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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140081
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】熱供給システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20220101AFI20241003BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20241003BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20241003BHJP
   F24H 15/262 20220101ALI20241003BHJP
   F24H 15/296 20220101ALI20241003BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20241003BHJP
   F24H 15/30 20220101ALI20241003BHJP
   F24H 15/429 20220101ALI20241003BHJP
   F24D 15/00 20220101ALI20241003BHJP
   F24D 18/00 20220101ALI20241003BHJP
【FI】
F24H1/00 631A
F24H1/18 D
F24H1/18 H
F24H15/156
F24H15/262
F24H15/296
F24H15/281
F24H15/30
F24H15/429
F24D15/00 B
F24D18/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051075
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】島田 将行
(72)【発明者】
【氏名】中島 匠
(72)【発明者】
【氏名】濱走 正美
【テーマコード(参考)】
3L072
3L122
【Fターム(参考)】
3L072AB06
3L122AA02
3L122AA13
3L122AA26
3L122AA54
3L122AA62
3L122AB23
3L122AB34
3L122BA34
3L122BA43
3L122BB05
3L122FA02
(57)【要約】
【課題】熱源機の排熱を利用する省エネ性の高い排熱運転を常に適正なタイミングで行えるようにすることが可能な熱供給システムを提供する。
【解決手段】熱源機Bに、排熱発生装置50により発生した排熱を温水として蓄える貯湯タンク51と、貯湯タンク51から熱利用装置Aへ供給される温水を加熱することが可能な補助加熱装置67と、熱源機Bの運転を制御する制御部54と、が備えられ、制御部54は、貯湯タンク51に蓄えられている温水を加熱せずに熱利用装置Aに供給する排熱運転を実行可能な排熱運転モード、に切り換え可能に構成され、かつ、排熱発生装置50の運転状況に基づいて排熱運転の実行に適した適正タイミングを判定し、その適正タイミングにて排熱運転モードを自動設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水の熱を利用可能な熱利用装置と、前記熱利用装置に温水を供給する熱源機と、が備えられ、
前記熱源機に、運転動作により排熱を発生する排熱発生装置と、前記排熱発生装置により発生した排熱を温水として蓄える貯湯タンクと、前記貯湯タンクから前記熱利用装置へ供給される温水を加熱することが可能な補助加熱装置と、前記熱源機の運転を制御する制御部と、が備えられ、
前記制御部は、前記貯湯タンク内の湯水を前記補助加熱装置により加熱して前記熱利用装置へ供給可能な加熱運転モードと、前記貯湯タンクに蓄えられている前記温水を加熱せずに前記熱利用装置に供給する排熱運転を実行可能な排熱運転モードと、に切り換え可能に構成され、かつ、前記排熱発生装置の運転状況に基づいて前記排熱運転の実行に適した適正タイミングを判定し、その適正タイミングにて前記排熱運転モードを自動設定する熱供給システム。
【請求項2】
手動操作にて前記熱利用装置の運転の入り切りを指令する指令手段が備えられ、
前記制御部は、前記加熱運転モードが設定されている状態で前記指令手段にて運転開始が指令されると、前記貯湯タンク内の湯水を前記補助加熱装置により加熱して前記熱利用装置へ供給する加熱運転を実行し、前記排熱運転モードが設定されている状態で前記指令手段にて運転開始が指令されると、前記排熱運転を実行するように構成されている請求項1に記載の熱供給システム。
【請求項3】
前記熱利用装置が浴室暖房乾燥機にて構成され、
前記浴室暖房乾燥機は、前記温水の熱により加熱された空気を浴室内に供給するとともに、浴室内の空気を外部に排気する乾燥運転を実行可能に構成されている請求項1又は2に記載の熱供給システム。
【請求項4】
前記排熱発生装置が熱電併給装置であり、
前記制御部は、前記熱電併給装置の時系列的な予測熱負荷を予測し、当該予測熱負荷量を賄える熱量を前記熱電併給装置で発生する熱主運転を実行するように構成され、かつ、前記運転状況として、前記熱主運転を実行しているときの前記貯湯タンクに蓄えられる湯水の熱量が設定量よりも多くなるタイミングを、前記適正タイミングとして設定するように構成されている請求項1又は2に記載の熱供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記運転状況として、前記排熱運転に適した天気であることが予測されるタイミングを、前記適正タイミングとして設定するように構成されている請求項1又は2に記載の熱供給システム。
【請求項6】
前記制御部は、通信回線を介して天気予報の情報を入手可能に構成されている請求項5に記載の熱供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室暖房乾燥機等のように温水の熱を利用可能な熱利用装置と、例えば、熱電併給装置のように電気だけでなく排熱を発生する熱源機と、が備えられている熱供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱供給システムにおいて、従来では、熱源機から発生される排熱を利用して貯湯タンクに温水を蓄え、この貯湯タンクに蓄えられた温水を浴室暖房乾燥機に供給して浴室の乾燥を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の熱供給システムにおいては、補助加熱装置により高温に加熱した温水を供給して浴室暖房乾燥機に供給する通常乾燥処理だけでなく、手動操作スイッチ(エコ乾燥運転スイッチ)にて使用者が指令することにより、貯湯タンクに蓄えられている温水をそのまま加熱することなく浴室暖房乾燥機に循環供給して浴室の乾燥を行う排熱運転を行うことにより省エネ性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-167404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、使用者が任意のタイミングで手動操作スイッチ(エコ乾燥運転スイッチ)を操作することが可能であるから、例えば、貯湯タンクに十分な熱量の温水が蓄えられていないにもかかわらず、使用者がそのことを知らずにエコ乾燥運転スイッチにより排熱運転が指令された場合には、熱源機から浴室暖房乾燥機に対して十分な熱量を供給することができず、浴室乾燥処理が行えないおそれがある。特に、浴室に衣類等を吊るした状態で衣類乾燥を行う場合においては、衣類の乾燥が十分に行えないという不利な面があった。
【0005】
本発明の目的は、熱源機の排熱を利用する省エネ性の高い排熱運転を常に適正なタイミングで行えるようにすることが可能な熱供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る熱供給システムの特徴構成は、温水の熱を利用可能な熱利用装置と、前記熱利用装置に温水を供給する熱源機と、が備えられ、前記熱源機に、運転動作により排熱を発生する排熱発生装置と、前記排熱発生装置により発生した排熱を温水として蓄える貯湯タンクと、前記貯湯タンクから前記熱利用装置へ供給される温水を加熱することが可能な補助加熱装置と、前記熱源機の運転を制御する制御部と、が備えられ、前記制御部は、前記貯湯タンク内の湯水を前記補助加熱装置により加熱して前記熱利用装置へ供給可能な加熱運転モードと、前記貯湯タンクに蓄えられている前記温水を加熱せずに前記熱利用装置に供給する排熱運転を実行可能な排熱運転モードと、に切り換え可能に構成され、かつ、前記排熱発生装置の運転状況に基づいて前記排熱運転の実行に適した適正タイミングを判定し、その適正タイミングにて前記排熱運転モードを自動設定する点にある。
【0007】
熱源機の運転を制御する制御部は、排熱発生装置の運転状態を制御するものであるから、その運転動作により発生する排熱の発生状況も自己で管理することが可能である。そこで、本発明によれば、制御部が、排熱発生装置の運転状況に基づいて、貯湯タンクに蓄えられる温水の熱量を監視しながら、貯湯タンクに蓄えられている温水を加熱せずに熱利用装置に供給する排熱運転を実行可能なタイミングを判別して、適正タイミングにて排熱運転モードを自動設定するようにした。
【0008】
その結果、使用者が任意のタイミングで行うのではなく、予め自動設定された適正タイミングで排熱運転を実行することができ、熱源機の排熱を利用する省エネ性の高い排熱運転を常に適正なタイミングで行えるようにすることが可能となった。
【0009】
本発明に係る熱供給システムの別の特徴構成は、手動操作にて前記熱利用装置の運転の入り切りを指令する指令手段が備えられ、前記制御部は、前記加熱運転モードが設定されている状態で前記指令手段にて運転開始が指令されると、前記貯湯タンク内の湯水を前記補助加熱装置により加熱して前記熱利用装置へ供給する加熱運転を実行し、前記排熱運転モードが設定されている状態で前記指令手段にて運転開始が指令されると、前記排熱運転を実行するように構成されている点にある。
【0010】
本構成によれば、加熱運転モードが設定されている状態であれば、使用者が指令手段を操作して加熱運転を指令することにより、熱利用装置による熱利用が可能となる。そして、排熱運転モードが設定されている状態であれば、使用者が指令手段を操作することにより、排熱運転を指令することができる。その結果、操作誤りの無い良好な状態で、排熱運転モードが設定されている適正タイミングにて省エネ性の高い排熱運転を実行することが可能となる。
【0011】
本発明に係る熱供給システムの更に別の特徴構成は、前記熱利用装置が浴室暖房乾燥機にて構成され、前記浴室暖房乾燥機は、前記温水の熱により加熱された空気を浴室内に供給するとともに、浴室内の空気を外部に排気する乾燥運転を実行可能に構成されている点にある。
【0012】
本構成によれば、貯湯タンクに蓄えられている温水の熱を有効に利用して浴室の乾燥処理を行える。このとき、例えば、浴室に衣類等を吊るした状態で衣類乾燥を行う場合等においては、排熱運転を実行すると、短い乾燥時間では衣類の乾燥を十分に行えないおそれがあるが、このとき、使用者は排熱運転であることが認識できるので、長い乾燥時間を設定する等の対応を取ることができる。
【0013】
本発明に係る熱供給システムの更に別の特徴構成は、前記排熱発生装置が熱電併給装置であり、前記制御部は、前記熱電併給装置の時系列的な予測熱負荷を予測し、当該予測熱負荷量を賄える熱量を前記熱電併給装置で発生する熱主運転を実行するように構成され、かつ、前記運転状況として、前記熱主運転を実行しているときの前記貯湯タンクに蓄えられる湯水の熱量が設定量よりも多くなるタイミングを、前記適正タイミングとして設定するように構成されている点にある。
【0014】
本構成によれば、制御部が熱主運転を実行することにより、予測熱負荷量を賄える熱量を良好に発生させる状態で熱電併給装置を作動させることができる。そして、このような熱主運転を実行しているときの貯湯タンクに蓄えられる湯水の熱量を管理しながら、湯水の熱量が設定量よりも多くなるタイミングを適正タイミングとして設定するようにしたから、貯湯タンクに蓄えられる湯水の熱量を有効に利用することができる。
【0015】
本発明に係る熱供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記運転状況として、前記排熱運転に適した天気であることが予測されるタイミングを、前記適正タイミングとして設定するように構成されている点にある。
【0016】
例えば、熱利用装置が浴室内を乾燥するものであれば、天気が雨であれば浴室内において衣類の乾燥を行うことが推奨されるから、貯湯タンクに蓄えられる湯水の熱量を有効に利用することによって衣類乾燥を行うことができる。
【0017】
本発明に係る熱供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、通信回線を介して天気予報の情報を入手可能に構成されている点にある。
【0018】
本構成によれば、通信回線を介してリアルタイムで天気予報の情報を入手することができるので、排熱運転を実行するタイミングとして、常に適正なタイミングを設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】熱供給システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】浴室暖房乾燥機の縦断側面図である。
図3】リモコンの正面図である。
図4】熱源機の制御ブロック図である。
図5】データ更新処理を説明する図である。
図6】時系列的なデータを示す図である。
図7】省エネルギ度基準演算処理を説明する図である。
図8】時系列的なデータを示す図である。
図9】熱媒供給運転の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る熱供給システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る熱供給システムは、図1に示すように、温水の熱を利用可能な熱負荷装置の一つである熱利用装置としての浴室暖房乾燥機Aと、浴室暖房乾燥機Aに温水を供給する熱源機Bと、を備えている。熱源機Bは、運転動作により排熱を発生する排熱発生装置の一例として、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置としての燃料電池50を備えている。
【0021】
熱供給システムには、浴室暖房乾燥機A及び熱源機Bの他にも、太陽光発電装置PVと、燃料電池50及び太陽光発電装置PV及び商用電力系統(以下、単に「商用系統」と表記することもある)SKの内の少なくとも1つから電力の供給を受ける電力負荷装置56等、が備えられている。燃料電池50の電力系統及び太陽光発電装置PVは、インバータ57,58を介して商用電力供給ライン59に接続され、電力負荷装置56に電力を供給することが可能なように接続されている。
【0022】
〔浴室暖房乾燥機〕
図2に示すように、浴室暖房乾燥機Aは、本体ケーシング1と、その下方に設けられたグリル板2とを備えている。そして、本体ケーシング1が浴室Mの天井裏に配置され、グリル板2が天井板3の浴室側の天井面に配設されている。
【0023】
浴室暖房乾燥機Aは、浴室暖房乾燥機Aの運転を制御する端末制御部4と、運転に関する指令を受け付ける指令受付部としてのリモコンR1と、が設けられている。リモコンR1は、使用者より受け付けた各種指令を端末制御部4に伝えるように構成されている。
【0024】
浴室暖房乾燥機Aの本体ケーシング1は、下方が浴室Mに向けて開口した概ね直方体形状の箱状に構成される。その本体ケーシング1内には、空気を浴室M内に吹き出す循環ファン5、空気の一部をダクト接続部7に通過させて本体ケーシング1外に排出する排気ファン8、及び、循環ファン5にて浴室M内に吹き出される空気を加熱用循環路9に通流する熱媒により加熱する加熱用熱交換器10が収容されている。加熱用循環路9には、熱源機Bから供給される温水が通流する。
【0025】
グリル板2には、空気の吸入口13及び吹出口14が形成されている。そして、本体ケーシング1の内部に、吸入口13を通して浴室M内の空気を吸い込んで吹出口14を通して吹き出すための循環通風路15が、導風板16により区画形成されている。そして、この循環通風路15内に、吸入口13に吸込み作用すると共に、その吸入口13から吸い込んだ空気を吹出口14に向けて吐出するように、循環ファン5が設けられている。吹出口14には、図示しないモータにより揺動駆動される可動ルーバ17が設けられ、この可動ルーバ17により、吹出口14から浴室M内に吹き出される空気の風向が変更可能なように構成されている。
【0026】
排気ファン8が、本体ケーシング1の内部において、排気口18が形成されたファンケース19内に設けられている。循環ファン5が作動している状態で、排気ファン8が作動すると、循環ファン5の通風作用により浴室M内の空気が吸入口13を通して吸い込まれ、その吸い込まれた空気の一部が排気ファン8の通風作用により分流され、かつ、風圧により排気口シャッター20が開かれて排気ダクト21を通して屋外に排出される。
【0027】
循環通風路15内における循環ファン5よりも通風方向上流側に加熱用熱交換器10が設けられている。加熱用熱交換器10は、後述する熱源機Bの熱媒加熱用熱交換器66から循環供給される温水との熱交換により、循環通風路15内を通風する空気を加熱するよう構成されている。
【0028】
つまり、循環ファン5の通風作用により、吸入口13を通して吸い込まれた浴室M内の空気が、加熱用熱交換器10にて加熱された後、吹出口14を通して浴室M内に吹き出されるように構成されており、これにより、浴室M内に加熱された空気が吹き出される。このとき排気ファン8は停止している。この運転状態が暖房運転である。
【0029】
加熱用熱交換器10による加熱が行われ、かつ、循環ファン5が作動している状態で、排気ファン8が作動すると、循環ファン5の通風作用により浴室M内の空気が吸入口13を通して吸い込まれ、その浴室Mから吸い込まれた空気の一部が排気ファン8の通風作用により分流され、排気ダクト21を通して屋外に排出される。この運転状態が乾燥運転である。
【0030】
加熱用熱交換器10による加熱が行われていない状態で、循環ファン5が作動すると、加熱されない低温の空気が浴室に供給される。この状態が涼風運転である。
【0031】
循環ファン5が停止している状態で、排気ファン8が作動すると、浴室M内の空気が吸入口13を通して吸い込まれ、浴室M内の空気を屋外に排出することができる。この運転状態が換気運転である。
【0032】
図3に示すように、リモコンR1には、タイマー運転時間又は終了希望時刻等を表示する時刻表示部40、エコ乾燥運転を指令するエコ乾燥運転スイッチ41(指令手段の一例)、タイマー設定スイッチ42、吹き出し方向の変更を指令する風向スイッチ43、加熱乾燥運転を指令する加熱乾燥運転スイッチ44(指令手段の一例)、浴室Mの暖房を行う暖房運転を指令する暖房運転スイッチ45、排気ファン8を作動させる換気運転を指令する換気運転スイッチ46、循環ファン5を作動させる涼風運転を指令する涼風運転スイッチ47、各運転を停止させる停止スイッチ48等が設けられている。
【0033】
加えて、各運転スイッチ41、44、45、46、47がON操作状態にある場合に点灯させられる各種ランプ(エコ乾燥運転ランプ41a、加熱乾燥運転ランプ44a、暖房運転ランプ45a、換気運転ランプ46a、涼風運転ランプ47a)が上記各運転スイッチに隣接して設けられている。浴室暖房乾燥機Aは、リモコンR1の操作に基づいて端末制御部4によって作動制御される。
【0034】
〔熱源機〕
図1及び図4に示すように、熱源機Bは、燃料電池50にて発生する熱を利用しながら、回収した熱を温水として貯える蓄熱装置としての貯湯タンク51への貯湯及び熱負荷装置52への熱媒供給を行う貯湯ユニット53と、熱源機Bの運転を制御する制御部としての運転制御部54と、を備えている。熱負荷装置52は、浴室暖房乾燥機Aの他に給湯栓等の給湯端末55を含む。運転制御部54は、端末制御部4との間で情報を通信可能に接続されている。
【0035】
貯湯ユニット36は、温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する貯湯タンク51、湯水循環路60を通して貯湯タンク51内の湯水を循環させたり熱負荷装置52へ供給される熱媒を加熱する湯水を循環させる湯水循環ポンプ61、熱媒循環路62を通して熱媒(温水)を浴室暖房乾燥機Aに循環供給させる熱媒循環ポンプ63、冷却水循環路64を通流する冷却水にて湯水循環路60を通流する湯水を加熱させる排熱式熱交換器65、湯水循環路60を通流する湯水にて熱媒循環路62を通流する熱媒を加熱させる熱媒加熱用熱交換器66、バーナ67bの燃焼により湯水循環路60を通流する湯水を加熱させる補助加熱装置としての補助加熱器67などを備えて構成されている。この補助加熱器67はガスを燃料として熱を直接発生させる装置であり、加熱対象の湯水を通流させる熱交換器67aと、その熱交換器67aを加熱するバーナ67bと、そのバーナ67bに燃焼用空気を供給する燃焼用ファン67cとを備えている。
【0036】
貯湯タンク51には、貯湯タンク51の貯湯量を検出する貯湯量検出手段としての4個のタンクサーミスタTtが上下方向に間隔を隔てて設けられている。つまり、タンクサーミスタTtが設定温度以上の温度を検出することにより、その設置位置に湯が貯湯されているとして、検出温度が設定温度以上であるタンクサーミスタTtのうちの最下部のタンクサーミスタTtの位置に基づいて、貯湯量を4段階に検出するように構成され、4個のタンクサーミスタTt全ての検出温度が設定温度以上になると、貯湯タンク51の貯湯量が満杯であることが検出されるように構成されている。
【0037】
湯水循環路60には、貯湯タンク51の下部と連通する取り出し路68と貯湯タンク51の上部と連通する貯湯路69が接続され、貯湯路69には、電磁比例弁にて構成されて湯水の通流量の調整及び通流の断続を行う貯湯弁70が設けられている。そして、湯水循環路60には、取り出し路68との接続箇所から湯水の循環方向の順に、排熱式熱交換器65、湯水循環ポンプ61、補助加熱器67、電磁比例弁にて構成されて湯水の通流量の調整及び通流の断続を行う暖房弁71、熱媒加熱用熱交換器66が設けられている。
【0038】
湯水循環路60には、補助加熱器67に流入する湯水の温度を検出する入口サーミスタTi、補助加熱器67から流出する湯水の温度を検出する出口サーミスタTeが設けられている。また、貯湯タンク51の上部から取り出した湯水を給湯する給湯路72には給湯端末55での給湯熱負荷量を計測する給湯熱負荷計測手段73が設けられ、浴室暖房乾燥機Aでの暖房熱負荷量を計測する暖房熱負荷計測手段74が設けられている。
【0039】
運転制御部54は、燃料電池50を運転するときには、燃料電池50及び冷却水循環ポンプ75の作動状態を制御し、そして、湯水循環ポンプ61、熱媒循環ポンプ63の作動状態を制御することによって、貯湯タンク51内に湯水を貯湯する貯湯運転や、浴室暖房乾燥機Aに熱媒(温水)を供給する熱媒供給運転等を行うようになっている。さらに、運転制御部54は、後述の如く、予測負荷演算処理、データ更新処理、及び、運転可否判別処理等を実行するように構成されている。
また、運転制御部54は、リモコンR2の表示部やスピーカに出力させる情報を切り換える出力情報切換制御を行うように構成されている。
【0040】
給湯端末55としての給湯栓が開栓されると、貯湯タンク51の上部から湯水が取り出されて、給湯路72を通じて給湯するように構成され、給湯栓が開栓されたときに、貯湯タンク51内に湯が貯湯されていないときには、湯水循環ポンプ61が作動され、貯湯弁70が開弁されると共に、補助加熱器67が加熱作動されて、その補助加熱器67にて加熱された湯水が貯湯路69を通じて給湯路72に給湯されるように構成されている。
【0041】
(運転制御部の制御内容)
運転制御部54は、熱負荷装置52について判別対象期間内の残りの期間における時系列的な予測熱負荷量を予測し、その予測熱負荷量を賄える熱量を燃料電池50で発生する熱主運転を行うことで、熱負荷装置52に熱を供給するときの省エネルギ性が高くなるように熱主運転を行うための燃料電池50の運転時間帯を判別対象期間内の残りの期間内で決定し、その運転時間帯に燃料電池50を運転させるように構成されている。
【0042】
まず、運転制御部54による燃料電池50の学習運転について説明を加える。
運転制御部54は、実際の使用状況に基づいて、1日分の過去負荷データを曜日と対応付ける状態で更新して記憶するデータ更新処理を行い、日付が変わって午前0時になるごとに、記憶されている1日分の過去負荷データから、その日1日分の予測負荷データを求める予測負荷演算処理を行うように構成されている。
そして、運転制御部54は、その日1日分の予測負荷データを求めた状態で、予測負荷データから、燃料電池50を運転させるか否かの基準となる省エネルギ度基準値を求める省エネルギ度基準値演算処理を行うと共に、その省エネルギ度基準値演算処理にて求められた省エネルギ度基準値よりも現時点での実省エネルギ度が上回っているか否かによって、燃料電池50の運転の可否を判別する運転可否判別処理を行うように構成されている。
【0043】
このようにして、運転制御部54は、運転可否判別処理において、燃料電池50の運転が可と判別されると、燃料電池50を運転させ、燃料電池50の運転が不可と判別されると、燃料電池50の運転を停止させるように構成されている。
【0044】
そして、運転制御部54は、運転時間帯において、貯湯タンク51内の貯湯量が満杯となると、燃料電池50の運転を停止させるように構成されている。
【0045】
データ更新処理について説明を加えると、運転制御部54は、1日のうちのどの時間帯にどれだけの電力負荷量、熱負荷としての給湯熱負荷量と暖房熱負荷量があったかの1日分の過去負荷データを曜日と対応付ける状態で更新して記憶するように構成されている。
【0046】
まず、過去負荷データについて説明すると、過去負荷データは、電力負荷量データ、給湯熱負荷量データ、暖房熱負荷量データの3種類の負荷データからなり、図5に示すように、1日分の過去負荷データを日曜日から土曜日までの曜日ごとに区分けした状態で記憶するように構成されている。
そして、1日分の過去負荷データは、24時間のうち1時間を単位時間として、単位時間当たりの電力負荷量データの24個、単位時間当たりの給湯熱負荷量データの24個、及び、単位時間当たりの暖房熱負荷量データの24個から構成されている。
【0047】
上述のような過去負荷データを更新する構成について説明を加えると、実際の使用状況から、単位時間当たりの電力負荷量、給湯熱負荷量、及び、暖房熱負荷量の夫々を、商用電力計測部P1、燃料電池用発電電力計測部P2、太陽光発電装置用発電電力計測部P3、給湯熱負荷計測手段73、及び、暖房熱負荷計測手段74にて計測し、その計測した負荷データを記憶する状態で1日分の実負荷データを曜日と対応付けて記憶させる。電力負荷装置56の電力負荷量は、商用電力計測部P1で計測した電力と、燃料電池用発電電力計測部P2で計測した燃料電池50の発電出力と、太陽光発電装置用発電電力計測部P3で計測した発電電力との和から、エネルギ供給システム固有の補機の電力負荷量とを差し引いたものとなる。尚、商用電力計測部P1で計測された電力とは、商用系統SKから受電する方向を正とした電力を示し、よって、商用系統SKへ電力を逆潮流している場合には、負の値を取る。
そして、1日分の実負荷データが1週間分記憶されると、曜日ごとに、過去負荷データと実負荷データとを所定の割合で足し合わせることにより、新しい過去負荷データを求めて、その求めた新しい過去負荷データを記憶して、過去負荷データを更新するように構成されている。
【0048】
日曜日を例に挙げて具体的に説明すると、図5に示すように、過去負荷データのうち日曜日に対応する過去負荷データD1mと、実負荷データのうち日曜日に対応する実負荷データA1とから、下記の〔式1〕により、日曜日に対応する新しい過去負荷データD1(m+1)が求められ、その求められた過去負荷データD1(m+1)を記憶する。
尚、下記の〔式1〕において、D1mを、日曜日に対応する過去負荷データとし、A1を、日曜日に対応する実負荷データとし、Kは、0.75の定数であり、D1(m+1)を、新しい過去負荷データとする。
【0049】
D1(m+1)=(D1m×K)+{A1×(1-K)}・・・〔式1〕
【0050】
予測負荷演算処理について説明を加えると、日付が変わるごとに実行され、その日のどの時間帯にどれだけの電力負荷量、給湯熱負荷量、暖房熱負荷量が予測されているかの1日分の予測負荷データを求めるように構成されている。
すなわち、曜日ごとの7つの過去負荷データのうち、その日の曜日に対応する過去負荷データと前日の実負荷データとを所定の割合で足し合わせることにより、どの時間帯にどれだけの電力負荷量、給湯熱負荷量、暖房熱負荷量が予測されているかのその日1日分の予測負荷データを求めるように構成されている。
【0051】
月曜日1日分の予測負荷データを求める場合を例に挙げて具体的に説明すると、曜日ごとの7つの過去負荷データD1m~D7mと曜日ごとの7つの実負荷データA1~A7とが記憶されているので、月曜日に対応する過去負荷データD2mと、前日の日曜日に対応する実負荷データA1とから、下記の〔式2〕により、月曜日の1日分の予測負荷データB1を求める。
そして、1日分の予測負荷データB1は、図6に示すように、1日分の予測電力負荷量データ、1日分の予測給湯熱負荷量データ、1日分の予測暖房熱負荷量データからなり、図6(a)は、1日分の予測電力負荷量を示しており、図6(b)は、1日分の予測暖房熱負荷量を示しており、図6(c)は、1日分の予測給湯熱負荷量を示している。
尚、下記の〔式2〕において、D2mを、月曜日に対応する過去負荷データとし、A1を、日曜日に対応する実負荷データとし、Qは、0.25の定数であり、B1は、予測負荷データとする。
【0052】
B1=(D2m×Q)+{A1×(1-Q)}・・・〔式2〕
【0053】
省エネルギ度基準値演算処理について説明を加えると、予測給湯熱負荷量データを用いて、現時点から基準値用時間先までの間に必要となる貯湯必要量を賄えるように燃料電池50を運転させた場合に、燃料電池50を運転させることによって、エネルギ供給システムの設置施設における省エネルギ化を実現できる省エネルギ度基準値を求めるように構成されている。
【0054】
例えば、単位時間を1時間とし、基準値用時間を12時間として説明を加えると、まず、予測負荷データによる予測電力負荷量、予測給湯熱負荷量、及び、予測暖房熱負荷量から、下記の〔式3〕により、燃料電池50を運転させた場合の予測省エネルギ度を1時間ごとに12時間先までの12個分を求めると共に、燃料電池50を運転させた場合に貯湯タンク51に貯湯することができる予測貯湯量を1時間ごとに12時間先までの12個分を求める。
【0055】
省エネルギ度P={(EK1+EK2+EK3)/燃料電池50の必要エネルギ}×100・・・〔式3〕
【0056】
但し、EK1は、有効発電出力E1を変数とする関数であり、EK2は、有効暖房熱出力E2を変数とする関数であり、EK3は、有効貯湯熱出力E3を変数とする関数である。
EK1=有効発電出力E1の発電所一次エネルギ換算値
=f1(有効発電出力E1,発電所での必要エネルギ)
EK2=有効暖房熱出力E2の従来給湯器でのエネルギ換算値
=f2(有効暖房熱出力E2,バーナ効率(暖房時))
EK3=有効貯湯熱出力E3の従来給湯器でのエネルギ換算値
=f3(有効貯湯熱出力E3,バーナ効率(給湯時))
【0057】
また、有効発電出力E1、有効暖房熱出力E2、有効貯湯熱出力E3の夫々は、下記の〔式4〕~〔式6〕により求められる。
【0058】
E1=燃料電池50の発電電力-(余剰電力+固有の補機の電力負荷量)・・・〔式4〕
E2=暖房端末5bでの熱負荷量・・・〔式5〕
E3=(燃料電池50の熱出力-有効暖房熱出力E2)-放熱ロス・・・〔式6〕
【0059】
そして、1時間ごとの予測省エネルギ度及び予測貯湯量を12個分求めた状態において、まず、予測給湯熱負荷量データから12時間先までに必要とされている予測必要貯湯量を求め、その予測必要貯湯量から現時点での貯湯タンク51内の貯湯量を引いて、12時間先までの間に必要となる必要貯湯量を求める。
【0060】
図7に示すように、単位時間の予測貯湯量を足し合わせる状態で、その足し合わせた予測貯湯量が必要貯湯量に達するまで、12個分の単位時間のうち、予測省エネルギ度の数値が高いものから選択していくようにしている。
【0061】
運転可否判別処理について説明を加えると、運転可否判別処理では、現時点での電力負荷量、予測給湯熱負荷量、及び、現時点での暖房熱負荷量から、上記の〔式3〕により、実省エネルギ度を求める。
そして、その実省エネルギ度が省エネルギ度基準値よりも上回ると、燃料電池50の運転が可と判別し、実省エネルギ度が省エネルギ度基準値以下であると、燃料電池50の運転が不可と判別するようにしている。
【0062】
つまり、実際の電力負荷量、給湯熱負荷量及び暖房熱負荷量が、予測電力負荷量データ、予測給湯熱負荷量データ及び予測暖房熱負荷量データと略等しければ、実省エネルギ度は、省エネルギ基準値演算処理において求めた予測省エネルギ度と略等しくなるので、必要貯湯量を貯湯できるように予測省エネルギ度の高い時間帯の順に選択した複数の単位時間において、燃料電池50が運転されることになる。
従って、必要貯湯量を貯湯できるように予測省エネルギ度の高い時間帯の順に選択した複数の単位時間から成る時間帯が、予測熱負荷量及び予測電力負荷量と省エネルギ運転条件(省エネルギ度Pに相当する)とに基づいて求めた燃料電池50を運転するための運転時間帯となる。そして、この省エネルギ度基準値演算処理は数秒間隔で行われ、一旦、燃料電池50の運転が開始されると少なくとも1時間は運転が継続される。
【0063】
つまり、運転制御部54は、省エネルギ度Pが高く且つ熱負荷量又は電力負荷量が多い時間帯を、燃料電池50を運転するための運転時間帯として求めるように構成されている。また、運転制御部54は、熱の時系列消費データ及び電力の時系列消費データに基づいて、1日という判別対象期間における時系列的な予測熱負荷量及び時系列的な予測電力負荷量を求め、求めた予測熱負荷量及び予測電力負荷量と省エネルギ運転条件(省エネルギ度P)とに基づいて燃料電池50を運転するための運転時間帯を求めて、その求めた運転時間帯に基づいて燃料電池50を自動運転するように構成されている。
【0064】
尚、予測発電電力量については、燃料電池50による予測発電電力量と、太陽光発電装置の予測発電電力量とに基づいて算出されるが、運転制御部54は、図4に例示するように通信部77及び情報通信回線Nを介して通信可能に接続されている気象情報提供サーバSから時系列的な日照量の情報を受信し、それらの情報や設置条件等から太陽光発電装置PVでの時系列的な予測発電電力量を導出する。
【0065】
(熱媒供給運転)
運転制御部54は、浴室暖房乾燥機Aに対して熱媒(温水)を供給する熱媒供給運転を実行するときは、貯湯タンク51内の湯水を補助加熱器67により加熱して浴室暖房乾燥機Aへ供給可能な加熱運転モードと、貯湯タンク51に蓄えられている温水を加熱せずに浴室暖房乾燥機Aに供給する排熱運転を実行可能な排熱運転モードと、に切り換え可能に構成されている。
【0066】
運転制御部54は、燃料電池50の運転状況に基づいて排熱運転の実行に適した適正タイミングを判定し、その適正タイミングにて排熱運転モードを自動設定するように構成されている。具体的には、運転制御部54は、前記熱主運転を実行しているときの貯湯タンク51に蓄えられる湯水の熱量が設定量よりも多くなるタイミングを適正タイミングとして設定し、さらに、運転状況として、排熱運転に適した天気であることが予測されるタイミングを適正タイミングとして設定するように構成されている。
【0067】
運転制御部54は、浴室暖房乾燥機Aに対する熱媒供給運転を実行するにあたり、上述したように、予測熱負荷量を賄える熱量を燃料電池50で発生する熱主運転を行うことを前提としている。従って、例えば、図8に示すように、省エネルギ性が高くなるように熱主運転を行うための燃料電池50の運転時間帯が設定されている。
【0068】
図9に示すように、運転制御部54は、熱媒供給運転において、燃料電池50の運転を停止しているという条件が成立しており(ステップ♯1)、かつ、4個のタンクサーミスタTt全ての検出温度が設定温度以上であることを検知して、貯湯タンク51の貯湯量が満杯である(満蓄状態である)ことが検出されるという条件が成立しており(ステップ♯2)、さらに、通信回線を介して入手している天気予報の情報から本日は「雨」であることが予測されるという条件が成立していると(ステップ♯3)、排熱運転モードを自動設定する(ステップ♯4)。一方、ステップ♯1~ステップ♯3のいずれかの条件が成立していない場合には、加熱運転モードを自動設定する(ステップ♯5)。
【0069】
運転制御部54が排熱運転モードを設定していると、端末制御部4は、エコ乾燥運転ランプ41aを点滅表示させること等により、排熱運転モードが設定されていることを使用者に報知し、又、加熱運転モードを設定していると、加熱乾燥運転ランプ44aを点滅表示させること等により、加熱運転モードが設定されていることを使用者に報知するように構成されている。このとき、表示情報に加えて音声情報を用いて使用者に報知するようにしてもよい。
【0070】
そして、運転制御部54は、排熱運転モードが設定されている状態でリモコンR1のエコ乾燥運転スイッチ41にてエコ乾燥運転の運転開始が指令されると、排熱運転を実行する(ステップ♯6、♯7)。すなわち、補助加熱器67による加熱を行わない状態で、湯水循環ポンプ61を作動させて貯湯タンク51に貯留される湯水を湯水循環路60に循環通流させるとともに、熱媒循環ポンプ63を作動させて熱媒循環路62を通して熱媒(温水)を浴室暖房乾燥機Aの加熱用熱交換器10に循環供給させる。
【0071】
エコ乾燥運転スイッチ41が切り操作されるか、あるいは、タイマー設定時間が経過して、運転停止が指令されると、排熱運転を停止する(ステップ♯8、♯9)。尚、排熱運転モードを設定されている場合であっても、エコ乾燥運転の運転開始が指令されていない状態で、燃料電池50の発電が開始された場合には、排熱運転モードを解除して、加熱運転モードが設定される。このように運転モードを変更する際には、エコ乾燥運転ランプ41aの点滅表示を終了すること等により使用者に報知する。又、このとき、表示情報に加えて音声情報を用いて使用者に報知するようにしてもよい。
【0072】
加熱運転モードが設定されている状態でリモコンR1の加熱乾燥運転スイッチ44にて加熱乾燥運転の運転開始が指令されると、貯湯タンク51内の湯水を補助加熱器67により加熱して浴室暖房乾燥機Aへ供給する加熱運転を実行する(ステップ♯10,♯11)。すなわち、湯水循環ポンプ61を作動させて貯湯タンク51に貯留される湯水を補助加熱器67による加熱を実行して所定温度以上に加熱して、湯水循環路60に循環通流させるとともに、熱媒循環ポンプ63を作動させて熱媒循環路62を通して熱媒を浴室暖房乾燥機Aの加熱用熱交換器10に循環供給させる。
【0073】
加熱乾燥運転スイッチ44が切り操作されるか、あるいは、タイマー設定時間が経過して、運転停止が指令されると、加熱乾燥運転を停止する(ステップ♯12、♯13)。
【0074】
このように、排熱運転を実行するのに適したタイミングで排熱運転モードを自動設定するようにしたので、例えば、排熱運転に適していていない状態でエコ乾燥運転スイッチを操作する等の不利を回避することができる。
【0075】
〔別実施形態〕
(1)通信回線Nを介して入手している天気予報の情報から本日は「雨」であることが予測されると、排熱運転モードを自動設定する構成に代えて、浴室内に湿度センサを備えて、湿度センサの検出結果に基づいて雨であるか否かを判別するようにしてもよい。その場合、人感センサを設けておき、入浴しているときには、雨であるか否かを判別しないようにしてもよい。
【0076】
(2)排熱運転の実行に適した適正タイミングの条件として、燃料電池50の運転を停止しているという条件、あるいは、天気予報が「雨」であるという条件を除外するようにしてもよい。又、貯湯タンク51の貯湯量が満杯である(満蓄状態である)こと以外に、3個のタンクサーミスタTtの検出温度が設定温度以上になっていることを条件としてもよく、条件としては種々の条件を設定することが可能である。
【0077】
(3)上記実施形態では、排熱発生装置が熱電併給装置(燃料電池50)であり、熱電併給装置の時系列的な予測熱負荷を予測し、当該予測熱負荷量を賄える熱量を熱電併給装置で発生する熱主運転を実行するように構成されるものを例示したが、このような運転形態に限定されるものではなく、種々の運転形態が実行可能である。
【0078】
(4)排熱運転モードが設定されていることをランプにより表示するだけでなく、排熱運転モードが設定される予定の時間帯をリモコンR1等に表示して使用者に伝えるようにしてもよい。
【0079】
(5)排熱発生装置として、燃料電池50に代えて、例えば、エンジンと発電機とを有し、エンジンにより発生した熱を利用して水を加熱して貯湯タンク51に貯留する構成等、種々の構成を用いることができる。
【0080】
(6)熱利用装置として、浴室暖房乾燥機Aに代えて、床暖房装置、ファンコンベクタ等の他の種類の端末器を用いることができる。
【0081】
(7)尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開始される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、例えば、浴室暖房乾燥機等のように温水の熱を利用可能な熱利用装置と、例えば、熱電併給装置のように電気だけでなく排熱を発生する熱源機と、が備えられている熱供給システムに適用できる。
【符号の説明】
【0083】
41 エコ乾燥運転スイッチ(指令手段)
44 加熱乾燥運転スイッチ(指令手段)
50 燃料電池(排熱発生装置)
51 貯湯タンク
54 運転制御部(制御部)
A 浴室暖房乾燥機(熱利用装置)
B 熱源機
N 通信回線
M 浴室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9