(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140064
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】貫入補助治具及び鋼管の貫入方法。
(51)【国際特許分類】
E02D 13/00 20060101AFI20241003BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20241003BHJP
E02D 5/18 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
E02D5/28
E02D5/18 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051051
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】390025759
【氏名又は名称】株式会社ワイビーエム
(71)【出願人】
【識別番号】509235545
【氏名又は名称】株式会社SEET
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 信明
(72)【発明者】
【氏名】古賀 翔平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(72)【発明者】
【氏名】井本 隆作
(72)【発明者】
【氏名】中山 英則
(72)【発明者】
【氏名】秋山 仁
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 由徳
【テーマコード(参考)】
2D041
2D049
2D050
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041CB06
2D041DB02
2D049FB03
2D049FB14
2D049GB05
2D050AA01
2D050EE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】芯材を充填物で満たされた地中孔に、効率よく貫入することである。
【解決手段】充填物で満たされた地中孔に芯材を貫入するための貫入補助治具であって、軸心まわりの回転力、または振動、もしくは回転力と振動の両者を選択的に作用させることの可能なロッドに接続されるロッド接続具を備え、該ロッド接続具に、前記芯材に取り付けた突状部材を係止する切欠き部が、設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填物で満たされた地中孔に芯材を貫入するための貫入補助治具であって、
軸心まわりの回転力、または振動、もしくは回転力と振動の両者を選択的に作用させることの可能なロッドに接続されるロッド接続具を備え、
該ロッド接続具に、前記芯材に取り付けた突状部材を係止する切欠き部が、設けられていることを特徴とする貫入補助治具。
【請求項2】
請求項1に記載の貫入補助治具において、
前記ロッドが、前記地中孔を削孔する際に使用した削孔攪拌装置に設けられていることを特徴とする貫入補助治具。
【請求項3】
請求項1に記載の貫入補助治具において、
前記芯材が鋼管であるとともに、該鋼管の内周面に前記突状部材が設けられており、
前記ロッド接続具は、前記鋼管内に配置されることを特徴とする貫入補助治具。
【請求項4】
請求項3に記載の貫入補助治具において、
前記ロッド接続具に設けられるガイドブロックを備え、
該ガイドブロックは、前記ロッド接続具と前記鋼管との隙間に介装される隙間調整片を備えることを特徴とする貫入補助治具。
【請求項5】
請求項4に記載の貫入補助治具において、
前記ガイドブロックが、前記ロッド接続具に固定される取付片を備えるとともに、
該取付片の上面及び下面にそれぞれ、幅の異なる2種類の前記隙間調整片が設けられていることを特徴とする貫入補助治具。
【請求項6】
請求項4に記載の貫入補助治具を用いて充填物で満たされた地中孔に鋼管を貫入する鋼管の貫入方法であって、
前記ガイドブロックを装着した前記ロッド接続具を、前記ロッドに接続し、前記鋼管に挿入する工程と、
該鋼管の前記突状部材を、前記ロッド接続具の前記切欠き部に係止させる工程と、
前記ロッドに、軸心まわりの回転力、または振動、もしくは回転力と振動の両者を作用させることを特徴とする鋼管の貫入方法。
【請求項7】
請求項6に記載の鋼管の貫入方法において、
前記隙間調整片の幅が異なる複数の前記ガイドブロックを準備し、
前記鋼管の内径が変わるごとに、該鋼管と前記ロッド接続具との隙間に対応する幅の前記隙間調整片を有する前記ガイドブロックを、前記ロッド接続具に交換装着することを特徴とする鋼管の貫入方法。
【請求項8】
請求項6に記載の鋼管の貫入方法において、
前記充填物が、ソイルセメントであることを特徴とする鋼管の貫入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填物で満たされた地中孔に芯材を貫入するための貫入補助治具及び鋼管の貫入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中にソイルセメント柱を造成し、これを利用して支持杭等の地中構造物を構築する方法が広く知られている。例えば特許文献1では、ソイルセメント柱を、小型の削孔攪拌機にて造成する方法が開示されている。具体的には、下端部近傍に掘削ビットを備えるロッドに起振力を伝達する起振手段を接続する。
【0003】
この削孔攪拌機を用いて、ロッドに上下方向の起振力を付与しながら回転させることにより地盤を削孔しつつ、ロッドの先端よりセメントミルクを吐出する。すると、掘削土とセメントミルクが混合攪拌され、地盤中にソイルセメント柱を造成できる。このソイルセメント柱が硬化する前に芯材を所望の深さに到達するまで貫入して建て込み、地中に支持杭を構築する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の方法によれば、様々な地盤条件にあっても、効率よく掘削攪拌して地中にソイルセメント柱を築造し、これを利用した支持杭を構築することができる。
【0006】
ところが、芯材の貫入作業は、削孔攪拌機を一旦撤去したのち、例えばリフターを搬入し、これを利用してワイヤーなどで吊り下す場合が多い。こうすると、芯材は自重でソイルセメント柱に貫入していく。しかし、自重のみでは貫入できずに、ソイルセメント柱内で高止まりする事態が生じた場合、芯材の貫入を補助する外力を付与する手段がなく、施工に多大な手間を要していた。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、芯材を充填物で満たされた地中孔に、効率よく貫入することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の貫入補助治具は、充填物で満たされた地中孔に芯材を貫入するための貫入補助治具であって、軸心まわりの回転力、または振動、もしくは回転力と振動の両者を選択的に作用させることの可能なロッドに接続されるロッド接続具を備え、該ロッド接続具に、前記芯材に取り付けた突状部材を係止する切欠き部が、設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の貫入補助治具は、前記ロッドが、前記地中孔を削孔する際に使用した削孔攪拌装置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の貫入補助治具は、前記芯材が鋼管であるとともに、該鋼管の内周面に前記突状部材が設けられており、前記ロッド接続具は、前記鋼管内に配置されることを特徴とする。
【0011】
本発明の貫入補助治具は、前記ロッド接続具に設けられるガイドブロックを備え、該ガイドブロックは、前記ロッド接続具と前記鋼管との隙間に介装される隙間調整片を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の貫入補助治具は、前記ガイドブロックが、前記ロッド接続具に固定される取付片を備えるとともに、該取付片の上面及び下面にそれぞれ、幅の異なる2種類の前記隙間調整片が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の鋼管の貫入方法は、本発明の貫入補助治具を用いて充填物で満たされた地中孔に鋼管を貫入する鋼管の貫入方法であって、前記ガイドブロックを装着した前記ロッド接続具を、前記ロッドに接続し、前記鋼管に挿入する工程と、該鋼管の前記突状部材を、前記ロッド接続具の前記切欠き部に係止させる工程と、前記ロッドに、軸心まわりの回転力、または振動、もしくは回転力と振動の両者を作用させることを特徴とする。
【0014】
本発明の鋼管の貫入方法は、前記隙間調整片の幅が異なる複数の前記ガイドブロックを準備し、前記鋼管の内径が変わるごとに、該鋼管と前記ロッド接続具との隙間に対応する幅の前記隙間調整片を有する前記ガイドブロックを、前記ロッド接続具に交換装着することを特徴とする。
【0015】
本発明の鋼管の貫入方法は、前記充填物が、ソイルセメントであることを特徴とする。
【0016】
本発明の貫入補助治具及び鋼管の貫入方法によれば、軸心まわりの回転力、または振動、もしくは回転力と振動の両者を選択的に作用させることの可能なロッドに、貫入補助治具を接続する。したがって、充填物内で芯材が高止まりした場合に、その状態に応じて、回転力、振動、もしくは両者のうち好適なものを選択し、芯材に作用させることができる。これにより、高止まりした芯材の貫入動作を補助し、芯材を効率よく所定の深度まで到達させることが可能となる。
【0017】
また、地中孔を削孔する際に使用した削孔攪拌装置に設けられているロッドに貫入補助治具を装着すれば、高止まりした芯材を圧入するための装置を、別途導入するといった手間を省略することができる。
【0018】
さらに、芯材が鋼管である場合、貫入補助治具をロッド接続具とガイドブロックで構成することで、ロッド接続具と鋼管との隙間をガイドブロックの隙間調整片で最小に抑えることができる。これにより、回転力、振動、もしくは両者を作用させた鋼管を、安定した状態で偏芯を生じさせることなく、充填物内に貫入させることができる。
【0019】
また、隙間調整片の幅の異なるガイドブロックを複数準備しておくことにより、施工現場で内径の異なる複数種類の鋼管を取り扱う場合に、ガイドブロックを交換するのみで対応でき、施工性を大幅に向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロッドから貫入補助治具を介して芯材に、回転力、振動、もしくは両者のうち好適なものを伝達できるため、充填物で満たされた地中孔内で、自重貫入できず高止まりした芯材を、所望の深度に到達するまで効率よく貫入させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態における芯材の貫入方法を示す図である。
【
図2】本実施の形態におけるロッド接続具を示す図である。
【
図3】本実施の形態におけるガイドブロックを示す図である。
【
図4】本実施の形態における貫入補助治具をロッドに取り付けた状態を示す図である。
【
図5】本実施の形態におけるロッドに取り付けた貫入補助治具を鋼管に係止する手順を示す図である。
【
図6】本実施の形態におけるガイドブロックの他の事例を示す図である(その1)。
【
図7】本実施の形態におけるガイドブロックの他の事例を示す図である(その2)。
【
図8】本実施の形態における貫入補助治具をロッドに設けたスイベル継手に取り付ける事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、充填物で満たされている地中孔に、芯材を効率よく貫入させるための治具及び方法である。本実施の形態では、地中に築造されたソイルセメント柱に丸型鋼管を貫入し、ソイルセメント杭を構築する場合を事例に挙げ、以下に、
図1~
図7を参照しつつその詳細を説明する。
【0023】
≪≪ソイルセメント造の支持杭の構築方法≫≫
図1(c)で示すようなソイルセメント造の支持杭50は、例えば、次の手順で構築される。まず、
図1(a)で示すように、削孔攪拌装置10を利用して、地中を削孔しつつソイルセメント柱51を築造する。ソイルセメント柱51の先端には、セメントミルクを注入し根固め部52を設ける。
【0024】
≪削孔攪拌装置≫
ソイルセメント柱51の築造に使用する削孔攪拌装置10は、キャタピラからなる移動機構11と、移動機構11の上部に設けられた台座部12と、台座部12に支持されたリーダー13と、を備えている。
【0025】
リーダー13には、起振装置14が上下方向に移動可能に設置され、起振装置14には、ロッド15の頭部が当接されている。また、ロッド15は、そのの先端に掘削攪拌部16が装着され、回転装置18を介して回転する。
【0026】
起振装置14は、偏芯重錘を回転させることで起振力を発生し、振動をロッド15に作用させる装置である。上下方向又は横方向のうち、少なくとも何れかの成分を含む振動をロッド15に伝達可能であれば、いずれの装置を採用してもよい。
【0027】
回転装置18は、その内方に備えられたロッド把持部にてロッド15の周面を把持し、ロッド15に対してその軸を中心とした正方向もしくは逆方向の回転力を付与する装置である。その配置位置は、起振装置14の下側に位置し、起振装置14とともにリーダー13に沿って、上下方向に移動可能に設置されている。
【0028】
ロッド15は、中空を備える一重管よりなり、中間部にスイベル継手19が設けられている。スイベル継手19には、セメントミルクを供給する供給管17が接続されている。これにより、回転装置18に付与された回転力で回転するロッド15の中空部に、セメントミルクが供給される。
【0029】
掘削攪拌部16は、ロッド15に接続される軸部161と、軸部161の先端部に取り付けられた先端ビット162を有し、先端ビット162には、セメントミルクの吐出口が設けられている。また、軸部161には、攪拌翼なども併せて設置されている。
【0030】
≪≪鋼管の貫入方法≫≫
上記の削孔攪拌装置10でソイルセメント柱51を築造したのち、ソイルセメント柱51及び根固め部52が硬化する前に、鋼管53を継ぎ足しつつ、自重で貫入していく。
【0031】
最下端の鋼管53が、根固め部52に到達する前に高止まりを生じた場合、削孔攪拌装置10を利用して、鋼管53に回転力や振動などの外力を作用させ、先端が根固め部52に到達するまで貫入する。鋼管53に外力を付与する手順は、次のとおりである。
【0032】
まず、
図1(b)で示すように、削孔攪拌装置10のロッド15に装着されている掘削攪拌部16を取り外し、アタッチメント式の貫入補助治具20を接続する。他方、鋼管53には、その内周面から軸心に向けて突出する突状部材54を設けておく。
【0033】
この突状部材54を貫入補助治具20に係止させ、削孔攪拌装置10の回転装置18もしくは起振装置14を作動させる、または、回転装置18と起振装置14の両者を作動させる。こうすると、ロッド15に接続された貫入補助治具20を介して、回転力もしくは振動、または回転力と振動の両者が、鋼管53に付与されるため、鋼管53とソイルセメント柱51との付着が切れる。
【0034】
これにより、自重貫入できず高止まりした鋼管53は、
図1(c)で示すように、ソイルセメント柱51内で回転もしくは振動しながら、自沈していく。このように、貫入補助治具20を用いると、ソイルセメント柱51を築造するために用いる削孔攪拌装置10を、鋼管53の貫入作業にも用いることができる。
【0035】
したがって、鋼管53が高止まりした場合に、これを所望の深さまで貫入するための装置を、別途準備する必要がない。また、狭隘な施工現場において、施工機械の入れ替え作業を省略できることから、作業性を大幅に向上できる。
【0036】
また、削孔攪拌装置10が、回転装置18だけでなく起振装置14を備えているため、貫入補助治具20を介して鋼管53に回転力と振動の両者を伝達できる。これにより、回転力を付与したのみでは鋼管53を根固め部52に到達できる深さまで貫入できない場合にもこれに対応し、より確実に鋼管53の貫入を補助することができる。
【0037】
≪≪貫入補助治具≫≫
上記の貫入補助治具20は、
図1(c)で示すように、ロッド接続具30とガイドブロック40とを備える。
【0038】
≪ロッド接続具≫
ロッド接続具30は、ロッド15と鋼管53とを連結し、ロッド15に作用された回転力や振動などの外力を、鋼管53に伝達するための伝達部材として機能する。その構造は、
図2(a)及び(b)で示すように、接続具本体31とオス金具32とにより構成されている。
【0039】
オス金具32は、削孔攪拌装置10のロッド15に設けられているメス金具(図示せず)に対応する形状に形成されている。
図2(a)では、六角継手を採用する場合を事例に挙げている。このような形状のオス金具32は、接続具本体31に上向きで設けられている。
【0040】
接続具本体31は、略長方形のベース板311と、このベース板311の短辺各々から立ち上がる一対の壁部312を備えている。ベース板311にはその中央部に、前述のオス金具32が設置されている。
【0041】
一対の壁部312は、その外周面が鋼管の内周面に沿う円弧に形成され、その下方側には、
図2(b)で示すように、略T字型の切欠き部313が形成されている。この切欠き部313は、鋼管53に設けた突状部材54が、下方から上方に向けて挿入され、さらに横方向に相対移動すると、突状部材54を係止できる大きさ及び形状に形成されている。
【0042】
また、一対の壁部312には、その略中央部の上面から外周面に続く略鉤型の凹部314が形成されている。この凹部314に、
図3(a)で示すような、ガイドブロック40が設置される。
【0043】
≪ガイドブロック≫
ガイドブロック40は、貫入補助治具20を鋼管53に挿入する際のガイドとして機能する。また、ロッド接続具30と鋼管53の内周面との間に生じる隙間を最小にする、隙間調整機能を有する。
【0044】
その形状は、
図3(a)で示すように、略鉤型形状をなし、取付片41と隙間調整片42とにより構成されている。取付片41は、平面視で略長方形に形成され、ボルト孔411が設けられている。隙間調整片42は、取付片41の下面から垂れ下がり、下端外面側の出隅部が面取りされている。
【0045】
このような形状のガイドブロック40は、
図3(b)及び
図4(a)で示すように、接続具本体31の凹部314に篏合する。つまり、ガイドブロック40の取付片41が、凹部314の上面側に篏合し、隙間調整片42が凹部314の側面側に篏合する。そして、凹部314の上面側には、
図2(a)で示すように、取付片41のボルト孔411に対応する貫通孔3141が設けられている。
【0046】
これらを利用してガイドブロック40と凹部314が形成されている接続具本体31とは、ボルト接合される。凹部314は、接続具本体31を構成する一対の壁部312各々に設けられているから、各々にガイドブロック40が取り付けられることとなる。こうして、貫入補助治具20は、
図4(a)で示すように、ロッド接続具30と一対のガイドブロック40とにより組立てられる。
【0047】
≪≪貫入補助治具20の利用手順≫≫
次に、上記の貫入補助治具20を、
図1(b)で示すように、削孔攪拌装置10のロッド15に取り付け、また、
図1(c)で示すように、鋼管53に係止する手順を、以下に説明する。
【0048】
≪≪ロッドと貫入補助治具の取付け≫≫
まず、
図4(a)で示すように、削孔攪拌装置10のロッド15に貫入補助治具20を装着する。
【0049】
ロッド15の下端側には、ロッド接続具30に設けたオス金具32に篏合するメス金具(図示せず)が設けられている。このメス金具にオス金具32を挿入し、ロッド15の下端に設けたフランジ151と、オス金具32の下方に設けたフランジ321を当接させる。
【0050】
こののち、
図4(b)で示すように、これらフランジ151、フランジ321を包み込むようにして、抑えバンド33を装着する。フランジ151の上面及びフランジ321の下面にはそれぞれ、テーパーが設けられている。
【0051】
抑えバンド33は、このテーパを利用してフランジ151、フランジ321の密着性を高める形状に形成されている。これにより、削孔攪拌装置10のロッド15から貫入補助治具20に対して、起振装置14を作動させることにより生じる振動を、効率よく伝達させることができる。
【0052】
また、回転装置18を作動させることにより生じる回転力は、前述したように、ロッド15の下端側に設けたメス金具とオス金具32に六角継手を採用することで、削孔攪拌装置10のロッド15から貫入補助治具20に対して、効率よく伝達させることができる。
【0053】
このように、回転力及び振動を効率よく伝達できる機構であれば、ロッド15と貫入補助治具20を接続する構造は、継手の形状を含めいずれを採用してもよい。
【0054】
≪≪貫入補助治具と鋼管の係止≫≫
次に、鋼管53の内空に向けて貫入補助治具20を挿入し、貫入補助治具20に、鋼管53の突状部材54を係止させる。
【0055】
まず、貫入補助治具20の向きを調整し、
図5(a)で示すように、ロッド接続具30に設けた切欠き部313を、鋼管53に設けた突状部材54の直上に位置させる。次に、
図5(b)で示すように、貫入補助治具20を降下させて突状部材54をロッド接続具30の切欠き部313内に入れ込む。こののち、ロッド15を介して貫入補助治具20を水平回転させ、
図5(c)で示すように、突状部材54を切欠き部313に係止させる。
【0056】
これにより、
図1(c)で示すように、削孔攪拌装置10の回転装置18を作動させてロッド15を軸中心で回転すると、貫入補助治具20及び突状部材54を介して、鋼管53をソイルセメント柱51内で回転させることができる。また、回転力のみでは鋼管53が十分降下しない場合、削孔攪拌装置10の起振装置14を作動させる。すると、ロッド15及び貫入補助治具20を介して、鋼管53に振動を付与させることができる。
【0057】
≪≪ガイドブロックの他の事例≫≫
ところで、貫入補助治具20を構成するガイドブロック40は、
図3(a)で示すように、隙間調整片42を1つのみ設けた形状となっている。しかし、これに限定するものではなく、
図6(a)及び(b)で示すような、ガイドブロック60を採用することができる。
【0058】
ガイドブロック60は、取付片61とその上下に設けられている第1の隙間調整片62及び第2の隙間調整片63を備える。第2の隙間調整片63は、第1の隙間調整片62と比較して、その幅が狭く形成されている。
【0059】
これにより、
図7(a)で示すように、第2の隙間調整片63を下向きにしてガイドブロック60をロッド接続具30に取り付け、貫入補助治具20を構成する。すると、上端にメス継手が設けられることで、鋼管53の内部に縮径部が形成される場合にも、この縮径部に配置できる形状に、貫入補助治具20を形成できる。
【0060】
また、
図7(b)で示すように、第1の隙間調整片62を下向きにしてガイドブロック60をロッド接続具30に取り付け、貫入補助治具20を構成する。すると、貫入補助治具20を、上記の
図7(a)で例示したものとはその形状が異なる鋼管53に、適した形状に形成できる。
【0061】
したがって、ガイドブロック40、60の両者を準備しておけば、3種類の鋼管53各々に対応する貫入補助治具20を組立てて、鋼管53各々に回転力や振動を付与することが可能となる。
【0062】
本発明の芯材の貫入方法及び貫入補助治具は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0063】
例えば、本実施の形態では、貫入補助治具20をロッド15の下端に設けたメス継手を利用してに接続したが、これに限定されるものではない。
図8で示すように、ロッド15の中間部に設けたスイベル継手19に貫入補助治具20を接続してもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、2種類のガイドブロック40、60を準備したが、施工現場で用いる鋼管の種類に応じて、2種類以上を準備し取替え採用してもよい。
【0065】
さらに、本実施の形態では、鋼管53を芯材として採用したが、ロッド接続具30に設けた切り欠き313に係止できる突状部材54を設けることができれば、角型鋼管などを芯材として採用することもできる。また、地中孔を満たす充填物もソイルセメントに限定されるものではなく、泥水固化材などいずれにも採用できる。
【符号の説明】
【0066】
10 削孔攪拌装置
11 移動機構
12 台座部
13 リーダー
14 起振装置
15 ロッド
151 フランジ
16 掘削攪拌部
17 供給管
18 回転装置
19 スイベル継手
20 貫入補助治具
30 ロッド接続具
31 接続具本体
311 ベース板
312 壁部
313 切欠き部
314 凹部
3141 貫通孔
32 オス金具
321 フランジ
33 抑えバンド
40 ガイドブロック
41 取付片
411 ボルト孔
42 隙間調整片
50 支持杭
51 ソイルセメント柱
52 根固め部
53 鋼管
54 突状部材
60 ガイドブロック
61 取付片
62 第1の隙間調整片
63 第2の隙間調整片
S 排泥管