知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140083
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20241003BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241003BHJP
【ＦＩ】
B65G1/00 501C
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023051077
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人Ｒ＆Ｃ
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
(72)【発明者】
【氏名】古長谷 徹
(72)【発明者】
【氏名】武内 啓
(72)【発明者】
【氏名】高木 大樹
【テーマコード（参考）】
3F022
5H301
【Ｆターム（参考）】
3F022AA15
3F022LL07
3F022MM11
3F022MM15
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF01
5H301FF11
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK18
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】非稼働状態において、走行フロアで待機中の搬送車が適切に充電を行うことが可能な物品搬送設備を実現する。
【解決手段】走行フロアＦに、少なくとも４本の走行経路Ｒが互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアＡが含まれる。特定エリアＡには、複数の搬送車１が待機する待機場所として使用できる待機可能経路Ｒｗと、待機場所としての使用が禁止される走行専用経路Ｒｒと、が設定されている。特定エリアＡにおける２本の走行経路Ｒは、走行専用経路Ｒｒに設定され、特定エリアＡにおける走行専用経路Ｒｒ以外の走行経路Ｒは、待機可能経路Ｒｗに設定される。２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれは、充電ステーション６に繋がるように設定される。全ての待機可能経路Ｒｗが、経路幅方向Ｄｗの少なくとも一方側に走行専用経路Ｒｒが隣接するように設定される。
【選択図】図４
【解決手段】走行フロアＦに、少なくとも４本の走行経路Ｒが互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアＡが含まれる。特定エリアＡには、複数の搬送車１が待機する待機場所として使用できる待機可能経路Ｒｗと、待機場所としての使用が禁止される走行専用経路Ｒｒと、が設定されている。特定エリアＡにおける２本の走行経路Ｒは、走行専用経路Ｒｒに設定され、特定エリアＡにおける走行専用経路Ｒｒ以外の走行経路Ｒは、待機可能経路Ｒｗに設定される。２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれは、充電ステーション６に繋がるように設定される。全ての待機可能経路Ｒｗが、経路幅方向Ｄｗの少なくとも一方側に走行専用経路Ｒｒが隣接するように設定される。
【選択図】図４
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、少なくとも４本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、前記特定エリアにおける前記走行専用経路以外の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
全ての前記待機可能経路が、前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように設定される、物品搬送設備。
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、少なくとも４本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、前記特定エリアにおける前記走行専用経路以外の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
全ての前記待機可能経路が、前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように設定される、物品搬送設備。
【請求項2】
前記待機可能経路と前記走行専用経路とを入れ替える経路入替処理が実行され、
前記経路入替処理の実行後は、全ての前記待機可能経路のそれぞれに対して前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように配置される、請求項１に記載の物品搬送設備。
前記経路入替処理の実行後は、全ての前記待機可能経路のそれぞれに対して前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように配置される、請求項１に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記経路入替処理では、いずれかの前記走行専用経路において前記搬送車が異常停止した場合に、当該搬送車の停止場所を含む前記走行専用経路を前記待機可能経路とし、いずれかの前記待機可能経路を前記走行専用経路とする、請求項２に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限されると共に互いに反対向きである、請求項１に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
２本の前記走行専用経路を前記経路幅方向に繋ぐ幅方向走行専用経路が、前記特定エリアに少なくとも２本設定されており、
前記走行専用経路及び前記幅方向走行専用経路の少なくとも一部が、前記走行フロアの外縁部に位置するように設定される、請求項１に記載の物品搬送設備。
前記走行専用経路及び前記幅方向走行専用経路の少なくとも一部が、前記走行フロアの外縁部に位置するように設定される、請求項１に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記搬送車に前記物品を供給する物品供給部と、
前記搬送車により搬送される前記物品を受け入れる物品受入部と、を備え、
前記充電ステーションが複数設けられ、
前記走行経路は、前記物品供給部と前記物品受入部とを周回する周回走行経路を含み、
前記周回走行経路に沿う前記搬送車の単位走行距離あたりに存在する前記充電ステーションの数が、前記物品供給部に近づくことに応じて多くなるように、複数の前記充電ステーションが配置されている、請求項１から５のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
前記搬送車により搬送される前記物品を受け入れる物品受入部と、を備え、
前記充電ステーションが複数設けられ、
前記走行経路は、前記物品供給部と前記物品受入部とを周回する周回走行経路を含み、
前記周回走行経路に沿う前記搬送車の単位走行距離あたりに存在する前記充電ステーションの数が、前記物品供給部に近づくことに応じて多くなるように、複数の前記充電ステーションが配置されている、請求項１から５のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、３本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける、３本の前記走行経路のうち中央の１本の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、前記待機可能経路を挟んで両側に隣接する２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限さると共に互いに反対向きである、物品搬送設備。
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、３本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける、３本の前記走行経路のうち中央の１本の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、前記待機可能経路を挟んで両側に隣接する２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限さると共に互いに反対向きである、物品搬送設備。
【請求項8】
第１階層の前記走行フロアである第１走行フロアと、
第２階層の前記走行フロアである第２走行フロアと、
前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとの間で前記搬送車を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第１リフタ及び第２リフタと、
前記走行経路は、前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとのそれぞれにおいて前記第１リフタと前記第２リフタとを繋ぐリフタ間経路を含み、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
前記リフタ間経路の一部が、２本の前記走行専用経路を前記経路幅方向に繋ぐ幅方向走行専用経路を構成している、請求項７に記載の物品搬送設備。
第２階層の前記走行フロアである第２走行フロアと、
前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとの間で前記搬送車を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第１リフタ及び第２リフタと、
前記走行経路は、前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとのそれぞれにおいて前記第１リフタと前記第２リフタとを繋ぐリフタ間経路を含み、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
前記リフタ間経路の一部が、２本の前記走行専用経路を前記経路幅方向に繋ぐ幅方向走行専用経路を構成している、請求項７に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する複数の搬送車と、前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備の一例として、特開２０２２－０５０２４０号公報（特許文献１）には、無人搬送車を用いて荷物を搬送する荷物搬送システムが開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献１のものである。
【0003】
特許文献１に記載された設備では、搬送路（３０）の全体は、搬送車（１０）が走行可能なようにほぼ平滑に連続して繋がっている。搬送車（１０）は、バッテリ（１５）を搭載しており、バッテリ（１５）からの電力を受けて動作するように構成されている。
【0004】
搬送車（１０）は、コントロールシステムからの指令に従って、搬送エリア（Ａ１）で所定の荷物をピックアップし、その荷物を作業エリア（Ａ２）へ搬送する。搬送車（１０）は、荷物の搬送を完了すると、待機ゾーン（Ｚ４）へ移動し、次の指令があるまでそこで待機する。待機中の搬送車（１０）は、バッテリ（１５）の充電状態が所定値より低い場合には、充電ゾーン（Ｚ３）へ移動して充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開２０２２－０５０２４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような物品搬送設備では、例えば夜間などに、物品の搬送が行われない非稼働状態となる場合がある。この非稼働状態では、次に設備が稼働状態となるまで、設備内の全ての搬送車を、予め定められた待機場所で待機させておくことになる。また、次に設備が稼働状態となるまでの間に、充電が必要な搬送車の充電を完了させておくことが好ましい。これら点について、特許文献１には詳細な記載が無い。
【0007】
上記実情に鑑みて、非稼働状態において、走行フロアで待機中の搬送車が適切に充電を行うことが可能な物品搬送設備の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、少なくとも４本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、前記特定エリアにおける前記走行専用経路以外の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
全ての前記待機可能経路が、前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように設定される。
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、少なくとも４本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、前記特定エリアにおける前記走行専用経路以外の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
全ての前記待機可能経路が、前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように設定される。
【0009】
他の構成として、
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、３本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける、３本の前記走行経路のうち中央の１本の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、前記待機可能経路を挟んで両側に隣接する２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限さると共に互いに反対向きである。
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、３本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける、３本の前記走行経路のうち中央の１本の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、前記待機可能経路を挟んで両側に隣接する２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限さると共に互いに反対向きである。
【0010】
上記の構成によれば、設備の非稼働状態において、待機可能経路に複数の搬送車を待機させておくことができる。走行専用経路は、待機可能経路に隣接していると共に、充電ステーションに繋がるように設定されている。そのため、待機可能経路のいずれの箇所に待機している搬送車であっても、待機可能経路に待機している他の搬送車によって妨げられることなく、走行専用経路を通って充電ステーションに向かうことができる。従って、上記の構成によれば、設備の非稼働状態において、走行フロアで待機中の搬送車が適切に充電を行うことが可能となる。
【0011】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】物品搬送設備の第１走行フロア及び第２走行フロアを示す平面図
【図2】物品搬送設備の概略平面図
【図3】物品搬送設備の概略側面図
【図4】非稼働状態の物品搬送設備を示す平面図
【図5】経路入替処理の説明図
【図6】第２実施形態において、非稼働状態における物品搬送設備の第２走行フロアを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
物品搬送設備は、物品を搬送する複数の搬送車と、搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、走行フロア上の搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えている。以下、物品搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
〔第１実施形態〕
図１に示すように、物品搬送設備１００は、第１階層の走行フロアＦである第１走行フロアＦ１と、第２階層の走行フロアＦである第２走行フロアＦ２と、第１走行フロアＦ１と第２走行フロアＦ２との間で搬送車１（図２参照）を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２と、を備えている。
図１に示すように、物品搬送設備１００は、第１階層の走行フロアＦである第１走行フロアＦ１と、第２階層の走行フロアＦである第２走行フロアＦ２と、第１走行フロアＦ１と第２走行フロアＦ２との間で搬送車１（図２参照）を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２と、を備えている。
【0015】
本実施形態では、第１階層と第２階層とは、上下方向に互いに隣接する階層である。第１階層よりも上側に第２階層が配置されている。すなわち、第１走行フロアＦ１よりも上側に第２走行フロアＦ２が配置されている。
【0016】
走行フロアＦには、搬送車１の走行経路Ｒが形成されている。走行フロアＦは、上下方向視で格子状を成す複数の仮想単位領域Ａｕに分割されている。走行経路Ｒは、複数の任意の仮想単位領域Ａｕを繋ぐように設定されている。詳細な後述するが、各仮想単位領域Ａｕには、位置情報保持部が設けられている。搬送車１は、走行経路Ｒに沿って並ぶ複数の仮想単位領域Ａｕのそれぞれに配置された位置情報保持部を読み取りながら走行する。
【0017】
物品搬送設備１００は、搬送車１に物品Ｇ（図２参照）を供給する物品供給部２と、搬送車１により搬送される物品Ｇを受け入れる物品受入部３と、を備えている。本実施形態では、物品搬送設備１００には、物品供給部２から供給された物品Ｇを搬送車１に引き渡す作業が行われる作業エリアＷＡが設けられている。物品供給部２は、作業エリアＷＡに隣接して配置されている。また、物品搬送設備１００には、物品受入部３で受け入れられた物品Ｇの仕分け作業が行われる仕分けエリアＳＡが設けられている。物品受入部３は、仕分けエリアＳＡに隣接して配置されている。
【0018】
本実施形態では、第１階層のみに、物品供給部２と物品受入部３とが設けられている。すなわち、第１階層のみに、作業エリアＷＡと仕分けエリアＳＡとが設けられている。
【0019】
本実施形態では、走行経路Ｒは、第１走行フロアＦ１と第２走行フロアＦ２とのそれぞれにおいて第１リフタＬ１と第２リフタＬ２とを繋ぐリフタ間経路Ｒ１を含む。リフタ間経路Ｒ１は、第１リフタＬ１と第２リフタＬ２との間に配置された複数の仮想単位領域Ａｕを繋ぐように設定されている。
【0020】
以下では、リフタ間経路Ｒ１が延在する方向を「第１方向Ｘ」とし、第１方向Ｘに対して上下方向視で直交する方向を「第２方向Ｙ」とする。また、第１方向Ｘにおける一方側を「第１方向第１側Ｘ１」とし、他方側を「第１方向第２側Ｘ２」とする。
【0021】
本実施形態では、リフタ間経路Ｒ１における第１方向第１側Ｘ１の端部に、第１リフタＬ１が配置されている。リフタ間経路Ｒ１における第１方向第２側Ｘ２の端部に、第２リフタＬ２が配置されている。
【0022】
本実施形態では、第１リフタＬ１と第２リフタＬ２と第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１と第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１とが、搬送ユニットＵを構成している。すなわち、第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２と、各走行フロアＦにおいてこれらの各リフタ（Ｌ１，Ｌ２）を繋ぐリフタ間経路Ｒ１とが、搬送ユニットＵを構成している。
【0023】
本実施形態では、搬送ユニットＵが、第２方向Ｙに並んで複数配置されている。図１に示す例では、３つの搬送ユニットＵが、第２方向Ｙに並んで配置されている。但し、搬送ユニットＵの数は、２つであってもよいし、４つ以上であってもよい。
【0024】
第１走行フロアＦ１と第２走行フロアＦ２との少なくとも一方に、複数の搬送ユニットＵのリフタ間経路Ｒ１を第２方向Ｙに接続する接続経路Ｒ２が設けられている。すなわち本実施形態では、走行経路Ｒは、複数のリフタ間経路Ｒ１を接続する接続経路Ｒ２を含む。図示の例では、第１走行フロアＦ１と第２走行フロアＦ２との双方に、接続経路Ｒ２が設けられている。第１走行フロアＦ１と第２走行フロアＦ２との双方において、接続経路Ｒ２が各リフタ間経路Ｒ１を接続している。搬送車１は、接続経路Ｒ２を介して、各リフタ間経路Ｒ１を行き来することができる。
【0025】
物品搬送設備１００は、走行フロアＦ上の搬送車１に電力を供給する充電ステーション６を備えている。本実施形態では、充電ステーション６が複数設けられている。１つの充電ステーション６は、１つの仮想単位領域Ａｕに設けられる。図示の例では、各走行フロアＦにおいて、複数の充電ステーション６が接続経路Ｒ２に配置されている。
【0026】
次に、物品搬送設備１００の概略構成について、図２及び図３を主に参照して説明する。図２及び図３は、１つの搬送ユニットＵを示している。なお、図２及び図３は、物品搬送設備１００の概略構成を簡潔に説明するための図である。従って、図２及び図３においては、物品搬送設備１００の概略構成の説明に不要な要素は省略し、或いは、説明に必要な要素であっても簡略化して示している。
【0027】
図２に示すように、物品搬送設備１００は、第１階層の第１走行フロアＦ１と、第２階層の第２走行フロアＦ２と、第１走行フロアＦ１及び第２走行フロアＦ２のそれぞれに形成された走行面Ｆｆを走行する複数の搬送車１と、を備えている。
【0028】
本実施形態では、物品搬送設備１００には、設備全体における物品Ｇの搬送を制御する制御装置Ｍが設けられている。制御装置Ｍは、複数の搬送車１を制御するように構成されている。制御装置Ｍは、各搬送車１に対して、搬送指令などを行う。搬送指令では、物品Ｇの搬送元と搬送先とが指定される。また、搬送指令では、搬送元から搬送先までの搬送車１の走行経路Ｒが指定される。上述のように、走行経路Ｒは、走行フロアＦを分割する複数の仮想単位領域Ａｕ（図１参照）を繋ぐように設定される。すなわち本例では、搬送指令では、搬送元から搬送先までに存在する単数又は複数の仮想単位領域Ａｕが指定される。制御装置Ｍからの搬送指令を受けた搬送車１は、指定された搬送元において物品Ｇを受け取ると共に、指定された搬送先へ当該物品Ｇを搬送する。
【0029】
搬送車１は、無人で走行するように構成されている。搬送車１には、バッテリ（蓄電装置の一例）が搭載されており、バッテリに蓄えられた電力を駆動源として動作するように構成されている。搬送車１は、バッテリの蓄電量が少なくなった場合には、上述の充電ステーション６（図１参照）において充電することができる。
【0030】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、走行フロアＦにおける複数箇所に、位置情報を保持した位置情報保持部が設けられている。位置情報保持部は、上述の仮想単位領域Ａｕ（図１参照）に対応する箇所に設けられている。
【0031】
位置情報保持部には、当該位置情報保持部が設けられた位置を示すアドレス情報が含まれている。搬送車１は、位置情報保持部を検出するための検出部（不図示）を備えており、この検出部によって位置情報保持部を検出することにより、検出時における自車の現在位置を把握可能となっている。搬送車１は、複数の位置情報保持部を順次読み取りながら、目的の場所に向かって走行する。例えば、位置情報保持部として、識別情報を保有した１次元コード又は２次元コードを用いることができる。或いは、位置情報保持部として、識別情報を保有したＲＦＩＤタグ（Radio Frequency Identification Tag）を用いることができる。
【0032】
上述のように、物品搬送設備１００は、搬送車１に物品Ｇを供給する物品供給部２と、搬送車１によって搬送された物品Ｇを受け入れる物品受入部３と、を備えている。また、作業エリアＷＡが、物品供給部２に隣接して配置されている。作業エリアＷＡでは、物品供給部２から供給された物品Ｇを搬送車１に引き渡す作業が行われる。また、仕分けエリアＳＡが、物品受入部３に隣接して配置されている。仕分けエリアＳＡでは、物品受入部３に受け入れられた物品Ｇの仕分け作業が行われる。
【0033】
作業エリアＷＡは、第１走行フロアＦ１における複数のリフタ間経路Ｒ１のそれぞれに対して、隣接するように配置されている。すなわち、第１走行フロアＦ１における複数のリフタ間経路Ｒ１（図１に示す例では３つのリフタ間経路Ｒ１）と同数の作業エリアＷＡが設けられている。
【0034】
物品供給部２からの物品Ｇは、当該物品Ｇのまま、或いは容器Ｃに収容された状態で搬送車１に供給される。本実施形態では、物品供給部２は、物品Ｇを、供給容器Ｃｐに収容した状態で作業エリアＷＡに供給する。作業エリアＷＡでは、供給容器Ｃｐに収容された物品Ｇを取り出して、リフタ間経路Ｒ１で待機する搬送車１に当該物品Ｇを引き渡す作業が行われる。すなわち本実施形態では、搬送車１への物品Ｇの引き渡しは、供給容器Ｃｐとは別の容器Ｃに物品Ｇを収容した状態で行われてもよいし、物品Ｇを容器Ｃに収容することなくそのまま引き渡す態様で行われてもよい。この引渡作業を介して、物品供給部２から搬送車１へ物品Ｇが供給される。本実施形態では、作業エリアＷＡでの上記作業が、作業者Ｗによって行われる。但し、作業者Ｗではなく、ロボットによって上記作業が行われてもよいし、作業者Ｗ及びロボットの双方によって上記作業が行われてもよい。
【0035】
搬送車１は、物品Ｇ又は物品Ｇが収容された容器Ｃを搬送するように構成されている。搬送車１は、物品供給部２から供給された物品Ｇ、本例では作業エリアＷＡにて受け取った物品Ｇ又は物品Ｇが収容された容器Ｃを、物品受入部３に搬送する。
【0036】
物品受入部３は、作業エリアＷＡとは離れた場所において、リフタ間経路Ｒ１に対して第２方向Ｙに隣接して設けられている。本例では、リフタ間経路Ｒ１に対して第２方向Ｙの両側のそれぞれに、物品受入部３が設けられている。
【0037】
本実施形態では、物品受入部３は、第１方向Ｘに沿って並んで配置された複数の搬送機構３０を備えている。複数の搬送機構３０のそれぞれは、搬送車１から受け入れた物品Ｇ又は物品Ｇが収容された容器Ｃを、第２方向Ｙに沿って搬送するように構成されている。搬送機構３０は、例えば、コンベヤ、又はシュートを用いて構成される。
【0038】
上述のように、物品受入部３に隣接して、仕分けエリアＳＡが配置されている。物品受入部３における搬送機構３０によって第２方向Ｙの外側へ搬送された物品Ｇ又は物品Ｇが収容された容器Ｃは、仕分けエリアＳＡへ搬送される。すなわち、搬送車１は、物品供給部２にて受け取った物品Ｇ又は物品Ｇが収容された容器Ｃを仕分けエリアＳＡに搬送するように構成されている。本例では、搬送車１は、物品受入部３の搬送機構３０を介して、物品供給部２にて受け取った物品Ｇ又は物品Ｇが収容された容器Ｃを仕分けエリアＳＡに搬送する。
【0039】
仕分けエリアＳＡでは、搬送車１によって搬送された物品Ｇの仕分け作業が行われる。仕分け作業は、予め定められたオーダー情報に基づいて行われる。オーダー情報には、例えば、顧客情報、出荷先情報、物品種別情報などの各種情報が含まれる。
【0040】
本実施形態では、搬送車１が、容器Ｃに収容された物品Ｇを仕分けエリアＳＡに搬送する場合には、仕分けエリアＳＡでは、容器Ｃから物品Ｇを取り出す取出作業が行われる。すなわち、仕分け作業には、搬送車１によって搬送された容器Ｃから物品Ｇを取り出す取出作業が含まれる。本実施形態では、仕分けエリアＳＡでの仕分け作業（上記取出作業を含む）が、作業者Ｗによって行われる。但し、作業者Ｗではなく、ロボットによって仕分け作業が行われてもよいし、作業者Ｗ及びロボットの双方によって仕分け作業が行われてもよい。
【0041】
仕分けエリアＳＡにおいて仕分けられた物品Ｇは、搬出コンベヤ５（図１参照）によって、仕分けエリアＳＡ外へ搬出され、例えば次の工程が行われる場所へと搬送される。
【0042】
仕分けエリアＳＡでの取出作業により、容器Ｃと物品Ｇとが分離され、空の容器Ｃが発生する。本実施形態では、仕分けエリアＳＡでの取出作業によって発生した空の容器Ｃを回収する空容器回収コンベヤ４が、物品受入部３が配置された走行フロアＦ（本例では第１走行フロアＦ１）に設けられている。
【0043】
本実施形態では、空容器回収コンベヤ４は、作業エリアＷＡに隣接する位置まで延在している。本例では、空容器回収コンベヤ４は、作業エリアＷＡの内部まで延在している。空容器回収コンベヤ４によって回収された空の容器Ｃは、作業エリアＷＡまで搬送され、作業エリアＷＡでの作業に再利用される。
【0044】
搬送車１は、第１走行フロアＦ１において物品Ｇを仕分けエリアＳＡ（物品受入部３）に引き渡した後は、第１リフタＬ１に乗って、第２走行フロアＦ２へ向かう。そして、搬送車１は、第２走行フロアＦ２を走行して第２リフタＬ２に乗り、再び第１走行フロアＦ１へ戻る。戻った搬送車１は、上記同様に、作業エリアＷＡ（物品供給部２）において物品Ｇを受け取り、当該物品Ｇを仕分けエリアＳＡ（物品受入部３）へ搬送する。
【0045】
図３は、１つの搬送ユニットＵにおける各階層を、搬送車１が往来する様子を示している。図３に示すように、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１と第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１とは、互いに平行であり、搬送車１の走行を許容する向きが第１方向Ｘにおいて互いに反対側を向くように設定されている。
【0046】
本実施形態では、搬送車１は、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１を第１方向第１側Ｘ１に向けて走行するように構成されている。また、搬送車１は、第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１を第１方向第２側Ｘ２に向けて走行するように構成されている。
【0047】
第１リフタＬ１は、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第１側Ｘ１の端部と、第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第１側Ｘ１の端部と、を接続するように構成されている。第１リフタＬ１は、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第１側Ｘ１の端部と第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第１側Ｘ１の端部との間で、搬送車１を昇降させるように構成されている。
【0048】
第２リフタＬ２は、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第２側Ｘ２の端部と、第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第２側Ｘ２の端部と、を接続するように構成されている。第２リフタＬ２は、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第２側Ｘ２の端部と第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１における第１方向第２側Ｘ２の端部との間で、搬送車１を昇降させるように構成されている。
【0049】
第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２のそれぞれは、搬送車１を載置可能な昇降台Ｌａを備えている。第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２のそれぞれは、自らが備える昇降台Ｌａに搬送車１を載置した状態で、当該搬送車１を複数階層に亘って昇降させる。第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２のそれぞれは、昇降台Ｌａの姿勢を水平面に沿う姿勢（例えば、水平面に平行な姿勢）に維持した状態で、昇降台Ｌａを昇降させるように構成されている。
【0050】
本実施形態では、第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２のそれぞれは、複数の昇降台Ｌａを備えている。第１リフタＬ１及び第２リフタＬ２のそれぞれは、複数の昇降台Ｌａを予め定められた環状の経路に沿って循環させるように構成されている。
【0051】
本実施形態では、第１リフタＬ１は、搬送車１の上昇用に設定されている。すなわち、第１リフタＬ１は、上昇経路Ｒｕに沿って搬送車１を上昇させることにより、第１走行フロアＦ１から第２走行フロアＦ２へ搬送車１を移動させるように構成されている。
【0052】
本実施形態では、第２リフタＬ２は、搬送車１の下降用に設定されている。すなわち、第２リフタＬ２は、下降経路Ｒｄに沿って搬送車１を下降させることにより、第２走行フロアＦ２から第１走行フロアＦ１へ搬送車１を移動させるように構成されている。
【0053】
上述のように、本実施形態では、第１走行フロアＦ１には、搬送車１が物品Ｇを受け取る作業エリアＷＡ（物品供給部２）と、搬送車１が物品Ｇを引き渡す仕分けエリアＳＡ（物品受入部３）と、が設けられている。本例では、搬送車１は、下降用の第２リフタＬ２の出口から第１走行フロアＦ１に出て、作業エリアＷＡにおいて物品Ｇを受け取る。その後、搬送車１は、物品Ｇを保持した状態で第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１を第１方向第１側Ｘ１に向けて走行し、仕分けエリアＳＡにおいて当該物品Ｇを引き渡す。さらにその後、搬送車１は、第１走行フロアＦ１から上昇用の第１リフタＬ１に進入し、第２走行フロアＦ２へ向かう。搬送車１は、上昇用の第１リフタＬ１の出口から第２走行フロアＦ２に出て、第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１を第１方向第２側Ｘ２に向けて走行する。そして、搬送車１は、下降用の第２リフタＬ２に進入し、第１走行フロアＦ１へ向かう。このようにして、搬送車１は、第１走行フロアＦ１と第２走行フロアＦ２とを循環する。
【0054】
本実施形態では、走行経路Ｒは、物品供給部２と物品受入部３とを周回する周回走行経路Ｒｃを含む。周回走行経路Ｒｃでは、搬送車１が走行する向きが一方側に制限されている。図示の例では、搬送車１は、周回走行経路Ｒｃを時計回りに走行する。本実施形態では、周回走行経路Ｒｃは、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１と、第１リフタＬ１の上昇経路Ｒｕと、第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１と、第２リフタＬ２の下降経路Ｒｄと、を含んで構成されている。搬送車１は、周回走行経路Ｒｃを走行することにより、物品供給部２と物品受入部３とを複数回に亘って通過する。
【0055】
本実施形態では、周回走行経路Ｒｃに沿う搬送車１の単位走行距離あたりに存在する充電ステーション６の数が、物品供給部２に近づくことに応じて多くなるように、複数の充電ステーション６が配置されている。「単位走行距離」の長さは、周回走行経路Ｒｃの長さを等分した長さとすることができ、例えば、周回走行経路Ｒｃの長さを２等分した長さ（すなわち、周回走行経路Ｒｃの半分の長さ）とすることができる。図１における最も上側の搬送ユニットＵについては、第１走行フロアＦ１に設けられた２つの充電ステーション６と、第２走行フロアＦ２に設けられた４つの充電ステーション６とが、周回走行経路Ｒｃに沿う位置に配置されている。そのため、この搬送ユニットＵについて、「単位走行距離」の長さを周回走行経路Ｒｃの長さを２等分した長さとした場合、周回走行経路Ｒｃに沿う搬送車１の単位走行距離あたりに存在する充電ステーション６の数は、物品供給部２に近づくことに応じて「２」から「４」に増加する。
【0056】
本実施形態では、第１走行フロアＦ１では、下降用の第２リフタＬ２から物品供給部２までの距離よりも、下降用の第２リフタＬ２から充電ステーション６までの距離の方が長い。すなわち、第２リフタＬ２に乗って第１走行フロアＦ１に到着した搬送車１は、物品供給部２を通過した後でなければ充電ステーション６に向かうことはできない。従って、第１走行フロアＦ１にある充電ステーション６で充電した搬送車１は、周回走行経路Ｒｃを１周しなければ、次に物品供給部２に到達することができない。一方、第２走行フロアＦ２で充電した搬送車１は、周回走行経路Ｒｃを１周する必要がなく、第２リフタＬ２に乗って第１走行フロアＦ１に行くことで、早期に物品供給部２に到達することができる。
【0057】
このように、本実施形態では、一方向のみの搬送車１の移動を許容する周回走行経路Ｒｃ上においては、第２走行フロアＦ２に設けられた充電ステーション６の方が、第１走行フロアＦ１に設けられた充電ステーション６よりも、物品供給部２に近い位置にある。従って、周回走行経路Ｒｃ上で物品供給部２に近づくことに応じて多くなるように充電ステーション６が配置されるようにするため、本実施形態では、第２走行フロアＦ２に設けられた充電ステーション６の数が、第１走行フロアＦ１に設けられた充電ステーション６の数よりも多くなっている。
【0058】
ところで、物品搬送設備１００は、物品Ｇの搬送が行われる稼働状態と、物品Ｇの搬送が行われない非稼働状態とに、状態移行する。物品搬送設備１００の稼働状態では、上記で説明したように、物品供給部２から物品Ｇが供給され、当該物品Ｇが搬送車１によって搬送される。物品搬送設備１００の非稼働状態では、物品供給部２からの物品Ｇの供給が停止され、複数の搬送車１のそれぞれは、物品搬送設備１００が次に稼働状態となるまで予め定められた場所で待機する。また、全搬送車１のうち充電が必要な搬送車１は、物品搬送設備１００が非稼働状態である期間を利用して、充電ステーション６で充電を行う。例えば、夜間の時間帯や設備の休止期などに、物品搬送設備１００は非稼働状態となる。
【0059】
図４は、非稼働状態の物品搬送設備１００を示している。
【0060】
走行フロアＦに、少なくとも４本の走行経路Ｒが互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアＡが含まれる。本実施形態では、各走行フロアＦにおける接続経路Ｒ２に、特定エリアＡが設定されている。本例では、第２方向Ｙにおける各搬送ユニットＵの間に、特定エリアＡの大部分が設定されている。特定エリアＡの一部は、搬送ユニットＵ（詳細にはリフタ間経路Ｒ１）と重複している。図示の例では、各走行フロアＦにおいて、２つの特定エリアＡが設定されている。
【0061】
以下では、特定エリアＡにおける走行経路Ｒの延在方向を「経路延在方向Ｄｅ」とし、走行フロアＦに沿う方向であって経路延在方向Ｄｅに直交する方向を「経路幅方向Ｄｗ」とする。本実施形態では、特定エリアＡの長手方向が経路延在方向Ｄｅであり、特定エリアＡの短手方向が経路幅方向Ｄｗである。本例では、経路延在方向Ｄｅは、第２方向Ｙに等しい。経路幅方向Ｄｗは、第１方向Ｘに等しい。
【0062】
特定エリアＡには、複数の搬送車１が待機する待機場所として使用できる待機可能経路Ｒｗと、待機場所としての使用が禁止される走行専用経路Ｒｒと、が設定されている。複数の待機可能経路Ｒｗ及び複数の走行専用経路Ｒｒが、特定エリアＡに設定されている。図示の例では、特定エリアＡには、経路延在方向Ｄｅに沿って延在する２本の待機可能経路Ｒｗと、同様に経路延在方向Ｄｅに沿って延在する２本の走行専用経路Ｒｒと、が設定されている。
【0063】
物品搬送設備１００の非稼働状態では、各待機可能経路Ｒｗにおいて、複数の搬送車１が待機可能となっている。図中、特定エリアＡ内においてハッチングで示された箇所が、待機可能経路Ｒｗである。
【0064】
１つの待機可能経路Ｒｗは、特定エリアＡにおいて連続して配置された複数の仮想単位領域Ａｕを用いて構成されている。待機可能経路Ｒｗを構成する複数の仮想単位領域Ａｕのそれぞれに、１台の搬送車１が待機可能となっている。本例では、待機可能経路Ｒｗを構成する各仮想単位領域Ａｕにおいて、１台の搬送車１が現に待機している。
【0065】
走行専用経路Ｒｒは、特定エリアＡにおける、待機可能経路Ｒｗを構成する仮想単位領域Ａｕ以外の仮想単位領域Ａｕであって、連続して配置された複数の仮想単位領域Ａｕを用いて構成されている。搬送車１は、物品搬送設備１００の非稼働状態では、通常は待機可能経路Ｒｗで待機している。しかし、搬送車１は、必要に応じて、待機可能経路Ｒｗから離脱して走行専用経路Ｒｒを走行することができる。例えば後述するように、搬送車１は、充電ステーション６で充電を行う場合に、走行専用経路Ｒｒを走行する。
【0066】
特定エリアＡにおける２本の走行経路Ｒは、走行専用経路Ｒｒに設定され、特定エリアＡにおける走行専用経路Ｒｒ以外の走行経路Ｒは、待機可能経路Ｒｗに設定されている。説明を加えると、少なくとも、特定エリアＡにおいて経路延在方向Ｄｅに沿って延在する２本の走行経路Ｒが、走行専用経路Ｒｒに設定されている。本実施形態では、２本の走行専用経路Ｒｒを経路幅方向Ｄｗに繋ぐ幅方向走行専用経路Ｒｒｗが、特定エリアＡに少なくとも２本設定されている。そのため本例では、特定エリアＡにおける走行専用経路Ｒｒ（幅方向走行専用経路Ｒｒｗを含む。）以外の走行経路Ｒが、待機可能経路Ｒｗに設定されている。
【0067】
２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれは、充電ステーション６に繋がるように設定されている。すなわち、充電ステーション６は、２本の走行専用経路Ｒｒのうちいずれかに隣接して配置され、或いは、特定エリアＡ外の走行経路Ｒを介して、２本の走行専用経路Ｒｒのうちいずれかに繋がっている。本実施形態では、第１走行フロアＦ１では、複数の充電ステーション６のそれぞれは、特定エリアＡ外の走行経路Ｒを介して、２本の走行専用経路Ｒｒのうちいずれかに繋がっている。第２走行フロアＦ２では、複数の充電ステーション６のそれぞれは、２本の走行専用経路Ｒｒのうちいずれかに隣接して配置されている。
【0068】
全ての待機可能経路Ｒｗが、経路幅方向Ｄｗの少なくとも一方側に走行専用経路Ｒｒが隣接するように設定される。これにより、待機可能経路Ｒｗのいずれの箇所に待機している搬送車１であっても、待機可能経路Ｒｗに待機している他の搬送車１によって妨げられることなく、走行専用経路Ｒｒを通って充電ステーション６に向かうことができる。
【0069】
本実施形態では、２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれでは、搬送車１の走行する向きが、一方側に制限されると共に互いに反対向きである。また、本例では、２本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗでは、搬送車１の走行する向きが、一方側に制限されると共に互いに反対向きである。これにより、２本の走行専用経路Ｒｒと２本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗとで囲まれた待機可能経路Ｒｗの周りを、一方向に周回するように搬送車１を走行させることができる。
【0070】
本実施形態では、走行専用経路Ｒｒ及び幅方向走行専用経路Ｒｒｗの少なくとも一部が、走行フロアＦの外縁部Ｆｅに位置するように設定される。本例では、第２走行フロアＦ２において、走行専用経路Ｒｒ及び幅方向走行専用経路Ｒｒｗの少なくとも一部が、当該第２走行フロアＦ２の外縁部Ｆｅに位置するように設定されている。これにより、充電ステーション６に向かう搬送車１が、走行専用経路Ｒｒ又は幅方向走行専用経路Ｒｒｗを走行中に第２走行フロアＦ２の外縁部Ｆｅで異常停止した場合であっても、当該搬送車１に対して第２走行フロアＦ２の外部から作業者Ｗがアクセスし易い。
【0071】
本実施形態では、待機可能経路Ｒｗと走行専用経路Ｒｒとを入れ替える経路入替処理が実行される。本例では、制御装置Ｍ（図２参照）が、経路入替処理を実行する。制御装置Ｍは、経路入替処理を実行することにより、待機可能経路Ｒｗで待機している複数の搬送車１を待機可能経路Ｒｗから移動させ、新たな待機可能経路Ｒｗ及び走行専用経路Ｒｒを形成する。
【0072】
図５は、経路入替処理が実行された場合の各搬送車１の動作を示している。また、図５では、１つの特定エリアＡを示している。第２走行フロアＦ２に設定された複数の特定エリアＡのうち１つが、図５に示されている。本例では、複数の特定エリアＡが走行フロアＦに設定されている場合には、経路入替処理は、複数の特定エリアＡ毎に実行される。
【0073】
図５に示すように、経路入替処理では、いずれかの走行専用経路Ｒｒにおいて搬送車１が異常停止した場合に、当該搬送車１の停止場所Ｐｓを含む走行専用経路Ｒｒを待機可能経路Ｒｗとし、いずれかの待機可能経路Ｒｗを走行専用経路Ｒｒとする。そして、経路入替処理の実行後は、全ての待機可能経路Ｒｗのそれぞれに対して経路幅方向Ｄｗの少なくとも一方側に走行専用経路Ｒｒが隣接するように配置される。
【0074】
図５（ａ）に示す例では、待機可能経路Ｒｗで待機している複数の搬送車１のうち１台が、充電ステーション６での充電を行うために、待機可能経路Ｒｗを離脱して走行専用経路Ｒｒを走行している。そして、当該搬送車１が、走行専用経路Ｒｒにおいて異常停止している（以下、異常停止した搬送車を「停止搬送車１ｓ」と称する。）。停止搬送車１ｓが異常停止した停止場所Ｐｓは、走行専用経路Ｒｒ上であり、他の搬送車１は、走行専用経路Ｒｒを走行して当該停止場所Ｐｓを通過することができない状態となっている。この状態において、経路入替処理が実行される。
【0075】
図５（ｂ）は、経路入替処理の実行途中を示している。図５（ｂ）に示すように、経路入替処理では、停止搬送車１ｓの停止場所Ｐｓを基準として、待機可能経路Ｒｗ及び走行専用経路Ｒｒが再設定される。具体的には、経路入替処理では、停止場所Ｐｓを基準として経路延在方向Ｄｅに沿って連続して配置された複数の仮想単位領域Ａｕのそれぞれに、待機可能経路Ｒｗで待機している他の搬送車１を移動させる。本実施形態に係る経路入替処理では、停止搬送車１ｓが元々待機していた待機可能経路Ｒｗで待機している他の搬送車１の全てを移動対象として、新たな待機可能経路Ｒｗを形成する。
【0076】
図５（ｂ）に示すように、本実施形態に係る経路入替処理では、移動対象とされる複数の搬送車１のうち停止場所Ｐｓに隣接配置された搬送車１（以下、「隣接搬送車１ａ」）以外の搬送車１を移動させる第１処理が実行される。第１処理では、移動対象とされる複数の搬送車１のうち隣接搬送車１ａ以外の搬送車１を、経路幅方向Ｄｗにおける停止場所Ｐｓの側に移動させる。隣接搬送車１ａは、停止場所Ｐｓに停止搬送車１ｓがあるため、他の搬送車１と同様の動作、すなわち経路幅方向Ｄｗにおける停止場所Ｐｓの側に移動することはできない。また、停止搬送車１ｓが元々待機していた場所に対して経路幅方向Ｄｗにおける停止場所Ｐｓの側に隣接する仮想単位領域Ａｕは、第１処理の直後では、いずれの搬送車１も配置されていない空単位領域Ａｕｅとなっている。
【0077】
図５（ｃ）に示すように、本実施形態に係る経路入替処理では、第１処理の実行後、隣接搬送車１ａを移動させる第２処理が実行される。第２処理では、隣接搬送車１ａに走行専用経路Ｒｒを走行させて、当該隣接搬送車１ａを空単位領域Ａｕｅに移動させる。図５（ｃ）に示す例では、隣接搬送車１ａは、他の待機可能経路Ｒｗの周りを周回するように、走行専用経路Ｒｒ及び幅方向走行専用経路Ｒｒｗを走行して、空単位領域Ａｕｅへ向かう。
【0078】
経路入替処理が実行された後は、図５（ｃ）に示す通りとなる。すなわち、全ての待機可能経路Ｒｗのそれぞれに対して経路幅方向Ｄｗの少なくとも一方側に走行専用経路Ｒｒが隣接するように配置される。図５（ｃ）に示す例では、特定エリアＡ内において、２つの待機可能経路Ｒｗと２つの走行専用経路Ｒｒとが、経路幅方向Ｄｗに沿って交互に配置されている。
【0079】
〔第２実施形態〕
次に、物品搬送設備１００の第２実施形態について、図６を参照して説明する。図６は、第２走行フロアＦ２のみを例示している。但し、第２実施形態は第１走行フロアＦ１にも適用可能である。以下の説明では、第２走行フロアＦ２を、単に「走行フロアＦ」と称する。以下、第２実施形態について、上記第１実施形態とは異なる点について主に説明する。特に説明しない点については、上記第１実施形態と同様である。
次に、物品搬送設備１００の第２実施形態について、図６を参照して説明する。図６は、第２走行フロアＦ２のみを例示している。但し、第２実施形態は第１走行フロアＦ１にも適用可能である。以下の説明では、第２走行フロアＦ２を、単に「走行フロアＦ」と称する。以下、第２実施形態について、上記第１実施形態とは異なる点について主に説明する。特に説明しない点については、上記第１実施形態と同様である。
【0080】
図６に示すように、走行フロアＦに、３本の走行経路Ｒが互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアＡが含まれる。そして、特定エリアＡにおける、３本の走行経路Ｒのうち中央の１本の走行経路Ｒは、待機可能経路Ｒｗに設定され、待機可能経路Ｒｗを挟んで両側に隣接する２本の走行経路Ｒは、走行専用経路Ｒｒに設定されている。１本の待機可能経路Ｒｗは、経路延在方向Ｄｅに沿って延在している。この待機可能経路Ｒｗに対して経路幅方向Ｄｗの両側のそれぞれにおいて、走行専用経路Ｒｒが経路延在方向Ｄｅに沿って延在している。２本の走行専用経路Ｒｒを経路幅方向Ｄｗに繋ぐ幅方向走行専用経路Ｒｒｗが、特定エリアＡに２本設定されている。
【0081】
２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれは、充電ステーション６に繋がるように設定されている。本実施形態では、２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれに対して経路幅方向Ｄｗに隣接する位置に、充電ステーション６が配置されている。
【0082】
２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれでは、搬送車１の走行する向きが、一方側に制限さると共に互いに反対向きである。また、本実施形態において、２本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗでは、搬送車１の走行する向きが、一方側に制限されると共に互いに反対向きである。これにより、２本の走行専用経路Ｒｒと２本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗとで囲まれた１本の待機可能経路Ｒｗの周りを、一方向に周回するように搬送車１を走行させることができる。
【0083】
本実施形態では、リフタ間経路Ｒ１の一部が、２本の走行専用経路Ｒｒを経路幅方向Ｄｗに繋ぐ幅方向走行専用経路Ｒｒｗを構成している。換言すれば、リフタ間経路Ｒ１の一部と、幅方向走行専用経路Ｒｒｗとが、互いに重複している。これにより、走行フロアＦの小型化を図ることができる。本例では、１つの特定エリアＡにおける２本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗのうち、１本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗが、リフタ間経路Ｒ１の一部と重複している。
【0084】
本実施形態において、リフタ間経路Ｒ１では、搬送車１が走行する向きは、経路幅方向Ｄｗ（第１方向Ｘ）における一方側へ向かう向きのみが許容されている。また、上述のように、２本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗにおいても、搬送車１が走行する向きは、経路幅方向Ｄｗ（第１方向Ｘ）における一方側へ向かう向きのみが許容されている。本実施形態では、２本の幅方向走行専用経路Ｒｒｗのうち、リフタ間経路Ｒ１において許容される搬送車１の走行の向きと同様の走行の向きを許容する幅方向走行専用経路Ｒｒｗが、当該リフタ間経路Ｒ１の一部と重複している。これにより、各経路での搬送車１の走行の向きの制約を守りつつ、リフタ間経路Ｒ１の一部と幅方向走行専用経路Ｒｒｗとを重複させることができる。
【0085】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0086】
（１）上記の第２実施形態では、リフタ間経路Ｒ１の一部が、２本の走行専用経路Ｒｒを経路幅方向Ｄｗに繋ぐ幅方向走行専用経路Ｒｒｗを構成している例について説明した。説明を省略したが、この構成は、上記第１実施形態でも同様である。なお、リフタ間経路Ｒ１と幅方向走行専用経路Ｒｒｗとは、完全に別の経路であってもよい。
【0087】
（２）上記の実施形態では、２本の走行専用経路Ｒｒのそれぞれでは、搬送車１の走行する向きが、一方側に制限されると共に互いに反対向きである例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、２本の走行専用経路Ｒｒでの搬送車１の走行する向きは、同じ向きであってもよい。また、２本の走行専用経路Ｒｒでの搬送車１の走行する向きには制限がなくてもよい。
【0088】
（３）上記の実施形態では、走行専用経路Ｒｒ及び幅方向走行専用経路Ｒｒｗの少なくとも一部が、走行フロアＦの外縁部Ｆｅに位置するように設定される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、走行専用経路Ｒｒ及び幅方向走行専用経路Ｒｒｗの全部が、走行フロアＦの外縁部Ｆｅには位置しないように設定されていてもよい。
【0089】
（４）上記の実施形態では、いずれかの走行専用経路Ｒｒにおいて搬送車１が異常停止した場合に、経路入替処理が実行される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、いずれかの走行専用経路Ｒｒに搬送車１の走行を妨げる事情がある場合、すなわち、走行専用経路Ｒｒとしての機能が損なわれる事情がある場合に、経路入替処理が実行されてもよい。上記事情としては、例えば、走行専用経路Ｒｒを遮る物体がある場合や、走行専用経路Ｒｒの一部をメンテナンス等のために封鎖する場合などが挙げられる。
【0090】
（５）上記の実施形態では、待機可能経路Ｒｗと走行専用経路Ｒｒとを入れ替える経路入替処理が実行される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品搬送設備１００は、経路入替処理を実行する機能を有していなくてもよい。
【0091】
（６）上記の実施形態では、周回走行経路Ｒｃに沿う搬送車１の単位走行距離あたりに存在する充電ステーション６の数が、物品供給部２に近づくことに応じて多くなるように、複数の充電ステーション６が配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、複数の充電ステーション６の配置位置は任意に設定することができる。例えば、周回走行経路Ｒｃに沿う搬送車１の単位走行距離あたりに、同数の充電ステーション６が配置されていてもよい。
【0092】
（７）上記の実施形態では、物品供給部２と物品受入部３とを周回する周回走行経路Ｒｃが、第１走行フロアＦ１のリフタ間経路Ｒ１と、第１リフタＬ１の上昇経路Ｒｕと、第２走行フロアＦ２のリフタ間経路Ｒ１と、第２リフタＬ２の下降経路Ｒｄと、を含んで構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、周回走行経路Ｒｃは、例えば、同一の水平面内に沿って形成されたものであってもよい。すなわち、周回走行経路Ｒｃは、上下方向視で環状を成すように構成されていてもよい。
【0093】
（８）なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0094】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0095】
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、少なくとも４本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、前記特定エリアにおける前記走行専用経路以外の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
全ての前記待機可能経路が、前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように設定される。
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、少なくとも４本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、前記特定エリアにおける前記走行専用経路以外の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
全ての前記待機可能経路が、前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように設定される。
【0096】
本構成によれば、設備の非稼働状態において、待機可能経路に複数の搬送車を待機させておくことができる。走行専用経路は、待機可能経路に隣接していると共に、充電ステーションに繋がるように設定されている。そのため、待機可能経路のいずれの箇所に待機している搬送車であっても、待機可能経路に待機している他の搬送車によって妨げられることなく、走行専用経路を通って充電ステーションに向かうことができる。従って、上記の構成によれば、設備の非稼働状態において、走行フロアで待機中の搬送車が適切に充電を行うことが可能となる。
【0097】
前記待機可能経路と前記走行専用経路とを入れ替える経路入替処理が実行され、
前記経路入替処理の実行後は、全ての前記待機可能経路のそれぞれに対して前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように配置される、と好適である。
前記経路入替処理の実行後は、全ての前記待機可能経路のそれぞれに対して前記経路幅方向の少なくとも一方側に前記走行専用経路が隣接するように配置される、と好適である。
【0098】
本構成によれば、経路入替処理の実行により、待機可能経路と走行専用経路とを入れ替えることができる。そのため、例えば搬送車の台数の変更や搬送経路の変更など、変動する状況に応じた柔軟な対応が可能となる。また、経路入替処理の実行後は、全ての待機可能経路のそれぞれに対して経路幅方向の少なくとも一方側に走行専用経路が隣接するように配置される。従って、経路入替処理の実行後においても、待機可能経路のいずれの箇所に待機している搬送車であっても、待機可能経路に待機している他の搬送車によって妨げられることなく、走行専用経路を通って充電ステーションに向かうことができる。
【0099】
前記経路入替処理では、いずれかの前記走行専用経路において前記搬送車が異常停止した場合に、当該搬送車の停止場所を含む前記走行専用経路を前記待機可能経路とし、いずれかの前記待機可能経路を前記走行専用経路とする、と好適である。
【0100】
本構成によれば、走行専用経路において搬送車が異常停止した場合であっても、他の搬送車が、当該異常停止した搬送車によって妨げられることなく、走行専用経路を通って充電ステーションに向かうことができるように、待機可能経路と走行専用経路とを再設定することができる。
【0101】
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限されると共に互いに反対向きである、と好適である。
【0102】
本構成によれば、待機可能経路の周りを一方向に周回するように搬送車を走行させることができる。従って、待機可能経路で待機している搬送車の充電ステーションまでの走行が、円滑に行われ易い。
【0103】
２本の前記走行専用経路を前記経路幅方向に繋ぐ幅方向走行専用経路が、前記特定エリアに少なくとも２本設定されており、
前記走行専用経路及び前記幅方向走行専用経路の少なくとも一部が、前記走行フロアの外縁部に位置するように設定される、と好適である。
前記走行専用経路及び前記幅方向走行専用経路の少なくとも一部が、前記走行フロアの外縁部に位置するように設定される、と好適である。
【0104】
本構成によれば、例えば走行専用経路又は幅方向走行専用経路を走行中の搬送車が、走行フロアの外縁部で異常停止した場合に、異常停止した搬送車に対して、走行フロアの外側から作業者がアクセスし易くなる。
【0105】
前記搬送車に前記物品を供給する物品供給部と、
前記搬送車により搬送される前記物品を受け入れる物品受入部と、を備え、
前記充電ステーションが複数設けられ、
前記走行経路は、前記物品供給部と前記物品受入部とを周回する周回走行経路を含み、
前記周回走行経路に沿う前記搬送車の単位走行距離あたりに存在する前記充電ステーションの数が、前記物品供給部に近づくことに応じて多くなるように、複数の前記充電ステーションが配置されている、と好適である。
前記搬送車により搬送される前記物品を受け入れる物品受入部と、を備え、
前記充電ステーションが複数設けられ、
前記走行経路は、前記物品供給部と前記物品受入部とを周回する周回走行経路を含み、
前記周回走行経路に沿う前記搬送車の単位走行距離あたりに存在する前記充電ステーションの数が、前記物品供給部に近づくことに応じて多くなるように、複数の前記充電ステーションが配置されている、と好適である。
【0106】
本構成によれば、搬送車は、物品供給部の手前で充電を行い易い。そのため、設備が非稼働状態から稼働状態となった場合に、搬送車は、物品供給部にて供給された物品を物品受入部まで搬送するというタスクを、十分な充電状態で行い易い。
【0107】
他の構成として、
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、３本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける、３本の前記走行経路のうち中央の１本の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、前記待機可能経路を挟んで両側に隣接する２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限さると共に互いに反対向きである。
物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、
前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備であって、
前記走行フロアに、３本の前記走行経路が互いに並列に且つ互いに隣接して配置された特定エリアが含まれ、
前記特定エリアには、複数の前記搬送車が待機する待機場所として使用できる待機可能経路と、前記待機場所としての使用が禁止される走行専用経路と、が設定され、
前記特定エリアにおける、３本の前記走行経路のうち中央の１本の前記走行経路は、前記待機可能経路に設定され、前記待機可能経路を挟んで両側に隣接する２本の前記走行経路は、前記走行専用経路に設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれは、前記充電ステーションに繋がるように設定され、
２本の前記走行専用経路のそれぞれでは、前記搬送車の走行する向きが、一方側に制限さると共に互いに反対向きである。
【0108】
本構成によれば、設備の非稼働状態において、待機可能経路に複数の搬送車を待機させておくことができる。走行専用経路は、待機可能経路に隣接していると共に、充電ステーションに繋がるように設定されている。そのため、待機可能経路のいずれの箇所に待機している搬送車であっても、待機可能経路に待機している他の搬送車によって妨げられることなく、走行専用経路を通って充電ステーションに向かうことができる。従って、上記の構成によれば、設備の非稼働状態において、走行フロアで待機中の搬送車が適切に充電を行うことが可能となる。
【0109】
第１階層の前記走行フロアである第１走行フロアと、
第２階層の前記走行フロアである第２走行フロアと、
前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとの間で前記搬送車を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第１リフタ及び第２リフタと、
前記走行経路は、前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとのそれぞれにおいて前記第１リフタと前記第２リフタとを繋ぐリフタ間経路を含み、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
前記リフタ間経路の一部が、２本の前記走行専用経路を前記経路幅方向に繋ぐ幅方向走行専用経路を構成している、と好適である。
第２階層の前記走行フロアである第２走行フロアと、
前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとの間で前記搬送車を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第１リフタ及び第２リフタと、
前記走行経路は、前記第１走行フロアと前記第２走行フロアとのそれぞれにおいて前記第１リフタと前記第２リフタとを繋ぐリフタ間経路を含み、
前記特定エリアにおける前記走行経路の延在方向を経路延在方向とし、前記走行フロアに沿う方向であって前記経路延在方向に直交する方向を経路幅方向として、
前記リフタ間経路の一部が、２本の前記走行専用経路を前記経路幅方向に繋ぐ幅方向走行専用経路を構成している、と好適である。
【0110】
本構成によれば、リフタ間経路の一部が幅方向走行専用経路を構成しているため、その分、走行フロアの小型化を図り易い。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本開示に係る技術は、物品を搬送する複数の搬送車と、前記搬送車の走行経路が形成された走行フロアと、前記走行フロア上の前記搬送車に電力を供給する充電ステーションと、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
１００ ：物品搬送設備
Ｆ ：走行フロア
Ｆ１ ：第１走行フロア
Ｆ２ ：第２走行フロア
Ｆｅ ：走行フロアの外縁部
Ｌ１ ：第１リフタ
Ｌ２ ：第２リフタ
Ａ ：特定エリア
Ｒ ：走行経路
Ｒ１ ：リフタ間経路
Ｒｃ ：周回走行経路
Ｒｒ ：走行専用経路
Ｒｒｗ ：幅方向走行専用経路
Ｒｗ ：待機可能経路
Ｐｓ ：停止場所
１ ：搬送車
２ ：物品供給部
３ ：物品受入部
６ ：充電ステーション
Ｇ ：物品
Ｄｅ ：経路延在方向
Ｄｗ ：経路幅方向
Ｆ ：走行フロア
Ｆ１ ：第１走行フロア
Ｆ２ ：第２走行フロア
Ｆｅ ：走行フロアの外縁部
Ｌ１ ：第１リフタ
Ｌ２ ：第２リフタ
Ａ ：特定エリア
Ｒ ：走行経路
Ｒ１ ：リフタ間経路
Ｒｃ ：周回走行経路
Ｒｒ ：走行専用経路
Ｒｒｗ ：幅方向走行専用経路
Ｒｗ ：待機可能経路
Ｐｓ ：停止場所
１ ：搬送車
２ ：物品供給部
３ ：物品受入部
６ ：充電ステーション
Ｇ ：物品
Ｄｅ ：経路延在方向
Ｄｗ ：経路幅方向
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】