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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140085
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20241003BHJP
【FI】
F16H57/04 G
F16H57/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051080
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】土井 孝之
(72)【発明者】
【氏名】前田 拓洋
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063AA04
3J063AB12
3J063AC01
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD62
3J063XH02
3J063XH23
(57)【要約】
【課題】油の熱を利用する場合に、熱の利用効率を高め易い車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】車両用駆動装置は、回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、回転電機のロータと出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構と、回転電機、動力伝達機構、及び油Fが収容されたケース9と、回転電機に油Fを供給するように油を循環させる油回路と、油Fと熱媒との間で熱交換を行う熱交換器と、熱媒の熱を利用する排熱利用部と、を備え、ケース9の内部には、油Fが貯留される油貯留部91が形成され、油回路は、油貯留部91に貯留された油Fを熱交換器へ流すように構成され、油貯留部91は、回転電機を冷却した後の油Fを受ける油受け部92を備え、油受け部92は、油貯留部91における他の部分に比べて断熱性が高い断熱構造Sを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータを備えた回転電機と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
前記ロータと前記出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構と、
前記回転電機、前記動力伝達機構、及び油が収容されたケースと、
前記回転電機に前記油を供給するように前記油を循環させる油回路と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記油と熱媒との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記熱媒の熱を利用する排熱利用部と、を更に備え、
前記ケースの内部には、前記油が貯留される油貯留部が形成され、
前記油回路は、前記油貯留部に貯留された前記油を前記熱交換器へ流すように構成され、
前記油貯留部は、前記回転電機を冷却した後の前記油を受ける油受け部を備え、
前記油受け部は、前記油貯留部における他の部分に比べて断熱性が高い断熱構造を備える、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記油受け部は、前記ケースの外壁とは別部材で構成されたトレー部材であり、
前記トレー部材が前記断熱構造を備える、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記油貯留部は、前記トレー部材に加えて、前記ケースの前記外壁により構成された底壁部を更に備え、
前記油回路は、
前記トレー部材に前記油を貯留する状態と、前記トレー部材から前記底壁部へ前記油を流す状態とを切り替える第1切替弁と、
前記トレー部材に貯留された前記油を前記熱交換器へ流す状態と、前記底壁部に貯留された前記油を前記熱交換器へ流す状態とを切り替える第2切替弁と、を備える、請求項2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記油受け部は、前記ケースの外壁により構成されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記断熱構造は、
前記ケースの前記外壁における前記油受け部を形成する部分が、前記外壁における他の部分に比べて断熱性が高い材料で構成された第1構造と、
前記ケースの前記外壁の内部に断熱層が形成された第2構造と、
前記ケースの前記外壁の内面又は外面に断熱材が設けられた第3構造と、の少なくとも1つを含む、請求項4に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、回転電機のロータと出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構と、回転電機、動力伝達機構、及び油が収容されたケースと、回転電機に油を供給するように油を循環させる油回路と、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置(1)では、ケース(10)の内部に、油(OL)が貯留される油貯留部(121c)が形成されている。そして、油回路が、油貯留部(121c)に貯留された油(OL)を、当該油と熱媒(Q)との間で熱交換を行う熱交換器(17)へ流すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-124185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の車両用駆動装置(1)では、油貯留部(121c)がケース(10)の外壁(121)により構成されている。そのため、油貯留部(121c)に貯留された油(OL)の熱が、ケース(10)の外壁(121)を通して外部に放熱され易い。その結果、回転電機(2)により温められた油(OL)の熱を車両のいずれかの箇所で利用する場合に、熱の利用効率が悪化していた。
【0006】
そこで、油の熱を利用する場合に、熱の利用効率を高め易い車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
ロータを備えた回転電機と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
前記ロータと前記出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構と、
前記回転電機、前記動力伝達機構、及び油が収容されたケースと、
前記回転電機に前記油を供給するように前記油を循環させる油回路と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記油と熱媒との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記熱媒の熱を利用する排熱利用部と、を更に備え、
前記ケースの内部には、前記油が貯留される油貯留部が形成され、
前記油回路は、前記油貯留部に貯留された前記油を前記熱交換器へ流すように構成され、
前記油貯留部は、前記回転電機を冷却した後の前記油を受ける油受け部を備え、
前記油受け部は、前記油貯留部における他の部分に比べて断熱性が高い断熱構造を備える点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、油貯留部における回転電機を冷却した後の油を受ける油受け部が、他の部分に比べて断熱性が高い断熱構造を備えている。これにより、油貯留部に貯留された油の熱が、ケースの外部に放熱され難い。したがって、油の熱を利用する場合に、熱の利用効率を高め易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両用駆動装置のスケルトン図
図2】油回路を含む複数の回路を模式的に示す図
図3】第1の実施形態に係る油貯留部を示す図
図4】第2の実施形態に係る油貯留部を示す図
図5】第3の実施形態に係る油貯留部を示す図
図6】第4の実施形態に係る油貯留部を示す図
図7】第5の実施形態に係る油貯留部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1の実施形態
以下では、第1の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図1から図3を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、車両用駆動装置100は、ステータ11及びロータ12を備えた回転電機MGと、車輪Wに駆動連結される出力部材Oと、ロータ12と出力部材Oとの間の動力伝達を行う動力伝達機構GTと、回転電機MG、動力伝達機構GT、及び油F(図2等参照)が収容されたケース9と、を備えている。
【0012】
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。
【0013】
以下の説明では、ロータ12の回転軸心である軸心Xに沿う方向を「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。また、軸心Xに直交する方向を「径方向R」とする。そして、径方向Rにおいて、軸心Xの側を「径方向内側R1」とし、その反対側を「径方向外側R2」とする。
【0014】
回転電機MGは、一対の車輪Wの駆動力源として機能する。回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、回転電機MGは、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示を省略)と電気的に接続されている。そして、回転電機MGは、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、回転電機MGは、一対の車輪Wの側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
【0015】
回転電機MGのステータ11は、ケース9に固定されている。回転電機MGのロータ12は、ステータ11に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、回転電機MGは、インナロータ型の回転電機である。そのため、本実施形態では、ロータ12が、ステータ11に対して径方向内側R1に配置されている。
【0016】
本実施形態では、動力伝達機構GTは、減速機2と、差動歯車機構3と、を備えている。本実施形態では、減速機2及び差動歯車機構3は、軸心X上に配置されている。つまり、回転電機MGと減速機2と差動歯車機構3とが同軸上に配置されている。そして、それらは、回転電機MG、減速機2、差動歯車機構3の順に、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて配置されている。
【0017】
減速機2は、ロータ12の回転を減速して差動歯車機構3に伝達するように構成されている。本実施形態では、減速機2は、サンギヤSGと、キャリヤCRと、第1リングギヤRG1と、第2リングギヤRG2と、を備えた遊星歯車機構である。
【0018】
キャリヤCRは、第1ピニオンギヤPG1及び第2ピニオンギヤPG2を回転自在に支持するように構成されている。第1ピニオンギヤPG1と第2ピニオンギヤPG2とは、互いに一体的に回転するように連結されている。第1ピニオンギヤPG1は、サンギヤSGと第1リングギヤRG1とに噛み合っている。第2ピニオンギヤPG2は、第2リングギヤRG2に噛み合っている。本実施形態では、第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1に対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、第2ピニオンギヤPG2は、第1ピニオンギヤPG1よりも小径に形成されている。
【0019】
サンギヤSGは、ロータ12と一体的に回転するように連結されている。第1リングギヤRG1は、ケース9に固定されている。
【0020】
差動歯車機構3は、減速機2から伝達された回転を一対の出力部材Oに伝達するように構成されている。本実施形態では、差動歯車機構3は、差動ケース31と、軸部材32と、第1傘歯車33と、一対の第2傘歯車34と、を備えた傘歯車式の差動歯車機構である。
【0021】
差動ケース31は、軸心Xを中心として回転するように構成されている。差動ケース31は、差動歯車機構3の入力要素である。本実施形態では、差動ケース31は、減速機2の第2リングギヤRG2と一体的に回転するように連結されている。
【0022】
軸部材32は、差動ケース31と一体的に回転するように、差動ケース31に支持されている。軸部材32は、径方向Rに沿って延在するように形成されている。
【0023】
第1傘歯車33は、軸部材32によって回転自在に支持されている。第1傘歯車33は、その軸心を中心として回転(自転)自在、かつ、軸心Xを中心として回転(公転)自在に構成されている。本実施形態では、一対の第1傘歯車33が、それらの公転方向に沿って位置するように、軸部材32に取り付けられている。
【0024】
一対の第2傘歯車34は、軸部材32に対して軸方向Lの両側に分かれて配置されている。一対の第2傘歯車34は、第1傘歯車33に噛み合っている。一対の第2傘歯車34は、軸心Xを中心として回転するように構成されている。
【0025】
本実施形態では、軸方向第1側L1の第2傘歯車34は、第1連結部材41と一体的に回転するように連結されている。また、軸方向第2側L2の第2傘歯車34は、第2連結部材42と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1連結部材41及び第2連結部材42のそれぞれが出力部材Oに相当する。本例では、第1連結部材41は、軸方向第1側L1の第2傘歯車34と一体的に形成されている。また、第2連結部材42は、軸方向第2側L2の第2傘歯車34と一体的に形成されている。
【0026】
第1連結部材41は、出力軸部材43と一体的に回転するように連結されている。出力軸部材43は、軸方向第1側L1の車輪Wに駆動連結された第1ドライブシャフトDS1と一体的に回転するように連結される部材である。本実施形態では、出力軸部材43は、軸方向Lに沿って延在するように形成されている。そして、出力軸部材43は、回転電機MG及び減速機2に対して径方向内側R1を軸方向Lに貫通するように配置されている。
【0027】
第2連結部材42は、軸方向第2側L2の車輪Wに駆動連結された第2ドライブシャフトDS2と一体的に回転するように連結される部材である。
【0028】
図2に示すように、車両用駆動装置100は、回転電機MGに油Fを供給するように油Fを循環させる油回路C1を備えている。本実施形態では、車両用駆動装置100は、エアコンディショナ用の冷媒を循環させる冷媒回路C2と、冷却水を循環させる第1冷却水回路C3及び第2冷却水回路C4と、を更に備えている。
【0029】
油回路C1は、油貯留部91に貯留された油Fを熱交換器H1へ流すように構成されている。油貯留部91は、ケース9の内部に形成されている。熱交換器H1は、油Fと熱媒との間で熱交換を行うように構成されている。
【0030】
本実施形態では、油回路C1には、オイルポンプOP、及びオイルクーラOCが設けられている。オイルポンプOPは、油貯留部91に貯留された油Fを汲み上げ、回転電機MGに向けて油Fを吐出する。オイルクーラOCは、油Fと第1冷却水回路C3の冷却水との間で熱交換を行うように構成されている。オイルポンプOPから吐出された油Fは、オイルクーラOCを経て、回転電機MGに供給される。そして、回転電機MGを冷却した後の油Fは、油貯留部91に貯留される。本実施形態では、オイルポンプOPから吐出された油Fは、回転電機MGに加えて、動力伝達機構GTにも供給される。なお、本実施形態では、オイルクーラOCが熱交換器H1に相当する。また、第1冷却水回路C3の冷却水が熱媒に相当する。
【0031】
本実施形態では、冷媒回路C2には、水冷コンデンサ51、エバポレータ52、アキュムレータ53、コンプレッサ54、キャビンコンデンサ55、チラー56、及び制御弁V1が設けられている。
【0032】
水冷コンデンサ51は、冷媒回路C2の冷媒と第1冷却水回路C3の冷却水との間で熱交換を行うように構成されている。
【0033】
エバポレータ52は、冷媒を気化させることによって周囲から熱を奪い、冷気を車室内に放出するように構成されている。
【0034】
アキュムレータ53は、気体と液体とが混在した冷媒から液体を分離し、気体(冷媒ガス)のみをコンプレッサ54に供給するように構成されている。
【0035】
コンプレッサ54は、比較的低温・低圧の冷媒ガスを圧縮して、高温・高圧にするように構成されている。
【0036】
キャビンコンデンサ55は、コンプレッサ54によって凝縮された熱を車室内に放出するように構成されている。
【0037】
チラー56は、冷媒回路C2の冷媒と第2冷却水回路C4の冷却水との間で熱交換を行うように構成されている。
【0038】
制御弁V1は、冷媒回路C2における冷媒の流量又は流路を制御するための弁である。本実施形態では、制御弁V1は、第1バルブV11と、第2バルブV12と、第3バルブV13と、第4バルブV14とを含む。
【0039】
本実施形態では、冷媒回路C2には、第1流路50aと、第2流路50bと、第3流路50cとが形成されている。第1流路50aは、冷媒が水冷コンデンサ51から第1バルブV11を経由してエバポレータ52を通り、アキュムレータ53に到る流路である。第2流路50bは、冷媒が水冷コンデンサ51から第2バルブV12を経由してアキュムレータ53に到り、コンプレッサ54及びキャビンコンデンサ55を順に通った後、第3バルブV13を経由して水冷コンデンサ51に戻る流路である。第3流路50cは、冷媒が水冷コンデンサ51から第4バルブV14を経由してチラー56を通り、アキュムレータ53に到る流路である。
【0040】
本実施形態では、第1冷却水回路C3には、第1ウォータポンプ61、冷却ユニット62、ラジエータ63、及び三方弁V2が設けられている。
【0041】
第1ウォータポンプ61は、第1冷却水回路C3において冷却水を循環させるように構成されている。
【0042】
冷却ユニット62は、回転電機MGと電気的に接続されたインバータモジュールINV及び電源モジュールPWRを冷却するように構成されている。冷却ユニット62には、インバータモジュールINV及び電源モジュールPWRが載置されている。冷却ユニット62の内部には、冷却水の流路が形成されており、当該冷却水によりインバータモジュールINV及び電源モジュールPWRが冷却される。
【0043】
インバータモジュールINVは、回転電機MGを制御するように構成されている。インバータモジュールINVは、インバータ回路を構成する複数のスイッチング素子(図示を省略)を備えている。
【0044】
電源モジュールPWRは、回転電機MGと電気的に接続された上記の蓄電装置の電圧変換を行う電圧変換回路(図示を省略)と、外部電源から蓄電装置への充電を行う充電回路(図示を省略)と、を備えている。
【0045】
本実施形態では、インバータモジュールINVに含まれる制御部と、電源モジュールPWRに含まれる制御部とが、同一の基板上に形成されて制御基板ECUを構成している。制御基板ECUは、複数の制御部の機能が統合されている統合制御基板と称することもできる。
【0046】
ラジエータ63は、冷却水の熱を車外に放熱するように構成されている。
【0047】
第1冷却水回路C3は、オイルクーラOC及び水冷コンデンサ51に接続されている。本実施形態では、第1冷却水回路C3には、第1ウォータポンプ61から吐出された冷却水が、冷却ユニット62、オイルクーラOC、及び水冷コンデンサ51を順に通って三方弁V2に到る流路が形成されている。更に、第1冷却水回路C3には、三方弁V2からラジエータ63を経由して第1ウォータポンプ61に戻る流路と、三方弁V2からラジエータ63を経由することなく第1ウォータポンプ61に戻る流路とが形成されている。
【0048】
第1ウォータポンプ61から吐出された冷却水は、まず、冷却ユニット62においてインバータモジュールINV及び電源モジュールPWRを冷却する。次に、冷却水は、オイルクーラOCにおいて油回路C1の油Fを冷却する。続いて、冷却水は、水冷コンデンサ51において冷媒回路C2の冷媒との間で熱交換を行う。そして、冷却水の放熱が必要な場合には、三方弁V2によりラジエータ63を経由する流路に切り替えられ、ラジエータ63において放熱された冷却水が第1ウォータポンプ61に戻る。一方、エアコンディショナの暖房運転時、暖機運転時等、冷却水の放熱が不要である場合には、三方弁V2によりラジエータ63を経由しない流路に切り替えられ、冷却水はラジエータ63において放熱されずに第1ウォータポンプ61に戻る。
【0049】
本実施形態では、第2冷却水回路C4には、第2ウォータポンプ71及びバッテリヒートシンク72が設けられている。第2ウォータポンプ71は、第2冷却水回路C4において冷却水を循環させるように構成されている。バッテリヒートシンク72は、上記の蓄電装置の放熱を促進するための部材である。バッテリヒートシンク72の内部には、冷却水の流路が形成されている。なお、暖機運転時等には、バッテリヒートシンク72は、上記の蓄電装置を温めるために利用される。
【0050】
第2冷却水回路C4は、チラー56に接続されている。本実施形態では、第2冷却水回路C4には、第2ウォータポンプ71から吐出された冷却水が、チラー56及びバッテリヒートシンク72を順に通って第2ウォータポンプ71に戻る流路が形成されている。
【0051】
第2ウォータポンプ71から吐出された冷却水は、チラー56において冷媒回路C2の冷媒により冷却される。そして、冷却水は、バッテリヒートシンク72を冷却した後、第2ウォータポンプ71に戻る。
【0052】
本実施形態では、熱媒としての第1冷却水回路C3の冷却水と、冷媒回路C2の冷媒との間で熱交換を行う水冷コンデンサ51が、熱媒の熱を利用する排熱利用部H2に相当する。更に、冷媒回路C2においてアキュムレータ53により液体が分離された冷媒(冷媒ガス)を圧縮するコンプレッサ54、及び当該コンプレッサ54によって凝縮された熱を車室内に放出するキャビンコンデンサ55のそれぞれも、排熱利用部H2に相当する。また、暖機運転時等、上記の蓄電装置を温める必要がある場合には、熱媒の熱をバッテリヒートシンク72が利用するため、熱媒の熱が伝達された冷媒回路C2の冷媒と第2冷却水回路C4の冷却水との間で熱交換を行うチラー56、及びバッテリヒートシンク72のそれぞれも、排熱利用部H2に相当する。
【0053】
図3に示すように、油貯留部91は、回転電機MGを冷却した後の油Fを受ける(図3における白塗り矢印参照)油受け部92を備えている。油受け部92は、油貯留部91における他の部分に比べて断熱性が高い断熱構造Sを備えている。
【0054】
以下の説明では、車両用駆動装置100が車両に搭載された車両搭載状態において、鉛直方向に沿う方向を「上下方向Z」とする。そして、鉛直方向の上側を「上側Z1」とし、鉛直方向の下側を「下側Z2」とする。なお、車両用駆動装置100が車両に対して水平に搭載されている場合、上下方向Zは、径方向Rにおける特定の一方向に一致する。
【0055】
本実施形態では、油受け部92は、ケース9の外壁9aとは別部材で構成されたトレー部材93である。ここで、ケース9の外壁9aは、車両搭載状態において、ケース9における外気に曝される部分である。トレー部材93は、ケース9の外壁9aを構成する材料よりも、熱伝導率が小さい材料により構成されている。つまり、トレー部材93が断熱構造Sを備えている。本実施形態では、トレー部材93は、上側Z1が開放された箱状に形成されている。そして、トレー部材93は、回転電機MG及び動力伝達機構GTを冷却した後に落下する油Fを受けるように、回転電機MG及び動力伝達機構GTに対して下側Z2に配置されている。
【0056】
以上のように、車両用駆動装置100は、
ロータ12を備えた回転電機MGと、
車輪Wに駆動連結される出力部材Oと、
ロータ12と出力部材Oとの間の動力伝達を行う動力伝達機構GTと、
回転電機MG、動力伝達機構GT、及び油Fが収容されたケース9と、
回転電機MGに油Fを供給するように油Fを循環させる油回路C1と、を備えた車両用駆動装置100であって、
油Fと熱媒との間で熱交換を行う熱交換器H1と、
熱媒の熱を利用する排熱利用部H2と、を更に備え、
ケース9の内部には、油Fが貯留される油貯留部91が形成され、
油回路C1は、油貯留部91に貯留された油Fを熱交換器H1へ流すように構成され、
油貯留部91は、回転電機MGを冷却した後の油Fを受ける油受け部92を備え、
油受け部92は、油貯留部91における他の部分に比べて断熱性が高い断熱構造Sを備える。
【0057】
この構成によれば、油貯留部91における回転電機MGを冷却した後の油Fを受ける油受け部92が、他の部分に比べて断熱性が高い断熱構造Sを備えている。これにより、油貯留部91に貯留された油Fの熱が、ケース9の外部に放熱され難い。したがって、油Fの熱を利用する場合に、熱の利用効率を高め易い。
【0058】
また、本実施形態では、油受け部92は、ケース9の外壁9aとは別部材で構成されたトレー部材93であり、
トレー部材93が断熱構造Sを備える。
【0059】
この構成によれば、油貯留部91に貯留された油Fの熱が、ケース9の外壁9aを通して外部に放熱され難い。
【0060】
図3に示すように、本実施形態では、油貯留部91は、トレー部材93に加えて、底壁部94を更に備えている。底壁部94は、ケース9の外壁9aにより構成されている。底壁部94は、ケース9の外壁9aにおける下側Z2の部分により、油Fを貯留可能に形成されている。本実施形態では、底壁部94は、上下方向Zに沿う上下方向視で、トレー部材93の全体と重複するように、トレー部材93に対して下側Z2に配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が存在することを指す。
【0061】
また、本実施形態では、油回路C1は、第1切替弁V3と、第2切替弁V4と、を備えている。第1切替弁V3は、トレー部材93に油Fを貯留する状態と、トレー部材93から底壁部94へ油Fを流す状態とを切り替える弁である。第2切替弁V4は、トレー部材93に貯留された油Fを熱交換器H1へ流す状態と、底壁部94に貯留された油Fを熱交換器H1へ流す状態とを切り替える弁である。
【0062】
本実施形態では、トレー部材93は、その底部(トレー部材93に貯留された油Fに対して下側Z2に位置する部分)を上下方向Zに貫通する貫通孔93aを有している。そして、第1切替弁V3は、貫通孔93aを閉塞した状態と、貫通孔93aを開放した状態とを切り替える。こうして、第1切替弁V3により貫通孔93aが閉塞された状態では、トレー部材93に油Fが貯留される(図3における実線で示された油F参照)。一方、第1切替弁V3により貫通孔93aが開放された状態では、油Fがトレー部材93に貯留されることなく、貫通孔93aを通って底壁部94へ流動し、底壁部94に貯留される(図3における2点鎖線で示された油F参照)。
【0063】
本実施形態では、トレー部材93における油Fが貯留される部分に、第1ストレーナ81が設けられている。第1ストレーナ81は、オイルポンプOPの作動時に、トレー部材93に貯留された油Fを吸入し、当該油Fに含まれる異物を除去する濾過器である。
【0064】
また、本実施形態では、底壁部94における油Fが貯留される部分に、第2ストレーナ82が設けられている。第2ストレーナ82は、オイルポンプOPの作動時に、底壁部94に貯留された油Fを吸入し、当該油Fに含まれる異物を除去する濾過器である。
【0065】
また、本実施形態では、第2切替弁V4は、第1吸入油路8aに接続された第1の入力ポートと、第2吸入油路8bに接続された第2の入力ポートと、接続油路8cに接続された出力ポートとを有する三方弁である。第1吸入油路8aは、第1ストレーナ81に接続されている。第2吸入油路8bは、第2ストレーナ82に接続されている。接続油路8cは、オイルポンプOPに接続されている。
【0066】
第2切替弁V4は、第1吸入油路8aと接続油路8cとが連通した状態と、第2吸入油路8bと接続油路8cとが連通した状態とを切り替える。こうして、第1切替弁V3により貫通孔93aが閉塞されて、トレー部材93に油Fが貯留されている場合には、第2切替弁V4により第1吸入油路8aと接続油路8cとが連通される。その結果、トレー部材93に貯留された油Fが第1ストレーナ81により吸入され、熱交換器H1としてのオイルクーラOC(図2参照)に向けて流動する。一方、第1切替弁V3により貫通孔93aが開放されて、底壁部94に油Fが貯留されている場合には、第2切替弁V4により第2吸入油路8bと接続油路8cとが連通される。その結果、底壁部94に貯留された油Fが第2ストレーナ82により吸入され、熱交換器H1としてのオイルクーラOC(図2参照)に向けて流動する。
【0067】
このように、本実施形態では、油受け部92がトレー部材93である構成において、
油貯留部91は、トレー部材93に加えて、ケース9の外壁9aにより構成された底壁部94を更に備え、
油回路C1は、
トレー部材93に油Fを貯留する状態と、トレー部材93から底壁部94へ油Fを流す状態とを切り替える第1切替弁V3と、
トレー部材93に貯留された油Fを熱交換器H1へ流す状態と、底壁部94に貯留された油Fを熱交換器H1へ流す状態とを切り替える第2切替弁V4と、を備える。
【0068】
この構成によれば、第1切替弁V3をトレー部材93に油Fを貯留する状態に切り替えると共に、第2切替弁V4をトレー部材93に貯留された油Fを熱交換器H1へ流す状態に切り替えることで、熱交換器H1へ流す油Fの放熱を抑制することができる。また、第1切替弁V3をトレー部材93から底壁部94へ油Fを流す状態に切り替えると共に、第2切替弁V4を底壁部94に貯留された油Fを熱交換器H1へ流す状態に切り替えることで、熱交換器H1へ流す油Fの放熱を促進させることができる。
このように、本構成によれば、熱回収の必要性の有無等に応じて、油Fの熱回収か放熱かを切り替えることができる。
【0069】
2.第2の実施形態
以下では、第2の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図4を参照して説明する。本実施形態では、油貯留部91の構成が、上記第1の実施形態のものとは異なっている。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0070】
図4に示すように、本実施形態では、油受け部92は、トレー部材93ではなく、ケース9の外壁9aにより構成されている。
【0071】
この構成によれば、車両用駆動装置100の部品点数を少なく抑え易い。
【0072】
本実施形態では、断熱構造Sは、ケース9の外壁9aにおける油受け部92を形成する部分(図4におけるドットパターン部分参照)が、外壁9aにおける他の部分(図4におけるハッチング部分参照)に比べて断熱性が高い材料で構成された第1構造S1である。つまり、本実施形態では、ケース9の外壁9aにおける油受け部92を形成する部分は、外壁9aにおける他の部分を構成する材料よりも、熱伝導率が小さい材料により構成されている。また、ケース9の外壁9aにおける油受け部92を形成する部分は、車両用駆動装置100が搭載された車両の停車中における、油受け部92に貯留された油Fの表面(油面)よりも上側Z1まで配置されていると好適である。
【0073】
また、図示は省略するが、本実施形態では、油受け部92は、ケース9の外壁9aにおける回転電機MGと対向する内面の領域を形成する部分、及び、ケース9の外壁9aにおける動力伝達機構GTを構成するギヤと対向する内面の領域を形成する部分、の少なくとも一方を含む。
【0074】
この構成によれば、ケース9の外壁9aにおける、油Fが掛かり易い内面の領域を形成する部分を断熱構造Sとすることができる。そのため、ケース9の外壁9aを介してケース9の外部に放熱される油Fの熱を少なく抑えることができる。したがって、ケース9内の熱を回収して利用する場合に、当該熱の利用効率を高め易い。
【0075】
また、本実施形態では、第1ストレーナ81及び第2ストレーナ82が設けられておらず、油受け部92における油Fが貯留される部分に、第3ストレーナ83が設けられている。第3ストレーナ83は、オイルポンプOPの作動時に、油受け部92に貯留された油Fを吸入し、当該油Fに含まれる異物を除去する濾過器である。第3ストレーナ83は、第3吸入油路8dを介して、オイルポンプOPに接続されている。
【0076】
3.第3の実施形態
以下では、第3の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図5を参照して説明する。本実施形態では、断熱構造Sの構成が、上記第2の実施形態のものとは異なっている。以下では、上記第2の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第2の実施形態と同様とする。
【0077】
図5に示すように、本実施形態では、断熱構造Sは、ケース9の外壁9aの内部に断熱層10が形成された第2構造S2である。断熱層10は、ケース9の外壁9aの内部に形成された空隙9bにより構成されている。そして、断熱層10は、空隙9bに比較的熱伝導率が小さい気体(例えば、空気、アルゴン、クリプトン等)が封入された気体層、空隙9bが真空状態とされた真空層、及び、空隙9bに比較的熱伝導率が小さい断熱材(例えば、グラスウール、ロックウール、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム等)が封入された断熱材層を含む。なお、断熱層10は、油受け部92の全域に亘って配置されていても良いし、一部の領域を除いて配置されていても良い。
【0078】
4.第4の実施形態
以下では、第4の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図6を参照して説明する。本実施形態では、断熱構造Sの構成が、上記第3の実施形態のものとは異なっている。以下では、上記第3の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第3の実施形態と同様とする。
【0079】
図6に示すように、本実施形態では、断熱構造Sは、ケース9の外壁9aの外面に断熱材20が設けられた第3構造S3である。断熱材20は、車両用駆動装置100が搭載された車両の停車中における、油受け部92に貯留された油Fの表面(油面)よりも上側Z1まで配置されていると好適である。本実施形態では、断熱材20は、上述した、グラスウール、ロックウール、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム等であっても良い。また、断熱材20は、比較的熱伝導率が小さい素材の被膜であっても良い。なお、断熱材20は、油受け部92の全域に亘って配置されていても良いし、一部の領域を除いて配置されていても良い。
【0080】
5.第5の実施形態
以下では、第5の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図7を参照して説明する。本実施形態では、断熱構造Sの構成が、上記第4の実施形態のものとは異なっている。以下では、上記第4の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第4の実施形態と同様とする。
【0081】
図7に示すように、本実施形態では、断熱構造Sは、ケース9の外壁9aの内面に断熱材20が設けられた第3構造S3である。本実施形態では、断熱材20は、油Fとの接触によって劣化し難い性質を有する素材から構成されていると好ましい。なお、断熱材20は、油受け部92の全域に亘って配置されていても良いし、一部の領域を除いて配置されていても良い。
【0082】
なお、断熱構造Sは、
ケース9の外壁9aにおける油受け部92を形成する部分が、外壁9aにおける他の部分に比べて断熱性が高い材料で構成された第1構造S1と、
ケース9の外壁9aの内部に断熱層10が形成された第2構造S2と、
ケース9の外壁9aの内面又は外面に断熱材20が設けられた第3構造S3と、の少なくとも1つを含んでいても良い。
【0083】
この構成によれば、油受け部92の断熱構造Sを適切に実現することができる。
【0084】
6.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、動力伝達機構GTが減速機2及び差動歯車機構3を備え、回転電機MGと減速機2と差動歯車機構3とが同軸上に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、動力伝達機構GTがクラッチやブレーキ等の係合装置を備えた構成であっても良い。また、回転電機MG、減速機2、及び差動歯車機構3が、2軸上又は3軸上に分かれて配置された構成であっても良い。
【0085】
(2)上記の実施形態では、回転電機MGが一対の車輪Wの駆動力源として機能する構成、つまり、車両用駆動装置100が電気自動車用の駆動装置である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、回転電機MGに加えて内燃機関も一対の車輪Wの駆動力源として機能する構成、つまり、車両用駆動装置100がハイブリッド自動車用の駆動装置である構成としても良い。
【0086】
(3)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示に係る技術は、回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、回転電機のロータと出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構と、回転電機、動力伝達機構、及び油が収容されたケースと、回転電機に油を供給するように油を循環させる油回路と、を備えた車両用駆動装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
100:車両用駆動装置、MG:回転電機、11:ステータ、12:ロータ、O:出力部材、GT:動力伝達機構、9:ケース、9a:外壁、91:油貯留部、92:油受け部、93:トレー部材、C1:油回路、V3:第1切替弁、V4:第2切替弁、H1:熱交換器、H2:排熱利用部、S:断熱構造、S1:第1構造、S2:第2構造、S3:第3構造、F:油、W:車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7