクタ200が充電インレットCIから抜去されるときに、充電コネクタ200に空気による抜去方向のアシスト力を付与する。
【0054】
これにより、アシスト機構9Bによっても、充電インレットCIに対して充電コネクタ200を挿抜するときにロボットアーム3から充電コネクタ200に付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。従って、充電インレットCIに対する充電コネクタ200の挿抜に応じてロボットアーム3、特にロボットアーム3の最も基端側に配置されたアクチュエータ32に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、ロボットアーム3のアクチュエータ32、特に最も基端側のアクチュエータ32に要求される出力を低下させることが可能になり、ロボットアーム3を安定に作動させるために搬送台車2の重量を増加させる必要がなくなるので、アシスト機構9Bを含む充電コネクタ挿抜装置1の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。
【0055】
以上説明したように、本開示の充電コネクタ挿抜装置は、電動車両(V)の充電インレット(CI)に充電コネクタ(200)を挿入すると共に充電インレット(CI)から充電コネクタ(200)を抜去する挿抜機構(3)を有する充電コネクタ挿抜装置(1)であって、挿抜機構(3)による充電コネクタ(200)の挿入および抜去をアシストとするアシスト機構(5,5B,6,7,8,9,9B)を含むものである。
【0056】
本開示の充電コネクタ挿抜装置は、挿抜機構による充電コネクタの挿入および抜去をアシストとするアシスト機構を含む。これにより、充電インレットに対して充電コネクタを挿抜するときに挿抜機構から充電コネクタに付与されるべき力を低下させ、充電インレットに対する充電コネクタの挿入または抜去に応じて挿抜機構に作用するモーメントを小さくすることができる。この結果、挿抜機構の駆動源に要求される出力を低下させて、充電コネクタ挿抜装置の低コスト化およびコンパクト化を図ることが可能になる。
【0057】
また、アシスト機構(5,6)は、挿抜機構(3)により充電コネクタ(200)が充電インレット(CI)に挿入されるとき、および挿抜機構(3)により充電コネクタ(200)が充電インレット(CI)から抜去されるときに、充電コネクタ(200)に作用する摩擦力が低減するように挿抜機構(3)により保持された充電コネクタ(200)に振動を付与するものであってもよい。
【0058】
これにより、充電コネクタを充電インレットに対して挿抜するときに挿抜機構から充電コネクタに付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。
【0059】
更に、挿抜機構(3)は、充電コネクタ(200)を保持するコネクタ保持部(33)を含むものであってもよく、アシスト機構(5,6)は、コネクタ保持部(33)に対して移動して充電コネクタ(200)に挿抜方向における振動を付与する移動部材(51,65)を含むものであってもよい。
【0060】
また、アシスト機構(5B,7,8,9,9B)は、挿抜機構(3)により充電コネクタ(200)が充電インレット(CI)に挿入されるときに、挿抜機構(3)により保持された充電コネクタ(200)に挿入方向のアシスト力を付与し、挿抜機構(3)により充電コネクタ(200)が充電インレット(CI)から抜去されるときに、挿抜機構(3)により保持された充電コネクタ(200)に抜去方向のアシスト力を付与するものであってもよい。
【0061】
これにより、充電コネクタを充電インレットに対して挿抜するときに挿抜機構から充電コネクタに付与されるべき力を良好に低下させることが可能になる。
【0062】
更に、挿抜機構(3)は、充電コネクタ(200)を保持するコネクタ保持部(33)を含むものであってもよく、アシスト機構(5B,7,8,9,9B)は、コネクタ保持部(33)に対して移動する移動部材(51,71,72)の慣性による力または空気による力を付与するものであってもよい。
【0063】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示の発明は、充電コネクタ挿抜装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 充電コネクタ挿抜装置、3 ロボットアーム(挿抜機構)、5,5B,6,7,8,9,9B アシスト機構、33 コネクタ保持部、51 可動子(移動部材)、65 偏心部材(移動部材)、71 第1回転子(移動部材)、72 第2回転子(移動部材)、200 充電コネクタ、V 車両。