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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140088
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】液晶パネルおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20241003BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241003BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20241003BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 505
G09F9/35
G09F9/00 350
G09F9/00 304A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051083
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】中島 修
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088EA14
2H088EA15
2H088HA01
2H088HA08
2H088HA13
2H088HA18
2H088HA21
2H088HA24
2H088HA28
2H189AA52
2H189AA59
2H189AA64
2H189AA70
2H189AA78
2H189AA83
2H189AA95
2H189HA06
2H189HA08
2H189LA01
2H189LA02
2H189LA10
2H189LA17
2H189LA20
2H189MA07
5C094BA43
5C094JA08
5G435AA07
5G435AA11
5G435BB12
5G435DD04
5G435EE47
5G435GG43
5G435HH05
5G435LL15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液晶パネル10における表示品位の低下を抑える。
【解決手段】液晶パネル10は、対向基板12と、対向基板12と接着剤42を介して配置されるカバーガラス32と、対向基板32においてカバーガラス32が配置する面とは反対側の面に、液晶層を介して配置される素子基板11と、対向基板12、カバーガラス31および素子基板11に、接着剤51を介して接着されるケーシング部材80と、を備える。接着剤51は、素子基板の辺L11を除き、対向基板12、カバーガラス31および素子基板11の側面に設けられる。対向基板12、カバーガラス31および素子基板11は、一辺を除き、平面視において側面が略そろった状態で配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と第1接着剤を介して配置される第2基板と、
前記第1基板の前記第1接着剤が配置する面とは反対側の面と対向し、液晶層を介して配置される第3基板と、
前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板に、第2接着剤を介して接着されるケーシング部材と、
を備え、
前記第2接着剤は、前記第3基板の一辺を除き、前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板の側面に設けられ、
前記第1基板と前記第2基板と前記第3基板とは、前記第3基板の一辺を除き、平面視において側面が略そろった状態で配置されている
ことを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
前記第3基板の一辺は、前記第1基板および前記第2基板よりも突出した突出部である
請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
前記突出部においてFPC基板の一端が接続される
請求項2に記載の液晶パネル。
【請求項4】
前記第3基板の前記液晶層とは反対側の面と対向し、第3接着剤を介して配置される第4基板をさらに有し、
前記第3基板と前記第4基板とは、平面視において側面が略そろった状態で配置されている
請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記第2接着剤は、
平面視でみて前記第1基板と前記第2基板との位置ずれが0.5mm以内であり、前記第1基板および前記第2基板の側面と、前記ケーシング部材とを接着する
請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記第2接着剤は、
平面視でみて前記第1基板と前記ケーシング部材との位置ずれが0.5mm以内であり、前記第1基板および前記第2基板の側面と、前記ケーシング部材とを接着する
請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の液晶パネルを有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、周知のように素子基板と対向基板とで液晶を挟持する構成である。このような液晶パネルが投射型表示装置のライトバルブとして用いられる場合、液晶パネルで生成された画像が拡大されて投射される。この場合、素子基板または対向面の非対向面に塵埃等が付着すると、当該塵埃が拡大されて投射されて、表示品位を著しく低下させる。なお、非対向面とは、素子基板において対向基板と対向する面とは反対側の面、または、対向基板において素子基板と対向する面とは反対側の面をいう。
また、液晶パネルには強い輝度の光が入射するので、液晶パネルを放熱する構成が必要になる。
【0003】
このため、対向基板の非対向面等にカバーガラスが接着された液晶パネルをケーシング部材に嵌入および接着して、液晶パネルを防塵するとともに、液晶パネルの放熱を促す技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-58605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、ケーシング剤を接着する接着剤の収縮によって応力が発生し、この応力によって液晶パネルの基板が変形する可能性がある。液晶パネルの基板が変形すると、液晶を封止する間隙(セルギャップ)が不均一になるので、表示品位を著しく低下させる、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板と第1接着剤を介して配置される第2基板と、前記第1基板の前記第1接着層と対向する面とは反対側に面と対向し、液晶層を介して配置される第3基板と、前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板に、第2接着剤を介して接着されるケーシング部材と、を備え、前記第2接着剤は、前記第3基板の一辺を除き、前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板の側面に設けられ、前記第1基板と前記第2基板と前記第3基板とは、前記第3基板の一辺を除き、平面視において側面が略そろった状態で配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る液晶パネルの構成を示す斜視図である。
図2】液晶パネルの構成を示す断面図である。
図3】液晶パネルの構成を示す平面図である。
図4】液晶パネルに対する接着剤の塗布位置を示す図である。
図5】液晶パネルがケーシング部材に接着された状態を示す図である。
図6】液晶パネルをケーシング部材に接着する際の状況を示す図である。
図7】液晶パネルをケーシングする際の位置ずれを示す図である。
図8】液晶パネルを適用した投射型表示装置を示す図である。
図9】比較例に係る液晶パネルの構成を示す斜視図である。
図10】比較例に係る液晶パネルに対する接着剤の塗布位置を示す図である。
図11】比較例に係る液晶パネルの不具合について簡易的に示す図である。
図12】比較例に係る液晶パネルの不具合について簡易的に示す図である。
図13】比較例に係る液晶パネルの不具合について簡易的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る液晶パネルについて図面を参照して説明する。各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係る液晶パネルの構成を示す斜視図であり、図2は、図1におけるY-Z平面で液晶パネルを破断した断面図である。
図1に示されるように、液晶パネル10は、カバーガラス32、対向基板12、素子基板11およびカバーガラス31を積み重ねた構成である。
【0010】
液晶パネル10は、例えば透過型である。液晶パネル10では、周知のように画素電極が設けられた素子基板11と、コモン電極が設けられた対向基板12とが、一定の間隙を保ちつつ、互いに電極形成面が対向するようにシール材14によって貼り合わせられ、この間隙に液晶16が封入されて液晶層を構成する。
素子基板11には、画素電極のほかにも、走査線や、データ線、データ線と画素電極をスイッチングするトランジスター、さらには、走査線およびデータ線を駆動する駆動回路などが設けられるが、これらの要素は重要ではないので、説明を省略する。
【0011】
なお、図においてX方向は、走査線の延在方向を示し、一般的には矩形形状の表示領域における長手方向を示す。Y方向は、データ線の延在方向を示し、一般的には平面視したときの表示領域における短手方向を示す。また、Z方向は、X-Y平面に対して垂直方向であって、液晶パネル10への光の入射方向を示す。平面視とは、液晶パネル10をZ方向から、または、Z方向とは反対方向から、眺めることをいう。
【0012】
周知のように、液晶パネル10の入射側と出射側とには図示省略された偏光板が配置し、画素電極とコモン電極とによる印加電圧に応じて液晶素子の透過率が変化する。このため、平面視で画素電極が配列する表示領域で表示画像が生成される。
【0013】
素子基板11および対向基板12は、いずれも平面視で矩形形状である。素子基板11および対向基板12は、平面視で三辺がそろった状態で貼り合わせられるが、素子基板11における長手方向の一辺は、平面視で対向基板12からY方向に突出している。便宜的に、素子基板11のうち、対向基板12から突出した部分を突出部110とする。
【0014】
突出部110において対向基板12と対向する面には、FPC基板194の一端が接続される。なお、FPCとは、Flexible Printed Circuitsの略称である。FPC基板194の他端には、上位装置に接続される複数の端子196が設けられる。複数の端子196が上位装置に接続されると、液晶パネル10には、当該上位装置からFPC基板194を介して、画素の階調レベルに応じたデータ信号や上記駆動回路を制御する制御信号などが供給される。
【0015】
カバーガラス32は、対向基板12における光の入射面に、すなわち素子基板11に対向する面とは反対側の非対向面に、塵埃等が付着するのを防止する防塵ガラスである。カバーガラス32におけるX方向およびY方向のサイズは、対向基板12におけるX方向およびY方向のサイズとこの順でほぼ同じである。カバーガラス32は、平面視で対向基板12の各辺がそろった状態で、接着剤42によって対向基板12の入射面に接着される。これにより、対向基板12とカバーガラス32とは、平面視において側面がほぼそろった状態で配置される。
【0016】
カバーガラス31は、素子基板11における光の出射面に、すなわち対向基板12に対向する面とは反対側の非対向面に、塵埃等が付着するのを防止する防塵ガラスである。カバーガラス31におけるX方向およびY方向のサイズは、素子基板11におけるX方向およびY方向のサイズとこの順でほぼ同じである。カバーガラス31は、平面視で素子基板11の各辺がほぼそろった状態で、接着剤41によって素子基板11の出射面に接着される。これにより、素子基板11とカバーガラス31とは、平面視において側面がほぼそろった状態で配置される。
【0017】
図3は、液晶パネル10を示す平面図である。
液晶パネル10を平面視した場合に、便宜的に、素子基板11および対向基板12における四辺のうち、長手方向であって、突出部110に対向する辺をL1とする。また、辺L1に対向し、素子基板11およびカバーガラス31で規定される辺をL21とし、辺L1に対向し、対向基板12およびカバーガラス32で規定される辺をL22とする。また、素子基板11および対向基板12おける四辺のうち、短手方向であって、X方向の辺をL3とし、辺L3に対向する辺をL4とする。
【0018】
液晶パネル10において、辺L1、L3およびL4では、突出部110を除いて、素子基板11、対向基板12、カバーガラス31および32の側面がほぼそろう。また、液晶パネル10において、辺L21では、素子基板11およびカバーガラス31の側面がほぼそろい、辺L22では、対向基板12およびカバーガラス32の側面がほぼそろう。
液晶パネル10は、実際にはケーシング部材に取り付けられた状態で、光源やレンズ等の光学部材と組み合わせられる。液晶パネル10は、接着剤によってケーシング部材に接着される。
【0019】
図4は、液晶パネル10をケーシング部材に接着する接着剤の塗布について説明するための図である。
液晶パネル10をケーシング部材に接着する接着剤51は、辺L1においてカバーガラス32、対向基板12、素子基板11およびカバーガラス31の側面にディスペンサーなどにより塗布される。接着剤51は、辺L22においてカバーガラス32および対向基板12の側面に塗布され、また、辺L21において素子基板11およびカバーガラス31の側面に塗布される。
なお、接着剤51は、例えばエポキシの樹脂系接着剤や紫外線硬化型接着剤などが用いられる。また、突出部110では、素子基板11と対向基板12とにおいて断面視で段差が生じるので、後述するように接着剤51は塗布されない。
【0020】
図5は、液晶パネル10が接着剤51によってケーシング部材80に取り付けられた状態を示す図である。なお、図において、符号82は、液晶パネル10の表示領域で開口する開口部である。光源からの光は開口部82を通して液晶パネル10に入射する。ケーシング部材80には、FPC基板194を通すためのスリット84が設けられる。ケーシング部材80は、液晶パネル10の放熱性を高めるために、例えばアルミなどの金属によって構成される。
【0021】
なお、接着剤51が塗布された液晶パネル10は、実際には、図4とは上下逆さまに、詳細には、図6において矢印で示されるように、カバーガラス32を先頭にしてケーシング部材80に挿入されて、接着される。
液晶パネル10がケーシング部材80に挿入される際に、辺L21において素子基板11およびカバーガラス31の側面に塗布された接着剤51の垂れを考慮する必要がある。そこで、ケーシング部材80のうち、辺L21においてカバーガラス32および対向基板12の側面と対向する端面の位置P1が、辺L22において素子基板11およびカバーガラス31の側面の位置P2よりも、図6において左側、すなわち表示領域側となるように構成される。これにより、辺L22において素子基板11およびカバーガラス31の側面に塗布された接着剤51が垂れても、ケーシング部材80で受け止められるので、周辺の汚損が防止される。
【0022】
なお、対向基板12とカバーガラス31とは、平面視で四辺そろった状態で接着されるのが好ましい。ただし、対向基板12とカバーガラス31との位置ずれが、平面視でみて0.5mm以内であれば、接着剤51によってケーシング部材80に接着することができるようにケーシング部材80および液晶パネル10が設計される。
例えば、図7に示されるように、辺L22(辺L1)において、対向基板12とカバーガラス31とが破線Er1で示されるように位置ずれしていても、その位置ずれが0.5mm以内であれば、液晶パネル10がケーシング部材81に接着剤51によって接着することができる。
【0023】
また、液晶パネル10をケーシング部材80に接着する際の位置決めが、対向基板12を用いて行われる場合、平面視で対向基板12と、ケーシング部材80との位置ずれが0.5mm以内であれば、接着剤51によって対向基板12およびカバーガラス31を、ケーシング部材80に接着することができるようにケーシング部材80および液晶パネル10が設計される。
例えば、図7に示されるように、辺L1(辺L21)において、対向基板12とケーシング部材80とが破線Er2で示されるように位置ずれしていても、その位置ずれが0.5mm以内であれば、液晶パネル10をケーシング部材80に接着剤51によって接着することができる。
【0024】
実施形態に係る液晶パネル10の優位性の前に、実施形態に対する比較例について説明する。
【0025】
図9は、比較例に液晶パネルの構成を示す斜視図であり、図10は、図9におけるY-Z平面で液晶パネルを破断した断面図である。
これらの図に示されるように、比較例に係る液晶パネル10は、実施形態と同様に、素子基板11、対向基板12、カバーガラス31および32を積み重ねた構成である。ただし、比較例では、カバーガラス32は、平面視で対向基板12と比べて一回り小さい。このため、対向基板12とカバーガラス32とにおいて、断面視で段差Sp12が生じる。
また、比較例において、カバーガラス31は、平面視で対向基板12と比べて一回り小さい。このため、素子基板11とカバーガラス31とにおいて、断面視で段差Sp11が生じる。
【0026】
比較例に係る液晶パネル10をケーシング部材に接着する接着剤51は、段差Sp12を含めてカバーガラス32および対向基板12の側面に塗布される。また、比較例において、接着剤51は、段差Sp11を含めてカバーガラス31および素子基板11の側面に塗布される。この後、図示は省略するが、液晶パネル10がケーシング部材80に接着される。
しかしながら、比較例では接着剤51が硬化する際の収縮応力によって基板を歪めてしまう。この点について、カバーガラス32、対向基板12および素子基板11を例にとって説明する。
【0027】
図11乃至図13は、カバーガラス32、対向基板12および素子基板11の歪みを判りやすくするために異なるハッチングを付して簡略化して示す断面図である。
図11は、接着剤51が塗布される前の状態を示し、カバーガラス32、対向基板12および素子基板11に歪みは生じていない。
この状態において、図10に示されるように接着剤51が、段差Sp12を含めてカバーガラス32および対向基板12の側面に塗布される。
【0028】
図12は、接着剤51が収縮した際の状態を示す。カバーガラス32および対向基板12には、接着剤51は硬化の際の収縮によって、図において矢印で示されるような応力が加わる。
【0029】
詳細には、対向基板12は、接着剤51の収縮応力によって、シール材14を支点として破線Btで示されるように変形しようとする。ただし、素子基板11との間隙に封入された液晶16の体積は変化できず、一定に保とうする。このため、対向基板12の外周部は、接着剤51の収縮応力によって図において上方向に変形し、液晶16が封入された液晶層の中央部付近では、上に凸に変形する。したがって、対向基板12は、図に示されるように、起伏を伴って変形する。
また、カバーガラス32では、外周部が、接着剤51の収縮応力によって図において下方向に引き寄せられる。このため、カバーガラス32は中央付近が上方向に湾曲する。
【0030】
図13は、接着剤51の収縮後、ある程度の時間が経過した状態を示す。対向基板12や素子基板20の弾性率は、接着剤51の弾性率は、圧倒的に高い。このため、接着剤51の収縮応力を受けた対向基板12およびカバーガラス31は、応力を開放する方向に変位するので、歪みの程度が少なくなるが、完全に戻ることはない。
なお、ここでは、カバーガラス32および対向基板12の歪みについて説明したが、接着剤51は、段差Sp11を含めてカバーガラス31および素子基板11の側面に塗布されるので、カバーガラス31および素子基板11でも同様な歪みが生じる。
【0031】
このように比較例では、段差Sp11、Sp12における接着剤51の収縮応力によって対向基板12および素子基板11が歪むので、両基板の間隙が一定にならず、液晶パネル10としての表示品位が低下してしまう。
段差Sp11、Sp12に接着剤51がかからないように塗布すると、その分だけ、接着剤51が少なくなり、ケーシング部材80の接着能力が低下するので、ケーシング部材80と液晶パネル10との位置ずれが問題になりやすい。
【0032】
これに対して本実施形態では、比較例のような段差Sp11、Sp12を持たせないで、すなわち、カバーガラス32および対向基板12の側面や、カバーガラス31および素子基板11の側面がほぼそろった状態で、接着剤51が当該側面に塗布される。
このため、接着剤51の収縮応力は、ほぼZ方向またはその反対方向に発生して、基板を反らせる方向にはほとんど発生しない。したがって、本実施形態では、対向基板12および素子基板11の間隙が一定に保たれるので、液晶パネル10としての表示品位の低下を抑えることができる。
【0033】
なお、2以上の基板の側面がほぼそろう状態とは、上述したように0.5mm以内の位置ずれを許容する趣旨であり、または、接着剤51の収縮応力が基板に影響を与えない程度の微小な位置ずれを許容する趣旨である。
【0034】
対向基板12は第1基板の一例であり、カバーガラス32は第2基板の一例である。素子基板13は第3基板の一例であり、カバーガラス31は第4基板の一例である。
接着剤42は第1接着剤の一例であり、接着剤51は第2接着剤の一例であり、接着剤41は第3接着剤の一例である。辺L21は第3基板の一辺の一例である。
【0035】
次に、実施形態に係る液晶パネル10を適用した電子機器の一例として、投射型表示装置について説明する。
【0036】
図8は、投射型表示装置1の光学的な構成を示す図である。図に示されるように、投射型表示装置1は、液晶パネル10R、10Gおよび10Bを含む。
【0037】
投射型表示装置1の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によって、赤(R)、緑(G)および青(B)の3原色に分離される。このうち、Rの光は液晶パネル10Rに、Gの光は液晶パネル10Gに、Bの光は液晶パネル10Bに、それぞれ入射する。
なお、Bの光路は、Rの光路およびGの光路と比較して長いので、Bの光路での損失を防ぐ必要がある。このため、Bの光路には、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121が設けられる。
【0038】
液晶パネル10R、10Gおよび10Bは、実施形態に係る液晶パネル10と共通であるが、入射光の色が異なるので、便宜的に符号で区別している。
液晶パネル10Rの液晶素子は、上位装置から供給されるRに対応するデータ信号に基づいて駆動されることによって、当該データ信号の電圧に応じた透過率となる。
このため、液晶パネル10Rでは、液晶素子の透過率を個別に制御することによって、Rの透過像が生成される。同様に、液晶パネル10Gでは、Gに対応するデータ信号に基づいてGの透過像が生成され、液晶パネル10Bでは、Bに対応するデータ信号に基づいてBの透過像が生成される。
【0039】
液晶パネル10R、10Gおよび10Bによってそれぞれ生成された各色の透過像は、ダイクロイックプリズム2112に三方向から入射する。ダイクロイックプリズム2112において、RおよびBの光は90度に屈折する一方、Gの光は直進する。したがって、ダイクロイックプリズム2112が各色の画像を合成する。ダイクロイックプリズム2112による合成像は投射レンズ2114に入射する。投射レンズ2114は、合成像を、スクリーンScrに拡大して投射する。
【0040】
なお、液晶パネル10R、10Bによる透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、液晶パネル10Gによる透過像は直進して投射される。したがって、液晶パネル10R、10Bによる各透過像は、液晶パネル10Gの透過像に対して左右反転した関係となる。
【0041】
また、ここでは、電子機器として投射型表示装置1を例示したが、これに限られず、
例えばヘッドマウントディスプレイの表示パネルや、ビデオカメラまたはレンズ交換式のデジタルカメラなどにおける電子式ビューファインダー、携帯情報端末、腕時計の表示部などにも適用可能である。
【0042】
以上に例示した形態から、例えば以下の態様が把握される。
【0043】
ひとつの態様(態様1)に係る液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板と第1接着剤を介して配置される第2基板と、前記第1基板の前記第1接着剤が配置する面とは反対側の面と対向し、液晶層を介して配置される第3基板と、前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板に、第2接着剤を介して接着されるケーシング部材と、を備え、前記第2接着剤は、前記第3基板の一辺を除き、前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板の側面に設けられ、前記第1基板と前記第2基板と前記第3基板とは、前記第3基板の一辺を除き、平面視において側面が略そろった状態で配置されている。
態様1によれば、液晶パネルの基板の変形が抑えられるので、表示品位の低下を抑えることができる。
【0044】
態様1の具体的な態様(態様2)は、前記第3基板の一辺は、前記第1基板および前記第2基板よりも突出した突出部である。
また、態様2のより具体的な態様(態様3)は、前記突出部においてFPC基板の一端が接続される。
【0045】
態様1の具体的な態様(態様3)は、前記第3基板の前記液晶層とは反対側の面と対向し、第3接着剤を介して配置される第4基板をさらに有し、前記第3基板と前記第4基板とは、平面視において側面が略そろった状態で配置されている。
【0046】
態様1の具体的な態様(態様5)では、前記第2接着剤が、平面視でみて前記第1基板と前記第2基板との位置ずれが0.5mm以内であり、前記第1基板および前記第2基板の側面と、前記ケーシング部材とを接着する。
また、態様1の具体的な態様(態様6)では、前記第2接着剤が、平面視でみて前記第1基板と前記第2基板との位置ずれが0.5mm以内であり、前記第1基板および前記第2基板の側面と、前記ケーシング部材とを接着する。
【0047】
態様7に係る電子機器は、態様1乃至6のいずれかに記載の液晶パネルを有する。態様7によれば、液晶パネルにおける表示品位の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…投射型表示装置、10…液晶パネル、11…素子基板、12…対向基板、31、32…カバーガラス、41、42、51…接着剤、80…ケーシング部材、194…FPC基板。
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